議事録 NO.5

淀川水系流域委員会 第2回委員会議事録

日時:平成13年4月12日(木) 14:00〜17:00
場所:新都ホテル 地階「陽明殿」


○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

大変長らくお待たせしました。これより、淀川水系流域委員会第2回委員会を開催いたします。司会進行は、庶務を担当する三菱総合研究所が務めさせて頂きます。私、関西研究センターの柴崎と申します。今までは恩地が司会の担当をさせて頂いておりましたが、今後は複数の者が交代で司会を務めさせて頂く予定です。どうぞよろしくお願いいたします。では、審議に入る前に幾つかご報告とご確認をさせて頂きます。前回、委員会開催後に委員長、及び3人の部会長に、委員長代理と各部会長の代理となる委員をご指名頂き、代理となるご本人からも了承を頂きましたので、ご報告いたします。まず、委員会の委員長代理は3人の部会長が交代で務めることになりました。本日は川那部部会長に務めて頂いておりますが、今後、川那部部会長、寺田部会長、米山部会長と交代で務めて頂くことに決まりました。また、琵琶湖部会長代理には江頭委員、淀川部会長代理には桝屋委員、猪名川部会長代理には池淵委員が決定しました。次に、配付資料の確認をさせて頂きます。本日配付した中には「議事次第」、「座席表」、ウグイス色の紙で「発言にあたってのお願い」、そして議事次第に掲載していますように、資料1から資料3−3まで、参考資料は1から5まで配布しています。一般の方には、「参考資料4」の追加として、「参考資料4<別紙>」を封筒の外に添えて配付させて頂いています。委員の方には、資料の検討が行えるよう、事前に資料を送付させて頂いていますが、本日の追加資料としては、「資料2−1−2」の差し換え部分と、「参考資料4<別紙>」、さらにA3横の大きな資料が3枚、また、吉田委員より参考としてご提供頂いた、「全国自然しらべ2000「私たちの川」」という地図を委員の方にお渡ししております。もし資料が手元にない、或いは事前に送付した資料をお忘れになった方は、挙手願いたいと思います。なお、委員の方には「資料2−1−2」の差し換え分を本日お渡ししていますが、後日、差し換えしたものを改めて庶務より送付したいと思いますので、本日の会議終了後、お帰りの際に資料をお席に残して頂ければと思います。また、本日傍聴頂いている部会委員の方も同様に差し換えた資料を送付させて頂きたいと思いますので、部会委員の方はお手数ですが、会議終了後、受付まで資料をお持ち頂けますよう、お願いします。なお、河川管理者が作成されました「河川環境情報図」の地図と、「全国自然しらべ2000「私たちの川」」については、部数の関係上、委員の方のみに配付しています。傍聴の方には会場後方に地図を掲示していますので、休憩時間、或いは会議終了後にご覧頂ければと思います。また、A3横の大きな資料3枚は、部数の関係上、委員の方と河川管理者のみに配布しています。受付に予備を置いていますので、ご希望の方はお持ちください。本日は、後程、一般傍聴の方にもご発言の時間を設ける予定ですので、ご発言の際は、「発言にあたってのお願い」をご一読頂ければと思います。それでは、ただ今より審議に移りたいと思います。芦田委員長、よろしくお願いいたします。

○芦田委員長(委員会)

本日は淀川水系流域委員会第2回委員会にご出席頂き、ありがとうございます。また、傍聴の方も多数ご出席頂き、ありがとうございます。

前回の委員会では、流域委員会の構成等を決めましたので、実質的な審議は本日の委員会からとなります。

本来なら、河川整備計画の原案が諮問され、流域委員会が原案について審議を行い、意見を述べるという流れで進めるのが通常なのですが、河川管理者としては流域委員会から出される意見を聴きながら、河川整備計画の原案を作成していきたいという意向ですので、本日はまず、具体的に河川整備計画の原案の策定について、どのようなスケジュールを考えているのか、河川管理者から説明してもらいたいと思います。

次に、淀川水系の治水、利水、環境について、その現状及び問題点を河川管理者から説明して頂き、委員の方からご意見をお伺いしたいと思っています。

その後、委員会の今後の進め方、当面の課題についてどうするかを審議したいと思います。

それでは、まず「資料1:河川整備計画策定の流れ」について、河川管理者からご説明をお願いします。

○河川管理者(近畿地方整備局 水野)

近畿地方整備局河川部河川調査官の水野です。資料1の説明をさせて頂きます。

 

[省略:資料1説明]

○芦田委員長(委員会)

資料1について何もご意見・ご質問がないようでしたら、資料1の方針で進めるということでご了承願います。

引き続き、議事次第に従い、今後の進め方について審議したいと思います。検討のための基礎資料の説明をして頂きますが、庶務がまとめた資料と、河川管理者がまとめた資料とがあります。まずは庶務より説明お願いします。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

それでは、今後の進め方について、資料2−1−1から資料2−2−3の中で、庶務が作成した資料について手短に説明させて頂きます。

[省略:資料2−1−1]

[省略:資料2−1−3]

[省略:資料2−2−2]

[省略:資料2−2−3]

以上で、庶務からの資料説明を終わります。

○芦田委員長(委員会)

ありがとうございました。ただ今説明にありましたように、前回の流域委員会でいろいろな意見が出され、それを整理したのが資料2−1−1です。資料は事前に送付していますので、内容の説明はいたしませんが、今後の川づくりを行う上で、非常に重要な意見がたくさん出されており、今後の審議においても、これらの意見を念頭に置き、進めていく必要があると思っています。

資料2−1−3の前広日程調整結果については、スケジュールが決まっても、1年先のことは把握できないとも思いますが、一応、このようなイメージでスケジュールを進めたいと考えています。実際には、開催予定日の2カ月くらい前に再度確認し、委員長、委員長代理、各部会長、各部会長代理、或いは委員の出欠の状況を勘案しながら、都合が悪ければ日程変更しますので、仮日程とお考え下さい。審議の進展に従い大幅に日程が変わる可能性もありますが、かなり濃密に開催するという覚悟をお願いいたします。

資料2−2−3の審議体制について、委員長、委員長代理、各部会長、各部会長代理で運営会議を開きたいというのが1点あります。この運営会議は、次の委員会、或いは部会で何を議論するか、整理をするための場であり、審議する内容の方向づけを行うわけではありません。これまでは庶務と委員長、或いは部会長が、個々にコンタクトをとりながらいろいろな資料を整理していたのですが、非常に効率が悪く、大変だということから、皆が一堂に会して会議を行えばどうかという案です。ご承認頂ければ、そのような方向で進めたいと思います。

以上です。何かご意見等ございましたらお願いいたします。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

開催時間が10時、13時、17時となっていますが、17時では、私のように勤めている者では中途半端な時間です。例えば18時に開催時間を変更するということはできないのでしょうか。

○芦田委員長(委員会)

庶務としてはどうでしょうか。資料に記述している時間帯で、アンケートを行い、決めたということですね。多少、時間帯を変更することはできますよね。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

河川管理者とも相談し、時間帯を変更することは可能だと思います。

○芦田委員長(委員会)

開催時間は17時より遅い方がよいですか。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

個人的な意見かも知れませんが、18時から20時という設定にして頂けるとありがたいです。

○芦田委員長(委員会)

他の委員の方はいかがですか。その方がよいということであれば、開催時間を変えてもよいと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 水野)

この概略日程によれば、次は各部会を開催することになっています。本日ご審議して頂き、部会で何を審議するかを決めて頂くことを前提にお願いがあります。

猪名川部会が5月7日に予定されていますが、急遽、予算執行が適正かどうかを検査する会計検査院の実地検査が5月7日の週に猪名川工事事務所に入ることになりました。従って、猪名川工事事務所はこの週は一切対応ができません。準備の都合もありますので、猪名川部会の次回開催日を、5月7日の週の2週間くらい先にして頂ければありがたいと思っております。日程調整の程、よろしくお願いいたします。

○米山委員(委員会・猪名川部会)

5月14日の18時はいかがでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 水野)

5月7日の週は、丸1週間、会計検査院の対応をする必要がありますので、第1回猪名川部会の資料準備の期間も頂くとするならば、2週間後の21日に変更して頂けると非常にありがたいと思います。

○米山委員(委員会・猪名川部会)

5月21日は、個人的に都合がつきません。大学の理事会があります。

○芦田委員長(委員会)

日程については後程、猪名川部会と庶務でご相談して頂いてよろしいでしょうか。

○米山委員(委員会・猪名川部会)

わかりました。5月21日の週で調整することにしましょう。

○芦田委員長(委員会)

