淀川水系流域委員会
第4回猪名川部会議事録

日時:平成13年8月7日(火)15時00分〜17時30分
場所:三井アーバンホテル大阪 6階「生命ホール」



 

○庶務(三菱総合研究所 新田)


それでは、これより淀川水系流域委員会第4回猪名川部会を開催いたします。

本日の司会は、私、三菱総合研究所の新田が務めます。よろしくお願いいたします。

審議に入る前に、ご報告と幾つかの確認をさせて頂きます。

まず、配付資料でございますが、「議事次第」、クリーム色の「発言にあたってのお願い」、資料1から3、参考資料1と2、資料2の補足「水質に関しての現状」という1枚の資料が本日の資料となっています。なお、委員の方に事前に送付いたしました資料は、お手元には配付しておりませんので、ご確認をお願いしたいと思います。

それから、委員の方には第1回猪名川部会の資料3の修正ページが1枚入っております。資料ナンバーはございませんが、「淀川水系流域委員会(猪名川部会)参考資料」という、2枚の資料となっています。お手数ですが差しかえをよろしくお願いいたします。また、最新の「猪名川部会ニュース・2-3」をお手元に配付しております。

一般傍聴の方については、会場入口横の机上に修正版と猪名川部会ニュースを置いていますので、ご自由にお取り頂ければと思います。

第1回猪名川部会の資料3「猪名川の現状説明」を、委員の方2人に1つの割合で置いております。後ほどの説明の中で参考にされたい場合は、お手にとってご覧下さい。

それから、審議が終了してから一般傍聴の方に発言いただく時間を設けていますので、審議中における一般傍聴の方の発言はご遠慮頂きたいと思います。クリーム色の「発言にあたってのお願い」という紙を熟読の上、ご協力の程よろしくお願いします。

それでは、米山部会長、審議の方をよろしくお願いいたします。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

猪名川部会をこれから開催します。まず、先日、猪名川総合開発工事事務所によって開催された水生生物調査に本多委員が参加されたそうですので、その辺りのこともお話を頂きたいと思っております。また、本日の情報提供と意見交換は環境の問題を中心に進めたいと思いますが、その前に私から一言だけ申し上げたいと思います。

資料2の補足として新聞の切り抜きを付け加えて頂きました。これは、読売新聞、神戸新聞、それから朝日新聞の夕刊の記事ですが、私は京都新聞の記事も切り抜いてきました。ここに2000年の全国一級河川の水質のワースト5が載っており、猪名川もワースト5の1つに順位付けされています。私は、たまたまアフリカから帰る飛行機の中で新聞記事を見ましたが、猪名川はある意味で、都市の中を流れている河川、河川の周りを都市が取り囲んでしまっている、典型的な都市河川の例だと言えるのではないかと思います。

早晩、淀川本流も琵琶湖も他の流域も、猪名川のようにワースト5までに至るかもしれないという心配があるわけです。そのようなことを前提にして考えてみたいと思いました。

まず、委員の皆さまのご協力を得て、都市河川の典型的な例として我々の部会から本委員会に「猪名川モデル」というようなものを提出できるところまで頑張ってみたいと思っています。

8月24日に開催を予定している第4回運営会議の中でも意見したいと考えていますが、「猪名川モデル」という名前を付けるだけの適切な回答ができないかもしれません。しかし、できるだけ我々の総意を結集し、これこそがオプティマムなソリューション(最適解)であるというものを見つけ出しましょう。

この記事に関するご説明を上下所長から最初にして頂ければありがたいと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所長 上下)

平成11年の時点では、猪名川はワースト5には入らずにワースト6位であり、この時のBOD平均値が2.9mg/lでした。昨年及び平成12年のBOD値は猪名川の呉服橋、軍行橋、利倉の3地点の平均値となっています。環境基準では3地点とも満足していますが、BOD平均値が3を超えたことからワースト5位になったということです。ちなみに、ワースト5に入っている他の河川のBOD平均値は、大和川は6.7 mg/l、東京、埼玉に流れている綾瀬川が6.5 mg/l、鶴見川が5.0 mg/l、中川については4.7 mg/lになっています。大和川の調査地点は8地点あり、環境基準を満足している地点は1箇所で、各地点のBOD値を単純に平均した値が6.7 mg/lとなっています。大和川においては、調査した8地点における調査結果の上位から75%に当たる値(BOD75%値)が9.3 mg/lとなっており、猪名川についてはBOD75%値が3.6 mg/l、BOD平均値が3.0 mg/lとなっています。

そのような関係から猪名川がワースト5位になっていますが、4位の中川のBOD平均値が4.7 mg/l、5位の猪名川が3.0 mg/lとなっており、まだ相当な開きがあります。6位は調べていませんが、5位との差はあまりないと思われます。猪名川は平成11年度から12年度にかけて0.1 mg/l増加してワースト5位になったということです。

ちなみに資料2(補足)の2ページ目の下の表を見て頂くと、昭和42年から平成12年までの銀橋、軍行橋、利倉、中園橋の各地点のBOD75%値の経年変化が示されていますが、昭和50年から昭和55年にかけて急に下がっています。これは下水道の普及率が顕著に現れたためです。それから昭和55年以降から平成12年については、大きな変化はなく推移しています。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

どうもありがとうございました。

これを自慢にすることはできないのですが、ある意味で、猪名川という存在、猪名川という名が出ているということを逆手にとって、逆に猪名川の最善の方策を見つけていきたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

では、第3回委員会、第4回委員会の概要を庶務からご説明頂きたいと思います。簡単によろしくお願いいたします。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

資料1に、既に開催された第3回委員会と第4回委員会の概要をまとめています。

第3回委員会では淀川の現状についての説明と意見交換が行われ、「今後の進め方について、どのような説明がいつ行われて何を議論するのか、ある程度の見通しを示して欲しい」というご意見が出されました。また、「次回の第4回委員会では環境の現状についての情報を河川管理者からだけではなく、委員の方からもご提供して頂く」ということが決まりました。

引き続いて7月24日には第4回委員会が開催されました。運営会議での議論を経て、スケジュール(案)が提出されました。資料1の最後に参考として第4回委員会資料2「検討スケジュール(案)」をフロー図で添付していますのでご覧下さい。このスケジュール(案)を基に、今後の進め方に関していろいろ意見交換がなされました。速報にも書いてありますが、「このスケジュール案を大まかな目安、目標として考え、今後の議論や検討を進めよう」という議論がされております。

第4回委員会における現状説明については、河川管理者から淀川水系の水質や生物、生息環境等についてご説明がありました。また、寺川委員から「水上バイク等からの化学物質による水質汚染」に関する情報提供があり、その後、環境についての様々な意見交換が行われました。個々の意見については説明を割愛させて頂きたいと思います。また、住民意見の聴取、反映方法については、各部会で自由に議論して頂きたいということが決定されております。

以上が、第3回、第4回の委員会の概要ですが、詳細は資料1をご覧頂くということで、説明に代えさせて頂きます。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

ありがとうございました。これについて何かご意見はありますか。特になければ先に進みたいと思います。

次は、7月22日に猪名川総合開発工事事務所によって実施された水生生物調査についてのご報告ということで、本多委員からご説明頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○本多委員(猪名川部会)

10分程度で説明をするということでしたので、少しお話をさせて頂きたいと思います。

[省略:水生生物調査についての報告]

