淀川水系流域委員会 第4回琵琶湖部会議事録

日 時 平成13年8月22日(水) 13:30〜17:30
場 所 大津プリンスホテル コンベンションホール「淡海」


 

○庶務(三菱総合研究所 近藤)

時間がまいりましたので、淀川水系流域委員会、第4回琵琶湖部会を始めさせて頂きます。

司会進行は、庶務を担当します三菱総合研究所の近藤が務めますので、よろしくお願い申し上げます。

では、審議の前に少しご報告と確認をさせて頂きます。

まず、新しく河川管理者席に座られた方がいらっしゃいますのでご紹介いたします。琵琶湖工事事務所の新所長の児玉所長、それから滋賀県土木交通部河港課の澤野課長のお二方です。

○河川管理者(近畿地方整備局 琵琶湖工事事務所長 児玉)

8月1日付で琵琶湖工事事務所長としてまいりました児玉です。どうぞよろしくお願いいたします。

○河川管理者(滋賀県土木交通部 河港課長 澤野)

7月1日付で滋賀県の河港課長としてまいりました澤野です。よろしくお願いいたします。

○庶務(三菱総合研究所 近藤)

どうもありがとうございます。

次に、お手元にある配付資料を確認させて頂きます。まず「議事次第」、次に、青色の紙で「発言にあたってのお願い」があるかと思います。それから、議事次第に従って確認しますと、資料1「第3回、第4回委員会速報」、資料2「第2回、第3回琵琶湖部会(現地視察)の概要」については事前に委員の方々には郵送にてお配りしておりますので、本日、この席にはございません。

また、淀川水系の現状説明の参考としまして、第1回琵琶湖部会でお出しした資料3「淀川水系の現状説明」を委員の方々の席にご用意しておりますので、適宜ご参照下さい。

資料2の補足としまして、「琵琶湖部会ニュースNo.2‐3合併号」を配布しております。このニュースレターの1ページ目に視察ルート、2〜5ページに主な視察ポイントが書いてありますので、併せてご覧下さい。委員の方以外には、資料2の後ろに該当部分のコピーをつけております。

今日は4名の委員の方からご説明頂きますが、うち2名の方の資料についてはお手元にまだ配布されておりません。委員の方にはコピーができ上がり次第お配りし、一般傍聴の方におかれましては、会場前の受付に設置させて頂きますので、後ほどお取り頂ければと思います。

資料4−2「中村委員からの提供資料」をご覧頂けますでしょうか。これは琵琶湖研究所のニュース等の資料ですが、部数の都合上、委員の方のみにお配りしております。その他の方には、受付に閲覧用として同じものを置いておりますので、よろしくお願いいたします。

資料5「水上オートバイ等に関する資料」は、第4回委員会の場で寺川委員から提出して頂いた資料ですが、部会委員の間でも情報共有をすべきだということから、ご提出頂いた資料です。このうち、資料5−1−・「委員からの提供資料」、資料5‐1‐・「河川管理者からの提供資料」、資料5−1−・「・の資料の修正について」は第4回委員会の場で提出された資料となっています。資料5−1−・「第4回委員会後に河川管理者より追加提供された資料」は訂正箇所を示したものです。資料5−2「水上バイク水質影響調査結果について」、資料5−3「PWC排出ガスによる水質影響の低減対策の実施について」については、今回、国土交通省等から提供頂いた資料です。

なお、資料5−2「水上バイク水質影響調査結果について」のページ4が真っ白になっておりますが、これは落丁ではありません。ここは白いページで情報がないということで、このままの状態で抜けはないとご理解頂きたいと存じます。

本日は一般傍聴者の方にもご発言を頂くための時間を設けております。委員の方による審議中は、一般傍聴者の方からのご発言はご遠慮頂くことを原則とさせて頂きます。なお、ご発言頂く前には、青い紙「ご発言にあたってのお願い」をご覧頂き、必ず全員に発言内容が伝わるよう、マイクを通してお名前をおっしゃって頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

また、本日は河川管理者からの説明に続いて、4名の委員から情報提供をして頂きますが、時間厳守でお願い申し上げます。本日は、遅くとも17時30分までには部会を終了させたいとのことですので、何卒、皆さまのご協力をお願いします。

それでは、審議に移りたいと思います。川那部部会長、よろしくお願い申し上げます。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

資料1「第3回、第4回委員会速報」と資料2「第2回、第3回琵琶湖部会(現地視察)の概要」について、既に委員の方々には事前に配布済みとなっていますが、簡単に説明を申し上げたいと思います。

まず、資料1についてですが、6月18日に第3回委員会、7月24日に第4回委員会が開催されました。第3回委員会では「河川管理者」の方から、第2回委員会の説明を補足するということで、治水に関していろいろな形で破堤が起こる事例の紹介をして頂き、また、利水の状況等の説明もありました。その後、委員による意見交換を行い、非常に多くの議論をしました。

第4回委員会では、同様に「河川管理者」から、淀川水系の環境について、水質や生物、生息環境等についての説明や、国土交通省における公共事業改革の取り組み等ついての説明がありました。その後、それらの説明を受けた活発な議論をいたしました。

第3回委員会、第4回委員会の報告の中で一番大事なことは、資料−1の11ページ、「参考資料:第4回委員会(H13.7.24開催)資料2」の検討スケジュール(案)にあるように、委員会で、一応の今後の検討スケジュール(案)が決まったということです。即ち、今年の秋くらいまでに、ある程度、淀川水系の現状把握の部分として、お互いに情報の共有をしたい。それから、その後、課題の分析を行う中において、各々の委員の琵琶湖・淀川水系に対する想いを盛り込みながら議論を進め、河川整備計画の原案作成のための意見の整理を来年の4月中旬頃までに、ある程度はまとめたいという流れです。

それを受け、「河川管理者」は河川整備計画の原案を1カ月ないし2カ月程度で作成し提案する。もちろん、検討が必要なものとして残された事項については、引き続き検討してまいりますが、「河川管理者」から出された河川整備計画の原案についても、その後、議論を続け、可能であれば、翌年の秋頃には答申という形で取りまとめをしたいというのが委員長から出た検討スケジュール(案)であり、全体としては大体了承いたしました。

ただ、具体的にこのような形で予定通り進められるかどうかは問題が残るところですので、日程の変更はもちろんあると考えます。この検討スケジュール(案)を努力目標に進めていきたいということが、第4回委員会で議論されました。それが委員会全体として決まった一番大事なことだと思います。

従って、難しくて大変なことであるとは十分に理解していますが、琵琶湖部会としても、できるだけ現状把握を今年の10月の終わり、或いは11月頃までに済ませたいと思っております。皆さまのご協力をお願いいたします。

次に、資料2「第2回、第3回琵琶湖部会(現地視察)の概要」の説明をさせて頂きます。

琵琶湖部会は第2回、第3回の2回にわたり、現地視察を行いました。

1回目の現地視察では姉川、高時川の合流点の辺りから、丹生ダムサイトまでを視察し、そして長浜から近江八幡辺りまでを下り、湖岸を視察してまいりました。現場で多くのものを見たり、説明をして頂いたりしたわけですが、丹生ダムサイトと新海浜の湖岸において、一般の方々からのご意見を承る機会も設けました。

2回目の現地視察では、まず、南郷洗堰にある琵琶湖工事事務所へ足を運び、水位問題等について勉強しました。その後、大津放水路工事現場、草津川及び野洲川等の直轄管理区間を視察し、湖岸を北へ上がり西の湖まで視察しました。

このとき、最初の予定として、大津放水路と西の湖で一般の方からのご意見をお聴きする機会を設けましたが、大津放水路では、一般の方からのご発言はありませんでした。西の湖では一般の方々からのご意見を承りました。

現地視察において、以上の丹生ダムサイト、新海浜、西の湖の3地点では一般の方からのご意見を承るだけではなく、それに関して委員から質問、意見等が出され、一般と委員の方との意見交換も行われました。

以上が、淀川水系流域委員会の第3回委員会、第4回委員会、第2回琵琶湖部会、第3回琵琶湖部会の概要です。事前に委員の方には現地を見て頂いていますので、他に大事な点、或いは間違っている点等があればご意見を承りたいと思います。

特にご意見がなければ、時間の関係もありますので、次の審議、「琵琶湖を中心とする淀川水系の現状(環境)についての情報提供」に入りたいと思います。

本日は、4人の委員の方々から情報提供をお願いいたしたいと思います。まず、「河川管理者」からご説明を頂いた後、西野、村上、嘉田、三田村委員の順で情報提供をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

先ほど、庶務からもお願いがありましたが、時間の関係上、委員お1人につき持ち時間は15分を厳守願います。15分で説明を頂いた後、質問の時間を少し確保したいと思いますので、必ず時間は守って頂きたいと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 琵琶湖工事事務所長 児玉)

琵琶湖工事事務所の所長の児玉です。

[省略:台風11号による琵琶湖の状況の変化、資料3−1説明]

以上、琵琶湖の概括的な話と草津川、野洲川の環境について報告させて頂きました。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

ありがとうございました。

児玉所長の今のお話に何か質問等はございますか。全体的な質問については、4人の委員の方にご説明頂いた後、お伺いするとして、特に今児玉所長からのご説明に対して直接の質問等があればおっしゃって下さい。

○川端委員(琵琶湖部会)

資料3−1の8ページの水草の現存量はどこで調べたデータなのでしょうか。琵琶湖は非常に広いため、データのとり方によっては現存量が大きく変わってくると思います。調査された地点はどこになるのでしょうか。

○西野委員(琵琶湖部会)

資料3−1の8ページの水草のデータは、滋賀県の水産試験場が昭和44年に調査し、それと同様の調査を平成7年に実施し、その結果を比較したものです。

場所は、琵琶湖の北湖と南湖で水深0〜7メートルまでのライントランセクトを設定し、全部で55地点を対象としましたので、琵琶湖全域と言えます。

○川端委員(琵琶湖部会)

ありがとうございました。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

琵琶湖研究所からのデータを引用されていますので、西野委員からの説明で十分だと思います。

他に意見がないようであれば、早速、次に進みたいと思います。西野委員、よろしくお願いいたします。

○西野委員(琵琶湖部会)

[主な説明内容]

・.漁獲量の変動とその要因について

- アユの資源量は増大傾向にあるが、それ以外の魚類は減少傾向にある。特に1990年代に入ってからの減少が著しい。急激な減少の要因としては、湖岸堤の建設によるヨシ帯面積の減少、洗堰の操作規則の変更が考えられる。

- コイ・フナ類では産卵抑制という現象もみられ、水位が下がる6月以降、産卵抑制が起こるのではないかと指摘されている。

- 冬に高水位の場合はヨシをあまり刈らないが、低水位の場合はヨシ刈りが容易になるので、広い面積でヨシが刈られる。冬にヨシ刈りが広く行われると、コイ・フナ類の産卵期が4〜5月にシフトしているためにヨシの育成が間に合わず、稚魚が生育可能なヨシ帯の面積が減少することが指摘されている。

・.琵琶湖の湖底の変化について

- 琵琶湖の水質の経年変化をみるとほぼ横ばいであるが、水深30メートル以上の湖底では大きな変化が起こっている。

- 湖底の温度は長期的に上昇傾向にあり、1983年と1990年の間で3℃の上昇がみられる。また、湖底直上水の溶存酸素濃度についても、地球温暖化と富栄養化の影響で年最低溶存酸素濃度が低下傾向にあり、湖底の生物への影響が懸念される。

- 実際、チオプローカという硫黄酸化細菌や沿岸部にすむ動物の一部が侵入・繁殖する等、深底部の生物相に変化がみられる。

- 将来、深底部の湖底が無酸素状態になり、植物プランクトンの大増殖が起きる心配があり、湖底の状態をモニタリングすべきである。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

ありがとうございました。

西野委員のご説明に対して、質問その他はございませんでしょうか。

特に誰からも質問がないようであれば、私が質問させて頂きたいと思います。

説明の中では、深いところでの硫黄細菌のデータが出ていましたが、硫黄細菌は特に最近はもっと浅いところでも採取されていたのではありませんか。

○西野委員(琵琶湖部会)

はい。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

即ち、もっと浅いところにおいても、溶存酸素量の減少が起こっているということでしょうか。

○西野委員(琵琶湖部会)

