淀川水系流域委員会 第5回委員会 議事録



日時 平成13年9月21日(金)9:30〜12:40

場所 新・都ホテル 地階「陽明殿」




○庶務(三菱総合研究所 新田)/委5-1

これより淀川水系流域委員会、第5回委員会を開催いたします。

司会進行は、三菱総合研究所関西研究センターの新田です。よろしくお願いいたします。

審議に入る前に、幾つかご確認をさせて頂きます。

まず、お手元にある配布資料について確認させて頂きます。「議事次第」、黄色い紙の「発言にあたってのお願い」それから、議事次第に掲載されていますように、資料1から参考資料2まで配布しております。そのうち、資料3−1と資料3−4については、委員の方には事前に発送させて頂いておりますので、委員の皆さまには配布しておりません。

カラーの資料もありますが、一般傍聴者の方には費用節約のため、白黒で配付しております。委員に配布したカラーの資料一式は、受付に閲覧用として設置しておりますので、お手にとってご覧頂ければと考えています。

また、資料3−1のなかのパンフレット「河川に外来種が侵入すると…」というパンフレットと、資料3−4のなかのパンフレット「淀川河川公園マップ」については、部数の関係上、委員の方のみとさせて頂いております。残部は受付に置いておりますので、ご自由にお取り下さい。

委員の皆さまの席には、審議の参考としまして、第2回委員会で配布した資料2-1-2を、各テーブルにお二人に1冊の割合で机上に置いています。適宜ご覧下さい。

本日は、一般傍聴者の方に発言の機会を設けております。発言する際には、「発言にあたってのお願い」をご覧頂き、発言頂きますようお願いいたします。なお、審議中は一般傍聴の方の発言はご遠慮頂いておりますので、ご協力の程、よろしくお願いいたします。

本日は12時30分までに会議を終えたいと考えています。委員の方から情報提供して頂きますが、説明の時間を厳守頂きますよう、よろしくお願いいたしたいと思います。

では、芦田委員長、よろしくお願いします。

○芦田委員長(委員会)/委5-2

皆さま、おはようございます。早朝からどうもご苦労さまです。

本日は淀川水系の現状把握のうち、特に人と川とのかかわりについて、情報交換を行い、これまでの議論も踏まえ、一般的な現状認識の討議を中心に行いたいと思っています。

まず、各部会からのご報告です。各部会におきましては、非常に活発に会議の開催や現地視察を進めて頂いています。その状況は資料1にまとめている通りですが、特に補足すべき点等ございましたら、お願いいたします。

意見がないようですので、次の審議、「淀川水系における人と川とのかかわりについての情報提供」に入りたいと思います。

河川管理者から説明して頂いた後、委員から説明をして頂く予定で、時間的には、河川管理者は説明25分、質疑5分の約30分を予定しています。その後、事前にお願いしていました鷲谷委員、倉田委員、池淵委員の3委員から、説明各20分、質疑各5分で情報提供をお願いします。3委員からの説明の後、申し出のあった寺川委員から情報提供をお願いします。以前にも情報提供して頂いておりますので、寺川委員からは恐縮ですが10分程度でご説明頂きますよう、お願いいたします。

それでは、河川管理者の方から説明をお願いいたします。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)/委5-3

資料2を用いて、淀川水系の現状(人と川との関わり)についての説明があった。

[主な説明内容]

@.治水(水防、人々の意識、情報提供など)

・水防団は地域の人々のボランティアで成り立っている。台風時などに巡視点検や、土嚢を積むなど水防活動を行う。平常時にも点検を行い、出水期前には訓練を行っている。

・三川合流地点より下流には、水防事務組合という専任の水防団があり、全国的に珍しいケースである。上流の水防団では、消防団や消防署員が兼務しており、これが全国の一般的なケースである。

・水防団の抱えている課題は、団員の減少や高齢化、全体的な水防意識の低下がある。また、団員にサラリーマンが増え、緊急時や平日の訓練に人が集まらないという問題がある。

・近年、洪水被害がそれほど大きくないため、洪水に対する危険性の認識が薄れており、それが水防活動にも反映されている。

・河川管理者は、人々に河川の実態を知ってもらうため、いろいろな情報提供をしている。氾濫シミュレーションを公表し、市ではそれに基づき、ハザードマップを作成している。また、洪水警報を出す、ホームページ上で河川水位を表示するなどしている。また、平成11年の福岡での地下街の浸水を契機に、出水時には、梅田の地下街で河川の状況を表示している。

A.水利用(節水対策)

・河川管理者は、府の水道局と共に節水意識の啓発を行っている。

・民間企業等では、トイレ、洗濯機等での節水や、節水型の施設の開発が実施されている。また、工業用水の再利用も行われている。これ以外では、雨水等を貯めて雑用水として使う施設が増加している。

B.河川利用

・東京オリンピックを契機として、河川敷地については公園広場や運動場等を優先的に整備することが国会で決議され、淀川でも河川公園においてグラウンドや野球場等の整備を進めている。近年、利用者は400万人を超えている。

・淀川の河川公園の将来像について、利用者へのアンケート結果では、「自然とふれあえる公園」、「芝生広場などのある公園」が6割と高くなっている。このような、住民の意識も把握しながら整備を進める必要がある。

・淀川の河川敷を利用したゴルフ場の問題としては、営利目的で排他独占的に使用されていることと、使用される農薬の問題があるため、面積を減らすよう、また、農薬の使用を控えるよう指導している。

・淀川の堤防には、不法建築や不法耕作地があるが、淀川工事事務所では、指導して撤去してもらうなど、少しずつ是正している。

・水上オートバイについては、騒音や生態系への影響など様々な問題があるため、地区を選定し、利用期間や時間帯の制限、レギュラーガソリン使用の指導を行っている。

・この他に、ごみの不法投棄、オートバイ等が高水敷を走り回るなどの迷惑行為も問題である。

C.舟運

・江戸時代、淀川は物流の大動脈であり、三十石船など多くの船が行き来していたが、現在は砂利採取船や水上バスが航行している程度である。

・近年、舟運の復活の機運が盛り上がっており、周辺市町村による協議会で検討が行われているが、舟運復活のためには低水路をつくることが課題になってくる。

D.淀川における生業(なりわい)

・淀川の生業として漁業と土砂採取がある。漁業については、大阪周辺の漁獲量は年々低下傾向にあり、シジミは昭和50年代、アユは平成4年以降低下傾向にある。土砂採取については、現在、淀川大堰上流〜枚方周辺で許可している。

○芦田委員長(委員会)/委5-4

どうもありがとうございました。

ご意見は後ほどお伺いするとしまして、簡単な質問がありましたら受けたいと思います。何かございますか。

ないようですので、後ほど行われる意見交換にてご意見を伺いたいと思います。引き続いて、鷲谷委員よりご説明して頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○鷲谷委員(委員会)/委5-5