・ 余野川における水生生物調査の概要

・ 調査において見つかった生物

大体10分が経ちましたので、私の報告はこれで終わらせて頂きます。ありがとうございます。

○米山部会長(委員会・猪名川)

どうもありがとうございました。

本多委員のご報告について、何かご意見等はありますか。

猪名川の現状についての情報提供ということで、今度は河川管理者からお話を頂きたいと思いますが、30分程でお願いします。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所長 上下)

では、猪名川全体の環境について説明をさせて頂きたいと思います。

今、本多委員から河川の水生生物調査の話がありました。猪名川においても、7月28日、スタッフ全員が揃うと約120名にもなりますが、小学生を対象に、猪名川の13カ所において生物調査を行いました。また来年も開催するので、ぜひ委員の皆さまにも参加して頂きたいと思います。

では、猪名川の環境について説明をいたします。

[省略:猪名川の現状(環境)についての情報提供]

・ 河川形状や周辺状況等の変遷

・ 水質(BOD)

・ 生態系(水生生物等)

・ 流域の土地利用状況

以上で説明を終わります。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

どうもありがとうございました。

引き続き畚野委員から情報提供を頂きますが、今の上下所長のご報告について、ご意見等ございましたら、先に伺いたいと思います。

○松本委員(猪名川部会)

最初の説明に猪名川がワースト5に入ったというお話がありましたが、マスコミが取り上げた調査の基準ポイントになっている場所をもう一度確認して頂きたいと思います。

資料2の補足の中に入っている図によれば、環境基準地点というのはマルにバツのところ、銀橋と軍行橋、利倉、中園橋の4つが入っています。表では調査地点は3地点となっていますが、その3地点とはどの地点なのでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所長 上下)

呉服橋は環境基準地点ではありませんが、呉服橋と軍行橋、利倉の3地点となっています。

○松本委員(猪名川部会)

呉服橋と軍行橋と利倉の3地点が、環境基準地点と異なっているのはどういう理由からですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所長 上下)

銀橋は県の管理区間に当たるため外されています。これらの3地点は直轄区間内の上流、中流、下流のポイントに振り分けされているということです。

○松本委員(猪名川部会)

そうしますと、この3つのポイントについては、ずっと以前から統計データ等が存在するということですね。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所長 上下)

はい。そのポイントで報告をさせて頂いています。

○松本委員(猪名川部会)

猪名川がワースト5に入ったということは新聞紙の一面に取り上げられていたので、池田市の住民の多くもその記事を見ています。今、池田市内で「池田の自然展」を開いて淡水魚を展示していますが、そこで淡水魚を見ていた方から、「猪名川がワースト5に入るほど汚い川なのに、こんな魚がこの川に本当にいるんですか」という意見をもらったことがあります。一面記事に「猪名川がワースト5に入った」と大きく掲載され、猪名川はどんなに汚い川なのだろうかというイメージと非常に相容れないわけです。

そこでまず1点として、マスコミに対する情報提供のあり方や統計資料の出し方等について、少しまずいのではないか、実感に即してないのではないかと思います。

もう1点は、もう少し地域の実際の状況を反映したデータのとり方はないものだろうかと思います。例えば、利倉の地点辺りはちょうど下水処理場の排水が流れ出しているところであり、極めて汚いところです。

ですから、各河川との比較において、本当にその河川の実情を示すものとして、BODの平均値を出すことが妥当なのかという疑問があります。もう少し合理的な方式はとれないものでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川部河川調整課長 小山)

この水質調査の記者発表を担当していますので、私の方からお答えさせて頂きたいと思います。松本委員のご指摘の通り、猪名川の水質はワースト5に入っていますが、それほど悪い数字ではありません。

最初の説明にもあったかと思いますが、資料2(補足)の2ページの図を見てもお分かりのように、昭和50年以前の水質から見れば大幅に改善されているのがわかります。全国の河川も同様で、資料2(補足)の1ページの新聞記事にもあるように、調査が始まった1972年には綾瀬川のBOD平均値が55.2mg/l、大和川は19 mg/lとなっています。これが平成12年では、綾瀬川が6.5 mg/l、大和川が6.7 mg/lで、綾瀬川は10分の1程度の数字になっています。大和川も3分の1程度の数字ということで、直轄の9河川に限ってですが、全国的に川の水質が大変良くなっていることがわかります。

そのような中で、1972年当初に記者発表をした頃には、全国的にこのような55 mg/lだとか20 mg/lといった悪い数字が数多くあったので、ワースト5やベスト5等のような表現をしていたのは確かです。しかし、現在ではそのような表現はしていません。先日記者発表をする機会がありましたが、一応過去からの経緯もあって1位から全国の第何位という順位だけは載せました。ただ、ワースト1位が幾らといった形では出してないのですが、やはりマスコミとして新聞に載せるならワーストで書いた方が記事になりやすいという一面もあって、このような形での記事になっています。

もう1点、水質の測り方については直轄河川の上流、中流、下流という全国的に統一した測り方をしています。BOD75%値というのが資料2(補足)の2ページ目の上の表のBOD平均値の横に載っていますが、この表のBOD平均値の場合、いわゆる平均値の平均をとっています。1月から12月まで毎月測っていますが、その年間の平均値から、調査地点全体の平均をとります。BOD75%値の平均をとれば、それは何を表わしているのか分からなくなるため、平均値の平均をとっています。そのようにして上流、中流、下流の平均をとっているわけです。

また、環境基準地点で利倉と中園橋がありますが、ここではいわゆる環境基準を満足しているかどうかを見ています。環境基準地点とは、環境省が川の平均水質となっているBOD75%値を全て見ることができ、この川を代表的に表わすことのできる地点ということで設けているものです。

利倉は下水処理場の排水ポイントになっているので、果たしてこのポイントが適切かどうかは私にも疑問が残るところですが、これは環境省で決めていることなので、とやかく言えません。

先ほどの資料2(補足)にもあるように、上流の銀橋と軍行橋のBOD75%値が1.3 mg/l、1.2 mg/lとなっており、これがいわゆる猪名川の水質を表しているかと思います。利倉の地点は、下水処理水が流入した直後で測っているので非常に悪い水質となっています。中園橋は、藻川が分派しており、流量も少ないことから3.3 mg/lになっています。

以上のことから、これを単純に数字で表わすことが良いかどうかは、松本委員のご指摘の通りであり、疑問が残るということも確かだと思います。

ただ、一応全国で河川の水質の測定方法を統一しているため、上流、中流、下流という現在の水質測定の結果となっています。

記者発表の際にはその辺を含めた説明を随分としたのですが、記事としてはワースト順位を紹介する形で載ってしまうということです。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

どうもありがとうございました。細川委員、どうぞ。

○細川委員(猪名川部会)

利倉の地点が藻川と分派している区間の猪名川側にありますが、以前、猪名川と藻川で水質が全く変わる現象が不思議で、中学生たちと一緒に水質調査をしたことがあります。猪名川、藻川の上流部の水質はそれほど悪くありませんでした。ところが、猪名川では3箇所、4箇所の用水路から水が流れ込むたびに水質が少しずつ落ちていくことがわかりました。

何故このようなことになるのかを用水路の上流まで遡って調べました。噂としては、航空機を洗った排水が流れ込んでいるらしいとか、雨が降るときにはクリーンセンターが少し汚水を流しているらしい等、いろいろとあります。例えば、利倉付近には車体を解体する工場等がたくさんあり、汚水が流れ込まないように用水路にブロックを設けています。しかし、一部だけわざと欠けさせているような部分があり、その欠けた部分から車体を洗った汚水が全部流れ込むようになっていたりするわけです。