浅いところで溶存酸素量の減少は起こっていませんが、チオブローカが見つかっても何も不思議はないと思います。つまり泥の表面では酸素があっても、泥の中は無酸素、言い換えると還元状態になるわけですから、浅いところでチオブローカが見つかっても不思議ではありません。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

逆の言い方をすると、水相で酸素を採取して調べるよりも、むしろ底生動物等で調べた方が本当の湖底の状態が明確にわかるということでしょうか。モニタリングするにはその方がよいということでしょうか。

○西野委員(琵琶湖部会)

難しいところです。チオプローカ等の硫黄細菌と底生動物の相互作用もあるので、両方をモニタリングした方がよいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

湖底のすぐ上の水を採取することは大変ですからね。

○西野委員(琵琶湖部会)

それは恐らく不可能です。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

将来における湖底の状態が非常に心配であるとのことですが、どうすれば湖底の状態がよくなるのでしょうか。改善する方法等はあるのでしょうか。

○西野委員(琵琶湖部会)

基本的には、水質対策以外にはあり得ないと思います。

1つは、湖の富栄養化がストップしたように思われがちですが、湖に入ってくるものが完全に止まっているわけではありません。ある意味においては、琵琶湖の富栄養化は進行していると言わざるを得ないでしょう。水質は確かに横ばいですが、湖に入ってくる栄養塩や有機物を如何にして減らすのか、それ以外に方法はないと思います。

もう1つは、地球温暖化が原因として挙げられますが、これは地球規模の問題として頑張って頂くしかありません。

○江頭部会長代理(委員会・琵琶湖部会)

地球温暖化との関係で議論する際に、気温や表面の水温等のデータをある程度出して頂ければ話が聴きやすいと思います。

○西野委員(琵琶湖部会)

本日は時間の関係上、お話できませんでした。それは遠藤修一先生が陸水学雑誌に論文を掲載していますので、そちらをご覧頂ければと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

夏場の水位問題の説明において、魚は水位がプラス0センチメートル以上で産卵をし、水位0センチメートル以下では魚の産卵が抑制されるというお話がありましたが、水位0センチメートルで魚の産卵が大きく変わる要因は何なのか、もう一度、お教え頂きたいのです。魚の生活環境にどう影響を与えるのでしょうか。

○西野委員(琵琶湖部会)

稚魚が生育可能なヨシ帯の面積減少にあると考えて頂いたらよいと思います。仮に基準を0センチメートルと設定しますと、ヨシは基準から水深1メートルくらいしか生えていません。しかも、コイ科の稚魚は、そのヨシの中の、水深50センチメートルより浅い場所で、リター(枯れたヨシ)が10センチメートル以上堆積したところにしかいません。仮に水位がマイナス20センチメートル下がると、全体としてリター上水域の面積が25%下がってしまうという計算になります。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

洗堰の操作規則が施行される前後で、琵琶湖の水位の特徴が違っており、1996年と1964年の水位変化があります。水位の変化によって、魚の産卵パターンが変わってきたということでしたが、1996年と1964年における水位の変化の原因は、洗堰の操作の仕方によっての影響なのか、或いは降雨量等の気象現象によるものなのか、その点についてどう考えたらよいのでしょうか。

○西野委員(琵琶湖部会)

確かに、1996年と1964年のデータの比較は難しいと思います。なかなか理解しがたい部分もあるのですが、1964年と1996年ではヨシ帯の面積が非常に変わってきているということに加え、もう1つは1964年当時は内湖がまだかなり残っていたということです。

内湖の水位は、琵琶湖より多少高くなっています。そうすると、琵琶湖の水位が0といっても内湖であればもう少し水位が高いといった要因があるので、現在の0メートル水位と1964年時点の0メートル水位の条件は、必ずしも同じとは考えられないために、多少わかりにくい図になっていると思っています。

○藤井委員(琵琶湖部会)

ヨシ帯の説明で、低水位時の方が深くヨシを刈り込むので、春のヨシの伸びが遅くて産卵に支障があるとのお話がありましたが、低水位でヨシを刈り込むことができなければ、非常に問題があるといった話をヨシの生産者からも伺いました。

つまり、ヨシの生産者と西野委員からあった魚類の話とは相反しており、まるっきり背を向けているような形で、私たち一般市民の理解としては、どのような立場でこのヨシの問題を考えたらよいのかわかりません。ここで議論する気はないのですが、そのような印象を受けました。

○西野委員(琵琶湖部会)

魚の側からいうと、ヨシ刈りさえしなければという表現はおかしいですが、ヨシ刈りの問題がなければ、冬に高水位にしようと低水位にしようと余り問題はありません。ヨシには水質浄化機能があるので、琵琶湖の水質保全が重要だということで、組織的にヨシ刈りをしようではないかということで、ヨシ刈りを奨励してきたわけですが、それが結果的には稚魚の産卵に影響してきたということです。

やってみないとわからないという表現はおかしいかも知れませんが、ヨシ刈りを組織的にするようになって初めて魚の稚魚への影響がわかったということです。ですから、ヨシ刈りをどうするかということは、今後、話し合いで決めていく以外に方法はないのかも知れません。

○藤井委員(琵琶湖部会)

ディスカッションが必要ですね。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

ヨシ刈りは昔からずっと続いていたわけです。その当時は魚が非常に豊富でした。

○西野委員(琵琶湖部会)

そうです。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

ということであれば、ヨシ刈りの問題とは単純には言えないでしょう。

○西野委員(琵琶湖部会)

昔は内湖やヨシ帯が多くありました。そのような時代の環境と、湖岸堤ができ、水位調節をしている現在とでは大きく環境が違います。現在残されている魚の産卵場所が、琵琶湖のヨシ帯にしか残っていないことに問題があるわけです。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

この問題は、今の論議のように他のこととも関係させて考える必要があります。この場ではないにしても、他に違うやり方をすればどう対応できるのかといった問題等、様々な角度からも取り上げ、議論していきたいと思います。

それでは、次に村上委員からの情報提供をお願いしたいと思います。

○村上委員(琵琶湖部会)

[主な説明内容]

・.ヨシ原とツバメの関係について

- 映像に映し出されているツバメはびわ町の湖北水鳥公園で撮影されたものであり、1万羽程度は集まっていると思う。ツバメは夕方ヨシ原に集まって夜を過ごし、朝飛び立つ。

- 8月中旬頃になると、子育てを終えたツバメや巣立ったツバメがヨシ原に集まり、9月頃には南方に渡っていく。ヨシ原はツバメにとって渡りの重要な拠点となっている。

・.水鳥の生態について

- 鳥類は、水の中から空中まで非常に広い生息域をもっている。一羽の鳥がいるということは、その場所が、その鳥の持つ採食環境、休息環境を全て備えているといえ、ひとつの環境指標になる。殆どの鳥が水辺を利用しており、生息環境を整えていくためには、水面から水草帯、河畔林等の整備が重要である。

- 乱獲や環境破壊によって、全国規模でオオヒシクイ(ガンの一種)の生息地が減少している。オオヒシクイにとって、今では琵琶湖は要となっている。

- 琵琶湖の水位が上昇すると、オオヒシクイは餌となる水辺植物を捕食できず、やむを得ず、水田で捕食せざるを得なくなるというように、水位がオオヒシクイの生態に大きな影響を与える。

- カワウは現在、琵琶湖において、竹生島と伊崎不動に大きなコロニー(集団営巣地)を形成しており、河口で魚を捕食する等、漁師との間で問題が生じている面もある。

- 河畔林にサギのコロニーが形成され、糞害や鳴き声等によって、人とのあつれきを起こしている。そしてコロニーを追われて別の場所に追われるという状況である。しかし元を正せば、人とのあつれきのない場所にあったコロニーの適地が破壊されたためである可能性もある。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

どうもありがとうございました。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

鳥と水田のことについて、もう少し教えて頂きたいと思います。ヨシ帯のことは随分と今まで議論されていますが、先ほど、村上委員が水田の意味を少し話して下さいました。その他に、水鳥の生息について水田が持つ役割に関するデータ等、幾つかあるでしょうか。

○村上委員(琵琶湖部会)

3年ほど前になると思います。滋賀県のみずすまし事業の関係の委託調査で県内の田んぼを回ったことがあります。

その際、水田の畔という存在が、実は鳥にとっても、他の生物にとっても、非常に重要なえさ場になっているということを非常に強く感じました。それらのデータは本日は用意しておりませんが。サギもよく水田の中を荒らすと言われますが、実は畔にいる虫等を食べていることが多いです。

アマサギやチュウサギ等はよく虫を食べます。畔に花が咲き、その花に集まってくる虫を食べるわけですが、そのようなところから土の畔が非常に重要であると感じています。

水田で営巣する鳥も数種類おり、水田にしかいない鳥もいます。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

水田の小魚等を食べる水鳥も随分います。また、水田を鋤き返したときに虫をとるユリカモメ等が、水田に入ってくる光景をよく目にします。

○村上委員(琵琶湖部会)

その通りですね。特に、北に渡る前のユリカモメにとっては、栄養をとるため、水田の鋤き返した部分を利用します。私も一緒にトラクターの後をついて歩いたことがありますが、オケラやカエル等が数多く出てきました。これがご馳走になるわけです。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

では、続いて嘉田委員からの情報提供をお願いしたいと思います。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

[主な説明内容]

・.生活環境主義の立場からみた琵琶湖環境と景観の変遷について

- 生活環境主義とは、近代技術によって環境を保全しようという立場とは異なり、村落や行政等の社会組織、地域の生活者からみた場合はどうか等、地域に参加、交流しながら考えていくという立場である。

- 琵琶湖周辺の平地には、水路が毛細血管のように張り巡らされている。

- 水の境界が字、小字といった社会関係の枠とよく合うことにも示されるように、日本では水と地域社会は密接な関係を持っている。

- 水と地域社会の関係の捉え方をいろいろと考えてきた。言葉にならない、いわば五感で表現する世界を言葉として引き出すためには、聴き取り調査だけでは十分でなく、地域の生活環境の変化を写真で示すことが有効であることがわかった。

- 野洲川河口部の昭和30年頃と現在の写真を比較して、魚類等の生態の実態が過去どうであったのか、調査を行った。

- 野洲川河口に吉川という集落があるが、明治38年以降は閘門がつくられ、琵琶湖と水路が切り離された。しかし、琵琶湖とクリーク、内湖、水田間では水位差が少なかったり、水車で人間が水を運んだりしていたので、水の道がつながり、ナマズ等も集落の水田に入り込んでいた。生物にとっては、台風や梅雨も集落と琵琶湖を結ぶ水の道ができる重要な要因であったのではないか。

- 昭和42年頃の吉川集落の写真をみると、人々が水田からつながる水路で洗いものをしたり、飲み水をとったり、生き物と人間と水がセットとなった複合的な生態系があった。現在では、水路は30・程度の溝としてかろうじて残っているだけである。

- 昭和40〜50年代と現在の余呉川河口や大津市の名神高速道路付近の写真をみることによって、琵琶湖総合開発が完成するまでと現在で湖岸の状態が大きく変化していることがわかる。

- かつては湖岸にたくさん桟橋が存在し、魚が逃げ込む場所を提供したり、人が洗いものをする場を提供していた。

- 生物の多様性にあわせて文化も多様となる。500年、1000年の間に生物、人、水の関係がつくられてきたが、我々はこの20年間でその関係を大きく破壊してきた。水資源開発の必要性があったため破壊したのだが、もう少し配慮すべき点があったのではないか。

- ヨシ帯の重要性については社会的な関心が寄せられるようになったが、水田の重要性も見直す必要があるのではないか。分断されてしまった水田をつなぐことによって、随分と変化があるはずだ。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

嘉田委員へのご質問をお願いいたします。

○西野委員(琵琶湖部会)

嘉田委員の説明で、閘門の管理のお話がありました。通常、閘門は増水期に閉めることになっていると思うのですが、実際、魚類は雨が降った増水期に一気に上流へと遡上するわけです。閘門を閉めると魚は遡上できず、魚の産卵に影響があると思うのですが、その点についてお尋ねしたいと思います。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

水田の水位を高く保つために閘門の管理がなされているわけですので、増水期は閘門を開け、そして水位の低い時期に閘門を閉めます。つまり、水田の水位が琵琶湖の水位まで下がると、水田に琵琶湖の水を入れられないので、理屈としては合うと思います。

