淀川水系流域委員会第7回猪名川部会

議 事 録

日時:平成14年1月18日(金)13:33〜17:03

場所:チサンホテル新大阪 2階大ホール


○庶務(三菱総合研究所 新田)

若干遅刻をするという委員の方がいらっしゃいますが、7名になりましたので、これより第7回猪名川部会を始めさせて頂きたいと思います。

私、庶務を担当いたしております三菱総合研究所の新田です。よろしくお願いいたします。

審議に先立ちまして、簡単に確認事項と資料を確認させて頂きたいと思います。

それではまず、資料を確認させていただきます。

議事次第、発言にあたってのお願い、資料1「中間とりまとめに向けた今後の部会の進め方等について」、資料2−1「猪名川部会における委員発言に対応する資料(猪名川工事事務所提供)」、資料2−2「猪名川部会における委員発言に対応する資料(猪名川総合開発工事事務所提供)」、資料3−1「検討課題についての意見整理資料」、資料3−2「委員および河川管理者から提出された検討項目、ご意見とりまとめ表」、資料4「流域委員会での一般からの意見聴取の結果概要」、資料5−1「一般からの意見聴取の会の進め方について」、資料5−2「第8回猪名川部会(1/27)意見聴取の部における意見発表候補者について」、資料6「会議の運営に関するお知らせ」、参考資料1「第6回猪名川部会結果概要」、参考資料2「委員および一般からの意見」、参考資料3「検討スケジュール(案)」。資料は以上です。

委員の方々には、前回の部会でお配りいたしました資料2−3の訂正版を配布いたしております。

一般傍聴者の皆さまには、正誤表を受付に置かせて頂いておりますので、ご自由にお取り下さい。それから、カラー資料である資料2−1、資料2−2につきましては、白黒印刷で配布させて頂いております。資料2−2については、部数の関係で一般の方々にはお配りいたしておりません。見本を受付に置いておりますので、そちらをご覧ください。

それから、本日は一般傍聴者の皆さまにご発言の機会を設ける予定です。「発言にあたってのお願い」をご覧頂いたうえで、発言してくださいますようお願いいたします。
委員の方々には、本日、マイクは各テーブルに1本ご用意させて頂いておりますので、お譲り合わせの上、ご発言を願いたいと思います。

それでは、米山部会長、審議をお願いいたします。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)


私が遅参してまいりました。申し訳ございません。
それでは、早速、審議に移りたいと思います。
まず、今後の部会の進め方について庶務から資料1についての説明をお願いします。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

[省略:資料1説明]

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

ありがとうございました。中間とりまとめに向けた今後の部会の進め方についてご意見がありましたら、お願いします。

○本多委員(猪名川部会)

資料1には、中間とりまとめでは「個別事業については言及しない」と書かれています。私は、個別事業から全体を見るということもあり得るのではないのかと思います。例えば、余野川ダムの問題が議論されてきましたが、そのダムを通じて全体を見たときに、例えば下流域でどういう問題が起こるのか、また上流域の多田地区やその周辺ではどういう問題が起こるのかといったように考えることもできるのではないかと思います。ですから、「個別事業については言及しない」ということの意味が少しわからないです。個別事業について言及しながら全体を考えていくということも必要ではないかと思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

要するに、具体的な話をしなければ、具体的な想定ができないということですね。

このことについて、河川管理者はどうお考えですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

非常に難しい質問です。議論の進め方はいろいろあるのではないかと思っています。確かに、1つの事例から流域全体を見るという考え方もあると思いますが、我々として個別の事業、特にダムが話題になりますが、まず流域全体の問題を十分に理解して頂いたうえで、最終的にダムについて判断して頂きたいと思っています。

そうすると、流域全体の問題を判断するには、例えば治水なら、どういう現状があって、どういうレベルまで整備していくのかといった議論も必要になってきます。「個別の事業については言及しない」ということは、今後の方向性を議論する段階でその事業の可否については言わないという意味合いだと思っています。

ですから、個別の事業を事例に全体を考えることはあるのですが、個別の事業の可否をご判断して頂くには、我々としてまず目標から議論して頂きたいと思っています。

○本多委員(猪名川部会)

中間とりまとめでは、個別の事業の可否についてはしないということですね。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

はい。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

そうです。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

それぞれの地域について議論してゆけば、銀橋等の具体的な地域の名前、或いは銀橋といった名前が当然出てくると思います。そのとき、それぞれの具体的事例をどうするかという話になると思います。

では、今後の部会の進め方について他に何かご意見がありますか。

資料1の別紙2「前提/目標/手段/影響の関係」をご覧ください。中間とりまとめでは、「1 前提」、「2 目標」の段階までをとりまとめるつもりで考えています。最終目標は「4 影響と評価」までですから、河川管理者にボールを投げる役割である我々は「2 目標」までをまとめたものを河川管理者に投げ、それから河川管理者からボールが返ってきて、さらに先へ進むとご理解頂ければよいかなと思います。

それでは、時間もありませんので、次に進みたいと思います。

河川管理者からの治水についての説明をよろしくお願いします。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所長 上下

河川管理者から資料2-1について説明があった。

(主な説明内容)

