淀川水系流域委員会 第4回委員会議事録

日 時 平成13年7月24日15:00〜17:30
場 所 新都ホテル地階「陽明殿」





 

○庶務(三菱総合研究所 新田)

これより淀川水系流域委員会第4回委員会を開催します。

司会は、庶務を担当しております三菱総合研究所の新田が務めさせて頂きます。よろしくお願いいたします。

審議に先立ちまして、幾つかの確認とご報告をさせて頂きます。まず、配付資料ですが、委員の方には事前に送付したものと本日お配りしているものの2種類があります。事前に送付しているものは、本日はお配りしておりませんので、よろしくお願いいたします。

資料は、「議事次第」、ピンク色の「発言にあたってのお願い」、資料1から参考資料2まであり、資料3の補足資料として1から4を追加しております。また、本日は、寺川委員からのご提供資料として、資料4「水上バイク等からの化学物質による水質汚染に関する資料提供」を配付させて頂いています。

なお、委員の方のみの配付となりますが、塚本委員からの提供資料として、「参考資料:中国北部の旱魃」を添えています。また、本日の審議の参考とするために、第2回委員会で用いた淀川水系の現状説明の資料を委員お二方あたりに1冊ずつ、机上に置かせて頂いております。

一般傍聴者の方の発言にあたってのお願いですが、必ずピンク色の用紙の「発言にあたってのお願い」を事前にご一読下さい。委員の方の審議中における一般の方からのご発言はご遠慮頂いております。委員会の終わりに一般の方からの発言時間を設けていますので、その際に発言をして頂けたらと思います。

それでは、審議に移りたいと思います。芦田委員長、よろしくお願いいたします。

○芦田委員長(委員会)

本日は大変暑い中、またご多忙の中を委員の皆さまにはご出席頂き、どうもありがとうございます。また、多数傍聴にもご出席頂きまして、御礼申し上げます。

本日は、議題に示していますように、まず今後の審議スケジュールをお諮りしたいと思います。その後、河川環境についての情報交換として河川管理者から説明頂きます。それから、委員からの説明をお願いしておりましたところ、寺川委員から情報提供がありましたので、ご本人からも説明をして頂き、その後、検討するということにしたいと思います。

それでは、審議に入りたいと思います。まず、各部会からの報告の概要が資料1「各部会の開催状況について」に載っておりますので、ご覧頂ければよいと思います。何か、これについて特にご説明頂くことがありますか。

○川那部委員長代理(委員会・琵琶湖部会長)

琵琶湖部会からは、特にありません。

○芦田委員長(委員会)

猪名川部会の米山部会長は欠席ですが、部会長代理の池淵委員は特にご説明頂くことはありますか。

○池淵委員(委員会・猪名川部会)

この資料にある通りです。

○芦田委員長(委員会)

淀川部会は寺田部会長が遅れておられるようですが、部会長代理の桝屋委員、何かご説明頂くことはありますか。

○桝屋委員(委員会・淀川部会)

淀川部会もこの資料にある通りです。

○芦田委員長(委員会)

それでは、部会報告に概要説明が出ていますので、後ほどご覧頂きたいと思います。

次に、全体の検討スケジュールとして、資料2「検討スケジュール(案)」をご覧下さい。前回の第3回委員会では、この検討はいつ頃までに何をどうするのか、先が見えてこないというお話がありましたので、検討スケジュールを運営会議の中で相談し、本日、一応委員の皆さまに出してみようということになりました。

先のことはなかなかわかりませんが、ここでは大体のスケジュールの流れを書いています。まず3つの段階に分けました。現状把握を今年の9月一杯くらいまでかけて行うということで、本日の第4回委員会では環境の現状把握、次回の第5回委員会では人と川との関わりを現状把握として認識する予定です。これまでに河川の利用や、治水面では物理的、河川工学的な側面での説明がありましたが、次回の第5回委員会ではソフト面、或いは流域の管理を含めた「人と川との関わり」について、全体的な議論をしたいと考えています。

その後、10月頃から各流域の課題の分析、問題点の議論等を進めていきたいと思います。さらに、それに基づいて、12月頃に予定している第7回委員会ではどういう川をつくりたいのかといった川づくりの理念、整備の方向性について議論していきたいと思っています。

来年の4月くらいには議論した結果を整理したいと思います。そして、その結果に基づいて河川管理者が河川整備計画原案を作成するので、それから河川整備計画原案の審議を開始し、来年の秋頃を目標に審議を終えたい方向で進めていきたいと思っています。

この課題の分析や整理、或いはどういう川をつくるのかといった具体的な部分までとなると、非常に多くのことを議論しなければなりません。短時間で、かつ少ない回数でそれをこなして行くのは非常に困難です。委員会と並行して各部会で審議を進めて頂き、その結果を委員会に報告するという形でフィードバックする。また、委員会で議論した結果を部会に連絡するという形で、部会と委員会を一体化して運営していきたいと思っています。

委員会で取り扱う内容は水利用の問題、淀川の上流と下流の問題等、調整面や全体に関わる問題です。部会は、それぞれの地域の問題を詳細に議論して頂き、手分けをしながら進めていきます。その流れで何とか来年の4月中旬には意見を集約したいと思っています。

意見集約の後に、河川整備計画原案についての審議に入るわけですが、審議にあたっても、部会と委員会との連携を保ちながら進め、来年の秋頃に何とか答申を取りまとめたい考えです。ただ、この1回で済むのか、或いは2回くらい機会を設ける必要があるのかということもあり、回数等については審議の進展に応じて弾力的に運用していきたいと考えています。

従って、資料2に示している現在の案は大きな検討の流れ、大体の目標であるとお考え下さい。このスケジュール案について皆さまのご意見をお伺いしたいと思いますが、やってみなければわからないところがあります。いつ頃までに何を出すのかという目標を押さえておかなければ、先が見えてこないと思います。

皆さまから意見を集約する段階になれば、例えば何か紙に書いたものを出して頂き、審議することになると思います。ですから、この検討スケジュール(案)だけを見ていると、スムーズに運ぶかどうかといった心配もありますが、その辺りは部会にも大いに議論して頂いて、その成果をうまく委員会にフィードバックして頂きたいと思います。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

この資料2「検討スケジュール(案)」にある流れは大まかな検討の流れなので、当然ながら、今後とも場合によって変更はあり得ると思いますが、少し考えて頂きたいことがあります。

まず1点目は、こうして検討スケジュールを作って頂くと、やはり検討時間はそれほど余裕がないという印象を受けます。特に前回の第3回委員会で議論していた現状把握、現状認識については、次の第5回委員会で予定されている「人と川との関わり」まで行われるわけです。そうすると、次で現地視察が終わってしまうのかなという感じがします。前回、現地を見て共通認識を深めていこうというご意見があったわけでから、そのような意味から考えると少し物足りない感じがします。

2点目は、住民意見の聴取についてです。このスケジュールでは、委員会では第7回で、部会では第9回で行うようになっていますが、ここで住民意見の聴取、或いは反映方法を含むということでお聴きするのか、もっと早い段階、或いは現地視察を進めている段階で住民の方のご意見を聴くのか、その辺りがまだよくわかりません。

3点目は、このスケジュールの流れの中で感じることとして、縦割りの印象があるということが言えると思います。これまでに私も意見を出していますが、例えば各府県との兼ね合いや、国土交通省だけではない国の機関、いわゆる環境省、厚生労働省、経済産業省、農水省等が議論をしていく、或いは関わっていく可能性がなければ、この計画はうまく進まないのではないかという感じがします。その点についてもスケジュールの中で考える必要があると思います。

最後に4点目は、緊急性のある問題等についての対応の仕方も、ある程度考えていく必要があると感じています。

○芦田委員長(委員会)

今、寺川委員からいろいろなご意見を頂きましたが、まず回数の問題については、確かにこれで十分なのかという危惧が若干あり、第6回委員会、第7回委員会と書いている中で、第6回委員会が2回になるかも知れません。そのような含みを持っているとお考え下さい。つまり、進展を見ながら進めていく必要があるということです。

次に、住民意見の聴取の方法については、河川法で決められている住民意見をどのように聴くかを提言するということです。我々委員会が住民の意見を聴くこととは違います。従って、我々としてはいろいろな形で住民意見を聴いていく必要があるわけです。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

その辺りについては、私の理解が違っていたのかも知れませんが、河川整備計画の原案を作成していく過程で住民意見を聴いていくということでしょうか。

○芦田委員長(委員会)