○西野委員(琵琶湖部会)

なるほど、わかりました。ありがとうございました。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

また、閘門で管理しきれない場合もあります。草津の下物辺りでも、水位が少し上がると閘門のない湖岸の石垣部分から水が浸入し、そのような場所にある水田には、閘門と無関係にいつも魚がいたという証言もあります。

○西野委員(琵琶湖部会)

もう1点、水田の重要性を指摘されていますが、現実に魚類の生態を調べてみると、水田だけに棲んでいる生物はいません。だから、必ず水田と水路がワンセットになっているわけですが、むしろ水田と水路と琵琶湖をセットに考え、その水のつながりのネットワーク、つながりをどう確保するかを考えることの方がむしろ重要であるとお考え頂きたいと思います。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

私が先ほどお話し申し上げたことも、西野委員がおっしゃったことであると思っているのですが、もちろん、琵琶湖にいる53〜54種の魚の殆どが、ヨシ帯や水路、内湖、水田に棲んでいます。水田に棲んでいるのはドジョウやタニシくらいでしょうか。

○西野委員(琵琶湖部会)

ドジョウやタニシは水路にもいます。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

つまり、琵琶湖と内湖と水田は全て、つながっているということを申し上げたかったわけです。河川もずっと上流までつながっているということを申し上げたかったわけです。いわば血の循環のように水が循環をしている、そういう循環をつくることが魚にとって重要だろうと思うわけです。

但し、琵琶湖総合開発では150の水門をつくり、琵琶湖全体を、人為的に水位管理ができるように切断したわけですが、切断しない限り、琵琶湖を人工的なダムとして使えなかったという問題がありました。

そのような単一目的に対しては極めて琵琶湖総合開発は合理的だったわけです。しかし、思わぬ影響があったというのが現状としてあるわけです。琵琶湖総合開発をどうこうと言うわけではありませんが、その切断はその時代には必要だったわけです。しかし、今気が付いた時に、少し手を加えてやることで水田も含め、水の流れをつくることが考えられないだろうかというのが今日の話のテーマです。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

配布して頂いた資料の中に、昭和30〜40年代までの水の流れと、現在の水の流れの比較を示したものがあります。嘉田委員のお話では、昔と比較して、現代は水も生物、人間も既に分離されており、我々が住む地域社会と琵琶湖も分離しているということだったと思います。

全て分離の方向に向かってきましたが、分離を見直し、もう一度、連続するといった方向に戻すというか、修復すべきではないかとのお話だったと思うのですが、その理解でよろしかったでしょうか。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

はい。そういうことです。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

まさに、それは今まで我々河川管理者が、明治以来100年間行ってきたベクトルとは、まるで正反対のベクトルでこれから事業を行っていかねばならないということだと思います。

そうすると、何故、このように分離してきたことが、現在において問題になるのか、もう一度見直さねばならないと思います。何が問題なのかという点については、どのように一般の皆さまにプレゼンテーションしていったらよいでしょうか。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

西野委員や村上委員からの説明のように、緻密なサイエンスのデータを積み上げながら、またその一方で、価値観の転換、いわば哲学、思想をも含めたアプローチも必要だと思います。両側からのアプローチが必要ではないかと思っています。

哲学、思想の話は大変難しいですが、ただ、逆に現場に行けば、哲学や思想といったものは生きています。詳しくは申し上げませんが、本日写真をご紹介したのは、実はこのような写真を持って現場に行くと、「ああ、こうだった、ここは蛍がいて子供が遊んでいた」と現場の人々がおっしゃるわけです。子供が遊ぶ水路を取り戻そうというのは、いわば一種の価値観の転換です。子供が遊んで、どんな価値があるのかと聞かれて「いや金にはなりません、でもやはり子供たちが遊んでいて欲しい」ということは、ある意味で新しい時代への1つの価値観の転換でしょう。

既に国土交通省は「川に学ぶ」といった事業もやっているわけですから、1990年代は政策も少しずつ転換しつつあるわけです。ですから期待はしたいわけですが、社会全体としては、まだ単一目的、水だったら水量、水質というところで議論が終始しています。やはり、全体を変えていく、生活の現場から関わっていくことが大事ではないかと思っています。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

この話は、必ず次回、或いはその次の部会において、多くの方からもお話をして頂かないといけない内容だと思いますので、本日はこの辺りで終わり、引き続き三田村委員からのお話を頂きたいと思います。

○三田村委員(委員会・琵琶湖部会)

[主な説明内容]

・.水質の経年変化について

- 琵琶湖を考える場合、水質の指標として、・琵琶湖に流入した水が変化を受けず流出するパラメーター、・化学的、物理的に変化を受けるパラメーター、・生物によって変化を受けるパラメーター、の3つがある。

- ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、塩化物、硫酸の6つは主要元素と言われるものである。重要度という意味では別になるが、琵琶湖の水質といえばこの6成分が殆どである。

- 琵琶湖の透明度の経年変化をみると、だんだんと濁ってきており、その原因は植物プランクトンによるものが大きい。また、琵琶湖は徐々に水質悪化の方向をたどっているということがプランクトンの異常発生等、琵琶湖に現れた現象をたどればわかる。

- 琵琶湖北湖底層水の溶存酸素量は年々減っているが、これは湖面の有機物が増えた等、湖面の汚染が原因である。また、窒素量をみると、1928年から2001年のわずか70年程でかなりの増加(単純計算で年間10%増)が見られる。これは我々の生活そのものに起因する。

・.物質循環と琵琶湖の水質について

- 水温の季節変動についてみると、8月末には湖面は26℃程度になり、水深20メートル付近では急激に温度低下がみられる。秋口になると、湖面の水温は低下し、1〜4月頃には湖面と湖底付近の水温が同じになる。この時、琵琶湖で湖面と湖底の水が循環し、年に一度の水の大循環が起こる。

- 硝酸濃度は11〜3月頃に湖面と湖底で同じになる。この時期に、琵琶湖の水を淀川を通して流して欲しい。そうすれば、琵琶湖の水質がよくなる。

- 窒素の動きをみると、河川から流入してきた窒素が生物の食物連鎖によって移動するが、10%程度は光の届かない湖底に落ち、さらにその10%程度が堆積する。最近、琵琶湖の窒素の動きが変化してきているので、注意を払わないといけない。

- 湖の富栄養化を防止するためには、かつてそうであったように、陸の物質循環、水の物質循環が正常に機能するようなしくみをつくらなければならない。そうしないと水質はよくならない。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

どうもありがとうございました。三田村委員のお話について、何かご質問等はあるでしょうか。

○藤井委員(琵琶湖部会)

三田村委員の発表とは直接関係ないとすればお答え頂かなくてもよいのですが、化学成分の水平分布の説明部分で様々な指標が出されています。

つい先頃も、ノニルフェノールが環境ホルモンとして断定されましたが、私は環境ホルモンの問題に強い関心を持っています。先ほどの説明のように有機物の循環系だけではなく、琵琶湖の様々な循環系が乱されていると思いますが、環境ホルモンについては琵琶湖においても化学成分の中でもかなりの指標を用いての調査が研究者の間で行われているとのことですが、そのような情報が生活者のレベルまでは全く伝わってきません。恐らく、琵琶湖研究所等も含めて調査されているのだと思いますが、生活者のレベルまではなかなか情報がおりてこないことが非常にたくさんあります。琵琶湖の環境ホルモンについて、何かございましたらお答え頂けませんでしょうか。

○三田村委員(委員会・琵琶湖部会)

私がお答えするのが適任かどうかはわかりませんが、琵琶湖の環境ホルモンに関するデータは殆どないと思います。琵琶湖全域を詳細に調べた、或いは季節的に調べたものはないと思います。

その理由の1つとして、分析等には非常にお金がかかるということがあり、大学ではなかなか難しいという面もあります。多分、行政が幾つかのデータを持っていらっしゃるだろうと思いますが、より正確に把握するには、やはり基礎的にデータを蓄積してからということになると思います。しかし、そうも言っておられませんので、行政の方ではできるだけ集中的にやって頂きたいと思っています。

○藤井委員(琵琶湖部会)

何故そのような質問をしたのかと言いますと、これまでに市民とのネットワークの中では、カビ臭といった問い合わせはありました。しかし、最近、集中的に問い合わせがある問題は、琵琶湖の水と環境ホルモンの関係性についてだからです。環境ホルモンは飲み水として人体の中に入ってくるわけですから、環境ホルモンについてはどう議論したらよいのかわかりませんでしたので、三田村委員にご質問させて頂きました。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

他にどなたか、環境ホルモンについてご存じの方があって、つけ加えて下さる方はいらっしゃいますか。

○中村委員(委員会・琵琶湖部会)

琵琶湖研究所自体は、環境ホルモンの分析、計測は行っていません。国の衛生調査の一環で、滋賀県立衛生環境センターがデータの一部を最近出しはじめています。ただ、これは衛生調査ですから、調査場所を決め、環境ホルモン物質がどの程度出るのかということで調査しているため、陸上の生活と琵琶湖の生態系との因果関係までを含めた調査研究という領域には全然至っていないというのが現状だと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

他にご意見等はございますでしょうか。ないようでしたら、改めまして全体での議論をしたいと思います。その前に、少し休憩をとった方がよろしいでしょうか。庶務の方、いかがでしょうか。

○庶務(三菱総合研究所 近藤)

情報提供頂いた皆さま方、どうもありがとうございました。ここで暫く休憩時間を入れまして、15時40分から再開したいと思います。



[休憩:15:30〜15:40]

○庶務(三菱総合研究所 近藤)

では、引き続き、次の審議である意見交換に入りたいと思います。部会長、よろしくお願い申し上げます。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

それではこれより意見交換に入りたいと思います。

先ほど休憩に入る前、環境ホルモンの話がありましたが、「河川管理者」から何かご意見があるようですので、先にお願いします。

○河川管理者(近畿地方整備局 琵琶湖工事事務所長 児玉)

環境ホルモンに関する調査を行政サイドでどの程度行っているのかというご質問についてですが、平成10年度に琵琶湖を含めて淀川流域の中で調査を行っております。これは第2回委員会の資料2−1−2の3−21ページにて情報提供させて頂いています。

この資料はかいつまんだものですが、11種類の物質を対象に調査を行っており、そのうち、17β−エストラジオール、ノニルフェノール、ビスフェノールA、の3物質が検出されております。これは、非常にかいつまんだ結果です。詳しいものは別にありますので、また資料を改めて提供させて頂きたいと思います。

○藤井委員(琵琶湖部会)

その場合の定点観測地点は、北湖の中央と南湖の中央と洗堰の河口と、3ポイントになるわけですね。ですから琵琶湖の水というときには、生活者の関係から言うならば、お金がないので多分無理だと思いつつも、生活系がきっちりとつながる地点でやらなければ、実際に使えないなという思いがあります。使えないとすれば、どのようにお金を使い検証していくか、国をあげて行うことにもつなげたいと思いましたので伺いました。3ポイントで調査されていて報告があったことは覚えています。

滋賀県がさらにもっと多くのポイントで、もう少しきめ細かに調べているのかと思い、ならば、琵琶湖研究所は調べておられるかということで思い立ちました。滋賀県衛生管理センターがもう少し多くの項目で、きめ細かな観測ができているとすれば、後ほど調べたいと思っています。できるだけ多くの情報を提供して頂きたいと思いますので、よろしくお願いします。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

藤井委員はご存じだったのかも知れませんが、琵琶湖工事事務所の児玉所長が話された内容は、かいつまんだものであったとしても、やはり、ある意味を持っているので、取り敢えず委員の皆さまには、第2回委員会で配られた程度の資料を、できるだけ早い段階で送って頂きたいと思います。それをどうするかについては、またいろいろな場面で考えて頂きたいと思います。

今日は滋賀県からもご担当の方が来場されているようですから、いろいろお考え頂きたいと思います。環境ホルモンの件はこれでよろしいでしょうか。

では、先ほど、5人の方から説明がありましたが、本日は主に広い意味での「環境」に関する情報を提供して頂いております。次回の琵琶湖部会でも他に様々なことをお願いしたいと思いますが、何でも構いませんので、本日説明頂いたことを中心に、討論をしていきたいと思います。委員の方々、何からでもよろしいので、いかがでしょうか。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

