淀川水系流域委員会 第6回琵琶湖部会議事録

日時 平成13年11月1日(木) 13:30〜17:20
場所 クサツエストピアホテル 2階「瑞祥の間」




○庶務(三菱総合研究所 新田)

それでは、定刻となりましたので、只今から淀川水系流域委員会第6回琵琶湖部会を開催いたします。

司会の進行は、庶務を担当しております三菱総合研究所の新田がいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、審議に入る前に、ご報告と幾つかの確認をさせて頂きます。

まず、配布資料ですが、議事次第に示していますように、「資料1」から「参考資料3」までをお手元にお配りしております。委員の方には、事前に「資料2-1」と「参考資料1」をお送りしておりますので机上にはありません。また、第1回琵琶湖部会で使用した分厚いファイル「資料3 淀川水系の現状説明」をお二方に1冊ずつ置いてあります。ご参考としてご覧下さい。

一般傍聴者の方々には「資料3-3」と1枚ものの近畿地方整備局の資料はお手元にございません。こちらの資料はコピーの関係上、休憩時間までに皆さまのお手元にお配りしますのでよろしくお願いいたします。

カラーの資料につきましては委員の方のみに配布しており、一般傍聴者の方には白黒印刷で配布させて頂いております。受付の方にカラー資料一式を閲覧用として置いておりますのでご覧下さい。

本日は、一般傍聴の方々にも発言して頂く予定にしております。発言のタイミングにつきましては、部会長の進行に従い、ご発言して頂きますようよろしくお願いいたします。なお、審議の最中には、一般傍聴者からの発言はご遠慮頂いておりますので、ご協力よろしくお願いいたします。発言にあたっては、「発言にあたってのお願い」をご覧頂き、簡潔に時間を短く、要点をまとめてご発言頂きますようお願いいたします。

また、本日は会場の都合で委員の皆さま方のマイクの数が少なくなっています。発言の際には手を挙げて頂き、庶務の方からマイクをお渡しするということで、ご協力よろしくお願いいたします。

本日は、3名の委員から情報提供ということでお話を頂く予定になっています。説明時間は15分、質疑応答が5分ですので、時間厳守でお願いいたします。また、本日の終了は午後5時となっております。ご協力、よろしくお願いいたします。

それでは審議に移りたいと思います。川那部部会長、よろしくお願いいたします。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

それでは、始めさせて頂きます。

今日はまず、「琵琶湖を中心とする淀川水系の現状(環境、人と川との関わり)」について、情報提供をお三方からお願いすることになっております。井上委員、松岡委員、小林委員という順番で進めていきたいと思います。先ほど庶務からもありましたように、1人15分で必ず説明を終えて頂くよう、申し訳ございませんが、時間がくれば自動的に止めさせて頂きますので、よろしくお願いをいたします。

それでは、井上委員からお願いします。

○井上委員(琵琶湖部会)

井上です。よろしくお願いします。

資料2−1を用いて、琵琶湖における湖面利用の状況、およびウォータースポーツ実習についての説明が行われた。

i. 琵琶湖における湖面利用の状況

・琵琶湖に保管されている船はざっと8,500隻である。放置されているものを含めると、11,000隻になる。エンジンのついている船は、3年に一度検査を受ける必要があるが、約1,000件の検査切れの船がある。特に水上バイクは、検査が切れるとそのまま使わなくなる場合が多い。

・今後3年は、持ち込みのボート(例えばバスフィッシングのためのボート)等の数は増加し、水上スキー等については横ばいが予想されている。

・琵琶湖のマリーナ・保管施設は、北湖西岸では約20ヵ所のうち19ヵ所が自然湖岸(砂浜)を利用している。海外では湖岸を利用したマリーナ・保管施設は少ないが、琵琶湖は海外に比べウォータースポーツの歴史が浅いため、貧弱なマリーナ・保管施設が多い。

・今後デフレが続けば、琵琶湖に残されている自然湖岸(砂浜)等にボート等を安く預けられ小資本で運営可能な保管業が増加しそうだ。

・琵琶湖の遊泳場は、湖西側に圧倒的に多い。これは、湖西側に自然が美しく水質のよい所が多く残されていることを示している。

ii. ウォータースポーツ実習後のアンケートより

・1995年以降、BSCウォータースポーツセンターでは、琵琶湖でウォータースポーツを通して「環境・自然を大切に思う心」を呼び覚ます直接体験を、全国の学校に提案し、実施している。2000年の参加人数は9,500人となり、増加傾向にある。

・修学旅行などの中学生のアンケートによると、「琵琶湖が大きい」等の感想が、大学生では「知らない事への挑戦や感動」など自分自身の変化、環境・自然への関心が覗える。町歩きや観光地めぐりでは味わえない様々な魅力が琵琶湖にはあるのだと感じる。

・琵琶湖の湖面利用は、自由利用から厳粛なルールのある利用へ転換することを提言したい。そのルール作りは規制というよりもパフォーマンスとして行う。地域住民自らがパフォーマンスを作りだし、琵琶湖に関わる人々の優しさを伝え、琵琶湖を体感してもらう。

・川でも、人々がもっと川を実感できる場所を提供すれば、琵琶湖を体験した学生達のように感動してくれると思う。

(質疑応答)

・日本の場合、漁業については水面利用のルールが保たれてきたが、新しく湖面を利用するようになった人たちにはルールがない。この辺も、流域委員会で十分に議論していかねばならない。

・その通りである。水面利用のレジャーが、まだ産業としては認められていないことにも問題がある。(井上委員)

・問題はそのあたりにあると思う。水面利用がプライベートとしても認められていないし、公的にも管理できていない。

Q:船の登録数には上限はないのか。ある条件を満たせば全て登録可能なのか。(部会長)

A:条件を満たせばすべて登録できるが実際に使われているかどうかは別である。(井上委員)

・船の数が少ない時は顕在化しないが増えると顕在化する問題もある。外国ではその辺をどう考えているか、いろいろあると思う。今後、議論しなければならないのではないか。(部会長)

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

ありがとうございました。委員の方、質問、意見等ありましたらどうぞ。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

ありがとうございました。お話を聞いて感激をいたしました。他の方はどうかわかりませんが、ともかく琵琶湖はよいところがある、子供たちがこんなに生き生きとできるのだということを、私は実感して見ているのですが、数字にはなっていません。まして24時間365日湖辺にいるわけではないのですが、井上委員はまさに数十年いらっしゃるのですね。

○井上委員(琵琶湖部会)

30年です。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

30年、24時間、365日、琵琶湖に関わっておられる方が、ここまで説明して頂いて、大変ありがたいと思っています。

水利用のルールというのは、例えばアメリカやヨーロッパは、かなりきっちりとつくっています。日本の場合、伝統的な地域社会では、漁業のところはルールを守りながら利用してきました。ところが、現在、新しく参入してくる人たちの間にはルールがないということが井上委員のご意見ですね。この辺りは流域委員会でも十分議論しなければいけないだろうと、改めて思いました。

○井上委員(琵琶湖部会)

そうですね。マリーナ等は、産業として認められていないのです。そこに問題があると思います。マリーナ等の産業が人々をどれだけ幸せにするのかということは、海外では把握しているのではないかと思っています。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

多分、井上委員がおっしゃった辺りにあるのだろうと思います。ですから、今問題になっているのは、すき間ですよね。民間としても認められないし、公にも管理できていない。そのすき間の部分で、井上委員が提案しているパフォーマンスとして利用の約束事をつくろうというのも、井上委員らしい発想で大変感激しました。ありがとうございました。

○井上委員(琵琶湖部会)

ありがとうございました。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

他にはありませんか。

私からの質問ですが、船舶の登録というご説明がありましたね。登録数というのは制限があるのですか、ある条件が満たされれば全部登録になるのですか。

○井上委員(琵琶湖部会)

そうです。国土交通省が管理をしていますが、備品がきちんと揃っている、エンジンが正常に動く等の条件が満たされれば、船舶の登録ができます。ですから、登録した船がどこで使われて、その場所でどのようになるか等は一切関係がありません。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

日本では全く論じられてきていませんが、数が少ない時は問題がないが、数が増えると大きな問題が起こるということがあります。他国では、そのようなことが起こった場合、どのように考えるか、いろいろ決めているところもあります。そのようなことも含め、これからいろいろと議論しないといけないと思いました。

○井上委員(琵琶湖部会)

はい、そうですね。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

特にご質問等がなければ、松岡委員よりご説明をお願いします。

○松岡委員(琵琶湖部会)

私は琵琶湖に関わっていますので、どうしても琵琶湖サイドから一方的な言い方で伝えるかも知れません。

資料2−2を用いて、琵琶湖の漁業に関する現状についての説明が行われた。

・姉川、安曇川にはダムが計画されているが、河口にはアユの産卵場があり、漁業者にとって重要な資源となっている。琵琶湖の漁民は、わずかな漁業収入から資金を捻出してアユなどの資源を維持している。

・姉川、安曇川では、幅200m足らず長さ1qの範囲内で、かつて400、500人の漁民が生活していたが、現在は100人程度である。

・琵琶湖の変化を考える上では琵琶湖と陸をつないでいる河川は重要なキーワードである。1つの川の変化によっては琵琶湖の魚や自然を消滅させることもできる。

・堅田は内湖が守られ、自然が維持されている。内湖には琵琶湖で少なくなった魚も多いので、もっと大切にすべきである。内湖がなくなると漁民は半分の漁獲を失うことになる。

・琵琶湖の漁獲量は、昭和47年当時の40分の1近くまで減少している。本来、霞ヶ浦のように水が汚れると魚が増えるはずなのだが、琵琶湖の場合は漁獲量が減っている。ここに大きな問題がある。琵琶湖に人を支える力がなくなったように感じる。また、琵琶湖では、プランクトン食の魚が消え、琵琶湖に本来いなかった魚が増えるなどの変化が起こっている。

・水質も悪化している。船底に苔状のものがつくため塗料を塗ったり、漁具に防腐剤をつけなければならなくなった。また、一番影響しているのは工場排水、農業排水である。自然排水による汚れの場合は、後で水が澄み魚が戻ってくるが、農業排水や工業排水の場合は戻ってこない。