それでは、本日のメインに考えていました、淀川流域の現状について、河川管理者より資料を頂いています。相当膨大な資料ですので、全部説明して頂いたのでは時間が足りません。淀川水系の治水、利水と環境の現状と、その中でも特に課題となっている点を中心に、30分程度でご説明頂き、その後、皆さまにご意見をお伺いしようと思います。よろしくお願いします。

○河川管理者(近畿地方整備局 水野)

最初に、事前に送付させて頂いた資料につきまして、説明不足、計算ミス等があり、差し換えが生じました。申し訳ございませんが、ご了承お願い申し上げます。

本日の資料につきましては、今後、淀川水系についての審議をして頂くにあたり、淀川水系の現状と課題について、その認識を共有するためにも、河川管理者が現在どのような情報を持っているのかを知って頂くという意味から作成しております。

資料の概要がご理解頂けるように、本日は淀川本川を中心に資料を作成しました。従いまして、猪名川や木津川上流については殆ど資料が入っていません。また、芦田委員長から資料のうち、課題と思われる部分を中心に説明して頂きたいというご指示がありましたので、そのような内容で簡単に説明させて頂きます。

[省略:資料2−1−2説明]

以上、雑駁ですが、ポイントだけ説明させて頂きました。

○芦田委員長(委員会)

ありがとうございました。短時間で要領よく説明して頂き、大体の様子はわかりました。

これから30分程度、委員の方からの質問や、現状でこのようなことが起こっているというご指摘、ご注文等ございましたら、お願いいたします。

○米山委員(委員会・猪名川部会)

この差し換えが生じた理由について、もう一度ご説明ください。

○河川管理者(近畿地方整備局 水野)

一部分、説明不足の部分や計算ミスがありましたので、第1章から第4章まで、全てまるまる差し換えて頂きたいと思います。

具体的な該当場所を申しますと、例えば、1-12ページの河道容量の図を説明しましたが、破堤については考慮していないという注意書きを付けています。また、一部、河道容量について計算ミスがあり、新たな計算結果を記載しております。さらに、1-23ページの降雨量と流量の関係についても、一部計算ミスがありましたので差し換えております。その他、少し表現が適正ではなかった箇所や、間違いがあった箇所を差し換えておりますので、1章から4章までを差し換えて頂きたく存じます。

○米山委員(委員会・猪名川部会)

わかりました。ありがとうございました。

○芦田委員長(委員会)

先程のご説明は、主として淀川水系の淀川本川を中心としてご説明になったもので、猪名川、木津川については、別途、説明して頂くことになると思います。

特に淀川本川で見ると、河口部では高潮や津波など、かなり大きな問題があるのではないかと思います。その点についてはどうお考えですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 水野)

その点についても資料の中で整理していますが、本日は一番わかりやすい洪水についてだけを説明させて頂きました。

○芦田委員長(委員会)

わかりました。本日中に全て説明するというわけではありません。次回、次々回にわたり、更に利水や環境の問題等についても、もう少し深く掘り下げて議論したいと思います。本日お話し頂いた範囲で何かご質問、ご意見はありますか。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

ご説明頂いて、琵琶湖総合開発計画を含め、順調であるという印象を受けました。しかし、先程の説明にありましたが、最近、琵琶湖では水位上昇に伴う被害が拡大しているという点について、もう少し説明して頂き、具体的な事例から考えてみたいと思います。

○芦田委員長(委員会)

この件について、河川管理者からもう少し説明をお願いします。

○河川管理者(近畿地方整備局 琵琶湖工事事務所 植田)

説明の最後に、ヨシ刈りの問題、或いは浸食の問題がありました。本日配付されている資料にも、浸食に関する資料もあるようです。これについては、河川管理者の中でもいろいろな意見があり、説明したいこともたくさんありますが、本日、この場で全ての説明をすればよいのか、或いは次回の委員会、もしくは琵琶湖部会の方で説明をした方がよいのか、いかがでしょうか。

○芦田委員長(委員会)

琵琶湖部会で検討頂いた方がよいかも知れませんね。

○河川管理者(近畿地方整備局 琵琶湖工事事務所 植田)

次回、或いは琵琶湖部会で説明するということであれば、今おっしゃった趣旨に基づいて資料を全て揃えた上でご説明することになると思います。委員会のご指示に従いたいと思います。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

この件については3月16日の読売新聞で、4団体が琵琶湖工事事務所に被害の対策を要望したという記事が出ています。それに対して副所長が、淀川水系流域委員会に工事事務所から意見を言うとの返答に留めたという文言があります。

既に回答を流域委員会に委ねているという感がしますが、緊急性等を考慮すれば、この委員会である程度の話し合いが必要ではないかと感じました。

○芦田委員長(委員会)

おっしゃる通りだと思います。どのような水位操作をするのか、操作の方法を変えることができるのか、恐らくいろいろな面を考えて検討する必要があると思います。

浸食の問題、或いはヨシ刈りの問題には、その時期になるともう少し水位を下げた方がよいのではないかというご要望ですが、突っ込んだ議論はこの場では難しいので、琵琶湖部会での議論をお願いしたいと思います。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

そうしますと、河川管理者から、委員会で意見を述べるというような回答を安易に出すのは、具合が悪いと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 琵琶湖工事事務所 植田)

新聞報道にあった副所長による返答の趣旨をご説明させて頂きます。

琵琶湖の水位について、特に冬季のプラス30センチの管理については、ヨシの問題、或いは浸食の問題等、いろいろなご意見があることは我々も承知しています。

淀川下流の方では、利水の関係で水位が30センチ以下となる管理はよくないというご意見もありますし、また、生態系関係では、魚の産卵時期にヨシの背が逆に短すぎると具合が悪いので、高めの水位管理の方がよいといったご意見も伺っています。いろいろなご意見があるという認識を、河川管理者としては持っています。

そのようなご意見があるということで、本委員会において、そもそもプラス30センチというのがどのような理由から出てきたのかという説明をきっちり行い、問題点を含め、様々なご意見を頂いた上で、河川管理者として検討したいという趣旨です。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

今のお答えを聴いていると、委員会で討議する云々という発言はなかったのですね。

○河川管理者(近畿地方整備局 琵琶湖工事事務所 植田)

流域委員会で様々なご意見をお伺いした上で、河川管理者として対応し、河川整備計画の原案の中で、再度、提案していきたいと考えています。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

今のようなお話を聴きますと、委員会の開催日程が示されましたが、これから具体的な内容に入っていくのはもっと先になるのでしょうか。

○芦田委員長(委員会)

もっと先になります。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

今、琵琶湖では問題が起こっていますが、そのような状態を聴いてからでないと処置できないというのは、国土交通省が様々な問題に対して、緊急事態に直ちに対応ができないということなのでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 琵琶湖工事事務所 植田)

当然、国土交通省の内部ではいろいろなケースについて検討しています。

先程も申しましたように、水位管理が高いという意見もあれば、逆に低いのではないかという意見も聴いています。恐らく、滋賀県でも、高い管理、低い管理という両方の意見があると予想されますし、上流と下流とでも意見が違うことが予想されます。従って、まず、いろいろな意見を聴きたいということです。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

いろいろな意見があるのは当然だと思います。しかし、実態として今琵琶湖がどうなっているかを河川管理者は把握されているのでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 琵琶湖工事事務所 植田)

把握しています。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

琵琶湖の水位が30センチ上がったことによって、どういう問題が起こっているかを河川管理者は認識しているのですね。

問題が起こっていない、これは災害ではないから大したことがないというのであれば、もちろんそれでよいと思いますが、私は大変な問題が琵琶湖に起こっていると認識しています。ですから、河川管理者も現在琵琶湖に起きている問題を認識しているのであれば、直ちにその対策をとるべきではないかということを申し上げているのです。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

私は同じ琵琶湖にいながら、寺川委員と少し違う認識を持っています。確かに琵琶湖の水位が冬に上がっていることで、ヨシ業者が困っているのはよく知っています。また、新海浜も先日実際に見てまいりました。

結局、水位が上がっていることで魚の問題も出てきます。琵琶湖の水位が上がることでかなり有利になる部分もあります。ですから、新聞情報等だけを見て判断するのはある意味危険です。本当に235キロの琵琶湖の周囲で何が起きているのかを、もう少し調べられる部分は確実に調べて慎重に対処した方がよいと思います。

しかも、水位の変化は100年前、50年前、30年前、と長期的に見て、そこでの利害関係をきちんと把握する必要があると思います。例えば昭和20年、30年代はもっと水位が高い時代がありました。田畑もすぐに浸水するような時代があり、その時代は魚にとっては棲みやすかったわけです。

このようなことについて、マスコミだけでなく琵琶湖部会でもとりあげ、或いは琵琶湖研究所が随分と調査をしていると思いますが、緊急に水位変化の調査をする必要があると私は認識しています。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