それも大事なことですが、資料2のスケジュール案の中に書いているものはそれとは違います。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

ここに書いているのはそういう意味ではないのですか。河川整備計画の原案づくりまでに、住民意見の聴取や反映方法を含むということが書いてあります。

○芦田委員長(委員会)

それももちろん大事なことですが、ここで書かれているのはそういう意味で書いているのではなく、河川法でいう住民意見をどう聴くのかを提言する意味で書いています。

○吉田委員(委員会)

私も住民意見の聴取については意見があります。河川整備計画の原案が出されて、その審議を開始するのが第9回委員会です。その前にあたる第8回委員会が来年の4月中旬ですので、河川整備計画原案の審議が5月や6月頃に始まるかと思うのですが、このスケジュールでは少し遅過ぎると思います。もっと早目に考えた方がよいと思います。

というのは、今お話にもあったように、この河川整備計画原案を作成する前の段階でも、いろいろな形で住民意見を聴いていくのだと思いますが、委員長がおっしゃるような河川法に基づいた住民意見を聴くという機会については、きちっと時間を確保すべきです。

私も世界中全ての国について知っているわけではありませんが、例えばオーストラリアやニュージーランドの環境に関するパブリックヒアリングに限って言えば、時間として2カ月丸々確保していますが、例えばこの流域委員会でもきちんと意見を聴くために時間をとると考えれば、来年の5月、6月辺りに河川整備計画の原案が出されても遅過ぎるという感じがします。

そのような意味から、河川整備計画原案作成のための意見の整理は、来年の4月中旬ではなく年度内くらいには終えて、河川整備計画原案は年度明けすぐにでも出してもらえるというくらいの運びで考えなければ、住民意見の聴取のための時間がとれないと思います。

○芦田委員長(委員会)

しかし、河川整備計画原案作成のための意見整理には、これから相当な時間がかかると思いますので、このスケジュールでもなかなか厳しいくらいだと考えています。もちろん早くできればそれに越したことはありません。

今吉田委員がおっしゃるのは、河川整備計画原案作成のための意見の整理をもう少し早い時期に済ませろということですね。

○吉田委員(委員会)

スケジュールの後ろにある答申取りまとめが、第12回委員会として平成14年秋頃であると既に決まっていると仮定しての話をしています。だから、もう少しスケジュールを後ろに延ばしてもよいのであれば、この日程通りに進め、意見聴取のための時間をたっぷりと確保できればよいわけです。逆に、スケジュールの後ろが既に決まっているのであれば、早目に進めなければ十分な意見聴取のための時間が確保できないのではないかということを心配しているわけです。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

この委員会が立ち上がったのには、恐らく2つの意味があると思います。今までいろいろな不合理さが生まれてきたことに対してどうしようといった、一番新たな有り様を探っていくことが1つ目にあると思います。

2つ目として、今まで30〜40年取り組んできた安全、治水についても琵琶湖から河口までを説明してもらいましたが、やはり今やっておかなければいけないことはあるわけです。だから、短期間である程度の具体を出してやっていくことと、もう1つは長期間で出してやっていくことがあると思います。そこでの相関関係を明らかにしていくことも大切です。

この前、行政と住民、専門家が一緒に集まって、“いい川づくり”を目指しての第4回目の「全国川のワークショップ」という催しが東京であり、その前後で文部科学省の寺脇さん、農林水産省の大西さん、多摩川センターの矢作さんたちにお会いしましたが、まだまだ皆さまこれからだという感じです。例えば川辺川ダムでも、もしこれから話し合っていこうとするならば、本当に長期的に時間がかかっていくと思います。それほど複合的な難しい問題があります。

ですから、短期間でやることと、長期間でこれからまだ延ばしてやっていかなければならないことがあると思います。特にこれから海までを考えたところの環境ホルモン問題等になれば、まだまだこれから起こってくるテーマですから、長期間で考えるということもしっかりと残していくというか、延ばしていくということも大事だと思っています。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

今、塚本委員からおっしゃって頂いたので、私は黙っていようかと思ったのですが、敢えて言わせて頂きたいと思います。資料2「検討スケジュール(案)」の中には「海」という言葉が出てきていません。全ての川がいずれは海へ行き着くわけです。そう考えた場合、周辺住民だけでとどまる話ではありません。

非常にわずかで、我々の実験科学ではキャッチできないようなものでも、海では相当の被害が出る場合があります。ダイオキシンもそうであり、いろいろな化学物質、我々が未だわからないようなものまで影響しているような節もあります。生物の性がうまく変わらない、或いは変化してしまう等、いろいろなことが起きているわけです。海に対する責任は、場合によってはもう少し広域的な影響も配慮しなければいけなくなるわけです。

そのような問題を今ここで持ち出しても仕方がないので、今塚本委員がお話しになったように、そのような問題もあるということを意識の中にきちんと整理して頂き、今後こういうことをチェックして欲しいといった宿題を後世に残していくことは非常に重要だと思います。特に、川というのは山から海まで全部つながっており、まさに水系としての委員会なのですから、河口から先は知りませんというわけにはいきません。その辺の認識だけは明確にして頂きたいと思います。

○芦田委員長(委員会)

今倉田委員が話された部分については、どういう川をつくるのかという理念の中に入ってくると思います。そのようなご意見をどんどん出して頂き、非常に重要性のある海の問題を、川づくりの理念の部分、特に第7回委員会の辺りに考えていますので、その機会にでもどんどん出して頂きたいと思います。

○川上委員(委員会・淀川部会)

先ほど芦田委員長からご説明頂いた、住民意見の聴取等の問題に戻りますが、私がこの委員会の役割として考えていたものとかなり大きなギャップがあり、そのことについて話をしたいと思います。

先ほどの芦田委員長のご説明では、河川法に基づく住民意見の聴取方法、或いは反映方法をこの委員会で検討するというお話でした。もちろんそのことも必要かと思いますが、河川整備計画原案を作るために、この委員会が住民の方々から意見を具体的に聴取するということが当然なければならないのではないかと思いますし、そう思いながら今までこの委員会に参加してきましたが、その点についてはいかがでしょうか。

○芦田委員長(委員会)

もちろんそれは非常に大事なことですから、各部会でお願いしているところです。現地視察、或いはいろいろな形で住民の意見を各委員の皆さまからも代表として出しておられます。個人的にも聴いて頂くこともあると思います。

○川上委員(委員会・淀川部会)

例えば淀川部会で、住民の意見を聴くための集まりを持つことは許されるのでしょうか。

○芦田委員長(委員会)

それは部会にお願いしている問題であり、どのように聴取されるのか等については部会にお任せしています。集まりといっても、具体的にどうするかといった難しい問題がありますが、集まりを持った方がよいということであれば、住民の意見を聴くための集まりを持って頂いたらよいと思います。

○川上委員(委員会・淀川部会)

その辺については、河川管理者のご意見も伺ってみたいのですが、いかがお考えなのでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

河川法に基づいて河川管理者が住民の方の意見をどう聴くのかについては、委員会から提言をして頂きたいとお願いしていましたので、このスケジュール(案)に書いてあるのだと思います。

今お話にありました、流域委員会として住民の意見を聴きながら、我々河川管理者に意見を述べるということでは、第1回委員会から議論されていることだと思っています。住民懇談会をどうするかについては、私の記憶ではもう少し現状と課題を把握し、どういった課題があるからどのように住民の方の意見を聴くのか等、もう少し理解を深めてから議論するということになっていたと思っています。

私個人としては、資料2のスケジュール(案)に住民の方からの意見をどう聴くのかという項目が抜けているのではないかと思っていましたが、スタートの段階から部会委員の皆さまから住民の方の意見を聴きたいというお話があったので、これからは必要に応じてされていくものだと思っております。

○谷田委員(委員会・淀川部会)

資料を拝見していると、琵琶湖部会では西の湖で住民の方と会われて、意見聴取を具体化されたのだと私は理解していますが、それがどういう状況で、どのような住民の方と会われたかを教えて頂ければ、委員会全体、或いは他の部会にとっても参考になるのではないかと思います。

○芦田委員長(委員会)

琵琶湖部会、いかがですか。

○川那部委員長代理(委員会・琵琶湖部会長)

