淀川水系流域委員会 第6回琵琶湖部会(2001.11.1開催)速報

2002年2月26日現在

部会長 川那部 浩哉

1. 琵琶湖を中心とする淀川水系の現状(環境、人と川との関わり)についての情報提供

@ 井上委員からの主な説明

資料2−1を用いて、琵琶湖における湖面利用の状況、およびウォータースポーツ実習についての説明が行われた。

i. 琵琶湖における湖面利用の状況

・琵琶湖に保管されている船はざっと8,500隻である。放置されているものを含めると、11,000隻になる。エンジンのついている船は、3年に一度検査を受ける必要があるが、約1,000件の検査切れの船がある。特に水上バイクは、検査が切れるとそのまま使わなくなる場合が多い。

・今後3年は、持ち込みのボート(例えばバスフィッシングのためのボート)等の数は増加し、水上スキー等については横ばいが予想されている。

・琵琶湖のマリーナ・保管施設は、北湖西岸では約20ヵ所のうち19ヵ所が自然湖岸(砂浜)を利用している。海外では湖岸を利用したマリーナ・保管施設は少ないが、琵琶湖は海外に比べウォータースポーツの歴史が浅いため、貧弱なマリーナ・保管施設が多い。

・今後デフレが続けば、琵琶湖に残されている自然湖岸(砂浜)等にボート等を安く預けられ小資本で運営可能な保管業が増加しそうだ。

・琵琶湖の遊泳場は、湖西側に圧倒的に多い。これは、湖西側に自然が美しく水質のよい所が多く残されていることを示している。

ii. ウォータースポーツ実習後のアンケートより

・1995年以降、BSCウォータースポーツセンターでは、琵琶湖でウォータースポーツを通して「環境・自然を大切に思う心」を呼び覚ます直接体験を、全国の学校に提案し、実施している。2000年の参加人数は9,500人となり、増加傾向にある。

・修学旅行などの中学生のアンケートによると、「琵琶湖が大きい」等の感想が、大学生では「知らない事への挑戦や感動」など自分自身の変化、環境・自然への関心が覗える。町歩きや観光地めぐりでは味わえない様々な魅力が琵琶湖にはあるのだと感じる。

・琵琶湖の湖面利用は、自由利用から厳粛なルールのある利用へ転換することを提言したい。そのルール作りは規制というよりもパフォーマンスとして行う。地域住民自らがパフォーマンスを作りだし、琵琶湖に関わる人々の優しさを伝え、琵琶湖を体感してもらう。

・川でも、人々がもっと川を実感できる場所を提供すれば、琵琶湖を体験した学生達のように感動してくれると思う。

(質疑応答)

・日本の場合、漁業については水面利用のルールが保たれてきたが、新しく湖面を利用するようになった人たちにはルールがない。この辺も、流域委員会で十分に議論していかねばならない。

・その通りである。水面利用のレジャーが、まだ産業としては認められていないことにも問題がある。(井上委員)

・問題はそのあたりにあると思う。水面利用がプライベートとしても認められていないし、公的にも管理できていない。

Q:船の登録数には上限はないのか。ある条件を満たせば全て登録可能なのか。(部会長)

A:条件を満たせばすべて登録できるが実際に使われているかどうかは別である。(井上委員)

・船の数が少ない時は顕在化しないが増えると顕在化する問題もある。外国ではその辺をどう考えているか、いろいろあると思う。今後、議論しなければならないのではないか。(部会長)

A松岡委員からの主な説明

資料2−2を用いて、琵琶湖の漁業に関する現状についての説明が行われた。

・姉川、安曇川にはダムが計画されているが、河口にはアユの産卵場があり、漁業者にとって重要な資源となっている。琵琶湖の漁民は、わずかな漁業収入から資金を捻出してアユなどの資源を維持している。

・姉川、安曇川では、幅200m足らず長さ1qの範囲内で、かつて400、500人の漁民が生活していたが、現在は100人程度である。

・琵琶湖の変化を考える上では琵琶湖と陸をつないでいる河川は重要なキーワードである。1つの川の変化によっては琵琶湖の魚や自然を消滅させることもできる。

・堅田は内湖が守られ、自然が維持されている。内湖には琵琶湖で少なくなった魚も多いので、もっと大切にすべきである。内湖がなくなると漁民は半分の漁獲を失うことになる。

