資料2を用いて、淀川水系の現状(人と川との関わり)についての説明があった。
@.治水(水防、人々の意識、情報提供など)
・水防団は地域の人々のボランティアで成り立っている。台風時などに巡視点検や、土嚢を積むなど水防活動を行う。平常時にも点検を行い、出水期前には訓練を行っている。
・三川合流地点より下流には、水防事務組合という専任の水防団があり、全国的に珍しいケースである。上流の水防団では、消防団や消防署員が兼務しており、これが全国の一般的なケースである。
・水防団の抱えている課題は、団員の減少や高齢化、全体的な水防意識の低下がある。また、団員にサラリーマンが増え、緊急時や平日の訓練に人が集まらないという問題がある。
・近年、洪水被害がそれほど大きくないため、洪水に対する危険性の認識が薄れており、それが水防活動にも反映されている。
・河川管理者は、人々に河川の実態を知ってもらうため、いろいろな情報提供をしている。氾濫シミュレーションを公表し、市ではそれに基づき、ハザードマップを作成している。また、洪水警報を出す、ホームページ上で河川水位を表示するなどしている。また、平成11年の福岡での地下街の浸水を契機に、出水時には、梅田の地下街で河川の状況を表示している。
A.水利用(節水対策)
・河川管理者は、府の水道局と共に節水意識の啓発を行っている。
・民間企業等では、トイレ、洗濯機等での節水や、節水型の施設の開発が実施されている。また、工業用水の再利用も行われている。これ以外では、雨水等を貯めて雑用水として使う施設が増加している。
B.河川利用
・東京オリンピックを契機として、河川敷地については公園広場や運動場等を優先的に整備することが国会で決議され、淀川でも河川公園においてグラウンドや野球場等の整備を進めている。近年、利用者は400万人を超えている。
・淀川の河川公園の将来像について、利用者へのアンケート結果では、「自然とふれあえる公園」、「芝生広場などのある公園」が6割と高くなっている。このような、住民の意識も把握しながら整備を進める必要がある。
・淀川の河川敷を利用したゴルフ場の問題としては、営利目的で排他独占的に使用されていることと、使用される農薬の問題があるため、面積を減らすよう、また、農薬の使用を控えるよう指導している。
・淀川の堤防には、不法建築や不法耕作地があるが、淀川工事事務所では、指導して撤去してもらうなど、少しずつ是正している。
・水上オートバイについては、騒音や生態系への影響など様々な問題があるため、地区を選定し、利用期間や時間帯の制限、レギュラーガソリン使用の指導を行っている。
・この他に、ごみの不法投棄、オートバイ等が高水敷を走り回るなどの迷惑行為も問題である。
C.舟運
・江戸時代、淀川は物流の大動脈であり、三十石船など多くの船が行き来していたが、現在は砂利採取船や水上バスが航行している程度である。
・近年、舟運の復活の機運が盛り上がっており、周辺市町村による協議会で検討が行われているが、舟運復活のためには低水路をつくることが課題になってくる。
D.淀川における生業(なりわい)
・淀川の生業として漁業と土砂採取がある。漁業については、大阪周辺の漁獲量は年々低下傾向にあり、シジミは昭和50年代、アユは平成4年以降低下傾向にある。土砂採取については、現在、淀川大堰上流〜枚方周辺で許可している。