第4回委員会では、水上バイクの問題を私から説明しましたが、現在、琵琶湖において私が特に問題にしていることですので、少し説明をさせて頂きたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

寺川委員が今話されている問題は、資料5「水上オートバイ等に関する資料」として本日ご用意頂きましたが、非常に量が多いので、全部ご説明頂くと大変です。短時間で話して頂きたいと思います。

次回には、環境に関する問題の他に、人との関わりの話をしなければなりませんので、その時にまた、寺川委員よりご説明頂きたいと思いますが、今日は資料を提供して頂いていますので、少しだけ寺川委員より説明して頂いた方がよろしいかと思います。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

では、今日は要点だけを説明することにいたします。資料がかなりの分量になりますので、是非皆さまには後ほど目を通して頂きたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

また次の機会に、15分程度の時間を設けることにいたしましょう。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

わかりました。資料5「水上オートバイ等に関する資料」の説明だけ簡単にしておきたいと思います。

資料5−1−・「水上バイク等からの化学物質による水質汚染に関する資料提供」は、私から淀川水系流域委員会に提出している水上バイク等に関する資料です。これは、特にMTBEという物質は発がん性の疑いがあるとして、アメリカで指摘されていますが、MTBEが琵琶湖でも検出されたということで、問題にした資料です。アメリカの資料等も取り寄せておりますので、一度ご覧頂きたいと思います。詳しくは次回、説明させて頂きます。

その次に、淀川工事事務所に依頼した資料5−1−・a「淀川水上オートバイ関係問題に関する提言」が添えられています。この資料も、既に淀川では水上バイクが問題になっており、水質の調査、騒音問題、或いは住民との関係等について、その現状がまとめられています。その資料編も、資料5−1−・bとしてついています。

また、前回の第4回委員会の場で私が指摘した内容で、淀川工事事務所から頂いた資料に抜けている部分がありましたので、それを補足して頂いた資料として、資料5−1−・「資料5−1−・bの修正について」がございますので、ご参照下さい。

また、最近、淀川において、この7月20日から22日にかけて水上オートバイ汚染度調査を再度実施されていますが、その一覧表と地図、調査地点等も資料5−1−・「2001年7月における水上オートバイ汚染度調査 結果一覧」として提出されています。

資料5−2「水上バイク水質影響調査結果について」は、滋賀県が7月22日に水質調査をした結果がまとめられています。これは大同川河口付近と、柳が崎という地点が調査対象となりました。

最後に資料5−3「PWC排出ガスによる水質影響の低減対策の実施について」をご覧下さい。海上技術安全局舶用工業課長が社団法人日本舟艇工業会の会長に宛てた協力依頼書です。これについてもかなりの資料がある中で、琵琶湖で測定したことも触れられているわけですが、琵琶湖での数値等はここでは上げられていません。従って、琵琶湖での検査結果については近畿地方整備局から提出して頂くようにお願いしておきたいと思います。

また、誠に時間が足りない状況にあるのですが、また不明な点が出てきたので、これだけは、今日お話ししておいた方がよいかと思います。

今回、淀川水上オートバイ関係問題連絡会の資料、資料5−1−・b「淀川水上オートバイ関係問題に関する提言資料編」の23ページ、ここに「一津屋における水上バイク調査結果について」という一覧表が出ておりますが、次ページ以降に、クロマトグラムのチャートが図1「運転前」、図2「レギュラー・アイドリング10分間」、図3「ハイオク・アイドリング10分間」と出ています。しかし、この図1〜3で終わっており、図4〜6が入ってないということで、資料5−1−・を補足として出して頂いたのですが、資料5−1−・にあるチャートの数字と資料5−1−・bの23ページの表の数値が合わない点について確認したいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

その件については、時間の都合もありますので、この場で議論するのではなく、次の機会にでも「河川管理者」から説明をして頂くことにしましょう。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

わかりました。かなり重要な資料なので、よろしくお願いしたいと思います。特に、ベンゼンという発がん性物質が検出された、或いはどの程度の数値であるかという部分が抜けていたので、その点を疎かにされたのでは困ると思います。ただ単に物理的に数字が抜けていたということではないわけですから。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

水上オートバイに関する資料は、全ての委員がなかなか熟読していないということもあるかも知れませんが、寺川委員にはしっかりと見て頂いているので、問題のある箇所、ご指摘の点については、きちっとした情報を提供してもらうということでよろしいですか。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

私がこの場でただしておきたいのは、例えば吉野川を挙げて話をしますと、最近、吉野川の水量を計測するのに不利な結果は公表していなかったとの報道が新聞等でありました。そうした問題を考えると、これまでに提供されてきた資料が、不確かなのではないか等、疑問に感じてしまえる部分がないわけでもありません。その辺は厳正でなければ困るということを、この委員会で指摘しておきたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

寺川委員がおっしゃったようなことがあるとすれば、意識的にも無意識的にもそのようなことのないように、きちんとした資料提出をして頂きたいと思います。本日も行政の方々が多く揃っておられますが、この点についてはそれぞれよくお考え下さい。寺川委員、続けて何か他にご意見はありますか。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

きちっとした資料が出てから、次回にでも説明をしたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

わかりました。庶務にお願いしますが、今のような内容はできるだけ関係者から資料を集め、事前に委員に配って下さい。できるだけ多くの人がそれを事前に見た上で、寺川委員から次回説明頂くにあたって、他の委員もその説明に対してある程度のコメントができるような状態を整えておくことが望ましいからです。また、個別的でも構いませんので、委員からの要望はできるだけ庶務に言って頂きたいと思います。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

この水上バイクの問題については、時限性があります。夏場に非常にたくさんの水上バイクが走っているわけですから、水上バイクの問題を冬に議論しても余り意味がないわけです。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

調査としては冬にやっても仕方がない、という意味ですね。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

そうです。調査も対策も含めて、一刻を争うような面がありますので、その点だけはよく考えて頂きたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

但し、以前から述べているように、非常に短期のことについては、この流域委員会の一番の中心となる議論として考えるべき事柄ではありません。短期のことももちろん考えますが、少し長期のものを考えることが基本的な姿であり、ここでの結論の中心になります。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

長期のものを考えるということもわかりますが、この問題は、長期にも、たちまちにして影響してくると思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

次回の部会では、是非、ご説明お願いいたします。

付け加えて言いますと、水上オートバイの問題を扱うとすれば、私の願いとしては、水質だけを扱うのではなく、他の問題も含めて考えなければいけないと思います。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

私もそのように理解しているつもりですが、この問題は、今、議論しておくべき必要がありますので、多少こだわりを持っています。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

議論は次回の部会で、是非お願いいたします。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

議論は次回の琵琶湖部会に行うということですが、淀川工事事務所から出したデータが、まだ若干おかしいのではないかというご指摘がありましたので、早急に確認をとり、数字の訂正があれば、すぐに情報を提供させて頂きたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

それでよろしいでしょうか。水上バイクの問題については、新しい資料を集めた上で、次の機会にお話し願います。

先ほど、寺川委員からあったお話では、水上バイク関連の資料は複数の機関から資料提供をして頂いたようですが、資料提供者の方から、非常に短い時間で何かコメントがあれば1〜2分程度で述べて下さい。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

淀川工事事務所としては、客観的なデータだけですので、特にコメントすることはありません。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

では、次回の部会にて、議論をよろしくお願いしたいと思います。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

国土交通省として、琵琶湖での水上バイク問題に対しては、対策等は考えていますでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 琵琶湖工事事務所長 児玉)

琵琶湖の水上バイク問題については、国土交通省としてはお答えし難いことですので、滋賀県からお答え願います。

○河川管理者(滋賀県土木交通部 河港課長 澤野)

琵琶湖の水上バイク問題については、現在、滋賀県の自然保護課において議論されているところです。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

滋賀県から、水上バイク関係の資料と自然保護課等での議論について、できるだけたくさん庶務へ渡して頂けるとよいのではないかと思います。

寺川委員が次回の琵琶湖部会で話す際、それらの資料を参考にして話してもらうことが可能になると思いますので、できるだけ多くの資料提供をお願いしたいと思います。

○河川管理者(滋賀県土木交通部 河港課長 澤野)

担当課に確認してからの話になると思うのですが、滋賀県から提出した資料は、この琵琶湖部会で議論することになるのでしょうか。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

考え方としては、現段階においてどのような資料があり、情報がどうなっているのかという議論をしばらくの間、この部会ですることになります。2〜3回先の部会になれば、完全に委員から意見を述べる段階に入ってきます。現段階では資料の話をしていますので、県であろうとどこであろうと、何か資料があれば、その資料はできるだけ提供して頂きたいと思うわけです。

その際、客観的にいろいろなものを考えることができるだろうと思います。抜けている情報があれば、抜けたままで議論をしなければなりませんので、情報提供としてはできるだけたくさんあった方がよいという意味です。

○河川管理者(滋賀県土木交通部 河港課長 澤野)

現在、県の担当課で議論されている最中だと認識していますが、その中で公開されているもの等については、提供させて頂くことになると思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

どうぞよろしくお願いします。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

水上バイクの問題のかなり根底となるものは、ヨットもそうですが、水面利用をどうするかといった規制の問題になってきます。

日本の場合、土地は私有権という形で、個人、或いは国が所有するということで明治以降、法制度をつくってきました。水は水利権という形で、集落の慣行水利権と許可水利権という形でありました。魚は漁業権という、共有の団体的権利と、加えて自由漁業ということで釣りの問題があると思います。ですから、外来魚の釣り人の管理が全くできていません。その延長で、現在のレジャーとして水上バイクもヨットも管理できていないわけです。

だから、かなり本質的に、琵琶湖の水面管理をどうするのか、現状にあわせた形で、法律案までを含めて考えて欲しいと思います。

データとしては、特にヨーロッパとアメリカといった諸外国の水面管理に関する事例を集めて頂けないでしょうか。集めてそれを真似るというのではなく、日本独自の方法が必要だと思います。諸外国の情報を少し集めて頂いた上で、この水上バイク問題の本質となる水面管理を行うのが県なのか国なのか、団体なのかということが議論できる資料が欲しいと思います。

○藤井委員(琵琶湖部会)

水上バイクの問題について、滋賀県では自然保護課が担当になっていますが、どういう視点から対応しているのかよく解りません。

私もMTBEの問題が非常に気になっていたので、環境省では水質保全局がこの問題を取り扱っていましたので、アメリカ等の情報は全て水質保全局に渡しました。そして今回、ハイオクガソリンの中からMTBEが排除されるということになりました。

それ以外のベンゼンやトルエンについても、水質保全局からはきっちりとした対応をしなければならないという見解を頂いているのですが、何ゆえに滋賀県は自然保護課が対応しているのか解りません。嘉田委員のおっしゃる水面利用等、様々な視点のどの視点にフォーカスを当ててやるかによって、随分と違ってくると思うのですが、その辺りについても整理しなければいけないのではないかと思っています。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

私が先ほど寺川委員に、水上バイクの問題は水質の問題だけではないだろうと申し上げたのは、藤井委員が今話された問題があるからです。

実際、先ほどの話が狭い意味において、この流域委員会にぴったりであるかどうかは、いろいろと議論があるところでしょうが、琵琶湖においては琵琶湖の今後というものを、どのように考えていかないといけないのか、直接、今回の直轄管理区間に関係がなかろうと、そのような議論は必ずしなければいけないのではないかと思っています。

そういう意味では、嘉田委員が言われたように、水面利用等を本当にどう考えていくべきなのかが重要です。省庁間の関係等もあるでしょうから、どうあるべきかという議論はしておかなければならないと考えています。ちょうど、寺川委員から水質を中心にして出して頂いた資料は大変結構なことだと思いますので、是非、今後議論していきたいと思います。水質を中心に置きながら湖面利用とは基本的にどういうことなのかを、もう少し部会のどこかで考えたいと思っています。

そのような点から、嘉田委員と藤井委員にお伺いしたいことがあります。いろいろなデータそのものを「河川管理者」から提供して頂くことも大事なのですが、もし各自でお持ちのデータがあるのなら、或いは環境省に提出なさったというデータがあるのなら、それも独自に委員の方々から提出して頂ければ大変ありがたいことだと思います。嘉田委員、例えば、諸外国のデータ等を出して頂けるような可能性はありますか。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