・73年と94年に異常渇水があったが、そのとき、20年かかっても戻せなかった琵琶湖の透明度が1mから12mまで回復した。この状況に琵琶湖を救える1つの可能性を感じた。ダムが無くても人間は生きることができる。本当にダムが必要なのか考えて欲しい。これからは、魚も、自然も、そして私たちもともに生きる、そういう方法を見つけ出す必要があると思う。

(質疑応答)

Q:漁業を生業としている方の人数の変化はどれくらいか。

A:琵琶総合開発以前は5,000人近くいたが、現在は1,000人足らずである。(松岡委員)

Q:登録上の漁業者は1,000人だが実質はそんなにいないはずである。また、湖面と川の漁業が統計上一緒になっている。分けて考えるべきではないか。

A:漁民の数については、実際に漁に出ない人も漁民として数えている。また、琵琶湖も河口も免許は区別されていない。川と琵琶湖は同じ漁場であると考えている。(松岡委員)

Q:漁獲された魚によって、湖外に持ち出されるリンなどの量は琵琶湖に流入する汚濁負荷量のどれくらいの割合か

A:重さを考えて質問者が計算して欲しい(部会長)

Q:魚の質的な変化について感じることはあるか。

A:琵琶湖にもともといた魚が、突然獲れたり獲れなくなったりしており、腕や経験を生かして獲ることができなくなっている。(松岡委員)

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

ありがとうございました。委員の方、質問、ご意見等ありましたらお願いいたします。

○江頭部会長代理(委員会・琵琶湖部会)

漁獲量の変化はよくわかったのですが、いわゆる漁業をなりわいとしている人々の数の変化等のデータをご存知であれば、ご紹介願いたいと思います。

○松岡委員(琵琶湖部会)

琵琶湖総合開発をする以前は、琵琶湖全域で5,000人近くいました。現在は、琵琶湖で資源が獲れない、獲れないから生活ができないということで、1,000人足らずの人々が琵琶湖で漁業をなりわいとして生活しています。

○江頭部会長代理(委員会・琵琶湖部会)

5,000人から1,000人くらいになっているということですね。

○松岡委員(琵琶湖部会)

はい。ただ、漁獲量があれば、恐らくもっと人数はとどまっていたと思います。

○川端委員(琵琶湖部会)

水質汚濁と漁獲量の関係について紹介されていましたが、非常に重要だと思います。例えばリンでもよいのですが、魚を通して汚濁物が湖外にどれだけ持ち出されているのか、琵琶湖へ流入する河川の負荷量の何パーセントくらいになるのか、わかればお教え頂けませんでしょうか。

○松岡委員(琵琶湖部会)

私は魚のことはわかりますが、数字的なことはよくわかりません。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

川端委員自身が重さを考え、計算した方がよいと思います。どれくらいの漁獲量があるかということを松岡委員、或いは、滋賀県の水産課等から聞き、参考になさればよいと思います。大変大事なところですので、是非よろしくお願いします。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

松岡委員が漁業をしている人は現在1,000人いるとおっしゃいましたが、登録上の漁業者は確かに1,000人ですが、実際に漁業で生活している人はそれ程いないはずなので、あまり大きな数字を言わない方がよいのではないかと思います。それからもうひとつ、琵琶湖の漁業というのは、湖面と川の入り口、ないし川で獲っている分が統計上一緒になっているので、それを区分けして湖面だけの漁獲をチェックしてみると、もっと厳しい結果になると思います。私はまだ、きっちりとは調査していませんが、例えば河口で梁で獲っているのも一緒に入ったりしているので、その辺の区分けはしなければならないという気がします。この辺りについて、ひとつ回答を頂きたいところです。

それからもうひとつは感想です。琵琶湖の中の漁業というものは、今から大分前の話ですが、昭和50年代に入った途端に、どんどん漁獲が減り、漁業者が漁業を放棄していったのです。他の産業に就職するということも進み、漁業が放棄されていく過程が並行して起きたと思います。

琵琶湖は日本の漁業の縮図であると見ていましたので、日本の漁業全体が同じようになる危険があると、その時に痛感しました。どの地域でも漁業から他の産業への就業に傾き、漁業から脱落する。一方では、海も荒れ、資源がなくなる。このようなことを随分前から心配していました。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

倉田委員からは後ほど必ずご意見を頂きますので、ご意見の方は後にして下さい。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

全く同じことが海でも起こっているわけで、琵琶湖を守ることは日本の漁業を守ることだと思ったのです。その辺についての感想も松岡委員よりお願いします。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

松岡委員の方から倉田委員の質問の部分について、お答え頂けたらありがたいと思います。

○松岡委員(琵琶湖部会)

川と琵琶湖とは全て一体のものです。私たち漁業者は、琵琶湖も河口も全てひとつで免許を与えられています。シジミ等は瀬田で獲れるのが本来ですが、堅田から北の一番上の方まで漁獲に来ます。そのような範囲で漁獲をしても構わないという認識があります。

漁民の数は、少なくとも登録がある以上、漁に出なくても漁民として換算しています。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

寺川委員、お願いします。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

先ほど漁獲量の変化をお聞きしたのですが、魚の質的な変化で感じておられるものがありましたらお願いします。

○松岡委員(琵琶湖部会)

ビワマス等の管理されている魚は、昭和20年代は、漁獲量は100tでした。現在は20tですが、これは資源管理をしているからです。ワカサギのように平成9年に爆発的に増え、一挙に400t近く獲れたこともあります。

ブラックバスが平成になって獲れるようになりましたが、これは僅か10匹のブラックバスが琵琶湖に放され、急激に増えたものです。一時期、150t近くが琵琶湖で漁獲されましたが、現在は30t近くになっています。

一番気になるのが、漁民の漁獲物でない魚、ワタカやモロコやフナ等の重要な魚種以外の魚が、恐らくこれも昭和47年前後に150tくらい獲れていましたが、現在では40tくらいになっています。これは琵琶湖の中に殆ど魚がいなくなってきた状況だと思います。

琵琶湖の魚が突然出たり、消えたり、そういうことが急に発生したということです。今までのように漁獲を獲る腕や、経験が、現在では生きてこないという状況です。毎年、自分達の得意な分野があり、そのような場所に行っても魚が獲れないようなことが、水質は変わりませんが起こってきています。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

ありがとうございました。進行が遅れていますので、その他のご意見やご質問は後で一緒にして頂きたいと思います。

井上委員と松岡委員は、お二方ともに大変長い間、実際に琵琶湖の周りにいらっしゃる方で、その方々のお話でした。

次に、小林委員からご説明頂きたいと思います。小林委員も非常に長い間、滋賀県一円を全部研究なさっているので、本来ならば、恐らく1日も2日もかかってご説明して頂かないといけないのでしょうが、時間の都合上、申し訳ありませんが15分でよろしくお願いいたします。

○小林委員(琵琶湖部会)

実は私、今日初めて委員でありながらこの部会に出席させて頂きました。実を申しますと、今回も出席ができないのではないかと思っていましたが、川那部部会長の方から、何としても話をしろという切々たる手紙を頂きましたものですから、今回情報提供させて頂くことになりました。

資料2-3を用いて、琵琶湖南湖における生物群集についての説明が行われた。

・昭和53年以降の数年間、湖底の植物や底生動物の生物群集に関する調査を行った。これは昭和44年の水産試験場調査との比較検討の材料となる。

・湖底の植物や底生生物は、非常に動きが鈍いため、そこに生息しているということ自体が環境や生育条件に適合していることを示している。そうした生物には、外部の要因に対して敏感に反応するものとそうでないものがいる。湖底に生息する多様な生物は、さまざまな環境に適応しながら生物群集、つまり一つの生物社会を構成している。この考えのもと、昭和53年以降数年間の調査データをまとめた。

・この調査資料によると5つの生物群集が認められた。昭和54年、55年の調査では、53年当時に成立していなかった生物群集が加わったが、全体として大きな変化はない。また、昭和44年には、南湖にはオオカナダモが生育していなかったが53年に突然激増し、58年には急に激減して、コカナダモが増えはじめつようになった。

・昭和44年のデータからの溶存酸素濃度の推移を見てみると、湖西の安曇川一帯、また、長浜近辺についても南湖と同程度に汚濁が進んでいるということがわかる。

・環境に対してものを言う場合、科学的な分析を行った上で発言するべきである。

(質疑応答)

Q:漁獲量の減少に関する松岡委員の説明と、小林委員の長年の経験との接点はあるのか。

A:私の場合、魚ではなく生物群集として見た場合にどうか、ということを伝えた。生物群集の中には、外因に敏感に反応して数を少なくするものと、それに適応して生き続けることができるものがある。昭和44年から53年というのは、琵琶湖に人間が多く関わってきた時代である。その間、それほどデータに大きな違いは見られない。私の立場でいうと、今すぐ生き物がいなくなってしまうということはないと言える。(小林委員)

Q:南湖が変わったのは、昭和53年以降である。今、どうなっているのかという判断はできるのか。

A:科学的な根拠に基づかずに言う事になるので難しい。昭和60年くらいにもう一度調査をしているが、まだまとまっていないため、答えられない。(小林委員)

以上でございまして、あまりご理解頂けなかったかと思いますし、こちらの方も何をどう話してよいのやら、わからない点もありましたが、結論としては、環境についてものを言うには、やはり、それなりの科学的な根拠をもって言わねばならないということをお願い申し上げて、終わりたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

どうもありがとうございました。それでは委員の方、ご質問、ご意見等ありましたらよろしくお願いいたします。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

小林委員が言われる科学的根拠の重要性というのは理解しているつもりです。

小林委員がご説明された昭和55年のデータについて、現在、琵琶湖はどうなっているのかという科学者としてのご意見と、先ほど松岡委員が直観的に大変重要なことをおっしゃいましたご意見がありました。松岡委員がおっしゃったこと、つまり、「今までの経験が生きてこない。」「人の影響も琵琶湖自身が受け止めることができない。」と切々と訴えておられたことと、小林委員の長年の経験との間に接点はおありでしょうか。

○小林委員(琵琶湖部会)