・琵琶湖の漁獲量は、昭和47年当時の40分の1近くまで減少している。本来、霞ヶ浦のように水が汚れると魚が増えるはずなのだが、琵琶湖の場合は漁獲量が減っている。ここに大きな問題がある。琵琶湖に人を支える力がなくなったように感じる。また、琵琶湖では、プランクトン食の魚が消え、琵琶湖に本来いなかった魚が増えるなどの変化が起こっている。

・水質も悪化している。船底に苔状のものがつくため塗料を塗ったり、漁具に防腐剤をつけなければならなくなった。また、一番影響しているのは工場排水、農業排水である。自然排水による汚れの場合は、後で水が澄み魚が戻ってくるが、農業排水や工業排水の場合は戻ってこない。

・73年と94年に異常渇水があったが、そのとき、20年かかっても戻せなかった琵琶湖の透明度が1mから12mまで回復した。この状況に琵琶湖を救える1つの可能性を感じた。ダムが無くても人間は生きることができる。本当にダムが必要なのか考えて欲しい。これからは、魚も、自然も、そして私たちもともに生きる、そういう方法を見つけ出す必要があると思う。

(質疑応答)

Q:漁業を生業としている方の人数の変化はどれくらいか。

A:琵琶総合開発以前は5,000人近くいたが、現在は1,000人足らずである。(松岡委員)

Q:登録上の漁業者は1,000人だが実質はそんなにいないはずである。また、湖面と川の漁業が統計上一緒になっている。分けて考えるべきではないか。

A:漁民の数については、実際に漁に出ない人も漁民として数えている。また、琵琶湖も河口も免許は区別されていない。川と琵琶湖は同じ漁場であると考えている。(松岡委員)

Q:漁獲された魚によって、湖外に持ち出されるリンなどの量は琵琶湖に流入する汚濁負荷量のどれくらいの割合か

A:重さを考えて質問者が計算して欲しい(部会長)

Q:魚の質的な変化について感じることはあるか。

A:琵琶湖にもともといた魚が、突然獲れたり獲れなくなったりしており、腕や経験を生かして獲ることができなくなっている。(松岡委員)

B小林委員からの主な説明

資料2−3を用いて、琵琶湖南湖における生物群集についての説明が行われた。

・昭和53年以降の数年間、湖底の植物や底生動物の生物群集に関する調査を行った。これは昭和44年の水産試験場調査との比較検討の材料となる。

・湖底の植物や底生生物は、非常に動きが鈍いため、そこに生息しているということ自体が環境や生育条件に適合していることを示している。そうした生物には、外部の要因に対して敏感に反応するものとそうでないものがいる。湖底に生息する多様な生物は、さまざまな環境に適応しながら生物群集、つまり一つの生物社会を構成している。この考えのもと、昭和53年以降数年間の調査データをまとめた。

・この調査資料によると5つの生物群集が認められた。昭和54年、55年の調査では、53年当時に成立していなかった生物群集が加わったが、全体として大きな変化はない。また、昭和44年には、南湖にはオオカナダモが生育していなかったが53年に突然激増し、58年には急に激減して、コカナダモが増えはじめつようになった。

・昭和44年のデータからの溶存酸素濃度の推移を見てみると、湖西の安曇川一帯、また、長浜近辺についても南湖と同程度に汚濁が進んでいるということがわかる。

・環境に対してものを言う場合、科学的な分析を行った上で発言するべきである。

(質疑応答)

Q:漁獲量の減少に関する松岡委員の説明と、小林委員の長年の経験との接点はあるのか。

A:私の場合、魚ではなく生物群集として見た場合にどうか、ということを伝えた。生物群集の中には、外因に敏感に反応して数を少なくするものと、それに適応して生き続けることができるものがある。昭和44年から53年というのは、琵琶湖に人間が多く関わってきた時代である。その間、それほどデータに大きな違いは見られない。私の立場でいうと、今すぐ生き物がいなくなってしまうということはないと言える。(小林委員)

Q:南湖が変わったのは、昭和53年以降である。今、どうなっているのかという判断はできるのか。

A:科学的な根拠に基づかずに言う事になるので難しい。昭和60年くらいにもう一度調査をしているが、まだまとまっていないため、答えられない。(小林委員)