例えば、私が調べたアメリカの湖の事例等の結果はあります。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

仮に情報が重なったときは、庶務が整理するでしょうから、どんなに偏っていても構いませんので、参考にできそうなデータはできるだけ提供して下さい。

藤井委員も、環境省との関連で、議論となる部分があれば、是非、資料として部会に提供して頂き、それを念頭に入れながら「河川管理者」にいろいろと資料提供をお願いしたいと思います。各委員の側からもできるだけ関連資料を出して頂けると、大変ありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

水上バイクの問題については、できるだけ集まった資料を取りまとめた上で、寺川委員には少し時間をとって話して頂くということでお願いしたいと思います。

水上バイク関連についてはこの程度で終わりにしたいと思います。その他、何かご意見はございますでしょうか。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

先般から視察に参加させて頂き、直轄管理区間の河川に関連する部分は拝見してきました。本日の話として、琵琶湖全体に関するいろいろなデータを出して頂きましたが、一体我々はそこまで踏み込んでよいのかなと感じました。

これまで私は「直轄管理区間の河川以外も見ないと琵琶湖を見たことにならんぞ」と申し上げてきましたが、2年間で流域委員会として答申を取りまとめるには悠長に構えていられないという空気があったので、さらに視察することについては、発言を差し控えておりました。

一体、流域委員会は何を求めているのだろう、直轄管理区間の河川に関して今後の行政のあり方に対する意見を出すとするなら、琵琶湖面に対してはもう触れないということなのだろうかと疑問も持っていましたが、本日は、琵琶湖全体についての話でした。直轄管理区間以外の河川は知らない、直轄管理区間以外の河川については口出しして頂く必要はないと言われたのでは、意味がありません。

視察に関しても、私自身が内心不満を持っていたことですが、例えば、視察へ行った先でも、その現地を見せて頂いている意味の解説があれば、見方が違っていただろうと思います。その辺りでまだ我々が何を狙っているのか不明確なまま、この流域委員会が進んでいるような気がして仕方がありません。本日は専門分野からのかなり突っ込んだ意見がいろいろと出されていますが、それが最後にどうつながるのだろうかという部分で、極めて不明確なのです。

つまり、私は、今日の話の延長があるのなら、直轄管理区間以外の河川の視察を無視したのでは、琵琶湖は語れないと、はっきり言いたいわけです。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

具体的な視察の日程等については後で話したいと思います。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

直轄管理区間以外の河川のデータも出して欲しいと思います。直轄管理区間以外の河川のデータも議論の対象にすべきです。でなければ、琵琶湖の話にならないと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

わかりました。今のような倉田委員からのご意見が改めて出ましたが、皆さまはどう思われますか。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

私も琵琶湖の一部を視察で見てきたわけですが、やはり倉田委員が最後に話されたように、直轄管理区間以外も含めて全体を見ることに賛成です。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

現地視察を行う話をされているのですか。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

はい。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

極端に言うと、現地を全て見てしまえば、琵琶湖の議論は必要ないということでしょうか。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

いいえ、そこまでは言っているわけではありませんが、部会としてまだまだ視察する必要がある現場が、残っているのではないかと思っています。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

現地視察については、今日この後で必ず議論をしたいと思います。

ところで倉田委員の御発言ですが、失礼ながらその話は淀川流域委員会や琵琶湖部会ですでに論じられ、決まっていることです。

つまり、直轄管理区間の河川を考えるためだけでも、例えば、南郷洗堰から下流の淀川を考えるためにも、琵琶湖全体を考えざるを得ません。琵琶湖全体をどうしても考えなければならないということは、第1回琵琶湖部会で議論したはずであり、初めからそうであると私は思っています。ですから、今になって直轄管理区間の河川だけを問題に扱うのかと問われれば、琵琶湖部会はそんなつもりは毛頭ないと答えます。

直轄管理区間以外の区域を考えないとなれば、水上オートバイの問題等はこの場では全く扱う必要がないわけです。そのことからだけでも御理解を頂きたいと思います。さらに、水質の問題だけではなく、湖面利用という観点からも全体として考えて頂きたいと私が申し上げているのも、この琵琶湖部会は決して直轄管理区間だけに対象を限るわけではなく、それ以外の河川や琵琶湖についても当然、「扱う」という意味です。

このことは、この琵琶湖部会で一致した意見でしたし、倉田委員もその際はその意見に賛同して頂いたと思います。

また、今日の村上委員や西野委員の話でも、直轄管理区間の話となれば、殆ど関係のない話ということになるのではないでしょうか。

それでは、本日お話を頂いた5つの説明に絡んで、ご意見等あれば、まずお願いいたします。

○松岡委員(琵琶湖部会)

私は琵琶湖からしか物事を言えないので、皆さまのようにデータ的にお伝えすることはできないと思います。

現地視察で河川の上流までを見学した際に、河川管理者からも野洲川を見たときにいろいろと説明を頂きましたが、野洲川が優等生であるような表現をしていたと思います。草津川の説明の際も、これと全く同じような表現でした。何故、河川を大型化、直線化するのがよいのか、本当に河川を大型化することで、状態がよくなるのか、疑問です。

先ほどの河川管理者の説明にも、魚道の話があったと思いますが、魚道をつくるということは、魚を前提にしているということだと思います。しかし、嘉田委員からは、琵琶湖と河川が切断されている、水切れ状態になっているとの説明がありました。このような状態で本当に河川としての働きをしているのでしょうか。

慣行水利権という形で水田の利用もあると思いますが、嘉田委員の写真による説明で、昔と比べると、山は現状のままですが、水田の作付面積は減っているとありました。そうであるならば、水のあり方や水の使い方といった点に焦点を絞って考えていかなければ、現状のままで本当によいのかということになると思います。

ペットボトルの水がガソリンより高く売られている時代です。このような状態も、現在誰もが平気で受け入れていることですが、ひょっとしたら水のあり方自身を、もっと大切に扱うように考えていかなければ、最終的には琵琶湖や淀川等に、いろいろな形で影響を与えていくことになると思います。河川のあり方をもう一度、立ち止まって考えてみなければならないと感じています。

もちろん、ダムの問題もこれから提示されてきますが、この30年間で環境も急激な変化があったと私自身は肌で感じています。

琵琶湖では無酸素状態が発生しているとのお話もありましたが、琵琶湖に酸素を送り込む1つの手段として漁師の存在が挙げられます。琵琶湖の中央部では、100〜120艘の船で1,000メートル近くの底引きが行われています。魚が捕れなければ、漁師がそのような底引きの作業もすることもありません。魚にも確実に影響が出てきています。

もし、琵琶湖に漁師がいなくなれば、例えば酸素を人工的に湖底に吹き込む等、新しい措置を施さねば、酸素が交わることができないと思うわけです。漁師自身が琵琶湖の状態が非常に変化してきているということを常に言っているのですが、これは本当に大切なことだと思います。

もちろん、湖岸の水位コントロールもされていますが、琵琶湖総合開発が施行され、水位がマイナス50センチメートルというラインになるのは何年かに一度だと言われていたと思います。琵琶湖総合開発は、堰堤に水を溜める状態で、いかに安定した状態にするかということだったと思うのですが、ここ何年間かを見ていると水位がマイナス50センチメートルという状態が何度も起こっているわけです。ひょっとしたら毎年起こっているのかも知れません。水位をコントロールしようとしている割には、そのように滅茶苦茶な変化を与えてきています。

先ほど西野委員をはじめとした委員の方からの説明にもありましたが、水位の変化は魚にとって本当に致命的な影響を与えているものと思っています。魚だけではなく、鳥にも影響を与えているという状況も、先ほどの話の中にもあったかも知れませんが、バン等の鳥が、ヨシがないために建物に巣をつくったりしている現状があるわけです。

だからもう一度、我々の目線からではなく、もう少し目線を下げて考えなければ、本当に取り返しがつかなくなるのではないかと思っています。このままの目線で進めたのでは、本当に問題が数多く起こってくるのではないかと思っています。琵琶湖総合開発でヨシ帯をなくしたことによって、我々は大変な犠牲を払いながらヨシを植えている。これが今の本当の姿だと思うのです。

本来ある河川にいつも水が流れているといった状態を保つことを、真剣に考えなければなりません。野洲川では既に水切れが起こっていますし、恐らく、草津川でも同じように水切れを起こす状態をつくるでしょう。その辺を真剣に立て直して頂きたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

まさにその即ちだと思います。琵琶湖としては、少し長い目で見たときに一体どういうことを考えるべきなのかを、この琵琶湖部会である程度まで議論を行い、それを委員会へ出していくといった形をとらなければなりません。今、松岡委員がおっしゃったような内容は、「河川管理者」だけが考えるのではなく、「河川管理者」はこうすべきだ、ということをこの琵琶湖部会で議論をし、出していくことです。これは、まさに松岡委員のおっしゃる通りだと思います。

○仁連委員(琵琶湖部会)

私自身もこれまでに現地視察に参加し、洗堰の管理から現在の治水工事等、幾つかのポイントを見せて頂きました。しかし、結局、現在の河川管理というものは、琵琶湖の周辺やその下流で洪水を起こさないこと、そして必要な水利用のための水資源を確保するという観点で現在の管理規程が運用されているのだと思います。

河川法の改正もあり、このような流域委員会が生まれたと思いますが、治水と水利用だけではなく、やはり集水域、それから下流も含めた生態系の確保、改善等も含めた、水管理のあり方をどう考えていけばよいのかを問われていると思うわけです。

このような点から言えば、どのような管理の目標を我々が持つべきなのかを議論すべきでしょう。今日は幾つかの報告が委員からありました。しかし、いわゆる直轄管理区間の河川なり、琵琶湖の中だけを見るのではなく、集水域も含めた水利用、水の流れ等、嘉田委員が強調された水田、そして陸の水と川の水がどうつながって、どのように関係を持っているのかも見る必要があるでしょう。或いは、生き物が陸と川の水の両方を通じて、どのように生活をしているのかを踏まえた上でなければ、このような問題は考えられないと思います。

結局、今までは水の物理だけで済んでいた話が、水の化学、生物、それから嘉田委員がおっしゃるような生活も含めて考えざるを得ないのだと思います。そして、その上で、我々の流域委員会としての河川管理の基準をつくっていかなければならないという、非常に大きなテーマが我々に与えられているわけです。その目標ができた段階で、河川管理の指針として具体的なもの、あるいは形のあるものにしていくということで、この場でもう少し視野を広げての議論を進めていってはどうかという気がしています。

そのためには、現場を全部見る必要はあると言えばあるものの、そうもできませんし、できるだけ委員の方からはいろいろな意見を頂くことも必要ですが、委員以外の専門家の意見も必要ならばこの場で出して頂き、専門家の意見も参考にしながら、議論を進めていけばよいのではないかなと思いました。

○井上委員(琵琶湖部会)

1点ご報告があります。今月、宇治川から毛馬の閘門までカヌーで下りましたが、その際、宇治川の伏見辺りから、かなり変な臭いがしました。宇治川までは非常に綺麗なのですが、伏見付近からは水の色も変わってくる上に、嫌な臭いがするというのが現実としてありました。

これは質問ですが、琵琶湖部会でのいろいろなお話がまとまった中で、それを委員会にはどういう形で報告して頂いているのでしょうか。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

今までの議論は全て報告しています。

○井上委員(琵琶湖部会)

もう1点、委員会委員の方は琵琶湖を見たくないのかなと思っているのですが、一度視察に参加してもらった方がよいのではないでしょうか。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

現地視察の話は、後ほどさせて頂きます。

他に何かご意見等はございますか。今日は琵琶湖工事事務所の児玉所長に、琵琶湖の環境について説明して頂きました。いろいろとお話し頂いた内容は1つ1つが大変興味深いのですが、次回の部会以降の機会に、出して頂いている情報を全部時系列に並べて頂けないでしょうか。時系列で表すことは、決して原因と結果がわかるというわけではありませんが、事実として、いろいろなことがどういう順序でどういう時期に起こってきたかを掴むことができます。

西野委員の説明には時系列に並んだ表がありましたが、例えば、下水道の整備がいつどのように整備されてきたか、また水質についてどのような変化が起こったのかを、同時に見るといろいろ考え、或いは想像できます。

