TOP > 琵琶湖・淀川流域圏の再生計画 > 再生に向けての基本的な考え方

琵琶湖・淀川流域圏の再生計画

再生に向けての基本的な考え方

琵琶湖・淀川流域圏がかかえる様々な課題を踏まえ、望ましい流域圏の姿を形成していくために、基本理念・基本方針を次のとおり掲げ、「水でつなぐ"人・自然・文化"」の基本コンセプトのもとで、流域圏が一体となった取り組みを展開します。

基本理念

琵琶湖・淀川流域圏は、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良の二府四県に広がり、古くから水と人の密接なかかわりの中で、わが国随一の歴史・文化を有し、都市と豊かな自然環境が共生し繁栄してきた個性ある地域である。2003年3月には「第3回世界水フォーラム」が開催され、琵琶湖・淀川からのメッセージとして、水の恩恵と水を慈しむ心の大切さを再認識し、流域社会を構成する全ての主体の連携と協働が促される等、流域としての一体的な取り組みの重要性が改めて確認されたところである。この精神を活かしつつ、貴重な資産に恵まれた琵琶湖・淀川流域圏を次世代によりよい状態にして継承する事が、私たちの使命である。

現在、琵琶湖・淀川流域圏では、琵琶湖から大阪湾に至る自然生態系ネットワークの回復、古都京都、水の都大阪等におけるまちなかの水辺の復権、水源の森から始まる水循環系の再構築、歴史的に引き継がれてきた水文化や原風景の継承等、個々の主体が個別に対応しても解決できない課題が多く存在する。これらの課題に対して、様々な主体による連携した行動が必要といえる。

今こそ、マザーレイク・マザーリバーとも言うべき琵琶湖・淀川を中心とした流域圏を一体として捉え、歴史・文化を活かしながら、私たち人間を含めた全ての生物の営みが持続可能となる環境を再生し、安全で活力あふれる魅力的なまちづくりを行うため、流域圏全体で行動すべきである。

この先進的な取り組みが琵琶湖・淀川流域圏だけでなく近畿、ひいては日本全体の再生につながるものと期待する。

ページトップへ

基本コンセプト

水でつなぐ「人・自然・文化」

琵琶湖・淀川流域圏の再生に向けての基本コンセプトを水でつなぐ「人・自然・文化」琵琶湖・淀川流域圏としています。

また、「琵琶湖・淀川流域圏の再生計画」のシンボルマークは再生の「S」をモチーフにして、水を表現しています。

ページトップへ

基本方針

歴史・文化の活用

琵琶湖・淀川流域圏は、その歴史の中で、水運によって大陸ともつながり、また、数々の都が栄える等、政治、経済の中心であるとともに、日本文化の骨格をなし、長い歴史を通じて蓄積されてきた数々の歴史文化遺産を残しています。この歴史・文化を継承し、発展させ、広く発信することにより、今あらためて現在に活かします。

水文化の継承

琵琶湖・淀川流域の水によって、茶道、華道はいうまでもなく様々な水に関する祭り等の個性ある水文化が育まれてきました。この人と水との関わりを映し出す水文化を継承し活用します。

連携の推進

流域圏が一体となって取り組むこと、すなわち、上下流、左右岸等「地域間の連携」、市民、企業、行政等「主体間の連携」、山、川、田園、まちづくり等「分野間の連携」を推進することにより、従来の枠組みにとらわれない様々な角度から流域の課題に柔軟に対処します。また、このような流域圏としての一体的な取り組みを、世界に向けても一つのモデルとして発信します。

水循環系の再構築

山紫水明というように、古くから山と川は一体と認識されており、あらためて山から川、海へと水でつながる循環系を再認識し、流域全体で豊かな水を育む山、森、里、まちの保全再生をめざします。

生態系と水環境の回復

人の営みによって、自然環境が変化しつつある琵琶湖・淀川流域圏において、流域圏全ての人が、人も生態系の一部であることを再認識し、カエルやメダカ等人間以外の生物からの視点も入れて、本来流域圏が有していた豊かな生態系や水環境の回復をめざします。

原風景の保全

ヨシ原の広がる湖岸、鴨川の夕涼み、なにわの八百八橋等、人それぞれが愛で、楽しみ、心に残る琵琶湖・淀川流域圏の原風景を守り育みます。

水を活かしたまちづくり

水に背を向けていた今までのまちづくりから、水に顔を向けたまちづくりへと転換し、賑わいの場を創出するとともに、都市内の川をきれいにしたり、せせらぎを復活させる等により、まちのうるおいと水辺の賑わいを再生し、水との親しみを取り戻します。

安全で安心な水の確保

人々の生活に欠くことができない水、多様な生き物を育むかけがえのない水、いわば命の水の重要性と脆弱さを認識し、流域圏全体で水を大切にし、水質を保全するとともに、安全な水の確保や水の有効利用を図ります。

災害に強い地域づくり

琵琶湖・淀川流域圏の高密度に集積している人口、資産、全国でも屈指の歴史文化遺産を災害から守るため、流域全体を通して安全で安心できる地域づくりを行います。

活力と魅力あふれる流域圏の創造

琵琶湖から淀川、大阪湾、瀬戸内海へとつながる水上ルートも活用し、それぞれの地域特性を活かした水辺利用や流域圏が一体として取り組む水辺のネットワークを構築することにより、内外の人々が訪れたいと思う魅力と活力あふれる流域圏を創造します。

ページトップへ

計画期間

本計画は、策定後概ね5〜10年間での具体化を目処としつつ、より長期的(概ね20〜30年間)な見通しを踏まえながら取り組むこととしています。策定後10年が経過した平成26年には、これまでの活動成果の取りまとめを行いましたが、その後も各種の取り組みを継続しています。

ページトップへ