淀川水系流域委員会 第5回琵琶湖部会(2001.10.12開催)速報

2001年12月6日現在
部会長 川那部 浩哉

 

1.第5回委員会の概要

・第5回委員会の概要について、資料1を用いて部会長と庶務より説明があった。

2.琵琶湖を中心とする淀川水系の現状(環境、人と川との関わり)についての情報提供

・河川管理者からの主な説明

資料2を用いて、淀川水系の現状(人と川との関わり)についての説明があった。

・.洪水から街を守る
  • 水防活動は、河川改修と並ぶ「車の両輪」であり、その両輪によって、我々の生命、財産が守られている。
  • 水防活動は水防法に基づいて行われており、実施主体、責任は市町村にある。県は水防計画の策定、洪水予警報、水防警報など、活動支援を行う責務を負っている。
  • 水防団の課題としては、団員の高齢化、サラリーマン団員の増加により、緊急時の対応が難しい点、周辺の水防に対する理解の低下、などが挙げられている。
  • 洪水に関する情報提供としては、浸水地域、避難場所等を示した洪水ハザードマップ原案等が公表されている。

・.水利用について

  • 水を利用する側でもさまざまな節水対策が行われている。一方、河川管理者も節水意識啓発のためのパンフレットの作成をはじめ、様々な活動を行っている。
  • 河川の水量については、野洲川は上流で取水され下流の水量が非常に少なくなって、瀬切れ(水の流れが途絶えてしまう状況)がおこることがある。姉川は多くの堰があり水が高度に利用されているが、野洲川と同様の状況が発生している。
  • 水面利用のトピックスとしては、琵琶湖の湖上を船で渡って、大津市内の道路の渋滞を回避しようという社会実験が計画されている。

・.河川利用について

  • 瀬田川洗堰の上流ではボートや釣りが、下流ではカヌーやラフティングが盛んに行われている。野洲川の落差工の付近では、釣を中心とした利用がある。
  • 河川利用の特徴として、堤防の天端に道路が兼用してつくられているという状況がある。また、ゴミの不法投棄や堤外に民地が残っている等の問題がある

・.琵琶湖における生業(なりわい)について

  • 琵琶湖の漁業経営体数、漁船の保有台数、漁獲量は減少傾向にある。琵琶湖の漁業は、漁具の発達等によって、待ちの漁法から攻めの漁法へと変化した。
  • ヨシについては、従業者数、製品出荷額ともに減少している状況にある。

(質疑応答)

  • 「待ちの漁法が攻めの漁法に変化した」と説明されたが、昔から待ちと攻めが両方あり、現在は待ちの漁法ができなくなっただけというのが事実である。また、水産業の大きな変化として、湖面の漁業が大きく衰退し河川の漁業だけが残っていることが挙げられる。
  • 改めて詳しい情報を提供頂ければありがたい。(河川管理者)

・村上委員からの主な説明

資料3−2を用いて、・目的合理型計画の功罪と形態交流社会の可能性、・ラムサール条約と淀川水系流域管理、についての説明が行われた。

・.目的合理型計画の功罪と形態交流社会の可能性

  • 新河川法で新たに加わった「環境」という言葉は多様な意味を含んでおり、今まで治水、利水が主であった中でこぼれてきた雑多な要素を一言で丸めてしまったもの、と言える。従って河川整備計画は治水、利水に加えて多くの事柄を目標にすることになる。しかし、それらはトレード・オフの関係にあるため、どのように総合的に望ましい状況にするのか、良い川とは何か、非常に難しい問題である。
  • 物事の進め方には大きくは資料に示した2種類、目的合理システムと形態交流システムがある。
  • 目的合理システムはこれまでの河川管理、行政、企業の物の進め方といえる。これは、まず目的ありきの進め方で、目的達成の面では非常にすぐれ、時間的、コスト的にも効率がよい。ところが、この進め方では、ある部分はうまくいくが、全体でみるとおかしな事が起こることがある。
  • 目的合理システムで生まれる問題を解決するには、形態交流システムに変える必要がある。形態交流システムとは計画や事業に関わるそれぞれの組織や人がお互いや周囲の状況を判断しつつ活動し、問題が起こったら、もう一度目的を探し直す進め方である。
  • 今後、全利害関係者が集い、計画を作りながら、事業を実施して常に計画を塗りかえる、という進め方に変えていく必要がある。
  • 形態交流システムがうまく機能するためには、そこに関わる人のコミュニケーション能力の向上が鍵となる。この場合、人と人だけではなく、川と人とのコミュニケーションも含んでいる。
  • 川のことにも地域のことにも詳しく、合意形成能力も持っている「川守さん」というような人物を提案したい。今、河川管理者はそこまでは賄いきれておらず、住民団体も河川管理者がやっているほどの仕事はできていない。そこをトータルに賄う「川守さん」のような人材の育成が非常に大事だと思う。