例えば、下水道整備というものは一方で大変立派なことではあるものの、本当に現在のような整備の仕方でよかったのかといった意見もあると聞いています。ひょっとするとそういった問題も、考えるきっかけになるかもしれません。

そのような点を是非「河川管理者」に、本当はそこだけに頼んでしまうのは申し訳ないのですが、整理をして頂きたいと思います。

なお、河川法の改正によって目的化された環境について、本日は「河川管理者」からの話がありましたが、4人の委員から出して頂いたような自然環境面を、もう少し盛り込んで頂きたいものです。重要ではあるものの、今日の話は治水に関する環境に少しかたよっていた気がします。次回の部会でとは言いませんが、少し広くあらためてまとめて頂き、琵琶湖における環境がどう変わってきたのか、もう少し鮮明にしたいと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 琵琶湖工事事務所長 児玉)

部会長が話されたように、因果関係についてまではっきり言えるかどうかは、なかなか難しいと思います。しかし、同時期に何が起こっているのか、現象面から、なるべく多くの資料をまとめたいと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

とにかく、時系列に並べるというイメージを持ちましたので、例えば、横軸に時系列、縦軸に水質等のいろいろな指標が並んでいるという表のイメージでよろしいでしょうか。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

まず、最低限としてはそうだと思います。別な表現をすれば、琵琶湖部会では「河川管理者」が河川整備計画案を策定するための議論をするが、「河川管理者」側としても一体何がどうであったかという資料を持ち合わせた上で、河川整備計画案をお立てになることが必要だと思い、そのためにも役立つと考えます。

○西野委員(琵琶湖部会)

先ほど、時間の関係で言えなかったことがありますが、河川管理者にお願いがあります。水位操作の関連で、6月15日に水位がマイナス20センチメートルになるように、大体1カ月前から水位を下げてますが、雨が降るとものすごいスピードで南湖の水が流れ、堅田の「えり」が水位操作による水流によって削られたという話もあるくらいです。

実際、水産試験場等の調べでは、例えば、本モロコの稚魚の泳ぐスピードと、南湖の水流とを比較すると、南湖の水流の方が大きいということがありました。それで、魚の稚魚がかなり下流に流れてしまい、下流で琵琶湖の魚が捕れるという話があるわけですが、現実に淀川でどれくらい魚がとれているのかといったデータ、特に洗堰の操作規則が施行される前後でどのように変化したかというデータがあれば、それも提供して頂ければありがたいと思います。

○宗宮委員(委員会・琵琶湖部会)

時系列にいろいろなデータを並べ、何が起こったのかを把握しようというお話が部会長からありました。今まで現場で何が起こっていたのか、そのデータを整理しようということで、大変おもしろいことだと思います。ただ、私としては、それをやる時には、少なくともシナリオをつくって頂きたいと思います。幾つでもシナリオがあるはずです。

つまり、国土交通省で幾らお金を投入したのかとか、その時の人口はどの程度あり、生産高はどうであったのか、農薬はどうだったか等、いろいろなデータがたくさん入りすぎてしまっても、相互関係が分からないのでは困ります。10なら10のデータに対してシナリオがあり、比較できるようなものであれば、議論しやすいという気がします。

少なくともこれまでのディスカッションを通じて、この30年ないし50年をかけてやってきた河川管理が何だったのかを把握し、次の20年ないし30年につながるようなものでなければ困ります。できるだけその辺を配慮しながらシナリオをつくって頂ければよいのではないかと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

自然環境等を含めた、新河川法のもとでのシナリオを、宗宮委員がおっしゃったように立てる必要があるように思います。

ところで、しばらく部会長席から委員席側に移って話したいと思います。

例えば、南郷洗堰の水位操作で、ある意味において実に見事だと思ったことは、6月15日でしたでしょうか、目標とした日に、計画通り水位を下げる操作を実に見事に管理しておられます。これは並大抵の努力ではないでしょう。そして現在の操作基準からいえば、これは極めて正しいことであるのは確かです。しかし、逆に言うならば、その操作基準は、昔流の治水、利水だけを考えてできたということも確かです。これからは、自然環境も含め、様々なことを考えて、操作基準とされている数字自身についても議論する必要があると思います。

1つの例ですが、西野委員が「河川管理者」に質問なさった水位操作についても、議論をしなければいけないと思います。つまり、河川整備計画の基本骨子には、この問題についてもはっきりした新基準のもとになるものが入るべきであると、これは部会長としてではなく、委員として考えています。

さて、部会長席に戻りまして、前回までは委員全員が話し終えた後に一般傍聴者からお話を伺い、直ぐに閉会としていました。

本日はこれまでと少し違う流れで会議を進めたいと思うのですが。一般傍聴者の方から、先ほどの議論の内容に対してどのようなご意見を持っていらっしゃるのか、時間を区切った上で伺わせて頂き、その後、改めて、委員の中で議論をするといった進め方をやってみてもよいのではないかという希望を持っています。委員の方、いかがでしょうか。異論がないようですので、それではこれから一般傍聴者の方のご意見を伺いたいと思います。

それでは一般傍聴者の方から、これまでは10分程度でしたが、本日は15分程度ということで、先ほど委員が議論したこと、あるいはそれに関連することで何かご意見等ございましたら、おっしゃって頂きたいと思います。

今日は4人の委員だけがお話されましたが、他の委員の方々にも環境問題等に関する議論を次回の部会で話をしてもらいますので、今日は環境に関しては中途の段階であることを十分に配慮して、ご意見を頂きたいと思います。

○傍聴者(竹田)

西野委員の発表の中に、水位が低いときにヨシが刈られると、ヨシが成長しないうちに魚が産卵するので産卵量が減るというお話がありましたが、昔は河川でも藻等がたくさんあった関係から、いろいろな場所で魚が十分に産卵できたわけです。ところが、今では水辺の殆どがコンクリートで整備されてしまい、ヨシ帯だけが産卵場になっています。また、ダム等で水が遮断されることで、水が流れ下りてこず、魚が上流へ上がることができません。

例えば川でも蛇行していないと魚自体がそこに棲めない等、自然環境が人工的になってしまった問題による産卵の問題点が1つあるのではないでしょうか。

ヨシだけで考えると、ヨシ帯は確かに魚の産卵場として非常に大切な場所であります。しかし、ヨシだけに頼るのではなく、琵琶湖全体の生態系が変わってしまっていることに大きな問題があります。

その問題点と同時に、嘉田委員のお話の中で、水田と川との関係が指摘されていました。先ほども河川管理者の説明の中で、圃場整備の実施状況の話がありましたが、現在は80%程度の整備が進んでいます。整備によって、琵琶湖の水やダムの水が、パイプやポンプで送水されることとなり、魚が水田に入り込めない状況をつくってしまうわけです。結局、魚は水田へ入りたくても入れない状態になる。自然が壊されていることによる影響を、もっと我々自身が考え直さなければいけないのではないかという気がします。

昔の生態系を我々が壊してしまったがために魚の産卵に影響を与えているわけです。自然環境を取り戻そうという今日の委員からの発表の中で、昔のように水田に魚が入れる状態ではなくなってきているのに、ヨシ刈りのために産卵が減っている等と言うのは本末転倒だと考えます。

ヨシ自身は少なくとも昔からずっと刈っていたのですから、水面のヨシを全部刈っていた関係から見れば、ヨシ自体に頼っている部分も非常に大きいと思います。しかし、もっと河川に頼っていた部分もあったのではなかったかと思います。このことをしっかりと考えて欲しく思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

ありがとうございます。

○傍聴者(野村)

関西のダムと水道を考える会の野村東洋夫と申します。

議事録の内容確認をして頂く必要はございません。私どもは大阪を中心に、主にダムと水道関係を調査等しているグループですが、今日の皆さまのお話は地元の滋賀県、琵琶湖関係のお話が中心だったと思います。私たちは下流の淀川、大阪といった角度からお話を聴いていましたので、少し違う部分があると感じています。

まず、丹生ダムについて思うことは、私たちは淀川水系の主な河川を殆ど全部見て回りましたが、見た感じでは、高時川は最も綺麗な河川ではないかと思っています。

次に、丹生ダムの計画規模は、総貯水容量で1億5,000万立方メートルとなっています。これは淀川水系において断突に大きな規模のダムということになります。現在、計画も含めて20近くのダムが淀川水系にありますが、大きくてもせいぜい総貯水容量が4,000万〜5,000万立方メートルくらいで、2,000〜3,000万立方メートル程度の規模のダムが殆どなのです。

それに比べて丹生ダムは総貯水容量が1億5,000万立方メートルといった、桁違いに大きなダムであることが分かると思います。

あれほどに綺麗な川にこのような規模のダムが本当に必要なのだろうかと我々は考え、数字を調べたところ2つの結果に思い至りました。まず1つは、ご承知の即ち、ダムの目的は幾つかありますが、丹生ダムの治水目的については私どものグループではよくわかっておりません。わかっているのは利水目的の方で3つ書かれてあり、河川維持水、水道用水、そして異常渇水時の緊急水補給と書かれています。河川維持水は別として、私どもが思いますのは、水道用水の容量が非常に大きく、4,000立法メートル以上とられています。

この殆どが大阪府営水道ということですが、私たちの調査では、大阪府は既に水が余っています。この件については是非一度この琵琶湖部会で説明をさせて頂きたいと思っています。

もう1点の異常渇水時の緊急水補給については、他所のダムにはない項目であり、パンフレットによれば「淀川沿線地域において計画規模以上の異常渇水が発生した場合にこの水を放流します」とありますが、ご承知の即ち琵琶湖総合開発で、この問題は一応解決済みのはずです。ですから、敢えてそれに加えてこのような計画が必要なのかという疑問を持ちます。

大阪府に対する水道用水、それからこの異常渇水時の緊急水補給を合わせると、このダムの有効貯水容量の6割を超すことになります。この6割については不要だと思いますので、そのようなダムの計画については一からの見直しが必要ではないかと思っています。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

ありがとうございます。詳しいことをお話頂く時間は、恐らくないと思いますので、今のようなことについて、もし資料を配りたいとお思いであれば、すでに決めておりますとおり、御自分の責任でお配り頂いて結構だと思います。

○傍聴者(野村)

本日の資料の中にある参考資料2「委員および一般からの意見」の最後4ページが私どもの意見ですので、一度ご覧頂きたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

そうでした。先ほど、私も見せて頂いたところでした。失礼いたしました。

○傍聴者(鳥塚)

鳥塚と申します。東浅井郡びわ町姉川にある南浜漁業協同組合の組合長をしています。姉川水系の最下流に漁業権を持って、そこで操業し、生活権を維持しております。

参考資料2「委員および一般からの意見」の14、15ページに掲載されている意見をご参考下さい。その中で、丹生ダム、及び来年から稼動する姉川上流の湖東ダム、両方あわせての問題についてですが、天井川という問題について異議があります。

昭和40年代、圃場整備と同時進行の形で、滋賀県下の殆どの大きい川には農業用水の目的で以前からの慣行水利権を1つにまとめたアーム式の頭首工ができあがっています。ここで大半の水を取られるために、本川の水の流量がなくなって、天井川の状況がどこの河川でも見られるようになっています。特に高時川については、最大11トンという水が頭首工の取水権にあります。それ以上の降雨もしくは積雪があるときは高時川に水は流れますが、農閑期には当然、その取水権で取られてしまい、高時川本川に水が流れないようになります。頭首工から取水した水を農業用水として利用し、水田で使われた水が、今度は用排水分離という圃場整備によって、泥水となり琵琶湖へ流入してきます。この泥水という問題が4月後半から5月にかけて、琵琶湖一円の沿岸部を覆いつくすわけです。泥水だけでなく、当然、農薬、肥料、そして田植えが終わった後に必ず除草剤がまかれます。

そのような問題について、滋賀県下の沿岸部で5月に起こる農薬その他の問題が、琵琶湖の富栄養化や今にみられる水質悪化といった問題に大きく影響しているということを含め、琵琶湖の水質環境改善ということから、今、淀川水系の問題が語られていると思います。

そういう総合的な問題の中で、漁業者から見たときには農業排水が最大の問題となります。それと同時に、今、淀川の丹生ダムという問題を先ほど一般傍聴者の方が話されましたが、維持用水という問題については、頭首工から下流へ1.8トンしか流さない。姉川と高時川の合流点へ届くためには2.35トンが流れなければ駄目だという問題もあります。河川の本流を水がない状態にして、利水、治水という問題はあり得ないのではないかというのが漁業者の考え方でもあります。その辺りを含めて、一度ご審議願いたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

