淀川水系流域委員会第6回猪名川部会

議 事 録

日時:平成13年12月18日(月)17:00〜20:00

場所:大阪府立国際会議場1003号室


○庶務(三菱総合研究所 新田)

これより淀川水系流域委員会第6回猪名川部会を開催いたします。

私は、司会進行を担当します三菱総合研究所の新田です。よろしくお願いいたします。

それでは資料を確認させて頂きます。

「議事次第」、「発言にあたってのお願い」、資料1「第6回委員会速報(暫定版)」、資料2−1「検討課題についての意見整理資料(案)」、資料2−2「委員および河川管理者から提出された検討項目、ご意見とりまとめ表(案)」、資料2−3「各委員、河川管理者の提案内容」、資料3「住民意見の聴取・反映方法の検討について」、資料4「猪名川部会における委員発言に対応する資料」、資料5「会議の運営に関するお知らせ(第5回運営会議より)」、参考資料1「第5回猪名川部会速報」、参考資料2「委員および一般からの意見」、参考資料3「検討スケジュール(案)」第6回委員会資料4、以上です。

配布しました資料に訂正が2カ所ございます。資料5の「会議の運営に関するお知らせ」に、運営会議と委員会の開催日が1月31日木曜日となっていますが、2月1日金曜日に訂正させていただきます。次に、参考資料3の「検討スケジュールの(案)」にある第7回委員会の開催日の1月31日を2月1日に訂正させて頂きます。

それでは、米山部会長、審議をよろしくお願いいたします。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

それでは審議に移ります。まず、第6回委員会の概要について庶務から説明をお願いします。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

それでは資料1に基づきまして、2001年11月29日に開催されました第6回委員会の概要について、簡単に説明いたします。

[省略:資料1説明]

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

では、今後の検討スケジュールの予定を説明します。

前回の委員会や他の部会と較べて、猪名川部会の進行が時間的に少し遅れているので、これから少しピッチを上げていきたいと思っています。現在、第6回委員会が終わった段階ですから、次の2002年2月1日の第7回委員会に向けて、各流域の課題の分析を整備していく必要があると思います。ですから、本日は、猪名川部会として、どのように課題を絞り込んでいくかということを議論頂ければと思います。

次に、猪名川部会の開催日程についてですが、次回の部会は、1月18日金曜日です。それから27日の日曜日、2月15日の金曜日、3月4日の月曜日となっています。このうち、1月27日に関しては、一般意見聴取の会を開くことにしたいと考えています。

何か委員の皆さまからご意見がありましたら、伺いたいと思います。

○服部委員(猪名川部会)

今回決定された日程は構わないのですが、今後はできるだけ以前決定した日程に従って頂きたいと思います。あらかじめ日程を空けていますので、日程を変えられると出席できなくなってしまいます。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

わかりました。

では、検討課題について審議したいと思います。

それぞれ順番にお話を伺いたいと思いますが、どうでしょうか。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

まず、資料2−1を説明するのはどうでしょうか。他の部会では課題の抽出や実態把握を終えていろいろ議論をされています。資料2−1には、その議論のためのたたき台といいますか、議論のための素材が書かれているように思います。ですから、まず、その辺りを説明をして頂いた方がよいのではないかと思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

資料2−1の「検討課題についての意見整理資料(案)」は、委員の皆さまから文章で提出して頂いた検討課題と、これまで部会で発言されたご意見のうち、総論にあたる部分を例としてまとめたものです。

理念、目標に関する意見が「長期的な展望、川のあるべき姿」「川と人との関係」として、「川と人との関わり」、社会、流域全体の視点として「地球環境」「社会環境」「ライフスタイル」「河川管理者に対する意識」「流域管理」「水循環、物質循環」として、でそれぞれまとめられています。そして、社会、流域に関する意見が「河川に対する意識」「流域管理」「水循環、物質循環」でまとめられれ、次に、整備、計画の視点に関する意見が「整備、計画のあり方」「事業のあり方」「管理のあり方」「連携、パートナーシップ」「市民とのコミュニケーション(情報共有、発信、意見聴取等)」としてそれぞれまとめられております。

では、この資料2−1をたたき台にして、ご意見を頂くことにいたしましょう。

○松本委員(猪名川部会)

資料2−1には意見が、広い範囲にわたってまとめているので、どれについて議論するべきか、迷ってしまいます。時間の都合もあると思うので、まず、資料4「猪名川部会における委員発言に対応する資料」に沿って、河川管理者からの説明を伺った上で審議をしてはいかがでしょうか。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

委員の皆さまが、その方がよいと判断されれるなそのような進行でも構いません。

○畚野委員(猪名川部会)

松本委員の提案で結構だと思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

では、そういたしましょう。河川管理者からの説明をお願いします。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所 調査課長 山田)

河川管理者から委員から提出された質問事項について資料4を用いて説明があった。

i)「総合治水対策メニューの流域対策」に関する質問について

・遊水地域13カ所については、特に指定をしておらず(自治体において、都市計画上、市街化調整区域として保持して頂いている)、条例等もない。また、遊水地域には盛土や残土処理を公共では実施していない。

・流域と河川との分担量については昭和55年当時と比較して調整池の整備や中下流域の低地への氾濫を0にするなどにより流域分担分として1370m3/sを80m3/sに、河道処理量を600m3/sから1770m3/sに増加させることと一庫ダムの整備と併せ河川で1970m3/sを分担する計画としている。

ii)「各対象洪水の雨の倍率と確率規模の関係」に関する質問について

・日雨量、雨倍率、確率年について、それぞれの関係等の説明が行われた。

・日雨量は実際に降った雨であり、雨倍率は実際に降った雨の雨量をもとに何倍で示すものである。確率年については、例えば、確率年1/100とは100年に1回起こる確率のことで、分母の数値が大きくなるほど(例えば1/1000)めったに降らないような大きな雨ということになる。

・実際に降った雨量から統計処理するのにはM34〜S44までの年最大値を標本としたグンベル分布により統計処理されている。この統計処理により雨倍率と日雨量確率確率評価の関係は資料4のグラフを用いて換算できる。例えば、S28.9洪水 神崎橋地点のデータをとると、1倍の137.2mmはおよそ6年に1回、0.5倍の68.6mmはほぼ1年に1回、2倍の274.4mmは380年に1回となっている。

iii)「在来植物を増やす取り組み」に関する質問について

・堤防に植物を受けることについては、浸食防止の芝の他は根腐れなどにより堤防の弱体化につながるためあまり好ましいものではないとの認識をもっているが、環境上とか社会的なニーズから治水上支障にならないものは別途検討する余地があると考えている。堤防上に植物を植える事例としては桜堤モデル事業があるが、これは堤体の弱体化を防ぐ工夫をして実施している。

・また、低水路に植栽をした例としては、工事用の土砂の採取後にビオトープを整備したが、これは地域の人が参加したワークショップにより計画を作った。完成式には通常河川にあるような植物としてフジバカマとカワラナデシコを植えた。

iv)「東海豪雨」に関する質問について

・東海豪雨はトータルの雨量は567mm、9月11日の日雨量が428mm、1時間の最大雨量が93mmであった。

・日雨量428mmはそれまでの名古屋気象台の最大である平成3年の218mmの倍近い雨がふったことになり、これが今回の被害の元ではなかったかと考えている。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

部会の後日、松本委員より質問を頂きました。その質問内容は、本日配布されています資料2−3補足の裏面に「国土交通省河川整備局への質問について」にあります。申し訳ありませんが、時間が間に合いませんでしたので、回答のための資料を出しておりません。以前に配布いたしました資料等もありますので、それを用いて少し説明させて頂きたいと思います。

最初の質問「 『猪名川流域の総合治水対策では、具体的にどれだけの流量をどの場所のどの対策で維持するのかといった内容は、今までいただいた資料の中のどの箇所に出ていますのでしょうか?』については、先ほどの説明で回答になっているでしょうか。それとも、もう少し詳しい資料が必要でしょうか。取り敢えず、先ほどの説明で回答できたと思っていますが、もう少し詳しい資料が必要でしたら、具体的に言って頂ければ対応したいと思っています。

次に、「降った雨に対する河川への流入量を過大に見積もっているのではないかとする意見がありますが、集水域に降る雨量と流入する水量の関係を示すデータなどは、どんなものを基準にされているのでしょうか?」については、今整理をさせて頂いております。