浄水場で水をきれいにするのは良いことですが、あくまで税金を使って対策をしなければなりません。それ以前に、まず市民の意識をしっかりと変えることの方が、税金の無駄遣いをしないで済むということを子供らと共に持った感想でした。自分勝手な方がたくさんいて、その一つ一つの積み重ねが川の水をこんなにも汚しているのではないのかという感想を持ったわけですが、そのような実態をもう少し良く調べて頂くことも必要だと思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

どうもありがとうございました。非常に大事なご指摘だと思います。

引き続き畚野委員からの情報提供ということで、お話を頂きたいと思います。

○畚野委員(猪名川部会)

それでは、お配りしました資料2「市民たちが見た猪名川の環境:現状と問題点」に基づいてご説明いたします。

最初にお断りしておきたいことがあります。米山部会長から「猪名川の環境をめぐる諸問題」という大きなテーマを頂きましたが、実は私の所属する川西自然教室というグループの活動区域が上流の県管理区間にあることから、上流の状況についてしかお話しできないことをまずご了承頂きたいと思います。

非常に広い範囲を少人数でカバーすることができませんので、代表的な2、3のポイントにある問題点について説明したいと思います。直轄管理区間については、その地域の適当な委員の方からまたご発言頂けたら結構かと思います。

[省略:資料2「市民たちが見た猪名川の環境:現状と問題点」の説明]

・ 川西市内の水鳥の調査結果

・ ゲンジボタルの調査結果

最後に、ここで申し上げたいろいろな問題は河川管理者だけでは解決困難だと思いますが、少なくとも、先日行われた現地視察での説明にあった流域協議会というような組織もありますので、そのような協議会の組織を生かして、広域の行政組織の間で共同の課題も多くあると思いますので、取り上げて頂ければありがたいと思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

どうもありがとうございました。

これはまさに「猪名川の環境をめぐる諸問題」そのものを幾つかの視点から取り上げて頂いていると思います。

先ほど、細川委員も「市民の意識が問題だ」とおっしゃいましたが、その部分も含めて、不法投棄の問題等、いろいろな意味で市民の側からも考えなければいけない問題が幾つもあると思います。

それから、実際にメダカを温存して、放流しようという実践をなさっていることに対して、敬意を表したいと思います。

河川管理者側でご感想があればコメントを頂きたいと思いますが、水野河川調査官はいかがですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

いろいろと貴重なお話を頂きまして、ありがとうございます。

ご提案の中にあったダム下流の流量については、今後、治水、利水、環境等、平常時の河川の水をどう確保するかという問題においても、我々の考えを説明させて頂ければと思っています。特に、平常時のダムも、できるだけ最低限の水は確保するような形で放流をしていますので、その辺も含めて、ダムから下流については説明できればと考えています。

支流に関しては課題を4点ほど取り上げておられましたが、これらは皆さまでご議論して頂き、いろいろ提案等をして頂けたら良いかと思います。我々も同じような問題を持っておりますので、河川整備計画の中で考えていくことになると思っております。

最後に、畚野委員からのお話の中に、河川管理者だけでの解決は困難とありました。最初から説明をさせて頂いておりますが、猪名川は総合的な治水対策のモデル河川であり、単に河道だけの改修で治水事業を考えているわけではありません。面的な対応を行っていくために、我々と地方自治体、県、府、市町村と連携をとりながら作業を進めていますので、今後ともそういう場でも議論をしていきたいと思っています。

○矢野委員(猪名川部会)

委員の方や整備局からのお話を聴いていますと、初めにもお話があったように猪名川は上流部、市街地域、それから下流域における水質が明らかに違うことがよく理解できました。今後、この辺りをどのように考えていけば良いのでしょうか。

例えば、上流域であればかなり面源系のものが山林・田畑等から流れてくるということが言えます。また一番問題になることとして言えるのは、上流域では生物相も非常に豊富ですが、先ほどオオサンショウウオの話にもあったように、例えば、他の水系で見られるように、残土処分場や諸工事などで上流域で土砂等が流出すると、途端に植生が乱され、餌となる生物相が減少し、オオサンショウウオが生育できなくなるという話があります。

このような最上流域の水のきれいな地点の水の環境管理をどうするかが1つの重要な問題として言えるのではないかと思います。

それから、市街地域でもフラッシュ水が非常に高いBOD値を示すというお話がありました。私共も、水道用貯水池を管理しており、同様の状況を良く経験するのですが、降雨後に非常に高い汚染負荷物質が流入してくるということで、面源系の処理場等を通らない生活系や工場系の排水といった、いわゆる通常流れ込まないものが流れ込んでしまうという問題があるかと思います。また、下流部の下水処理水等の流れ込んでくる辺りであれば、その水質汚染レベルなどについて、それぞれ分けて考えていかなければならないと思われます。

なお、米山部会長が冒頭に話された「猪名川モデル」について考えるならば、先ほどもお話されていた、平常時と降雨後の違いのように、いろいろなことをケース別に考えなければいけないということで、まずは何かモデルの方向づけをしていく必要があるのではないかと感じました。

本日、委員の皆様が現地で日頃の活動の一環として、実際に調査に携わっておられるお仕事を聞いて、現実の問題がどうなっているのかということが非常に良く理解できました。どうもありがとうございました。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

どうもありがとうございました。

今、森下委員がお見えになりましたので、今日のこれまでの流れを簡単に説明したいと思います。

本日は環境の問題として、まず水生生物の調査に参加された本多委員からのご説明がありました。それに続いて畚野委員から川西市の自然を守るという一連のご意見を発表頂き、今はそれに対して議論をしているところです。

森下委員のご専門は水生生物ですから、そちらの視点から猪名川について何か包括的なご議論を頂けますか。というのは、先日、猪名川は水質においてワースト5に順位付けされたということがあったからです。

猪名川がワースト5に揚げられたということもありますので、できれば都市河川の典型例として、この猪名川部会から本委員会に「猪名川モデル」を提出し、それをたたき台にし、全体の河川の整備計画を策定していくという形にしてはどうかと最初にご提案しました。それに沿って議論頂きたいと思います。

これは未だ河川管理者側には一言も断っておりませんが、そういうことでよろしいでしょうか。「猪名川モデル」という言葉を使って良いかどうか、ご意見を頂けますか。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

我々としては、審議の進め方も考え方も委員会にお任せしています。我々が良い、悪いということはご判断に入れなくても良いとお考え下さい。委員の皆さまで議論して頂き、ご意見を頂ければ我々はそれを真摯に尊重させて頂きたいと思っております。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

今の河川管理者のご発言では何か逃げたような感じがしますが、そういうことです。森下委員、何かご意見を頂けますか。

○森下委員(猪名川部会)

都市河川の中でも水質が悪いということで、大和川と猪名川の名が挙げられて本当に頭にきています。

猪名川の水質がやり玉に挙がるのは、BODだからでしょう。BODで水質が評価される限りは、川の水深の浅い方が不利です。

私は長い間猪名川とお付き合いをしてきましたが、川が持つ本質的な容量があり、2,000万人もの人がすみ、水の量が不足している猪名川は都市河川の中でこんなに優等生な川はないと考えています。毎年、毎年猪名川の生物環境は良くなってきていると思います。しかし、その状態を伝えていくように表現できないという点で、評価する手法に一工夫がいるのではないかということを提案してはどうかと思います。