§猪名川の現状

1.総合治水対策について

1-1.総合治水対策事業の概要

これまでの総合治水対策事業は以下の3つの骨子に基づき実施してきた。
@開発地の保水能力を防災調節池により確保する。
A中・上流部で河道氾濫による遊水効果をもたせる。
B流下能力不足の区間の下流河道改修を進める。

・開発で失われた保水機能を防災調節池等で補う。
・開発面積が1ha以上の防災調節池が51箇所あり、基準地点小戸上流域では約60万m3の調節池容量を確保している。
・猪名川総合治水対策事業に対応した防災調節池は、小戸上流域で開発面積1ha以上の開発に対して1ha当たり600m3以上の調節池容量を設けるように指導している。
・防災調節地について恒久施設としての位置づけはされていない。
・猪名川小戸上流域では防災調節池が埋め戻された事例はない。
・銀橋上流付近の多田地区及び猪名川上流部遊水域について土地利用の規制等を行っている。

1-2.総合治水対策の評価

・土地利用想定が昭和55年→昭和65年で、市街化率20.5%→34.6%(戸の内上流)を想定していたが、実際は平成10年現状では23.8%に留まっている。
・一庫ダムの操作は、総合治水対策事業計画では650m3/秒定量放流操作であった。川西池田地区及び銀橋狭窄部等の改修が済んでいないため、これを平成12年に見直し、現在150m3/秒定量放流操作となっている。
・現状の流域、河道、施設、操作ルールに基づき、流量分担を評価した。具体的には、昭和28年9月、昭和35年8月、昭和42年7月、昭和58年9月の著名4洪水と、近年の中小洪水である平成元年9月、平成5年7月出水を対象として評価を行った。
・その結果、小戸地点に対して防災調節池の保水機能はそれほど大きくなく、平成5年7月洪水程度の規模を越えるとダムによる調節効果が大きいことがわかる。
・防災調節池は全体では効果が大きくないが、地先で見た場合、効果が認められる。特に中小洪水ではその効果が大きい。
・これまでの総合治水対策事業は、下流河道改修が実施されるまでの緊急かつ暫定的なもので、小戸上流域のみを対象に保水・遊水機能を確保してきた。今後は、恒久的な対策を考えることが必要であり、小戸下流において都市水害対策の必要性が高まっていると言える。

2.保水能力について

2-1.開発に伴う流出増の要因

・山林の市街地化によって、流域保水能力が減少し、降雨損失量が小さくなる。
・市街化率が増大し、洪水到達時間が短くなる(流出が早くなる)ことによりピーク流量が大きくなる。
・その他、河川改修による氾濫貯留効果の減少も要因の1つにあげられる。

2-2.保水能力の表現方法

 ・猪名川の洪水流出解析では保水能力を降雨損失モデルで、流出時間を流域流出モデルで表現している。
・猪名川の流出計算では、損失(地面への浸透等)
を見込む累加雨量(飽和雨量)を過去の洪水の平均的な値60mmとして設定している。
・前に降雨があり既に土壌が飽和しているような場合、損失を見込む累加雨量の値を過大(最大に)考えるのは危険。
・昭和28年9月洪水を対象として、雨を0.7倍、1.0倍、1.5倍、2.0倍した時の流出計算から流域の保水能力とダムによる洪水調節機能を評価した。評価地点は小戸地点としている。

2-3.保水能力の評価

 ・保水能力については、損失を最大(飽和雨量200mm)に見込んでも雨の規模が大きくなると(雨の倍率が大きくなると)流量低減効果は小さくなり、ほとんど無くなってしまう。また、土地利用を開発前に戻しても流量低減効果は小さい。一庫ダムの洪水調節効果が大きいと言える。


3.猪名川の治水の現状

3-1.これまでの治水事業の効果

 ・著名4洪水を対象に、当時の氾濫実績と、現状の施設・河道で想定される氾濫状況を比較検討した結果、河道改修、一庫ダム事業などにより、以前に比べて浸水被害は軽減したと言える。しかし、多田地区では浸水の頻度が高く、その下流川西池田地区も未改修区間が残っている。
 
3-2.上下流問題

 ・浸水常襲地区である多田盆地の浸水頻度を軽減するためには、銀橋狭窄部の開削が必要。そのためにはまず、開削により影響が生じる川西池田地区の改修が前提となる。
 ・昭和28年9月実績降雨を1.0倍、1.2倍、1.5倍、2.0倍したものを現状と改修後(川西池田地区改修・多田地区改修)に降らせた場合、どこが危険なのか、氾濫被害状況を対比して検討した結果、川西池田地区改修、多田地区改修によって、当該地区の浸水頻度、被害は軽減されるが、下流への流量は増え、さらに1.2倍以上の規模になれば、下流の被害が増大することがわかった。

§河川と下水道

・河川管理者から下水道事業者へ補助金を出すという制度は現在ない。
・下水道事業については国土交通省所管事業であり自治体への補助は現制度でもある。
・下水道の維持管理費については補助がない。

また、資料2−1補足にて、今後予定されている猪名川工事事務所、猪名川総合開発工事事務所の治水対策工事とその事業費を説明している。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