次の「余野川ダムの予定地やダム建設に伴う環境への影響等について事前調査が行われていると思うのですが、その報告のコピーはいただけないでしょうか?」のうち、まず、どういう環境調査をし、どういう結果だったかという事実については、平成13年6月21日に現地調査で配布いたしました猪名川総合開発事業説明資料の中で環境調査の包括的な取りまとめをしておりますので、それをご覧頂ければと思います。あと、影響等の事前調査という観点、つまり、環境アセスメントのような調査をやっているかどうかということについては、平成4年度に閣議アセスに準じたものをやっております。今日はその資料を用意しておりませんが、次回お配りさせて頂きたいと思っております。

次に「様々な治水対策の説明を伺いましたが、すでに着手しており、計画変更が困難な工事にはどのようなものがあるのでしょうか? また、これから予定されている治水対策工事としてはどのようなものがあるのか、その工事内容と予算規模を一覧で示してもらえないでしょうか?」については、計画変更が可能か不可能かは非常に判断が難しいのですが、我々としては、最終的に河川整備計画に載らないものは、途中でも工事を中止する覚悟はしております。

例えば、加茂井堰を途中でやめろと言われれば、どうやって中止するか、計画規模を変えろとか言れれば、どう変更するかといった問題はありますが、基本的には最終的な河川整備計画が、現在の計画と大きく変更していれば、対応する覚悟は決めています。

また、現在、どのような工事をやっているかという質問については、一般傍聴の皆さまには申し訳ありませんが、委員の皆さまのお手元にある「猪名川の現状」という分厚い冊子の中で、猪名川で平成13年度に実施予定している事業をまとめてあります。河川改修工事事業、維持修繕工事事業として実施しているものの中で、毎回堤防が壊れる箇所等がありますが、猪名川工事事務所でやっておりますのは、加茂井堰を中心とした川西池田地区というエリアです。この川西池田地区には堤防がない、または、堤防が低いところがあるので、堤防を少しつくったり改修したりします。加茂井堰の改築ということで、資料の中の真ん中に2本線が引いてあるのが堤防です。中央の赤い部分が加茂井堰です。加茂井堰周辺の築堤と改築ということで、黒く塗っているところが工事が終了したところ、赤いところが平成13年度工事を行っているところ、緑色のところが今後工事をする予定のところです。従って、赤色の部分で築堤を左右岸つくることと、新しい加茂井堰をつくり旧加茂井堰を撤去することが、流域委員会で認められれば、今後続けていく部分だと思っております。

次に、ダムです。余野川ダムについては、導水工事をやっていますが、これは最終的に洪水を余野川から余野川ダムに入れるのが目的です。余野川の水を北山川に導くので、ダムは北山川につくりますが、水は余野川ダムの水を主として貯めることになります。北山川から持ってくるために余野川に取水堰をつくり、その水を運ぶ導水路をつくる必要があります。今はこの導水工事をやっております。

最終的に河川整備計画に位置付けられなければ事業は中止しますが、今工事をやっているものについては、継続の段階は続けますが、新たな段階には入りませんと最初の委員会で説明させて頂いています。現在行っている工事は水を分水する導水工事で、この工事は継続しています。ですから、流量毎秒260m3を流す直径9mの導水路トンネルを掘る工事を継続しております。最終的に流域委員会で認めて頂ければ工事を続けますし、認められなければ、ダム本体ができなくなると思っています。

当初、継続事業については続けるという話で、分水工事は継続工事だと理解しておりましたので、余野川でダムに貯める水を取水するため、分水するための堰を今年度工事するつもりでいました。しかし堰まで工事すると、何か新たな段階に入ったと思われるのではないかと思いましたので、取り敢えず流域委員会の審議を見守るという意味合いから、今年度はこの分派堰の工事については止めました。

ですから現在は取り敢えず、この導水トンネルを継続して掘り続けているという状況です。後は、その導水トンネルから掘ってきた土砂をどこかに捨てなければいけないので、土捨てという観点でこのいぜん谷地域で土砂を埋め、平場をつくっている工事をやっているのが主たるものです。

工事を止められるのかと言ったら、計画変更になったらダム本体ができなくなります。ダムの高さを変えろと言ったら、ダムの高さが変わるというものです。ただ、トンネルはもう掘っていますから、今から小さくしろ、大きくしろと言われても、それはちょっと難しいと思います。

松本委員からは一覧表にして示して頂きたいという話がありましたので、一覧表については、これから作成して次回の部会で提出させて頂きたいと考えています。

あと最後の質問「自治体の下水処理事業へ補助金を出すというような施策は可能なのでしょうか?」ということですが、河川事業から下水道事業へ補助金を出すことは難しいです。河川事業として下水道事業的なこと、水質をきれいするというようなことならあり得ると思います。例えば全国的に実施されているのは、流入河川の汚い水をきれいにするために、本川と合流するところで流入支川の水質をきれいにするといったことは実施しています。川をきれいにするという事業は河川事業としてできますが、下水道事業としてはできないということです。

以上です。詳しいことにつきまして、次回資料として提出させて頂きたいと思っております。

○畚野委員(猪名川部会)

河川管理者からの説明は、私からの質問への回答ということでしたでの、その責任上、話をさせて頂きたいと思います。

まず、総合治水対策につきまして、前回の説明では不十分だったところを詳しく説明して頂いきました。ありがとうございます。

ちょっと補足したいと思います。私は上流の遊水地域や保水地域に関心があります。猪名川流域でどうなっているのかわからないのですが、他の流域では都市公団等が設置した調整池を埋め戻した事例があります。せっかく作ったものを埋め戻していては、計画上支障が出るのではないかと思いますが、どうなのでしょうか。これも今後の課題なのではないかと思い質問させて頂きました。

それから、本日説明して頂いた数多くのデータについて、1つ追加してお教えて頂きたいことがあります。資料4の3頁にある河川域貯留流量として算出されている200 m3/s という数値は、余野川ダムができた場合、どう変化するのでしょうか。説明して頂いたら、我々も理解が進むのではないかと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

上流の調節池に関して、具体的に調節池をどこでどうつくる計画になっているか、それが恒久的なものか、期間限定なのか、整理して次回説明させて頂きたいと思います。

余野川ダムの件につきましても、次回の部会で説明させて頂きます。

○畚野委員(猪名川部会)

さらに追加質問ですが、資料4の5頁にある数字は、素人には何回見てもわかりにくくて困るのですが、例えば、グンベル確率紙の50%付近の数値はサンプルデータが多いので信頼できますが、50%から離れるにしたがって精度が落ちてくるように思います。これまで、最大の洪水や2番目に大きな洪水と、いろいろな洪水の事例を見ながら、パラメーターを設定されているということは事実だと思いますが、一番大きな洪水の分布は、統計的に本当にどのくらい正しいのかという問題もあると思います。ですから、一番大きい洪水は外して、2番目辺りから考えるということも1つの方法だと思います。

それから、例えば資料4の5頁の各洪水の確率評価の数字をどう解釈すればいいのか、よくわからない点があります。例えば昭和28年や昭和58年の小戸、戸の内、神崎橋、加島の4つの地点で確率評価の数字は割合安定しているのでかなり信頼できるデータだと思いますが、昭和35年8月の洪水におけるそれぞれの数値は天文学的な数になっています。これは何故でしょうか。

また、これらの資料はあくまで、雨量のグンベル分布の統計と4つの洪水を例にした計算による表だと思うのですが、例えば昭和35年8月における確率評価結果だけではなく、その実際の被害程度に関する補足的なデータがなければ理解しにくいと思います。

それから最後にもう1つ質問です。こういった統計手法や専門術語について、適当な教科書があれば読んでおきたいと思っていますので、もしあれば教えて頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

この分野は池淵委員の専門なのですが、我々の方から説明させていただきます。

まず確率評価ですが、100年に1回、150年に1回の雨を予測するにあたって、例えば現在の余野川の工事実施基本計画では70個のデータを使って予測しているため、その予測が非常に難しいのは事実です。一番大事なのは、たくさんデータを集めるということですから、これから議論するにあたって、例えば余野川ですと、もう20、30年分のデータがありますから、それらを更につけ加えた予測なり資料を見て頂けるとよくわかってくるのではないかと思っています。