先日もアユの生息が問題になりましたが、放流したアユがすむ、すまないという問題は、実は冬の間に生物がいるかどうかということに関わりがあります。アユがいない冬にはオイカワという魚がおり、アユと同じように藻を食べますが、生物が少なくなり虫等もいなくなってくると、誰も手を入れない休耕田のような状態になってしまいます。

アユは岩盤にしっかりと付いている藻を食べ、ふわふわと水面近くに浮いている藻は食べられません。そのため、休耕田のような状態のところにアユを放流してもエサを食べることができず、水温が低くなればアユが慌てて逃げ出す、ということを繰り返し、結果的にアユは定着しないという状況ができるわけです。今日では、アユの生息は水質というより川の生産基盤に関わる生態系全体の問題になりつつあります。

猪名川がワーストの上位に入ったからアユがいなくなったのではなく、たまたま猪名川では渓流性の水生生物の生息する産床がなくて、普通にいる生物が少しずつすまなくなり、そのことが春に放流するアユに影響を及ぼしているということなのです。

日本の自然、特に猪名川のような川は、人が関わりながら共存してきた自然ですから、人が川に入らなくなって関わりを止めた時点で、本来そこにいなかったものを増やす条件を作ってしまいます。ちょうど耕していた田が休耕田になるのと同じように、農作物を作らずに放置していれば、いろいろなものが生え放題になります。そして、その状態になったところに、例えば外来種等のような生物が集まってくるわけです。川についても同じような状態になります。川が休耕田のようになるということは、これまで生息していた渓流性の水生生物がすみにくくなることです。普通の多くの生物が生息しなければ川はますます休耕田のような状態になって、生物を制限していきます。生物の生息が制限されると川の自浄能力が低下して、流入してきた栄養塩(汚濁物質)が分解されないままになります。

○本多委員(猪名川部会)

今、川の環境の問題について幾つか挙げられたと思います。松本委員や森下委員からも現状のデータが実態と違うのではないかといったご指摘もありましたが、確かにいろいろな調査方法があると思います。科学的なデータに基づく調べ方もいろいろある、ということをご紹介頂いたと思います。

私が所属している日本自然保護協会という団体は、人と自然との関わりでその環境をどう評価するのかという、人と自然との触れ合いの評価の仕方を一つの研究材料として取り組んでいます。

日本自然保護協会は、環境省の環境アセスメントの「人と自然との豊かな触れ合い」という部分の評価を、どのように具体的にすれば良いのかを研究をしている団体で、川にどれだけの人が何人関わったからということではなく、その川を人々がどう思ったのかという気持ちもやはり大切ではないかと考えています。水質だけでなく、その川をどう思ったのかといった気持ちもしっかりデータとして集めていくことが、その川を評価することにつながっていくということで、一つの方法として挙がっています。

それについては、日本自然保護協会のホームページのトップページに作成された報告書「フィールドから“かかわり”を読みとる目」が載っていますので、ぜひ参考にして頂きたいと思います。

先ほども水生昆虫について話をしましたが、それに関連して人がその川とどう関わっていくかについて発言させて頂きたい。今回参加した現地視察においてご説明を頂く中、新たに理解する部分もたくさんありました。

川と人がどう関わっていくかという部分について、その河川の管理者は、人が利用できるように、例えば歩道やグラウンドを整備する等、いろいろな形で人が川に関われるよう考えて頂いています。更に遊歩道は舗装せずに地面のまま残しておくような配慮もする。外からもいろいろな人がジョギングに来たり、サイクリングに訪れてくれるということも、利用の問題としてあったと思います。直接川に入って、川の自然環境と触れ合ってみるというときには、やはりそのようなリーダーが必要だという話をしました。

もちろん、畚野委員や私や他の委員も活動をされていると思いますが、それでも全域を網羅していくということにはなりませんし、そういう意味ではそこに関わる人材、すなわちインタープリター(説明者)が必要になってくると思います。

自分自身が川とどう関わり、どのように知り、自分たちの暮らしの中で、自分たちのライフスタイルをどう変えていき、川を大切にしなければならないということを理解してもらうために、インタープリテーション(説明)をその場でやっていくような取り組みが必要だろうと思います。

インタープリターというのは、いわゆる自然、歴史や文化、その土地の人と自然の関わりといったものを伝えていく人、リーダーの役割をする人であって、さらには物事のもっと裏側にある背景までを話せる人、その役割をすることがインタープリテーションであり、それをやる人がインタープリターです。

これは、実は国土交通省が以前から言っていることですが、参考に申し上げると、例えば国土交通省の第3回「新しい時代のダム管理を考える研究会」でも、川と湖のインタープリターの設置が必要だと言っています。同じく国土交通省の河川愛護月間の中でも川の案内人の人材育成を支援する必要性、併せて河川に関する地域住民とのコミュニケーションの充実等を実施するとも書かれています。

他にも、国土交通省の「21世紀の国土グランドデザイン戦略推進指針」でも、効果的にインタープリテーションを行うことを目的とした研修を実施するということも書かれています。

川に学ぶ小委員会の報告でも、インタープリターやコーディネーターといった人材の育成、さらには現在必要な知識、意欲等を持つ人材の活躍の場、能力向上を図る場としての役割も期待されるということで、そのような取り組みが委員会の中で報告されていますし、実際に「川に学ぶ社会を目指して」という報告書の中に反映されていると思います。

新たな水環境、国土管理に向けた総合行政のあり方についても、国土交通省の中ではインタープリター、コーディネーター等の人材育成の必要性を高らかに掲げています。既に取り組んでいる例として、例えば四国の「国営讃岐まんのう公園」ではインタープリターの養成がなされています。

徳島に吉野川という第十堰で有名な川がありますが、そこで私たちと同じ自然観察指導員の仲間が、第十堰や干潟、それから吉野川の生態系を守っていく活動を地元で行っています。そのメンバーと吉野川の河川管理者である国土交通省の職員の方が一緒に国営讃岐まんのう公園へ視察に行き、インタープリテーションを体験されてきたということも伺いました。実は、私も猪名川総合開発工事事務所のお世話で、四国のインタープリターの養成講座に参加させて頂いたという経験があります。

このようなことからも、この整備計画の中にそのような取り組みをしっかりと位置付けて頂くということが大切だと思いますし、また、河川で人との触れ合いをする中で、皆さまから聴き取り調査をしたデータをしっかりと集め、皆さまがこの川をどう評価しているのか、人の心の側面からの評価についても、これからは水質や景観問題、自然環境問題にあわせて必要になってくるのではないかと思います。

そういう意味では、そのような役割をしっかり養成していく、或いは位置付けていくことを考えて頂きたいと思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

市民意識の話がありましたが、つまり市民と川の生態系を結ぶための通訳に当たるわけですね。そのような人の存在、一種の啓蒙家といった人材が必要であるというご提言だと思いますが、これも非常に貴重なご意見だと思います。

スペシャリストはいるけれども、例えば、昔ここには銀山があったのだといった、それぞれの地域の特性を踏まえながら話をできる人材が欲しい、そういう感じのお話だったと思います。

時間が刻々と迫っているわけですが、もう少し委員間でのご議論を頂けたらと思います。

○田中委員(猪名川部会)