2. 現状に関する情報提供についての意見交換

・漁師の方々が、自らが漁獲量を減らすような行為をしてきたのではないかという反省を行い、自分達の将来の生活や琵琶湖を守るための行動をとるということは考えられないだろうか。

・これまでアユが大事な収入源となっており、それで1年間の家計が賄える状況だった。今これが崩れて心の余裕がなくなっている。今できることは、収穫によるわずかなお金を搾り出して資源維持をすることだけである。1匹の魚が来年数千匹になると分かっていても、獲らねばならない状況であり、生活にゆとりを持てるようになって初めて力が発揮できると思う。(松岡委員)

・若い人々が、漁業では高収入を望めないと判断したために漁業者が減少して、魚を獲らなくなり、資源の再生にも悪影響があったという一面もある。漁業の悪い面も全部さらけ出して話をすべきである。漁業は壊滅的な状況になっているが、それを資源の問題だけにすり替えてはいけない、という反省がある。

・漁民は魚を獲って日々の糧を得ており、魚や川の変化は切実な問題である。また、漁民は琵琶湖の自然とともに古代から生きてきた人として、文化的な意味も含めて大事な存在である。

・内湖の干拓が漁業に与えた影響についてどのように感じておられるのか。

・内湖には、川の流れを一旦受け止めて、琵琶湖に緩やかに流していく役割があった。この緩やかさが重要で、魚が最も弱い時期を過ごす場所だった。そのため、内湖がなくなると湖岸に頼らざるを得ず、これが、いろいろな変化が起こっている原因かもしれない。(松岡委員)

・淀川部会では冷水病の発生についての情報提供もあったが、そのような魚の質や病気に関する情報があれば教えて頂きたい。(河川管理者)

・アユや他の魚のなかには外因に負けず自分の力で生きていける魚が必ずいるので、そのような魚を助け、適切な対応もしていけば、時間はかかるが病気には負けないと思う。(松岡委員)

・琵琶湖に関してではないが幾つかの意見として、河川での冷水病の増加とダムの放流との間に因果関係があるのではないかと疑われている。

・私の住んでいる街の小川でも、斑点のあるアユが遡上しており、黒くなってやがて死んでいく。ダムとの因果関係という話もでていたが、滋賀県の方で原因等について把握していることを聞かせて欲しい。

・今、データで示す事はできないが、水産課等とやりとりをして後日提供できると思う。(河川管理者 滋賀県)

・今後の琵琶湖の行方に皆不安を感じている。滋賀県の方で10年先の琵琶湖を予測したようなデータがあれば頂きたい。

・そういうものがでてきたら、是非提出して頂きたい。(部会長)

3. 今後の検討課題について

資料3−1、3−2の資料について庶務より「先日開催された淀川部会に提出された資料の図を元に、琵琶湖部会委員から頂いた意見を整理した暫定案である」旨説明があった。

続いて部会長より、下記の説明があった。

・傍聴した淀川部会では、ほとんど全員の委員が検討項目を提出していた。それに対し、琵琶湖部会では現在半分程度である、是非文書で出して頂きたい。追加も含め様々なご意見をお聞きしたい。

・委員から出された意見と淀川部会での議論を踏まえ、資料3−1の図を材料にまとめたものが資料3−3である。

・資料3−3が皆さんから提出頂いた意見がまとめて反映されたものになっているか、必ず入れるべき項目、次回以降の検討の進め方、の3点について発言をお願いしたい。

@ 今後の検討にあたって追加、留意すべき事項

i. 滋賀県、琵琶湖の独自性

・琵琶湖を含めた河川整備を考えるならば、他県には見られない滋賀県の河川を特徴づける大規模で質の高い河畔林について触れる必要がある。

・内湖は今後復元も含めた議論が必要であり、検討項目として加えるべきである。また、河川等に関する産業の位置づけや人の生業と川との関係についても議論の必要がある。

・河畔林や内湖等の滋賀県固有の問題も大変重要だと思うので、項目としてはっきり記述する必要があるだろう。また、産業側からみた川という括りもどこかの項目に入れておいて忘れずに議論する必要がある。(部会長)

・琵琶湖独自の議論として湖沼管理と河川管理とをどう考えたらよいのか、という問題がある。琵琶湖は河川法上では一級河川となっているが、環境等の要素が前面に出てくると、河川と湖沼の管理の仕組みは恐らく違ってくる。区別が必要かどうか等も含めて検討する必要がある。