OHP、資料3−1を用いて、河川における生態系についての説明が行われた。

[主な説明内容]

・生態系については、積極的な自然環境の保全と回復がこれからの環境政策の中で重要なテーマであるとされている。生態系の回復については、ある程度の試行錯誤を許容するような順応的管理の導入が重要である。

・自然の保全だけでなく、回復が必要な事態になっており、自然を取り戻すための公共事業を実施する必要がある。また、その際に市民やNPOなど多様な主体の参加によって自然を再生していくことが必要である。

・生態系は人間にとって金の卵を産むニワトリと捉えることができる。その生態系の健全性を維持するためには、生物多様性を守るということを一つの重要な視点にしなければならない。

・生態系管理という言葉には新しい意味が込められている。後の世代も自然の恵みを利用できるよう長期的な持続可能性を優先させるなど、つながりや広がりを重視した管理が必要である。また、生態系については分からないことが多いため、不確実性を前提とした管理の手法を取り入れることが必要であり、それが順応的管理である。

・順応的な方法とは、実行した結果をみて再度やり方を考える、ということと、多様な主体の参加が必要という考え方がある。らせん的に管理のあり方が発展していく方法である。

・日本では、里山という伝統的にうまく生態系を管理するシステムがあったが、それを捨て、西欧的な科学技術一辺倒の開発が続いたことが、今の生態系が大きく変化したことに関係している。このようなことを見直しながら、順応的に生態系の問題に取り組む必要がある。

・既に様々な取り組みが、市民やNGOのリーダーシップで始まっており、行政の参加もみられる。霞ヶ浦のアサザプロジェクトなど関東地方で盛んに行われ始めている。今必要なのは自然を知るため、失われた自然を取り戻すための協働である。

・生物多様性を脅かし、生態系の健全性を失わせるものとして外来種の問題はとても大きく、その対策が重要である。河川は、日本において外来種が最も侵入して影響を受けている。

・環境に対する我が国の国際貢献として、遊水池や湖沼を質の良いウェットランドにするなど、地球規模の大きな生態系ネットワークの保全への貢献も重要である。

○芦田委員長(委員会)/委5-6

どうもありがとうございました。非常に短い時間でお話し頂き恐縮です。お話し頂けなかった部分については、資料をたくさん提供して頂いておりますので、そちらで勉強させてもらいたいと思います。鷲谷委員の説明について、何か質問はございますか。

ないようですので、続いて倉田委員からご説明お願いいたします。

 

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)/委5-7

資料3−2を用いて、淀川水系の京都府下7河川のデータ等、河川漁業の現状や問題点などの説明が行われた。



[主な説明内容]

・河川漁業は、法律上は農業と同様に食料生産を中心としており、増殖を行うという条件を付けて漁業権の設定を行っている。河川の中でのレジャーが最近盛んであるが、遊漁内規定以外それに関連する法規上の取り組みはない。河川漁業についても、そろそろ法制上の改正を行うべきである。

・京都府下7河川の種苗の放流量は年間約27万トンで、量的に十分と考えられているのは木津川だけである。その他の河川の放流種苗が不足気味なのに放流しないのは、経済的な理由からである。

・漁場条件については、いずれの河川も珪藻等の生育状態が悪く、水量も不足しがちである。水量が少ないと瀬や淵が形成されないだけでなく、漁場面積が大幅に減少してしまう。

・河川漁業での問題は、外来魚や野鳥、ゴミである。外来魚については、種苗放流時における外来魚の卵や稚魚の混入、密放流の2つが大きな原因だと考えられている。また、野鳥については各海岸域の開発によって野鳥の生息地が制限されたあおりが河川に寄せられていることが原因だと考える。ゴミについてはレジャー客や農家が出すゴミが大きな原因となっていると言う指摘がある。

・農林水産省は河川を農地として考えているが、農地と見るならば川に瀬と淵をつくり水草がなければならない。国土交通省は直流式に水を流そうとしているようであり、川への考え方が両者で基本的に矛盾しているように思う。

・海の生物を育てるためには、陸上の動植物が作り出す有機物が必要であり、それを得るために海は陸へ蒸気を雲として送り込み、雨を降らせている。しかし、河川をパイプ状にしてしまうと、途中から有機物が浸出・流入することなく水道管のように流れてしまい、海の生物が育たなくなってしまう。

・ある委員が提案した「魚の棲める川」を作るには、水を防ぐと言う姿勢そのものに実は大きな問題があるのではないかと言う気がしている。
○芦田委員長(委員会)/委5-8

どうもありがとうございました。倉田委員の説明について、何かご質問はございますか。

ないようですので、続きまして、池淵委員からご説明をお願いいたします。

○池淵委員(委員会・猪名川部会)/委5-9

OHP及び資料3−3を用いて、水循環についての説明が行われた。



[主な説明内容]

・水循環は、空間的にも、時間的にも変動している。

・地球規模で見た場合、水の循環スピードは、大気中の水蒸気が8日、河川水は16日、地下水が1400年というのが平均的なイメージである。

・日本の降水特性は、四周を海に囲まれているため水蒸気の流入が非常に多く、年平均降水量は世界平均の倍程度である。しかし、小さい面積の中で人口が多いため、降った雨を全部使えるわけではなく、人口一人あたりの年降水量は世界平均より大幅に少ない。

・日本の降水の特徴は、季節変動と時間的な集中化がある。その原因として梅雨、台風、降雪などの季節変動あるいは集中性がある。地形特性では堆積地形であること、流域面積が小さいこと、斜面・河川勾配が急であることなどが挙げられる。

・土地利用では上流が森林域、中流では農地が支配的、下流は都市域というように分かれている。森林面積は66.7%であるが、明治以降この面積率は大きく変わっていない。下流の沖積低平地に人口の50%、資産の75%が集中し、そこはとりもなおさず氾濫域という特徴がある。流出特性としては流量変動が大きい、洪水継続時間が短い、単位面積当たりの洪水流量が大きいなどがある。水利用は河川水等が86%、地下水が14%となっている。

・琵琶湖流域には、降雪、梅雨、台風による降雨がバランス良くもたらされている。木津川は台風型、桂川流域は梅雨型となっている。琵琶湖流域の水循環としては、湖面からの蒸発の水循環への貢献、農業の逆水灌漑や積雪、湖底からの地下水の流出などの特徴がある。

・琵琶湖・淀川水系においては、歴史的にも上下流問題があり、淀川開削や人口・資産の増大、都市化などは他の地域と比べても非常に大きなインパクトを持っている。中下流域の遊水・保水機能の減少もあるが、安全・安定水準の確保のため、琵琶湖総合開発やダム群の整備、河川改修といったものがなされてきた経緯がある。