ありがとうございました。
本日は治水に焦点を合わせて議論を行いたいと思います。環境等の議論については次回に先送りになります。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
河川管理者に治水について幾つかのシミュレーションをして頂きましたが、委員の皆さま、ご意見をお願いいたします。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

過去の部会における委員の皆さまからの質問等について、プレゼンテーションの中でうまく答えて頂けたのではないかと思います。

本日の説明は、総合治水対策事業のうち保水地域と遊水地域による流量分担というものを徹底的に考えた場合、いったいどのくらいの効果があるのだろうか、ということを説明していただいたと思います。

時間的に、本日説明して頂いたモデルとかシミュレーションの個々について詳しく説明をしていただくわけにはいかないだろうと思いますが、シミュレーションで見せて頂いた範囲では、規模の小さい出水等については保水地域や遊水地域での一時的な貯留はそれなりの効果があると思いました。しかしあるレベルを超えてしまえば、その効果は当然のことながら軽減していかざるを得ません。それから地先でみた場合には非常に効果がありますが、河道全体、特に下流等への効果が薄くなっていくということを説明して頂いたと思います。

それから、過去の出水と最近の出水の事例の1倍という、実際に経験した降雨量でのシミュレーションでは、多田地区、川西池田地区で浸水が頻繁に起こっているのかなと感じました。一庫ダムを操作することで、浸水被害が相当軽減されてきていますが、もともと遊水地機能も有している地域があって、そこに住んではいけないといったような規制が徹底的にできれば、活用できるのかなと思いました。ただ、実際問題として浸水、氾濫している頻度が以前のままの地域をどうするかということがあります。上流の氾濫を減らそうとして改修すると、下流に被害がでてしまう、今までは上流の方で氾濫していたがゆえに下流の方で少し軽減されていたということを見せて頂いたと思います。

あと、治水対策の基準となる雨をどう考えるか、それから、どれくらいの浸水を受忍するのか、浸水頻度をどの程度減らすか、その辺りのあり方や考え方について、本日の資料1の別紙2にもあります「1 前提」、「2 目標」辺りに焦点を当てて議論していただきたいと思います。

これは、ちょっと越権行為かもしれませんが、今後のスケジュールや他の部会や委員会の進行等も踏まえて、私の方から提案させていただきました。よろしくお願いしたいと思います。

○田中委員(猪名川部会)

大変重い話になってきて、あまり軽薄に言葉を発することができなくなってきましたが、1つだけ質問です。今説明して頂いた資料2-1の26ページの総雨量と流出高のグラフですが、流域が森林であれ市街地であれ、150oから200oの降雨になれば、遊水機能とか保水機能は飽和状態になってしまい、降ってきた雨がそのまま全部流れ出てしまうと理解してよいですね。もし、そうだとすれば、資料2-1の26ページの流出高と総雨量のグラフが、200oを越せば、45度線のところに重なってくるはずですが、重なってはいません。何故ですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

このグラフは総雨量と直接流出高の関係で、それまでにどれだけ損失雨量があったかによって、45度線からずれますが、45度線と平行になっているということで、水が全部出てくることを示しているわけです。

○田中委員(猪名川部会)

わかりました。

前回は会の進め方として、理念とかビジョンとか川の文化という面から切り込もうと思って、失敗してしまったと思います。本多委員がおっしゃいましたように、具体的に銀橋はどうするのか、或いは余野川ダムをどうするかという判断は、恐らくそれぞれの人が猪名川は30年後、100年後にどうあって欲しいかというバックボーン、ビジョン、文化があってはじめて、銀橋をどうするか、余野川をどうするかといった話につながってくると思います。恐らく踏み絵みたいな形でそれらをどうするかという決断をするためのバックボーンを、この中間とりまとめとして出さなければいけないと思います。やはり、具象から引き出していくべきだろうと私は思います。

それで、まず先ほどの銀橋について具体的なことを言いますと、どのくらいの雨量に対して治水対策を立てておくのか、そのレベルを昭和28年に起こった洪水を基準に想定するのか、或いはその1.2倍なのか1.5倍なのか2倍なのかということがあります。考えを押し進めるためには、例えば2倍の雨が降ったとしたときに、銀橋の狭窄部をそのままにしておき、上流の人は犠牲になってもらうが、下流の川西池田地区の損失は守れるといったような、上流と下流の血生臭い争いになるとは思うのですが、そういった試算をしたうえで、銀橋の狭窄部をどうするかを考えなくてはいけないと思います。

ですからまず、どのレベルの降雨量を想定するのか、そのレベルを越えても、銀橋を開削し下流地域の改修をするのではなくて、上流部は遊水地として残し、かつ下流部の排水能力を高める場合、つまり、銀橋より上流の方々にはちょっと我慢してもらう場合の損失を比較する必要があります。どちらをとるかということなのです。その辺の試算がやはり必要ではないかという気がします。

○本多委員(猪名川部会)