琵琶湖部会としては、現地視察も部会の一部であると考えて行ってきました。従って、部会の方から住民のかたに新たにお話をして頂きたいという要請は今までのところは一切していません。つまり、この委員会、或いは部会を傍聴して下さっている方に、ある機会に意見を言って頂くということと同じ扱いをしてまいりました。

具体的には西の湖だけではなく、1回目の現地視察の際には2カ所、2回目の現地視察の際も2カ所、合計4カ所において住民の方の意見をお聴きすることにしました。2回目の現地視察のときには、1ヶ所には住民の方が来られなかったので、合計3ヶ所でお聴きし、委員とのやりとりもありました。

つまり、こちらから誰かのご意見を聴きたいので来て頂きたい、或いは誰かとは言わなくても、ぜひこういうことで来て頂きたいというPRをしているわけではありません。普通に部会をやりますよ、それに対して、その部会がたまたまどこという場所ではなく、現地のある場所でありますので、そのときに意見を言って頂ける方がいれば、その機会をちゃんと設けますと、そういう形で今までのところはやってきました。

今後その通りに続けるかどうかは、部会の中でまた考えていきたいと思います。

○芦田委員長(委員会)

猪名川部会でも、そういう形の意見聴取の機会を持ったのですか。

○池淵委員(委員会・猪名川部会)

私は2回目の現地視察には参加しておりませんが、1回目の現地視察については委員と関係者ということで実施し、川那部委員がお話しになったような、その後の意見交換会という形では実施していないと理解しています。

○芦田委員長(委員会)

やり方については部会によって異なるかも知れませんが、それぞれに進めて頂いていると思っていました。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

必ずしも実施しなければならないということではないかも知れません。先ほど川那部部会長がおっしゃったように、現場に来て頂いた方から発言してもらうといった自然な形で住民の意見を聴く機会があったと思いますが、住民の意見を、河川整備計画原案づくりまでに聴いていくかどうかをこの委員会で決めればよいことだと思います。

今ご意見が出ているように、それほど時間もありません。住民意見を聴取するための場をわざわざ設けなくても、例えば現地視察の中でその都度聴いていく、等、ある程度お願いする必要が出てくるかも知れませんが、あらゆる機会を活用して住民の方の声を聴いておいた方が、よりよい河川整備計画の原案づくりができるのではないかと思います。委員会、或いは部会でできるだけそのような工夫はして頂きたいと思います。

○芦田委員長(委員会)

それは大事なことだと思います。

○川那部委員長代理(委員会・琵琶湖部会)

部会長の立場として、このようなことを言ってはいけないかも知れないし、現段階では私個人でも考えがまとまっているわけではありません。しかし、このようなことがひょっとすれば部会の中で議論になるのではないかと思っているので、少し申してみます。

今の話に関して言えば、住民意見の聴取や反映方法というものは、委員会ではまずは河川法に基づいたものを考えなければなりませんから、その反映方法をどうすべきかを出さなければいけないのは確かでしょう。それと同時に、我々の意見を整理する際に、住民の意見を「反映」させるまではいかないにしても、せめて住民の意見を聴いて、それを汲んで作り上げることをするのかどうかも議論しなければいけないと思います。

反映方法の検討においても、どこかの会場に、「さぁ、住民の方来て下さい、公聴会を開きます」と言って実施する、それでよいのかどうかという議論もあります。そのようなやり方はほとんどナンセンスで意味がないのか、もっと本格的に知るにはどうすれば良いか、というような問題も少なくとも議論はしないといけないはずです。河川整備計画原案が出されてからでも構いませんが、そのような議論は遅かれ早かれしないければならないと思います。

例えば、スケジュール前半で公聴会めいたものを実施してみる。そこで殆どナンセンスだったという結論が仮に出たとすれば、全く違うことを考えてそれをすぐさま実施してみるといった、大変柔軟なやり方も試みるべきではないでしょうか。さまざまな方法について、議論の中でいろいろ挙げるべきだと思います。もちろん、先ほどのような現地視察でやるという方法もあるかも知れません。

しかし、一度やったことがあったから、後でもそういうことを必ずやらなければいけないと決めてしまうことも、逆にあってはならないという気がしています。つまりいろいろな意味での試みとしての聴きかたが考えられねばならないでしょう。

部会長等が提案するのではなく、部会委員の方々がいろいろな意見を出して下さって集約して決めるというかたちのほうが良いと思いますので、私がそのような提案をするとは断言しませんが、そのようなことがきっと論じられるのではないかと思います。

○寺田委員(委員会・淀川部会長)

今、2つの面からいろいろご意見が出ていると思います。1つはスケジュール的なものと、もう1つは部会と委員会での進め方、その関係といったものがあると思います。

部会と委員会の関係で言えば、やはり淀川水系流域委員会の特徴は、部会を基本として検討を進めるという点にあります。流域面積が非常に広いという理由から3つの部会が設けられています。従って、各部会での検討は、基本的にそれらの自主性に任されていると思います。

だから、決まったやり方があるわけではなく、部会でそれぞれが工夫し、つくっていけばよいのだと思います。今までのような既成概念にとらわれずにどういうことをやっていけばよいのか、どういうことをやっていけばこの委員会もしくは部会としての検討の実りが出てくるのか、成果が出るのかというところから柔軟に進めていけばよいことだと思っています。

各部会間においてもやり方を統一する必要は全くなく、各部会でいろいろ工夫し合って、そういうものを委員会で報告しあい、他の部会で「こんなことをやったら、このようにしてうまくいった」ということがあれば、どんどんそれぞれの部会が取り込んでいけばよいと思います。そういう形で柔軟にやっていけばよいと思います。

特に、部会を通して現地視察をやっているわけですから、現地を見て肌で感じたものが一番大きなインパクトとしてあり、現状認識に基づいた問題意識というものをある程度整理していく。そして、それを全体委員会に反映していくという形で、部会と委員会の関係を考えれば成果が出てくるのではないかと思っております。

住民の意見聴取等いろいろなことも含めて、検討方法といったものは決まったものがあるわけではないのでどんどん何でも試みればよい。何でもやれるという前提で私は考えているのですが、多分、流域委員会は設置されるときにそのような考え方でつくられているはずですから、委員の皆さまも既成概念にとらわれず、やれることはどんどん試みていくという姿勢で、各部会でいろいろと工夫をしながら進めていってはどうかと思っています。

それから、スケジュールの関係についてですが、本日お示しになっている案は、まさに1つの案としてこういうものが考えられますというだけの話であり、この表で言えば、現状把握が今年の秋頃、来年の4月ないし5月くらいまでが課題分析と方向性の検討、河川整備計画の素案なり原案なりというものが最終、その辺のところである程度形づくられるとなっています。河川整備計画原案が出てきた以後の審議と、大まかにはこのような3つくらいの区画ができるではないかという程度のことで、全体委員会の回数、時期、部会の回数を当てはめてみれば、これが一つのモデルとしてできたというだけの話でしょう。これに拘束される必要性は全くないわけです。

ですから、これは臨機応変に進めていけばよいと思うのですが、ある程度、時期的な目安はこういうところで各部会をやっていきましょうという部分だけを、本日は共通認識にしておけばよいのではないかと思っております。

○芦田委員長(委員会)

今、寺田委員から言って頂いたように考えています。

住民意見の聴取の方法についてそれぞれここに書いているのは、河川法に書かれている住民意見の問題です。委員会としては、住民意見を聴取していくということが非常に大事であると考えていますが、それについては各部会を中心として臨機応変にできることをやって頂くということでお願いしたいと思っております。

○吉田委員(委員会)

1つだけ、私が誤解しているかも知れない点がありますので、河川管理者に伺いたいのですが、河川法に基づく住民意見の聴取というのは、資料2に書かれている第12回委員会までの間に実施するという意味ですか。それとも、それが終わってから実施するということでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

河川法にある住民意見を聴くにあたっては、資料2に書かれている第12回委員会までにやらせて頂きたいと思っています。

住民意見の聴き方について委員会からご提言を頂き、その内容に沿って住民の意見を聴かせて頂きます。河川法では、その意見を聴いて我々が判断して反映をすればよい、とのことなのですが、その反映のあり方についても、委員会で説明させてもらい、ご審議頂きたいと我々は考えております。

ですから、反映のあり方や反映の仕方が良い、或いは悪い等、また皆さまから意見を頂きたいと思っております。河川法に基づく住民意見の聴取は第9回委員会から第12回委員会の間で実施し、それに対して我々がどう反映するかも説明させて頂き、それも含めて河川整備計画の原案にご意見を頂きたいと考えております。