・実測、およびモデルによる計算からは、森林は中小の洪水に対しては洪水調節機能を有しているが大洪水になると流域は流出に関して飽和状態となり、特にピーク流量の調節という面では大きく期待できないと考えられる。ただ、森林は山地災害防止、気象緩和・大気浄化、レクリエーション、林山物の生産などの様々な機能があり、森林の整備・保全が重要であることにはかわりがない。

・治水・利水計画は、森林の洪水・渇水緩和機能を越える洪水時や渇水時の流況変動に対しても、ある水準までは安全・安定を保持したいという要求への対応であるが、その水準についてはさまざまな合意形成があると思う。治水・利水機能について一定の水準を確保するために効果的な対策の選択肢にダム貯水池がある。
○芦田委員長(委員会)/委5-10
どうもありがとうございました。要領よく説明して頂き、ありがとうございました。ご質問、ご意見等もあるかと思いますが、後ほど、意見交換の時間に行いたいと思います。

引き続き、寺川委員よりご説明お願いいたします。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)/委5-11

資料3−4及び資料3−4追加を用いて、水上バイク、丹生ダム、ワームの問題についての説明が行われた。

[主な説明内容]

・「マリンエンジン排出ガスの水質影響調査委員会検討結果概要」に掲載されている琵琶湖出在家浜のデータを見ると、水上バイクの遊走後の沖合の水質は、カリフォルニアの健康基準値よりベンゼンで約2倍、MTBEで約3倍の結果となっている。

・丹生ダムについては、「高時川丹生ダムの問題点<50>の指摘及び調査書」の提言として、「国土の保全と破壊された箇所の復元に力を入れるべきであり、生態系の破壊などはしてはならない。そのためには徹底的な調査と、関係住民の意見に耳を傾けることを怠ってはならない」とあるが、流域委員会でも徹底した議論で方向を出していく必要がある。

・つり道具の一種であるワームの問題は、環境ホルモンの問題も含めて新たな重要な問題となってきているので、さらに研究を進める必要がある。

・ゴルフ場は農薬の問題や特定の人の利用などを考えると、河川敷の利用の本来の精神から逸脱しているのではないか。これは今後、十分議論していただきたい。

○芦田委員長(委員会)/委5-12

進行上、時間を区切らざるを得ず、申し訳ありません。資料3-4、資料3-4追加については、後で読ませて頂きます。どうもありがとうございました。

それではここで、少し休憩をとり、その後、意見交換に入りたいと思います。10分間休憩をとり、11時40分から審議を再開したいと思います。

[休憩:11:30〜11:40]

○芦田委員長(委員会)/委5-13

時間になりましたので、審議を再開したいと思います。

これから意見交換に入りたいと思いますが、先ほどは4人の委員、河川管理者の方から非常に貴重な情報提供を頂き、ありがとうございました。

それではこれより、本日提供して頂いた情報や、これまでの現地視察等も踏まえ、淀川水系の現状について、自由な討議をしたいと思います。どなたからでも結構ですので、自由なご発言をお願いしたいと思います。

○谷田委員(委員会・淀川部会)/委5-14

水野河川調査官に教えて頂きたいのですが、水防団という組織は自治体が予算を立てているのですよね。本日拝聴した印象で言うと、淀川というのは大都市を流れているため、都市型の防災がかなり求められる場所だと思います。

非都市域だと水防活動というのは非常に大切で、水防団組織の機能が発揮できると思いますが、淀川のような非常に人口が密集した地域では、水防団組織はこのままでよいのでしょうか。国土交通省としてのお考えでなく、個人的なご意見を聴きたいと思います。

○芦田委員長(委員会)/委5-15

淀川工事事務所長、いかがでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)/委5-16

確かに、明治の時代から水防活動は自営組織で行われ、現在まで延々と続いています。

谷田委員がおっしゃったように、淀川上流の中小河川であれば、人海戦術で水防活動を行うことができるところもあると思います。しかし、大きな堤防ができ、大変大きなエネルギーをもっている地域に対しては、現在の水防団活動だけで十分かというと、私はやはり新しい対応も必要なのではないかと思っています。

但し、現在の淀川の堤防にしても、例えば漏水や越水が起こるのではないかといった時に、人海戦術で土嚢を積む等、いろいろな工法をするということはまだまだ必要だと思っています。

ただ、先ほど谷田委員がおっしゃったように、大都市域で、例えば河川が氾濫すると地下街が浸水する等、全く新しい、非常に大きなダメージを受ける可能性をもっている地域については、水防団も必要ですが、減災対策等、我々河川管理者と一緒に考えていく必要があると思っています。

水が溢れるということは当然あるわけですから、今後策定する河川整備計画の中でも、氾濫域における減災対策について、ソフト面、ハード面ともに位置付けることができればよいと思っています。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)/委5-17

水防団に関する谷田委員のご意見に絡みますが、私は、たとえどんなに都市化しても、逆に都市化したからこそ、地域住民の関心をつなぎとめるための系統だった社会的仕組みが必要だと思っています。

例えばオランダ等の水没する可能性のある地域では、どのように水を守らなければならないのか、水に対処しなければならないのかを、日常的に幼児期から教育しています。

ですから、かつての農村部で自主的に行われたような、いわば地域社会の組織として水防に対処するという方法があります。これは伝統的で大変大事なことですが、逆に都市部だからこそ、「見る」「見回る」ということ、或いは日常から水防に関心をもつということが必要だと思います。子供たちも含め、地域社会の組織として、どんどん水防活動をやって欲しいと思っています。都市化したから無意味だという、谷田委員の意見とは逆です。

○谷田委員(委員会・淀川部会)/委5-18

多分、嘉田委員がおっしゃったことと私とはそれほど変わらない立場だと思います。私が申し上げたいのは、現在の淀川の水防団組織というのが、都市住民に殆ど知られていないことが問題だということです。その状況を踏まえた場合、明治以来、行政の枠の中に厳格に組み込まれていた水防団という組織を、もう少しソフトに、広がりを持たせたものにした方がよいのではないか、というのが私の質問の真意です。水防団は即、不要だとは申し上げていません。その点では、嘉田委員と殆ど同じ立場ではないかと思います。

○塚本委員(委員会・淀川部会)/委5-19

まず、今アメリカを中心に大きな事件が起こっています。ある情報専門の方が10年ほど前に、極端に言うと、「情報が出たときにはその情報の価値は腐っているものばかりだ」と言っておりました。しかし現在の事件に始まる情報源は1つまたは2つぐらいだと思いますが、非常に長い時間を費やして、同じ情報をたくさん発信している中で、マスコミの方が、これからいろいろな不合理とダメージを軽減しながら新たな再生をやっていこうという本委員会に対して、本日このように出席して下さっていることに対して非常に嬉しく思います。