今、田中委員がおっしゃったことを聞いていて、私もただ単に治水だけを議論して、ここの箇所はこう工事しようなどとは言えないと思いました。上流部の多田地区の方々の川に対する考え方とか、ここは浸水する地域なのですと理解して頂くとか、ただ単なる治水の問題ではなしに、これまで議論してきたライフスタイルの問題、情報提供についてどう審議していくか、リスクマネジメントをどうしていくかといった総合的な話の中で治水を考えるべきだと思います。単純に治水だけの話をすればそれでよいということではないだろうと思うのが1つです。

それと、資料2-1を見る限りでは、どのくらいの雨に基準を置くかといった問題も確かにあると思います。2倍、3倍、4倍とすれば確実かもしれませんが、どこまでもできるというわけでもありません。資料2-1を見れば、多田の狭窄部を削れば、もっと悲惨な状況が起こるのではないのかとすら思いました。ただ、箕面川ダムがどのように機能しているか、この資料ではあまりわからなかったように思います。

一庫ダムに関しても、昭和28年の雨が降った場合には150tの水を溜めて、ある程度カバーできるということですが、今は少し先の気象も予測できるようになってきています。突然スコールが降るわけではありませんから、事前に大きな雨が予測できれば、あらかじめ放流しておいてたくさん水を貯蔵できるようにしておくといったように運用面での工夫も可能ではないかと思いました。

それと多田地区の問題として、狭窄部を開削せずに、ダムと一体となった治水対策の中で対応することも必要なのかなと私は思います。開削してしまうと、とにかく大変なことになってしまうと思いました。

○松本委員(猪名川部会)

具体的にどうしていったらよいのか、私も安易に発言できないとは思います。ただ、考え方として踏まえておくべきなのは、完璧に洪水を押さえ込むということは不可能だということです。ですから例えば銀橋の狭窄部を掘削した結果として、下流で氾濫してしまったときには、人為的にそれまでの状態を変えた結果下流で起こったということなので、当然人為的な責任を問われる部分が出てくるかと思います。

批判を覚悟の上であえて述べさせてもらいますが、多田地区については、昔からある程度氾濫をしていた地域ではないかなと思います。昔から氾濫していたところに住む人は、その危険性を覚悟して住んでいるわけですから、ある程度の心構えをしている部分もあるでしょう。ですから、上流域の開発が進んでいないという前提であれば、多田地区まで流れてくる従来と同じ雨の量で起こる洪水の頻度については我慢してもらわなければいけない部分もあるかも知れません。

ただ、流域全体の開発が非常に進んだために起きてしまった洪水については、そこに住んでいる人は被害者になるわけですから、当然何らかの対策が必要であると思います。その責任は、国土交通省が持つべきなのか、それとも開発した業者なのか、河川への流量を増やした地域の責任としてどのような対策を考えるべきなのかは現時点では考えが及びません。しかし、国土交通省の工事によって起こる変化に対しては、絶対に対策をとらなければならないでしょう。

銀橋より下流域について、一時的に増加する水量をどう処理するかを考えられた上で銀橋の狭窄部を掘削する工事計画を立てられているのだろうと思います。多分、その中に余野川からの水量を調整するために余野川ダムという計画が入ってくるのだろうと思います。

○本多委員(猪名川部会)

今は治水に限定してお話をされていますが、もちろん治水というのは、人の命を守ることですから、対策が必要だったのだろうと思います。しかし、守らなければいけないのは、治水だけではないだろうと思います。もちろん、利水を通じた人の暮らし、環境を通じた人の暮らしもあると思いますが、総合的に考えていくということが必要だろうと思います。その時に、私が資料2-1を読んで思ったことが幾つかあります。

その前に、先ほどの治水に関する説明のスライドと資料2-1が、若干違っています。越水箇所は記載されていますが破堤のところがありません。あと、図が小さくて見にくかったので、大きい図を頂けますでしょうか。全部は必要ありませんので、1倍の分だけで結構ですので、次回にでもよろしくお願いします。

本題に戻りますが、例えば、資料3-1の3頁に、「川と人との関わり」という項目があります。ここには、河川管理者から「川の視点」と「人の視点」をどう兼ね合いをつけてゆくかという問題が出されています。環境の問題も含めて、結局は人がどうするかということですから、私は「人の視点」しかないだろうと思います。河川の生態系の問題というのは、我々にはわからない部分がまだまだたくさんあります。ですから、我々が一体どうするのかというのが一番大切な視点であり、全て人間からの視点から考えなければ取り組めないのではないかと思います。

1つの例をあげたいと思います。治水とは人の命を守ることであるし、利水とは人の暮らしを守ることですが、環境とは何なのかということです。日本でもアジェンダ21のように国をあげて地球環境保全に取り組んでいますが、EU諸国ではこの「地球環境保全」という言葉を「人類生存計画」という言葉に全部置きかえています。要するに、人間が今後生きていくためにどう取り組むかという観点に置きかえてきているのです。

そうすると、環境というのも実は、治水や利水と同じように、人間を守ることに なります。治水、利水、環境というのは、全部人間の観点からどうしていくのかということなのです。例えば、オオタカを守るというのは、オオタカのために税金を使って守ろうということではなく、オオタカがいる地域を守るということが、ひいては人間の暮らしにとって将来必要である、そういう環境がなくなるということは、将来の人間の生存にとっても厳しいものである、ということだと思うのです。イエローカードが出ているときに、我々がしっかり守って次の世代に伝えていくことが、人間の生存に関わる重要なことなのです。