○芦田委員長(委員会)

住民意見の反映方法を提案するのは4月、そして原案が出てくる。原案が出てきてから我々は審議するわけです。その間、並行して住民意見を聴くということでしょう。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

我々としては原案を提示させて頂き、この委員会で審議して頂くのと並行して、住民の方の意見も聴かせて頂き、その意見を反映するということになれば、河川整備計画の原案を少し修正する必要性も出てくるのではないかと思います。ですから、住民の方の意見を聴いて、我々はこのように河川整備計画原案を修正しますという説明をさせて頂いた上でそれを踏まえてのご意見を頂ければと思っております。

○芦田委員長(委員会)

それでは、時間が少し過ぎましたので、次に移りたいと思います。

続いて、淀川水系の環境についての情報提供ですが、河川管理者からご説明願います。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

淀川の環境の現状について、資料3「淀川水系の現状」を使って説明をさせて頂きます。

資料3の補足資料として補足1から補足4がありますが、淀川の環境の現状として治水、利水、環境が密接に絡んでおりますので、本日は資料3「淀川水系の現状」から説明をさせて頂きます。

資料3の補足1については、寺川委員から資料4「水上バイク等からの化学物質による水質汚染に関する資料提供」について説明がありますが、その中で河川管理者に対して資料の要求があったものが補足1で、資料3の補足ではありません。また、資料3の補足2についても、寺川委員が丹生ダムについてもご発言があるのではないかという連絡が庶務からあり、芦田委員長から、河川管理者も丹生ダムについて資料を用意するようにという指示があったので用意したものです。本日の説明は資料3についてのみです。

資料3の補足3と補足4については、前回の運営会議の中で、「最近の新聞報道を見ると、大臣が新規ダムをやめた、総務省から水資源の行政監察について勧告が出ているようだがその資料を頂きたい」という話が寺田部会長からあり、本日配付させて頂いている次第ですので、簡単に説明をさせて頂く予定です。

治水、利水の関係がありますので、前回、治水、利水の説明をさせて頂いた淀川本川を中心に説明をさせて頂きます。環境についても、川と人との関わりは次回の第5回委員会で説明予定ですので、本日は、水質、生物、その生息環境の現状と変化を中心に説明したいと思います。資料3を事前に配付しておりますが、第2回委員会で治水、利水、環境に関する分厚い資料(第2回委員会資料2-1-2)をお渡しし、包括的に説明をさせて頂きました。資料3はその中から淀川本川を中心に、このテーマに関係するものを抜粋しています。また、一部追加したものがありますが、第2回委員会に提示させて頂いた資料を中心に抜き出したもので説明させて頂きます。
[省略:資料3の説明]
[省略:資料3 補足3、補足4の説明]
以上で説明を終わります。

○芦田委員長(委員会)

ただいま河川管理者から、淀川水系のうち、特に淀川を例に河川環境の現状と変遷についてご説明がありました。同様のことは、琵琶湖流域、猪名川流域についても、それぞれの部会で説明があると思います。非常にいろいろな課題を抱えていること、いろいろ努力しておられるということがわかりました。

ご質問、或いはご意見があると思いますが、後ほど審議の際にお願いすることとしまして、委員からの情報提供として、寺川委員から資料4「水上バイク等からの化学物質による水質汚染に関する資料提供」が出ています。それについて10分くらいで簡潔にご説明をお願いしたいと思います。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

それでは、資料4「水上バイク等からの化学物質による水質汚染に関する資料提供」について説明をさせて頂きたいと思います。

その資料と関連して、資料3補足1である「淀川水上オートバイ関係問題に関する提言」、「淀川水上オートバイ関係問題に関する提言(案)に対する意見募集の実施結果について」が、淀川水上オートバイ関係問題連絡会から出ていますので、それも参考にして頂きたいと思います。

[省略:資料4の説明]

後ほどで結構ですので、示して頂きたいのは、資料3補足1「淀川水上オートバイ関係問題に関する提言 資料編」の23ページ、「一津屋における水上バイク調査結果について」の「4.測定結果」において、「クロマトグラム(TIC)を図1〜図5に示す」ということで、24ページに図1から図3がありますが、図4と図5がなく、また、「有機センサー警報発生時の三島浄水場原水(平成10年11月29日21:45)のクロマトグラムを図6に示す」とありますが、図6も載っていませんので、これを後ほどで結構なので出して頂きたいと思います。

 また、「4.測定結果」の表の中の3段目にベンゼンが挙がっていますが、そのベンゼンの最後の列、「三島浄水場 原水」の欄に、0.00まで挙がっているのですが、その後が消えております。この数値も大事ですので、わかったら教えて頂きたいと思っております。

○芦田委員長(委員会)

情報提供をどうもありがとうございました。

水上バイクによる水質汚染の問題は、非常に重要だということがわかったわけです。これについては、水面利用と湖面利用等、そのような立場からも総合的に検討する必要があると思いますが、できれば琵琶湖部会で一度ご検討をお願いできたらと思います。いかがでしょうか。

○川那部委員長代理(委員会・琵琶湖部会長)

琵琶湖部会だけの問題ではないと思いますが、水質の問題だけではなく、補足1の資料にもあるように他のいろいろな問題を含めて広く人と環境との関連全体として必ず議論をしなければいけない問題だと思っております。寺川委員、琵琶湖部会でもぜひ言って下さい。

○芦田委員長(委員会)

それから、淀川の水上バイクについて、河川管理者から資料を出して頂いていますが、何か今のことで関連してお話し頂くことがあるでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

こちらから出した資料で、図が載っていなかったり、印刷の不備があることに今気付きましたので、改めて追加でお届けしたいと思います。

我々はちょうど鳥飼大橋の上下流を、暫定的な水上バイクの使用区域として設定したわけですが、この7月の金曜日、土曜日、日曜日に、MTBEの測定もやっており、この辺のデータもあわせて提出したいと思っております。

ちなみに、そのときの最大値は、これは鳥飼大橋の下流で0.00079mg/lということで、アメリカのカリフォルニア州の基準値0.013 mg/lから見れば、それよりは2桁ほど小さい値が出ています。

また、詳しいデータをあわせてお届けしたいと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

今の問題については寺川委員も書いていますが、ハイオクガソリンの一部に酸化物が添加されているという問題です。全てのガソリンに入っているわけではありませんが、淀川の場合、鳥飼大橋ではレギュラーガソリンを使うように指導しています。

また、一つの情報としては、今ハイオクの大手4社にMTBEが入っていますが、今年度一杯くらいで添加をやめるという話もあるようです。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

今の水野調査官のお話で、確かにハイオクガソリン添加剤に関する私の説明が少し不足していました。

ただ、PAHsについては原油の中に入っているということもあるため、MTBEというのは一つの目安として、新しい物質として言っているのです。エイズの問題やヤコブ病等が非常に問題となっていますが、それらと同様に、既に海外においては、MTBEが有害な物質であることが指摘されているにもかかわらず、日本ではまだ使われているわけです。その辺りについて我々も海外でどのようなことが行われているかを敏感に把握し、対策を早く立てなければいけないと思います。特に、近畿1,400万人が琵琶湖を水源としていることを考えれば、もしもそれが本当に発ガン性物質である、或いはそれ以外にも非常にそういった危険な可能性がある物質なのだということを考えると、ただごとではないと思います。

私は科学者ではないので詳しくはわかりませんが、ただ、警鐘は鳴らす必要があるということで取り上げていますので、ご理解の程よろしくお願いします。

○芦田委員長(委員会)

どうもありがとうございました。

では、これから審議に入りたいと思います。少し予定時間をオーバーしています。終了予定時刻が17時までということになっていますが、少し時間を延長してもよいでしょうか。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

多少時間を延ばしても会場の方は大丈夫です。

○芦田委員長(委員会)

委員の皆さま、誠に申しわけありませんが、議論のための時間が少し足りないようですので、終了時間を少しだけ延長させて頂きたいと思います。よろしくお願いします。

それでは、本日は淀川水系の環境を中心に議論して頂きたいと思うのですが、今までそれぞれの部会で現地視察をして頂いております。本日、河川管理者から、淀川の河川環境に関する情報提供がありましたが、それらを受けてご自由にご意見、ご意見をお伺いしたいと思います。

○谷田委員(委員会・淀川部会)