松岡委員は漁業がご専門ですね。漁業の立場から言うと、ある漁業に関わる種類についておっしゃられたと思います。私の場合にはそうではなく、魚も含め生物群集として見た場合にどうかということを伝えたつもりです。

説明の際にも言いましたが、生物群集の中で、ある種は人間が与えるような外因に対して非常に敏感に反応して数を少なくしていくものもあるでしょうし、外因に適応してずっと生きているものもあるということで、それが松岡委員のレベルで琵琶湖を見るのと、私のレベルで琵琶湖を見るのとは違うのだけれども、少なくとも私のレベルで見ると、今すぐ生き物がいなくなってしまうということはないと思っております。

昭和44年と昭和53年の10年くらいの間の生物群集を比べると、実はそう変わっていないのです。本日説明した資料では、生物群集の評価ランクが変わらない地点、下がっている地点もありますが、2地点では、何故そうなったのかわからないのですが、生物群集のランクが上がっています。

昭和44年から昭和53年というのは、琵琶湖に非常に大きく人間が関わってきた時代です。その間も生物群集のランクがそう変わっていないということが、少なくとも言えます。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

追加ですが、南湖が大きく変わったのは小林委員が調査をなされた昭和53年以降ですね。現在はどうなっているかというご判断はどうなのでしょうか。

○小林委員(琵琶湖部会)

昭和59年以降については、科学的な根拠に基づかずに言うことになりますので、難しいですね。難しいけれども、昭和53〜59年が少なくとも昭和44年よりも悪くなっているわけですから、先ほど説明したような程度の差で悪くなっているくらいだろうと思っています。この後、昭和60年以降にもう一度調査を行っていますが、その調査結果はまだまとまっていませんので、今、答えることはできません。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

科学的根拠をたいへん強調なさっていますので、その点については科学的に、やはり言って頂かないといけないと思います。

ただ「レベルが違う」というご説明だけでは、理解に苦しみます。

○小林委員(琵琶湖部会)

「その点については科学的に言って頂かないと」という「その点」とは何でしょうか。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

小林委員が科学的に根拠を示し、ご説明頂きたいと思います。

○小林委員(琵琶湖部会)

少なくとも、平成元年以降は調査を行っておらず、データを持っていませんので科学的に言えないということです。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

最近は調査をなさってないということでしょうか。

○小林委員(琵琶湖部会)

調査は行っていません。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

そうですか、わかりました。

○小林委員(琵琶湖部会)

調査を行うことがなかなかできません。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

ありがとうございました。では、お三方の情報提供の分を全部あわせて、少し意見交換をしたいと思います。三田村委員から何かご意見はございますか。できるだけお三方の情報提供を合わせてくださると、大変ありがたく存じます。

○三田村委員(委員会・琵琶湖部会)

松岡委員への質問というか、期待を込めたいという発言です。

漁師の人たちが、自分たちの将来の生活、或いは琵琶湖を守るための行動というのはあり得ますでしょうか。

私はある委員会で漁業組合の方から、「外来種の魚類の駆除を、キロあたり200円だったらやらない、500円だったら一生懸命やります。」という内容のお話を聞きましたが、実際はどうなのでしょうか。多分、漁師の人たちの代表的な意見だろうと思いますが、それでは漁師の人たちが自分たちの首を自分たちで締めているような発言ではないかと、私は感じました。漁師の人たち自らが、漁獲量を減らすような行為を今までしていたのではないかという反省に立った視点はあり得ますか。

○松岡委員(琵琶湖部会)

ちょっと難しい一面もあります。実は、漁師はアユに依存していて、アユが大事な収入源でした。1年間をアユ漁で賄えますが、加えて、いろいろな魚を獲っていました。しかし、現在ではそのような状況が崩れてきて、そのような心の余裕すらないという状況です。

例えば、鮒寿司で知られている卵をもった雌のフナを一匹助ければ、来年3,000〜5,000匹に孵ります。しかし、卵をもった雌のフナを獲らないと商品とはならないという、宿命的な問題に突きあたっています。

もちろん、現在はブラックバスも琵琶湖が受け皿となっており、いろいろな人が放流して、全てを受け入れています。内湖、湖岸、河川も潰されました。受け身になっており、自分達が生きていく術を全部失ってしまったのです。

その中で、まだ何ができるかといったら、漁業で得られた分から僅かなお金を絞り出して、資源維持をするしかありません。ですから、稚魚を放流する等、現在はそのレベルの努力しかできません。

ブラックバス等は、私たちにとっては招かざる客です。ブラックバスが毎日、他の魚類を食べ続けます。漁民は時間制限をして漁期を決め、漁獲量をある程度整備しながら漁をしていますが、ブラックバス等は24時間食べ続けます。ここが大きな問題です。統計資料からも出てくる通り、琵琶湖で生きることのできるブラックバスの漁は、40tくらいらしいので、このブラックバスを駆除すると、釣り等を行う人がブラックバスを放流するという、いたちごっこになります。

このような現状で、漁民は外来種の駆除をしないというのではなく、駆除できるようにしたいと思っています。生活にゆとりがもてる状況になった時に初めて、本来の力を発揮できると思います。現在は少し心の余裕がありません。申し訳ないです。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

倉田委員の方からご意見を頂きいと思いますが、今のご意見に対して何か発言頂けますでしょうか。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

この問題については、自然がなくなったから漁業ができなくなり、漁業者が壊滅に向かっているとは一概に言えない部分があります。社会経済的に言うと、別の要因が琵琶湖全体の経済に大きく効いており、その中で、漁業ではもう、この先そんなに高収入は望めないという、その辺の読みが漁業従事者には強く働き、非漁業部門産業の成長が高いため、特に若手労働力、漁業従事者がかなり流れ出したのです。実はそのことが、今度は資源の再生にも悪影響を及ぼしたという一面もあります。

それからもうひとつ、松岡委員を責めるわけではありませんが、4,500人、5,000人という人数の漁業者がいた時代でも、実はそんなにたくさんの人々が魚を獲ってはいません。多くて1,500人から1,800人くらいの漁業者が魚を獲っていました。獲れる時期だけは漁業をするがそれ以外の時期は漁をしない、免許を持っているだけの人がいるのです。ですから、偏った見方をせず、漁業の悪い面を全部さらけ出して議論をしなければいけないと思います。そういう意味で言うと、現在、1,000人が免許をもっているかも知れませんが、実は漁業で生活しようとしている人々は150人から180人くらいでしょう。

ですから、そのような状況にまでなったこと自体が、既に漁業が壊滅的になっているのですが、そのことを資源問題だけにすり替えてはいけないという反省があります。そのような意味で、先ほど松岡委員に少し質問したかったのです。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

魚の乱獲、或いは獲り過ぎ等ということは、漁業者の方は現場ではよく言っています。また、そのために資源保全ということも言っているのですが、2つのことが大事だと思います。

1つ目は、確かに来年、再来年のために資源をとっておいたらよいのだけれど、日々、その資源をとって飯を食わなければいけないということです。かすみを食って生きていくわけにいかないという、その辺りの切実さを松岡委員がおっしゃっているのだろうと思います。

つまり、大学の先生でも、地方公務員でも給料をもらいますが、給料をもらってない人たちはどうやって日々飯を食うのか、ということです。松岡委員も今日、この場にいたら漁業ができないわけですから、収入がないわけです。直接的に現実的なことを申し上げて、申し訳ないのですが、そういう部分をやはりひとつ、見なければならないだろうと思います。

2つ目は、量的に漁業者が何人ということに加えて、質的なことも大切です。いわば縄文時代から琵琶湖の自然の中で生きてきた人たちが、漁をしている人たちです。このような文化的、質的なことも含め、漁業者が1,000人だろうと、100人、或いは10人だろうと、やはり琵琶湖として大事だろうと私は感じています。

○村上委員(琵琶湖部会)

松岡委員への質問ですが、先ほど、川がこんなに変わってしまったというお話がありましたが、内湖が干拓されていった中での漁業への影響はどう感じられているのか、コメントを頂ければと思います。

○松岡委員(琵琶湖部会)

かつては必ず川の淵や河口付近に内湖があったように思います。内湖は川の流れを一旦受け止め、琵琶湖に緩やかに水を流していった。これは琵琶湖の周りを見てもらったら内湖がそのような構造になっているのでわかると思います。「緩やか」というのはすごく重要だったと思います。魚にとっても内湖は栄養源が送られ、プランクトンが発生し、稚魚が育っていく、一番重要なポイントです。

避けて通れない魚の一番弱い時期を、内湖で過ごしてきたのですから、内湖が消えると魚は一番弱い時期を湖岸に頼らざるを得なくなります。このことが非常に重要で、ひょっとしたら内湖を欠いたことによっていろいろな変化が起こってきているのかも知れません。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

淀川部会では、一部の魚に冷水病が起こったということで、その辺の情報提供がなされています。琵琶湖の中でもそういった状況があるのですが、今日のご報告の中では、そういう魚の質といいますか、病気のような話がありませんでした。その辺について、もし情報をお持ちでしたら、教えて頂きたいと思います。

○松岡委員(琵琶湖部会)

魚の病気のことですね。これは当然、人間がいろいろな病気を持つのと同じです。病気と切り離して考えられないのですが、輸入したサケの卵から来たと言われています。琵琶湖は今まで、このような免疫性がなかったということは事実です。当然、病気にかかったら重病になるはずです。例えば薬を与えずとも、琵琶湖で卵をもった状態でアユ等が当然出てきていますし、産卵もしています。ただ、川の流れに逆らうことができず、流れていく、死んでいくアユもあります。

でも、自然のアユ、何百年も生きてきたアユですから、当然、いろいろな能力をもっていますし、他の魚にしても、自分の力で生きていける魚が必ずいますので、それを助けながら、もちろん、いろいろな外からの研究や薬でも対応していきます。ですからその病気には負けないと思います。ちょっと時間はかかると思いますが、そのように感じています。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

せっかくそのような話が出ましたので、委員の方、あるいは一般傍聴の方で、あるいは県の琵琶湖環境部の方が良いの

かも知れませんが、そのような人も含め、宮本さんの質問に対する情報をもっていらっしゃる方はおられるでしょうか。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