私はマスコミの報道だけを取り上げているのではなく、実際ヨシ業に携わっておられる方、或いは新海浜などで現場に立ち会っておられる方がいらっしゃいますので、そのような方々の意見も聴いています。決してマスコミの報道だけで取り上げているのではありません。

ただ、16日の新聞記事にあるように、委員会で決定すれば答えるというのでは、現在緊急にいろいろな問題が起こっていることに対して、迅速な処置ができるのかということを問題にしているのです。

○芦田委員長(委員会)

この件については今のように水位が高い方がよいとする意見もありますので、もう少し皆で議論する必要があると思います。

この後、寺川委員の発言に関連して一般傍聴者からの発言とそれに伴う意見のやりとりがありました。この発言については、委員のみによる審議中の発言であり、会議のルール上は議事録に掲載すべきではありませんが、一般からの貴重な御意見ですので、参考までに末尾(33頁以降)に掲載させて頂きました。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

琵琶湖の水位も大事ですが、本日ご説明頂いた中で2点お伺いしたいことがあります。

1点は治水の問題です。到達可能流量の戦後の最大が昭和28年にあって、このときは滋賀県でも大変な被害が起きています。その時代と比べると、今はもっと状況が悪くなっています。土地利用が大きく変わっており、森林面積、特に淀川流域全体で水田が3分の1から4分の1くらいに減っているのではないでしょうか。

また、都市化が進んでいるということを含めて到達可能流量を出しているのか、テクニカルな問題もお伺いします。

○河川管理者(近畿地方整備局 水野)

現在の土地利用の状態で計算しております。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

現在の土地利用の状態で、昭和28年の水量が出るということですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 水野)

昭和28年当時の雨が降ったという前提で申し上げました。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

わかりました。

2点目としては、昭和28年のような水量が出た場合にはダムだけで防ぐのか、あるいは森林等で防ぐのかお伺いしたいと思います。水田のダム機能等も大変重要ですから、流域の土地利用を考えるのか、いわゆる総合的治水が大切だと思います。治水は河川だけの問題ではなく、まさに近畿圏、流域圏全体の計画になりますが、中長期的な方針についてお伺いしたいと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所 宮本)

まず、1点目の土地利用については、昭和28年以降も昭和57年に大きな洪水が出ております。その洪水で我々のモデルが合っているかどうかをチェックしていますので、基本的には、現在の土地利用をほぼ反映したモデルだと我々は理解しています。

もう1点、これからの治水についてはダムだけで考えるのか、或いは総合的な森林や土地利用を含めて考えるのかということについてお答えしたいと思います。これについては前回の河川審議会で総合的な治水ということで、いろいろな合わせ技で被害を少なくしようという結論に至りました。私はこれが基本だと考えております。

そういう意味から、これから河川整備計画の原案を出すにあたり、いろいろな案を出していきたいと思っていますが、本当に現況で大雨が降ったら何が問題となり、何が起こるのかをまず皆さまと共有化し、その上で我々の考えを提供していきたいと考えています。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

先程、治水、利水等、国土交通省からご説明がありましたが、まず、科学的な知見も含め、今までのような決定論的な認識の仕方では、いろいろと不合理が起こっているということをご認識下さい。物理現象、認識も含めカオティックな捉え方、考え方が新たな方法に必然的になりつつあります。いろいろな要因、要素が入って、或いは複合的な要素、作用が入って、より合実理といいますか合理に近づけていくことがこの新しい委員会の基本だろうと思います。

その中で、例えば雨量については、時間の経過がどうなっているのか、或いは雨量をどの地点で調べているのか、実際の実態を測定したものと計算したものとでは、どのように合っているのか、或いは合っていないのかを含めてみれば、必ず不確定な幅があるはずです。

それから、これが決定だということを殆ど言えないことを皆さまに認識して頂きたいと思います。我々もそうですが、いろいろな川を知っていくと、各自が部分的に各分野で自分たちの主張でやってきました。先程、琵琶湖の被害の話、文句といいますかが出たのは非常に面白い喜ばしいことだと思います。そのような言い方をすれば、被害を主張されている方はまた強く反発されるかもしれない、私自身がワンルームマンションで今も身近に被害を受けています。

そのような意味では、命にとって大切なもの直接的なものから考えてゆく方法もあるかもしれません。本当は変動期、変節期で考えれば今までの50年程の幅で起こっていたことが、新たな再生として20年程の幅で起こってくるだろうと思います。国土交通省がこう決めたからではなく、どうすればより合理になっていくのかを、我々が話し合っていけるような信頼関係を築くことが一番大事ではないかと思います。

今までの科学的な知見だけでの結果から決定では無理です。先程申したような基本的な認識が必要です。例えば、最大雨量という場合、もっと河川の幅を広くとるといったこと、そのためには道路、住宅等の移動を含むことによって、最大雨量の定め方も変動します。また、破堤の問題があります。例えば愛知県の新川の破堤の20日後に見てきました。もしその堤内近くに林があれば、被害の受け方はかなり違ってきます。いろいろな要素をもって、今までの不合理を合理な実態へと向けることはできるはずです。そこまで考えながら河川水系のことを皆さまと取り組んでいかねばならないと思います。

先程の寺川委員の話にもあったように琵琶湖の水位のような、緊急に問題が起こっている所について、試行錯誤は要ると思いますが、可能であれば一度水位を下げてみればいいと思います。起こした結果、どうなったのかということで、仮にやってみるといった実験的なことも必要だと考えております。そして、皆さまができるだけ合理な実態へ近づけるようにしたいということが、流域委員会での基本的な認識とあり様であってほしいと思っています。

○谷田委員(委員会・淀川部会)

破堤ということが出たのでお聴きしたいことがあります。まず破堤の実験はできませんが、過去に直轄河川、或いは一級河川全体でみられた破堤のケースについて、本日、非常に教科書的なお話を聴きました。それは予測の範囲であったのか、或いは予測の範囲を超えていたのかを、琵琶湖、淀川水系だけに限らず、他の事例で教えて頂きましたが、例えば、越水の破堤が非常に多いのか、或いは浸食破堤があるのかをお伺いしたいと思います。

治水は委員会の中で最も大きな課題です。その中で破堤は絶対に避けなければならない事もありますので、次の機会にでも情報を提供して頂けるか、或いは今この場で教えて頂けるでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所 宮本)

本日はデータを持ってきておりませんが、全国的に今まで破堤したときの原因やその状況について、次回、我々の方で整理してご説明したいと思います。

それから、本日は越水の説明だけをしましたが、先程も申し上げました浸透、或いは洗掘による破堤の問題もありますので、どのような状態のときに洗掘、或いは浸透で破堤する可能性があるのかという考え方を、次回ご説明したいと思います。

○谷田委員(委員会・淀川部会)

それから、塚本委員のお話を聴いている限りでは、淀川水系のうちの琵琶湖の係わる部分は非常に大きく、天然のダムでもあるため、雨が一気に流域へ降ったという状況でも、それほど下流域の洪水には心配がないといった印象を受けました。

逆に今、ローカルな雨の降り方のようなものが情報として積み上がっているはずですから、広い流域を考える場合、これから20年、30年間の河川整備計画を策定する際には、雨の降り方の予測、或いは地域分布のような情報も盛り込まなければいけないのではないかと思います。

○芦田委員長(委員会)

本日越水の話がありましたが、越水でなく、側岸浸食、湾曲部の深掘等、非常に危ない箇所があります。それから、洪水のときに堤防地が緩んでいれば、それを水防で守る。破堤は免れているが、水防活動は相当力を入れているわけです。議論が進むにつれてそのような実態をもう少し出して頂いたらよいのではないかと思います。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

先程の補足をさせて頂きます。例えば琵琶湖の場合、対岸の川の流れ込みの変化、その造波によって水位が上がるといった被害もあります。例えば、先日貝塚方面への途中の住吉、堺あたりにおいて天上川までとは思えませんが堤防が壊れるとなれば、寄り添うように家が立ち、暮らしている庶民は広い範囲でかなりの被害を被ることになるだろうと感じています。

それから、渇水の問題には幾つかあって、都市部はいろいろな構造物をつくってきたために、まず地下水自身が切断されているということも考えられます。また、雨の降り方のピークが非常に高ければ、雨量の総量は同じであったとしても保水力にも関係して、渇水と同時に洪水の要因として挙げられます。いろいろな総合的な考え方、実態に対して本当に厳しい部分を知っていきながらやっていかなければいけないと思います。

○江頭委員(委員会・琵琶湖部会)

