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はじめに

 「美しい景観を愛で楽しむことは、人間に与えられた基本的な権利である」との考えが広がっている。
 近畿は、千数百年の都の地として文化がみやびやかに華やぎ、豊かな自然の中でおごそかなる地が信仰を集め、そのまわりで農村や里山の風景がゆるやかに育まれてきた地域である。盆地とそれを縁どる山の辺、川や湖の水辺、海辺などの空間が、いにしえからの歴史を刻みながら、きめ細かく使いこなされることによって、美しい景観が育まれてきた。このような個々の地域の景観が全体として一つの物語性をもっていることが、近畿の景観の特質であると考える。
 いま、近畿の現状を見ると、これらの美しい近畿の景観が大きく変貌している。今改めて、先人の営み、郷土の美しさを再認識し、美しい近畿の景観を守り、再生し、次の世代に引き継いでいくことに取り組まなければならない。私たちは、歴史的にも、我が国の美しい景観づくりを先導してきた近畿が、他の地域に先駆けてその責務を果たすべきであると考える。
 ここに、近畿に生きる私たちが、うるわしく誇りうる地域を育み、美しい景観を愛で楽しむ第一歩として、「美しい近畿づくりの10の原則」を「近畿の景観宣言」として示すものである。

 なお、本宣言を作成するにあたり、「美しい近畿づくり検討会」でのご議論を踏まえている。景観という難しい課題に真摯に取り組んでいただいた同検討会の委員各位に深く感謝したい。

平成16年6月
近畿地方整備局長 谷口博昭
           

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