先ほどの宮本所長からの質問は、少し違った意味ではないかと思います。恐らく、質問の背後にあるのは、ダムをあちこちでどんどんつくり、渇水を防いだり、水が溢れるのを防いだりしようとこれまでやってきました。そのダムをつくった影響として、冷水病のようなものにインパクトがあったという意見が各方面から出ているのに対して、松岡委員の体験上で何か感想はないかという質問だったと思うのですがどうでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

いいえ、そこまで深入りするつもりではありませんでした。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

私はそのような意見を幾つか聞いています。これは琵琶湖内ではありませんが、ダムが完成して水が流され出してから河川では冷水病が増えてきたということが、どうも因果関係があるのではないかと、証明はされていませんが、疑われています。そういうことが幾つも出てきていますので、恐らくそのことを紹介したから、それに対する感想を求められたのだと思いました。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

冷水病について、私は志賀町に住んでいますが、志賀町の小さな小川でも、斑点のあるアユが遡上しています。10匹いたら大体4、5匹は斑点があります。だんだん黒くなっていって死んでいくということで、非常に深刻に考えています。その辺の原因が何にあるのかということは、専門家の方が研究なさっていると思いますが、我々にも原因が特定できていません。

先ほど松岡委員がおっしゃったサケから運ばれてきたものが原因なのかも知れませんが、その病気に耐えられるような環境にはなっていません。ダムとの因果関係もあるのではないかというお話も出されましたが、これについては滋賀県の方でも情報を把握しているはずですので、もし、滋賀県の方がお見えになっていたら、少しお話をお聞きしたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

滋賀県の方で何かおっしゃることありますか。

○河川管理者(滋賀県 土木交通部 河港課長補佐 中谷)

滋賀県の河港課です。課長が所用で欠席しておりますので、課長補佐の中谷がお答えいたします。

今直ぐに、データをお示しすることはできませんが、滋賀県の水産課等とデータのやりとりをいたしまして、琵琶湖部会に提供できると思いますので、後日提供するということでお願いいたします。

○井上委員(琵琶湖部会)

今後、琵琶湖が一体どうなっていくのかということが皆さん不安だと思います。ですから、琵琶湖を預かっている滋賀県で、「10年先の琵琶湖はこうなっている。」といったことを予測したデータ等があれば欲しいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

そういう情報が出てきたら、改めて是非、教えて頂きたいと思いますので滋賀県のほうもよろしくお願いいたします。

では、「琵琶湖を中心とする淀川水系の現状(環境、人と川との関わり)について」はこれで終わりにさせて頂き、次の審議、「検討すべき課題について」の話に移りたいと思います。先ほどの井上委員がおっしゃった内容も絡むと思いますので、そちらで議論したいと思います。

それでは、少し早いですが、ここで一旦休憩をとりたいと思います。

 

[休憩:15:05〜15:25]

 

○庶務(三菱総合研究所 新田)

それでは審議を再開させて頂きたいと思います。部会長、よろしくお願いします。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

それでは議題の2番目、「検討すべき課題について」という部分を始めさせて頂きます。

まず、「資料3−1」と「資料3−2」について、庶務より簡単に説明してください。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

それでは庶務の方から、「資料3−1」と「資料3−2」について、簡単にご説明させて頂きます。

 

[省略:資料3-1、資料3-2説明]

 

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

ありがとうございました。

先ほどの説明のようなことで、「資料3−1」「資料3−2」には皆さまから頂いた検討項目とご意見が全部出ています。

昨日、第8回淀川部会を傍聴しましたが、検討項目を出して頂いた方が淀川部会の場合は殆ど全委員でしたが、当琵琶湖部会は半分程度であるというのを一番初めに強く感じました。是非、委員の皆さまから文書でお出し頂きたいと思います。追加を許さないというようなことは申しませんから、いろいろとお聞きしたいと思っています。

ところで、昨日の淀川部会での議論等もあわせ、「資料3−1」を材料にしながら私なりにまとめましたのが「資料3−3」です。今朝6時から琵琶湖博物館でまとめただけですので、倉卆のそしりはまぬがれませんが、いちおうそれを使いながら説明させて頂きたいと思います。

 

[省略:資料3−3説明]

 

まずは、委員の方からご自由にご意見を頂けたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○小林委員(琵琶湖部会)

私は以前、庶務に来てもらった時に意見として言ったのか、或いは文書で庶務に提出したのかわかりませんが、検討課題の中で一番欠けているのは、やはり滋賀県の河川を特徴づける河畔林の問題について一切触れていないということです。

河畔林は、周辺の市町村においては、水道原水の問題から始まり、伏流水になったものがまた途中で出てくる、その間をどうするかといった問題等々があります。この検討課題を見ますと、極めてどこにでもあるような形のものが課題になっているのですが、琵琶湖を含めた河川整備計画を考えるならば、河畔林に触れないということは、非常に大きな手落ちではないかと思います。

今申し上げました水道原水の問題、或いは生態系として、河畔林自身は、非常に大きな焦点になると思いますので触れる必要があると思います。また、これだけ規模の大きなもの、或いは質的に高いものとして存在する河畔林は他県にはありません。河畔林が琵琶湖に対してどう影響するのか、或いは、近辺では湧水として出ており、その湧水をまた集落ぐるみで利用している等、様々な問題がこれから考えられると思います。このことについては議論していかなければならないと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

他にはいかがでございますか。

○村上委員(琵琶湖部会)

今後のまとめ方について何か申し上げなければいけないと思いながら、まだまとまっていないのですが、取り敢えず、検討項目としてこれは入れて欲しいと思うことだけを先に述べます。

それは先ほど申し上げた、琵琶湖を特徴づけるものとして、内湖に関しては、ひとつ入れておく必要があると思います。今後の内湖の復元のこと等も含めた議論が必要ではないかと考えています。

もうひとつは、河川等の産業、もしくはなりわい、そういった部分に関して、河川というものをどのように見るのかという議論も、入れておく必要があると思っています。井上委員のお話の中にあったようなレジャーというものを産業としてきちっと位置付けておく必要があるということです。

もうひとつは、例えば河畔林や河川近くの竹やぶ等について、例えば河川の竹は、かつては商業的な価値があり維持をされてきたという背景もありますので、人のなりわいと河川との関係というものも、検討といいますか、念頭に置いておく必要があると考えています。

それと、この検討項目の並べ方として、私はこうした方がよいのではないかというのを、現在思っていることだけ言います。「資料3−3」の中の「3−5.情報共有・発信」という項目があります。それとはまた別に、「8.住民の意見聴取・反映方法」という項目がありますが、広報、公聴という部分は、一環としてやるものではないかと私は考えています。検討するに当たっては、「市民とのコミュニケーション」というような項目として、一体として考える必要があると考えています。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

項目として挙げることはある意味大事ですが、それぞれの地域社会が全体としてどう関わっているのかというような、いわば地域社会の社会組織というものは、漁業もあれば、遊びもあれば、儀式もあれば、川の管理もあります。そのようなところから、もともとあるものを入れるような部分も必要ではないかと思います。

項目主義になりますと、どうしても専門分化してしまいます。ですから、住民参加ではなくて、行政が地域社会の運営にどう参加していくのか、行政参加というようなことまで含めて、地域の成り立ちと、琵琶湖や川との関わりがわかるような工夫が欲しいと思います。

これは、今までの報告書では殆ど触れられていない、全くの発想の転換だと思います。そのようなことを、ここ最近強く感じております。つまり、行政が参画するために地域社会の成り立ちを把握できるような、そういう部分が欲しいということです。

○江頭部会長代理(委員会・琵琶湖部会)

これは後から議論する話かもしれませんが、理念や基本的な河川の考え方等を先ずしっかり議論して、その上でいろいろな項目の見直しをやっていけばよいと思います。

「資料3−3」に書いてありますように、『「河川の視点」および「人間の利害の視点」』といっても、非常に漠然としてわかりにくいところがあります。いろいろなところで私は申し上げているのですが、我々がどういう河川、或いはどういう流域が望ましいと考えているのかということです。

例えば、自然現象として見た場合に、一方向に現象が進行しない、たとえば河床材料が細粒化、あるいは粗粒化しない、植生が一方向に進まない、水質が一方向に進まない等、何か理念が必要だと思います。

理念があれば、対策のあり方といいますか、我々の生活の仕組みといいますか、そういったものが見えてくるのだと思います。

ですから、「資料3−3」に示す、基本的な考え方をしっかりと議論していく必要があるのではないかと感じています。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

少し大きな問題なので、江頭委員にお尋ねします。

むしろ、「検討項目」や「総論」等と書いてあること以前に、例えば、近畿地方整備局の文書の内容や、私が淀川部会のものを基盤に新たに作成した文章の内容等の、基本的な考え方という部分を先ず議論をした上で、その後、検討項目や総論について議論すべきであるということでしょうか。

○江頭部会長代理(委員会・琵琶湖部会)

はい。基本的な考え方を議論することによって、検討項目等が見えてくるのだと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

わかりました。

また、この検討項目の並べ方自身にも、様々な異論があると思います。淀川部会でもそのような議論がありましたが、それならどのような並べ方にしたらよいかという議論をするよりは、大体こんなものだということにして議論し、後でつくり直す方がきっと具体的だと思います。枠組みをどうすべきかという議論は、あまりしなくてもよいのではないかと私自身は思っています。

そうは言いながら、先ほど小林委員、村上委員から、滋賀県を特徴づけるものとして大事なものは何かを特記して考えるべきだという話がありました。一応、流域全体として考える、或いは沿岸をどう考え、大事にしていくかという言い方は、一般的にありますが、そうではなく、少なくとも河畔林と内湖というようなものは、特記してきちんとした議論をすべきであるということは、大変重要なことだと思うので、どこかの項目へ入れ、はっきりと書いておくべきだという気はします。

村上委員のおっしゃった河川と産業との関わりについては、つまり、産業の方から見る川のくくりというものとしては、どこかに入れておき、最後まで忘れることのないよう、是非記述しておくことが必要なのではないかと思います。それから、「資料3−3」の中の「3−5.情報共有、発信」と「8.住民の意見聴取・反映方法」は、まとめても少しも構わないと思います。

