淀川水系流域委員会
第3回委員会(H13.6.18)
参考資料2
委員および一般からの意見

(1) 委員からの流域委員会の審議に関するご意見、ご指摘(2001/4/13〜2001/6/15)



2001/4/16


書面
宗宮 功委員(委員会・琵琶湖部会)

初めて流域委員会に出席した。今回は何がどのように審議され、議論されるかをつぶさに見学するに止まった。自分には基本的にこの委員会は何をする所かがなお明確に把握できていない。現状認識の共有化として今の淀川の一部状況(治水対策)を説明されたが、歴史的にどういう認識で今に至ったかを知る情報ではなく、かつ現況に関する満足感や不満足感を質疑応答する場ではなく、注文付けの場で勝手に意見を表明する場でしかない。長期計画に反映させるような要素を切り出すことに至らず、問題点の把握方法や意見聴取も時間切れで不十分であり、大がかりに金をかけてこけおどし的に厚い資料を用意し、「委員会を開催した」という実績作りをしているのでないかと思われてしまう。

 基本的にこれからの2年間の活動で、25年ないし30年先を見越した河川整備計画を作るという事であり、この計画に記されていない河川整備は今後あり得ないとの答弁であったが、変更のない計画などないはずであって、この計画の中に長期展望に立って何度も見直しが出来る手順を確保・設定しておく必要があろう。その意味で、情報収集に関しもっと異なったアプローチがあるのではなかろうかと感じた。また検討方向の絞り込みが重要で、必要であると感じ、大規模な委員会で実質的な検討など出来るわけがないと感じた。以下にいくつか関連事項について考えを列記する。


1)             わいわい自分の意見を時間掛けて説明されるより、25ないし30年後の淀川水系の望ましい姿を、項目毎であれ、全体像であれ、それぞれの関心分野から想定し、委員にも、聴衆者にも、委員会や部会へ参加した時に箇条書きないし絵で描いてもらう。そこに現在との解離があっても何ら問題はない。あってほしい「夢」を共有することが大事であり、「夢」の凡その枠を収集する。現在の行政実行者の視点で、今までのトレンドから将来を見据える方式(行政が案を作成し審議する方式)であれば、行政がやればいいことで、このような場を免罪符にする必要はない。今回は、広範な住民参加を打ち出している以上、杓子定規で、意見の出しにくい委員会方式ではなく、もっと実質参加を求める手段を考え、多くの人が集まって夢を議論し、夢を表明出来得るように、人に集まってもらう形式も考えてもらいたい。初期段階で、あってほしいと願う「夢」をもっと多く拾い集める仕掛を工夫すべきである。


2)             現今流域内で生じている問題をこの委員会で論議していては、時間と金の無駄使いで、我々研究者が出席する意味はほとんどない。現実的な緊急性のあるものは別の場で論議していただき、20年後、30年後の視点に限るべきである。出てきた答えが現状から解離し、到底出来そうになくとも貴重であり、その溝を25ないし30年かけて埋めるのが行政であり、年々の実行動の中で出来る限り夢に近づける努力をすればいい。


3)             今回のような現状認識の共有化をしていては、委員会自体を10回も15回も開かなければ全ての淀川流域の近況(各河川、治水、利水、環境など毎)を知る事は不可能であり、委員会が現況把握の場でしかなくなる。この方式で実質的に新たな何か(環境整備計画)を作り出し、作り上げるには時間が掛かりすぎる。


4)             部会が3個あるので、各部会毎に30年後の夢をまず描いてもらう。委員と住民の意見を出来る限り組み入れた部会計画案(あってほしい河川の姿)を持ち寄り、全体委員会で流域としての整合性を検討し、全体計画としてまとめ上げる。その意味で、「夢」を描けという命題で、各部会を先行させるべきであろう。ただし、将来の治水(提内水、提外水)、利水(地下水を含む表流水)、環境管理機構(生態系保全)などで考慮すべき範囲と必修事項、地域の特性化事項などはある程度統一して考慮してもらう事項とする。その上で、部会毎の特性を加味して地域管理(土地利用計画、地下水を含む地域水管理計画、地域水統合管理システム(水量、水質)の構築)を実行可能と思われる河川整備に関する夢を描いてもらう事になろう。