治水の問題については芦田委員長もお話になりましたが、昭和28年規模の雨が降れば山も相当に荒れるし、かなり異常な土砂流出が起こるわけです。これから治水を考えていく上では土砂が大量に流れる、山が荒れると流木も出てくる、そのことによって何が起こるのかも将来的に検討して頂きたい。

また、先程の通水能力の計算は、現状の河川の状況を使われたのですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所 宮本)

平成10年の河道の断面を使っております。

○江頭委員(委員会・琵琶湖部会)

昭和28年クラスの洪水が起きれば、河川の縦断形状も洪水中に随分変わります。特に淀川本川になれば堆積域になっているため、河床が変動することで何が起きるのかも、恐らく技術的に解析することが可能だと思いますが、これについても併せてご検討下さい。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所 宮本)

実は、今回洪水の際にどのように土砂が移動し、どのような影響を河床変動に及ぼすのか、なおかつ流下能力についてまでは検討していません。真水の状態での検証ですが、まず、その状態でどのようになるのかを皆さまにお示ししたいと思います。今、江頭委員がおっしゃいましたように、土砂の移動まで含めた解析は可能だと思いますが、多少時間がかかると思いますので、より精度を上げた段階でお示ししたいと思います。

○吉田委員(委員会)

資料2-1-2の後半部分にある「淀川水系で平成13年度に実施を予定している事業」の33ページに猪名川総合開発事業が紹介されています。

大阪で開かれたシンポジウムで、愛知万博とオオタカ問題などについて講演をしてきた経緯があるので、本委員会でも話をしたいと思います。オオタカだけの問題ではないと思いますが、公共事業の見直しという中で、5,500戸、1万6,000人という大きな事業計画が、1,000戸、5,000人、60ヘクタールという5分の1くらいの計画に変更されました。

そのような変更もありますので、猪名川総合開発事業の余野川ダム等についても、治水上だけでなく利水上の必要性についても再検討する必要があると思います。

この委員会では、今後20年、30年を見越した検討をするということで、私としてお願いがあります。今までも計画が進められてきて平成13年度にもさらに予算がついて計画を進めるということですが、最近では大阪府の水需要については下方修正がされています。そのような時代に、この委員会の中で見直しが必要な事業等についても検討してもよいのではないかということを確認したいと思います。

私は大阪府の住民でもありません。余野川ダムの給水を受ける大阪、或いは阪神地域の水道事業団の流域住民でもありませんので、できることなら猪名川部会で、住民の方も含めた上で詳しく検討して頂けるとありがたいと思っております。

○河川管理者(近畿地方整備局 水野)

河川管理者からの基本的なスタンスを説明させて頂きます。

今後20年から30年間、河川の整備については、河川整備計画の中で策定されたことに委ねようと思っておりますので、最終的に河川整備計画に位置付けられなかった事業については実施しないつもりです。今回、まだ河川整備計画の策定の途中ですので、継続的な事業についてはそのまま続けようと思っていますが、新たな段階には入らないようにしたいと思っております。

具体的に余野川ダムで言うならば、今、導水路トンネルや工事用道路は継続的に取り組んでいる関係上、そのままの取り組みを考えておりますが、ダムの本体工事という新たな段階に入るためには、河川整備計画で位置付けられてからの取り組みだと思っています。

今、大阪府では水と緑のまちづくりの変更案が議論されているようなので、今後その話をきちんと聴かせて頂き、また全体的な計画についても、猪名川の治水対策や利水を最終的に考える段階において、あるべき姿を代替案で説明させて頂き、皆さまにご審議願いたいと思っています。利水だけで言うならば、日量10万トンを開発することになっています。水と緑のまちづくり関係のニュータウンにおける必要水量はそのうちの10分の1にあたる1万トンとなっています。

○芦田委員長(委員会)

ここで休憩をとりたいと思います。10分間休憩の後、4時から再開します。

 

〔休憩:15:50〜16:05〕

 

○芦田委員長(委員会)

引き続き話を進めたいと思います。

次に、今後の審議体制、或いは当面の作業準備について、特に住民懇談会の取り扱いについてどうするか、部会に委員会から何を委嘱するかということを考えたいと思います。部会と委員会の役割分担について諮りたいと思いますが、まず、庶務から資料の説明をお願いします。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

それでは、資料3−1、資料3−2、資料3−3について説明させて頂きます。

〔省略:資料3-1説明〕

〔省略:資料3-2説明〕

〔省略:資料3-3説明〕

○芦田委員長(委員会)

まず、審議体制案として委員会と部会の関係があります。これは前回の委員会からの議論としてもありましたが、それぞれの部会では、委員会からそれぞれ部会特有の問題について議論を深めてもらい、提案や報告等を委員会に出してもらい、そして委員会で再審議するという流れで進めていくということです。先程の発言にもあったように、いろいろな地域の問題、特有の問題が多くあると思います。しかし、ここで逐一取り上げていたのでは時間的にも大変ですので、できるだけ部会で議論を深めてもらう方がよいと思います。また、部会の方が地域住民とのコンタクトもとりやすいのではないかと思われますので、部会には地域住民からの意見聴取も積極的にお願いしたいと思います。委員会と部会の関係について、他に意見はありますか。

異議がないようですので、次に進みたいと思います。

住民懇談会の設置については、まず設置するかどうかを審議したいと思います。当初から、住民懇談会は設置する必要があるという意見が非常に強かったわけですが、設置するとなれば、どのような形で設置をするのか、皆さまのご意見をお伺いしたいと思います。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

住民懇談会はぜひ設置してほしいという強い意志を持っておりますが、この資料3-1にある設置案では、なかなか住民懇談会の開催目的が達せられないのではないのかと思います。2点ほど意見を言いたいと思います。

まず1点目は、地域住民の中には極めて多様な人たちがいます。例えば、行政が待っているだけで意見を前向きに言ってきてくれる方たちがいますが、実はそうではない人たちの方が大変多くいるわけです。ですから、例えば、地域住民の意見を募るにしても、ある意味で全体の構造を見るときに、一方では、「ご用聞き」で出かけて行くといった方法も考える必要があるのではないのかと思います。

もう1点は、そのご用聞きで出かけて行く際、先程の琵琶湖の新海浜の例、或いはヨシで困っておられる安土の例がありましたが、問題が社会問題化している場所と、問題は潜在的にはあるけれども平穏無事に過ぎているような場所とがあるので、その辺りはバランスを考えてこちらから出向いて行かなければ、河川法の住民意見の聴取という精神は全うできないと感じております。

○芦田委員長(委員会)

これは特に、部会の方にお願いすることが多いのではないかと思います。米山部会長、どう思われますか。

○米山委員(委員会・猪名川部会)

猪名川部会での住民懇談会については、できれば開催主体を猪名川部会にして頂きたいと思います。

とりあえず開催頻度については、これはエンドレスになるかも知れませんが、資料3-1のB開催頻度にある案2の「各2回〜3回程度」、或いは案3の「4回〜5回程度」という頻度で考えたいと思います。

開催場所は、猪名川部会の場所の案が同資料のD開催場所に出ていますが、できれば住民懇談会では資料3-2にある「猪名川流域の主要地点を巡回して開催」という部分を思っております。今回の第1回猪名川部会は猪名川工事事務所の会計検査と重なりましたので、第1回猪名川部会の日程を5月22日ないし23日に開催しますが、私の個人的な希望として、大阪市内もしくは尼崎周辺等での開催を考えて頂ければ大変ありがたいと思っております。

また、ご用聞きといった形で地域住民の意見を聴きに行くのであれば、土曜日の夕方あるいは午後を考えればよいかと思います。

○芦田委員長(委員会)

寺田部会長はどうお考えですか。

○寺田委員(委員会・淀川部会)

前提として、資料3-1にある住民懇談会(仮称)の設置案の@開催目的にも書いてあるように、住民懇談会の位置付けは明確にしておかなくてはいけないと思います。

つまり、住民意見を聴取することはこの流域委員会の設置規約第6条8項で規定しているわけで、委員会としていろいろと検討をしていく過程で、積極的に地域住民の意見を聴こうではないかということを位置付けているわけです。従って、これは例えば、資料3-1にある設置案@の開催目的の4つ目に記述されている河川法の位置付けとしての意見聴取とは全く意味が違います。河川法で定められている意見聴取や公聴会は、学識経験者の意見を聴くものとしての淀川水系流域委員会の機能とは全く違った部分です。これは皆さまで共通認識しておく必要があると思います。

ただ、この流域委員会の人数はかなり多いのですが、さらにもっと幅広い地域住民の意見をこの流域委員会での検討過程で聴いていこうと決めたわけですから、地域住民の意見を聴く一つの形として、住民懇談会を考えるということだと思います。