嘉田委員のおっしゃった、地域社会に関する内容は本当にそうだと思います。つまり、私流の言い方でいうと、「行政が知恵を出せ」とよく住民は言って来たのですが、本当はそうではないのであって、「住民が知恵を出して、それを行政が推し進める」というのが本来の姿だと思うのです。つまり、この流域委員会の考え方も、私は基本的にはそういうものだと思います。地域をどう考え、どうするかという見方は、まさに「住民が知恵を出す」という問題に関わってくると思いますので、どこかで確かに議論をさせて頂きたいと思います。この議論は、嘉田委員にかなりの部分をお任せしないといけないと思います。つまり、普通に扱うとあまりに抽象的な議論になるので、少し具体的にする部分は、そのようなことに詳しい委員も含め、是非、議論することが必要だと思います。

江頭委員のおっしゃった、河川の理念や基本的な考え方について議論するということは、まさにその通りではないかと私自身は思います。そこで、そうではないというようなご意見も含めて、是非、皆さまからのご意見を頂きたいと思います。

○仁連委員(琵琶湖部会)

琵琶湖独自のことで議論するというのは、この部会でしかできないので非常に大事なことだと思います。もうひとつ、その中に入れて頂きたいのが、湖沼管理と河川管理をどう考えたらよいのかということです。このことも関係してくるのではないかと思います。

琵琶湖は河川法上では1級河川になっています。法律用語はよくわかりませんが、河川法上、湖沼と河川は、公物としては区別されておらず、一括で扱われています。実際、河川整備計画の中で、「環境」等の要素が前面に出てくると、恐らく湖沼と河川の管理の仕組みというのは違ってくると思うので、その辺は区別する必要があるのかどうかという問題があります。或いは、現行の法的なままでよいのかどうかということも含め、検討する必要があるのではないかというのが1点です。

もうひとつは、結局全体で議論しようとしていることは、簡単に言ってしまうと次のようになると思います。つまり、今までは河川管理者が上から計画を策定し、それから公的資金で河川管理者がその計画を実行するという仕組みの中に、環境のことも考えよう、地域のことも考えようということであれば、その計画過程への住民参加や、住民からの下からの発想ということを入れようとしていたわけですよね。その時に、いわゆる住民の意見を聴くという仕組みでは不完全だと思います。

税金で立派な計画を、住民の意見を入れてつくって、上からやりますよというのではなく、やはり下からも負担する、住民自らも参加するということが必要だと思います。言いたいことを言うことが参加ではなく、責任がその住民にも及ぶということが住民参加だと思います。そういう仕組みも考えていかねばならないのではないかと思います。

例えば、琵琶湖・淀川水系を考えた場合には、この広域的な仕組みの中で、住民がどう責任を担うのか、経済的な負担も含めて担うのかという部分と、もう少しローカルなレベルで、地域社会がどう責任を担うかというところも十分踏まえておかないと、きれいごとだけではすまないのではないかという気がします。その辺については記述されていませんでしたので、つけ加えて頂きたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

事実を申し上げておきますと、淀川部会での議論の中には、いわゆる地方自治論というお話もありました。私はあまりよくわからなかったので、「資料3−3」には含めませんでしたが、仁連委員がおっしゃったのは、本物の意味での自治を考えるとすると、嘉田委員のお話とも関連してきますが、地方自治が県や市町村だけではなく、もう少し下へ下がったところまでを含めて、ある程度、議論が必要だというご意見ですね。このようなことも考える必要があると思います。

○宗宮委員(委員会・琵琶湖部会)

たまにしかこの部会に参加できず、十分お役に立てていないのですが、ひとつは「資料3−1」に示されている図です。概念的に、治水、利用、環境という要素が同じ大きさでリンクするものなのでしょうか。このような発想で、この委員会・部会を位置付けるのかどうか、しかも、図に描かれている環境というのは、いったい何だろうかという点があります。

先ほど、川那部部会長もおっしゃいましたが、生態系のアプローチという場合の生態系の中には、人間も含まれます。図に描かれている環境の中の項目を見たら、「7−2.生物、生態系」も入っています。ということは、環境の中身は、ぐちゃぐちゃになってしまっていて、我々がもう一遍、整理し直さなければいけないのではないかという気がするわけです。

例えば、治水の項目をご覧頂いても、これは高水についてばかりですね。低水の管理は治水の中には入らないのかという疑問があります。水漏れして水がなくなってしまうのは、放っておいてよいのか。そうなると、今までの管理が治水は高水であったのだけれども、これからは低水、平水というようなことも考えなければいけない、ということも当然出てくるはずだと思います。

そうすると、利用の場もこれだけでよいのかということが出てきます。例えば、景観も水があっての景観であれば環境なのか、利用なのかで、全く意味が違ってくるわけです。ですから、この図にある輪の描き方については、私は少し気になるところがあります。このような描き方でも結構ですが、この図の中に書いてある事象が、かなりレベルの違うものが入り込んでいるのではないかと思いますので、もう少し整理しながらやらないといけないと思います。できること、できないことが、かなり入り込んでいるのではないかなという気がして、それがちょっと気になって、まずひとつだけ指摘しておきたいと思いました。

もうひとつあります。今まで、少なくとも昭和45年の公害国会以来、河川法も改正され、川の中の水質管理も、企業にまで入り込み、立入検査等をして水質管理を行うところまでになり、ある程度の成果を上げて現在に至っていることは事実です。社会的には河川なり、或いは湖沼なりのつながりが出てきてはいるのですけれども、次の時代、いわゆる環境の時代に何をするかと言うことになります。つまり、公害の環境基準を満たす時代はこれまでのやり方でよかったのですが、その次の環境の時代には何をしますか、というところが問われるはずです。

それは何かといったら、資料として整理された中にもありますが、平水管理や低水管理としてうまく制御されている川、そこで一応出てくるであろうと思います。河川というのは平常の水位で流れている日の方が多いのですから、その日にレクリエーションなり、市民がどういう活動をするか、どのような目で見るかという市民サイドのレベルの見方で河川の価値観みたいなものが、表に出てきてもよいかという気がします。

確かに、今までは洪水対策をやって頂いて、安全・安心を先に売り物にしていたのですが、その次の時代は、環境に分類される価値も維持管理の対象とせざるを得ないようなところに出てきています。それを皆さまが求めるようになっているかも知れません。その辺がちょっと気になりますので、どこかに入れる必要があると思います。

○江頭部会長代理(委員会・琵琶湖部会)

今、環境管理の話が宗宮委員の方から少し出ましたが、よい生態系を良いシステムとして捉えてよいのかという大きな質問です。

つまり、我々人間の活動というのは、いろいろなものにインパクトを与えながらひとつのシステムがつくられているわけです。要するに、インパクトを与えて、それが違った生態系に移行するようなシステムです。例えば、幾らインパクトを与えても、それが既存のシステムの中に吸収され、従来の生態系が維持されていれば、よいシステムだという考え方はできるのでしょうか。

つまり、環境管理とつながってくる話ですが、例えば、川に植生が随分入ってきています。これは、放っておきますと森林化し、治水上よくないということになります。また、川の姿としてもよくないわけです。ですから、そういうものを修正するため、要するに良い環境を維持するために、低水管理、或いは人工洪水等による高水管理が考えられるわけです。

そういったことで環境管理をしていこうという時に、どういう生態システムを目標として管理していくか、そこがはっきりすれば、我々は目標を立てやすいのではないかと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

宗宮委員と江頭委員から大変おもしろい問題が出てきたので、どなたかこのことに関してご意見はございませんでしょうか。

○小林委員(琵琶湖部会)

宗宮委員のおっしゃった低水期の利用について、私はいろいろな場で発言していますが、やはり河川というからには、水が流れていなければ河川でも何でもないわけで、その意味では、低水管理をどうするかということは非常に大きな問題であるし、果たしてこの場で議論をしても解決できる問題かどうかという気もします。とにかく、宗宮委員がおっしゃった低水管理の問題は考えていかなければならないと思います。

それから、江頭委員のご意見ですが、これはそれぞれの地域を上流域から下流域まで河川全体を1つの生態系としてみる場合と、1つの河川の中流域の河畔林とか、流水域とか限られた範囲で見る場合によって、生態系そのものや範囲が当然異なってくるわけですから、一様な形でどういうものだということは、私は言えないと思います。また、生態系そのものは遷移していくものですから、生態系のシステムとしての管理目標を立てるとか、生態系を管理していくということなどはできないと思います。つまり、その地域、地域での生態系の構造的側面と機能的側面を十分に調査、解明したうえで、河川整備との整合性を考えていかなければいけないと思います。

○仁連委員(琵琶湖部会)

江頭委員のご意見ですが、琵琶湖の集水域は、現在のように河川整備がなされる以前の段階の時代を考えてみると、河川と河川でないものの区別がつかなかったということがあります。いわゆる河川でも、尻無川のような川がたくさんあって、上流の方は河川というのはっきりしていますが、下流へ行くと、河川がなくなっているという状態だったと思います。その中で宅地化が進行し、片方では農地の圃場整備が進み、河川と河川でないものというのが明確化されてきたと思います。

昔、河川整備が進む以前は、河川と河川の区別が不明確で、河川でないところでは、最終的には水田を水が流れて琵琶湖へ、或いは内湖を通じて琵琶湖へ流れるというような仕組みだったと思います。そういう仕組みを、ずっと長い間維持してきたといいますか、そういう形で琵琶湖の周辺では生活してきたわけです。

問題は、いわゆる琵琶湖の水位変動です。雨による水位変動で、湖に近いところは、雨が多い時には水害の被害があって、水害をなくすということがかなり大きな課題でした。そういうことを考えますと、何が河川であるかないかということも不明瞭にした流域、多分そういう形で、安定した生態系が維持されてきたのだと思います。