全て人間の問題だという視点から、治水、利水、環境に取り組まなければなりません。治水の問題だけで取り組んだら、環境の問題でひずみが生じることもあるかも知れません。また、それによって利水の問題でまた違う政策を講じる必要が出てくるかも知れません。ですから、ただ単に治水の問題だけで考えるのではなく、人間の視点から総合的に考えていかなければならないと思います。

それから、余野川ダムのことで、発言をさせて頂きます。

余野川ダムに関する取り組みとして環境調査を進めていますが、猪名川総合開発工事事務所の橋本さんをはじめ、現場の皆さまに大変努力して頂いています。オオムラサキを保全するためにいろいろな樹木を保護しようとか、ダム周辺の環境、町づくりも含めて、エコミュージアムの取り組みをワークショップによって進めようしているとか、いろいろな取り組みをしていらっしゃいます。私も参加させて頂いて大変よい取り組みをして頂いていると感謝をしております。その調査の中で、貴重なものだけを保護するのではなく、特に野性生物等については、貴重種だけではく普通種を大切にしていかなければならないということがわかってきました。シカ等が生息しているのは、主に谷間のそでの群落の、いわゆる雑草が生えているようなところをよく使って生活しています。我々が守っていかなければいけないものは、そういう貴重種だけではなく、普通種も大切にしていかなければいけないということが言えると思います。

それからもう1つは、余野川ダムに関する議論も今後なされていくと思いますが、前回の部会での河川管理者の発言の中で、工事をするか、しないかは流域委員会の決定によって決まるといったような発言がありました。つまり、我々に下駄が預けられたと思うのです。ですから我々もきっちり判断をしていかなけれなりません。スケジュールに沿った形で、やはり余野川ダムについてきっちり議論を深め、我々が結論を出さなければなりません。いずれ余野川ダムについて集中的に議論する場の設定を、流域委員会にお願いしたいと思います。以上です。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

余野川ダムの部分について、私から質問です。中間とりまとめの段階で、個別の事業の可否についての判断が必要ですか。

○本多委員(猪名川部会)

個別の事業の可否に関する問題は、中間とりまとめの後に議論するということですから、河川管理者から下駄を預けられた以上、それをどうするかということを集中して議論する必要があると思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

それは、中間とりまとめの後の段階と考えておいて頂いてよろしいですか。

○本多委員(猪名川部会)

このスケジュールから言えば、そうなのかもしれません。とにかく、そういう場をきっちり設定してくださいとお願いしたいと思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

わかりました。

先ほどの本多委員の発言の前半部分の人の視点についてのお話にについては、多少反対と言いますか、あまりにも人間中心主義的で、万物流転というか山川草木悉皆成仏という私たち日本人の生き方とちょっと矛盾しているのではないか、ヨーロッパ的な考え方なのではないかという気がしました。人間中心で、人間さえ助かればよいのだという考え方は、一神教的ですからね。そのために我々が忘れてきたことがたくさんあるのではないかという気がするのです。

松下幸之助さんが「人間を考える」という本を書かれたことを思い出すのですが、松下さんの考え方も本当に人間中心なのです。人間だけがよければよいのだ、人間が幸せになればよいのだとおっしゃっています。人間管理社会になればそれでよいのだということで、非常に明快そのものなのです。私はそれを読んで、非常に不満に感じました。これは何か私たちの考え方と違うという印象があります。やはり産業人の考え方は、そういうことになるのかなという感じがしますけれども、突き詰めて言えば、エコノミックアニマルにならざるを得ない松下さんの立場があったのではないかなという気がするのです。

人間こそが大事なのだと、人間中心、ヒューマニズムが大事なのだという考え方は行き過ぎてしまうと、人間以外のものは何でもとにかく殺しても何でも構わないのだと、犠牲にしてもよいのだというところへ行ってしまいかねないと思うのです。その辺のところを私は、本多委員のご意見に対して多少危惧を感じているわけです。

川をどうしたらよいかという場合に、人間からの視点で考えようと本多委員はおっしゃっているわけですが、それは確かに人間にとっては大事なことです。しかし、同時に環境というものがあります。先ほどおっしゃったように、雑草があって鹿が生育するということを考えていく必要があり、人間中心で考えるというのは、やはり私は多少の異議を唱えておきたいのです。

○本多委員(猪名川部会)

この議論は特にこの部会でする必要はないのかもしれませんが、一言だけつけ加えておきます。

人間の価値観もやはり変わってきています。地球環境を保全していくための人類生存計画という考え方で守ろうとしているのは、まさに米山部会長がおっしゃっておられるようなことだろうと思います。昔であれば、芝生があり桜が植わって噴水があるような人工的な自然がよいと思われていたのが、実はそうではなくて、生態系を維持していくことが人類の生存にとって大切なことなのだという考え方になってきています。それは恐らく、米山部会長がおっしゃたことと同じことだと私は理解しています。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