5)             河川の主目的が、洪水から人と財産を守ることを第1目的とすることは重々理解できる。が、この考えだけが先行すると、過去100年以上の経験がある旧態然とした手法に陥り、新鮮みがなく、新たな夢(仕事の方向付け)は出てこない。少なくとも、年間を通じて中心的日数を占める平水時、ないし渇水時の管理をどうするのか、河川での多様生物個体の確保や生態系保全などの点から見て、河川環境管理上重要だと位置づけられないと問題提起が始まらない。住民は多くの場合、川やダム・湖を平水ないし渇水の時に散歩やジョッギングを通して、その自然(水面、水の音や色、草花、木々、鳥や魚など)を肌で感じているはずであるからである。


6)             河川整備計画は、地域水管理問題と大きく関わっているので、水関連法規(河川法、水道法、下水道法、工業用水法、あるいは水質汚濁防止法などなど)の統合化ないし新規法の設定を含む新管理体系へ向けて視点を高める必要がある。その意味で、極端ではあるが例えば、「水利権があって、河川などから取水したものは取水点から数キロ以内に還水しなければならない。」と言った命題を、河川管理のために重要であるとする認識上からいくつか書いて検討してみると、水道用水を初め工業用水、農業用水など大問題となり、社会の水環境施設のほとんどが作り直されねばならなくなるかも知れない。そこに河川サイドから多くのものを提案できる事態が発生し、その影響が整備計画に反映されることであろう。


7)             最低限、淀川を中心とする水系(地下水を含む)の水量・水質を統合的に監視し、河川の機能を水系として常時モニタリングできるシステムを構築する。水域管理・監視機構と関連取水権者との間に緊密な関係、緊張関係を常に保ち、多くの平常時対策、緊急時対策に対応できるようにする必要がある。



2001/4/20


電話

槙村久子委員(淀川部会)


・     試行錯誤の状態である、ということも分かるし、新しい試みなのでその重要性もあるとは思うが、プロセス自体にエネルギーを使いすぎて本来やるべきことが薄まってしまうという危険性も感じる。


・     委員会と部会の関係性や役割分担が分かりにくく感じる。めざすアウトプットとそれまでのプロセスが今の段階では見えていないことも一因と思う。



2001/4/21


書面


嘉田 由紀子委員(委員会・琵琶湖部会)


(第1回琵琶湖部会ご欠席にあたり、以下のご意見を頂きました。)


<琵琶湖部会の持ち方について>


何をテーマとするか、当日の議論になると思うが、いくつかポイントとなることを個人的意見として指摘させていただきます。


今回の委員会の全体の目標とてらしあわせて、琵琶湖部会では何ができるのか、何をしないといけないのか、入り口的議論が必要でしょう。その中で、私自身は、1997年の河川法改正の中での「環境」とならんでふたつめのポイントである(あ)「住民意見の聴取」と、国と滋賀県、沿岸地域社会の関係の焦点でもある(い)「水位操作問題」と(う)「固有種の激減」という3つの問題について、以下、意見をのべさせていただきます。


(あ)住民意見の聴取について


・あくまでも現場主義をつらぬき、現場で何がおきているのか、できるだけ多くの委員が現状を共有できるような方法を考えてほしい。


・現場主義を考える場合、立場の異なる人たちの意見を、現場に即して率直にとりだすことができるような方法の「自覚的開発」が必要ではないか。つまり「住民」とひとくくりにできないような立場の差異、意見のずれは現場ではつきものである。


・また質問、疑問があったら「尋ねてみる」というだけでは、なかなか現場の率直な声はひきだせない。「聞き取り」は重要な手法であるが、現場ではあたり前であって、言葉になっていない慣習や、社会組織的背景などは、そのことを意図して深い聞き取り(ディープインタビュー)をしないといけない。


・そのディープインタビューのためには、写真や地図など、現場での意見や記憶を立体的にひきだすことができるような工夫が必要である。必ずしもインタビューのプロでなくても、人間的感性をはたらかせて常識的対応をすることで、ディープインタビューは可能である。


