京都迎賓館情報



第十五号シンボル コミュニケーションレター(タイトル)
第15号 平成16年1月

わたしたちはこんな迎賓館を創ります。

室内完成予想(コンピューターグラフィックス)

工事の進捗状況についてお知らせします。

 本体工事はコンクリート、鉄筋などの躯体工事がほぼ終了し屋根工事、建具工事を行っています。屋根工事は全体では約30%、建具は約50%が完了しています。内部工事は大工工事、左官荒壁工事を行っています。  築地塀工事は東面が壁の左官工事を残し完成、現在北面南面の瓦・石・木工事を施工しています。
 庭園工事は敷地北側より石組、植栽工事を進めています。
本体地上部分施工状況
築地塀工事施工状況
庭園工事施工状況

鴻臚館(こうろかん) 〜古代から平安にかけての迎賓館〜

 鴻臚館は、難波、筑紫、平安京の三箇所に設置された外交施設で、そこでは、外国使節を接待するため、特に荘厳な建物が用意され、外交関係の公式行事のほか交易、詩文の交歓などがされました。
朱雀大路をはさんで立つ東西鴻臚館
「平安京復元模型 京都市蔵」

 平安京の鴻臚館は、朱雀大路をはさんで左右対称に東西鴻臚館が置かれ、平安期はもっぱら渤海(ぼっかい)国使をもてなしたそうです。現在は、西新屋敷下之町に、東鴻臚館跡を示す石碑が残されています。
石碑 平安京の構造


プロジェクトに理解と協力をいただくため、イベントを開催しました。

■目的
 京都迎賓館(仮称)で活用される伝統的技能について紹介し、プロジェクトへの理解と協力をいただくため、公共建築の日「伝統技能 in kyoto」〜京都迎賓館(仮称)における伝統技能の紹介〜を実施しました。

■展示
 平成15年11月24日(月)〜25日(火)まで京都市勧業館(みやこめっせ)地下1階 特別展示場A面で、11職種(大工、左官、建具、表具、畳、錺、漆、截金、庭園、石造工芸、竹垣)の伝統技能の紹介を実物品等を展示し行いました。

■工房めぐり
 平成15年11月27日(木)〜29日(土)まで、建具等7職種でおこないました。
 工房めぐりでは、参加者が熱心に質問され、伝統技能に対する関心の高さが伺われました。


平成15年度環境調査の結果(中間報告)についてお知らせします。

 工事施工にあたり周辺環境への影響を軽減するため、各項目について環境調査を行いながら工事を進めてまいりました。平成15年度(10月末)までの調査結果では、工事着手前と比較して周辺環境の大きな変化は確認されていません。

[鳥 類]
 御苑全域を定期的(月1回)に調査した結果、平成14年度と同様、キジバト、セグロセキレイ、ヒヨドリ、シジュウカラ、メジロ、ムクドリなどの種を確認しています。
 京都御苑では、春、秋は渡り鳥の飛来があるため種数が多くなり、夏は留鳥と一部の夏鳥だけとなるため種数が少なくなる傾向がありますが、今年も同様な傾向がみられています。
(アオバズク)
 宗像神社では、平成15年度も繁殖に成功し幼鳥が巣立ちました。
 なお、建設地周辺においては、平成14年度と同様に繁殖は確認されませんでした。

(オオタカ)
 御苑全域を定期的(月1回)に調査した結果、京都御苑内での営巣は確認されませんでした。しかし食痕(狩りの痕跡)を確認しており、採餌場として利用していることがわかっています。

[植 物]
 平成15年度もこれまでに建設地周辺において環境省や京都府のレッドデータブック(絶滅のおそれのある野生生物のリスト)などに記載されている植物は、タシロラン以外には確認されませんでした。

(タシロラン)
 御苑内において平成15年度は306本の発生を確認しています。
 また、2ヶ所で平成12年11月より継続して観測している微気象(気温、湿度等)については、平成15年度は夏季に雨が多かったこともあり7月に気温が低く、湿度が高くなる傾向がみられましたが、それ以外では特に大きな変化はみられませんでした。

[騒 音]
 建設地の敷地境界で常時観測による騒音の監視を行っていますが、騒音レベルは、平成15年度もこれまで工事期間を通して、特定建設作業に関する騒音の規制値を下回っていました。

[振 動]
 建設地の敷地境界で常時観測による振動の監視を行っていますが、振動レベルは、平成15年度もこれまで工事期間を通して、特定建設作業に関する振動の規制値を下回っていました。

[大気質]
 6月の調査における建設地周辺の二酸化窒素と粉じんの濃度は、測定を行った各地点間で大きな差はなく、建設地周辺において大きな変化はみられませんでした。

[水 質]
 建設地近傍で常時観測を行っている監視井戸については、水位に大きな変化はみられませんでした。水質については、大雨の影響とみられる一時的な濁りがみられましたが、それ以外では大きな変化はみられませんでした。
 また、定期的に調査を実施している大宮御所、梨木神社などの井戸水については水質に大きな変化はみられませんでした。

引き続き、調査結果について注意深く監視し、周辺環境に十分配慮し工事を進めてまいります。

この人たちが創ります。

「石造工芸」
 日本庭園になくてはならないのが、石燈籠、手水鉢、沓脱(くつぬぎ)石などの石造工芸品です。
 京都迎賓館(仮称)にも、伝統的なものから創作的なものまで数種置かれる予定です。これらの制作を西村石灯呂店が担当されます。
 西村金造さんは、京石工芸士として、鎌倉時代の三大名石「白川石」の産地である北白川で、手彫りの伝統を守り続けられています。古代型石燈籠の復元制作に力を注ぎ、金沢の兼六園のシンボル「徽軫(ことじ)燈籠」や大徳寺本坊の六角石燈籠などを手掛けられました。
 ノミとセットウ(ツチ)で無造作に削っているように見えますが、そのノミさばきには、ひとつひとつ違う石の質や完成時のバランスなどを見極める熟練の技が生かされています。石燈籠のつなぎ目には、ホゾを入れ、倒れにくい工夫が凝らされます。また、彫り込んだ模様の線や石の角は丁寧に叩かれ、丸みを帯びます。
 「見た目の派手さではなく、見えないところにも手をかけなければいけません。姿のいい味わい深いものをつくるのはむずかしいですな。」

 「手で彫る石の美しさは機械ではだせません。石はずっと残ります。あとの人が見ても恥ずかしくない、自分が本当におもしろい、ええと思うもんをつくりたいですな。」と語られました。
 長い石造美術の伝統を継承しながら、さらに独自の創作を加えて、新たな京石工の歴史をつくり続けられています。
 京都迎賓館(仮称)の石造工芸品も時を経て、さらに味わいを深めていくことでしょう。

このコーナーでは伝統技能活用部位の施工者、制作者(職人さん)を紹介します。
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