・河川整備計画に「遊び」の部分をきっちりと押し出した方が良いと思う。現在、水上バイク問題に取り組んでいるが、あれは歪んだ遊びだと感じる。海外では自然を大切にしながら遊ぶスタイルが定着しているが、日本ではそのような意識に欠けている。これからの琵琶湖には井上委員の説明にもあったように、スポーツ性のある良い遊び場所としての展望を持つ必要がある。

ii. 市民との関係、地域の捉え方

・資料には「情報共有・発信」と「住民の意見聴取・反映方法」が別項目として示されているが、これらは「市民とのコミュニケーション」として一体に考える必要がある。

・「情報共有・発信」と「住民の意見聴取・反映方法」については1つの項目にまとめても構わない。(部会長)

・行政が地域社会の運営にどう参加するのかも含めて、琵琶湖や川と地域社会の成り立ちの関係が把握できるような部分が欲しい。

・行政に知恵を出せと言うのではなく住民が知恵を出し、それを行政がどうするかというのが本来の姿である。この流域委員会の考え方も基本的には同じだと理解している。その意味で、地域社会をどう捉えるかは、まさにその問題に関わってくるので、どこかで必ず議論したい。(部会長)

・河川整備計画策定の過程に住民の参加や発想を取り入れようとしているが、「意見を聴く」という仕組みだけでは不完全である。税金を使うだけでなく住民自らも負担を負う、意見を言ったら参加ではなく責任が及ぶ、という仕組みも考える必要がある。琵琶湖淀川水系という広域的な仕組みの中で、住民の経済的な負担や地域社会が担うべき責任等についても議論すべきである。これまで出されていないようなので付け加えて頂きたい。

・先日の淀川部会でも地方自治論の話が出ていた。市町村レベルの地方自治よりもっと地域に密着した、本当の意味での自治についてもある程度議論する必要があると思う。(部会長)

iii. 環境の目標について

・生態系をシステムとして捉えられるのか。我々の人間活動は、様々なものにインパクトを与えている。その中でながらひとつのシステムがつくられているが、環境保全をシステム的に考えた場合、幾らインパクトを与えてもそれが吸収され従来の生態システムが維持されていれば良いシステムと言う考え方が可能だろうか。環境管理を行う際に、仮に管理目標となる生態システムがはっきりすれば、目標を立てやすいと思う。

・設定する地域の大小によってそこでの生態系というものは異なってくるため、目標となる生態システムを一様な形では言えない。また、生態系そのものが遷移していくものであるため、それについて大きな目標は設定できない。地域毎で考えていく必要があると思う。

・「治水」や「利水」については目標となる数値があり議論ができる。一方、「環境」について一番単純なのは、「何年頃に戻す」という目標の立て方があるが、「戻す」という言い方ができるかどうかもかなり疑問があるので、どのようなものが適当なのか言う必要があるが、残念ながら生態学者はその答えを持っていない。淀川部会でも同じような話が出た。(部会長)

iv. 今後の河川整備・管理のあり方について

・かつて河川整備が進む以前は、河川とそれ以外の区別が不明確であり、水田や内湖を通して水が琵琶湖に流入していたが、現在では宅地化や圃場整備等が進み、区別が明確化されてきた。河川と河川以外が区別されることは、治水面では良いが生態系の多様性という面からは良くないのではないか。多様な生態系を水の循環システムにどう結びつけるか、河川とそれ以外を区別するだけでなく不明確な所をつくれるかが、課題になってくると考えた。

・山から琵琶湖、淀川までつながっているところで、ダムを整備するなど何かを足したら何かに影響が出る。足し算、引き算、割り算の理屈で、失うものと得るものを考えていく必要がある。これがわかれば見えてくることがある。また、人間が住む陸地に関してはソフトに、優しく考えていくことも必要である。

・昭和45年の公害国会以来、河川法も改正され、水質管理については公害の環境基準を満たすなどある程度の成果をあげてきた。しかし「環境」の時代となり、次に何をするのかが問われるはずである。その時には低水管理に関して市民が持つ河川に対する価値観等が表面化してきてもよいのではないか。これまでは先ず洪水対策を行い「安全・安心」を重視してきたが、これからは「環境」の面での価値も維持管理の対象とすることを皆が求めるようになっているのかも知れない。