・.ラムサール条約と淀川水系流域管理

  • ラムサール条約は今後の議論に大きく関係するため、幾つかの誤解を最初に解いておきたい。

    a.日本人は河川や琵琶湖を「湿地」とは言わないが、条約中の湿地(wetland)という言葉は「水のある土地」という意味で、湖や河川等も含んでいる。この条約は水の溜まっているところ全てを保全する条約である。

    b.
    この条約は「水鳥保護」条約と思われているが、湿地の生態系とそれと共にある人の生活や文化などを総体として保全しようという条約である。

  • c.登録された湿地のみが条約の適用対象と思われがちだが、条約が定めている保全の対象は締約国に存在する全ての湿地である。

  • 資料3−2にラムサール条約の締約国会議で採用された決議と勧告文を掲載した、住民参加と流域管理に関わる部分は今後の流域委員会の議論に有用と思われる。特に、住民参加について、「利害関係者相互の信頼関係を築くことが重要で、そのためには仲介人となる人材が必要」と記されている点を強調したい。

(質疑応答)

  • 現在、ラムサール条約は単独の湿地というよりも、流域というものを海岸まで含めて、「river basin project」という考え方で動いていると聞く。(部会長)
  • その通りである。それに関する決議文も今回の資料に入れている。(村上委員)

・寺川委員からの主な説明

資料3−1を基に、水上バイクの現状と問題点等の説明が行われた。

  • 水上バイクについては、水質汚染が最も重要な問題であるが、騒音や悪臭、湖岸の環境、人身事故、規制の不備等、様々な問題がある。
  • 新海浜では水上バイク関係車両の進入によって松林が伐採される等、湖岸の環境破壊が進んでいる。大津市柳が崎などは水上バイクのメッカになっているが、取水塔周辺を走行する水上バイクが排出する油による飲み水の汚染の危険性、近くを泳ぐ子供の健康や安全等の問題がある。新旭町では湖岸での水上バイクの利用自粛を訴えているが、全く効果がない、誰も注意しない、という状況である。安曇川町では水上バイクの規制強化を求める県条例の制定等を町議会で議決した。
  • 旧運輸省では1999年に水上バイクの水質調査を行ったが、ベンゼン、トルエン、METBなど発がん性のある、あるいは疑いのある物質が、環境基準を上回る数値を示した結果が報告されている。滋賀県の調査でも22ヶ所の取水口付近のうち1ヶ所でトルエンが検出されているが、アメリカの調査等と比べると不十分であり、水上バイクが集中する日曜、祭日に行っていないなどの問題もあるため、知事が安全宣言を出したことは問題がある。
  • 湖上で走行している水上バイクの2割程が特殊なオイルが必要な改造型であり、燃費効率も悪く大量の油が琵琶湖に流入している。
  • カリフォルニア州の規制状況では、水上バイクだけでなく有害なものについては早急に禁止するなどの措置を行っている。日本各地でも、水上バイクの規制等が進んでいる。国土交通省が直接管理しているわけではないが、琵琶湖の水は近畿1,400万人の飲料水でもあり、生態系の問題等も含め、大きな問題である。
  • 琵琶湖における水上バイク問題を抜本的に解決するため、国土交通省、厚生労働省、環境庁の3省に対しては取り締まりのための法整備等の要望、日本舟艇工業会に対しては不良製品の販売停止の要望を9月に提出した。
  • 「日本の水道水が安全なのは水質の検査項目が少ないからだ」と言われるように、欧米に比べると検査基準が大雑把であり問題である。水上バイクの水質汚染問題にしても、年平均で考えるのではなく、一時的、局所的な部分も考慮しなければいけないと思う。量も重要であるが、それとともに質の管理をきちんと行うことが、今後の課題である。

(質疑応答)