先ほど4人の委員の方がお話しして下さったのですが、私は、長く暮らしていく中での不合理をどう取り除いていくかということで、現場に近いところでいろいろやっておりますが、一番大きなテーマは経済システムの不合理さ、サイエンスの取り扱い方で、この2点が不合理さの非常に大きな要因だと思っています。

最初に、鷲谷委員から配布して頂いた資料は、本当にありがたいです。現在、各分野に細区分され、専門化されており、総合と連続的な「循環」といったテーマを科学的に易しく説明して下さる資料というのは殆どありません。本日、鷲谷委員から配布頂いた資料は、いろいろなところで、広く使わせて頂きたいと思いました。

次に、倉田委員の資料ですが、これは実態に近い、なかなか出てこない資料です。数値を出して下さったということは非常に参考になります。

池淵委員とは休憩時間にも少しお話ししたのですが、実験的に、あのようなシミュレーションをして、定性的な内容を具体的に示して頂いたことは大変意義のあるものだと学ばせて頂きましたが、定量的に実態に近づけるということはとても困難なことです。サイエンスというのは、分からない部分がたくさんあり、特定出来にくい不確定なものもたくさんあります。大方だと言っても過言ではないでしょう。そのようなことを前提にしながら、池淵委員のような研究成果の基礎となるものを情報提供して頂き、大切に使いたいと思いました。

寺川委員が申されたことについて、私は最近、いろいろな行政の人たちと付き合っており、行政の人との信頼関係ができてくれば、データがないということも、その状況、状態を知る一つの大変貴重なデータになると思います。お互いにデータを共有し、どうやって不合理さを取り除いていくかという付き合い方をしていけば、互いに不信感をもって行うあり様とは全く違ってきます。測定を行う際、データのとり方や時間帯をどうするかは、その実態に取り組む測定する人々の意識によって数値も変わってきます。また、データの見方、受け取り方も全く変わってきます。それほど、実態を実証することは難しいのです。お互いに、実態を立証するのは難しいということを知りながら、どうしたら不合理さを取り除き、うまく長く生き続けられるかという知恵を働かせることが、これからの大切な点だと思っています。

○芦田委員長(委員会)/委5-20

その他、ご意見はございますか。

○江頭委員(委員会・琵琶湖部会)/委5-21

鷲谷委員のお話の中で、外来種の問題がありましたが、外来種をどれくらいのタイムスパンで考えていらっしゃるのかを、少し具体的にご説明願えればと思います。

生態系というのは、細かいスケールで見ていくと、元々は全て外来種で、人と動物の関わりの中でひとつのシステムができ上がっているわけです。現在、外来種が害を与えているというのは、現在の生態系システムを、外来種がどう変えていくのかはわからないので、そのような発想になっているということでしょうか。

○鷲谷委員(委員会)/委5-22

どのくらいのタイムスケールで物事を考えるかということについて、生物は人との関わりがなくても移動するというのが、ある長期的なタイムスケールの中ではあります。それから、古くから人間活動、旧石器時代が日本にあったかはともかくとして、新石器時代以降の人の動きとの関わりでの生物の移動もあります。

ただ、生物が独自に動く移動や、人の動きによる移動というのは、どちらかといえば、バックグラウンドを同じくするユーラシア大陸の東方の生物が我が国へ入ってくるといった移動です。

明治時代や江戸時代後期から大変問題になることが起こり始めたのですが、ずっと生物の歴史を遡っていけば、どのような生物の間には共通の起源というのがないとは言えないのですが、バックグラウンドの違う、かなり隔離されていた北アメリカやユーラシア大陸西方の生物が、大量に我が国へ入ってくるようになったということが問題となります。

それと同時に、日本列島の自然のあり方というのも変化し、外来種が定着し易いような環境が広がったということもあります。明治時代以降の生物学的侵入により、ある意味では生態系に影響を及ぼすことが大きくなったということですが、明治時代以降というよりも、もっと深刻な問題を生じるようになったのは数十年前からです。それは、北アメリカから大量に様々な生物が入ってくるようなシステムができているということに由来しています。

ここで詳しくお話することはできませんが、生態系への影響というのは、「影響があるかも知れない」というようなものだけではなく、地球規模で既にいろいろな事例があります。侵入した地域でたくさんの種の絶滅がもたらされるような事例が幾つも知られていますし、外来種が入ってきたことにより、日本列島の自然も随分大きく変質したという面もあります。

行政も最近ようやくそのことに気付かれ、外来種への対応を考えるようになったのだと思います。環境省等でも、外来種問題をどうするかという検討がはじまっています。実は国土交通省の河川局は、外来種問題を考えるという意味では行政のトップを走っています。

「河川に外来種が侵入すると…」というパンフレットは、私は学識者として参加しましたが、国土交通省河川局河川環境課の方たちと一緒に議論し、その結論出されたものです。河川という場に限定されていますが、いち早く外来種の実態はどうなっていて、どのような影響があるかということを踏まえ、その対策を割合具体的に出しています。

パンフレットには「河川における外来種対策に向けて(案)」を元に作成となっていますが、このような問題に対しては、これから順応的に対処していく意味で、「案」となっています。ここに記されていることが唯一の真実である、また、必要な対策がすでに確定しているというものではありませんという意味です。

外来種が河川に及ぼす影響や、その影響に対処するために何をすべきかについて、まだ議論がはじまったばかりです。関東地方の河川では、既に外来種対策の様々な取り組みが行われているところもありますが、取り組みの中で、これから蓄積してくる知見や、河川に関わりのある多様な主体の方々のご意見も取り入れながら、河川における外来種対策のあり方等をさらに深化させていきたいということで「案」としています。パンフレット以外に報告書もありますが、その報告書の主要な部分を一般の方にも理解して頂けるようにまとめたのが、本日お配りしているパンフレットです。

○芦田委員長(委員会)/委5-23

資料は後でゆっくり勉強させてもらいたいと思います。非常に貴重な、おもしろい議論ですが、他の話題に移りたいと思います。

○江頭委員(委員会・琵琶湖部会)/委5-24

本日頂いている資料の中で、科学的に非常に間違った表現等が随分入っているように思います。その扱い等はどのようになるのでしょうか。


○芦田委員長(委員会)/委5-25

例えば、どの箇所でしょうか。

○江頭委員(委員会・琵琶湖部会)/委5-26

非常に言いにくいのですが、「第2回委員会資料2−1−2」をみると、貯水池の問題や濁水の発生の問題等で、まずい表現が随分あります。これがそのまま委員会の資料として出されると、非常に具合が悪いと思いながら見ていました。これはまた今後の委員会や部会等で議論していくということになるのでしょうか。

○芦田委員長(委員会)/委5-27

委員会に出されて説明された資料は、委員会としてオーソライズしたということではないと思います。委員会ではオーソライズはしていませんので、資料を出された人の責任だと捉える必要があるのではないでしょうか。