琵琶湖・淀川水系の環境について、本日は淀川本川の話をされたと思いますが、更に今後の委員会の中で他エリアの環境についての紹介もあるのでしょうか。

○芦田委員長(委員会)

これは、各部会で説明して頂くことになると思います。

○谷田委員(委員会・淀川部会)

なぜこのようなことを申し上げるのかと言うと、琵琶湖・淀川水系で、琵琶湖の生物を抜きにした生物相、生物的な環境の議論は成立しないと思うからです。川那部委員がおられますのであまり深くは申しませんが、琵琶湖は日本列島という島の上に乗っている、世界的にまれな古代湖です。そして非常に長い歴史を持っているということを、やはり共通認識として持って欲しいということを言いたかったわけです。

○芦田委員長(委員会)

生物相についても特に淀川とその上流の琵琶湖との関係が非常に深いということですから、部会でご検討頂いて、更にこの委員会としても課題分析の段階で総合的に検討する必要があると思います。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

環境を考えるとき、どう変わったのかということを過去近い時間で説明頂いたのですが、加えて知りたいのは、例えば200〜300年前頃にどのような水系であったのかということ、そして、明治から少し経った頃にどういう工事等が行われたのかという内容です。データはおそらく部分的なものでありそれほどないと思いますが、その周辺の状況も含めて流域的なグローバルなものと町、村のローカルな状態を知ることができるもの、何か選んで頂いても結構ですので出して頂きたいと思います。それから、もう1つはより具体的となる昭和初期の、例えば伏見港等が埋め立てられていきましたが、あの頃の状況、工事の結果、その3つくらいが大まかには欲しいと思います。

河川だけではなくその周辺の町村の状況がそれ以前はどうであったのか、その後どうなっていったのかというデータがあれば、それも見せて頂きたいと思います。

というのは、この数十年或いは明治以降、どのような変化が起こっていったかを客観的にある程度皆さまと見たい。そうしなければ環境の比較ができにくいと考えます。厳密にではなくおおよそで構わないので、できればそのような認識が持てるようなデータを出して頂きたいと思います。

○芦田委員長(委員会)

河川管理者はいかがお考えでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

明治以降の工事や土地利用の変遷はある程度フォローはできると思いますが、ただ、その当時どのような生物が生息していたかということになると少し自信がありません。その辺はできるだけ調べてみたいと思います。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

データがないというのも信頼関係があれば一つの貴重なデータです。また、私はある意味では私を含め人間という生物に一番関心をもっています。自然環境とその生態系にとって、人間はある意味で非常につながりが深いわけですから、人間の生活自身がどうなっていったかをかなり知りたいということもあります。大まかで構わないのでお願い致します。

○芦田委員長(委員会)

長期的な視点からの変遷というのも非常に興味があります。ただ、資料がどの程度揃うのか少し疑問に思うところですが、できればそのような視点で整理して頂く方向でお願いしたいと思います。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)

この資料の中で、丹生ダムの自然環境について資料を提出して頂いています。これは私からお願いして提出して頂きました。そして、先ほどもダムの問題では水野河川調査官からご説明頂いたわけですが、大規模ダム事業の新規着手の凍結は、あくまでも実施計画調査の新規着手を凍結することであり、既に事業中のものは進めるということで少しがっかりしています。

しかし、2つ目に水需要等の問題があります。水需要だけの問題ではないと思うのですが、この時代に本当にダムが必要なのかをこの委員会で明確にすることができれば、場合によっては計画をやめて頂ける可能性もあるのではないかと思っています。

このダム問題で発言させて頂くと、丹生ダムについては、総貯水量が15万トンとあり、ダムの高さが145m、ロックフィルダムの湛水面積が3.5平方km規模の非常に大きなダムです。このダムの目的は洪水調節、流水の正常な機能の維持、新規利水となっているわけですが、この計画ができたのが昭和47年(1972年)です。琵琶湖総合開発計画が始まったときにその一環としてできました。それから既に30年ほどが経過しているわけですが、まだ完成していないというわけです。

まずこの問題点として洪水調節を挙げます。これは治水ですが、治水そのものの機能をダムに頼ってよいのかを考える必要があります。

また、2番目に流水の正常な機能の維持が挙げられます。流水の正常な機能の維持といった表現もおかしいのですが、いわゆる渇水対策となっています。この渇水対策も当たり前のように考えてきたわけですが、振り返れば、古来日本人というものは、収穫は自然の恵み、干ばつは神の怒りということで、収穫するときもあれば干ばつで取れないときもあったわけです。しかし、そういったものを乗り越えてやってきたという伝統があることも考えられると思います。

また、3番目の新規利水についても先ほどの表で示されたように、水利用については既に下降線をたどっています。現在の日本の低成長は世界的な傾向でもあるわけですが、そういうことを考えますと、もうあまり目的として成り立たないのではないかと思います。

さらに環境面から考えた場合、広大な森林が水没することによって生態系の破壊が限りなく起こります。資料3補足2の資料「丹生ダムの自然環境について」の最後にもクマタカの営巣の確認状況が紹介されていますが、今日本におけるクマタカやイヌワシといった猛禽類は生息域が限られています。そのような生物が棲んでいる地域には、それだけ豊かな自然があるということですので、その自然はぜひとも守って欲しいという思いがあります。

また、ダムをつくった場合、ダムが富栄養化し、水が非常に汚染されるということは事実です。現在琵琶湖の北湖は比較的綺麗な水質ですが、ダムの放水によってこれをも汚染するという問題をはらんでいると思います。

さらに、河川の持つ多様な機能の喪失があります。川に水が流れないということで、ダムの下流は非常にひどい状況になっており、流れない川をこれ以上つくるべきではない。そして膨大な費用を費やすことも問題だと思います。

そういったことを考えたときに、決して丹生ダムだけが駄目なのだと言っているわけではありませんが、他にも計画されている幾つかの治水、或いは農水のダムを、さらにこの流域委員会の中でも検討をしていきたいと思います。

○芦田委員長(委員会)

ダムの問題についてはいろいろとご意見があるかと思いますが、治水、利水、環境と、総合的な立場から議論をしていく必要があると思います。また、それぞれのダムについて、それぞれの部会でも十分に全体的な整備計画の1つとしてご検討頂きたいと思います。同時に、水需用や利水の関係からみた場合、淀川水系・全体としての問題ですので、委員会としても議論していきたいと思っています。

○谷田委員(委員会・淀川部会)

この前も淀川部会で申し上げたのですが、もう少し話をさせて頂きたいと思います。

琵琶湖・淀川水系というのは、我々動物学者、或いは生物学者にとって非常に特殊な場所です。今もクマタカの話がありましたが、クマタカは羽があるのであちこち飛んでいけるため、1カ所で絶滅しても他の場所で生き残れます。しかし、琵琶湖・淀川水系自身が壊滅的に潰されてしまえば、数百万年、あるいは、一千万年近く歴史を持った生物の種類が確実に消えていくことになるわけです。事実、巨椋池で我々は既にミナミトミヨを失ったわけです。また、イタセンパラも今では殆ど壊滅に近い状態になっており、琵琶湖固有種もどんどん絶滅危惧のリストに挙がっているわけですが、琵琶湖だけでなく、おそらく琵琶湖と淀川がセットとなって考えられてゆく中で、例えばイタセンパラのように、残っている一番大きなストックが消えていく可能性があると考えられます。

それに対して一生懸命努力されているのはわかりますが、流域全体として琵琶湖・淀川水系がどれだけの固有種を持っているか、ちゃんとしたリストがあるわけです。巨椋池における水生植物等の総合調査もあったわけです。前回の淀川部会で現地視察を行ったとき、淀川工事事務所の宮本所長に過去の治水等の歴史を調べて頂き、よいデータを説明して頂いたと思うのですが、生物の種類相であるとか、或いはかつての漁獲統計等も含めて全くデータがないわけではないのです。本来ならば私がそのようなデータを集めればよいのかも知れませんが、そのような類の資料は多分琵琶湖博物館、県の水産試験場等が持っているので、今、琵琶湖・淀川水系の生物がどういう現状にあるのか、これから琵琶湖・淀川の固有種が絶滅していくのをどう回避するのかを考えなければならないと思います。