私の専門分野は魚類生態学です。水生生物が川に棲むために第一に必要とするものは水の空間、水量だと思います。その次に水質が必要となってくる。そして水質に続くのが瀬、淵に代表される河川の物理的な構造や河川敷であり、そして河畔林という生物的な構造になるのでしょう。これらが明確に分かれるかどうかはわかりませんが、おそらくこの3つの段階があると言えます。

その中で最も人間と軋轢を起こしやすいのは水量だと思っています。先ほども平常水位のときにダムから何パーセントかの維持水を流すという話がありました。今まで完全にシャットアウトしていた水をある程度流すということで、それは結構なことだと思います。

では、渇水時にはどうするのか。例えば、今年の9月、10月に台風が来なければ日本は異常渇水になるが、そのときに人間は一体どうするのか。私は水量の問題は非常に大きな問題だと思っています。

人間に水が必要というまさにそのとき、水生生物も水が必要です。要するに、平常時にはダムから水を流すと言っているけれども、現在の河床状況であれば、渇水時に一滴も水が流れなければ大概は干上がってしまいます。或いは干上がってしまわなくても、平坦な河床は水量が少なく、サギのエサ場になってしまいます。渇水時に河川の水量をある程度確保することは大きな問題であると思っています。

先ほど米山部会長が都市河川の「猪名川モデル」を考えるとおっしゃいましたが、もし水量の問題でみるならば、非常に大きな決断が必要になってくると思います。例えば、「猪名川モデル」は、「渇水時に人間の生活活動に必要な水を犠牲にして、生物のために水を流す」といった決断が必要ではないかと思います。

「猪名川モデル」というのは都市河川でありながら、ある程度は水を流すという決断ができるかどうかでしょう。その決断をしておかなければ、河川の構造や堰堤についていろいろ言ったところで、解決しないことだと思います。

その次に、例えば、銀橋付近には猪名川の狭窄部がありますが、その上が開発されており、時々水に浸かります。そこを掘削するためには、下流にある堤防、或いは治水条件を整えてから掘削するという話がありましたが、もし「猪名川モデル」をつくるのであれば、無謀な開発をしているところは元に戻すという決断も必要ではないかと思います。

要するに、治水上危険な所を新しく開発をして、ここは水に浸かるから掘削するという後追いの事業を行っていてはどうしようもありません。それでは30年後のビジョン等出てきません。無謀な開発をしている場合には、「ここは危ないから止めなさい」と言い、他の場所へ移します。すると、そこは遊水地として元々の機能を果たせるようになります。下流の護岸工事をすることが必要ないとは言いませんが、そのようにした方が治水安全性がもっと余裕をもった形で高まるのではないかという気がします。

水量の問題、それから、無謀に開発したところは元に戻すというのが「猪名川モデル」ではないかと考えます。

また、やはり私は川の魚を専門にしていますので、海から川を目指し、ある程度川の上流域まで放流しなくても勝手に魚が上ってくる等、都市河川でありながらアユが上ってくることが、やはり大きな目標ではないかという気がします。

アユが上ってくれば子供たちもそれ以外の生物も相手にして遊ぶでしょうし、お父さんは時々アユの塩焼きを食べることができる。お笑い事ではなく、やはり、目標は河川の生産性を高める方向に転換すれば良いのではという気がします。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

最後の話は少し遠大な目標ですが、そこまで理想を高く持ったゴールがあっても良いと思います。近未来は無理かもしれませんが、100年の大計で考えるならば人口もどんどん減少していきますから、原状復旧というか、元に戻せといったことも、少し極端な言い方だとしても、不可能ではないと思います。それほど夢物語ではないと私は理解しています。

○畑委員(猪名川部会)

先ほどの説明の中で緑の領域、特に都市公園の中で河川敷の占める割合がかなり大きい、という話がありました。私の専門分野は農業関係ですが、今なお非常に大きな農地があります。レベル的には先ほどの10倍程度はあろうかと思いましたが、水田が7%ということですから2,500ヘクタールくらいになるでしょうか。

この農地というのは2000年来、水田が中心になって継続して営農されているわけです。連作障害もなしにやっていけるという農地の役割を十分に評価していくことが、こういう歴史的な地域、土地利用を環境保全上もどのように維持するかということを私自身重要視しています。

もし仮に農地を貯留施設という形でみるならば、1,000ヘクタールにあと10センチの畦畔のかさ上げをすれば、それだけで100万トン程度の貯留能力が確保できることになります。流域内にパンフレットで見せて頂いた八王子川沿いに地下のトンネル状の貯留施設が設けられていますが、1,000メートル以上の地下トンネル、下水渠を設けることでせいぜい1万トン程度の貯留能力が確保できることになります。

場所によっては、貯留効果が非常に有効に働いているかと思いますが、農地の高度利用を図ることで、生産を続けながら貯留確保が可能であるということです。それは制度的に、公的な貯留施設として提供されていることに対してある程度の支払いをすることで農業を支えることにもなります。有効な資本の投下についてもこの「猪名川モデル」で検討していけば、2000年来の水田、我々の景観の原点にもなる、そのような緑の流域を我々自身で守っていく手立てにすることができるのではないかと思います。

この河川整備計画で最も重要視されていると思われるのは、前回までの説明の中で明らかなように、治水をいかに確保していくのかという点であろうかと思います。そのためにも、このような土地利用を十分に考えていく必要があるだろうと思いますし、その制度的、或いは技術的な方法等についても考えていきたいと思っています。

○服部委員(猪名川部会)

2点申し上げたいことがあります。まず1点は田中委員、畑委員が言われたように、河川の周辺の問題で、「猪名川モデル」があるのであれば、開発区域、水田、畑、それに樹林をどう取り扱っていくのか、どのように考えていくのかが一つの問題として挙げられると思います。その辺の基本的な考えを、次回にでもお聴かせ頂ければと思います。

2点目は、先ほど都市公園の面積の話がありましたが、次回で結構ですが教えて頂きたいことがあります。猪名川の河川敷の中で高水敷の占める面積がどれほどになるのか、そしてその高水敷の中で運動公園の占めている割合がどのくらいになるのか。また、各市町の都市公園の面積の中で河川敷にある公園の割合、特に運動公園の占める割合を教えて頂ければと思います。併せて河川敷における運動公園の意義が一体どういうところにあるのかも教えて頂ければと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

おそらく次回の第5回猪名川部会では「川と人との関わり」をテーマに議論されると理解しておりますので、その中で河川利用という説明に入るのではないかと思っています。その中で整理をさせて頂きたいと思います。

○松本委員(猪名川部会)

話が少し変わりますが、私は淡水魚を中心に水辺の生き物をずっと調べています。その水辺の生き物について、本日、国土交通省から説明が詳しくあるのだろうと思っていましたが、あまり説明がありませんでしたので田中委員からもいろいろとご説明があると思っていました。

森下委員は非常に古くから猪名川について調べておられ、猪名川の状態が最近良くなったと言われています。しかし、私はここ10年ほどずっと調べていますが、その10年の間に少しずつ悪くなっているという感じがあります。

魚種についても減っているものと増えているものがはっきりしています。数が非常に少なくなって、何か手を施さなければ本当にいなくなると思っているのがタナゴ類です。私は池田市を中心として調べていますが、アブラボテは猪名川流域においては池田市の余野川にいたのですが、この10年見つかっていませんので猪名川流域にもういないのではないかと思っています。それから、ヒガイという魚も減っています。