  • 滋賀県は水上バイクの水質調査を2回行っているが、市民レベルでも身銭をきって水質調査をしている。行政の調査は完全ではなく、市民の素早い情報収集能力と発信力を活かせるよう市民レベルの調査に対して、行政からのバックアップすることも必要だと思う。
  • 市民レベルの声をどのような方法で聴取するか、ご指摘の点も含めて流域委員会でも議論しなければならないと思う。(部会長)
  • 8月に滋賀県が行った水上バイクの試験走行等の調査結果については、県議会で知事が、「時間及び空間的に局所的であると認識しており、今直ぐには水上バイクを全面禁止にはしない」という見解を出した。今後、県では琵琶湖の適正利用懇話会をつくり、水上バイクの問題等について検討する予定である。(滋賀県)
  • 湖面利用については、治水、利水、環境の全てを考えることが重要であるため、関連する委員会の資料など、県からも情報提供をして欲しい。(部会長)
  • 懇話会での検討が始まる前に、知事が安全宣言を出したのは問題があると思う。
  • 琵琶湖は基本的には誰もが自由に使用することができる。湖面を市町村に分割するなど管理のルールづくりを考える必要があるのではないか。
  • この問題については、広い意味での河川の管理という難しいが大変重要な問題であり、今後議論をする必要があると思う。(部会長)
  • 琵琶湖の各地の浜には掟があり、その掟を周知徹底している浜はルールが守られているが、そうでない浜では守られておらず、そのような状況がだんだん広がっているのが現実である。
  • 懇話会に水上バイク問題について懸命に取り組んでいるグループが含まれていないのは、公平性に欠けると思うので、公開討論会を開催し、オープンな場で議論して欲しい。現在、休日には200台もの水上バイクが湖面を走行していると考えられ、来期を待たず、早急に対策を取るべきである。(寺川委員)
  • この件について県は十分に考えて頂きたい。(部会長)
  • 水上バイク関連の資料については、インターネットでも公表している。(滋賀県)
  • 懇話会のメンバー等は全て公開しており、その中には県民公募委員も含まれている。また、公聴会を開き、一般からの意見も踏まえた議論を行っている。(滋賀県)
  • 懇話会では、湖面利用のルールづくり等について議論しているが、水上バイクの利用については、来シーズン迄には結論を出したいと考えている。(滋賀県)

3.一般傍聴者からの意見

  • 丹生ダムに関連する工事によって姉川に濁水が流れ込み、漁業に被害を与えている。工事による濁水についてどう考えているのか。
  • 春になると農業排水のため湖岸一帯が濁るが、過去に農業排水について調査しているのか。
  • 琵琶湖の水を浄化するよりも、琵琶湖に流入する水を先ず浄化することが、琵琶湖の水質を浄化するためには大切ではないか。
  • 濁水の問題等について、今後の課題として流域委員会で検討して頂きたい。
  • 濁水問題については問題意識を持っており、対応している。完全な対応というわけではないが、今後も漁協と協議を行い、対応していきたい。(河川管理者)
  • 水上バイクから排出される物質が、熱等によって化学反応を起こし、有害物質に変化する可能性もある。排出される物質がどのような影響を与えるのかを事前に見極めてから、水上バイクを使用する必要があるのではないか。
  • 漁業者の意見を代弁すると、水上バイクの問題で最も影響を受けるのは人間よりも弱い存在の魚類であり、漁業者が先ず被害を受ける。しかし、漁業への被害は、水質のように定量的に計測できないため、状況を把握するのには時間がかかる。(委員)
  • 魚類が活発に活動する4月下旬から5月にかけて、農業排水による泥水が琵琶湖沿岸部を覆う。それが、魚の餌となるプランクトンの発生を阻害し、漁獲量の減少につながる要因となっていると思われる。特に、圃場整備が始まる前とその後三十数年を比べると、漁獲量は4分の1に減少しており、流域委員会で何が要因であるのか検討して頂きたい。