わかりました。ありがとうございました。

本論へ戻りましょう。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

治水、利水、環境は一体不可分で相互に関係があるから、それぞれないまぜにしてどんどん意見交換するという方法も当然あり得ると思うのです。また、本日の検討課題である治水について、洪水といった非日常と、利水とか環境といった日常をどう考えてゆくかということもあります。

それから、防災にはいろんな意味がありますので、これはちょっと偏った意見かもしれませんが、ある意味で言えば、安全を差別化するというか、洪水の被害について受忍をしてもらうことも考えられます。これまでは、安全は公平に享受されるべきだという考えのもと、下流から順に整備していきたい、右岸と左岸は一緒の安全等を踏まえないといけないといったような考えで河川整備を行ってきていると思うのです。

しかし、ライフスタイルや価値観が違うということであるならば、公平さも差別化してもよいという発想もあるでしょう。差別された安全への補償、補填をセットに考えるであればそれは可能だと思います。特に安全というものに対しては、地先のいろいろな実態、例えばしょっちゅう浸水しているから我慢するのも文化だといったように、もちろん、浸水を享受しているとは思いませんが、そういったことも少し考えなければならないのかもしれないと思っています。

しかし、そのことを考えるに当たって、洪水の平面的な広がり、水が氾濫する面積や浸水深は今回示して頂きましたが、例えば、どのような被害が出るとか、それを直すためにはどれだけコストがかかるのか、また代替案にはどんなものがあるのか、といった質的な検討がまだできていません。そういう形のものが本当にデータとして出せるのかどうか、という問題もありますが、きちんと議論しなければいけないと思います。

治水そのものについてもいろいろ考えていかなければなりません。当然、環境も一体不可分で、相互に関係があるということは承知しているところです。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

非日常とおっしゃったのは、洪水のことですね。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

そうですね。どちらかというと非日常のことです。実態を見ても昭和28年の1倍の降雨という想定でも非日常です。環境や利水は、やはり日常という捉え方で考えるものだと思いますので、その格差というか、ずれも若干考えなければならないという気もします。

○吉田委員(委員会)

余野川ダム予定地の止々呂美地区や、一庫ダムから下流の方まで視察させて頂いたときに、資料2-1の洪水シミュレーションで取り上げられている銀橋の付近も拝見しました。本当に典型的な河川狭窄部だという感じがしました。

私はもともと関西の住民ではなくて、利根川の流域の住民ですが、利根川でも明治時代に埼玉県付近に狭窄部があり、同じような上下流問題がありました。上流の方々の狭窄部を取り払って欲しいという要請に沿って開削したわけですが、その後、東京にまで洪水が頻発するようになり、特に戦後の台風のときは大きな被害が出たそうです。当然狭窄部を開削するかしないかという問題は上下流問題に発展してしまうわけですが、私の直観から言えば、資料2-1を見た限りで言えば、銀橋の狭窄部は開削しない方がよいと思います。

上下流問題はどうしても感情的な議論になってしまうので、きちっと冷静な議論をするために、客観的な資料を示して上流、下流の人を交えて話をする必要があると思うのです。そのための資料として、資料2-1は非常にわかりやすいものだと思います。ただ、質問と提案がいくつかあります。

まず質問の方は、資料2-1の50から53ページの下図には、「川西池田地区、多田地区の改修後」と記載されていますが、この2箇所だけの改修なのか。一庫ダムの運用条件はこの2箇所の改修後のものなのか。それから、余野川ダムがこのシミュレーションに入っているのかどうか。以上が質問です。

次に提案です。資料2-1は、住民の方々にもよくわかるものだと思いますが、費用と便益ということをわかりやすく示す必要もあると思います。それから、地区ごと、洪水の条件ごとにわかりやすく示す表があるとよいと思います。資料2-1によると、多田地区や川西池田地区が便益を受けるのは、1.0倍、1.2倍くらいまでで、1.5倍になると川西池田地区は大丈夫ですが、多田地区は浸水してしまうということです。2.0倍だと両方とも浸水していて、しかも、下流の方は相当ひどい状況です。むしろ、狭窄を取り払わない方がよい状況になっています。1.5倍、2.0倍になると、この付近は住宅密集地区でしょうから、相当な問題になってしまうではないかと思います。

それぞれの地区ごとに、どのシナリオでいけば、どういう問題が起きてくるのか、どういうメリットがあるのかといった比較表があれば、上下流問題について冷静な議論ができるのではないかと思います。

それに、難しいかもしれませんが、資料2−1補足に書かれている猪名川工事事務所の今後予定している治水対策工事と猪名川総合開発事務所が今後予定している治水対策工事についても、狭窄部を取り払わないのであれば、しなくてもよいという工事があると思うので、狭窄部を取り払わないシナリオの工事額、取り払うシナリオの工事額があるのではないかなと思います。ちょっと複雑なのですが、工事のコストと洪水になった場合のコスト、それから便益の比較をすべきかと思います。ちょっと最後の方は何か難しい注文で、定量的には出ないかもしれませんから、文章で書くだけでも定性的でもよいのですが、そういった冷静な議論のための比較表があるとよいと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 猪名川工事事務所長 上下)