○江頭委員(委員会・琵琶湖部会)/委5-28

わかりました。

○谷田委員(委員会・淀川部会)/委5-29

先ほどの江頭委員のご指摘は非常に大事です。やはり、説明されっぱなしだと、全員ではないとしても、一部の人が説明した資料が正しいと信用します。

出平ダムの排砂問題でも、非常に工夫しています。1回目の排砂は大失敗でしたが、今回の排砂が失敗かどうか、まだわかりません。江頭委員がお気づきの点を我々にコメントして頂き、議論する必要があると思います。

○芦田委員長(委員会)/委5-30

では、今、江頭委員から言って頂いた方がよいですね。

○谷田委員(委員会・淀川部会)/委5-31

時間が限られているのでしたら、次回、文書でコメントを頂ければ、私としては非常にありがたいですが。

○江頭委員(委員会・琵琶湖部会)/委5-32

今、きちんとしたコメントをするには、時間的に非常に問題があります。また、ざっと目を通しただけですから、何とも言えない部分もあります。

○谷田委員(委員会・淀川部会)/委5-33

次回、メモを頂ければと思います。

○江頭委員(委員会・琵琶湖部会)/委5-34

そうですね。

○谷田委員(委員会・淀川部会)/委5-35

もうひとつ、倉田委員にお聞きしたいことがあります。

先ほど、私は水防団の話をさせて頂いたのですが、内水面漁業組合も明治以来の長い伝統をもっています。本日、倉田委員から頂いた資料3−2からも、内水面漁業組合について様々な矛盾を抱え込んでいることが読みとれますが、私も様々な矛盾を抱え込んでいると思います。倉田委員のご意見としてはいかがでしょうか。淀川部会は幸いにして内水面漁業組合の方が委員に入っておられ、お聴きすることができますが、今後の河川環境をトータルに考える中、内水面漁業組合が今後どう変わるべきか、或いは現在のままでどのような役割を果たすべきか、倉田委員のお考えを聴かせて頂けるとありがたいです。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)/委5-36

よいご質問を頂いてありがたいのですが、私は実は「水防」という言葉に心的に抵抗がずっとあります。

先ほど「シンスイ」という言葉を言っておきながら、その字の意味を説明しませんでしたが、水に親しむ「親水」に、今後、河川との付き合い方を変えていくべきだと思います。これが時代の流れだと思います。そういう意味で、水防団の別の組織をつくるのもよいかも知れません。「水を抑え込む」という姿勢では駄目だと思います。

先ほど、都市化すると水を防ぐ問題が非常に鮮明化してくるというお話がありましたが、もう少しゆとりがあり、もう少し水を受け止める姿勢を広げるような考えが基本的に必要だと思います。そうしないと、一方で水に親しむということを言いながら、もう一方では水を抑え込むというのでは統一性がありません。そういう基本的な姿勢を考えていくことが必要です。

それから、本日、他の委員の方々のお話を伺っていて、河川や海岸線を含め、日本全体で自然の状況を残すような工事を行わないといけないと感じました。本日、私は説明しませんでしたが、余りにも露骨に海岸線に接して道路が通りますと、完全に陸から海へ水が浸出する道がなくなり、陸の草樹から供給される栄養が海へ届かなくなり、魚が接岸しなくなります。道路を全て高架にしなくてもよいのですが、海岸線の道路だけは全てに下駄を履かせた形にし、道路下が全て草地でつながるようになっていたら非常によいと思います。これは川も湖の場合も同じようなことが言えると思います。水辺に緑の草木がないと生きた川にならないわけです。

ですから、川の堤防がセメントの壁でできているのは川でなく水路で、しかも堤防の外ギリギリまで住宅が建っていること自体が問題で、どう対応したらよいのか難しいのですが、今後、長い目で見て、水が多少溢れ出ても、余裕の空間があって水防団の漁協の方々はこの考えに近いはず。それがかえってよいような状況を、少しずつ用意していく必要があると思います。

そういう意味で、水防団に入っている漁協の方々は、積極的に川の水を抑えるという気持ちは都会の人ほど強くありません。それは、水防団の方々は、川というものに対する受け止め方が違うからです。河川は生き物を育む場所であり、自分たちがお世話になる場所であるという精神が基本にあるという点です。

つまり、河川の水は化学物質の水(H2O)とは違うという概念も存在するはずで、恐らく、21世紀後半には川は生きている、人と共生し助け合うというような概念も台頭してくると期待していますが、それ以上は申し上げかねます。

○嘉田委員(委員会・琵琶湖部会)/委5-37

本日、実は国土交通省が、川と水との関わりというのをどう表現なさるのか、楽しみにしておりました。この表現は、半分は批判で半分は悩みでもあります。私自身も、ここ30年近く、水と人、或いは川と人の関わりについて研究し、実践しながら、何をどうしたらよいのかということがわからない状況です。つまり、基本的な将来の展望を、かなり発想を転換して考えることが必要だろうと思っているのです。

本日、河川管理者が資料として提出して頂いたものは、今までの慣習的な手法で、数字、地図で表すことができる範囲での限定的な人と川との関わりです。問題は、その中に人が見えないことです。人というのは個人でもあり、組織でもあり、いろいろな対立もあります。その対立、葛藤の構造が見えてきません。ですから、どうしても平板になってしまいます。そして具体的な対策の方向が見えにくい。

行政の方々は、行政の立場でいろいろと行動する際、様々な葛藤があり、様々な問題に直面していることをご存知のはずです。そのような部分をもう少し、匿名ででもよいですから、物語的に出して頂くと、より本質、実践に近い部分が見えてくるのではないのかと考えています。例えば、河川の不法占拠や退去の問題に関わる本質的な部分は、かなり見えてくるのではないかと思っています。

もう1点は、「公共性」をどう捉えるかということです。やはり気になるのは、国土交通省にとって、公共とは何だろうということです。国や県の行政にとって公共とは何かということについてです。

資料2、30ページ上、淀川の河川敷占用利用の状況をみると、ゴルフ場が38%を占めていました。気にはしていましたが、そんなに多かったのかと改めて思いました。ゴルフ場の農薬を出さないように、奇しくも「お願いする」と水野河川調査官がおっしゃいましたが、これは、「お願いする」レベルでよいのでしょうか。流域住民の水源となる淀川ですから、もう少し、強く主張できないのでしょうか。ゴルフで遊ぶ人にとっての河川なのか、水源としての河川なのか、どちらがより「公共的」であるのか、後者であることは論をまたないでしょう。寺川委員が気にしていらっしゃる水上オートバイの話もそうですが、水源となるので利用してはいけない等、強固に規制してもよいのではないでしょうか。これは、本来の公共とは何なのかという部分で、強く出すことはできないのかと気になりました。