今申し上げたタナゴ類には、かつていたアブラボテやヤリタナゴと止水性の場所にいるタイリクバラタナゴの3種類がいます。また、ヒガイはタナゴ類ではありませんが、これらは全部二枚貝に産卵する魚で、ご存じの方はおられると思いますが、この二枚貝がいません。マシジミはところどころにいますが、猪名川自体にはイシガイ科の二枚貝はなかなかいません。

しかし、実は支流、用水路のようなところにたくさんいます。猪名川から取水し、猪名川にまた戻しているような用水路の中にたくさんいるわけです。ヤリタナゴもなかなか本流では捕まらないのですが、用水路に行けば非常にたくさん確認することができ、用水路から猪名川に流れ込むところにたくさんいます。ですから、ひょっとしたら猪名川で非常に少なくなったヤリタナゴやヒガイといった、二枚貝に産卵しなければならない魚については、猪名川本流ではなく用水路の中で繁殖をし、本流と行き来しているのではないかと、近年感じるようになりました。

昔からいろいろな魚がいて、その多様な種を保存することを一つの目標にするのであれば、猪名川本流だけでなく、その関連する水系の維持も含めて考えていかねばならないと思っています。

それから、中流域でスジシマドジョウという魚がいなくなっています。これは、国土交通省の資料の中にも今まで出ていなかったのではないかと思います。ムギツクは上流域にかなりの数がいますが、中流域では非常に減ってきています。このムギツクは托卵する魚として近年有名になっています。また、やはり底質がきれいでなければ見かけることができないという、アカザやスナヤツメ、カジカ、ズナガニゴイ等、こういった種類が極めて減ってきているようです。

こういう状況については、ここで固有名詞だけを出してお話ししてもなかなか理解して頂けないと思いますので、次回の猪名川部会が開催されるまでには資料を用意させて頂こうと思っています。

川というのは谷川から大きな川になり、海に注いで生き物が行き来しています。先ほどはアユの話がありましたが、海と行き来する典型的な魚としてウナギとモクズガニがいます。モクズガニはとても美味しいカニです。このカニは手の平くらい大きくなりますが、猪名川には非常にたくさんおり、11月くらいにカニ籠を仕掛ければたくさん入ります。そういう点では、まだ豊かさが残っていると思っています。

また、猪名川だけでなく、その周辺の用水路を伝わって五月山の麓等、かなりいろいろなところへウナギ等も上ってきていました。ところが、最近ではなかなかウナギの姿が見られません。この原因はわかりません。私もこれまでにウナギを捕ったという話を聞いたことはありますが、自分自身では採取したことがありません。アユは溯上しています。数は減っているようですが、天然で溯上しているものがいます。去年も箕面川の下流域で見つかっています。

こういった魚が川を行き来できるためには、水量の問題があると言われていました。先ほど田中委員が言われたことは、箕面川で身近に実感しています。箕面川は途中で枯れ川になります。途中で伏流水として湧いてくるところがありますが、下流のいくつかの区間で寸断されています。そのためにアユは溯上できません。箕面川の途中まで上ってきているのですが、そこから上流へは上がれないと思われます。かつては箕面川の阪急石橋駅の辺りまでずっと溯上していたそうです。水量が減った理由の一つとして、箕面川ダムが言われています。

アユやウナギ等の魚が行き来できるような水量確保は非常に大事ですが、ある意味では渇水期に非常に難しい問題があるでしょう。ですから、物理的構造に少し手を加えることで、水量の少なさを補えないかということを考えています。底を少し深く掘る、チョロチョロで良いから水が絶えず流れている場所がある、或いはところどころに待避できる場所を設ける等、水量の少なさに対して何らかの手を打つことはできないだろうか、と常日頃から考えています。そのようなことを思いながら「猪名川モデル」を考え、様々な生物種が海から上流まで行き来できる生物のルート確保をする。そのようなものを「猪名川モデル」としたいと考えています。

○田中委員(猪名川部会)

抜け落ちているところを、良く補足して頂いたと思います。

今の松本委員のお話にもあったように、ヤリタナゴやアブラボテといったタナゴ類は二枚貝に産卵します。この二枚貝の生息場所が非常に狭められたことがタナゴ類の減少の大きな原因だと思います。二枚貝が棲んでいる砂泥の底質は堆積環境に当たります。河川の本流での河川改修では堆積環境を非常に嫌い、水の流れを良くしていきます。高水敷や低水敷に分けているのも、おそらくそういうことからだと思います。水の流れがゆるやかで底が砂泥の部分を無くしてしまったことで、タナゴ類の数がどんどん減っている。減っていって、今どこにいるかというと、本川とつながった水路やため池等に辛うじて棲んでいるのだと思います。

もともとタナゴ類は河川の氾濫原にできる一時的水域と河川とつながったり切れたりするようなところにいたものが、本川からは砂泥底がなくなったため、仕方なく水路に逃げ込み、辛うじて命を長らえているというのが今の状況だと思います。

先ほど、「海から川の上流までをつないで欲しい」と述べましたが、これまで日本の淡水域の生物は、水田耕作すなわち農業とともに広がった面もあると思います。棚田が里山の頂上付近まで行くことによって、湿地を里山の頂上にまで押し上げてきたという面もあると思います。海と川、川と用水、用水と田、田とため池といった水域のネットワークを潰してきたことが非常に大きいと思います。圃場整備で用排水の落差をつけたことが、水域ネットワーク分断の大きな原因となっています。ここに踏み込めば、ただでさえ低い日本の農業の生産性をこれ以上低くするのかと怒られそうですが、ある部分では、そのようなことももう一度考え直した方が良いのではないかという気がします。

○細川委員(猪名川部会)

少し脱線してしまうかもしれませんが、最近、堤防の植生において明らかに外来種が勢いを増して増えてきているということを感じます。

なぜそこまで増えるのか。もちろん外来種の方が繁殖力が強いといったこともあるかと思います。ただ、ほとんど見かけなくなったツクシを最近見かけるようになったのですが、そのツクシが一体どこに生えているのかというと、堤防のすぐそばにマンションや家が建つようになって、その日陰にツクシがぽつぽつと生えてきていたのです。

昔は堤防にはたくさんのツクシが生え、在来種の植物がたくさん生えていました。しかし、もしかしたら堤防の環境自体、土等が外来種に適したものに変わってしまっているのではないかと思います。これは素人考えですので、ぜひ委員の皆さまに教えて頂きたいのですが、外来種が増えるということは、単純にその繁殖力が強いからというだけではなく、その生物に適した環境に日本の環境自体が変わってきているということもあるのではないでしょうか。

川の中の環境についても同じようなことが言えて、ブラックバス等の繁殖が問題になっていますが、川の環境自体が、日本の在来種にとっては棲みにくいが外来種の魚にとっては棲みやすい環境をつくってしまっているのだとすれば、ここまで日本の環境が変わってしまって良いのかどうか、ということを根本から問い直さなければいけないと思います。そういうことを検討する会であって欲しいと思っています。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

どうもありがとうございました。

私の先生で今西錦司さんという方がいて、キリンソウ、セイタカアワダチソウが非常に増えたときに一緒に山へ登ったことがあり、「えらいことですな」と言ったことがあります。すると、今西先生は「放っておけ、すぐに静まるから」とおっしゃいました。事実、一気に増えて広がるのですが、いつの間にか自然と無くなってしまいました。そういう自然の摂理もあるようですから、それほど大変な問題ではないかもしれません。