次に、地点ごとによって、日雨量確率評価の結果が大きく違っているという話ですが、昭和35年は上流域で大雨が降ったということです。例えば、昭和35年8月小戸の上流域で日雨量は374mmとなっています。地区が違うので単純に比較するのは適切ではありませんが、先ほどの東海豪雨の日雨量が流域平均370mmでした。流域平均で370mmという数値は上流域で相当な集中豪雨があったということだと思います。従って、非常に稀な雨であり、その雨は計算によれば4000年に1回の確率で降る雨になるということです。

昭和35年8月に実際にどんな被害があったのかについては、次回、整理した上で説明させて頂きます。上流域で降った雨は上流域、銀橋より上流域で全部あふれているので、上流域は相当被害があったでしょうが、下流域でどれだけ被害があったかは、見てみないとわかりませんが、それほどの被害はなかったような気がします。

今回、猪名川流域の過去の洪水を4つ提示させて頂きました。これらはあくまで、今後20年から30年間で工事をしてゆく上で何を目標にするのかといった議論の参考になるのではないかと思い提出させて頂きました。例えば、今後20年から30年間でしたら、戦後最大を基準に考える、降りやすい雨の2割増しの雨を基準にする等の議論もあるのではないかと思い、データを整理させて頂きました。

○細川委員(猪名川部会)

質問に対して資料を丁寧につくって頂きまして、とても助かりました。本当にありがとうございました。

堤防に植物を植えることができるかということについて、前提としているところが河川管理者と住民では随分違いがあると感じました。

放置しておいても生えてくる草を住民にとって望ましい草木に変えることができるのかどうか、2mにもなってしまう草を年に3回から4回、堤防全域で刈り取っている現状を思い、住民にとって望ましい植物に変えることが可能なのかというようなことを考えていました。そのような考え方ができるのかどうかということを、これから先また教えて頂きたいと思いました。

東海豪雨の被害についてはマスコミでも分析されていましたが、上流域での集中豪雨による被害が下流域にまで及ぶ典型的な例ではないのかと思うのです。

現在、総合学習の機会に小学生と話をしているのですが、先日、「雨が一番たくさん降るのはいつだと思いますか?」と小学校4年生に質問すると、春、夏、秋、冬、という答えが返ってきたのです。「雨が一番よく降るのは台風の時だって、知っている?」と私が言ったら、「はあ…」といった答えが小学生から返ってきました。子供たちは本当にいつ雨がたくさん降っているのかも知りません。私が「では、雨が降ったらどうなるでしょう? 洪水が起こったらどうなる? 木の家具とか畳とか全部駄目になってしまうでしょう?」と言ったら、「乾かしたら使える」と小学生たちに言われてしまいました。安全に暮らせる都会の生活が、逆に危機管理に欠ける住民をつくってしまっているのではないかと感じています。

この東海豪雨のような雨や洪水の起こり方というのはすごく下流の住民にとっては深刻な問題ではないのかと思うのです。しかし実際には洪水への危機感は薄いと思います。特にその傾向が若い世代に顕著に現れているのは、とても心配なことだと感じています。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

河川の堤防について言えば、堤防は強固なものと思われているかもしれませんが、実際は単に土でできているだけのものですから、非常にもろいのです。

我々は、洪水の水が流れるときにもできるだけ堤防が壊れないようにしなければいけないと思っています。本来は、草木が生えることを是としているわけではなく、できるだけ水の流れに抵抗できるように芝を生やしたいというのが本音なのです。従って、できるだけ堤防には手を加えないようにしたいと考えています。堤防を耕し、いろいろ草木を植えれば、ただでさえ弱い堤防をさらに弱めてしまうことになります。ですから、できるだけ堤防についてはそのままで、芝生を生やして強い堤防にしたいと思っています。

堤防の草木については、別の観点があります。淀川部会で特に淀川本川に関して議論がなされてる「本来の川らしい川とは何か」「自然のままの川に戻す」といったような生態系に関してです。高水敷をつくった結果、湿地が乾き、そこに陸生の植物が生えてきた。昔の川らしい植物は全部なくなってしまい、公園化されてしまった。きれいな花も植えるようになった。そういった川は本当に川なのかといった議論がなされています。花を植える、木を植えるといった堤防利用もあってよいと思っていますし、本来の川らしい川の姿に戻すといった考えもあると思います。

とにかくいろいろご意見を頂ければ、河川整備計画がよりよいものになるのではないかなと思っております。

○畚野委員(猪名川部会)

資料4の15頁に記載されていますカワラナデシコやフジバカマを子供たちと一緒に植えたワークショップの事例が紹介されています。服部委員のご指導もあったのではないかと思いますが、元々フジバカマは、兵庫県下の加古川かどこかにあっただけで、現在では自然博物館でジーンバンク並みに大切に培養されているそうです。それを同じ兵庫県の川とはいえ、猪名川に移植することに問題はないのかといった一知半解な議論をよく聞きます。できましたら、その意義や今後の見通し等について何かコメントを頂けませんでしょうか。

○服部委員(猪名川部会)

フジバカマは猪名川では既に絶滅しています。加古川産のフジバカマを猪名川に持ってくることで、遺伝的に汚染されるのではないかということがよく言われるのですが、現実にはもう既に猪名川にはフジバカマがありませんので、遺伝的汚染はありえません。

もう1つは、フジバカマでなくても何でもよいのですが、河川の植物が抱える問題点は、セイタカアワダチソウをはじめとした帰化植物が繁茂しているということです。特に猪名川の場合、その帰化植物の割合が非常に高いということが1つの特徴になっています。ですから私は、帰化植物を除去し在来植物を増やすのは、非常に重要なことだと思います。

その時には猪名川の植物を復元するのがもちろん重要なのですが、先ほど言いましたように、猪名川では自然性植物が殆ど絶滅しています。絶滅しているのですから、100年待とうが1000年待とうが、自然性植物の復元というのはあり得ません。そうしたときに由来のはっきりした在来植物を植えるのは、帰化植物が繁茂しているよりは遙かによい環境をつくることになると思うのです。「回復」或いは「創出」ということでしょうか。ですから、私は意味があるのではないかと思っています。

それともう1つは、元々フジバカマ自体が自然帰化植物で、奈良時代に中国から入ってきたものなのです。フジバカマは単一生殖をしていますから、日本全国ほぼ遺伝的には共通だと考えられているので、一番問題のない植物ではないかと思っています。また、種が絶滅したところに他から新たに種を持ってくることに対する問題提起にもなるのではないかと思っています。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

グンベル分布というのは、極値分布ということで、小標本であっても、無限に極値データをサンプリングしていくと、グンベル分布に近づくということで非常によく用いられる方法ですから、採用されたのだろうと思います。グンベル法を用いることは、理論的にはあながち問題があるというものではないと思います。

ただ、東海豪雨のような雨の場合、雨の降り方のメカニズムが従来の雨と同じかどうかといった議論も当然あるでしょう。一番大きい洪水は外して、2番目に大きい洪水から考えるといった話も、おっしゃる通りで、これをさらに専門的に言いますと、その値がどれくらいの信頼度なのかを付記すれば、より理解が深まるだろうと思います。

それから、地点毎に日雨量の確率評価の結果が大きく違っているという話についてですが、猪名川は非常にいやらしい雨の降り方をする川です。雨というのはかなりアットランダムですので、上流に大量に降ったり下流に降ったり、西に降ったり東に降ったりしますので、流域全体としては流域平均雨量という統計処理を行います。昭和35年8月の雨の場合、先ほどおっしゃったように、上流域で水があふれてしまったため、下流域での流量が少ないのだろうと思います。それがどのような氾濫をし、どのような被害が出たのかといった実態がもう少し見えると、非日常的な洪水時の様子がもう少し見えてくるのではないかと思います。

それから、昭和58年以降猪名川流域では豪雨が発生していませんが、平成7年には神戸の新湊川には豪雨がありましたし、楽観はできないと思います。ですから、降雨確率よりも雨倍率の方が理解しやすいのであれば、また、どれくらいの雨倍率で安全を確保するかといった議論の方が理解しやすいのであれば、そういう展開もあり得るのではないかと思いました。ただ、通常は、雨の起こりやすさで考える方がいろいろな比較をする上においては理解しやすいのではないかと思い、確率年というものとの比較を以前の部会で質問させて頂きました。雨倍率の方が理解しやすいのであれば、どれくらいの雨倍率を安全の水準として描くかというような議論になってもよいのではないかと思います。