○芦田委員長(委員会)/委5-38

ありがとうございました。

○塚本委員(委員会・淀川部会)/委5-39

嘉田委員がおっしゃった、高さ、深さを含む「立体空間」は後に譲るとして、少なくとも「平板」ということについて、最近、特に都市河川について、私は考えています。この30〜40年間で、危険なところまで含め、隈なくと言ってよい程の土地利用がなされてきました。土地利用された後にいじめられた河川をどう回復したらよいのかを考えると、河川の深さ等も関係ありますが、少なくとも川幅をひとつの単位として捉え、50〜100年の期間で捉えることが大切だと思います。例えば建築法だと、1種、2種、商業地区等が、また自然保護、古都保全地区等もあります。ですから、河川においても、公共の自然のものに対してもっと強い規制ができてもよいのではないかと思います。

例えば、川幅の両側2倍くらいから、また、両側何十倍くらいまでをどうするのか、状況にもよりますが、再生と保全の仕方、まちとつながるような自然要因を大事にできるようなエリアにしていくかは、これから考えていきたいと切に思います。時間をかけて、論題は変わっていっても、50年、100年というスケールで捉えることが大切です。と言いますのは、本当に川に近い場所に非常に高いビルが建っており、そのビルがもし潰れたら、一遍に川が埋まってしまう可能性もあります。その様なことについては、もう少し、ある意味強い規制で、エリアとして考えていきたいと思います。

○吉田委員(委員会)/委5-40

本日のテーマは、人と川との関わりということですので、その辺りについてコメントさせて頂きます。私は淀川水系の流域住民ではなく、関東の人間ですので、関東と関西では状況が違うのかも知れませんが、関東の方でいうと、鷲谷委員のお話ではありませんが、首都圏に住んでいる者は、殆どが外来種の人間ばかりです。ですので、例えば飲み水がどこから来ているのかということは、ブラックボックスになっている状況だと思います。

東京都の水が小河内ダムに依存できたのは、昭和39年の東京オリンピックの時までで、それ以降は水が足りないので、利根川水系に依存しています。小河内ダムをつくった時は、東京都の人口は650万人くらいで収まると思っていたのですが、とんでもない話だったわけです。あっという間に1,000万人を超え、利根川水系に依存するようになったという次第です。

その際、東京都が半分以上のお金を出し、利根川河口堰をつくり、利根川河口堰で開発した水利権を、河口堰付近の淡水域で取水しておらず、100キロメートル以上も上流の埼玉県の利根川大堰で取水しています。しかもその水はさらに上流のダム群で貯めた水です。取水した水を一旦荒川に流し、荒川からまた地下を通って東京都内に運んでいるわけです。そういうルートを都民は全く知りません。

昔、NHKで宮田輝さんが司会をした「ふるさとの歌まつり」という番組がありました。全国を巡回しており、私が住んでいる利根川のほとりの佐原という街に番組が来た時、NHKのスタッフの人が水道の蛇口をひねって水を飲もうとして、ふと気がついて私に、「この水は利根川の水ではないですよね。」と言いました。東京都の人は、自分が利根川の水を飲んでいることさえ知らないという状況です。

最近は、学校では必ず水はどこから来ているのかを教えていますし、子供向けの環境教育は進んできていると思いますね。しかし、先ほど言いましたように、子供の親は外来種ですから、とにかく、そのようなことを学ぶ機会がありません。首都圏に関して言えば、例えば、下流と上流の住民の交流ということで、世田谷区と群馬県川場村が交流するという取り組み等、随分一生懸命やっています。関西地方でも、丹生ダムの問題等がありましたが、水源地と水利用地の交流がなければ、このような利水、治水の問題は解決しないと思います。

このように、人と川との交流、或いは上流の人々と下流の人々の交流というのが非常に大事になると思いますが、首都圏の場合で言えば、一生懸命やっていますが、ブラックボックスが本当に見える部分までは、とてもいっていないという状況です。

多分、関西だと琵琶湖があるので、その面ではもう少し皆さま方は知っているという気がしますが、どうなのでしょうか。首都圏と同じように、人口が広範に渡り、また人の出入りも大きいので、意外とそのような部分はまだブラックボックスのままなのでしょうか。もし、そういうことが課題としてあるのであれば、やはりこの委員会でも課題として取り上げていく必要があるのではないかと思い、コメントさせて頂きました。

○芦田委員長(委員会)/委5-41

今のご意見について、何かありますでしょうか。

○川上委員(委員会・淀川部会)/委5-42

皆さまのお手元に、「資料1 各部会の開催状況について」が配布されています。淀川部会の報告、12ページの最後に、私が木津川について説明した内容が掲載されていますが、先ほど吉田委員がお話しされたようなことが書かれています。

大阪や京阪神間に住んでいる方は、自分たちが飲んでいる水は琵琶湖から来ていると思っており、桂川や木津川についてはあまり認識がないのが現状です。私も、大阪に住んでいた20数年前はそのように思っていました。木津川上流に住むようになり、木津川からも水を頂いていたという認識を改めて持ち、現在の私の活動につながっているわけです。お恥ずかしいことです。

近畿圏、三重県においても、木津川というのは、ある意味では見えない川といいますか、認識されていない川です。三重県の河川関係の予算で、宮川と木津川の各河川の対策費だけを比較すると、木津川は宮川の5%程度の予算しか組まれていません。このような現状に、私たちはある意味での憤りを感じています。今後、三重県内においても、近畿圏においても、木津川の地位の確立というと少し変ですが、皆さまに木津川を十分認識して頂けるように、上下流の連携等の取り組みを進めていきたいと思っています。

○芦田委員長(委員会)/委5-43

どうもありがとうございました。その他、ご意見はありませんでしょうか。

○川那部部会長(委員会・琵琶湖部会)/委5-44

感想的なものを述べさせて頂きます。

私はこれまで生物を専門として研究してきたのですが、この頃、身近にいる研究者の影響を受け、人と水との関わりが一番問題だと思っています。

ただ、この問題は新しい考えですから、資料として出すということはできませんでしたが、この委員会が次の「課題分析・方向性検討」のステップに入った際には、各委員が琵琶湖・淀川水系の水や生物、人との関わりをどのように考えているかを議論するというお話が委員長からありましたので、その予告をさせて頂きたいと思います。

本日の水野河川調査官のお話は、私にとっては大変面白かったです。水野河川調査官がどう思っていらっしゃるかとは無関係に、本日の情報提供は大変面白かったと思います。

例えば、先ほど谷田委員や嘉田委員からもお話が出ましたが、水防団というものをひとつの例として挙げ、現状を説明されたのですが、水防団をどうしたらよいのかはおっしゃいませんでしたが、そうしますと、水防団は現状のままでよいと受け取ることも、例えば可能です。私自身はそう受け取ろうと思いました。