問題は、時々起こる大きな災害を、社会的にどう受け入れる仕組みをつくるか、そこが非常に大きな難点だったと思います。そういう難点がありながらも、ずっと同じような生態系が長く維持されてきたのではないかと思います。現在は河川整備が進んだおかげで、生態系はかなり単純化しているのではないでしょうか。私はあまり生態系のことはよくわかりませんが、生態系としては多様性をもっている方がよいと一般的に言われていて、私もただそれを覚えているだけです。いわゆる多様な生態系という点からいくと、河川とそうでないものをきっちり区別してしまうということが、生態系の多様性という観点からはよくないのではないだろうかと思います。そういう多様な生態系を、今の河川システムといいますか、水の循環システムの中にどうくっつけていけるのかを考えていくということが、課題になるのかなと思います。

ですから、河川とそうでないものという区別だけではなくて、もう少し不明瞭なところをつくれるのかどうかということが、課題になってくるのかと思いながら聞かせて頂いたのです。

○松岡委員(琵琶湖部会)

ちょっと的外れになるかも知れませんが、要するに、山から琵琶湖まで、もしくは淀川までの話をいたします。

上流の山で起こること、下流の淀川を出ていくこと、この中の話で、足し算、割り算、引き算、いろいろな形になると思います。洪水であれ、要するに雨をコントロールできませんので、何かを足したら何かが影響する、これは事実、起こってくる話です。このメカニズムがわかったら、いろいろなことが見えてくるのではないでしょうか。

1つダムをつくったら、何か1つ失う部分が出てきますし、ダムをつくることによってコントロールができるのだったら、それでもよいと思います。

それと、人間が住んでいる陸地の部分は影響を受けますので、陸地をソフトに考えていく、優しく考えられるようにしていくことだと思います。

○村上委員(琵琶湖部会)

先ほどの宗宮委員の発言にちょっと戻るのですが、私も「資料3−1」の3つの輪の図を見た時に、同じようにぎょっとしました。

前の部会でお話ししたことも、同じようなことだったのですが、やはり環境という言葉でひっくるめてしまっているものに、非常に多様なものがあると思います。それを明文化していって目標を立てる必要もひとつはあるかと思いますが、それをまたやり過ぎると、そこでまた抜け落ちるものがあると私は考えます。

この河川整備計画をつくる上で、その項目として、治水、利用、その次に環境というのがあるのがよいのかどうかというのは、私はちょっと疑問に思っています。例えば、治水、利用という項目でくくるのであれば、その中に環境という要素が溶け込んでいるという、そういう計画にするような考え方ができないものかと考えています。

○江頭部会長代理(委員会・琵琶湖部会)

「資料3−1」の図について申し上げるのを忘れていたのですが、水系の理想像としてこのような絵を描くのは、確かにおかしいと思います。しかし、これを河川整備計画の図として見れば、極めてわかりやすいわけです。

例えば、我々は今後とも、治水、利水、環境のための河川整備というのは、どんどんやっていく必要があると思います。いわゆる生活基盤、社会基盤はどんどん変わっていくわけですから、そのためには、環境整備をするための河川事業はあり得るのだと思います。

そうしますと、水利用、治水、それから環境、環境についてはもっと広い輪になるかも知れませんが、この3要素を満たすような河川整備計画という意味では、これは非常によいのだと思います。

「資料3−1」に出てくる図がよいのかどうかというのは私も疑問です。ただ、河川整備計画の中で出てくるのは非常にわかりやすいと思いますが、いかがでしょうか。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

そろそろ一般の傍聴の方からもご意見をお聴きしたいと思うのですが、ちょっと私なりの意見を言わせて頂いてよろしいですか。

「資料3−1」の図については、確かにある意味では奇妙だと思います。ただ、歴史的に言えば、『河川法』は最初は治水だけを目的として作られました。それに、利水が入り、3番目に自然環境が目的化されたわけです。村上委員のおっしゃるように、治水も利水もすべて環境の中に全部入り込んでいるのだというのは、理屈上は正しいわけですが、いわゆる「河川管理者」としては、「資料3−1」の図の3つの輪というのはまことに素直な気がします。

そういうことも含めて私は、「資料3−3」にあげた近畿地方整備局の文章、『「河川の視点」および「人間の利害の視点」を同等に位置付けた河川整備』というのを、従来の視点から進歩したものとして評価しつつ、『総合的人間の視点を含めた河川そのものが中心』という言い方に変えたわけです。宗宮委員がおっしゃった低水位のときの問題も、当然に平常時を含めた河川整備計画でなければならないこと、明白だと思います。

江頭委員がおっしゃった生態システムの目標設定の問題は、実は私自身もかなり前から困っているところで、2年ほど前に水資源開発公団に「環境室」が発足した際、しゃべったことがあります。例えば治水については、とりあえず何年確率で起こる洪水に対処するかということが目標になっています。したがってそんな計画はおかしいとか、計算が間違っているとか、いろいろに議論することはとにかく可能です。利水についても、今から何年後にはこれだけの水が必要であるという予測値がとにかく出ている。だから、その値はでたらめだとか、予測通りに伸びるはずはないとか、そもそも節水を基本にすべきだとか、議論の対象にすることはできます。

それに対して、自然環境の場合には、定量的目標はまだ建っていません。一番単純なのは例えば「1955年頃の状態に戻す」という言い方ですが、水質項目だけについて言う場合はともかく、総体としての環境を考えた際は「戻す」という言い方ができるかどうか、それ自身についてもかなりの疑問があります。

実はきのう、淀川部会である委員が同じようなことを言いました。そして、「このような状態は困る」あるいは「こうするのは絶対に困る」と言うのを積み上げて、そこから逆に目標がおのずから見えてくるようにするのが、現時点では最適だというものです。はっきり言えば、川は放っておいたらどんどん「安定化」の方向へ向かうわけです。生態系はもとより人間のくらしも、どこかで河川が氾濫しないと成り立っていかないものです。その辺のところも考えないといけない問題だと思います。

また、何人かの委員がおっしゃったように、環境はまさに開放系であるところに特徴があります。近畿地方整備局の文書にも、「縦断的(山〜川〜海)不連続の修復」「横断的(河川区域外〜河川敷〜水域)不連続の修復」とあり、また、「繰り返す破堤の輪廻からの脱却」が必要と書いてあります。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

今日、井上委員の方から、琵琶湖の遊びについて非常によい発表があったと思います。この河川整備計画の中でも遊びの部分は一応出てはいるのですけれども、もう少しきっちり押し出した方がよいのではないかと思います。

私は今、水上バイクの問題に取り組んでいるわけですけれども、あれは、ある意味ではちょっと歪んだ遊びではないかという感じがしているのです。日本人よりも海外の人たちの方が、遊びがうまいのですけれども、海外等の事例では、きっちり自然の中で自然を大切にして遊んでいるというスタイルが定着しているのです。ところが、日本人はとにかく何でもいいからやればいい、楽しかったらいいというような延長線上にあります。

水上バイクの排出ガス等は非常にひどいのですが、結局、日本には排出ガス等の基準がない、法規制がありません。だから何をしてもよいのだという理屈です。車の場合は規制がありますが、水上バイクの場合は規制がないので、相当ひどい排出ガスが出ていても放置されたまま、手の打ちようがないという状況があるわけです。

しかし、今日井上委員がおっしゃったように、湖面はスポーツ性としては展望があるし、明るいです。琵琶湖はそういう意味では、これから非常によい遊び場として展望をもっていく必要があるのではないかということが1点です。

それから、検討課題の中でもう1つ入れておく必要があると思っているのは、進め方の問題です。この問題は、これまでの部会でも恐らく、私や他の委員から出ていましたが、流域委員会で結論づけられたものを、どのように動かしていくかということで、ある程度の受け皿をつくっておかないと、非常に高尚な目的ができたのだけれども、それにたどり着くのに失敗するのではないか、うまくいかないのではないかという危惧があります。

そういった反省は、この30年、40年間を見てみればわかるわけで、結局、琵琶湖や河川を現在の状態にしたのは誰だということになるわけです。これは、それぞれ皆が責任あるわけです。例えば、行政サイドで採られてきたのは、審議会、或いは委員会制度があり、結局、その会には、行政が決めたことを追認するような委員以外は委員になれないという仕組みが今も続いているわけです。後追い的に、行政が決めたことを承認するけれども、それに異論を唱える者は、委員会や審議会といった場から排除するという形で進んできた、その結果が今日の姿であると言っても過言ではないと思います。

ですから今後、いろいろな異なる意見も含めて議論ができる場をつくっていくような仕組み、そういうものをつくっておかないと、幾ら今立派なことを決めてもうまく機能しないと思いますので、発言しておきたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

最初の御意見については、「資料3−3」の検討項目の総論の部分で、『「遊び」「育ち」「文化」の場としての琵琶湖と河川』というのが、村上委員、或いは「河川管理者」から出ていますし、「総合的に考えた適切な湖面利用のあり方」というのも「河川管理者」から出されており、その部分で寺川委員がおっしゃられた水上バイク等の問題は必ず議論することにしましょう。2つ目におっしゃられた進め方ですが、例えば、「9.その他」にどういうものを入れると、寺川委員のお考えが改めて議論できるか、そういう言い方で言って頂くと大変わかりやすいです。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

それでは、「9.その他」に「今後の進め方についての運営」等のタイトルで入れて頂きたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

もっと具体的に仰って頂けないでしょうか。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

例えば、推進委員会の設置等です。名称がふさわしくないかも知れません。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

何の推進ですか。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

新たにつくる河川整備計画の推進です。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

この流域委員会は、それをやるのではないでしょうか。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

ですから、それをつくる1つの素材を、この流域委員会で検討しているわけですね。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

そうです。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

ですから、その素材をつくることに向かって、推進するような組織もつくっておく必要があるのではないかという提起です。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

申し訳ありませんが、私には具体性が少しわかりません。誰か、助けて下さいますか。ああ、嘉田委員、お願いします。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

寺川委員の思いとは少しずれるかも知れませんが、寺川委員と関わりながら言わせて頂きますと、例えば今の寺川委員の提案は、具体的にはアクションプランをどうするのか、明記すべきだということだろうと思います。

そのアクションプランという時に、私が最初に申し上げましたように、各委員たちが分野別によいことを書いています。でも、具体的に受け止めるのは誰なのかという主体をしっかり明記する。日本の川は、地域住民から河川管理者に取り上げられてきたという歴史もあるわけです。ですからその辺まで含めて、複合領域の部分で誰が主体で、誰が責任をもつのかという形でのアクションプランは必要なのではないかと思います。