・その歳、「**委員会」という権威的な名称のもと、地元の公的代表者だけを集会場などによびだして、「意見聴取」を行う、というような手法だけに頼らず(このような場合も時として必要でしょう)、現場を歩きながらたまたま出会った、老人や子ども、女性など、地域社会の「常駐住民」の意見がきけるような場面設定も必要であろう。


・意見ききとりの結果には、地域社会に戻して、委員やよそものという外部の目と、内部の目が交差するところで、創造的な方向が反映できるようにしてほしい。単に聞きっぱなし、調査しっぱなしにしないで、実践的な方向を模索してほしい。


(い)水位操作問題について


・「水位操作」問題は、琵琶湖と下流域の関係を考える時の歴史的因縁をおびた政治的問題でもあり、まずその問題の重要性を委員の間で共有できるような資料と説明がほしい。そこでは、江戸・明治初期時代、南郷洗堰(明治38年以降)以降、瀬田川洗堰以降(昭和30年代)、そして琵琶湖総合開発以降(平成)というような時間軸でのデータがほしい。


・その上で、琵琶湖総合開発での新しい水位操作規定が「どのような原理」(水位操作の具体的数値、その意味)で、いかにそれ以前と異なるのか、明確にしてほしい。


・そして1992年以降の水位操作規定の変更で、何がどうかわったのか、どのような影響がでているのか、上記の現場主義に即して琵琶湖周辺域での調査が必要であろう。


・水位操作にともなう被害がでているところでは、その被害の大きさや実態を明らかにするのは「加害側」(もし水位操作の変更が害をおよぼしているのならこういう呼び方をまずさせてほしい)であって、決して被害者ではない、という了解が必要であろう。日本の環境政策では、「被害者が害を証明する」という習慣が水俣病以来一貫してながれているが、それは本質的に逆であるということを確認したい。つまりある環境の中で、生活や生産を維持してきた「被害のない状態」という原点に復帰することが、環境に変更を加える側には求められる。


・このような思想は、琵琶湖総合開発の「水位変化に伴う補償」(利水、漁業、航行)という社会的制度の中にすでにうめこまれているが、事業の完成後、だれもが「予測できなかった」被害についても、加害側が十分な資料をそろえ、必要に応じて補償措置をとる、というような対応が求められる。これは新しい「環境哲学」の構築でもある。


・そして、沿岸域をひろくふかく調査した後で、水位操作規定の変更可能性があるのか、ある場合にはいかなる手続きや社会的合意形成が必要であるのか、見直しをたててほしい。それは時間的目標もたてての見通しである。「データがない」という状況でずるずると「現状維持」をすることが、問題をより深くする恐れがある。


(う)固有種の激減問題について


・今、琵琶湖の生態系は、かつて昭和30−40年代に予想した変化をはるかにこえるものであると、私自身は認識している。


・それは典型的に「固有種」の激減にあらわれている。固有種の激減は、生物的価値の問題とあわせて、固有種に依存する魚食文化の衰退と、固有種に依存する琵琶湖漁業の衰退という社会・文化的問題からもアプローチする必要がある。


・なぜ固有種が激減したのか、「外来漁」の違法放流とあわせて、琵琶湖総合開発の建設的事業(琵琶湖の人工ダム化のための各種の水陸切断工事)の影響もきわめて大きいことが予想される。ここには、湖辺の内湖、水田などの、構造的変化も大きく影響している。


・今回の淀川流域委員会、琵琶湖部会の権限をこえる問題であることを承知で、申しあげるならば、農林行政や水産行政などともあわせて、建設行政が一体となって対策がたてられるような、新しい社会的フレームの提案が必要であろう。「琵琶湖総合保全」計画がそれであるという認識もあろうが、琵琶湖総合保全計画をたてた数年前にも予想できなかったような「危機的状況」であると、私自身は、現場の漁業者の聞き取りなどで感じている。ある漁師は、今の琵琶湖の生物に依存する漁業は「がけっぷち」であると表現している。