4.意見交換

・水質問題(濁水等)について

  • 濁水の問題等について農業関係の研究機関等、委員以外の様々な機関からも情報提供して頂いて、議論することは、この委員会の情報の出し方から見ても重要ではないか。
  • 濁水の問題が魚類に与える影響は重要であり、湖の中の視点から以下の点を指摘したい。この30年間で琵琶湖の浅い部分の泥質が多くなったり、侵食によって陸上の砂浜が湖底に提供される等、底質が大きく変化した。その原因は、河川改修等によって流入河川から琵琶湖への土砂が減少したこと、琵琶湖に流入する土砂が泥質になったこと等が考えられる。単に濁水の問題だけでなく、河川改修が琵琶湖に及ぼす影響等、関連する一連の流れを議論する必要があるのではないか。また、湖の浅い場所の生態系への影響も議論した方が良い。
  • 濁水が問題で琵琶湖のアユがどれだけ減少しているかという論文を書いているが、有機質より、無機質に近い濁水が問題である。この件については近々、部会で報告したいと考えている。
  • 濁水の問題については是非、情報提供をお願いしたい。(部会長)
  • 濁水と漁業の関係についての話があったが、その原因は人為的なものなのか、自然的なものなのかはっきりしない面がある。
  • 濁水の発生源は流域上流の山腹の裸地などであり、河川堆積した土砂は河道にたまり、洪水によって発生した濁流は流域下流まで流れる。このため、濁水の物理的な側面について説明するにあたっては、流域全体で考える必要がある。
  • 最終的に濁水の成分は湖底に堆積するため、湖底の堆積物、底質が長期間にわたって変化するのは自然の摂理だと思う。また、北湖と南湖では水深が異なるため、冬場に水の移動が起こり、南湖の有機物が北湖に運ばれて北湖の底質が悪くなる要因ともなっている。
  • 濁水の原因として、ダムの工事以外に、ダム完成後の管理の仕方によって濁水が長期化することがあると聞くが、ダムの管理についてどう予定されているのか、教えて欲しい。
  • ダムによっては濁水が長期化する場合があり、その状況もダムによって様々である。現在、バイパストンネルの設置等、様々な取り組みをダムによっては行っている。(河川管理者)
  • 丹生ダムについても濁水のシミュレーションを行っているが、濁水の長期化は殆ど起こらないだろうという結果となっている。これは、丹生ダムでは選択取水設備を導入し、任意の水を放流する操作ができるしくみにしているためである。(河川管理者)
  • ダムの濁水問題については、選択取水方式という技術を導入することによって、殆どの濁水問題を解決することができると専門分野の人々は考えている。
  • ダムが完成する前の予測とダムが完成した後の実際のデータが、比較できるような情報等があれば、様々なことを考えることが出来るので提出して欲しい。(部会長)
  • 10年程前に、ダムができてからのフォローアップを行う委員会を設立している。管理ダムの完成後のフォローアップ調査のデータを調べ、報告する。(河川管理者)
  • 選択取水設備の導入によって、導入されていない場合より水質が改善されたことは十分評価すべきだが、ダムがない場合の状態には達しておらず、その達成率を知りたい。このような改善率や達成率等がわかるデータがあれば、断片的でもいいので提出して欲しい。(部会長)
  • 淀川部会では、様々なダムの選択取水設備がある場合とない場合の流入や流出の水温を示しているので、該当する部分を次回の琵琶湖部会で説明する。(河川管理者)
  • 細かい粒子や粗い粒子等、濁水の種類にも色々ある。例えば、魚類では細かい粒子の方が死亡率が高いというデータもあり、選択取水設備を導入しても、細かい粒子の場合は下流に放流されてしまう場合があれば、問題である。
  • 農業排水等について、濁水の何が問題であるか十分整理されていない。解決策の方向性を示すため、流域委員会で議論する必要があると思う。
  • 偶然の一致かもしれないが、各河川でダムが建設されてから後、アユの冷水病が問題になっている。この問題は選択取水設備の導入によって、改善の方向に向かうと思うが、アユにとっては水温調節も濁水の問題も大切である。
  • この件については、データを提供して頂きたい。(部会長)
  • 丹生ダムについては、「河川管理者」から、どのような方向で議論して欲しいといったことは一切言われていない。流域委員会で議論した上で、意見がまとまればその内容をもとに、「河川管理者」が整備計画の案を策定するということになっている。従って今、ダム問題を議論しているのは、前提としているわけでは全くなく、ダムの操作の問題等についても、重要な問題であれば、流域委員会で議論することはあり得ると思う。(部会長)

・検討すべき課題について

庶務より資料4について、説明が行われた。

・.検討の視点について

  • 従来の河川の計画は、水の物理的な問題の解決が主であったが、今後は地域によっては水の生物学的問題や環境的問題が主となる場合もあり、問題の性質が多様化するとともに、議論の前提となる時間軸、空間軸も幅広く意識する必要がある。このような状況では、統一的な管理目標を設定するよりも、地域ごとに議論を深めて共通の目標を作り上げることが必要である。
  • 時間軸、空間軸の話が出たが、問題ごとにどのスケールで議論すべきか確認しながら議論していく必要がある。
  • 人間の目だけではなく、魚の目でも見る必要があるのではないか。水上バイクの問題でも、人間には許容範囲であっても、魚には許容範囲でないこともあると思う。研究機関等での調査も並行させながら、県サイドでもそのような視点で調査する価値はあると思う。
  • 丹生ダムについてシミュレーションされていると言われたが、人間の感覚レベルではなく、魚レベルくらいでシミュレーションを行えば、もう少し良い方向に変えられるのではないか。