○田中委員(猪名川部会)

やはり雨倍率と降雨確率の関係がわかりにくいのです。

例えば資料4の3頁に猪名川の総合治水対策として小戸地点の流量分担計画があります。これは昭和28年9月の台風13号の降雨量が再び生じた時にどう水量を分配するかを計算したということになっています。この昭和28年9月の雨は、資料4の5頁の実績降雨の確率評価結果にも記載されていますが、7分の1の確率、つまり7年に一度くらいは起こる確率の雨量であると考えてよいのですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

猪名川の総合治水対策については、昭和28年9月の実績雨量を対象にしております。ですから、雨の量だけで言えば、7年に1回、起こりやすいということです。ただ、同じ雨が降っても、水が出る量が多かったり少なかったりします。昭和28年と同じ雨で同じような前後状況でしたら洪水がおこるという計算になっています。

雨倍率というのは、今後どのような規模で河川整備計画を考えてゆくかという議論の目安として、例えば戦後最大の雨と同程度まで考慮するといった考え方もあるでしょうということです。その時に、戦後最大と同レベルでできていれば、それでは戦後最大の同レベルの1割増し2割増しくらいまで目標にしませんかという考え方もあるのではないかということで、今までは何分の1と確率で言っていましたが、よくわからないという声があちらこちらからありましたので、今回、戦後最大、取り敢えず昭和28年を中心に説明させて頂いております。昭和28年と同じ雨が降ったらどうなるのか、その2割増しの雨が降ったらどうなるか、5割増しだとどうなるか、2倍だとどうなるかという事実関係だけを知って頂こうということで、単に引き延ばして説明しただけです。

○田中委員(猪名川部会)

要するに、昭和28年9月雨量を基準の1として、洪水対策や被害の状況を考えるということですね。昭和28年9月の2倍、或いは3倍といった場合は考えないのですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

今回、猪名川は4つ事例を出していますが、昭和28年9月と同じ雨が降ったらどの程度水が出てくるのか、それによってどういう被害があるのか、昭和28年9月の2割増しの雨が降ったらどうなるのか、5割増しが降ったらどうなるか、2倍降ったらどうなるかという示し方をしているだけです。

○本多委員(猪名川部会)

やはり各種の数値がわかりにくいところがあるのですが、昭和28年9月から現在までの約50年の間に様々な整備をされてきました。猪名川もその例外ではなく様々な整備が行われてきましたが、例えば現時点で昭和28年9月と同程度の雨が降ったとすれば被害が出るのでしょうか。または、何倍とかいうのではなく、昭和35年8月と全く同じような雨が上流域で降ったとしても、以前と同じような結果ではないはずです。その辺がわかるようにして頂けると、昭和28年から現在までどの程度改善されてきたのか、それによって今はどの程度は洪水を防げるが、この地域はまだ危険だというところが見えてくるのではないかと思います。何倍というよりも現実はどう改善されたのかというのが知りたいなと思いました。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

資料は配っていますが、次回の部会で丁寧に説明させて頂くのが一番よいかもしれません。

以前に配布した資料で、堤防はどういう状態で危険になるのかということについて、水位が高くなって水が乗り越したら危ない、越水、破堤すると説明いたしました。ただ、堤防が満杯にならなくても、水が堤防の中を流れていくことによって、その水の流れる勢いで堤防が壊れていく浸透破壊もあります。水の勢いで堤防が削れる洗掘もあります。

それぞれについて、例えば昭和28年9月、昭和35年8月について、同じ雨が降ったときにどの辺が危険であるか、2割増しが降ったらどの程度危険なのかがわかる資料を出したうえでもう一度丁寧に説明させて頂くのが一番よいのではないかと思います。

ただ、猪名川にはいろいろな雨の降り方があるので、今回4つの地点を紹介させて頂きましたが、次回も4つの地点について同じ説明をすべきなのか、それとも、どこか一箇所にまとめてやるべきなのか、考えております。4つの地点についてそれぞれ説明させて頂いても構わないのですが、どこか一箇所について集中的に説明させて頂く方がわかりやすいのではないかとは思います。ですから、資料は全部出すということで、次回の部会くらいに昭和28年9月の1倍について、堤防の危険箇所一覧とどのような浸水被害が起きるかということを整理させて頂いて、わかりやすく説明させて頂いてよろしいでしょうか。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

では、そういうことにいたしましょう。

○松本委員(猪名川部会)

降った雨の全てを川に集めて何とかしようすれば、それはダムをつくって堤防を高くするしかないわけです。資料4の3頁で示されている猪名川の総合治水対策は、流域分担流量で括弧内の数値がすごく大きな、結局は氾濫してとまっているというモデルですが、そうではなくて、氾濫せずに安全に遊水機能で保水できる量をもっと増やしたいわけです。もっと田んぼ等の遊水機能をはっきできるところで水を蓄えていけないかるか、或いはもっと浸透させることはできないのでしょうか。そうしなければ、ダムをつくる他ないわけです。

私が知りたいのは、もう少し保水量を増やせないか、或いは降った雨は一体どれくらいのスピードでどれくらいの量が川へ流れ込むのか、そこが森林の場合、田んぼの場合、どう違うのか、田んぼが今後開発されればどうなるのか、休耕田になっているところに水を張って田んぼにすればどれくらい水を蓄えることができるのか、といった辺りに関心があります。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

資料4の3頁ですが、現在の森林や田畑への浸透によって水が貯められた後に川に出てきた水を中心に整備し、さらに開発を止めたうえで貯められる量が80m3/sくらいということです。もともと森林なり田畑がほぼ現状であるとお考え頂いて結構です。今後、できるだけ森林や田畑の開発による流出増を止めていこうと言っているのが、この流域分担で増やしている部分に基本的にはなっています。

松本委員がおっしゃっているのは森林や田畑にはどれだけ保水能力があるのか、またそれを増強できるのかといったご質問だと思うのですが、池淵部会長代理、お答えをよろしくお願いいたします。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

現在の土地利用で川に出てくる水の量をベースとして考えているということですので、森林をもっと増強して面積を増やすとか、計画時点で森林を増やすことを反映させるのはうまくできないのではないかと思います。水田に貯留能力があることは事実ですが、田んぼも雨の降るときには水がすでに一杯に水が溜まっているとかし、うまい具合に空になっているとは計算上設定しにくいわけで、貯留できる量についてはそれなりの限度があります。

そういったことを踏まえて、土地利用のもとで雨が降ったときに流れてくる量をベースに流量分担を考えてありますので、森林を増やすとか水田をもっと浸透しやすいものにするとかいった対策では、せいぜい今よりも絶対に抑制するのが精一杯なのではないかという気がします。

○松本委員(猪名川部会)

むしろこれ以上流れ込まないようにするのが関の山というのは、現状としてはわかるのですが、例えば、資料4の3頁にある保水地域処理流量42m3/sという数値はどこから計算されたものですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所 調査課長 山田)

この数字ですが、まず資料4の3頁の一番上の流域分担量というのが80m3/sとあります。これは、左側の計画対象高水で、将来、地域開発等により80m3/s増えるだろうという予測です。増えた分は流域内でもたせようという計画です。

まず保水地域については、宅地開発1ha以上の開発については1haあたり600tの調節池をつくって下さいという指導です。それから、実際に調節地をつくられるときには、大きな調節池というのは穴をあけられますが、我々はこの総合治水に見合った容量を持つ穴の大きさにして下さいと、暫定的な基準に当面はしております。

それから残りの分は、先ほどありました遊水地域です。遊水池ではなくて遊水地域と言っております。本来の遊水池ですと、遊水池の土地の補償等がありますが、我々はそういうものはしておりません。そういう意味で、遊水地域と称しておりますが、遊水池に38m3/s貯めるということにしています。地域開発によって増える分について流域の中で調節する計画です。

○田中委員(猪名川部会)

つまり、ある一定の面積以上の宅地を開発した際に、所定の容量の遊水池をつくらなければいけない、普通、それを遊水池と言っていますが、その遊水池が保水地域処理流量のところに入っているわけですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所 調査課長 山田)

