第14号 平成15年9月
わたしたちはこんな迎賓館を創ります。
室内完成予想(コンピューターグラフィックス)
工事の進捗状況についてお知らせします。
本体工事は地上部分の鉄骨工事、コンクリート工事がほぼ完了、8月26日には上棟式が行われました。躯体工事は約9割が完了しています。
躯体の出来上がったところから外部は金属屋根の下地工事、内部は内装木工事を行っています。
本体地上部分施工状況
和室棟床板張り
建物周囲の築地塀については躯体工事が一部を除きほぼ完了しました。現在、外部の腰壁の石貼り工事の施工を行っています。
庭園工事は秋の本格着手に向け造成工事等を行っています。
築地塀施工状況
庭園工事施工状況
迎賓館敷地南側の植栽について
前号(コミュニケーションレター13号)でエノキが枯損したことをお知らせしましたが、この部分への植栽についてお知らせします。
御苑管理事務所と協議の上、周辺の樹林に合わせてエノキ、ケヤキの落葉高木(高さ7.0m)やカエデなどの中低木を植栽し樹林の回復を図ります。
植栽は本年、秋口からの植栽に適した時期より、年末にかけて行う予定です。
イメージ図
平成14年度環境調査の結果についてお知らせします。
工事施工にあたり周辺環境への影響を軽減するため、各項目について環境調査を行いながら工事を進めてまいりました。平成14年度の調査結果では、工事着手前と比較して周辺環境の大きな変化は確認されていません。
[鳥 類]
御苑全域を定期的(月1回)に調査した結果、御苑全域で63種、建設地周辺では48種確認されています。平成7年度調査では御苑全域で72種、建設地周辺で50種確認されており、種数に変化のあった種は主に年変動がみられる渡り鳥でした。
渡り鳥等による変動がみられるものの、御苑で普通にみられる種については平成7年度と比較してほとんど変化がなかったことから、大きな変化は見られませんでした。
(アオバズク)
宗像神社では、平成14年度も繁殖に成功し幼鳥が巣立ちました。
なお、建設地周辺においては、昨年と同様に繁殖ペアは確認されませんでした。
(オオタカ)
御苑全域を定期的(月1回)に調査した結果、京都御苑内での営巣は確認されませんでした。しかし食痕(狩りの痕跡)を確認しており、採餌場として利用していることがわかっています。
[植 物]
建設地周辺において環境省や京都府のレッドデータブック(絶滅のおそれのある野生生物のリスト)などに記載されている植物は、タシロラン以外には確認されませんでした。
(タシロラン)
御苑内において平成14年度は約400本の発生を確認しています。タシロランの発生は、全体的に平成8年度から減少傾向にありましたが、平成14年度は昨年に比べやや増加しました。
また、2ヶ所(寺町保護区、今出川自生地)で平成12年11月より継続して観測している微気象(気温、湿度等)については、工事着手前と比べ大きな変化は見られませんでした。
[騒 音]
建設地の敷地境界で常時観測による騒音の監視を行っていますが、騒音レベルは、工事期間を通して、特定建設作業に関する騒音の規制値を下回っていました。また、6月、2月に建設地周辺で行った調査の結果では、騒音レベルは、建設地の敷地境界付近を除き、住居地域の環境基準値(55dB)と同程度またはそれ以下に抑えられていました。
[振 動]
建設地の敷地境界で常時観測による振動の監視を行っていますが、振動レベルは、工事期間を通して、特定建設作業に関する振動の規制値を下回っていました。また、6月、2月に建設地周辺で行った調査の結果では、工事時間中における振動レベルは総じて低い値でした。
[大気質]
6〜7月、2月の調査における建設地周辺の二酸化窒素と粉じんの濃度は、季節的、地域的な変動が見られますが、工事による大きな変化は見られませんでした。
[水 質]
建設地近傍で常時観測を行っている監視井戸については、水位、水質に大きな変化は見られませんでした。
また、定期的に調査を実施している大宮御所、梨木神社および白雲神社の井戸水についても水質に大きな変化は見られませんでした。
[交通量]
6月と2月の調査の結果、今出川通りにおける交通の状況は、工事用大型車両の通行中も大きな変化は見られませんでした。
[歩行者等動線]
4月に実施した調査の結果、工事着手前と歩行者等動線について大きな変化は見られませんでした。
引き続き、調査結果について注意深く監視し、周辺環境に十分配慮し工事を進めてまいります。
工事情報センターにおいても平成14年度環境調査の結果をデータ、表、図等を用いてお知らせしています。
この人たちが創ります。
「錺(かざり)金物」
襖の引き手や釘隠といった小さな細工から仏具、祭具、神社仏閣の建築金具まで、さまざまな種類の錺金具があります。
和食会食・貴賓室・大会議室・主賓室和室の錺(かざり)を森本錺金具製作所が担当されます。 森本錺金具製作所の森本安之助さんは、国宝二条城の錺金具をはじめ、数多くの国宝重要文化財の錺金具の制作に貢献され、国の選定保存技術保持者に認定されるなど、錺金具制作の世界では、第一人者として活躍されています。
現在、大阪府堺市にある神社の天井金物、扉の金物の制作にあたられているそうですが、日本の工芸に対し、「モダン建築ということで伝統が排除されてきた。」「錺金具で指導的立場になる人、学者とか権威のある人がいない。」との意見をお持ちで、将来的に伝統を守り引き継いでいくことへの危機感を持っておられます。
まがい物でないほんまもんを創り、後世に残るものにしたいと熱意をこめて語られていました。
このコーナーでは伝統技能活用部位の施工者、制作者(職人さん)を紹介します。
伝統的技能を活用した部位の工事が始まりました。
建家の内において、伝統的技能を活用した部位の工事が始まりました。7月半ばより数寄屋大工の工事が始まっており、8月初めより、左官による塗り壁、壁下地竹組、荒壁付けが始まりました。
左官工事の壁土は現場から出た聚楽土を現場内で、1年間かけて熟成させたものを使用しています。
今後、施設各部分で、伝統的技能を活用した部位の工事が始まっていきます。
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