・「総合保全計画」が水質を中心とした工学的対応に主眼がおかれ、生態系保全についても、地域の社会文化状況を十分に反映できるものになっていないと私自身には思われる。総合保全計画の補強を意図して、この問題にも対処してほしい。


以上、エッセンスのみですが、とりいそぎ意見とさせていただきます。



2001/4/26


面談


森下郁子委員(猪名川部会)


・委員の一人ひとりが持っている知識、情報、経験をどのように引き出そうとしているのかが見えない。どの委員がどういう情報を持ち、この人からこういう意見をもらうためにどうするのか、どうしたいのかが見えない。


・30年間仕事でやってきておりきっちりとしたデータや経験を持っている人の意見と感覚でものを言っている人を同列に扱うのは危険だ。主婦が水の味など生活者としての、生活のプロとしての意見を述べることには意味があるが、希少種がどうこうと言うのは筋違いである。委員会で何をしようとしているのかわからない。非常に不安だ。このままでは忙しい身をやりくりして出る意味はない。他の委員もそうだろう。 


・今の資料は、河川管理者の管理データでしかない。現況といっても、今まで起こってきた事象は何で、行政は何を行い、市民は何を感じ、マスコミは何を取り上げたか、それすら整理できていないようでは全然だめである。



2001/5/8


面談


小林 圭介委員(琵琶湖部会)


(第1回琵琶湖部会ご欠席にあたり、以下のご意見を頂きました)


1.河川整備計画についての意見


<対象地域の河川の整備について>


・整備計画の対象となる河川は、河畔林が発達した地域が多い。そういった河畔林を保全、整備していくことが基本となるだろう。


・その理由は、河畔林の発達した堤防は決壊しにくいことがあげられる。


・コンクリート護岸は、耐久年数が限られており、構造によっては洗掘などが起こりやすいなどの問題がある。過去の堤防決壊の箇所を見ても、河畔林をなくした箇所や河畔林とコンクリート護岸の継ぎ目から決壊した例などがある。


・河畔林は、100年、200年の期間での耐久性がある。また、竹や木の根が張っており、構造的にも強い自然堤防となる。


・人は、過去に堤防に竹を植え、自然堤防の強化とタケノコとしての食料確保を行ってきた。また、キツネは根が張って崩れにくい竹藪の河畔林の地下に巣を作る。キツネがいるところは過去に洪水や堤防決壊が起こっていない。このような過去の人間や動物の知恵、経験に教えられることも多い。


・河畔林が大切なもう一つの理由として、ビオトープのネットワーク化に役立つという点で重要な位置づけがある。


・対象河川や地域の特性を踏まえて上で、河畔林を復元していくことが重要である。その際には、過去の川の歴史を振り返り、現存する他の河畔林との比較を行うことが重要である。


<検討の方法について>


・滋賀県では生物環境アドバイザー制度を導入しており、多くの成果をあげている。


・その中では、堤防の道路拡幅のために河畔林が伐採されようとしたのを道路を田圃に付け替え河畔林を守った実績や川幅を拡幅のために伐採されようとした河畔林を掘削による整備に変更したりなど具体的な実績を積み重ねている。


・例えば、希少種の移植などについては、理論のみではわからない、法則性のないことが多く、その場でじっくり議論する必要がある。


・そういった意味では、土木の技術者と生物の専門家がきっちりと議論し、河川整備のあり方を考えていく必要がある。


・世界湖沼会議などの会議の成果として、琵琶湖の水質がどう変わったか、いい方向に向かったのか、具体的に評価をすべきである。過去の会議の成果を確認することも大事ではないか。そういう意味でも、この会議の成果がどう生かされるかが重要である。


<住民参加について>


・基本的には、河川整備計画などに対して、専門知識のない人間が感覚でものを言うべきではない。


・住民の意見を取り入れると、例えば河畔林をつぶして、河川敷に公園やグランドを作りたがる傾向が強いが、そのような整備は先を見つめた河川整備の観点からは良くない。


・環境という言葉の概念が広すぎる。例えば、住民にとっては堤防ののり面は、芝張りでは○、雑草が生えていれば×であるが、自然界からみれば逆である。


・住民参加の観点からは整備計画などのPLANの場面ではなく、河畔林の維持管理などDOの部分で住民参加を促すことの方が重要ではないか。それにより地域に根の張った住民参加が可能となる。