先程、委員長が言われたように、淀川水系流域には個別の問題が多いでしょう。従って、この委員会の中で住民懇談会を持つのはなかなか難しいことなので、住民懇談会は部会を中心にして実施していく方が望ましいと思います。

どのような形で、どのような問題をテーマとして住民懇談会を開いていくのかは、まず、近々開催される部会の中で、住民懇談会の位置付けを委員の皆さまの共通認識にして頂き、その上で部会委員の方のご意見も十分に聴いて決めた方がよいと思います。

また、テーマによっていろいろな住民懇談会のやり方があると思いますので、初めからこういうものだと決めつける必要は全くなく、柔軟に対応していけばよいのではないかと思います。

まずは部会でどのような形で懇談会を実施していくのかを議論し、それを各部会から委員会へ報告、それからイメージをつくっていけばよいのではないかと思います。

○芦田委員長(委員会)

先程、寺田委員がお話しになりました資料3-1にある開催目的のうちの、「河川法に位置付けられている住民意見聴取を兼ねる」という部分は、河川管理者の仕事ではないかと思いますが、河川管理者はいかがお考えですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 水野)

今回、河川管理者もこの流域委員会において住民意見を聴くことになっておりますので、住民意見の聴き方について流域委員会の方から提言を受けることになっております。

また、河川法に位置付けられている住民意見聴取を兼ねる方法も、兼ねない方法もあると思います。それはご審議の上で、ご提言頂ければよいと思っています。

○芦田委員長(委員会)

一緒に意見を聴くことも1つの方法ですね。しかし、「河川法に位置付けられている住民意見聴取を兼ねる」というのは、流域委員会としては実施しづらいかも知れません。

○米山委員(委員会・猪名川部会)

部会と住民懇談会を兼ねるということもあり得るのではないでしょうか。つまり、第1回の各部会ではとても無理ですが、2回目以降の部会において実際に問題が出てきた際に、部会委員と地域住民に参加して頂いて意見を聴くという方法もあると思います。

○芦田委員長(委員会)

しかし、委員会の中の構成として位置付けるのは難しいと思います。

○米山委員(委員会・猪名川部会)

それはできませんが、兼ねるというか、部会と懇談会を同じ日に開催することもできると思います。

○芦田委員長(委員会)

その方法については寺田委員もおっしゃったように、部会で一度議論をしてみるということでよいですか。

○米山委員(委員会・猪名川部会)

はい。

○川那部委員(委員会・琵琶湖部会)

やはり部会で一度議論してからだと思っておりますが、個人的なことを言えば、地域住民の方の意見を聴くということの中に、今、どのような問題があるのかを考えないといけないと思います。また、流域委員会規約第2条の目的にあるように、地域住民の意見の反映方法についても、委員会で考える必要があるので、その問題に関しても地域住民が何を考えているかを考える必要があると思います。

アユの調査の経験で言えば、漁業の人たちに会う際に、宿屋に来て頂くのは一番まずい方法です。野外で漁をされている所へ直接出向いて意見を聴く方法が一番よいのです。そのような意味から言えば、いろいろなやり方で地域住民の意見を聴かなければならないだろうと思います。

住民懇談会を公式的な位置付けだけにするには大変疑問があります。もちろん、これは部会での議論になるわけですが、ある場合には、委員全員ではなく数人の委員で出向いて聴いて頂くというような方法までを考えないといけないと思っていますので、部会で議論をさせて頂ければと思います。

○芦田委員長(委員会)

地域の住民を大勢集め、非常に多い人数の中で意見を聴くと言っても、効率的な意見が出ないと思います。川那部委員のおっしゃるように少人数のグループで、或いは目的を持った課題ごとに地域住民の意見を聴くという形をとらなければ、なかなかうまく事が進まないかも知れません。

○川那部委員(委員会・琵琶湖部会)

嘉田さんも言われたのですが、ある場合には押しかけて行った先で、言いたくない人達からも意見を聴く方法を考えなければいけないかも知れません。相手が拒否をしても構わないわけですが、そのような方法もどこかで議論をしておくべきではないかと思っています。

○川上委員(委員会・淀川部会)

寺田委員がおっしゃった河川法の解釈は、全く正しいと思います。しかし、今回の住民懇談会を開いて意見を聴くということは、河川法の住民意見の聴取ということに位置付けてもよいのではないかと思います。

例えば、委員会で住民懇談会を開催して意見が出され、その意見に基づいてあることを決定したと仮定します。河川整備計画を具体的に決定する段階で、今度は河川法に基づいてもう一度地域住民の意見を聴かなければならないということになれば、時間と手間が非常にかかると思います。従って、実質的には、今回の住民懇談会で意見を聴取することが河川法上の住民意見の聴取になるかならないかということを、河川管理者としてはっきりと決めておかれた方が私はよいと思います。

また、寺田委員がおっしゃったように、部会がどのような形で住民懇談会を開催するのかを議論したいと思います。例えば、淀川部会については、桂川と宇治川と木津川という、それぞれ個性の違う、そして非常に流域面積の大きい3つの川をテーマにしていますので、これを一つの住民懇談会で括ってしまうことはできません。

ですから、例えば私のフィールドの木津川に関して水質だけを限って見れば、木津川は上流から汚れていますが下流に行くほど綺麗になります。大抵の川は、上流は綺麗で、下流が徐々に汚くなっていくという性格がありますが、木津川はそれとは反対です。そのような場合には、どこで住民懇談会を開催すればよいのかは、自ずと決まってくると思います。そのようなことを部会の中でいろいろと議論をしたいと思います。

○芦田委員長(委員会)

先程の資料3-1の@開催目的にある「河川法に位置付けられている住民意見聴取を兼ねる」ということについて、河川管理者はどうお考えですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 水野)

今回の流域委員会の目的は、地域住民の意見の反映についてご意見を頂くことになっています。従って、住民懇談会は地域住民の意見を反映する方法の一つであるというご提言を委員会から頂ければ、我々で判断したいと思っております。個人的には住民意見聴取を兼ねるということは、あり得ると思っています。

○寺田委員(委員会・淀川部会)

皆さまが今持っておられる住民懇談会のイメージがばらばらだと思います。各自が自分の考えているイメージで言っていますが、住民懇談会自身の実態はまだ全くありません。やはり十分議論をして、皆さまの懇談会に対するイメージが統一できた時点で初めて言えることであり、今あるような抽象的な段階で決めてかかるのは非常に危険なことです。

むしろ共通のイメージが持てるように各部会で議論すべきだと思いますし、1つの組織として確立した住民懇談会をつくるのは少しおかしいと思います。要は聴き取りをどのような形で実施するのか。より広くの方からの意見を、いろいろなテーマごとに、どういう形で聴くかということです。

先程、川那部委員もおっしゃいましたが、場合によっては、こちらから出向いていろいろな地域住民の方から聴き取りをしたり、聴き取りをする項目の選択等、やり方によってはたくさんの方法があるわけです。私としては、組織的に住民懇談会をつくり、住民懇談会のメンバーをつくって、選ばれた地域住民の方と流域委員会が懇談するというイメージでは全く考えていません。そのようなことさえも、他の委員の方のイメージとは違うと思います。

これが河川法でいう意見の反映方法、意見の聴取方法となれば非常に幅広く意見を聴取しないといけないわけですから、部分的な問題では資料3-1の@開催目的にある「河川法に位置付けられている住民意見聴取を兼ねる」ことができるかも知れませんが、委員会で行うような聴取を基本とするものとは、かなり意味が違うのではないかと思っています。

○芦田委員長(委員会)

私も寺田委員のご意見に全く同感です。この流域委員会に住民懇談会を位置付けてしまうと非常に固定化してしまいます。いろいろな所へ出向いて、いろいろな意見を聴くことが必要で、懇談会もその一つとして位置付けた方がよいと思います。

○枡屋委員(委員会・淀川部会)

住民懇談会という名前よりは、むしろ住民からの意見の聴取方法等の表現にしたらよいと思います。先程の河川法の話にありましたが、住民意見聴取を兼ねることができるようにするとか、その辺りは寺田委員のお話しされた通りに柔軟に考え、例えば1人、2人が聴きに行く場合もあるだろうし、集まって議論する場合もあるだろうと思います。

○芦田委員長(委員会)

そのようにしなければ、資料3-1の@開催目的の「河川法に位置付けられている住民意見聴取を兼ねる」ということは大変なことにもなります。どのレベルまで考えればよいのかについては流域委員会として責任が持てるかどうかわかりません。それはやはり河川管理者として責任を持つべき部分でないかと思います。もちろん、住民意見をできるだけ反映するような方法を考えることは大事なことです。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