宅地開発をされた場合のものは、この表の中では、保水地域処理流量にあたりあます。

○田中委員(猪名川部会)

それは、宅地開発をしたときに義務づけられるものですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所 調査課長 山田)

調節池でございます。

○田中委員(猪名川部会)

その次の遊水地域流量というのは、具体的には、どういうことですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所 調査課長 山田)

川のそばにある田んぼとか個人の民地ですが、一時的に水がそこに入って貯まるということです。

○田中委員(猪名川部会)

中流低地々域処理流量というのは、具体的には、銀橋から上の地域で浸水することによって分担する流量ということですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所 調査課長 山田)

これは街の中に氾濫した量です。

○田中委員(猪名川部会)

これをゼロにしようという目標ですね。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所 調査課長 山田)

はい。

○田中委員(猪名川部会)

下流低地々域流量というのは、川西池田から下流の地域での洪水氾濫をゼロにしようということですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所 調査課長 山田)

はい、そうです。

○田中委員(猪名川部会)

宅地開発したときの調節池は保水地域処理流量に入っているわけですね。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所 調査課長 山田)

はい、その通りです。

○田中委員(猪名川部会)

調節池以外に保水地域処理流量というのはないのですか。例えば、田んぼの貯留量は含まれているのですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所 調査課長 山田)

田んぼは関係しておりませんが、土地利用等ではやっております。ただ、その他に屋根に降った分は個人で調節枡といいますか家の方で貯めて下さいという指導や、学校の校庭を使って貯めるとか、或いは市町村にある公園等に入れて貯めるという指導もしております。それから道路の舗装ですが、なるべく浸透させようということで、透水性舗装の奨励や駐車場等も芝生にして各個人でなるべく水を外に出さないようにということをやっております。ただその分は計画上はカウントしておりません。

○田中委員(猪名川部会)

雨水の利用、或いは透水舗装によって地下水として処理される量をはじめとした細々としたものがこの保水地域処理流量の中に入っているわけですね。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所 調査課長 山田)

いや、入っていません。計画上、数字を出すのが大変難しいので、現在のところこの中には含まれていません。

○田中委員(猪名川部会)

だとすれば、保水地域処理流量というのは、宅地開発をしたときの調節池のボリュームだけなのですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所 調査課長 山田)

はい。

○畑委員(猪名川部会)

水田の貯留ということで、池淵部会長代理がおっしゃられたとおり、洪水時においてはすでに水田は満水になってはいますが、若干貯留されて遅れて出てくるということがあるとは思います。積極的に貯留するならば、水田のかさ上げを考えるということは可能なのですが、それについては栽培上のいろいろな問題をクリアしなければいけませんし、それに対して農家に協力頂けるような施策が実現できるかどうかという話にもなってくる非常に難しい問題かと思います。

先ほどの遊水地域処理流量や保水地域処理流量の問題について言えば、最初から水田や森林の貯留能力はここでは算入せずに、実際に河川に出てくる水量だけを対象にしているということですが、実際にはやはり森林や農地には貯留能力がありますので、そこを考慮して頂かないと、水田が宅地に変わった場合に実際どのように流出に影響してくるかといったような評価も難しくなってくるのではないかと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所 調査課長 山田)

説明し忘れていましたが、そもそも流出計算の中には水田や森林の流出率という単位で定数として組み込まれております。ですから、非常に開発が進んでいれば非常にたくさんの水が出てきますし、森林ではあまり水が出てこないという計算内容になっております。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

土地利用が持つ貯留を流出率ということで考慮されているのであれば、つまり、計画対象高水の中身に森林や水田の貯留が計算上は入っているということであれば、先ほど畑委員がおっしゃたような森林や水田が持つ貯留量の按分を出せるのではないですか。もちろん、そこにはまたモデルという厄介な作業があるのかもわかりませんが、その辺りどうでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

技術的な話をすれば、雨が降ってどれだけ水が出てくるかというモデルがあります。その中に土地利用を勘案するような定数が幾つかあります。流出率ということで、降った雨の何割が出てくるかというような部分と、降った雨の一部分はもう浸透して出てこないということで損失雨量として勘案している部分もあります。

従って、全くそういった浸透がなく、全部コンクリートだったらということを考えるならば、損失雨量をゼロにします。降った雨が全部出てくるという計算をすると、本来出てこないようにしていた量というのは計算はできますが、それをどう評価するかということはよくわかりませんが、そういう計算ならすぐできると思います。必要なら、次回の部会で用意しましょうか。

○松本委員(猪名川部会)

要するに、おそらく資料があると思うのですが、現在休耕田になっている棚田や空にしているため池の持つ保水機能というのがどれくらいのものか、田んぼでしたら面積あたり大体どれくらい水がためられるのかといった数値がわかれば、理解が進むのではないかと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

我々の希望を言わせて頂くと、できるだけ委員の皆さまが持っておられる情報を出して頂こうというのが基本姿勢ですから、池淵委員や畑委員の方からデータを出して頂ければ、非常にありがたく思うのですがいかがでしょうか。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

休耕田にどれだけの貯留能力があるのかというのは畑委員の専門です。ただ、今後減反政策がどう推移するのかという問題がありますし、他の施策との関係も意識しておかなければいけないでしょう。また、一方では食糧の安全保障の問題もありますし、そういったようなことが河川整備計画としてどこまで入れられるのかと思います。もちろん、データは持っておられると思います。

○本多委員(猪名川部会)

今のお話も含めて、先ほど下水の話がありました。下水事業はできませんが、近くの河川の汚染を改善することだったらできるという話もありました。それと同じことが言えるのではないかなと思うのです。

田んぼをどうするのかという問題は、農林水産省の管轄であって、減反については全くここで議論をする話ではないけれども、河川を考える上での関連他省庁とのネットワークに関する話題が田中委員からも提議されていたように、治水の意味、環境の意味も含めて河川を見たときに、田んぼの管理もしていくということが必要であれば、位置付けとして国土交通省がやっていく役割だということになるのではないのかと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

今後、そういうことも必要だということがありましたら、ご意見を言って頂ければと思います。河川整備計画を考えていく中で、流域全体で対応が必要だ、そういうものは計画的にやるべきだというご意見がありましたら、最終的にご提言を頂いて、その中で今ある制度で直ぐできるもの、新たな制度をつくらなければならないものがありますから、まず、我々の中でできるものをやっていくということになります。

川の中で何かするというのは、我々の制度で直ぐできます。流入支川をきれいにするというのも川の中の仕事です。もちろん、河川整備計画が川の中だけの計画なのか、流域全体で考えるべきなのではないかといったご意見があるのは重々理解しています。そういった計画であるべきだという部分もあるので、河川整備計画の書きぶり、提言のあり方次第ではないかと思っています。

○服部委員(猪名川部会)

山林部分の保水能力は変わらないものとして計算しておられると思うのですが、山林部分の保水力の能力がずっと一定かというと、恐らく一定ではありません。例えば、里山の部分でしたら、腐植が今どんどん溜まっているの、保水能力がプラスになっています。ところが、植林の部分でしたら林床が破壊されて、保水能力はマイナスになります。そうすると、猪名川流域としての保水能力、現状で殆どは放置されている周辺の山林部分の保水能力をプラスと評価しているのかマイナスと評価しているのか、それはどちらなのでしょう。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

正確なお答えになっているかどうかわかりませんが、つまり、どれだけ雨が降って、どれだけ水が出てくるか、今後、流域の変化があったらどうなるかを検討するというお話だと思います。

流出モデルをつくるにあたりまして、降った雨がどう出るかを考えるときにいろいろな定数を決める必要があります。山の保水能力については包括的に過去の幾つかの出水から平均的というか包括的にデータをとっています。平均の値については、大体流域全体で見ればそれほど変化がないということで、モデルで決めた値を一般的に使っております。一般的には幾つかの雨で検証したデータで定数をつくるということで、現状の山の保水能力、水田の保水能力も平均的に把握した値だと思っています。

○服部委員(猪名川部会)

例えば、原生状態の林と人間の手が入った里山でしたら、保水能力が全然違うのです。ですから、今、常に一定として計算されていると思うのですが、現在のように山林を放置するような状態になると、里山のようにプラスに変わる場合と植林のようにマイナスに変わる場合があるから、流出係数も変わってくるでしょう。そういったときに、今の状況をプラスと見ているのか、マイナスと見ているのか、山林を放置されているような現状で、プラスなのかマイナスなのかどちらで計算しておられるのかということです。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