ありがとうございました。

今の3人のお話も大変重要な問題で嬉しいご発言ですが、他に本日の話に直接関係するような内容でのご発言はないでしょうか。

それでは、今の一般傍聴者の方からのご意見も含めて、今度は委員の中で議論を進めたいと思います。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

今日の私のお話は、先ほど、竹田さんが解釈して頂いた通りです。

水が琵琶湖、内湖、河川、水田とつながっており、魚が移動していましたが、それを切断することがある意味では琵琶湖総合開発の目的だったわけです。ですからその目的は成就できたわけです。

琵琶湖総合開発の目的が達成されて、社会全体が幸せになったらよかったのですが、今になって、結果的には思いもよらない影響があったということがわかったわけです。しかし、それでもまだ間に合うところがあるというのが今日の私の説明でした。

特に、湖岸の水田に注目して欲しいというのは、今、滋賀県でも水田の転作率が3〜4割あります。つまり、休耕田にしているわけです。幸い、滋賀県の場合、休耕田の管理は集落ごとに行っています。つまり、個別の家が3〜4割もばらばらに管理するのではなく、集団転作、或いは集団休耕という形で集落管理をしていますので、湖岸の集落200のうち、せめて、例えば休耕田は湖岸に集め、その休耕田の出口にあたる部分を水路なり内湖なり少し工夫をして、魚が入り込めるようにしようとしています。そうすると、それほど大きな変更なしに水のつながりをもつことは可能です。

このように、いわば技術の改革と、その根本にある人々の考え方を変えることで、間に合う部分はまだあります。但し、間に合わない部分もありますので、そこをこの委員会でもいろいろお話をして頂けたらというのが1点です。

次に、ダムのことですが、実は今、国土交通省の本省でも、水資源開発基本計画(フルプラン)という、現在の水利計画を根本から見直すための委員会が開催されています。国土交通省もかなり本質的に水資源開発に取り組んでいます。要するに、水資源開発においては過剰な部分と不足な部分が、アンバランスであります。昭和30年〜40年代の右肩上がりの水需要の予測をしていたので、現在では余剰な部分があります。それと同時に、渇水の状態で、現在でも確かに足りない部分があります。

この審議会では、水資源の余剰部分も見直そうとしているので、私は、丹生ダムについてはその中でかなり議論をすべきところだろうと考えています。委員として大変責任のある立場に立っていると考えております。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

丹生ダムの問題が一般の方からも出ましたが、私も第4回委員会の場で丹生ダムの問題を取り上げ、是非とも見直す必要があると申し上げました。これは琵琶湖総合開発からはじまっていることですが、ダムの計画を立案した時点から既に30年が経っているということで、先ほど一般の方から大阪府の水道水が余っているとのご指摘がありましたように、当時は高度成長でどんどん水需要が伸び、工業も生活も含めて需要が伸びていたわけです。しかし、それが現在では殆ど水の需要が伸びず、むしろ水が要らない状況になってきているということになれば、丹生ダムは本当に必要かどうかを、今見直さなければ大変なことになるでしょう。

ましてや、琵琶湖が大きく深呼吸をするといった酸素の循環の問題等々も考えれば、この丹生ダムについては、真剣に見直した上で答えを出さなければいけないと思っております。そういう意味で、このダム問題について、是非、今後とも真剣に議論していきたいと思います。

○村上委員(琵琶湖部会)

もちろん他の事業に関してもそうですが、これまでの視察の際に配って頂いた各事業のパンフレットを1つずつ見ていく中で気付いたのですが、一般に配られるパンフレットには事業総費用等が載っておらず、不思議に感じました。私には非常に疑問です。公共事業は国民の税金を使って行うわけで、どれだけ費用を使うのかを知らせるのは納税者に対する当然の開示であると思うわけです。

特に今回、丹生ダムに関してもその資金の拠出がどこからどれだけあり、現在どの程度、どこに使われているのか等、これまでにもそのようなことがわかる情報を出して頂いたことがないと思うのですが、そういった事業に関する負担がどれだけあるのか、やはり開示される必要があると思います。今後の議論において、各事業が議論の対象になったとき、事業費等に関する情報を出して頂けたらと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

先ほどのお話の中で、まず利水についても、第2回琵琶湖部会の現地視察で、嘉田委員からそんなに水を使っているのかといった質問等がありましたが、これまでにも実際の取水実績等をお示ししましたし、あわせて、実際の安全度がどうなっているのかという現状についてもお示ししております。

委員会では、大臣が利水の必要性をきちんと確認して事業を峻別しようとか、総務省のフルプラン等も説明させて頂きました。

そのような状況ですが、我々も今後、利水者にきちんと必要量を確認し、現状と課題を十分に皆さまに認識、議論して頂けるよう、その内容をこの場で説明できるようにさせて頂きたいと思います。議論の中で、今後、課題に対応する際、いろいろな事業を行うにあたっての費用、これまでに要した費用やB/C(費用便益比)等の情報も、当然必要になってくると思いますので、そのようなデータも出していきたいと考えています。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

丹生ダムの問題については、委員からも議論がありましたとおり、琵琶湖部会では必ず今後議論の機会があると思います。しかしながら、治水、利水を淀川水系全体として考えた場合、淀川流域委員会全体としての議論になると思います。先ほどお話頂いた野村さんは大阪の方のようでしたので、淀川部会あたりに対しても、本日のような情報、問題を提供して頂くこともできるのではないかと思います。

それから、鳥塚さんが話されていたことについては、私も同感です。中海・宍道湖において、広い意味での「環境」に対して漁師の方々がどれほどの役割をしてこられたか、身に沁みて感じたことがあります。

竹田さんが話された魚の産卵等に関する問題については、先の委員間での議論においても、まさにその通りであると西野委員もおっしゃったところです。個々のことだけではなく、全体としてどうするかを考えていかなければならないわけで、十分にこれから議論していこうと思います。

以前、琵琶湖総合開発終了のときに基調講演をさされたとき、次のように発言しました。

「琵琶湖総合開発が始まる時に、もし現在と同じような環境に対する考え方が一般的であり、河川法が現行のようなものであれば、琵琶湖総合開発計画は大きく異なっていただろう。少なくとも、すでに終わったものと同じではなかっただろう」と。

その後、河川審議会は、洪水の制御を河川内で行うのではなく、流域全体で考えようと提案しました。これは「治水」概念の根本的な変化です。「利水」についても、同様な変化の考えが起こっています。それらも含めて、論議を進める必要があると考えます。

それでは、次回以後のことについて議論させて頂いてよろしいでしょうか。庶務からお願いします。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

日程調整の中では、次回の琵琶湖部会は10月12日の金曜日、13時から15時の予定になっております。その後の琵琶湖部会は11月1日の木曜日、15時から17時という予定になっております。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

今日は13時半から17時、17時半までという大変長丁場で議論をさせて頂いているわけです。次回、次々回はどう致しましょうか。

○西野委員(琵琶湖部会)

次回は、少なくともテーマをある程度絞った方がよいのではないかと思います。例えば今日、丹生ダムのことが議論になっていましたが、丹生ダムの問題についていろいろな側面から議論をするということが1点と、本日議論に出ていたことをまとめることが1点、その2点について議論をしたらいかがでしょうか。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

他の方はどうお考えになりますか。

○中村委員(委員会・琵琶湖部会)

私も全く同じことを考えましたが、1つお願いがあります。先ほど、倉田委員のご質問にも関連することで、今回の会議の目的は直轄管理区間の河川整備を巡る議論ですが、この委員会で決まっていないものは河川整備計画に盛り込まないという話ですよね。ですから、その整備ということが事業者側で一体どこまで考えているのでしょうか。

要するに、物をつくる、或いはつくらないといったことが整備なのか、維持管理をする仕組みも含めての整備を考えているのでしょうか。或いは、先ほどの話ではありませんが、直轄管理区間の計画と琵琶湖全体の関連性までを含めた仕組みをモニタリングしていくような、組織のようなものも含めたものが河川整備計画だということなのか、その点をもう少し明確にさせた方がよいと思います。どこまで議論をするのか、何を議論するのかという会議の目的がはっきりすると思うのですが、いかがでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

まず、河川整備計画に入る内容は、物をつくることから維持管理までを考えています。

対象とする範囲については、原則は直轄管理区間です。しかし、直轄管理区間に影響する範囲で考えられることについては、対象にできる部分があれば、方向性を示すこともできると思います。

もっと具体的に言うと、例えば総合治水という事業をしていますが、この事業は我々のみならず、その事業の役割を、河川整備計画に位置付けることになると思っていますので、流域対応をしながら、直轄管理区間に影響する範囲についての記述もあるのではないかと思っております。ですから、全く排除するものではなく、直轄管理区間に影響する範囲を、流域対応として考えることも当然、書き込んでいくことになると思っています。この辺りについては、決まったものは全くないのですが、幅広く考えていきたいと思っています。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

最初からの議論にもあったように、普通の委員会ないし審議会であれば、河川整備計画がまず出されて、それについての議論をするわけですが、この流域委員会は違います。つまり、仮に、河川整備計画の中にはこれは載せたくないと「河川管理者」が思っているものであっても、本当に流域委員会として「これは載せるべきだ」と確信を持って言えることがあれば、そのように結論付けようというものです。

そういう意味では、今「河川管理者」が話されたように、新しく物をつくる話だけではなく、維持管理の問題についてもきちんと考えなければいけません。また、以前の同じ人の発言の中には、省は県等に対して指導、助言、そして、いよいよとなった際は認可等、いろいろと意見を出すこともできると考えていることがありました。各県の方もこの流域委員会に来て頂いておりますので、十分に審議の内容を聴き、それに対処される筈と信じています。

さて、先ほど西野委員がおっしゃったことはよく理解できますが、丹生ダムの問題などに入るまでに、環境について、そして「人とのかかわり」について、委員から状況報告をして頂くことが必要ではないでしょうか。すなわち、西野委員の提案は、もう1、2回くらい先の琵琶湖部会で取り上げたいと思いますがいかがでしょうか。

○村上委員(琵琶湖部会)

今、川那部部会長がおっしゃったことにも近いことですが、この現状認識の後、今後の河川管理における哲学や理念といった言葉も出ていたと思いますが、そのような議論はできるだけ早期にしておきたいという気がしています。委員会での議論等を議事録で読んでいる中、要は、水需要を絶対的に見るのではなく、水需要をどうやって抑えるかという考え方で進めた方がよいのではないかといった議論が既に出ていると思います。そういったものを踏まえてから、例えば丹生ダムの事業をどう評価できるのかといった議論の進め方をしていく必要があるのではないかと私は考えます。

できれば次回からでも、そのような形をとることができればよいとは思うのですが、やはりもう少し現状認識という部分で、人との関わり等に入る時間が必要なのかなとは思います。ですから、次回の琵琶湖部会はそのような議論の内容でよいのかと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

西野委員、そのようなことでよろしいでしょうか。

○西野委員(琵琶湖部会)

議論の内容さえきちっとして頂きましたらそれで結構です。

○江頭部会長代理(委員会・琵琶湖部会)

今のそのお話を補足ないし増強といった意味から一言だけ意見を言わせて頂きますと、今日4名の委員からご意見がありましたが、ある部分、例えば魚がかわいい、鳥がかわいい、そういった立場で環境問題を議論されていたわけです。

先ほど、一般傍聴されている方からの意見もそのようなことだったと思うのですが、それを現在の社会システム、或いは将来どういう社会システムをつくっていきたいのか、その中でもう一度見直して頂きたいと思います。

極端な言い方をすれば、魚がいなくなったってよいではないか、もっとよいシステムができればよいではないかといった考え方もあるわけですよね。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

あり得るわけです。

○江頭部会長代理(委員会・琵琶湖部会)

ですから、そのような見方も含めて議論をできればよいのではないかと考えております。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

今回の流域委員会の大きな目的の1つに、住民の意見をどのように聴取し、反映させていくのかということがあります。これは非常に大事なことだったと思います。これは河川整備計画の原案ができてからも当然あるわけですが、それ以前に、いかにしてよい原案のたたき台を作り上げるのかが、我々の1つの使命だと思っています。