・水が流れていなければ河川ではない。そういう意味で低水管理の問題を考えることは非常に重要である。

・「環境」は開放系であるという部分が特徴である。川とその周辺は不連続でないといけないが、連続する部分もある程度考え、生態系等への影響を本格的に議論する必要がある。(部会長)

v. フォローアップシステム

・流域委員会で結論として出されたものがどのように進められていくのかをチェックし、議論する受け皿をつくっておくことが重要である。様々な異なる意見も取り入れて議論できる仕組みをつくっておかないと、立派なことを決めたとしても、上手く機能しないと思う。

・実質的にどうするかは、この流域委員会の中での議論だと思っている。(部会長)

・誰が主体で、誰が責任を持つのか、水や川は誰のものか等の所有権も明確にした形でのアクションプランが必要だと思う。そういう意味では「住民の意見を聴取」ということ自身にも反発を持っており、意見を聴取して「誰が」実施するのかということが明確でなければならない。

・資料3-3示されている「フォローアップシステムの確立」が重要だと思っている。河川整備計画が完成した後の追加や変更、或いはきちんと実行されているか、効果や影響などについてのチェックが必要である。(河川管理者)

・「フォローアップシステム」は特に大事であり、「基本的な考え方」の中で議論すべきとも思っている。河川整備計画を策定した際には分からないこともあり、実際に運用してはじめて気付くこともたくさんある。そのようなことを前提とした河川整備計画の策定が必要であるという意味で、「順応的フィードバック式計画」という言葉を資料で用いている。(河川管理者)

・法律上、河川整備計画は国土交通省が策定することは明白で、流域委員会の意見は「尊重される」と言葉では聞いている。このような前提で策定された河川整備計画が流域委員会での議論と全く異なるものであった場合、流域委員会が解散していたとしても委員個人は「とんでもないこと」と思うだろう。「順応的フィードバック式計画」と「フォローアップシステム」はきちんとつくる必要があるので、もう一度もっと強く位置づけるべきか考えたい。(部会長)

vi. 検討項目の並べ方、整理の枠組みについて

・「治水」「利用」「環境」が同じ大きさの円でリンクしているが、こういう発想でこの流域委員会を位置づけるのか。資料の中に示されている事象も、レベルの違う事象や出来ること出来ないことが入っており、もう少し整理しながら進める必要がある。

・河川整備計画をつくる上で、その項目として「治水」「利用」「環境」とあることがよいかどうか、疑問に思っている。「環境」という言葉には非常に多様な要素が入っており、明文化して目標を立てる必要もあるとは思うが、やりすぎると抜け落ちるものもある。「治水」「利用」という項目の中に「環境」が溶け込んでいる河川整備計画にできないかと思う。

・この概念図を水系の理想像として捉えると「おかしい」と感じるが、3つの要素を満たす河川整備という意味では、河川整備計画の中に出てくる図としてはわかり易い。

・歴史的に当初、河川法は「治水」のみを目的とし、次に「利水」「環境」という順に目的化された流れからみると、資料3-1の図は素直な描き方であると思う。しかし、本当にこのように3つの項目が並ぶのかどうかについては、全体の基本的な考え方を議論した上で、具体的な河川整備計画をつくる際にどう考えるかを考えておく必要がある。(部会長)

A 議論の進め方について

・「どのような河川、流域が望ましいのか」という基本的な考え方をまずしっかり議論する必要がある。その上で項目の見直しをやっていけば良いと思う。

・検討項目、総論の前に、河川に対する理念や基本的な考え方について議論する必要があるというのはその通りだと思う。(部会長)

・検討項目の並べ方、枠組みをどうするかという議論を行うよりも、中身を議論した後に枠組みを作り直す方がより具体的になると思う。(部会長)

・部会長が作成された資料3-3は、河川整備計画の骨格になるものではなく、今後検討する議題が並んでいるものだと解釈してよいのか。

・そのように思っている。議論するための内容として整理したものである。「河川管理者」も河川整備計画に盛り込むべき項目案をお持ちではないのではないか。計画の何を議論するか、どのような項目を入れ、どうすべきか、というアイデア自体をここから受けたいのだと理解している。(部会長)

・その通りである。(河川管理者)