2.委員会の進め方について


・本委員会のように情報公開を積極的に行っているのは評価できる。しかし、委員会、部会といった構造は、旧来のやり方と変わらないような気がする。


・委員会の半分くらい委員が部会と兼務となっているが、それでよいのか?同じ会議をダブってやっているような感じがする。役割分担を明確にしないと部会での発言と違ったことを言ったり同じことを蒸し返したりすることになる危険性はある。



2001/05/14


書面


村上 悟委員(琵琶湖部会)


■ 委員からのプレゼンテーション実施についての提案


 先日の琵琶湖部会において、植田琵琶湖工事事務所長がプレゼンテーションの冒頭に流域委員会の今後の進め方をお話されました。たしか以下のような図だったと思います。


【現状】 河川管理者の知っていること+委員の知っていること


 ↓


【課題】 河川管理者の知っていること+委員の知っていること


 ↓


【対策】 河川管理者の知っていること+委員の知っていること


 僕個人としては、このフロー自体の問題点も感じないわけではありませんが(※)、この「委員の知っていること」を共有する方法として、各委員から以下の内容で10〜15分程度のプレゼンテーションを行うことを提案します。今のところ、2回の現地視察の後がよいと考えています。


(1)琵琶湖および流入河川の現状と課題−私はこう見る ←現地視察の経験も元に


(2)20〜30年後の将来像


(3)それに向けたプロセス、今誰が何をやればよいか


(4)流域委員会の進め方


 各委員の「視点」を互いに知り、「夢」と「プロセス」を出し合うことで、相互理解と合意形成のベースをつくることがねらいです。


 (2)や(3)の項目をわざわざ入れたのは、僕の経験上、合意をつくっていくのはあくまで「誰が何をするのか」という、具体的、現実的な議論であると思うからです。


 ただ、時間が問題です。一人15分とすると、20人でまるまる5時間がかかります。10分だとしても3時間20分。半日は完全につぶれるし、いっきに20人、というのは辛いです。


 2回に分けて、一人15分+質疑5分とし、10人で3時間20分、というのが現実的かと思います。


 せめてそのくらいはやるのが委員の義務だと思いますがいかがでしょうか。少なくとも僕はやりたいです。また、こうし たものを発表しなければいけないとなれば、現地視察のときの委員のモチベーションも変わると思います。多くの傍聴者の方にも持ち帰っていただくものが多いと思いますし、この内容だったら(シンポジウムのように)一般からの参加もかなり望めるのではないかと思います。


 ご検討願います。


※補足−僕個人としては、宗宮委員が書類で提出されていた(5.11 参考資料2 p3)ように「夢を語る」プロセスが必要だと思っています。さもないと諸処の問題を生んできた一要因である「後追い行政」からの脱皮ができないと思うからです。


 したがって僕の提案は、この3段階のプロセスを無視した形になっています。ただし河川管理者と委員との間の共通認識を作る、ということに重点を置いていることには変わりがありません。



2001/06/03


書面


小林 圭介委員(琵琶湖部会)


(第2回琵琶湖部会ご欠席にあたり以下のご意見をいただきました)


現地視察に関して下記の点をコメントします。




1        丹生ダム周辺に関しては、6月1日にも、川を腰までつかって徒渉したり、絶壁をよじ登ったりしなければならないような現地において、1日中、貴重植物についての保全対策を関係者に指導してきました。河川や琵琶湖の環境保全対策については、現地を熟知した専門家による保全対応策を事業者側に指導したり、事業に反映できるような体制や仕組みづくりを早急に検討すべきである。川のなかでずぶ濡れになったり、手足を擦りむいて岩をよじ登ったり、また、熊よけの鈴を鳴らして、山中で道路の工法や貴重種の保全対策を指導しながら、淀川水系流域委員会で行っている高邁な議論が、いまさら必要なのかどうか、疑問に思えたのは間違いなのだろうか。