それから、河川利用の問題についても、その必要性については次の委員会で考えねばならない問題であり、本日は現状をご説明頂いたと思っています。また、現在の河川敷の整備について、ご説明頂いた通り整備していることは確かですが、例えば、次の機会にでも議論を要するところを挙げると、河川敷を整備することが全く不必要であるとまでは言わないにしても、河川の中が最も適当な場所かどうかということについては、当然、議論の対象になる問題です。

つまり、議論の対象になる資料を、本日「河川管理者」から、現状としてはこうであるという形で提供頂いたと、私は受け取っています。いわゆる「河川管理者」のお考えであるかどうかは別にして、前回、今回の委員会で「河川管理者」から頂いた資料提供は、次回の委員会の際、いろいろな意見を言わせて頂く時に、非常に役に立つという気がしました。

何が言いたいかと申しますと、この委員会は、我々で考えるということがやはり非常に大事だという気がします。そういう点で、本日の説明は私自身にとっては、大変興味があり、これは今後も使えそうだと思い、感想を申しました。

○谷田委員(委員会・淀川部会)/委5-45

多少、川那部委員と関連しますが、淀川では実際に現在の河川敷の利用で、特に直ぐに手をつけられる不法占拠地に関しては、河川管理者はかなり大胆な取り組みを行っていると私は思います。

その次の段階というのは、法改正や組織改正が関わるので、もっと大変な作業であるかも知れませんが、河川管理者が何かをやろうとしていることは、以前にもご紹介頂きました。そのことに対して、私は非常に強い印象を受けましたので、少し弁護いたします。

○芦田委員長(委員会)/委5-46

それでは、時間が迫ってまいりましたので、取りまとめということではありませんが、私の方から少し言わせて頂きたいと思います。

今まで、「現状把握」として、何回か情報提供をして頂き、我々の理解もかなり深まったと思っています。また、部会でも「現状把握」をかなりやっており、委員の方々は河川についての理解がかなり進んだのではないかと思っています。

しかし、「現状把握」が今回で終了というわけではありません。まだ知りたいと思うことはたくさんありますが、ずっと続けていても次のステップに進みませんので、大体、当初考えていたスケジュールに従い、次回の委員会では現状を分析して、これはまずいとか、これはよいとかというような分析と、それに基づいてどのような川をつくるべきだというような「課題分析・方向性検討」の話に入りたいと思います。そこでお願いですが、委員全員から、「課題分析・方向性検討」に関する資料やその考え方を提供して頂きたいと思っています。

現状認識についてもまだすべきことがあるので、並行して行いたいと思います。特にもっと知りたい問題等があれば、この場で言っておいて頂けたら、それを優先的に取り上げたいと思いますが、いかがでしょうか。

○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)/委5-47

これまでも言ってきましたが、これからの川づくりが国土交通省だけでよいのかという辺りを考えて頂きたいと思います。

例えば、今回の水上バイクの問題だけをとっても、国へ行けば、環境省、厚生労働省、さらには経済産業省、農林水産省等も関係してくるわけです。その辺の折り合いや、話し合いの必要性を感じています。

○芦田委員長(委員会)/委5-48

行政の縦割りの問題ですね。


○寺川委員(委員会・琵琶湖部会)/委5-49

そうです。そういうものを含め、議論する必要があると思います。よい川をつくろうとした時に、国土交通省だけでよい川がつくれるのかということについて、どのようなプロセスが必要なのか、議論していく必要があるのではないかと思います。

○芦田委員長(委員会)/委5-50

それについて、他の委員の皆さまはいかがでしょうか。どのように議論するかというのは非常に難しいですね。大切な問題ではあるのですが、この委員会で実際に議論するとなると、非常に難しいと思います。

○中村委員(委員会・琵琶湖部会)/委5-51

先ほどの問題もそうですが、この委員会の目的は、あくまでも国土交通省が直轄管理する区間の計画を、河川整備計画にどういう形で組み入れていくかということです。その場合、先ほど議論したようなことは非常に役立つと思います。これまでの議論の殆どは、これまでの事業の計画が十分か不十分かということでした。或いは、どうしたらもっとよくできるかという議論でしたが、2つばかり、この委員会の目的として、やらねばならないことが残っています。

1つは、事業として本当に取り入れるかどうかということで、丹生ダムの問題が非常に大きな問題として残っています。水野河川調査官の説明では、現在既に計画が進行しつつあるものについては見直しの対象にならないということでしたが、丹生ダムについては非常に大きなインパクトをもたらすものなので、流域委員会でどこまで議論するのか、委員の知見では不十分な場合、どう補完していくのか、或いはその当時の水利権の問題で、政治のプロセスがあったわけですが、その点をどう判断し、この流域委員会で最終的な結論として結びつけるのか、非常に大きな問題として残っていると考えます。

2点目は、寺川委員のご指摘のように、明らかにこの流域委員会で結論が出にくい問題を扱うわけですが、これについては、きちっとした流域委員会の結論として、次のプロセスづくりの受け皿、或いは仕組みづくりを流域委員会の結論として残すということを、やはり確認した方がよいだろうと思います。そうしないと、言いっぱなしで終わってしまうということがあるので、次回、或いは次々回の委員会で、この点を是非、議論して頂きたいと考えます。

○芦田委員長(委員会)/委5-52

どうもありがとうございました。非常に有益なご意見です。参考にしたいと思います。

それでは、これより一般傍聴者の方からご意見をお伺いしたいと思います。時間は10分程度ありますので、どなたでも結構です。ご意見はありませんでしょうか。

ないようですので、次回の委員会では、課題の分析を行いたいと思いますが、それに先立ち、既に淀川部会でもいろいろとやっておられるようですので、その説明を淀川部会長の寺田委員からお願いいたします。

○寺田部会長(委員会・淀川部会)/委5-53

先ほど委員長から説明がありました、これから先の進め方の基本的な部分についてのお話と密接に関連することです。これまで淀川部会や他の部会でも、現地視察を丁寧にしてきたと思います。上流から下流までをくまなく、どういう状況かということを視察して本当によかったと思っています。そういう中で、委員の皆さまが、各々に自分の専門分野を越えていると感じるようなところが随分出てきています。

そこで、参考資料1の7ページにも掲載されていますが、前回の第4回委員会でつくった全般的な検討スケジュール(案)の中で、今秋頃から年末にかけ、各部会で現地視察を踏まえていろいろ感じたところ、どういう部分を今後議論していくべきか、どういう項目について検討する必要があるのかという課題や検討項目を、そろそろ委員の皆さまで出し合い、出された検討項目について深い議論を各部会で行わねばならない時期に来ていると思います。