4. 一般傍聴者からの意見

・資料2−2松岡委員からの提供資料に、漁獲量の減少についての記事が載っていたが、これにはある程度外来魚の増殖が影響しているのではないかと思われる。このあたりの追加説明を頂きたい。また、このような場での一般傍聴者の発言も報道関係者の傍聴も少なく、住民に認識された、開かれた会合になっていない。この事実をしっかりと捉えて頂かないと、「住民意見の聴取」といっても本当の意見は出てこないと思う。(一般傍聴者)

・漁民は資源維持のため、従来より大きい稚魚の放流や、外来魚の活動の鈍る冬場に放流する等の努力をしている。また、食害に対応できるような魚種については、外来種の影響はそれ程ないと考えている。(松岡委員)

・琵琶湖沿岸や周辺の河川、溝に関する限り、ブラックバスやブルーギル等の外来種が在来種の魚類に大きな影響を与えていると思う。ただし、琵琶湖の漁獲量が減少し始めたのは、明らかに外来種流入以前であり、外来種以外の要因によって漁獲量が減少し始めたことだけは事実である。(部会長)

・住民意見聴取についてのご指摘は大変ありがたい。このように意見して頂く方が必要である。どのような方法を採れば自主的に意見を頂けるのか、一生懸命考えているが、何かいい考えがあれば教えて頂きたい。現地視察を行う際にも、座談的に意見を聴ける場をつくる必要があるのではないかと考えている。(部会長)

5. 河川管理者からの説明および報告

@ 滋賀県からの資料4−1についての説明

・琵琶湖利用の適正化に関する取り組みについては、懇話会、或いは検討チームを設け、議論を進めており、資料4−1の1にその経過や委員名簿等を掲載している。

・滋賀県でも河川整備計画の策定に取り組んでおり、「淡海の川づくり検討委員会」を設置している。また、委員会の前段として、普B数の市町村に跨がる河川等では、地域住民から川づくりに関して意見を聴く「川づくり会議」を設けており、委員会とあわせ2段階での議論を行っている。資料4−1の2に委員会および川づくり会議の概要を掲載している。

・資料4−1の11ページの図は色落ちしている部分等があるため、後日、差し換える。

A 水資源開発公団(丹生ダム建設所)からの報告

・以前の部会で、丹生ダムについて従来からの継続工事については事業を進めていると報告したが、その工事について一般の方から疑義が出されたため、現在、自主的に休止していることを報告したい。ホームページに掲載している内容を資料として配付させて頂いた。

6. 今後の進め方について

部会長より、現地視察、次回以降の会議について説明があった。

@ 現地視察(11月20日)について

・委員の出欠予定をみると、現在、部会として成立するかどうか微妙であるため、できるだけ参加をお願いしたい。

・行程としては、安曇川駅で集合した後、湖岸、人工河川を視察して、安曇川本流を上流まで上がってから堅田内湖を視察したいと考えている。

・安曇川については滋賀県から説明頂けると思うが、説明したいという委員の方、また説明して欲しい方の推薦等あれば、庶務に連絡して欲しい。

・河川の周辺に住んでいる方が一般的にどのような意見を持っているのか聴いたことがないので、できれば朽木周辺で地元の方から話を聴く機会を設けたい。

A 次回以降の会議について

・次回は12月21日、9:45〜12:45、ピアザ淡海にて開催予定である。

・次回は宗宮委員、倉田委員から各15分程度で情報提供をして頂き、その後、検討課題についての議論をしたい。

・次回の検討課題の議論については、資料3−3に示す、「基本的な考え方」に示されている項目について議論していきたい。

・寺川委員の立候補(丹生ダム問題についての資料提供および説明)を受け、次々回の会議で情報提供頂く。丹生ダム問題についてはどこかで必ず議論すべき問題であり、後々、現地視察を行う必要も生じてくるかも知れない。その前に一般的な議論もしておく必要がある。

・次々回以降の会議については、当初2時間の予定で委員の方にお伺いしていたが、3〜4時間位の時間を確保せざるを得ないので、ご了承頂きたい。

以 上

 

注1:速報は、会議の概要をできるだけ早くお伝えするものであり、随時修正される可能性があります。なお、議事内容の詳細につきましては議事録をご確認下さい。最新の速報及び確定した議事録はHPに掲載しております。

注2:委員名については、情報提供を行った委員のみ記載しています。


 

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