過去の幾つかの出水による平均のデータではそういう変化は全くないという計算をしております。今後どうあるべきかというのは、ご意見を頂けるとありがたいと思っています。

○細川委員(猪名川部会)

東海豪雨の洪水のときに、いろいろな条件が余計に洪水の被害を大きくしたということがマスコミで報道されていました。例えば一戸建ての家ではなくてマンションが多く建つようになり、流域の住宅地の中の水量を全く違うものにしてしまったといったようなことです。

素人考えで言えば、土のままで舗装していない道より舗装した道の方が当然地面に水が浸透しないわけで、本当にがっちりとマンションを建ててしまった家よりは庭つきの家の方が同じ面積でも当然たくさん土の中に水を浸透させてくれる、雨を吸い込んでくれるということだと思います。

都会で宅地の状況や住宅の環境が変わることで洪水の被害がひどくなってしまう事例として、東海豪雨に興味があったのです。それこそ田んぼだったものが宅地に変わってしまい、さらにそれが単なる一戸建ての住宅ではなくてマンションに変わってしまうということがどれだけ洪水への負荷を大きくするかということは、素人からすれば、直ぐわかるのではないかと思うのです。

もちろん実際にきちんと数値としてデータを出すことはとても難しいとは思うのですが、ただ川の中での保全だけではなく、周りの環境が被害の状況を変えてしまうわけですから、本当に重々ご苦労をかけるとは思うのですが、できるだけそのような情報を頂きたいと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

こういう1対1のやりとりは、基本的に流域委員会の趣旨ではないと思っています。専門家もいらっしゃるから専門家の委員の方からも意見をいろいろ出して頂く方がありがたいのです。

ただ、今のお話としましては、河川というのは大きな流域を見ています。大きな流域を見るときに、流域全体でその変化がどの程度あるのかという、流域全体の中の変化率にウエートがあるかということです。確かに目の前を見れば大きく変化していますけど、流域全体から見るとその変化の割合がどの程度あるのかということが1点あります。

それから、池淵委員から森林の機能でお話がありましたが、森林にもある程度限界があります。降った雨を全て森林が吸い取るわけではありません。降った雨が出てこない量、つまり損失雨量というのは50mmから100mm、平均して80mm前後ではないかと思っています。東海豪雨のようにトータルで500mmを超えるような雨ですと、最も強く雨が降っている段階では、全く浸透しない状態、降った雨が直ぐに全部出てしまうような状態になります。最終的にどう計画してゆくかは、専門家の意見を聞きながらやるべきだと思います。変化の割合と対象にする雨の量によっては、流域全体での変化も意味がないということがあるのではないかと思いますから、その辺をどう評価していくか、と言うことではないかと思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

私からの質問ですが、猪名川流域の特徴は上流に大きな都市があるということだと思うのです。上流にある団地によってどのような影響があるかといったことを計算しておくのは意味があることではないかと思います。

私は、人口が減ってゴーストタウンになればまた様子が変わってくるという希望も持っているのですが、それは今となっては無理なことです。しかし、老人ばかりの大都市はできるかもしれません。そういったことも含めた上で、上流の都市を念頭に置いて頂くというのは、猪名川の特色としては強調しておいてよいのではないかという気がします。木津川の上流に名張市が大団地をつくっているわけですから、似た例はたくさんあるわけですが、特に猪名川を考える場合に、それを1つ考慮に入れる必要があるのではないかという気がいたします。

では、ここで10分程度休憩にします。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

それでは、19時20分から再開いたします。

〔休憩19:10?19:20〕

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

保水についての議論でしたが、どのような保水の可能性があるか、いろいろな議論が出ました。これを次回の部会につないでいくために、どのようにまとめておいたらよいか、最初に考えておきたいと思います。

淀川部会でも治水の問題について激しい議論があったようですから、議論の方向としてはそれほど大きな間違いではないと思います。

会議の時間が20時までに限られているので、大急ぎで先に進まなければいけません。

検討課題についての議論で、もし、何か最後に言っておきたいことがありましたら、お願いします。

○畑委員(猪名川部会)

先ほどの続きなのですけれども、資料4の3頁にある表で、やはり流出率という形で、最初の全体的な貯留能力を考慮せずに議論されますと、貯留能力の変化等が全然考慮されずに、現在どれだけの流出状況にあるか、それをどう対処するか、そのためにはどれだけの貯留施設をつくるべきかといった話にしかなりません。基本的に、そういう貯留能力の流域全体の経年変化を捉えるためには、簡単なことだと思いますが、それぞれの土地の貯留量を評価した上で有効雨量の算定をするというモデルの方が、我々の議論にはなじむと思っております。

それと、水田の保水量に関してご指摘を頂いたのですが、そういうデータは現在はまだ非常に少ない状況です。水田の保水量に関する研究も少しは行われておりますので、紹介できるかと思うのですが、残念ながら予定が重なっておりまして、次回、次々回の部会には出席できません。もし、そういうデータが必要ということになれば、それ以降になろうかと思います。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

私の方に送って頂ければよろしいかと思います。もし、データが揃えられるのであればよろしくお願いします。

○畑委員(猪名川部会)

どれだけ準備できるかわかりませんが、わかりました。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

農地の問題も含めてですが、治水と環境というのはリンクし、それがまたさらに社会環境ともリンクしているわけですから、その辺りのところに議論を展開していけば、次回以降の議論につながるのではないかと思っています。

そうしましたら、次に住民の意見聴取・反映方法について説明をしたいと思います。前回の委員会で議論がありまして、その後、結論が出ました。実際に琵琶湖部会で意見聴取の会がはじめられます。

資料3にありますように新聞にも広告を掲載しました。ホームページ、ニュースレター、チラシ等、そして、5大紙、6地方紙にも広告を掲載する形で、できるだけたくさんの方からの意見を募集します。12月6日からチラシの配布等をしはじめまして、12月20日に意見募集が締め切られます。その後、一般からの意見を全部集約し、その後で猪名川部会に関係するご意見を集めて委員の皆さまに全部お届けし、これがよいという方を選んで頂いて、最終的には池淵部会長代理と私が責任を持って、10人程度をピックアップして、部会で意見を述べて頂くという形で行うことにほぼ決まっています。

猪名川部会では、1月下旬くらいに一般からの意見聴取を実施してみたいと考えております。具体的には2002年1月27日の13時半から18時に開催される部会で開催したいと考えております。

一般傍聴者からのご意見を頂く前に、緊急ですが、池淵部会長代理が地震に関するデータを持ってこられました。東海地震が現実味を帯びてきて、本当に明日起きても不思議ではない状況のようです。ですから、少し池淵部会長代理からお話をして頂こうと思います。よろしくお願いします。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

南海地震、東南海地震について、相当詳細な過去のデータ分析等々も含めて、地震調査委員会の方から出されました。その中で、次の南海地震の発生確率等、東南海地震の発生確率等が具体的に出されました。確率ということでしか言えませんが、次の南海地震の発生確率が、今後10年以内の発生確率は10%未満、20年以内の発生確率が20%程度、30年以内の発生確率が40%程度、40年以内の発生確率が60%、50年以内の発生確率が80%程度となっています。

次の東南海地震は、今後10年以内の発生確率が10%程度、20年が30%、30年以内が50%、40年以内が70%から80%、50年以内の発生確率が80%から90%程度となっています。

前にも少し話をさせて頂いたのですが、南海地震や東南海地震が発生した場合に、波が大阪湾に到達する時間、津波の高さ、水位がアップする量、そういったものが予想としてアウトプットされてきております。また、下流からの水位上昇が河川をどう溯上していくかといったことも、シミュレーションできるのではないかと思います。

今後どう対応するかということについては、いきなりというわけにはいきませんが、1つの材料として意識をしておく必要があると思います。

正式の公表という形で地震調査委員会から地震予測が出されたので、少し情報提供させていただきました。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

どうもありがとうございました。今すぐ議論ということはないですが、もし、何かご意見があれば、どうぞ。

○矢野委員(猪名川部会)