淀川というのは、淀川工事事務所の方が一生懸命生物の保全をやって頂いたという歴史を持っています。非常によく調査されていてターゲットの種類が幾つかあるわけですが、この流域の今後の数十年の歴史からみると、やはり琵琶湖・淀川水系の持っている歴史的な重さは先ほど塚本委員も言われていたような、近歴史的ではなくて、もっと長い歴史を幾つかのステップに切って、どういう位置付けにあるのか、この流域委員会で考えて頂きたいと思います。

○芦田委員長(委員会)

そうなりますと、琵琶湖部会と淀川部会で別々に議論していますが、琵琶湖部会にも淀川部会にもそれぞれの、例えば淀川部会に琵琶湖・淀川の生態系関係資料を出してもらって議論をするということになりますね。場合によっては、淀川部会と琵琶湖部会と合同でやることも、これはまた部会間の話になりますが、必要になれば考えて頂くということはいかがでしょうか。

○川那部委員長代理(委員会・琵琶湖部会長)

委員の方々に対して挑発的な意見を敢えて言いたいと思います。前回の第3回委員会の場でも私は言いましたが、河川法で「河川管理者」は、責任としていろいろな説明をすることが必要だというのは確かなことです。しかし一方では、今のような問題に関して全ての説明を「河川管理者」に任せるのではなく、委員会としては委員がある程度説明していくことも大事なのではないかという気がしています。

例えば、本日の淀川水系の現状についての「河川管理者」の話の内容には、間違いはないとは思うのですが、感覚として「何かが少し違う」という感じがありました。別の言い方をしますと、挙げられた数字やそれに対する策そのものはその通りなのでしょうが、何を選んで情報として提供するかについては、無意識か意識的かは別として、必ず委員が入ります。従って、そのような変化をどのように現状として把握するかについては、例えば生物を本職にしている人間にはちょっと違うような感覚があります。つまり、データの提示自身に、当然ながら選択が入っているわけです。

しかし、「河川管理者」に今日選ばなかった情報も出してくれと言うのには、無理な点もあると思っておりまして、新しいかたちのこの委員会では別の提示ができると思っています。つまり「河川管理者」よりも、淀川の、例えば生物なら生物、環境なら環境について詳しい委員がおられるわけであり、本日すぐにというわけではありませんが、次回くらいの委員会の場では、それらの委員から話を頂けることができないだろうか、いやそうあるべきだと思うわけです。

それから、先ほどは谷田委員から琵琶湖の話がありましたが、必要なときには私も提供したいと思います。

また環境問題全体の中で水質をみるとき、「水質項目」なるものの持つ意味は何か、また小さい点で言えば湖と川とでBODとCODに分かれて扱われている意味などについて水質そのものを本職にしている委員から話して頂くことはたいへんよいことでしょう。

ただこの全体委員会では、これまで淀川本川に関する問題が「河川管理者」から提供されてきましたので、この同じ場を材料として、委員自身から環境問題、或いは利水、治水でも構いませんので資料情報、それもできれば異なった資料情報を提出して頂き、説明をして頂くことができれば大変よいのではないかと思います。

○芦田委員長(委員会)

本日も委員の方から環境に関する情報の提供をたくさん期待していたわけですが、寺川委員一人だけにご提供頂きました。今回は委員の方に情報の提供をお願いしてから委員会が開催されるまでに時間が2週間くらいしかありませんでしたので、そういった時間的な面も影響しているかも知れません。

次回の委員会では「人と川の関わり」ということで議論したいと思いますが、いろいろな面があると思います。水上バイクの問題ももちろん含まれますが、水面の利用、川の利用、いろいろな空間の利用等があるでしょう。或いは治水についても、「人と川の関わり」というものをソフト面から見れば非常にたくさんあるわけです。例えば水防団の問題も挙げられるでしょう。そういうことに関して今からお願いしますが、こういった情報があるよ、こういうことだよ、といった話を河川管理者からだけでなく、我々委員から提案していくべきではないかと思います。

○川上委員(委員会・淀川部会)

淀川部会では、前回の会議においてそれぞれ専門的な知識をお持ちの方、或いは得意な分野をお持ちの方にはレクチャーして頂くことになり、実は私が木津川を真っ先にやらせて頂くことになっていますが、今、委員長からご指摘がありましたように、我々の方からの資料提供が少なくて誠に申し訳なく思っております。

前回の第3回淀川部会で山岸委員がおっしゃったことですが、治水、或いは利水に関しては目標を設定し、それを実現すべく努力するということはある意味ではやり易いわけです。しかし、環境というものはなかなかその目標を設定することが難しい。

生物のことを考えれば、今から30年前、或いは50年前、100年前にはどんな生物がいたのか。今から我々が頑張って環境回復を図ったとしても絶滅した生物は帰ってこないわけです。例えば、同種の魚が富山県のどこかにいるとしても、それを持ってきて淀川で孵化させてよいというわけでもないのです。そのような意味から、環境はなかなか難しい問題があります。

琵琶湖・淀川水系における魚の遡上・降河をもう一度回復できないかということを申し上げたいと思います。既に、木津川・淀川水系における魚の遡上の回復についての勉強会を有志が集まって始めているところです。

私は名張に住んでいますが、名張川ではサツキマスと思われる大型のマスがかつては獲れていたそうです。もちろんアユやウナギも遡上してきていました。名張川にこういう魚を大阪湾からもう一度遡上させることはできないかという非常に難しいテーマを勉強会のテーマにしているわけです。

遡上の障害になっているのは、第一に淀川大堰、次に木津川の大河原発電所、それから相楽発電所の堰、高山ダムがあるわけですが、遡上を回復することは非常に難しい。難しいけれども、そのことを勉強することで今の木津川・淀川水系が抱えている問題がいろいろと見えてくるのではないか、ということで勉強をしています。

ただ、木津川流域に関しては上流の方が下流よりも川が汚れており、よしんば魚を遡上させることができたとしても、今のような上流の水質では魚にとってかわいそうな状態だと言えます。水質を何とかしなければいけないという難しい問題もあります。

この中でも高山ダムが一番問題となるわけですが、あの巨大で長大な高山ダムに魚を遡上させたとしても、流れのないところには魚は遡りませんから、現実的ではないという意見もあります。

その辺の問題も含めて魚の遡上をこの琵琶湖・淀川水系でどう考えるか、皆さまで一度お考え頂きたいと思っています。

○芦田委員長(委員会)

今お話がありましたように、各部会においてはいろいろと勉強会や情報を提供しようとされているわけですが、この委員会でも全体に関わる問題、例えば琵琶湖と淀川との関わりの生態系の問題について、谷田委員から提供して頂いた方がよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○谷田委員(委員会・淀川部会)

前回の淀川部会では、紀平委員に現時点のビデオの紹介を兼ねて淀川水系のお話をして頂きました。逃げるわけではありませんが、やはり淀川本川については紀平委員や長田委員のように魚について非常に詳しい方がおられます。もちろん、私は機会があれば、琵琶湖・淀川水系の流域全体としてどういう歴史性を持っているかというお話をさせて頂きたいとも思っています。

○芦田委員長(委員会)

ぜひひとつ、この委員会としてそのような全体的な立場の情報提供をして頂きたいと思います。

○谷田委員(委員会・淀川部会)

もう1点、川上委員に申し上げたいことがあります。生物環境については難しいのですが、今この現時点に立って我々生物学者が単純に思う目標は、少なくとも琵琶湖・淀川水系に残っている生物種、在来種、特に固有種は今から1種類足りとも絶滅させない、或いは絶滅の危機に遭わせないというのが、一番我々にとってはアプリオリにある目標です。

○川上委員(委員会・淀川部会)

我々の責任ですよね。

○芦田委員長(委員会)

その他、何かご意見はありますか。

○川上委員(委員会・淀川部会)

公共事業の見直しについて、既存ダムの徹底活用、自然と共生するダムということが先ほど河川管理者から頂いた資料に載っていました。新たなダムの建設についてはいろいろなご意見もあるとは思いますが、既存のダムは、それなりに社会的な要請もあってつくられたのだと思います。今、このつくられたダムの活用と自然復元については非常に大きな課題ではないかと思います。

ダムは水資源開発公団が管理をしているわけですが、水資源開発公団の事業は、ダムの建設と維持管理がメインだと思います。ダムの専門家である水資源開発公団が、ダム、或いはダムに関わる河川の環境保全に関わるのが一番よいのではないかと思うのですが、河川管理者の考えをお聴かせ願いたいと思います。

○河川管理者(水資源開発公団 関西支社 副支社長 福田)