河川審議会の委員会で、住民意見の聴取の方法の中身については殆ど議論されていません。

ですから、河川法の位置付けそのものも実はフレームワークがまだできていないということも含めて考える方がよいのではないかと思います。さもなければ、これはほんの一部の部会の話であるとか、流域委員会の話であるということで、次にそれをどのようにして法的に反映するのかという責任のある判断ができません。結果的には住民から聴いた意見はどう反映されるのか、ある程度河川管理者にお伺いしたいと思います。

先程、川那部委員のお話にもありましたが、幾つかのイメージをモデルで示し、しかも手法としては、押しかけていくことの他に、委員会のような形で聴取する方法もあります。その辺りについて、汎用的なモデルを考えるのは流域委員会の仕事だろうと思いますし、ここで考えなければ、河川管理者が全てをつくることになります。申し訳ありませんが、一般に行政は地域住民の意見を聴くのがあまりうまくないので、私自身は、それほど信頼はしていません。住民代表の方もおられるような所で、少し汎用的なモデルをつくるくらいの意気込みが欲しいと思います。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

懇談会というのは、もともと地域住民の人たちが川、水系に対してどのような思いを持っているのか、起こってきた不合理に対してどう対処したいのかということを知ってゆくことだと思います。

ところが、例えば10年ほど前と比べると、地域住民の方々の無関心さは非常に大きくなっています。地域住民の人たちは、川とまちづくりという複合的なことで川への関心も高めはじめています。例えば、京都の梅津で起こっている有栖川とまちづくり等の例にみられるような関係でなければ、地域住民の人たちもなかなか川に関心を寄せることになりません。逆に無関心な人たちには少々生活にも疲れているところもあって、どうしたらよいのかといった気持ちすら起こって来ていません。これについては、これからの委員会でのテーマでもあると思っています。

文句を言う人、強く反対する人たちは、本来自主的に関心を持ってまちとともに自分たちがどう暮らしたいのかという人たちでもあり、また複合的な形でも積極的な意見、活動が出てきます。そのような会合などがあれば、それを皆さまにお知らせして、また場を設けて地域住民の人たちにまちのことや川のことについての意見、考えを一度聴かせてもらう等して、現状の人、社会の実態を知ることも大事だと思っております。

○吉田委員(委員会)

住民懇談会というと、大抵は年輩の人が多く出席されることが多いと思います。ここに「ホームページ、ニュースレター上で公募」と書いてあるので、もう少し幅広い年齢層の方が参加されるかも知れませんが、20〜30年先を見越した計画を立てるのであれば、もっと若い人たち、特に子供たちからも意見を聴くべきです。現在の10歳の子供も30経てば40歳になるわけですから、もっと今の若い人たちからも意見を聴くべきだと思います。

たまたま、本日、皆さまのお手元に配らせて頂いた地図「全国自然しらべ2000「私たちの川」」で、全国で4,000人程度の人に参加してもらい、2,470カ所に渡るポイントを調べました。淀川水系にしてみれば百数十カ所くらいだと思いますが、普段は見ていない、生活から離れてしまった川をもう一度この種の環境学習的なプロセスから見直すことによって出てくる意見も非常に大事な気がします。

また、イベント等も盛り込むことで多くの人が関わってもらい、そして河川整備計画をつくっていくというプロセスが非常に重要だと私は思います。お子さん連れのお母さんはこういう住民懇談会になかなか参加出来ないと思います。ですから、そのようなフィールドでこのようなことを調べたりしながら、そこで出た意見もどちらかの部会で反映して頂けるといいかと思いまして、提案をさせて頂きました。

○芦田委員長(委員会)

部会において、住民懇談会というのはどういうものかを検討して頂き、それをまた委員会で検討するということにしたらよいと思います。

この件については特に異議はないようなので、次に資料3-2の開催場所の案に移りたいと思います。これはかなり事務的な問題ですが、原則として委員会は京都周辺で行い、部会についてはそれぞれ次回の部会でご検討頂くということでよろしいですか。

この件についても、特に異議はないようなので、引き続き資料3-3の広報の方法、体制案についてご意見をお伺いしたいと思います。現在もニュースレターやホームページ等で広報を相当努力していますが、広報の拡張案も出ています。広報について現在の方法でいいのか、あるいはもう少し拡張すべきか、ご意見を頂きたいと思います。

広報を担当している庶務としての感触はどうですか。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

ニュースレターについては、第1号は相当量を配布できるように1万部刷りました。現在のところ既に3,200部ほどは配り終わっていますが、もう少し一般の方の目にとまりやすい場所にも設置できればと思っています。

ホームページについても、なるべく見て頂きやすいように、庶務としても現在、工夫を凝らして取り組んでいるところです。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

第1号のニュースレターを見せて頂いて、具体的にはまだまだ送って頂きたい先とか、まだ幾らかの部数を頂きたいといった希望はありますので、そのような意味からは拡張して頂きたいと思っております。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

まだかなりの部数が残っているようで、もったいない感じもします。NGOやNPOはたくさん存在しますので、そのような先にも送ってもらうことはできるのでしょうか。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

資料3−3の2ページ目にニュースレターを送付している団体名を列挙しています。こちらは各工事事務所から出して頂いた資料を元に庶務からニュースレターを送付した先の一覧になっています。ただ、まだわかっていない団体等も多数あり、それらについてはまだ送付していません。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

例えば名簿を提出すれば、その名簿先にも送って頂くこともできるのですか。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

まだ5〜6,000部ほど残っています。委員から送付先や部数等のご指示を頂ければ、数のある限り庶務から送付したいと思います。

ニュースレターの第1号ということで、部数的にはかなり余裕をもって刷りましたので、必要であればいろいろな会議等の場でご利用頂くこともできるかと思います。本日も受付に余部を持ってきておりますので、必要であればお渡ししたいと思います。

○芦田委員長(委員会)

では、ニュースレター第1号の送付先等について、さらなるご注文があれば庶務までご連絡頂き、部会を開いた際にまた部数が必要となるかも知れませんので、そういうものも含めて拡張して頂きたいと思います。

○谷田委員(委員会・淀川部会)

住民懇談会もそうですが、委員会、或いは部会には各府県の方が参加しておられます。ところが、まちづくりや、まちなみづくりとなれば、それを直接担当されるのは市町村レベルの方だと思います。市町村に対する広報や、市町村に住民懇談会にどうかかわって頂くのか、地域住民と一線で接している行政をどのように巻き込んでいくのかを、現状と将来のことも踏まえ、少し考えておいた方がいいような気がします。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

今後はそのようなこともあるかも知れません。現在は河川管理者として府県レベルの方に出席頂いていますが、今後は府県の方にも協力して頂くということで、庶務としては市町村レベルの方への働きかけも考えていきたいと思います。

○谷田委員(委員会・淀川部会)

ニュースレターの配布も、図書館や公民館ルートというのは市町村に頼らざるを得ません。住民との非常に太い情報のパイプのあるルートですから、上手に使った方がいいような気がします。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

庶務としては勝手に動き過ぎるのもどうかと思いますので、市町村の配布先施設等について流域委員会からご指示を頂ければ、それを受けて配布するようにしたいと思います。

○芦田委員長(委員会)

まだいろいろご意見があると思いますが、一般傍聴の方からもご意見をお伺いするという約束をしておりましたので、これから20分間程度、一般傍聴の方からご意見をお伺いしたいと思います。どなたでも結構です。ご意見のある方はいらっしゃいますか。

○傍聴者(橋本)

日本野鳥の会大阪支部から参りました橋本と申します。

私ども野鳥の会も、淀川の環境は非常に大切なものとして、現在3カ所にわたって定例探鳥会をやっております。これは毎月1回、年間12回行っています。場所は、牧野から枚方にかけてが1つの場所です。2カ所目は淀川探鳥ということで、天神橋筋六丁目で集合し、毛馬から中津、或いは城北公園、3カ所目が矢倉海岸探鳥会として、福で集合しまして、矢倉海岸を探鳥しております。

淀川水系ということですから、やはり委員の方にも淀川を自分の目で見て頂きたいと思います。しかしながら、ただ単に見るのもなかなか大変かと思いますので、これら3カ所で開催している探鳥会に参加して頂き、鳥を見ながら環境も見て頂き、なおかつ地域住民の方と、川についてどう考えているのかを聴いて頂けたらと思います。

○傍聴者(小竹)

淀川水系の河口におります小竹です。医者をしておりますが、本日も午前中の診療を通して、子供さん、お母さん、皆さまのいろいろなご意見を聴いて参りました。

前にも申しましたが、毎月「ザ・淀川」というコミュニティー誌を淀川区だけでも9万部を刷っており、各世帯に無料で配布していますので、本日のこの委員会のことも来月号にきちんと記事として載せます。そして例えば、「ザ・淀川」の記事の中では、十三干潟という非常に小さな干潟に、年間129種類の鳥が寄ることを紹介しています。しかも、私どもの商店街のツバメはインドネシアから来ており、河川敷に来るシギ類はオーストラリアからシベリアへ往復しているということも紹介しています。