○森下委員(猪名川部会)

そうですね、セイタカアワダチソウやマツは、侵入してから勢力をもつのは大体40年です。今、セイタカアワダチソウが無くなったところが、昔のオギ(ススキ)になっています。

いつまでも外来種に占領され放しということはありませんが、日本の在来種がすめなくなれないように常に管理されていることが大切です。「外来種が増えないようにするのはどうしたら良いか」という問題は全く別問題になります。環境は一定で動かないものだと考えずに、周辺の社会の変化を受けて、それぞれが動いていくものだと考えることです。都市という環境では、基本的には全体が常に動いているのですから、自然という環境をそのままの状態で固定して保全することはできない話です。

常に動いている方向が自分たちにとって快適な方向であれば良いけれども、快適でない方向に向かっているときは、少し手を差し伸べて動きを変えることくらいのことしかできないです。何が快適ではないのかについては、流域の中で選ばないといけない。選ぶといっても、たくさんの人がいるので、一つの答えを出すわけではありません。答えを出すわけではなく、選んでいる過程をどのように楽しむかということです。そして、自然環境に対する理解を深めていき、できるだけダメージが少ないようにしようということです。ダメージというのは、環境が元へ戻ろうとするポテンシャルをなくすことですから、「元へ戻らないようにはしない」ということが今の環境の一番大事なことであって、「こういう環境をつくろう」ということになると、これは新たな開発につながり、合意形成に時間がかかります。

都市にあっては、くどいようですが生物を含めた自然環境がそこで止まっている、固定することができるという考え方は少し改めなければいけません。常に少しずつでも動いているものだという理解を深めていって、悪くなっていくものに対してはできるだけ方向を転換するということです。良くなっているものに対しては少しでも手助けして、もう少し良くなるようにしようとか、その課程を皆さんで愉しむことでしょう。地域で育てていくことで子供を育てるのと同じことでしょう。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

どうもありがとうございました。

ここでご相談したいことがあります。本日の部会は、池淵部会長代理が海外出張で欠席されていますが、ご意見を預かっています。次回の第5回猪名川部会が、第6回猪名川部会の開催予定日と近接していることから、一つにまとめてはどうかという意見です。第5回猪名川部会は9月28日で予定していましたが、その1週間後の10月9日に第6回猪名川部会が予定されています。

そこで、10月9日の17時から2時間という予定を、2回分の会議ということで、できれば会議全体の時間を4時間くらいにしてはどうかと思っています。時間は皆さまのご意見で決めたいと思いますが、全体の時間が2時間というのは少し短すぎると思います。

特にご意見がなければ、9月28日の部会を10月9日に統合して開催するということでよろしいでしょうか。部会長の特権を行使して申し訳ございませんが、そういう形にさせて頂きたいと思います。よろしいでしょうか。

○畚野委員(猪名川部会)

流域委員会の進行等の兼ね合いで2回が必要なのでしょうか。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

次は、「人と川との関わり」というテーマですので、できれば私が申し上げていたように、この際、思い切って「猪名川モデル」の箇条書きくらいを作成してしまうという考えでいます。次回の第5回猪名川部会では、まず五箇条のご誓文をつくるところまで進めていきたいと思っています。

それで終わり、という訳ではないのですが、モデルのモデルのようなものを皆で作成し、例えば森林の問題、農地の問題もありますので、このような方向で考えているということを、一言ずつでも結構ですから、それぞれの分野から一人一条、一人一冊と言いますか、そのような形で議論を進めていきたいと思います。取り敢えず日程を先に決めさせて頂きます。

それでは、一般傍聴者からの意見聴取に入りたいと思いますが、記録に取りますので発言の際にはお名前を一緒にご紹介下さい。

○傍聴者(三原)

川西から来ました環境川西街づくり協議会の事務局長、三原と申します。

本日の第4回猪名川部会にして初めてこの場へ寄せて頂き、皆さま方の熱心な討論を聴き非常に嬉しく思いました。あわよくば20〜30年前にこのような委員会が立ち上がっていればと非常に残念に思っております。

我々の住んでいるところは、池田市側から川西市の方へ阪神高速道路が渡っているところです。その道路は川西市側の川沿いをさらに北上し、再び池田市の方へ渡っていきます。その川西市側の高速道路が通っているところが我々の住んでいる地域です。約20年前に阪神高速道路の池田線延伸部の計画ができ、この地域の川の中に橋脚が2、3本建てられました。我々は先祖伝来ここに住んでおり、川は自分の体の一部というくらいに親しんでいます。その川を高速道路の建設によってズタズタにされました。

この20〜30年の間に、猪名川でこれだけひどく傷めつけられた部分はなかろうかと思います。自然の生態系も何もありません。あの大きな橋脚を川の中に2、3本建てる為には川を堰きとめてしまい、川底を全部浚ってしまいます。そこで、先に工事を行い、後から適当にブルドーザーで川底を均すということが行われました。我々の先輩は、昔この地域では木から川へ飛び込んで泳いでいたものです。今はみる影もなく、工事の後は川西から池田側へ歩いて渡れるように川が干上がっており、このようなところで自然も何もありません。

我々は、過去約20年前まで遡って、高速道路の工事が始まると同時に河川改修工事についての協議をともにやっておりました。当時からこのような事態(自然を無視した工事)を想定していたので、当時、川西市と阪神高速道路公団、当時の建設省、我々住民団体と4者で協定を結んで、治水、利水だけの河川工事は駄目だと我々は主張してきました。河川法が改正される前でしたので、新しく近自然、多自然を考えた工事をして下さいとずっと訴えてきたのです。

それにも関らず、そのような工事はなされずにいます。建設省歴代の所長は努力してくれましたが、国のお墨つきがないものですから、どうしても手抜き工事になり、中途半端になって、昭和56年に協定書を結んで以来、20年間話し合いながらやってきましたが、今皆さまがここで理想とされるような工事がなされてはいません。

平成11年に、我々はそういったところをきっちりと補修して頂くために、“川西の嵐山計画”という計画を立て、自然を取り返して猪名川を蘇らせて欲しいと前々々の所長と確認書を結び、一緒にパースもつくりました。しかし、その後一向に協議に入って頂けないという状況です。そのような現況を非常に残念に思っています。これからは、他の地域では皆さまのご意見をもとに工事をなさったら川もきれいになるのでしょうが、残念なことに我々の地域はもう既にズタズタにされてしまっています。

この10月に渇水期を迎えると、この地域でさらに工事がなされようとしており、それで我々は非常に困っています。“川西の嵐山計画”を協議するには時間的に間に合わないという部分があります。そういうことから、国土交通省の姿勢に対して非常に疑問を持っています。20年前に、「建設省と協定を結んだ地域団体はいない」と建設省から聴きました。“川西の嵐山計画”は作られながらも一向に実行されません。地域に密着して20年も頑張っている我々が、この流域委員会、部会がいつどこで開かれたのか全然分かりませんでした。

国土交通省、或いは猪名川工事事務所は、協定まで結んだ地元の団体に呼びかけも何もせずして、一体何を考えてこういう流域委員会、或いは猪名川部会を開かれるのでしょうか。今までのように、政府の諮問機関はたくさんありましたが、口で言うだけです。諮問を出していながら、いざ行政が吸い上げるときには、ほとんどそれを住民の意見として吸い上げず、住民の不信が起きて公共工事がストップするわけです。