・.法律に関する問題について

  • ある一定の政治的なプロセスを経て法律のもとで決定されてきたことの経緯と、我々が議論していること、流域委員会で出す結論との関係を認識する必要がある。その場合、当事者を含めた多方面からの情報提供が必要となる。行政法上の解釈も念頭に入れた議論が必要だと思う。
  • 委員会でも法律に関して少し議論があった。現在、流域委員会には法律の専門家は1人しかおられるので、その方にこの部会で発言頂くなど、多方面から議論することが重要である。(部会長)
  • これからの河川管理の体制を考えることは非常に大きな問題である。住民と行政がどう付き合っていくかが流域委員会の議論の中で、非常に重要になると思う。法的な部分もかなり関係してくるので、法律分野の専門家の意見も聴く必要があると思う。

・.今後の議論の進め方について

  • 同じ土俵での議論ができていないように感じており、まず何を議論すべきかをはっきりさせないと解決できないように思う。また、行政の人たちは組織としての考え方で、個人としての考え方ではなく、発言がかみ合わないように思う。行政も、国家のための河川管理ではなく、市民のため、という視点で話して頂くと、同じ土俵で話ができる。
  • 大きい琵琶湖を語らずして淀川水系は語れないので、いろいろな問題が多々出てくる。どう進むかはわからないが、とりあえず何でもいいから琵琶湖、淀川について話をすることで、次に進んでいくのではと思っている。
  • 乱暴な云い方をすると、ここで琵琶湖の問題を審議しても、河川管理者は「関係ない」と思っているかも知れない。同じ土俵に上がっているのかも不明である。
  • この流域委員会では、今までのやり方をまるっきり変えようとしている。今は現状認識の段階として、情報を大小問わず出し合い、それを踏まえて次に課題を議論しようとしている。「これはここには出すべきではない」などと考えず、「これが問題だ」と思うことは、どんどん出して頂きたい。行政も「市民のため」の河川管理を目指しており、そのためにこの流域委員会のようなやり方も行っている。(河川管理者)
  • 「市民のための河川管理を目指している」と云われた河川管理者を信じることにする。
  • 滋賀県でも、同じような形で淡海の川づくり委員会を進めているが、流域委員会で議論された内容についても参考にしたい。最終的な決定場所はそれぞれあるが、お互い積極的に情報提供や連携をして進めていきたい。(滋賀県)
  • 流域委員会で結論が出ない諸問題について、流域委員会としてどのようなアウトプットを出して、非常に難しい問題を扱う仕組みを考えていくかが大切。また、NGO等が有効に機能するための仕組みや具体的提案まで流域委員会で議論する必要があるのか、はっきりさせておいた方がよい。
  • 来春に河川管理者に対して出すアウトプットについて、「ここを中心に最低限まとめましょう」という共通のイメージを持つ必要がある。イメージを共有した上で、住民の意見聴取や現地視察について決めていく方が良いと思う。今、絶対必要と私が考えるのは湖面利用のあり方、丹生ダムの問題、濁水問題、水のしくみの変化による琵琶湖への影響等が挙げられる。これらは共通認識として出てきていると感じる。
  • これからの部会の進め方について皆さんの意見を聞きたい。「整備計画に対して最低限議論すべき項目を先に決めて、議論したい」という意見があったが、これは今までのここでの私の進め方とは正反対である。(部会長)
  • この流域委員会はスケジュール的に長いようで短いため、いくつかの問題は、ある程度見通しを持って、一定の結論を出しておいた方がよいと思う。但し、結論を出せなかった問題の扱いを考えることも、この流域委員会の課題だと理解している。また、国土交通省だけでなく、農水省や環境省など、他省庁や県との連携も必要であるため、次の受け皿を考えていくことも必要である。
  • 私はこれまでのこの部会の進め方を希望したい。この流域委員会で整備計画の枠組みを今から考えた上で、従来のものと見比べて合わすという方法がとれると思う。ただ、過去にどのような経緯があったのかを見直すことは必要であると考えている。
  • 一見、遠回りの議論が多いように思われるかも知れないが、これから整備計画が最終のアウトプットであるとしても、途中の成果物が実は非常に大事なのかもしれない。
  • 過去と現在に関する情報提供を先ずするというのが、この流域委員会のあり方で、まだ終わっていないと考えている。そして、河川に対する考え方や思いについても必ず聴くと委員会で決められており、これらを聴く前に個々の問題について議論を始めるのはこれまでの流れで考えると不可能だと思う。次回の部会までに、皆さんのお考えを聞きたい、場合によっては私の意見とは無関係に多数の意見に従う。(部会長)
  • 私は、私たちが4月頃までに整備計画の原案をつくることは考えていない。「河川管理者」が整備計画を作るときに「これだけは考えに入れるべき」という事項と内容をつくれば十分だと思う。その後、「河川管理者」が出された原案についてどうするか、をまた議論していくと思っていた。この辺のことは次回部会の一番はじめに議論したい。(部会長)
  • 部会長は3月の段階で、私たちが原案までつくる必要はないと云われたが、委員1人1人の中である程度持っておく必要があると思う。そうしないと、個々の専門の範囲でしか考えなくなる。一人一人が計画をつくる立場に立って議論していくべきである。
  • その通りだと思う。知恵を出すのは行政ではなく住民であり、その住民の知恵をいかに汲み上げるかが行政の役割であると個人的に思っている。(部会長)