毎月、日本野鳥の会にもお世話になっていますが、子供さんや小学生、若いお母さんグループを第3日曜日の10時からお昼まで、またそれとは別にカメラマンばかりの写真グループを第2日曜日にといった形で、商店街の空き家をツバメ塾としていろいろな会合に使っています。野球少年のグループや自然観察のグループもあり、棲み分けを上手に展開していくという下地はでき上がっているつもりです。

また、昨年の12月は、英真学園高校の生徒1,000人を使って左岸の十三側の河川敷を大掃除しました。オートバイから自転車等、殆どを清掃で綺麗にしました。北野高校との両方の高等学校は、年間行事として毎年12月には河川を清掃することになりました。対象人口が割合大きなところですから、いい意味での啓蒙を進めれば、本日皆さまのご意見をお聴きして、よい方向へと展開できるのではないかと思います。

また、別の意味では、初頭にありました洪水についてですが、産業医としての立場から見たとき、京都市ではある程度の雨量を越えれば下水は完全に処理されずに放水されているのではないかということが挙げられます。大阪の場合も、大阪市全域にある程度の洪水が起きればその処理能力にも限度があり、無処理のまま、し尿が大阪湾へ放流されているのではないかと思います。

これは批判するという意味で申し上げているのではありません。私は、それぞれの住宅政策の中で、一軒一軒が1割でも2割でも水を汚さないようにしようではないかと呼びかけているわけです。

ですから、完全に仕上げるということは無理だと思いますが、一番問題になる京都市の皆さまには努力して頂き、少しでもし尿、糞便の処理を完全にしてから下水道へ流す方向へ展開して頂くのも大事なことではないかと思います。

○傍聴者(村上)

琵琶湖部会の委員をさせて頂いています村上です。コメントと庶務に対して質問があります。まず1つは、最初のお話にあった琵琶湖の水位の問題についてですが、先程の議論の中で、その問題はとりあえず琵琶湖部会で議論するということでした。いずれにしろ淀川とのつながりが深い話ですから、いずれその話はしなければならないと思っていますが、合同部会を設置する方向で考えて頂きたいと思っています。

もう1つは、庶務に対しての質問です。先程の話にあったニュースレターについて、送って頂きたいNPOがあります。庶務から私に言って頂き、私から全部まとめてお送りしなければいけないのか、或いは直接必要部数を庶務へ伝えて、私がNPOに言えばいいのか等、方法を教えて下さい。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

直接庶務へ送り先を伝えて頂ければ、庶務から希望部数をその団体に送るようにします。

○傍聴者(細川)

日本野鳥の会ばかりで恐縮ですが、私は日本野鳥の会京都支部の細川と申します。

先程、大阪支部の方からもご紹介ありましたが、京都支部も、特に桂川と鴨川という都市河川を中心に、年間を通して探鳥会では野鳥の生息状況、或いは野草の生息状況などの観察会をしております。それもすべて市民参加型で、決して野鳥の会の会員のためだけでなく、いつでも、どなたでも来て頂けるという形で活動をしております。

先程、住民の意見を聴くという議論がありましたが、これに関する話を参考までに紹介したいと思います。一昨年、京都府で鴨川の中洲を撤去するという河川管理者のご意向があり、私たちはそれに対して反対をしました。そのお話の中では、中洲の撤去については住民の意見だという河川管理者の担当者の説明があったため、それなら本当に地域住民の意見を私たちでも聴いてみようと、鴨川を散歩している方々に聴き取りのアンケート調査を実施しました。

それほど多くのアンケートはできませんでしたが、99.9%の方が、なぜ中洲を取るのか、こういうものがあるから鴨川の安らぎがあるのだ、というご意見を圧倒的に頂くことができましたので、それを早速河川管理者のもとへ持って行き、私たちが聴いた地域住民の意見をお伝えしたことがあります。このようなやり方も、今後地域住民のご意見をお聴きになるときの参考にして頂ければと思います。もし、私たちに何かお手伝いできることがあれば、協力いたしますのでよろしくお願いします。

○芦田委員長(委員会)

大変貴重なご意見をありがとうございました。

本日は治水の話も随分ありましたが、治水関連で何かご意見はありますか。

特に意見がないようなので、また委員会の方に戻りまして、委員の方から全体として何か意見はありますか。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

実は、部会をどうするかという議論の中で気になった点があります。

各部会の委員が決まっており、部会が開かれるときにその委員が出席するのは当然ですが、実は私は漁業専門で、しかも京都府管轄の内水面漁業管理の責任者です。そういう立場からすれば京都府の河川についても、あなたが全然タッチしないのはおかしいからタッチしてくれとあるところから言われました。

そうしますと正直言って、2つの部会に出るわけにはいかないので、都合がつけば出席をさせてもらえるように交渉するとは言い残してきたのですが、それは認められますか。

○芦田委員長(委員会)

それは是非お願いしたいと思いますが、ずっと義務づけられるのは大変だと思います。

○倉田委員(委員会・琵琶部会)

少しきついです。義務化しない程度にお願いしたいと思います。

なぜ関連があるかというと、今野鳥の会の方々がご発言になりましたが、内水面漁業者からすれば、野鳥の問題というのは大変重要な問題であり、河川管理上の問題でも議題によくのぼります。例えばアユの放流時期には、鵜がたくさん待機しているため、一気にアユはやられてしまいます。中には猟銃まで持ち出して脅したり、いろいろと苦心している話まで出てくる次第です。

これは他の面でも同様、いろいろな利害関係があります。漁業の場合においても、他の方が聴くと、とんでもないとおっしゃるかも知れませんが、これはどの川の流域においてもかなり被害者意識は強いものなのです。

恐らくそのような観点から、参加して誤解のないように努力しろという意見だったと思うので、できるだけという条件付きで、せめて淀川部会には顔を出す機会を許して頂きたいと思います。

○芦田委員長(委員会)

規約にも定められていますので、是非お願いしたいと思います。

先程も鴨川の砂州を取れというお話もありました。確かに、野鳥等の点からみればよいことかも知れませんが、洪水の疎通能力としてどのくらいの影響があるのか等、総合的にみる必要があると思います。漁業の問題も同様に相反する要素がたくさんあります。そのように相反する意見をもった人たちが皆出てこなければ、片寄ったものになる可能性があります。バランスの問題ですから、可能な限りご出席頂きたいと思います。

大体予定していた時間が参りましたが、他に何かご意見等はありますか。

次回の委員会は6月18日の17時から19時となっていますが、都合として18時開始の方が出席しやすいという意見がありましたが、他の委員の方についてはいかがですか。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

個人的には、18時開始の方がありがたいです。

○芦田委員長(委員会)

河川管理者の都合はどうですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 水野)

皆さまのご都合に従いたいと思っております。

○芦田委員長(委員会)

18時の開始に反対の方はありますか。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

大変なのは、東京に帰られる吉田委員だと思いますが、最終の新幹線になるかも知れません。

○吉田委員(委員会)

地元の方のご都合を優先して頂いて結構です。

○芦田委員長(委員会)

18時からの開始の方が都合はいいという方がお二人おられるので、第3回委員会は、6月18日の18時から20時での開催ということにしたいと思います。

庶務として他に何か意見はありますか。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

ございません。

○河川管理者(近畿地方整備局 水野)

確認をとらせて頂きたい件があります。

先程、庶務から日程の案があり、部会を5月と6月に開催することになっていますが、河川管理者として何を準備させて頂くのかを確認させて下さい。

まず、5月、6月に琵琶湖、淀川、猪名川部会をそれぞれ開催しますが、その中で、河川管理者として、本日現況について説明したものを猪名川部会用、淀川部会用、琵琶湖部会用に内容を少し広げた形で資料を準備し、その2回で部会の皆さまと認識を共有化する議論をさせて頂くということでよろしいでしょうか。

もう1点は、6月18日の第3回委員会では、河川管理者は何を用意すればいいのかを確認させて下さい。

○芦田委員長(委員会)

それについては、運営会議の中で議論したいと思います。部会については、本日現況について説明したものをそれぞれの部会用に内容を広げて準備して頂ければと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 水野)

では、部会については部会長ともご相談をさせて頂きますが、本日の資料をそれぞれの部会用に少し強化し、琵琶湖については、まず水位管理からお話をさせて頂くという準備をしたいと思っております。