そのような観点から申し上げますと、例えば、今日も一般の方からは非常にせわしなくご意見を伺っているわけです。僅か15分程度でいろんな方に大事なことをお話頂かなければなりません。私たち委員もなかなか発言時間を十分に確保することができない中、まだまだ聴き足りない部分があるという点で、次回に予定されている10月での琵琶湖部会ではもう少し現場を見てから議論をした方がよいのではないかと思います。本日、松岡委員からリアリティーな、感動するようなお話もありましたが、例えば、直接漁師をなさっている方、農業をされている方たちの声も含めて聴きながら、現場をもう一度見ていく必要があるのではないかと思います。できましたら9月に現地視察をした方がよいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

次回の琵琶湖部会でやや長めの時間を割いて議論を行い、テーマを決めるということでよろしいでしょうか。これがまず1点目ですが、どうでしょうか。

中村委員からご意見があるようですので、お願いいたします。

○中村委員(委員会・琵琶湖部会)

河川整備計画といったときには、何をつくるかということと同時に、どうつくるのかという議論があるわけです。それはかなり技術的なことで制約があり、幾らこの場で議論しても全く反映されないという状況があり得るわけで、その辺りの話として大体の範囲が見えてこなければ、いろいろなことを議論しても結果的にそれが反映されないまま、フラストレーションが起こってしまうことがあるので、その話はどこかで議論して頂きたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

つまり、河川整備計画について、こういうことは当然に考えるべきであるということを、議論の途中で言って欲しいということですね。

○中村委員(委員会・琵琶湖部会)

そうです。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

今の点は一面で認められるし、必要だとは思うのですが、漁業関係で琵琶湖に関して言うならば、これまでは諦めの生活をさせられました。私は漁業者約150人とのつき合いがありますが、彼らの恨み辛みはよく知っています。だから思い出すのは、技術だとか我々の理論だとかということではなく、もっと大きな力が働いて、とても漁業者が望むことは無理だという諦めでやってきているのです。

先ほどの話にもありました、琵琶湖の湖岸を全部セメントにし、川を直線にしてしまえば、漁業を営むことができなくなってしまうということは、漁業関係者に会うたびに言われます。内湖を埋めていくことについても不満だらけだけれども、これには国の大きな力が動いているし、土木業者の力も働いていることも知っています。だからどうしようもないと、諦めざるを得ないと言って嘆いているのを聴いてきているわけです。

技術だけではなく、そのようなこと以外にも、諦めざるを得ない面があるわけです。ですから、そう簡単にいかないのではないかという気がします。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

簡単にいかないのかも知れませんが、それを諦めてしまったら、このような委員会をやっている意味が殆どないのではないでしょうか。後でもしも「河川管理者」が異なったことをしたときに、「あのときに流域委員会としてはこう議論し、こう提案したではないか」と言えるくらいのことは、しっかりとしておかなければいけないし、少なくともその努力は必要ではないのでしょうか。

中村委員がおっしゃるような「河川管理者」側から議論の範囲を限定された方が楽であるという方が多ければ、事前に言って頂いてもよいとは思います。私個人は異なる意見を持っていますが、その点についてはもう少し委員会で議論をしても良いと思います。

それでは、話を元へ戻し、少なくとも10月と11月、2回の琵琶湖部会は、3時間半〜4時間くらいまで延ばすということでよろしいでしょうか。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

はい、大丈夫です。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

それでは、次回と次々回の琵琶湖部会はともに13時半から16時半ないし17時くらいまでの開催ということにさせて下さい。

それで、次回・次々回の琵琶湖部会には、委員から引きつづき資料の提供をお願いしたいと思います。もちろん、資料の選び方には選択が入りますから、個人の考えの出ることは確かですが、できるだけ意見というよりは資料の形で出して頂きたいものです。まずは環境について、続いては人の環境とのかかわりについてお願いします。後者では寺川委員にして頂くことが決まっています。

敢えて要請はしませんが、個人的には倉田委員に漁業の情報を提供して頂きたいと思っています。

その後、時間がまだ残っているようであるなら、そろそろ各委員から、淀川水系に対する思いを語って頂くことにするつもりでいます。

さて、これまでに琵琶湖部会では現地調査を2度実施したわけですが、先ほどは寺川委員から10月、11月の通常の部会以外にも、現地視察をした方がよいのではないかというご意見がありました。これに対して何かご意見はありますか。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

せっかくいろいろな分野から専門家が集まっているわけですから、ばらばらの専門家が偏って現地を見に行くのとでは訳が違います。多面的な視覚で現地を見るというのは、1回でも2回でも、とにかく可能性がある限り回数を多く重ねることの意味は非常に大きいと思っています。

長年、私は同じ様な研究を続けてきておりますが、その経験から言っても、現地を1回見るのと、3回見に行ったのとでは全然違う見解が出てきます。ですから、できるだけ現場を見るチャンスを見つけ、現地視察の回数を重ねて頂きたい。その効果は必ずあると思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

私も一般論としてはまさに倉田委員のおっしゃる通りだと思います。問題は、実際にそれほど数多くの現地視察をこなせる時間があるかということです。個人的にお尋ねしたところでは、現地視察の日時を決めても、参加される委員の方が半数にも満たない状態もあながち考えられないわけではありませんので、委員の皆さまのお考えをお尋ねしたいと思います。

いろいろと議論をしていった後で、1度見た現地でも、再度目的を持って見に行く必要が必ず出てくると思いますが、今お尋ねするのは、このケースではありません。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

今日も委員の方々から素晴らしい話をして頂き、これから季節は秋に向かいますので、例えば水田や水路といった現場や、漁師の船に直接のせて頂いて、実際に琵琶湖に触れてみるとか、ただ船に乗って琵琶湖を見るのでなく、漁師さんと共に底引きをやってみる。また、もし日曜日や祭日に時間を充てることができるのならば、実際に琵琶湖を水上バイクが走り回っている現場を、臭いも音もどのような状態なのか、見て欲しいと思っています。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

わかりました。寺川委員のおっしゃることも一般論としては面白いと思います。委員の皆さまはいかがお考えでしょうか。「とても忙しくて現地視察には行けません」とは、この場では言い辛いかと思いますので、後ほど、現地視察についてどうお思いになっているか、文書で意見を求めましょうか。或いはこの場で、現地視察をする日と場所を決めてしまいましょうか。

○江頭部会長代理(委員会・琵琶湖部会)

ただ漠然と現地を見学に行っても何もわからないでしょうから、ここは是非、皆さまで見て、現地で車座をつくり、何々については議論してもらわないといけないといった問題がなければ、なかなか行きにくい、或いは決断しにくいと思います。

もし、現地視察は必要なのだという意見があるのならば、恐らくはそのような議論をすべき問題というものがあると思うわけです。ですから、もしそのようなご意見を出して頂ければいいのではないでしょうか。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

例えば、江頭委員のお話であれば、水上バイクについては寺川委員に、例えば次回の10月の琵琶湖部会で話してもらい、その時に委員の方々が、やはり水上バイクが琵琶湖を走り回る現状を一度は見ておく必要があるのだなという方向になれば、その現地を見に行こうではないか、という意味ですね。

○江頭部会長代理(委員会・琵琶湖部会)

そうです。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

他の方は、いかがですか。

部会は半数の出席はないといけない等、そのような形式的なことを言う気は毛頭ないのですが、今日はたった1人の委員を除いた委員の方全てに出席して頂き、大変ありがたいことだと思っています。ただ、倉田委員も先ほどに話されたように、現地へ行くのであれば、できるだけ多くの委員に参加してもらうことが大事だと思っています。

○川端委員(琵琶湖部会)

現地を見るということはとても重要だと思います。時間的に無理という話もあるのですが、別立てで、例えば土曜日や日曜日に実施することも考えられますね。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

もちろんそうです。10月、11月に予定されている通常の部会を現地視察に充てるのは絶対に無理がありますから、全く別に日を設けて実施するかどうかになるでしょう。

○川端委員(琵琶湖部会)

是非、そのような企画を立てて頂けたらありがたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

現地を見ることについては、倉田委員から以前から個人的に要請を受けていたのですが、部会長がやると言って決めるものではないし、このようにして委員の皆さまに議論して頂きたいと考えたからです。今日、寺川委員からはっきりと提案して頂いて喜んでいます。

ただ、もう時間が大分過ぎていますので、次のようにさせて頂いてよろしいでしょうか。現地を見に行きたいと考えられる方に、視察に行く対象地、何を見るか等の案を庶務宛に提出して頂く。それを受けて日程等について考え、参加可能状況を委員の皆さまに伺う。その結果で決めるということです。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

以前から申し上げていることで、直轄管理区間以外の河川で、北湖に対しても非常に大きな影響のある、漁業にも大きな影響のある河川として安曇川があります。これは直轄管理区間の河川でないからこそ、余計に見ておく必要があると考えます。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

以前倉田委員からお聞きしているのは、西岸や安曇川や姉川や野洲川など多くの河川を見ておく必要があるということで、7回くらい現地を見に行く御意見でした。琵琶湖の西岸を見る必要性については、一方で非常によくわかるのですが、西岸と安曇川全体を1日でこなすことは不可能ですから、これだけでも2日かかります。その行程に委員の方々が本当に参加されるかということで、これは一般的ではなく、極めて具体的な話です。

私は「現地主義者」ですから、個人的には現地をできるだけ全て見たいと思います。しかし、非常に具体的には、例えば私自身平日も休日も含めて現地視察のために時間をあてがうことのできる日は、9月で3日、10月は2日、11月は0日ですので。もう25分も予定時間を過ぎており、後のつまっている委員のおられることも知っていますから、先のような手続きにさせて頂いてよろしいでしょうか。では、すみませんが、そうさせて頂きます。

もう1点、寺川委員が言われた住民の方の意見をどう聴くかという問題があります。

これには2つの意味がありまして、住民の方の意見を聴くだけではなく、意見を反映する方法を考えるのが河川法の定めであり、この流域委員会はそれを考えなければならないわけです。これが一番重要な問題です。

しかし、この方法を考えるためだけにも、住民の方の意見を知ることが絶対に必要で、それにはどのような方法で行うべきなのか。私自身の非常に小さい経験から言えば、公聴会を開いて住民の考えを聴く方法には大きい限界があります。しないよりはましだとも言えますが、それでよいのでしょうか。一番安直な方法はアンケートです。これは作り方で結果はしばしば変わりますし、決めたことしか出てきません。

寺川委員がおっしゃって頂いたように、漁師の船に乗船すれば漁師の方の考えは少しよく分かります。私の経験だと、ある季節のことはその季節に聞かねばなりません。夕方に何人かで繰り出し、わいわいと言いながらしか聴けない問題もあります。住み込まなければ出て来ないものすらあります。

そのような住民意見の聴取・反映の方法について、次回・次々回の琵琶湖部会くらいまでに、各委員においてそれぞれでお考えおき頂く必要があると思います。

次回の琵琶湖部会、或いは次々回の琵琶湖部会で、このような点についてアイデアがあり、話したいという委員の方は、是非、庶務へ事前にお届け下さい。

また、お話の他に委員の方は配布資料を出して頂くということをお願いしたいと思います。同時に、「河川管理者」は税金を使っているわけですから、委員会・部会等でお願いしたものは、資料としてまとめて配布して頂くようお願いします。

いつも会議が長くなり申し訳ないと思いますし、また、寺川委員もおっしゃるように、一般傍聴の方には時間を15分と無理に区切って誠に申し訳ないことです。お許し下さい。一般傍聴の方におかれましても、話して頂くだけでなく、いろいろな資料、その他でご意見を頂けると大変ありがたいと思っております。

全くお話をして頂かなかった方もおられ申し訳ありません。水山委員何か特にありませんか。

○水山委員(委員会・琵琶湖部会)

特にありません。

○庶務(三菱総合研究所 近藤)

川那部部会長、次回の琵琶湖部会は10月12日金曜日、13時30分から17時、今日と同じ時間帯ということでよろしいでしょうか。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

それで、どうぞよろしくお願いいたします。

○庶務(三菱総合研究所 近藤)

お手元にある資料6については、また後ほどお読み下さい。それでは、本日はありがとうございました。

淀川水系流域委員会第4回琵琶湖部会をこれで終了させて頂きます。どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。

以上

 

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