今、大変ありがたいお話を頂きましたが、いろいろ法律等の制約があり、今、川上委員が言われたように、水資源開発公団では環境に関する事業をすることはできません。ただ、国土交通省が河川管理者としてやっているので、一緒に計画なりを立て、事業費等は国土交通省につきますが、それを受託するという形で実質関わっています。これからどうなるかはなかなかはっきりとは言えませんが、そのような実績もあるので、これからも一生懸命行っていきたいと考えています。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

我々河川管理者としては、既存のストックを有効に活用することが非常に重要ですので、公団が行うのか、或いは我々が直接行うのかということについては、行う人間の違いだけですので大きな問題ではないと思います。幅広く皆さまにご議論して頂いて、既存の枠にとらわれず、いろいろなことを考えていきたいと思っています。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

その続きの話になりますが、最近、国内外の水関係のNGO、NPO、ODAに関わっている若い人たちが「ダムを壊してみようではないか」ということをかなり真面目に考えています。おそらくもう50年以上経っているダムもあるわけですが、コンクリートの構造物というのは再生をするにしても、一度壊していかなければなりません。逆に言えば、その技術は周辺や流域を含めれば非常に難しいわけです。そこでどのような環境になるのかを考えるということも大事です。

ということを考えれば、逆に本来の治水、利水にはどのような意味があるのかということも含め、本質的なことをもう一度考え直すという意味でも、壊すというよりも一度なくしていく、有るものをなくすという技術、或いはその背景、条件ということを考えてもよいのではないかと思います。おそらく、10年以内にその様なことが起こってくると思います。一番新しい環境の考え方、或いはものをつくっていく者の考え方が浮かび上がってくるのではないかと考えています。

○芦田委員長(委員会)

ダムの問題が非常に集中的な議論になっているようですが、それは一つの手段ということで、もう少し広く、環境と治水と利水等、総合的にどうあるべきかということからこの委員会では議論したいと思っております。

○池淵委員(委員会・猪名川部会)

私も、本日の現状把握という次元と、もう既に先取りをして、理念や目標等、そういうスタンスがいろいろ語られ、それならまた言い方もあるかなと思ったりしています。

いろいろな変動や健康に対するリスク、安全に対するリスクについて等、どこまでの水準を見直すのかも含めての理念や目標を立てるのか。その次にいろいろと課題整理をしたものが出てくるという意味合いのものもありましたので、敢えて今言ってない形でもあるので、本日は現状というか、河川管理者の視点での説明ということで、これから意見をそういう形のものも含めて発言する機会がまだあると思っていますので、その時に言いたいと思います。

○芦田委員長(委員会)

現状把握は必ずしもこれで十分とは言えないと思います。次回の委員会でもう一度現状把握を行うことになっていますが、なかなかそれでも終わらないのではないかと思います。

例えば、先ほど谷田委員がおっしゃったように、生態系の問題にしても委員からの情報提供が割合少ないわけですが、むしろ、それをこの委員会としてはやるべきだと思いますので、今後の課題の整理、分類等の段階でも委員の方には適宜講師になって頂き、情報を提供して頂くということが出てくると思います。そういう現状の把握をしながら整理していくので、決して現状把握は9月で終わって、10月から課題の整理に入るというわけではなく、もう少しフレキシブルに考える必要があると痛感しています。

○中村委員(委員会・琵琶湖部会)

委員からの情報提供は必要であり、それ自身は問題ないと思います。ただ、要はどういう立場で委員が情報を提供するのかということだと思います。事実関係の情報を提供するのか、一つの主張なり思い入れを反映する形で情報を提供するのでは全然違ってきます。

ここに来ている委員は、一体どういう立場でここにいるのかということですが、いろいろな思い入れを反映するという形で選ばれている方もいれば、その道の専門家としておられる方もいます。

そうすると、事実としての情報を提供すべきだと、皆さまで情報を共有しましょうということであれば、「ここでこういう情報が必要ですから、こういう情報の提供を、こういうスケジュールでやるべきだ」ということが決まればよいわけで、それに一番ふさわしい人が情報を提供すればよく、その人が委員である場合もあるでしょう。

ただ、今までの話はそれが混在しています。委員は個人でもあり、その道の専門家でもある。その道の専門家である場合には、自分の主張は別として、きちっとした情報を提供することが目的ですから、逆に言えば、自分の思いを殺して情報を提供することが非常に重要になります。それがまず第1点です。

第2点目として河川整備計画とは一体何なのかということです。河川整備計画は、「整備する」という言葉に「ものをつくるかつくらないか」ということが一つあります。例えば、丹生ダムをつくるのかつくらないのかということ。ここで決めることは、例えば、委員会でいろいろ議論した結果、多数決で「つくるということがよい」と決まったことを河川整備計画に反映することが目的で集まっているのか、そうではないのか。まだその辺りが明確になっていませんが、多分、「つくるかつくらないか」ということではないのだろうと思います。つくるかつくらないかの「決め方」をここで決めるのだろうと思います。

例えば、「住民投票でやるべきだ」ということが結論で出るのか、或いは、「この委員会とは別に、しっかりした、そういうことを決める責任と仕組みを持った然るべきところが決めるのだ」ということをここで決めるといったことでしょう。我々は裁判官ではありませんから、丹生ダムをつくるかつくらないかを多数決で、ここで結果が出てきても何の意味もないわけです。そのところがはっきりしないから堂々巡りになってしまうのではないかと思います。

もちろん、仮にここで多数決をとって「丹生ダムをやめましょう」ということが委員会から決まったとしても、河川管理者がそれを尊重はしても他にもいろいろな理由があるから「やはり必要である」と言った場合に、では委員会の議論は一体何だったのかということになるわけです。そこまで考えて、この委員会も議論の仕方を考えないといけないということです。

それからもう1つ、仮に整備ということが「つくる・つくらない」の話ではなく、「整備のあり方を決めるのだ」ということであれば、多分つくるのだけれどもこういう工法で、こういうことを配慮して、こういうやり方をして欲しい、或いはこうすべきだということを住民の意向も含めて整備という考え方を決めましょうということです。

「つくる・つくらない」は別として、つくり方、つくるプロセスを討議するということであるならば、ここで出てきた結論を、そういうプロセスにどうやって反映するのか、どういう仕組みが必要なのかということが結論として出てこないと意味がないでしょう。

要するに、「つくる・つくらない」は別として、仮にどちらに決まったとしても、それが最終的に社会的に幅広く受け入れられるようなプロセスが並行して動いていくことが非常に重要だということであれば、どういう仕組みが必要なのか、ということがこの委員会で決まってこないといけないのではないか。そうであればこの委員会で結論が出ました、終わりました、委員会解散ということには多分ならないのではないかと思います。

どういうことを担保するために持続的な仕組みをつくっていくことが必要なのかということ、そして、仮に整備をするということであれば、整備をする・しないを決めるということはあったとしても、決めるプロセスと、誰がどのような権限で何を言って決まったということにするのか。そういうことが明確にならなければ、情報の提供にしても、個人的な思い入れで話すのか、情報を提供するのか、結果として何が出てくるのか、ということがまだ明確ではないと思います。

○芦田委員長(委員会)

中村委員のご意見にわかりにくい部分があるのですが。

○中村委員(委員会・琵琶湖部会)

結論として、2年の委員会が終わった後、整備計画において、つくるかつくらないということを決めることが目的なのかということです。例えば具体的な話をすれば、丹生ダムをつくるのかつくらないのかということを、この委員会で決めることが目的であるのかどうかということですね。或いは淀川のある地域で、こういう整備をするかしないかという結論を出すことが目的で集まっているのかということです。

○芦田委員長(委員会)

私は整備計画をつくるということを目的としていると思っているのですが。

○中村委員(委員会・琵琶湖部会)

そうであれば、我々は何か権限を持って選ばれてきたということになるのですか。

○芦田委員長(委員会)

権限は持っていませんが、整備計画をつくる河川管理者たちが権限を持っているわけです。その人たちがどういうのがよいかと聞いてこられた。それに対して我々は、こういうのがよいですよと答える立場にあるわけです。

○寺田委員(委員会・淀川部会長)

時間があまり残っていないようなので、簡単に述べます。

今の議論は、少し勘違いをされている部分があります。これは、最初に皆さまに十分理解をしてもらうための話はしたと思うのですが、少なくとも今の流域委員会は、平成9年の河川法改正に基づくものであることは間違いないわけです。ですから、そこに根拠付けがある以上は、それに則った目的があるわけです。