2        西の湖周辺のヨシ群落については、滋賀自然環境研究会が3年間にわたって委託調査を行っている。平成14年度には報告書ができあがるので、参考にしてもらうことも可能だと考えます。


3        新海浜の侵食の問題は、愛知川が氾濫後、下流域から河口付近まで大規模な整備がなされ、そのため、湖岸線の波浪に物理的な改変が生じて、新海浜付近に侵食地域が生じたことが最大の原因である。次には、上流部にダムや多くの砂防堰堤が建設されたために、愛知川河口に土砂の供給が途絶えたことが原因している。いずれにしても、この新海浜付近の侵食は、ある程度のところでおさまるが、同時に、現在侵食を起こしていない他の場所で新たな侵食が始まるものと考える。ただ、新海浜から薩摩付近までには、タチスズシロソウなど、県民にはあまり知られていない貴重植物が生育しており、その対策の方も重要な課題である。


4        平湖・柳平湖周辺の整備については、滋賀県の検討委員会で内容の濃密な議論をしており、その報告書を参考にすべきである。



A一般からの流域委員会へのご意見、ご指摘(2001/3/28〜2001/6/15)
発言者 所属等 傍聴 希望 受 取 日 内  容
1 住民団体 3/28 ・      一般市民に公開され、市民の意見が聞いてもらえる場となり、うれしく思います。


・      環境に思いを寄せて活動している団体のネットワーク作りに力を貸していただきたい。

例、水生生物ネットワーク(上流〜下流)

例、水生植物ネットワーク(上流〜下流)

・      淀川に流れる各支流の自治体との連結。

・      (国の方策が環境に対して地方より先行している様に思う。)

ゴルフ場やスポーツ後援(広場)を淀川の河川敷の面積比率と自然の環境にしている比率は?
2 行政 3/29  流域委員会規約第8条に「委託した民間企業が(略)中立的立場で行う」となるが、どのようにして中立的立場の実効性を担保されるのか。

→このご質問については、メールにて庶務より返答しております。
3 住民 3/30  日本野鳥の会大阪支部は三川合流地点から河口までに3箇所で定例探鳥会(1回/月)を実施している。いつも淀川を見て地道な運動しているNGOが委員として入っていない。次回考慮されることを要望します。

河川公園について

河川公園は過密な都市にあっては運動の場所の提供で重要である。

しかし植物、野鳥、昆虫等生物の生息場所としての配慮が望まれる。

水質について

1000万人以上の命を支える水の水源である。最近は黒濁、泡立等の目に見える汚染は無くなった。しかしコイ等1Mくらいの大物は連れるが小魚が釣れないといわれている。環境ホルモン、ダイオキシンなどによる影響もあるといえる。水質の基礎調査、ゴルフ場などで使われる農薬の規制強化が望まれる。

水面利用について

淀川中津は両岸が葦原で冬季カモ類の絶好の休息場所だった。ホシハジロが一万羽近くいた記録もある。ゼットスキー、ウエットスーツをつけ冬季でも水上スキーでカモ類を追い立てる。現在では中津でのカモ類が極端に少なくなっている。冬季の規制も必要。
4 大学院生 4/2 学生・社会人の集まったNGOで淀川の流域の調査をしています。

経済成長や社会制度など時代の変化とともに河川や流域がどのように変化していったのか、今変化しているのか等を調べていこうと思っています。

なかなか見てまわったり本を読んだりしただけでは制度やそれによる状況についてなどわからないことも多く、こちらの委員会で知ることができたらと思い、傍聴を希望いたします。
5 研究所 4/3 すでに、淀川の上流域にあたる滋賀県では、琵琶湖に流入する河川ごとに、面源対策に大きく寄与する農業関係の行動計画づくりを行い始めている。(みずすまし協議会)このような、一つ小さいスケールでの協議会の実績をどのようにくみとり、連携を行っていくのかを考えるのも、相互の活動を活性化させ、淀川という日本の中では比較的大きな水系での「流域意識」を形成する鍵となってくるはずである。
6 住民団体 × 4/23 またこれまで委員会を含め、委員(特に琵琶湖部会の兼任の委員)の方々より「できる限り、現場に近いところで開催しては」旨のご意見がでているようですので、琵琶湖部会の開催場所として、委員会で問題提起させていただきました彦根市新海浜および、西の湖(葦原)に近い、琵琶湖コンファレンスセンター紹介させていただきます。西の湖からは車で10分、新海浜の浸食現場は徒歩で2分です。ぜひ、ご検討いただきますようお願いいたします。

