京都迎賓館情報



第十三号シンボル コミュニケーションレター(タイトル)
第13号 平成15年7月

わたしたちはこんな迎賓館を創ります。

大池南側イメージパース

工事の進捗状況についてお知らせします。

 本体工事は地下の躯体工事がほぼ完了し、地上部分の躯体工事の施工中で、躯体工事全体の約6割が完成しています。  躯体工事は10月頃に完了する予定ですが、7月頃より躯体の出来あがったところから順次仕上工事を行っていく予定となっています。
本体地上部分施工状況1
本体地上部分施工状況2

 建物周囲の築地塀については残っていました西面の基礎工事がほぼ終了し、外部の仕上工事の施工を行います。  庭園工事は秋の本格着手に向け造成工事等を行っています。
築地塀施工状況
庭園工事施工状況

安全標語を掲げ安全運動を推進しています。

 工事現場内に安全標語を掲げ最善の注意をはらいながら工事を進めています。
 また、重大災害ゼロを最優先の課題として、w(ダブル)安全運動を推進しています。
 w(ダブル)安全とは、多重安全のことで、安全設備と安全作業行動が常に重なって働き、仮にどちらか一方に不備があっても事故につながらない安全管理の方法です。
安全標語
環境標語

お知らせ

 平成10年より、迎賓館予定敷地にある樹木を京都御苑の中や、迎賓館の樹木として活用するため、移植を行い京都御苑の環境の保全を考慮しつつ工事を行っています。
 現在、移植樹木の状況は、樹勢弱い樹木も見られますが、移植樹木の大部分は活着している状況です。しかしながら、御苑内に移植したエノキ2本は手当の甲斐もなく昨年1本(詳細はコミュニケーションレター8号で報告済)、今年1本枯損しました。
 樹木のアドバイスをいただいている樹木医の先生の話では、京都御苑内の樹木は、土が比較的やせていて、根が地表に皿形に平べったく広がり、地中深くに生えていかない傾向にあるようです。また、樹勢の弱っている樹木は、樹木医の先生の指導のもと樹勢回復手当を行うこととしています。
 今後も、移植後の状況については、随時ご報告していきます。

この人たちが創ります。

「大工(主賓室)」
 外国の賓客をおもてなしする主賓室の大工工事を中村外二工務店が担当されます。
 中村外二工務店の中村義明さんは、7年前先代の外二さんから棟梁を引き継がれ、アメリカなど、海外でも活躍されています。
 中村さんにお聞きすると、「数奇屋とは何かというと、清潔さ、エレガンス」「仕事できれいに削るのはもちろんのこと、先ず木を知ること」「力強く、品がある素材であること」と説明され、木で表現された21世紀の代表的なものを造りたいと熱く語られた。
 全国から勉強に集まって来られ、先代からのお弟子さんは全国で80数名もおられるそうで、現在は、30名程のお弟子さんが残られています。
 大工工事の準備をほぼ終え、いつでも作業にかかれるそうで、後世に残るしっかりとした力づよいものをつくりたいと強い心意気で語られ、すばらしいものができることを確信しました。

このコーナーでは伝統技能活用部位の施工者、制作者(職人さん)を紹介します。
職人さんの工房を訪ねて(3)

 伝統的技能が活かされた空間を創造する今回の工事にあたり、その技能がフルに発揮され、より効果的に活用される環境を整えるため、職人さんの工房を訪ねています。
 3回目の今回は、畳、大工、石造工芸の工房をたずねました。



「畳」
 工房で工程の説明をうけました。隣では若い職人さんが、汗だくで畳表を縫い込んでいきます。畳は建物毎に大きさが違い、縦横斜めの寸法を必ず測る。ひとつの大きな部屋に敷き込んでいくときなど、ござの目一つ一つがきれいに並ぶよう調節していくとのこと。日本建築の繊細さが伝わってきます。工房内ではこういった作業が丁寧に進められています。

迎賓館に生きる伝統技術

「大工」
 今回は工房ではありませんが、材木倉庫を見学させていただきました。乾燥が不十分なものは狂いがでる、機械で乾燥させたものは、中まで乾燥させることがむずかしい、根気よく乾燥させることが重要だとのこと。
 また、木の種類と使い方も重要で、よく木の特徴を理解できるように、若い職人に自分で木を担いで重さや感触を確かめさせ、肌で感じられる指導をしているとのこと。伝統を伝えることの重要性が感じられます。

「石造工芸」
 今回の工事では石灯籠等が庭園に配置されます。工房では大まかな機械で加工した石を、職人さんが槌(つち)と鏨(たがね)で丹念に一絞り一絞り、石を加工していきます。
 「ほぞをはめ込む形とし、地震でも簡単には倒れないように加工している。江戸時代などの比較的新しいものは、地震対策もされておらず、手で押してもすぐ倒れてしまうように、派手さがあるが中身がない、日本独自の形が確立された、平安・鎌倉時代のものを手本にしている。」そうです。
 工房のあとは、作品の保管場を見せていただきました。保管場所には工房で作られたものや、江戸時代の灯籠などが、清らかなわき水が流れる、谷間の木陰に並んでいます。庭園に持っていくときに違和感がないように苔を付けるなど、熟成させているとのこと。職人さんの心意気が感じられます。

このコーナーでは迎賓館に生かされる伝統技術を紹介していきます。

戻る