吉田委員の質問にあった一庫ダムの操作については、1.5倍ないし2倍の雨になりますと、一庫ダム自体がパンクしますので、徐々にコントロールして、資料2-1の35ページの保水能力の評価と同じような方法で変化しております。そうしないと、2倍の雨では一庫ダムがパンクしますので、コントロールしております。
それと、箕面川ダムの効果ということですが、やはり、治水容量なり流域面積が相当小さいということですので、本川に対しては影響を及ぼさないような小さい数字になっているということです。

申し訳ございません。只今、一庫ダムの操作をコントロールしていると申しましたが、訂正させて頂きます。150t一定放流です。保水能力の評価ではコントロールしていますが、50ページ以降のシミュレーションにつきましては一定放流です。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

吉田委員の最後の質問にありました、ある目標ごとの浸水被害がどうなっているかとか、その経費がどうなっているかという話についてですが、河川整備計画を出すにあたっては代替案も示すようにと運営会議でも言われておりますので、どんなに遅くともという言い方をして申し訳ないのですが、最低限、代替案を比較検討するときには、工事をやらなければ被害額が幾らで、ある目標で対応すれば被害額がどのくらい軽減するとか、軽減するということは、工事前の被害額との差分がどうなっていて、それぞれの代替案に幾らかかるといったことを示させて頂こうという準備は進めております。河川整備計画でどういう手法をとるのかという比較検討をするにあたっては、目標に合わせてということになります。当然、被害がどう減って経費が幾らかかるかというのは、準備しなければいけない最低限のものだと思っておりますので、今、鋭意準備しております。

前回、松本委員の質問に答える形で、やめられる工事はありますか、ありませんよという話をさせて頂きました。その中で、平成13年度に予定している事業には何がありますかということで、図を示させて頂いております。猪名川の方は川西池田の築堤工事で、平成14年度以降に工事をするのが緑色になっていましたし、あと猪名川総合開発も、本体をはじめ、緑色になっている部分がありますので、そこで示したものの緑色になっているものが何かというのと、それが幾らかだけを示させて頂いております。

○吉田委員(委員会)

すみません。先ほどの私の質問への回答の中で、箕面川ダムのことはわかったのですが、余野川ダムがこのシミュレーションに入っているのかどうかということは、どうなのですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

これは現状の状況を示しておりますので、入ってないと思います。

○吉田委員(委員会)

わかりました。

○細川委員(猪名川部会)

下流の住民として、河川管理者の説明を見て、もろに私の自宅辺りが水没する予定になっているのに非常に恐れおののいたところです。自分の家の構造とかを考えると、この洪水が起こったら間違いなく路頭に迷うなということをちらっと想像したのです。

下流の住民としてやはり、堤防の補修といった対策で、上流の狭窄部の開削に対応できるのであれば、ある程度許容することはできるでしょうが、はたして、それだけで大丈夫なのかという思いがやはりあるのです。

上流域で宅地開発が進み市街化され、山林がどんどん失われている時流の中で、上流の住民が増えることでこういう対策が必要になります、そのために下流の方は水没する危険がますます増しますというような事態が、このままのサイクルで続いていくのでは全くたまったものではないなと、下流の住民としては正直思いました。ちょっとぞっとしたというか、そういう感じがしました。

シミュレーションにあった現状の危険地域というのは、ある程度カバーできることを想定していらっしゃるとは思いますが、開発が今以上に進んでいくのであれば、下流域で対応しきれなくなるのは目に見えています。水を逃がす場所がないのが下流ですので、そのことを考えると、とてもたまったものではないというのが資料を見た感想です。

○畚野委員(猪名川部会)

只今、下流の方のお話がありましたので、若干上流の方の委員として参考のお話をしたいと思います。
多田地区というのは川西市内なのです。我々も橋のつけかえ等で県へお願いしたりしていますところから見聞きしたことです。

資料2-1の7ページの航空写真がありますね。遊水地域で一時的貯留機能を持つ地域ということで、赤い色になっています。川西市の都市計画図を見たら、多分ここはまだ市街化調整区域になっているだろうと思います。ですから、今ここは本当に低地であって、しかも、これではわかりませんが、右岸は一応、竹やぶと田んぼになっています。川に近いところは竹やぶです。我々は多田ガラスと言っていますが、数千羽のカラスのねぐらになっています。それで全国的にも有名になって、東京から高名な鳥の学者さんがこの間も来られて観察したりしています。ここのカラスのためにも、赤いところの地域は都市計画区域には入れないでおいて欲しいということが1つです。

それから、赤いところのすぐ右に、川と赤い地区の間に黒くちょっと見えるところは人が住んでいるところです。非常に低いところですから、ある程度以上水量が増えてくると浸水します。かつてどこまで浸水したか、橋のたもとにマークがついています。ここは、今、改修中なのですけども、被害の経験がある方は家を建て替えて下を車庫にして2階以上に住むような構造の家をつくっておられます。本当に川の側で、家は建て替えをしないとどうしようもないというのが現状です。この写真では赤い地区の右側のところにそういう問題があります。ここは都市計画区域に入っているということです。川西市のある親しい議員さんが言われていたのですが、都市計画区域に指定された区域が取り消されて、もとに戻った例はないということですので、これは非常に高いハードルがあるなと感じました。