淀川部会では、9月10日に第7回部会を開催しましたが、本年度中に部会をあと3回実施したいと思っています。この3回の部会を、先ほど申し上げた各部会の委員の方から感じるところ、つまり、議論すべき課題や検討項目を出し合い、十分な議論をしようと考えています。1回あたりの会議時間は4時間を割く予定にしています。次回部会は10月31日に予定をしていますが、次回部会までに各委員から検討項目や課題をまず出し合ってもらうということにいたしました。

ただ、全く白紙の状態で検討項目なり、課題を出すということは、なかなかやりにくいところがあるものですから、検討項目と思われる項目を例示し、それを参考にして頂いて部会の委員の皆さまに意見を出していこうと、淀川部会の委員の方々に郵送いたしました。つい先ほど、委員の皆さまのお手元にお配りしております「課題、意見募集の項目例」という資料が郵送した資料です。この資料はあくまで参考であり、大きな項目にどういうものが考えられるかということを羅列しただけのことですが、そのようなことを淀川部会ではやっています。

このような作業について、これから他の部会でも多分されるだろうと思いますし、それから委員会でも、共通して検討すべき項目や課題を、例えば、河川整備の基本的な理念や、今後あるべき河川整備の考え方、先ほどご意見が出たような、委員会で具体的な意見を述べることはできないが今後の課題としてどのようなことが残るか、住民意見の聴取・反映方法等、各部会だけでは議論し得ないといいますか、むしろ委員会で議論すべきだという項目はあると思います。

従いまして、次回の委員会は確か11月29日だったと思いますが、それまでに、各部会が課題の提出、整理作業を開始されると思いますので、次回の委員会までに、できれば委員会の委員の皆さまが、共通して検討すべき事項や、課題と考えられる事項というものをある程度出し合って、それをまた各部会に持ち寄り、もしくは参考にし、各部会の課題の検討に生かしていくというようなことをしてはいかがかと思います。

○芦田委員長(委員会)/委5-54

どうもありがとうございました。寺田部会長の方から非常によい意見を出して頂きましたので、委員会としても参考にさせて頂き、次回委員会までにこちらの方で整理し、このような項目で、課題や川づくりの理念等、そのような事項を各委員から聴くような形をとりたいと思います。

同時に、河川管理者の方からは、このような課題を特に議論して欲しい等、様々な思いもあると思いますので、整理して頂けたらありがたいと思います。我々が考えると同時に、河川管理者の方でも、出てきた課題を参考にし、いろいろ意見を述べて頂き、収束させていきたいと思っています。

○塚本委員(委員会・淀川部会)/委5-55

中村委員も寺川委員も言われましたように、河川だけではできないという限界は、必ず見えてくると思います。

恐らく、違う分野でも、それぞれ新たな再生に向けた委員会ができてくると思いますが、結局、どこまで手を伸ばし、つなげるかだと思いますので、河川管理者の方にお願いしたいことは、国土交通省として、道路や都市計画等の方が、少なくとも補足的にも説明して下さるような場を提供して頂きたいということです。

従来の河川整備ではなく、多自然型の河川づくりに始まって、川の再生である近自然工法の目的と内容を取り入れた同様の横断と総合に向かう変化と動きが、河川局以外の他部局でも恐らくあると思います。その関連部署の方が、参考としてご意見を頂ける場がもし可能であれば、つくって頂きたいと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)/委5-56

具体的な課題が出まして、その課題について河川管理者サイドだけでは答えられないという際、逆に委員会で、例えば道路関係の者、或いは都市計画の者を委員会として招請するということを要請して頂きたいと思います。それを受け、我々はどう対応するか考えたいと思います。

○塚本委員(委員会・淀川部会)/委5-57

わかりました。

○芦田委員長(委員会)/委5-58

川づくりについて、我々の思いというのは非常に広いと思います。よい川をつくろうとみんなが思っている。それは、河川局等の河川行政だけではできないことが非常に多く含まれていると思います。

しかし、先ほども議論に出ましたが、中村委員がおっしゃったように、そのようなことを流域委員会で審議し、提言していくということは大事だと思いますし、そのような立場でやっていきたいと思っています。

課題については、これはできない、できるという判断は皆さまあまり意識せず、自由に思ったことを書いて頂きたいと思います。この範囲はできる、これはできないがこうしていくべきだ、という整理をしながら、結論を出していけばよいと思いますので、どうぞご自由に課題を出して頂きたいと思います。

○吉田委員(委員会)/委5-59

進め方についてですが、部会と委員会との意見交換があまりにも希薄な気がします。委員長が前回、委員会だけの委員も部会に入って欲しいとおっしゃいましたので、私も猪名川部会に入らせて頂き、次回の猪名川部会に出席する予定です。

ただ、それにしても、今回の委員会においても、部会からの報告は資料だけで、特に質問の時間もありません。次回の委員会では、「課題分析・方向性検討」のステップに入るということですので、是非、部会で出された問題点について、委員会で議論する時間をとって頂きたいと思います。

○芦田委員長(委員会)/委5-60

ありがとうございました。そうさせて頂きたいと思います。

○川上委員(委員会・淀川部会)/委5-61

少し不勉強だったのかも知れませんが、本日、テーブルの上に置いて頂いているネズミ色のファイル「資料2−1−2 第2回委員会資料 淀川水系の現状説明」の後ろの方に、「淀川水系で平成13年度に実施を予定している事業」があります。これについては、委員会で説明を聴かなかったように思いますので、できれば次回の委員会でざっとお話し頂ければありがたいです。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)/委5-62

委員会の場がよろしいでしょうか、各部会で説明した方がよろしいでしょうか。かなり細かなもので、平成13年度に継続的に行っている事業を全て、網羅的に挙げています。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)/委5-63

今回、淀川水系流域委員会において、河川整備計画の議論をして頂くということで、河川整備計画ができ上がるまでは、新規の工事等は行いませんし、実施している事業についても新たな段階には入りません。しかし、継続的な事業については行っているということで説明をさせて頂いておりますので、資料に掲載しております。

後になって、勝手に事業を行ったのではないかと言われると困りますので、現在行っている事業をこのように網羅的に取り上げています。このような趣旨で、資料として掲載いたしました。必要に応じ、説明させて頂きたいと考えています。

○芦田委員長(委員会)/委5-64

委員会としては、詳細なことを説明して頂いても時間がかかりますので、全体の状況に関わるようなことであれば簡単にご報告頂ければもちろんよいですが、詳細については各部会でお願いしたいと思います。

それでは、これで第5回委員会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。

○庶務(三菱総合研究所 新田)/委5-65

それでは、次回の委員会は11月29日木曜日、13時から16時までとなっておりますので、よろしくお願いいたします。

これをもちまして、淀川水系流域委員会第5回委員会を閉会いたします。どうもありがとうございました。

以上

 

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