・.その他

  • 全ての河川事業に費用便益分析の概念をあてはめられるかという問題がある。河川管理者から、便益と費用の考え方を示して頂き、それを踏まえてどのような目標を持つべきか、議論を一度したい。
  • 費用便益の問題について、委員として考えられていることも一度話をして頂きたい。(部会長)
  • 現在行っている河川事業について、現段階では絶対に整備が必要であると思われるが、人間の暮らし方次第では、整備する必要がない状況にできたのではないかという事業もあり、このような議論もする必要があるのではないか。(部会長)
  • 海外には自然再生に向けて住民も参加して進めるプログラムを持つおもしろい河川が多い。日本で、もしそのような河川があれば是非見たい。また、河川管理者がそのような情報を多く持っているのであれば、是非提供して欲しい。
  • 日本や海外のおもしろい河川の情報について、是非、委員や「河川管理者」から情報提供して頂きたい。(部会長)

・現地視察について

  • 現地視察については、現段階で行うかどうかという議論がある。また、一本の河川を上流から下流まで一通り見るという意見が3委員から寄せられている。現地視察を行うのであれば、住民の意見を聴くという試みもしたいと考えている。(部会長)
  • 基本的に一度でも多く現場に行った方がいい。安曇川の上流から下流までの視察もとてもよいと思ったが、これまでの議論等も踏まえると、今の時期に丹生ダムが関係する高時川、姉川を上流から下流まで再度視察する必要があると思う。
  • いろいろ議論をした上で「この問題については現場を見よう」となった場合に丹生ダムを視察することはありえると思うが、今の段階で視察することに意味があるのだろうか。皆さんのお考えをお聞きしたい。(部会長)
  • 安曇川、姉川には人工河川という稚魚を育てている場所があり、琵琶湖の魚の拠点となっている。ここの上流で起こっていることが、今、琵琶湖漁業を揺るがす重要な問題である。委員の皆さんに是非視察してもらい、議論して欲しい。
  • 安曇川は国土交通省の直轄河川ではないため、河川管理者も知らないことが沢山あると思う。データで見るのではなく、実態を総合的に見るという意味で現地視察は大事であり、河川管理者と委員で一緒に視察したいと考えている。

5.今後の部会について

  • 流域委員会では、住民意見の反映方法について提言する必要があるが、その反映方法をどうするか、委員から意見を出して頂きたい。(部会長)
  • 琵琶湖部会は琵琶湖で閉じてしまっているわけではないので、琵琶湖に重点を置きながら、琵琶湖以外の淀川水系についてどう考えるのか、今後検討すべき項目の中で出していただきたい。また、一般傍聴者の方でも検討すべき項目があれば、教えて頂きたい。(部会長)
  • 第6回部会は11月1日(木)13:30〜17:00、クサツエストピアホテルを予定している。
  • 第7回部会は12月21日(金)午前中、ピアザ淡海を予定している。
  • 現地視察については11月20日に開催するという方向で庶務より案内を出す。(部会長)

以 上

 

注1:速報は、会議の概要をできるだけ早くお伝えするものであり、随時修正される可能性があります。なお、議事内容の詳細につきましては議事録をご確認下さい。最新の速報及び確定した議事録はHPに掲載しております。
注2:委員名については、情報提供を行った委員のみ記載しています。

 

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