 以下、個人的な見解ですが今後の河川管理のあり方を考えるにあたっては、現状(現場)を実際に確認し、これまでの河川行政の問題点について原因(責任ではない)を追求した上で、改めるべくところは改めるべくところからスタートすべきではないでしょうか。環境という側面がはいった以上、IOS14001のP→D→C→Aの考え方を採用すべきです。
7 個人 ○ 第1淀 第1琵 第1猪 5/2 河川環境保全の重要性に対する認識が高まるとともに、河川事業を含む公共事業全般のあり方が問題になっているなかで、わが国を代表する河川・湖沼を対象に、新たな枠組みで各分野の代表者が参集し事業方針を議論する試みには、個人的に強い関心があります。

 また、"各分野の多様な意見の反映"とは、言うが易く行うに難しものと日頃より強く感じていること、この委員会の結果が今後の各種公共事業に関する議論に大事な役割を果たすと考えられることから、是非実り多い成果が出されることを期待します。
8 会社員 ○ 第1淀 第1琵 第1猪 第3委 5/7 淀川流域委員会及び部会(全般)への意見

1)委員会中における一般聴衆の発言について
 第二回委員会において、一般聴衆よりルールを無視した発言が委員会の討議中に行われたことは、一般聴衆の一人として許し難いことであると思っております。これが前例となりルール無視の発言が続くとすれば、情報公開に即した公開による委員会が出来なくなることを認識し反省されるべきであると私は思います。

 事務局は、委員会討議中における一般聴衆の発言を、再度禁止するよう説明され、発言があった場合には毅然として制止していただくようお願いします。

2)委員会資料の送付について

 公開による委員会として、出来るだけ多くの人々に委員会資料を送るという趣旨には賛成しますが、FAXだけでは多くの人々が申し込まれる恐れがあります。

 資料はページ数も多く、かなりの費用を要するものと思われます。委員会の一般聴衆は、出席のための交通費を負担して当日の委員会資料を頂くことを考慮すると、FAXでの申込者は送料を負担すべきと思います(公共費節減のため)。

 一方、出来るだけ多くの人々に情報を発信されたいのであれば、委員会資料の要約に委員会資料本文の閲覧場所を添えて送付し、必要な委員会資料本文を選定して郵送料を添えて申し込む様にした方がよいのではないでしょうか。

3)委員会資料の使用用語について

 本委員会は一般聴衆も参加されていますので、委員会資料の使用用語は、わかりやすい用語にするか、専門用語に注釈を付けるかご配慮願います。

 第二回委員会の例ですが、河道容量については、堤防天端高で流れる流量と説明されましたが、例えば、想定限界流下可能量(他にも良い用語があると思います)の方が一般に理解されやすいかもしれません。なぜ想定限界を付けると言うと、堤防天端高まで洪水位が高まると、波浪等の影響により水防対策を実施しなければ破堤する極めて危険な流下可能量である事をイメージする必要があるからです。

次に降雨倍率の×1.2、×1.5については、なぜ降雨を拡大するのか説明がありませんでした。このままでは、降雨倍率を大きくして、ゼネコンのためにダムや河口堰及び河川改修を行っていると理解されがちです。

 多分、実績最大降雨×1.2が、確率で1/150ではないかと思いますが、そのような確率にしなければならない必要性と、先進国の治水の安全度と比べての説明が必要ではないかと思います。
9 住民団体 ○ 第1猪 5/8  大阪府の「水と緑の健康都市」計画が当初案から5分の1に縮小された案が、府から提案されています。私自身はこの案も当初案も大阪府の財政の厳しさと、オオタカ営巣が今年は前回の場所に営巣していませんが、この近くに営巣している可能性もあることなどの状況を考慮にいれると、廃止にするしかない開発だと判断しています。