アクションプランを作る時に、水や川の利用については書いてありますけれど、所有の話は書いてないのです。水面は誰のものなのか、地面は誰のものなのかということです。

日本の場合は、今まで私有と公有と、地域社会がもっている共有という3つの視点があったのですけれど、その所有と責任の部分等も含めたアクションプランにしていく。それぞれの地域の、例えば河川の川づくり委員会等ではその辺りも少し議論が出ていると思いますけれども、そういうアクションプランが必要なのかなと思います。

ですから、私は住民意見の聴取ということ自体に反発をもっているわけです。つまり、意見を聴取して、誰が実行するのかという時の「誰が」がないといけないわけです。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

確かにそういった部分も含まれているのですが、私の表現の仕方がうまくいっていないのかもわかりません。

そういうプランをつくって、これからこの流域委員会で検討したものを近畿地方整備局に上げますね。近畿地方整備局の方ではそれに基づいて河川整備計画を策定する。その策定したものを実際に運営していく過程の中で、我々流域委員会が、河川整備計画案に対して意見を言いましたので、後はお任せしますよ、ということになるのかということです。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

手を挙げていらっしゃる宮本さんと児玉さんにしゃべってもらうのもよさそうですね。宮本さん、お願いいたします。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

要するに、寺川委員がおっしゃっているのは、河川整備計画ができた、しかし実際実施するのは我々河川管理者ですから、それを本当にちゃんと実施しているのか、或いはそれが当初思っていたけれども実際やってみたら違っていた、その時はどのようにチェックしていくのかということだと思います。

そのことについては、川那部部会長がおつくりになった、「資料3−3」の2ページ目の右上に書いてある、「フォローアップシステムの確立」だと思っております。河川整備計画が一応できます。しかし、恐らくまた追加の事項も出てくるだろうし、実際やってみたら違うからまた変更したいということがあります。それから、やれと言われたことを我々は本当にやっているのか、その効果はどうなのだ、或いは影響はどうなのだということもチェックしてもらわないといけないと思います。そういうフォローアップシステムを確立していくというのが、河川整備計画と一体となって必要だろうと思っています。

具体的には、「資料3−3」の3枚目に「3−3.管理のあり方」「3−4.連携・パートナーシップ」とありますが、この辺りに河川整備計画のフォローアップシステムといいますか、河川整備計画推進の進め方、そういう項目があればよいのかと思っています。

今、嘉田委員がおっしゃいましたそれぞれの役割分担、アクションプランをどうするのだということも、「3−4.連携・パートナーシップ」の部分に具体的に書いていくのかという気がしております。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

児玉さん、つけ加えることがあればお願いします。

○河川管理者(近畿地方整備局 琵琶湖工事事務所長 児玉)

今、宮本所長が申し上げた通りです。

フォローアップシステムが特に大事だろうということで、最初の基本的な考え方の中で議論すべきくらい、重要だと思っています。

「資料3−3」の基本的な考え方のところで、「順応的フィードバック式計画」という言葉が出ています。これは、きちっとフォローアップをするということも含んでいると思いますが、我々が河川整備計画を立てた時にわかっていること、わからないこと、気づいていないことがたくさんあるわけです。実際に河川整備計画を実施してみると、全く気づいてなかったことが起こったり、こうだと思っていたことが違っていたり、そのようなことが生じるわけです。そういうことがあるということを前提にした計画づくりも必要になってくるのではないかという意味で、これは委員会の方でもご指摘があったかと思いますが、そういったことを含めて、やや使いなれない言葉ですが、「順応的フィードバック式計画」という言葉を使っております。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

寺川委員、よろしいですか。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

結構です。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

河川整備計画は、現段階では法律上は国土交通省が作るものであり、流域委員会はそれについて意見を言うものとなっています。国土交通省が「その意見を尊重する」とおっしゃっているのも、正式には言葉の話にすぎません。前回のある委員の言葉を借りれば、「信用してみよう」ということです。河川整備計画が、ここの流域委員会で議論していたものの大筋から万一外れるものであれば、この流域委員会はかりに解散していたとしても、個人としても元委員としても、「けしからん、とんでもない。」と強い抗議がなされるでしょうし、いや、すべきことだと考えます。

河川整備計画そのものを住民の手で、すなわち完全に直接民主制でやるべきだという意見は、とりあえずは困難でしょうが、先ほど仁連委員がおっしゃったように、住民がどう負担して、どうするかという問題も含めての議論は、この流域委員会の最後あたりで論じなければならない課題かも知れません。

さて、ここで一般傍聴者からご意見を頂ければと思います。何でもおっしゃって頂いても構わないのですが、今日3人の委員がお話しになった内容に関する問題、或いはこれからどのように検討課題を選びながら進めていくかということに関連のあるものをとくに歓迎します。

但し、誠に申し訳ありませんが、時間に制約がございます。委員の説明も、時間を切ってお願いしましたので一般の方からの御意見は、どんなに長くても1人5分以内でお願いしたいと思います。

いかがでしょうか。今日はまだ検討課題について議論し始めたばかりですが、一般傍聴者の方々で、これこそ検討すべきであるとか、こういう議論こそやるべきであるというご発言を頂けないでしょうか。

嘉田委員がはっきり言ってくださったのですが、一体、住民とは何であるかとか、住民意見の聴取・参画・反映等はどういうやり方をすべきなのかということについても、御意見があればお願いします。

○傍聴者(竹田)

松岡委員からの説明を頂きまして、「資料2−2」の最後のページに書いてありますが、その下から4行目、「十年ほど前までは、年間三百−百tの漁獲高があり、ピークの1986一九八六年には五百七十tを記録。以後急減し、・・・」と記載されています。

ところが、考えてみれば、それは外来魚(ブラックバスなど)との関係で、ある程度魚の増殖というものが影響しているのではないだろうかと思われるのです。その点が、今日十分に理解できませんでしたので、また追加の説明をお願いしたいと思います。

それと、これまでのお話の中で、ここに何名の一般傍聴者が参加されているのかはわかりませんが、私達のように古くから琵琶湖に住んでいて、いろいろ感じながら実際に発言される方がおられない、公聴会等でもなかなか発言されない、その事態をもっとしっかりととらえて欲しいと思います。今日も1人の報道関係者が来ておられますが、殆ど報道関係者も来られない、閉鎖的な会議になっています。この会議自身、そうした現状をもっとしっかりととらえてもらわなければならないと思います。皆に認識された、開かれた会議の場ではありません。この事態をどのようにするのか、検討しなければ、本当の意見が出てこないのではないかと思います。それをお願いしたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

ありがとうございました。他のご意見はありますか。ないようでしたら、松岡委員からお願いします。

○松岡委員(琵琶湖部会)

食害の件だったと思いますが、ブラックバス自体は突然出てきましたが、琵琶湖に最も多くいた時が150tでした。現在は27t前後で、30tに満たないと思います。決して食害がないということではなしに、外来魚は琵琶湖で自然に再生産している魚ももちろん捕食しています。

ただ、資源維持のために放流を一生懸命やっている漁民の姿があります。この資源維持の中には、食害されることを前提にして放流する部分と、それ以上に一生懸命、資源を増やしていく部分があります。放流するサイズは、例えばこれまで1mm前後の稚魚を最大限に放していたのを、5、6cmの大きさまで育成して放流する、そういう負担をかけながら放流しています。また、冬場に外来魚の活動が鈍った時に、大きい稚魚を放流する等、あらゆる努力をしています。

もちろん何パーセントかは食害され、漁民に捕獲されることもありますが、今やれる限りのことはやっていますし、アユやその他の遊泳能力がある魚種、要するに食害に対応できるような魚種に関しては、それほど外来魚の影響はないかと考えております。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

私からつけ加えさせて頂くと、ここ1、2年、琵琶湖の周りの川や溝で、住民の方が調べて下さっている結果では、オオクチバス(ブラックバス)やブルーギルと在来の魚との間に極端な逆相関があります。

従って、周りの川や溝、或いは非常に近い沿岸に関する限り、オオクチバスやブルーギルが、在来の魚に対してかなり大きな影響を現在与えているというのは、疑いのない事実です。

しかし、琵琶湖の漁獲が減りはじめてきたのは、オオクチバスやブルーギルが侵入する以前からです。それ以外の要因によって、漁獲が減り始めたことは統計からも明らかなようです。そして、現在は、オオクチクバスやブルーギルが在来魚を致命的にまで減少させたことは明白です。

それから、竹田さんに発言して頂いたことは本当にありがたいことです。竹田さんのようにこの場でしゃべって頂くことが必要で、是非、皆さまよろしくお願いいたします。どうやったら皆さんから意見を言って頂けるのか、我々も考えますが、一般の方々からも教えて頂きたいと思っています。つまり、このような意見聴取のやり方では駄目だということであれば、どういうやり方をしたら自主的に意見を頂けるのか、ぜひいろいろ教えて頂きたいと思います。

現地視察の際など、もう少し座談的に話ができるような場をつくらなければならないのではないか、或いは、もっと何か方法があるのではないかなどと私もいろいろ思案しています。当然に住民の方々に「縄をつけて引っ張ってきて、意見を言ってもらう」わけにはいきません。知恵が足りませんので、是非お教え頂きたいと思います。

今、一般傍聴者からは1人の方しか意見を頂けなかったのですが、委員の方から他にご発言頂くことがありますか。

もしなければ、もうそろそろ17時になりますので、その他の審議に入らせて頂いてよろしいでしょうか。

先ずは、皆さまのお手元に「資料4−1:琵琶湖部会における委員発言に対する資料」がありますが、後で絶対読もうという気になるように、どなたか手短に説明して頂けますか。

○河川管理者(滋賀県 土木交通部 河港課長補佐 中谷)

滋賀県河港課の中谷です。

手短に説明をさせて頂きます。これは前回の議論を受けまして、県の方からも情報提供させて頂こうということでお配りしています。琵琶湖利用の適正化に関する取り組みと、県における河川整備計画の策定、それに関連します淡海の川づくり検討委員会についての資料です。