提案ですが、我々としましては、いつでも現地をご案内する用意はありますので、ご相談をして頂ければよいかと思います。できれば、ある程度まとまって頂いた方がありがたいと思っております。できるだけ現地を見てから議論をした方がよいという意見もあると思います。次回の第3回委員会の開催までには、それぞれの部会開催は2回予定されていますが、例えば、どちらかの部会開催を現地を見るという形で対応することも十分に可能ですし、また別の日でも十分に対応することは可能ですので、ご議論頂ければよろしいかと思います。

○芦田委員長(委員会)

それでは、これで第2回委員会を終了したいと思います。ありがとうございました。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

では、これにて淀川水系流域委員会第2回委員会を閉会いたします。

今から30分後の5時半より、この会場で記者説明会開催を予定していますので、報道関係者の方、また一般の方も自由に傍聴して頂くことができます。ご都合のつく方はぜひご参加頂ければと思います。

以上




※以降は委員による審議中に行われた傍聴者からの発言とそれに伴う意見のやりとりを掲載しています。

○傍聴者(竹田)

滋賀県から参りました竹田と申します。実は、琵琶湖総合開発計画が策定される以前はプラスマイナスゼロで琵琶湖の水位が維持管理されていました。しかし開発計画によってプラス30という基準水位が設定され、水環境にやさしいヨシ等が群生する湿地に被害が発生し、問題になっているのです。水位が以前のままであれば作業や環境に問題がなかったのです。湿地は壊れやすく、復元するのには大変な時間とお金が掛かるのです。そこから話し合いを始める必要があるのではないかと思います。

マスコミ報道や、湖岸に住む人々等、琵琶湖の水位がプラスになってよくなった人も悪くなった人もあるだろうということではなく、琵琶湖総合開発計画によってどのような影響が出てきたのか、開発によって受ける影響をはっきりと皆さまに認識して頂きたい。それから検討、結論をお願いしたいと思います。

○傍聴者(井上)

彦根の新海浜から来ましたグリーンウェイブの代表をしております井上と申します。参考資料4の8ページを見て頂いたらわかりますが、私どもが住んでおります新海浜では湖岸の松等が倒れている状態で、これは明らかに災害のレベルに達しております。河川法には治水、利水、自然環境の保護があると思いますが、この松等が倒れている状態は既に自然環境はもちろんのこと、民地まで及んでおり、治水も守られていない状況に陥っています。つまり、利水を優先するがために、国土交通省自身が河川法違反を犯しているのではないかということを、私は問題提起させて頂きます。

○河川管理者(近畿地方整備局 琵琶湖工事事務所 植田)

先程、嘉田委員からもお話がありましたが、この件については、恐らく琵琶湖総合開発計画のことも含めて、まず非常に長い年月における水位の変化も含めての現状認識、関連データを説明させて頂いた上で議論をしなければ、なかなか難しいという気がしています。できれば次回、琵琶湖部会等々で資料をきちんと整理した上で議論をさせて頂く、ということでお願いできればありがたいと思います。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)

私の発言を逆に利用されると困るのですが、いつまでも議論ばかりして結論を出さないのではなく、確実に時間をできるだけ早く区切って対処することが大切だと思います。それが例えばこの1カ月なのか、2カ月なのか、或いは竹田委員たちが陥っている問題は冬ですから、次の冬の時期までには必ず結論を出す、というような時間の区切りは設けたいと思います。

ただし、水位が上がった方がよいという意見も同時に聴かなければ、結果として後々、また次の問題が出てくる恐れがあるので、両方の意見をきちんと聴くべきだと思います。ただし、時間を区切って意見を聴くべきです。その際の第一原則として、データがないから意思決定をしないということではなく、データがなくてもある部分、先行き被害を少なくするような形での「予防原則」は大事です。環境に関しての意思決定は不確実性が高く、その時は「予防原則」が必要であるということをはっきり申し上げたいと思います。

私は別に国土交通省のために言っているのではなく、琵琶湖にとって、周辺の住民や漁業者等にとって本当にどちらがよいのか、それを考えるときに先程話をされたことを社会問題化してきちんと議論する時間が必要であるということを言っているのです。ただし、何年もかけてという意味ではありません。

○芦田委員長(委員会)

私としては早急に琵琶湖部会で取り上げて検討して頂きたい事項だと思います。川那部委員はいかがお考えですか。

○川那部委員(委員会・琵琶湖部会)

琵琶湖部会では、いわゆる琵琶湖総合開発計画によってどのような得が起こり、どのような問題がどこに起きたのかをある程度考えなければいけないと言えます。その結果として、どうすればよいかをきちんと議論しなければならないと思います。

ただ、それを議論するにはかなりの時間が必要だと思っておりますので、琵琶湖部会をどれくらいの長さで、どのような形で進めるのかについて大変苦慮しています。しかしながら、嘉田さんが言われましたように、いつまでも長い期間放置しておく問題ではないので、できるだけ早い機会にその議論をしたいと思います。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

先程お2人からご報告がありましたが、現在、具体的な例として琵琶湖の渚は大幅に後退しているという実状があるわけです。それによって松が倒れる等、これまで100メーターくらいあった砂浜が殆どなくなってしまい絶壁になってきているわけです。

このように具体的な事例が実際に進んできており、今始まったことではなく、92年から始まってきているわけです。このままでは渚がなくなってしまうのではないかと思われる箇所が、少なくとも私の知る限りで10カ所以上もあるわけです。

それに加えてヨシの問題があります。今、ヨシを守らなければならない、ヨシを残そうということが琵琶湖だけの問題としてではなく、大切なことになってきているわけです。そのヨシの生育が非常に危ぶまれるという事態にあることは、これから琵琶湖部会で、或いは委員会で時間をかけて考えていくのではなく、これまでの約10年もの間、いったい国土交通省は何をしてきたのかということを言いたいのです。

琵琶湖の渚が後退する原因、或いはヨシを潰してきた原因をここで速やかに言って頂きたいし、それに対してこれまでに河川管理者がどのような取り組みをしてきたのか、情報として出して頂きたいと思います。委員会に責任を転嫁するような委ね方ではなく、河川管理者自身もしっかりと認識しておいてほしいと思います。

○谷田委員(委員会・淀川部会)

第1回の委員会のときに確認をさせて頂いたつもりですが、今話に出ているような琵琶湖の問題も、流域委員会の琵琶湖部会が扱えるようになったと理解してよいのですね。

○芦田委員長(委員会)

その理解でよいでしょう。

○谷田委員(委員会・淀川部会)

瀬田川とか、琵琶湖本体の問題は非常に扱いづらい問題です。水位操作の問題ですが、問題が起きているヨシ、或いは魚の問題は、琵琶湖本体の問題です。そのような点も視野に含め、流域委員会の琵琶湖部会でも扱えるという理解で大丈夫ですね。

○芦田委員長(委員会)

大丈夫です。

○河川管理者(近畿地方整備局 水野)

今回の問題については、瀬田川洗堰で国土交通省が直接水位管理をしており、水位管理という観点から国土交通省マターだと思っております。

前回の委員会でも取り上げられた内容ですが、琵琶湖全体の保全に対する議論ともなれば、国土交通省マターだと完全には言い切れない部分がありますが、今回の件は、瀬田川洗堰の操作という観点で国土交通省のマターだと思っております。

○河川管理者(滋賀県土木交通部 加本)

滋賀県の河港課長の加本です。

先程の浸食の問題ですが、冬は北西の季節風が強く、琵琶湖でも最も長いフェッチ(吹送距離)浸食が新海浜あたりでみられます。そのため、新海浜はもともと、ヨシも育たず砂浜になっていました。

滋賀県の議会でも議論になり答弁を何回かしていますが、必ずしも水位の上昇だけではないという答弁をしています。水位もその1つの要因ですが、もう1つは上流からの土砂供給量が減ってきたという状況があります。これは大変に大きな問題で、付近にある愛知川は河床低下を起こしているのが現実です。

もう1つは、琵琶湖総合保全計画の中にも記述されていますが、県の単独費を入れて、浸食対策として、突堤を出したり養浜を出したりする手当てを行っています。新海浜も実際は手当てを行っており、先程の嘉田委員からのご紹介にもあった通り地域にはいろいろな意見があり、突堤を入れることに対しては地元漁業関係の方々の反発があります。そのことも含め地域のご了解頂きながら、いろいろな対策をしています。

ですから、新海浜だけではなく、先程の寺川委員がおっしゃった何カ所かについてもそうです。今年から新海浜は国の補助事業に採択され、地域の方のご意見も少し伺いながら、どのような対策方法が考えられるかを検討することになりました。また、急に浸食した箇所については、速やかに対策を行う準備もしております。

 

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