ですから、国土交通省、猪名川工事事務所は意見をきっちり吸い上げるという気持ちでやっておられるのか。そうでなければこの部会の米山部会長以下、委員の皆さまに非常に失礼だと思います。皆さまの貴重な時間で大きなエネルギーを費やして、結果的に我々が十分に良いものを諮問しても、或いは頼んでも、そういったものが国土交通省に吸い上げられないというシステムでは困るのです。

平成9年には河川法が改正されています。その後も、このような意見が流域委員会をつくる際に出されたと思います。下賤な言葉で言いますと、流域委員会発足当時の旧建設省は橋本派の族議員が押さえている根城でしたから、相も変わらずこれまでと同じように流域委員会位でどうだという甘い考え方で組成されたのか、今、流行の小泉首相のような、国民と直に話をしようではないかという姿勢で流域委員会をつくられたのか、その点も非常に疑問に感じています。小泉首相のような考えであれば、当然我々のところに呼びかけがあって然るべきです。

歴代の建設大臣とは20年間話し合ったのです。今も話し合っています。我々住民を抜きにして、このような部会を進めても形だけになるのではないかという疑問を感じています。

いずれにしても、皆さまの地域は、これから新しい考え方でやって頂くかどうかわかりませんが、我々の地域は過去にズタズタにされてその修復もまだ終わっていない上に、国土交通省はこれからもまだ工事をしようとしているのです。非常に苦しんでおります。

ぜひとも皆さまの知恵を貸して頂いて、米山部会長は委員会にこれを訴えて頂きたいと思います。このような実情を、ぜひともご理解頂きたいと思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

わかりました。今のようなご意見は非常に貴重だと思いますので、できれば住民の方のご意見を聴く会というのを一度考えなくてはいけません。私どもは初めから、委員だけではなく、流域の住民の皆さまから意見を聴くということも考えております。ですが、まだ今のところはそのような段階には至っておりません。近日中にでも運営会議が設けられます。その場で部会長一同が会しますので、そこでお伝えすることにいたします。

○傍聴者(森脇)

同じ会の森脇と申します。

先ほどから皆さまの意見を聴いて、良い意見、素晴らしいアイデア、そして箇条書きの「猪名川モデル」というのを期待しているのですが、近畿地方整備局の水野河川調査官がおっしゃったように、「皆さまの意見を聴きたい」というその気持ち、私たちはぜひその気持ちを実行して頂きたいと思っております。

先ほど三原が言いましたように、我々は歴代建設省の所長と20年間も話し合いを続けてきているわけですが、いつも国土交通省の方たちは「意見を聴きたい」とおっしゃいますし、私たちは「意見を聴かせたい」と思っています。ぜひこの流域委員会が、国土交通省は「意見を聴きたい」とおっしゃっているのですから、強力にそれを聴かせる、例えば流域協議会を結成し、圧力団体として良いことを進めるようなこともご検討頂けたらと思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

どうもありがとうございました。

○傍聴者(管野)

同会の会長の管野と申します。

三原や森脇が申し上げましたように、私どもはこの20数年間非常に苦慮してきています。先ほどから本当に立派なご意見を聴かせて頂きました。我々は水生生物等の詳細についてはまだまだ未熟ですが、そういうものを踏まえて、この環境がいかに大切かを肝に銘じ、命をかけて猪名川を守ってきています。

先ほどから何度も申し上げているように、この地区では全国唯一の環境問題、環境保全ということで協定を結んでいます。この協定に基づいていろいろな約束を取り付けてきています。過去に4人くらいの建設大臣にも会って確認すると、「我々は知っています」と大臣がずっと言い続けてきたわけです。それなのになぜ履行してくれないのか、現在未だに約束は果たされていません。しかしそのような中でも工事はどんどんと進められていく。そして、この地域でこのような委員会なるものがあって、私らの全く不在、知らない中でこの猪名川部会のような集まりが第4回まで進んできているわけです。

この辺りについては、大事な地球環境の中で誰かがやらなければいけない、その地域の者が川を守る、自分の場所は自分で守る、そのためには確かに学問的なこうした先生方がはっきりと研究、発表をする。それはそれで良いことだと思います。しかし、より政策的に、今の小泉内閣のように改革ということが本当に大事な時期にあるのに、何か旧態依然とした会になっているのではなかろうかという懸念があって、こうして、やっと今回傍聴させて頂き、我々のために今時間をとって頂いたということです。

皆さまも、私らの存在をご存知なかったのかもしれません。しかし、今、申し上げた通り、我々は必死でやっているわけです。また、物事には絶対チャンスというのがあり、タイミングというのがあります。ですからこの機会に、いわゆる昔の建設省、今の国土交通省は、これを踏まえて、一番大事な抜本的な部分で住民の声を反映しなければいけない。猪名川部会を代表してやって頂けるのであれば良いのですが、そうでない限りは、土俵のできている中で我々は真っ向からやっていかなければならないわけです。

きついようですが、今までも協定違反ということで、現場まで行って工事を止めています。ですから、これを十分にご理解頂いて、この部会を進めて頂くことをお願いしたい次第です。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

どうもありがとうございました。

○傍聴者(岡)

大阪自然環境保全協会の岡と申します。

今、3名の方がおっしゃったことと、先ほどの委員のご発言で、「猪名川モデルをやっていくには、無謀な開発をしているところは元に戻さないといけない」という言葉もありました。そのような部分に通じることですが、第1回猪名川部会での私の質問の確認です。本日の参考資料1の3ページ目、・「一般傍聴者との意見交換」で、余野川ダムのことについて質問しています。余野川ダムのアセスは閣議アセスに準ずる形でしか行われていないので、資料を出して頂いて、先ほどのお話につながるような、無謀な開発についてこの部会で議論して頂きたいと言いました。

しかし、今のところは資料が出てきてないようですし、他の回答といったものも当日に河川管理者の方に言って頂いただけですので、その辺りを明確にこの部会の席上で出して頂きたいと思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

参考資料1の3ページでしょうか。

○傍聴者(岡)

はい。以前に私が質問した部分が大分要約されて載っていますが、ここで出した質問と簡単なご回答についての資料を出して頂きたい、姿勢等を聴かせて頂きたいという部分が、未だ出てきていないようなので、取り上げて頂きたいといった確認です。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

分かりました。どうもありがとうございました。これは庶務と確認したいと思います。時間がどんどん過ぎてしまって申し訳ありません。予定の終了時刻より既に30分過ぎていますので、この辺で終わりたいと思いますが、他に何かご意見はありますか。

○松本委員(猪名川部会)

前にも申し上げてきたことだと思いますが、猪名川に関わる市民の意見をいかにしてこの部会に反映させていくかが大きな課題です。

その中で、既にいろいろな団体を作り、或いはグループを作って活動されている市民団体等については、我々が知っているところもあれば知らないところもあります。国土交通省の猪名川工事事務所等はどの程度把握されているのでしょうか。或いは今回委員を委嘱されるに当たって、いろいろな情報収集もされたと思いますが、市民団体或いはグループ、そして、過去に建設省時代からそれらの団体等との間であったやりとりを資料にまとめて委員に出して頂きたいと思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

分かりました。それでは、大変申し訳ございませんが、本日はこの辺で終了にしたいと思います。本日は長時間にわたって、ありがとうございました。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

それでは、これをもちまして猪名川部会を終了させて頂きたいと思います。どうもありがとうございました。

 

以上


 

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