 そして、この開発と一体化した「余野川ダム」についてですがダムの利水を 「水と緑の健康都市」で1日10000トン利用する計画で進められていますが、同じく90000トン利用する阪神水道企業団も水が余っている状況です。

 また府営水の豊能、能勢への導入も進んでいます。そのような社会状況の変化を捉える必要があると思います。検討結果をお示しいただきたいのですが如何でしょうか。
10 個人 ○ 第1猪 5/14 全般的に自然環境の保全を重視し、地域の声を施策に反映させなければならない。行政はとかく、単なる施策・予算の執行によって、自然環境の保全や地域の声を犠牲にしてきたが、そうした行政から脱していかなければならない。
11 個人 - 5/21 河川の監視(河川パトロールカー)についてのご意見

○        河川の監視について、流域委員会でどのような議論になっているか、また、河川監視について詳しい人がいるか

(→「流域委員会ではまだ、そこまでの議論はでていない。今後の検討経過については、議事録等でみてほしい。」と返答しました)

○        河川の監視は、一般の人にはあまり知られていないが、重要である。

○        パトロールに使われている車(河川パトロールカー)は、働く車としては警察のパトカーや消防車などに比べて、十分認識されていない。子供たちなどに対して、もっとその存在や働きについて広めたい。個人的な活動として河川パトロールカーの存在を様々なところへ紹介している。

○        河川のパトロールで監視するのは河川関係の施設の状況だけで良いのか?河川法が改正されて、環境も重要になってきており、環境に関することについても監視、観察をおこなうべきであると思う。

○        このような流域委員会の庶務の役割を担うのであれば、河川パトロールカーの存在を認識し、実際のものを見て欲しい。
12 個人 ○ 第3委 5/28 1、琵琶湖の水位操作について

 現在の琵琶湖の水位操作は、琵琶湖の生態系に配慮したものとは思えず、かなり大雑把なもののように感じています。

 冬季の水位低下、魚の産卵期の水位上昇など、かつての琵琶湖の水位変動に近い形で、きめ細かな水位操作により、できる限り、琵琶湖の生態系に配慮した水位操作に改めていただきたいと思います。

2、ダム開発について

 ダムはいずれ埋まってしまうものであり、自然の生態系を破壊するものなので、ダム開発は再検討し、できるだけ他の方法を考えていただきたいと思います。特に、大戸川ダム、余呉町の丹生ダムの建設は中止していただきたいと思います。
13 個人 × 6/4 淀川の河川整備基本方針の策定状況を知りたいのですが。流域委員会と同時進行で、近畿地方整備局内で検討され続けているのでしょうか?それとも、流域委員会で検討するのでしょうか?

(→このお問い合わせに対しては、「基本方針は流域委員会の審議対象にはなっていないため、整備局へ問い合わせ頂けないか」と返答しました)
14 住民団体 ○ 第3委 6/11 大阪府の水不足への対処は大阪府と大阪市との水利権の融通で解決できるはずだと思われます。もし、できない理由があるなら、その根拠を資料でお示しください。
15 住民団体 6/14 *淀川部会での委員による各河川の現地視察の模様(各委員の見学所感 )が6/18の委員会で聞けると幸いです。

*河川の現地視察は一般の参加も是非お願いしたい。
16 住民団体 ○ 第3委 6/15 第2回委員会、第1、2回琵琶湖部会に参加して感じたことだが、委員会等参加の行政側に環境省(環境面)、経済産業省、農水省(利水面)、厚生労働省(水質面)の担当者がいないのはおかしい。必要に応じていれるのはなく、最初から入れるべき。

上記理由により委員会等の行政側からの説明、議論の内容が、治水、利水(量的な側面)著しくかたよっている。

@ このままだと、利水の質的(水質、安全性)な部分が議論できないのでは?

A また、量的な部分についても、使うことを前提にしたダム等の話しばかりで、中水利用の促進(経済産業省)、使用の削減の啓発(環境省)等の話が出てこないのでは?
17 会社員 −   6/8 第2回委員会の資料2-1-2についての修正ご意見がありました。



修正内容については河川管理者に伝えております。


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