1つだけお聞きしたいと思います。

阪神・淡路大震災を受けましたとき、六甲山系というのは非常にもろい地形でして、土砂の崩壊等々によって、土石流が発生する恐れがありました。下流部の河川の逆流や津波だけではなく、いわゆる上流部の2次災害的なものに関するデータはあるのでしょうか。例えば震災のあった後に、直ぐに雨が降ったような場合ですと、2次災害が発生する可能性があります。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

今、私が手元に持っている、県庁所在地等の震度界の予想地は分布として出ています。阪神・淡路大震災後の六甲山系の緩んだ地盤に対して雨が複合して発生するといったようなデータについては、神戸大学の沖村先生が調査等も含めて実施されているのではないかと思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

残り時間が20分になってしまいました。

○本多委員(猪名川部会)

今日は検討課題に関して議論はしないのですか。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

どうぞ、ご意見がありましたらお願いいたします。今後は、資料2-1にあるような枠組みでまとめられていくのではないかと思います。そういう意味で目を通して頂いて、これにつけ加えるべきこと等がありましたら、ご意見を頂きたいと思います。

○本多委員(猪名川部会)

資料2-1につけ加えて頂きたいことが幾つかあります。

まず、どこにつけ加えて頂いたらよいか私も悩んでいるのですが、次回、昭和28年や昭和35年の降雨のデータが出てくるということですが、洪水は場所によって発生確率も規模も違ってくるため、1つの基準をもとにして河川整備計画を考えていってよいのか、疑問があります。今後、基準の見直しを含めて、検討する余地があるということを、どこかに付け加えておく必要があるのではないかなと思います。

次に、資料2-1の4頁にある「地球環境」のところには温暖化の現象の影響の研究と書かれていますが、地球環境の問題というのは、やはり行政、これは河川管理者になると思いますが、事業者、市民もそれぞれ責務を持っているわけです。市民についても家庭の中でできること、個人でできることがありますし、そのことによって河川を汚さないでおこうといった取り組みも一般的にもされている部分があります。河川整備計画の中でも地球環境の保全のために、河川から考えた行政、事業者、市民がやれる責務は何かをメニュー化して、実践していくための方策も考えていく必要があるのではないかと思います。

それから、5頁の「ライフスタイル」につけ加えて頂きたいのですが、本日も幾つかの団体からこの流域委員会に余野川ダムのことについて反対意見を表明して下さいという要請が出されていましたが、その中には、治水、利水についてそれぞれ意見が書かれていました。例えば、阪神水道企業団は必要ないのではないかということも書かれていましたが、確かに今、一般の生活の中では、暮らしを変えていこうという中で使い捨て時代はやめていこうと、リサイクル(recycle)、リユース(reuse)、リデュース(reduce)、リフューズ(refuse)という4Rで随分暮らしも変わり、スーパーへ行ってペットボトルを返したりしている中で、水に関しては、従来どおり使い放題ということでは駄目だろうと思います。そういう意味でも、水の使い方を啓発していくような取り組み、ライフスタイルを変えていく取り組みを今からでもしてゆく必要があるのではないかと思います。

それから、これは7頁の「流域管理」のところになるのかどうかわかりませんが、地震もそうだろうと思いますが、想定外ということが阪神大震災のときにはよく言われたと思うのです。想定外というのは、私はおかしいと思います。基準を超えたときにどうするのかというリスクマネジメントをしっかり立てておくことが大事ではないでしょうか。そうすれば、想定外という話は絶対ないはずです。今、もし洪水が起こって基準を超えたときには、こういうリスクについて、こういう対処を直ぐします、直ぐ船を出します、ボートを出します、市民の人たちにはここへ避難してもらいます、そういったことをきちんと決めておけば、想定外という話はないわけです。リスクマネジメントもしっかり河川管理の中でしていかなければならないと思います。

それから次は、12頁の「市民とのコミュニケーション」に関して、意見を聴く仕組みがあると思います。私は今、余野川ダムについて少し具体的に環境面でどういう影響があるのかを、専門家のご協力を頂いて独自に調査を進めているところです。2001年11月15、16日の2日間、2人の専門家の人と一緒に、いずま谷といぜん谷と中央の谷と尾根とを調査をさせて頂きました。

その中で、鹿の生息に関していろいろなデータがわかってきました。鹿が主にどんなところで生活をしているのかが、その食物層によって明らかになってきました。鹿は約110種の植物を食べていたのですが、尾根筋では殆ど生活してないということがわかってきたのです。そうすると、余野川ダムができたときに谷筋は全部埋まってしまいますから、鹿の行くところがなくなり、やがては止々呂美へ出て、止々呂美に被害が出たときには、鹿を殺すか、ネットを張る等の対策をしなければならなくなるかもしれません。こうなれば、環境というものを全然考慮しないダムのつくり方になります。

そういった意味から言っても、1つ1つ問題を解決していくためには、やはりそれぞれの事業にも意見を聴く委員会が必要だろうと思います。この流域委員会で余野川ダム個別の問題を議論しだしたら切りがないと思うのです。やはり、個別の事業毎に、どうすれば環境と共生していけるのか、もしくは、どう見直していく必要があるのかということも含めて、議論をしていく場が事業毎に必要だと思います。その委員会が、地元の人たちや住民の皆さまからも意見を聴いていかなければならないと思います。この流域委員会では大きな枠はつくれるかもしれませんが、細かなところの議論までは市民も参画して議論していくというようにならないかと思っています。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

では、一般傍聴者からの意見聴取を行いたいと思います。

○傍聴者(大阪自然環境保全協会 岡)

どうもご苦労様です。岡と申します。所属は大阪自然環境保全協会です。

個別の話になるのですが、本日の参考資料2、委員及び一般からの意見の中の9頁に要請文を掲載して頂きました。国土交通省の余野川ダム建設等、ダムの事業を中止として頂くような意見表明を各委員の方々にして頂きたいという要請文です。

失礼ながら既に、今日の資料とは別に各部会の委員の方々と委員会の委員にも事前に要請文を送らせて頂きました。

この余野川問題は、治水、利水、環境の全てにわたっている問題ではあり、この流域委員会で検討して頂いている内容に関わる問題ですので、近い将来、批判が出た場合にも耐え得るよう慎重なご審議を頂きたいということです。内容については、読んで頂ければということでお願いします。

ただ、この書面を庶務の方へ送らせて頂いたときに、かがみの文章をつけていまして、各委員への要請になっているのですけども、国土交通省近畿地方整備局の方にも要請文の提出をお願いしました。中止を要請という意味合いもありますので、その時に送らせてもらったかがみの文章を配付をさせて頂いているのですけども、それは整備局に通っておりますでしょうか。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

委員の皆さまにはお配りしています。

○傍聴者(大阪自然環境保全協会 岡)

委員の皆さまと河川管理者の方はどうですか。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

お配りしています。

○傍聴者(大阪自然環境保全協会 岡)

先ほどの資料の中に入っています分は各委員あてになっていますが、内容的には、河川管理者へ中止を求めるという意味合いもありますので、その辺の確認をさせて頂くということです。

それと、先ほど河川管理者の方から、閣議アセスに準じたものをやっておられるという言葉でしたけど、どちらかというと、閣議アセスに準じた形で調査はやっておられるけども、実際アセスはやっておられない。閣議アセスでしたら、当時の環境庁の方へ意見を具申したりできる制度になっていますけども、そういった制度に乗っていませんので、アセスにはなっていません。

その点ははっきりとしておいて頂きたいところです。

以上です。よろしくお願いいたします。

○傍聴者(尼崎市議会議員 酒井)

尼崎市の市会議員をしております酒井と申します。よろしくお願いします。

今日、余野川ダムの利水計画を持っております阪神水道企業団の構成市の何人かの議員連署で、余野川ダムについての意見を述べさせて頂いています。まだお手元に行ってないようですので、委員長、ご許可をもらって皆さまにお配りをしたいのですが、よろしいでしょうか。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

どうぞ。よいと思います。

○傍聴者(尼崎市議会議員 酒井)

時間がありませんので、配りながらでお話をさせて頂きます。

今申し上げましたように、阪神水道企業団という、尼崎市、西宮市、芦屋市、神戸市の4市で構成している水道事業の一部事務組合があるのですが、この企業団が猪名川水系に計画をされています余野川ダムの利水、日量10万tのうち9万tを取水するという計画になっています。既に阪神水道企業団からは、このダム計画に対して、負担金総額137億のうちの、およそ5、6割だと思うのですが、払い込みも完了しております。