今回のこの淀川水系に関して言えば、河川法が想定をしている、いわゆる河川管理者が作成しなければならない河川整備計画について、学識経験者の意見を聴かなければいけない方法として、この流域委員会を構成されたわけです。

従って、本来河川法が予定しているのは、単に意見を聴くというための委員会です。だが、この淀川水系流域委員会に関して言えば、そういうものとして初めから枠組みをつくらずに、もっと幅広い形で、河川管理者がつくらなければならない整備計画原案の作成段階から関与してもらって、そして幅広く意見をこの委員会で検討して下さいというところから出発をしているわけです。おまけに、住民の意見反映という部分まで意見を述べて下さいということを言っています。

ですから、その範囲においては、初めから河川法の枠組みを超えた形でこの委員会が発足していることは間違いないと思います。

先ほど言われたプロセス論ですが、これからいろいろ議論をしなければいけないと思うのです。だが、最終的には今のこの委員会の存在基盤である河川法の根拠を大きく踏み外すわけにはいけないという部分があります。

しかし、それはそれとしても、この委員会でどこまでいろいろな意見を盛り込んで、そして最終的に意見を言うのかは、この委員会が自ら決めたらよいことだと思います。ですから、河川管理者がつくった、当初意図された枠組みをあまり頭に置くことなく、柔軟に皆さまでいろいろな観点からいろいろな議論をして、そしていろいろな意見をとにかく出そうということです。その中には、将来的にはプロセス論も入ってくるかも知れませんし、入っても構わないと思います。ただ、出された意見を管理者がどのように消化するかはまた別問題であって、こちらが考えなくてもよいのではないかと思います。とにかく、今は十分にいろいろな観点から幅広く議論して下さいということで授権されたものだと思ってやっていけばどうかと思います。

今、提起された問題もこれから時期をみて、いろいろな観点で皆さまと意見交換をしていけばよいのではないかと思います。よい問題提起をして頂いたと思います。

○芦田委員長(委員会)

いろいろ議論が尽きないようですが、大分時間が超過しましたのでこの辺りで終わりにし、一般傍聴者の方から、何か今までの審議に関してご意見があれば、お伺いしたいと思います。

非常に長く、遅くまでお付き合い頂いておりますので、一般傍聴者の方から何かご意見がありませんでしょうか。

[傍聴者からの発言挙手なし]

○吉田委員(委員会)

私は最初、河川管理者が、「この河川整備計画の中に入れられなかった事業についてはやらない」とおっしゃったということで、それはそのように認識しているわけです。

そういった意味で、ダムの問題は非常に大きいものです。本日は環境の問題としては非常にわかりやすく汽水域の問題と中流域の問題を整理されて、どういう事業をしたことによってどういう影響となっているかということをわかりやすく示して頂いたと思います。

しかし、今日の説明は三川合流点までのお話で、そこから先は部会で議論をするという感じにも受け取れたのですが、先ほどから川上委員をはじめとして皆さまのお話を伺っていると、その上流についても非常に共通の問題があると思いますので、やはりこの委員会において、環境の問題については上流の部分も含めて議論する必要があるのではないかと思っております。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

先ほど、河川管理者の方に数百年程前のデータを出して下さいと言ったのは、皆さまが現状をどう見ておられるのか、また専門の立場で現状をどう見てこられたのかという価値のあり方が、おそらくこれから出てくるからです。

というのは、例えば水質の問題をとっても、その不合理さというのは全て社会の状態、生活状況の現状の中に含まれています。そのことから、それぞれの専門の方がどこを指摘されていくのか、或いはどう見ておられるのかということのためにも前述のデータを出して頂きたいとお願いしたのです。

それから、カオティックという話を最初にさせて頂いたのは、今までのように、「このデータは絶対にこの実態に合います」ということは殆どあり得ません。その点も知って頂かなければ、現状をよく把握して、これからどうやっていくかということの一番新しい有り様が明らかになってきません。これはあらゆる部門、分野が今本当に真剣に考えていること、やっていくことだと考えています。ということで、この委員会の大切な役割を考えていきたいと思っております。

○芦田委員長(委員会)

一般傍聴の方、ご遠慮されているようですが、どうぞ遠慮なく何でも結構ですので何かご発言をお願いできたらと思いますが、いかがでしょうか。

では、特に一般傍聴者の方からのご意見がないようなので審議はこれで終わり、少しご相談したいことがあります。この委員会の殆どの委員には部会に入って頂いていますが、部会に入らずに本委員会だけという委員も何人かおられます。

これから部会での審議は非常に具体的で面白くなってきます。この委員会だけの委員の方もいずれかの部会に所属し、出席して頂いた方がよいのではないかと思います。もちろん、ご本人のご希望にもよりますが、いかがでしょうか。

特に問題がないようであれば、一度本人にお伺いし、いずれかの部会に所属して頂き、部会の議論を通じて再びこの委員会にフィードバックして頂くとなれば面白いと思います。

吉田委員、いかがでしょうか。

○吉田委員(委員会)

私もその方がよいとは思っています。ただ、この委員会の時間設定であると、遠方から参加する委員の往復時間が非常に長くかかり、委員会に参加したもののディスカッションの時間が本当に少ししかないという問題があります。このやり方は非常に時間がもったいないので、何かもう少し有効に使えると嬉しいと思います。それは設定の問題があるから難しいかも知れませんが、多分、鷲谷委員も東京へ帰られる直前に何か発言したいと思いつつ帰ってしまわれたと思うですが、時間の使い方がもったいないという感じがします。

○芦田委員長(委員会)

鷲谷委員には大変申し訳なかったと思っています。では、そういうことでお願いしたいと思います。

本日いろいろ議論して頂いたものをまとめないといけないわけですが、今後のスケジュールについては、一応提案したスケジュールは一つの目安であるとご理解頂いて、大体部会を2回ほど開催し、その後に本委員会にフィードバックというような格好になっています。

住民意見の聴取方法について、これは河川法に基づく聴取方法、反映方法を提案するわけですが、この委員会や部会としても、住民の方の意見を聴きながら進めるということは非常に重要だと改めて確認したわけです。その方法については、それぞれの部会でご自由にやって頂くというようにお任せしたいと思います。

それから何度も言いますが、委員からの情報提供を積極的にお願いしたいと思うのですが、次回の第5回委員会では「人と川との関わり」というテーマで、ぜひ情報提供、或いは話をしたいという委員がおられましたら、積極的に手を挙げて頂けたらと思います。

また、河川環境やその他についても今回の委員会で終わったわけではありません。次回、或いは次々回くらいの11月頃に予定している第6回委員会、2月頃に予定している第7回委員会で、課題を整理する段階でそれぞれ委員の皆さまに話をして頂きたいと思います。全体の環境問題ならば環境問題について現状と課題をまとめて話して頂き、その段階でこうあるべきだという個人的な意見というのもかなり入っている方がよいかも知れませんので、そのような感じで委員の皆さま方にお願いすると思います。ご協力の程、よろしくお願いしたいと思います。

○川那部委員長代理(委員会・琵琶湖部会長)

先ほど吉田委員が言われたのは大事なことかも知れないという気がしています。つまり、少なくとも次回は2時間ではなく、最大限は3時間くらいだと思いますが、少し長めに時間を設定することがあり得るのではないかと思います。本日は委員長代理ですので代わりに申し上げると、そういうようなことも含めて考えさせて頂くというようなことが非常に大事です。

○芦田委員長(委員会)

そうですね。どうも全体で2時間という設定は進行がまずいからかも知れませんが、もう少しうまく仕切れば有効に使えるかも知れません。委員の皆さま、思っておられることを必ずしも十分言っておられないというような気がしますし、東京から出てきて頂く人には、発言頂ける時間が短く申し訳ないと感じています。特に本日、鷲谷委員は何も発言されずに帰られて、これは非常によろしくなかったと思いますので、少し考えたいと思います。

以上で終わりたいと思いますが、庶務から何か連絡事項はありますか。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

特にありません。

○芦田委員長(委員会)

それでは、どうも長時間ありがとうございました。本日はこれで終わりたいと思います。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

それでは、これをもちまして第4回委員会を終わらせて頂きたいと思います。

どうもありがとうございました。

以上

 

Copyright(C) 2006 淀川水系流域委員会 All Rights Reserved.