@滋賀県からの資料4−1についての説明

・琵琶湖利用の適正化に関する取り組みについては、懇話会、或いは検討チームを設け、議論を進めており、資料4−1の1にその経過や委員名簿等を掲載している。

・滋賀県でも河川整備計画の策定に取り組んでおり、「淡海の川づくり検討委員会」を設置している。また、委員会の前段として、複数の市町村に跨がる河川等では、地域住民から川づくりに関して意見を聴く「川づくり会議」を設けており、委員会とあわせ2段階での議論を行っている。資料4−1の2に委員会および川づくり会議の概要を掲載している。

・資料4−1の11ページの図は色落ちしている部分等があるため、後日、差し換える。

A 水資源開発公団(丹生ダム建設所)からの報告

・以前の部会で、丹生ダムについて従来からの継続工事については事業を進めていると報告したが、その工事について一般の方から疑義が出されたため、現在、自主的に休止していることを報告したい。ホームページに掲載している内容を資料として配付させて頂いた。 

 以上です。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

ありがとうございました。では、今後の進めについて、審議したいと思います。

今のところ、11月20日に現地視察を予定しています。現在、出席予定者が少ないため、部会として成立するかどうかの瀬戸際ですので、欠席予定の方も、用事がもしもなくなりました時には、或いはできるだけ減らして頂いて、現地視察に参加して頂きたいと思っております。

現在のところ、安曇川を視察することになっており、安曇川駅辺りで集合し、湖岸を少し見て、人工河川から上流へ上がっていき、朽木辺りでできることなら住民の方に集まってもらい、ご意見を聴くようなことをするのがよいと思っております。

その後、北川を見て、本流をできるだけ上流まで見ます。その後、大変不思議な内湖である堅田内湖を見たいと一応考えております。是非、ご参加をお願いしたいと思います。

そこでお願いなのですが、滋賀県の河港課からは視察当日にご説明を頂きますが、それ以外の方で、安曇川について説明をして頂く方があれば、是非お願いしたいと思います。委員の中で、こういう問題について説明したいという方があればもちろん歓迎いたしますし、現地にいる方で、現地のことについて説明してもらったらどうかという方がいれば、是非ご紹介を頂いて、庶務の方に連絡して頂きたいと思います。

それから、先ほどの竹田さんのお話にあったことと関連するのですが、可能であれば朽木辺りで小さい会を開き、地元の方々からお話を承る機会があってもよいのではないかと思います。従来もいくつかのところで会を開いていますが、今度は川の周りに住んでいらっしゃる方が、その川について一般的にどういう考えをもっていらっしゃるかということをお聴きしたいと思います。意見をおっしゃって頂くための試みのひとつという意味もあります。

先に頂いたご意見の中に、委員が現地でばらばらになり、いろいろな人に勝手に意見を聴くのはどうかというのがありました。時間的な制約から、今回はそういう形をとることは無理ですが、次の機会には考えてみたいと思っています。

なお、「河川管理者」の方は、現地視察が部会として成立しない可能性もありますが、参加してください。

その次の部会は12月のいつでしたでしょうか。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

12月21日です。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

12月21日は、皆さまにお聞きしているところによると、午前中3時間ということでしょうか。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

はい、そうです。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

午前中3時間で開催させて頂きたいと思っておりますので、皆さまよろしくお願いいたします。場所は大津だったと思います。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

はい、ピアザ淡海で9時45分から12時45分までです。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

昨日開かれた淀川部会は4時間少しでした。委員の中には4時間ではとても足りない、5、6時間で開かないといけないという意見もあったらしいです。しかし、4〜5時間ぶっ続けというのでは、疲れてしまってきちっとした議論ができないということもありますので、取り敢えず今のところは3時間くらいでやりたいと思っています。

12月の会議での情報提供については宗宮委員と倉田委員からして頂けるということと、村上委員が追加で説明したいとおっしゃっていましたでしょうか。

○村上委員(琵琶湖部会)

準備ができるかどうかはわかりません。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

一応、宗宮委員と倉田委員に15分ずつくらいで情報提供と議論すべき内容等についてお話を頂きたいと思います。

情報提供して頂いた後、検討課題についての議論に入りたいと思っておりますが、先ほど申したようなやり方でよろしいでしょうか。つまり、1人1人、各々の思いを語って頂くという順番よりは、「資料3−3」に仮に書かせて頂きました、「基本的な考え方」と書いてある項目辺りから、少しずつ順番にやっていくというやり方でよろしいでしょうか。

○村上委員(琵琶湖部会)

私もそれでよいと思っています。

1つ確認したいことがあるのですけれども、今回、川那部部会長がまとめて下さった検討課題「資料3−3」は、河川整備計画そのものということではないですよね。河川整備計画の大もとの形になるものではなく、今後、討議する議題が並んでいるものだと解釈したらよいですよね。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

そうだと思います。

近畿地方整備局も、このような項目を全部入れて、河川整備計画をつくるということにはなっていないのではないかと思います。ことに、河川整備計画での何を議論するか、何を入れるかについてのアイデアも、まずはこの流域委員会から受けたいということだったと思います。そういう意味では村上委員がおっしゃるように、ここに出ている項目は、河川整備計画そのものではないと思います。ただし、いろいろな議論をする際の内容として整理してきたのだと思っていますが、宮本さん、よろしいですね。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

結構です。

○村上委員(琵琶湖部会)

わかりました。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

丹生ダムの問題で、これまでにも私が一部資料を提供していますが、もう少し整理したものを提供し、できたら発言したいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

わかりました。12月の方が絶対よいでしょうか。と言いますのは、情報提供者が3人だと多いので、できたら1月辺りにということはできませんか。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

それでも結構です。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

丹生ダム問題は、どこかで絶対に議論をしないといけないことであり、或いは改めて現地視察も必要になるかも知れません。その前に、一般的な議論も同時にやっておく必要があると思っております。

倉田委員は、委員会の方ではこの前お話を頂いておりますが、琵琶湖に即したところで情報提供して頂きたいと思っています。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

情報提供させて頂きますが、時期についてはご都合にあわせます。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

わかりました。それでは、後で相談させて頂きます。

以上のような格好で12月の部会は進行させて頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

それから来年1月以降ですが、最初は会議時間を2時間と考え、皆さまにご都合をお聞きしていたのですが、2時間というのではどうにもならないので、3、4時間くらいの会議時間をとることをお許し頂きたいと思います。

次に、「トピックス」と書かれている資料が配布されていますが、どなたかご説明頂けるのでしょうか。

○河川管理者(水資源開発公団 丹生ダム建設所長 上村)

丹生ダムの所長の上村です。貴重なお時間を拝借します。

トピックスということで両面刷りの資料があります。これは丹生ダムのホームページに掲載しています。2枚目の方は、既に第1回の琵琶湖部会で「資料3」として提出している資料です。

現在、丹生ダムの現地において実施している工事に対して、疑義が出されている状況でございまして、それについてご説明させて頂きます。

ホームページの資料の方ですが、一時中止した工事ということで資料の真ん中のところにひげのように赤い印があると思いまが、これについては、第1回琵琶湖部会の「資料3」におきましても、赤い印がちょうど真ん中のダムより直上流のところにあるわけです。この赤い印につきましては、以前、継続工事ということで琵琶湖部会の中で承認させて頂いたことと判断しているわけですけれども、現在、ダムの上流で工事をしているということ、それと濁水に対する疑惑というようなことで疑義が申し出されております。

この工事につきましては、ダムより直上流ではありますけれども、県道中河内木之本線のための進入路工事ということで、地元が早期完成を望んでいるために必要な道路です。これに対して、再度流域委員会のご判断というわけではございませんが、ご理解を頂いて、特にちょっとおかしいのではないかということがございましたら、また検討させて頂きたいと思います。道路の早期完成と濁水対策につきましては、通常行う以上の十分な対応をやっているということで、ご理解を頂きたいということでトピックスという形でご紹介といいますか、またご意見等を頂けたらと思いまして提示させて頂きました。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

今のように「理解して欲しい」あるいは「意見が欲しい」という要請なのでしょうか。この流域委員会に関する私の一般的理解とは全く違っているのですが。

○河川管理者(水資源開発公団 関西支社副支社長 福田)

要請ということではなくて、以前に部会でも報告させて頂いた工事をやっておりますということで、ただ、一般の方から疑義が出されていますので、取り敢えず自主的に公団が工事を休止をしているというご報告です。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

判りました。

これは、関連して他にもいろいろな議論があると思いますので、はっきりさせておきたいと思います。丹生ダムの道路計画について、流域委員会或いは部会は論じたことも承認したこともありません。逆に、現在道路計画は既に進めているから、流域委員会がそれを議論しても意味がない、と言われているわけです。それに対して、ダム本体に関しては流域委員会で議論をして、それを河川整備計画に入れるか入れないかを意見として出すことが要請されているのです。したがって道路については、「ご理解を頂きたい」のではなくて、ただ現状を報告されただけとします。もっともこれは、琵琶湖部会として意見を言わないということであって、委員が個人としてそれに対して意見を言うことは別の話です。

江頭部会長代理、そういう理解で宜しいでしょうか。

○江頭部会長代理(委員会・琵琶湖部会)

はい。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

しかし、この場で丹生ダムについて説明して頂きましたので、各個人が意見をおっしゃるのは構わないということにしましょう。どなたか、短い時間でありましたらどうぞ。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

これについては、この場で報告を受けたから認めたということでは絶対ない、と重ねて言っておきたいと思います。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)

繰りかえしますと、丹生ダム本体に関しては、河川整備計画に位置付けるのか位置付けないのか、その議論は、この流域委員会の義務です。

何かその他、ございましたでしょうか。

閉会が20分遅れ、誠に申し訳ありませんが、これで終わりにさせて頂きたいと思います。では、現地視察が11月20日、次の会議が12月21日という日程ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

それでは、これにて第6回琵琶湖部会を閉会させて頂きたいと思います。どうもありがとうございました。

なお、先ほど滋賀県の方がおっしゃっていました「水上バイク協議会における水質等への影響調査の実施について」という資料を受付に置いておりますので、ご覧頂ければと思います。

以上

 

 

Copyright(C) 2002淀川水系流域委員会 All Rights Reserved.