しかし、阪神水道企業団構成4市としては、私も市会議員の立場からいろいろ調べるのですが、現在取得している以上の水利は、もう必要ないのではないだろうか、必要ないと結論づけて間違いないと私たちは思っております。

この際、一方の取水自治体であります箕面市の方でもご議論があるようでして、この際、大阪府水道に切りかえようかというお話も出ているようです。もう一方の、9割を利取水する予定の阪神水道企業団としても、構成4市の水需要は、もはやこれ以上伸びることは望めないと、そういう可能性はもうないと言って過言ではないと思います。当然、構成4市の水道利用者に負担が返ってくるわけですから、これ以上の投資は、止められるところで是非とも止めたいという思いで、今日、この意見を出させてもらいました。

淀川水系流域委員会のご議論を知ったのが最近でしたので、本当に急遽で、つながりのあります構成4市の中の議員たちに同意を求めて、提出をさせて頂いたような次第です。人数はごく僅かなのですけれども、それぞれ、これからもう1度、各自治体の中で議論をしていくということにも、私たちもなろうかと思っていますし、また、この流域委員会でも是非、このことを汲んで、ご議論の中で参考にして頂きたいと思います。

どうもありがとうございました。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

どうもありがとうございました。今日は何もご返事ができないと思いますが、よく相談して、考えるようにいたしますので、ご了解下さい。どうもありがとうございました。

○傍聴者(関西のダムと水道を考える会 伏見)

関西のダムと水道を考える会の伏見と申します。

米山部会長にご質問なのですけども、私も余野川ダムについて、今回提案の1団体として参加させて頂いています。余野川ダムの問題を含めまして、この猪名川部会では、個別の事業、案件について、まだ議論を行う段階に来てないわけなのですけども、4月の河川整備計画原案をつくるに当たって、時間がだんだんなくなってきているという状況にあるのですが、個別の案件について、いつ頃から議論する時間を持つのか、その辺をお答え願えますでしょうか。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

猪名川部会に関しては、10回目まで部会の開催を予定しております。今日、委員の皆さまにはお渡ししたものなのですが、その中で、第8回に一般からの意見を聴く会というのを予定していて、そこで個別の問題も当然出して頂けるものと思います。それから各部会と委員会での意見の取りまとめに対する議論を経て、国土交通省から河川整備計画原案というのが出てくるわけです。原案は独立したものとして出てきますから、それに対して猪名川部会での議論もありますし、全体としての委員会でも同じように原案に対する議論をいたしまして、最終的に取りまとめて平成14年の秋頃に答申にするというスケジュールなのです。

ですから大変な長丁場なのですが、一般の皆様から最初のアプローチとしては、いまこの機会に意見を出して頂きたいと思います。A4判1枚で提出して下さいというフォーマットも一応決まっております。他の皆さまも同じように、大いに歓迎ですから、どんどん意見を出して頂いて、30?50年というスパンで見たときに猪名川流域の川や水のあり方はどうあるべきか、提起して頂きたいと思います。皆さまのご意見を聴く機会を準備してありますから、それを是非利用して頂きたいと思います。

○傍聴者(関西のダムと水道を考える会 伏見)

さきほどの続きなのですが、4月の河川整備計画原案の前に、部会として意見の整理を委員会の方でぶつけ合うと思います。その委員会で話し合われなかったことに関しては、例えば余野川ダムのことが部会の意見、課題として選ばれないまま河川整備計画原案ができ上がってしまえば、その後、再び原案について話し合う段階において、余野川ダムについては取り上げられなくなると思うのです。また浮上してくるということはないと思うのです。

そうすると、余野川ダムにしろ何しろ、課題に関して検討した結果、この部会として意見をまとめたものを、3月か4月に開催される第10回の部会で出すわけですよね。そこに間に合わせないと駄目だと思うのです。第8回で一般から意見を聴いて選ぶというのは、この第8回目でできるのかどうかわかりませんけど、もし、第9回目でそれを選ぶ議論をしていたら、最後の第10回目にしか議論する機会がないと思うのです。そんな短期間で意見をまとめられるようにはどうも思えないのです。

議論するということが目的なのか、意見をまとめることを目的としてちゃんと計画されているのかどうか、その辺を教えて頂けますか。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

最終的な意見をまとめることを目的にしています。できれば1つの意見として、少なくとも、猪名川部会の意見としてまとめて提出するということにしたいと思っています。できるだけ民主的な手続でやっていきたいと思っておりますので、意見を是非出して頂きたいと思います。

○傍聴者(関西のダムと水道を考える会 伏見)

個別課題というのは、幾つ抽出する予定ですか。1つですか。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

わかりません。たくさんあるかもしれません。あるいは一般論に終始するかもしれません。

○傍聴者(関西のダムと水道を考える会 伏見)

そうすると、第9回部会、第10回部会で、例えば検討課題が5つあるということになったときに、とても意見はまとまらないと思うのですが。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

まとめようと思っています。

○傍聴者(関西のダムと水道を考える会 伏見)

今日の部会を見ていると、専門分野の方々が専門家でいらっしゃるが故に、他分野に対する疑問、質問がいっぱい出てきていいるわけなのですが、そういった議論の進行は本当に時間がかかる話で、なかなか次に進まないと思うのです。これで個別の課題がちゃんとできても、やはりいろいろな議論があって、そう簡単にいかないと思うのですけど、そんなことはないですか。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

できるだけ簡単にいくようにしようとは思ってはいますが、現象は非常に複雑なのです。何とかまとめていきたいと思います。

○松本委員(猪名川部会)

資料2−3補足の最後で、「余野川ダムについての公開討論の提案」をさせて頂いています。今、個別のテーマ、個別の問題という話が出ているのですが、流域全体の治水を考えるに当たって、これは重要なファクターです。全体の議論の中に必ず関わってくる話で、決して別途の話ではありません。この問題にある程度、見通しを立ててからでないと、総合治水、つまり河道以外の流域で分担すべき水量等の数字も出てきません。ですから余野川ダムについて、今までの事例を持っておられる専門の方々に討論して頂くような機会が欲しいと思います。

これについては、部会長、いかがお考えでしょうか。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

できればそれはやりたいと思います。徹底的にやった方がよいかもしれないとも思います。公開討論提案については、考えたいと思います。

しかし、いつ、どのように実施するかについては、ちょっと待って頂きたいと思います。今日直ぐに決めるというわけにいきません。

しかし、それよりもむしろ、松本委員の猪名川モデルの骨子、素案の方も大いに議論すべきだと思うのです。ですからそちらも含めて、松本モデルについて議論するというような形でやってみるのもよいかも知れないと思います。今日はちょっと時間がありませんが、それはまた考えさせて下さい。

他にも本多委員から提案して頂いた講演会のプランも実現できておらず、今のところ、淀川部会の塚本委員と一緒に何かしましょうと言ったきりで、その後は、まだ何も相談していません。なるべく早くやらないといけないと思っています。

○傍聴者(関西のダムと水道を考える会 伏見)

最後に1つお願いなのですが、先ほど河川管理者から話がありましたように、この部会で、例えばダムについて止めるという結論が出たら、止める覚悟はあるという話をでした。そうすると、この流域委員会での意見、結論というのは、非常に重要になってくると思うのです。ですから、いろいろなダムについて、反対の方も賛成の方もいらっしゃるのですけども、その大勢の人たちの注目するところが、全てこの流域委員会にかかっていると言っても過言ではないと思うので、慎重にというか、時間が足りなくてできなかったというふうになるのではなくて、是非、しっかりとやって頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

次回は2002年1月18日金曜日の13時から17時ということで、テーマは大体決まっていますか。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

今日の議論からすれば、治水を考えるにあたって、まず流域の保水能力をどう考えるか、どこまで考えられるかということを考えないと、今後の治水がどうあるべきかといった議論はできないというお話でししたので、次回は、流域の保水能力について、我々でできる範囲ではまとめていきたいと思っています。期間が短いのですが、できる範囲で最大限努力したいと思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

よろしくお願いします。

ではこれで、第6回猪名川部会を終わらせていただきます。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

それではこれをもちまして、第6回猪名川部会を閉会させて頂きます。

以上











 

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