京都迎賓館情報



第十二号シンボル コミュニケーションレター(タイトル)
第12号 平成15年3月

わたしたちはこんな迎賓館を創ります。

室内完成予想(コンピューターグラフィックス)

工事の進捗状況についてお知らせします。

本体施工状況
 本体工事は地下1階から地上部分にかけて躯体工事の施工中で、約7割のコンクリート施工が終了しています。地下部分が出来上がったところから地上部分の躯体工事を進めています。
モックアップ内部
 前号(11号)のレターでお知らせしました「回廊」の一部の原寸試作(モックアップ)が完成しました。今後出来上がったモックアップを使用し、強度、施工方法、精度等検討しながら工事を進めていきます。

職人さんの体制が整いました。

 京都迎賓館(仮称)が目指す「現代の和風」の空間には、単なる伝統の継承にとどまらず、伝統に根ざしながらも、現代の感性で表現された建築と、清新さを持つ庭園が一体となった「和風の佇まい」の創出が望まれています。
 そのことを実現するには実際にものを作る製作・施工者(職人さん)の体制が一番重要になってきます。
 そこで、公共工事の発注に馴染むかたちで、よりよい施工者を選ぶため、以下の取り組みを進めてきました。

■平成14年1月に「京都迎賓館(仮称)伝統的技能活用検討委員会」により伝統技能活用部位として「(数寄屋)大工」「左官」「建具」など11分野が抽出され、各分野ごとに製作・施工者について意見を得た。
■平成14年3月同委員会の意見を中心に施工体制を作ることを条件としてJV(大林、竹中、鹿島特定建設業共同企業体)に発注した。
■JVで調査、検討の結果、11分野30者(結果としてすべて地元)による施工体制が整った。
■平成15年3月同委員会により、下表の通り施工体制が確認された。

 各施工者のチームワークにより、日本の歴史と伝統が感じられる調和のとれた空間の誕生が期待されています。
伝統的技能活用部位の製作・施工体制


京都御苑のサクラ(2)

京都御苑のサクラについて、昨年のこの季節に紹介しましたが(第6号)、その時紹介しきれなかった珍しい桜を紹介します。
出水の小川沿いに、目を凝らし注意深く見ないと識別できませんが、下記のような珍しい種類のサクラが咲きます。ぜひ一度ご覧下さい。
普賢象(ふげんぞう)
室町時代以前から名桜として名高い優雅なオオシマザクラ系サトザクラの代表品種。その由来は、花の中心に2枚の細い緑葉が出ているのを象の牙に見立て、普賢菩薩が象に乗っていることから名付けられました。

南殿(なでん)
「南殿」とは御所の紫宸殿を意味します。その名の通り、御苑の地に咲くのにふさわしいサクラと言われています。

御衣黄(ぎょいこう)
緑色の珍しい品種で、茶緑色の葉とともに、近づいてよく見ないと見落としてしまいそうなサトザクラの珍種です。
参考文献:水野 克比彦「さくら図鑑・京都」
出水の御衣黄
(平成14年撮影)
(平成14年撮影)

春ですね! 御所に出かけてみませんか?

 平成15年4月9日(水)から13日(日)までの5日間、午前9時(開門)から午後3時(閉門)まで、京都御所春季一般公開が開催されます。
 今回のテーマは、「内裏の彩り−季節を感じる−」です。

この人たちが創ります。

「庭園工事」
 「和風の佇まい」を生みだすには、建物と一体となった庭園の役割が重要です。
 庭園工事(伝統技能活用部位)は京都の(株)植藤造園、花豊造園(株)、(株)植芳造園、(株)小林造園の4者が担当することになり、その中から、大工でいうところの「棟梁」にあたる庭師として、(株)植藤造園の佐野藤右衛門さんが選ばれ、全体として一貫性があり、バランスのとれた庭園の創造を目指しています。
 佐野さんは、天保3年創業の植木屋さんの16代目で、14代目から取り組んでこられた「桜守」としても広く知られています。
 昭和21年に家業にたずさわって以来、桂離宮の庭園整備をはじめとして、ヨーロッパやアメリカなど海外でも幅広く活躍されてきました。
 その仕事ぶりは「名人」にありがちな気むずかしい雰囲気はなく、「いい仕事をするには、遊びごころが大事」といわれるとおり、ユーモアをまじえながらたくさんの職人さんを動かしておられます。
 すでに石の仮組が始められていますが、膨大な時間とエネルギーを集中し、試行錯誤されている様子から、伝統に根ざした現代の庭園の創造を確信することができます。

このコーナーでは伝統技能活用部位の施工者、制作者(職人さん)を紹介します。
庭園工事着手に向け準備作業を進めています。

 迎賓館の庭園工事は現代の和の庭を創造し建物からの景観や機能にふさわしいしつらいとするため、本年秋の現場内工事に向け昨年より検討並びに準備作業を行っています。  庭園の工事の中に大小の石を組み合わせる石組みが計画されていますが、石の景観について検討するため、現場内に約10分の1の大きさの模型を作りその結果を踏まえ実物の石による仮組みを庵治石の産地で有名な香川県牟礼町にて行っています。
10分の1模型
石仮組状況

迎賓館に生きる伝統技術

 工事により発生しました掘削残土の中に自然石が多数含まれており、迎賓館の庭園の池底や畳石としての活用を計画しています。  保管されている自然石から大きさ・形・色合いなどの見合う石を選び出し、美しく見せる敷き方について実際に敷き詰めて検討を行っています。
掘削残土に含まれていた自然石
選定して敷き詰めた状態

このコーナーでは迎賓館に生かされる伝統技術を紹介していきます。

戻る