それと、もう1点だけ、細かいことですが言わせて頂きます。

13ページの総合事業計画の現状で、一庫ダムで少なくとも150tカットしているというお話ですが、県改修区域で一庫ダムから下流2、3kmのところを県が順次堤防をつくって管理用道路をつくる工事をしています。それで竹林を残して頂いたというような経過もあります。しかし、一庫ダムより上流に近いところで現在、次の計画があります。都市計画図を見ますと、もう既に川のへりまで都市計画区域に入っているのです。しかし、ある見方をすれば非常によい地形で、堤防さえつくらなければ、洪水時に自然に水がたまって、ある程度保水地域になるような地形があるのです。しかし、それをつぶしてしまって、堤防をつくって、中に家を建てようというのが現在の趨勢です。このままで本当に続けてよいかと思います。細川委員がおっしゃったことには全く同感です。

一庫ダムができたのに、何でそのすぐ下流でこんな堤防をつくるのだという声が、一番素朴な、地元の方の意見だということを申し上げたいと思います。

すみません、県の方に申し上げるようなことでしたが、以上です。

○矢野委員(猪名川部会)

水質が専門ですので、治水関係のことは素人でわかりません。ただ、平成11年、10年の2回に渡って、洪水での被害の起きた神戸の新湊川の例では、その後、県と神戸市の協議の結果、再び洪水を起こさないとのことで、神戸市の水道専用ダムである烏原貯水池を洪水調整用に水量の操作を行うことで、現在、期限付きで年中殆ど空にしており、水源としての利水はほとんど行っていない状態です。

また、先ほどからお話を聞いていますと、上下流問題があるとしても、一度洪水の被害に遭われた方々は、再度の浸水被害は許容できないだろうと思うのです。やはり治水というものは被害を出来る限り回避するためのものだと思います。多分この先、わが国も、米国などのように訴訟の時代になっていくと、ますます難しい問題にもなってくるだろうなと感じます。

私も行政側にいるのですが、やはり洪水等により、広範な被害が発生すれば、行政責任というのが必ず問われると思うのです。河川管理者がリスクをできるだけ少なくしなければいけないというのは当然の話です。ですから、治水と環境との結びつきをどうするかが非常に大事だと思います。今、河川管理者がいろいろなところで河川改修等々をやっておられますが、昔に比べると随分、環境を考えた整備を行っています。そこら辺のところを、どちらがどうというだけではなくて、いわゆる協働できるところを見つけ出してやっていかざるを得ないのだろうと思います。

ですから、危機管理の立場から考えると、これをやってはいけない、あれはやってないというのではなくて、どこをどうしたらよいかという、その工夫を引き出すのが、この流域委員会の1つの立場だと思います。是非とも、そういうことも考えながら審議を進めて頂きたいと思います。自然が大事だということも重々わかりますし、人の命はそれ以上に大事ですから、そこら辺の兼ね合いをどうしていくかというのが、やはり一番大事だろうと思います。以上、できるだけのお互いの知恵を出し合っていくべきではないかなというのが、本日、話を聞いていて感じているところです。

○松本委員(猪名川部会)

今、矢野委員がおっしゃられたことの続きになるのですが、以前から、遊水機能や保水機能でどれくらいの対応できるのか、資料で説明して頂きたいとお願いしていたのですが、現状では本日の説明の通りだということなのですね。

ですから、総合治水対策事業の中で、遊水機能や保水機能の割合をもっと増やす方法はないのだろうか、ということなんです。私自身、素人なりに個人的にいろいろ考えたりもしているのですが、その1つとして、放置された田んぼをもう少し深くして水を貯めるとか、なくなりつつあるため池を新たにつくってはどうだろうか、もう少しじっくりと地下水脈に水を流し込んでいく浸透升という方法はどうだろうか、小規模な貯水池や自然を新たにつくり出すビオトープみたいなのをつくり出すことにもつなげていって、あちこちで遊水機能や貯水機能を高めるといった方向に予算を使うことはできないのだろうか等々、何かそういった方法や他の実践事例等をもっと知りたいと常々思っています。

ちょっと話は離れますが、私自身が川をずっと見ていていつも思うのは、川の流れの変動が1年を通じて大きいことです。渇水期は涸れ川になってしまいます。雨が降れば本当に濁流になって、今にも溢れてしまうような状態になってしまいます。絶えず一定量の水が流れている川は生き物にも比較的優しい部分もあると思います。やはり水がなくなってしまえば、生物にとっては非常に厳しくなります。渇水期でも一定の水が流れている、そういった川を目指そうとしたときに、上流域での様々な形での貯水、或いは地下水脈への浸透といった方向に予算を振り分けていく施策はとれないのでしょうか。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

考え方、アイデアはいろいろあると思います。

お話に出ていたことで、開発行為によって起こる洪水被害に対しては、それを完全に補てん、補償しなければならないということでした。防災調整池も暫定ではなしに恒久施設として、永遠というわけにはいかないにしても、せめてその容量を減らさないようにしてもらいたいと思います。暫定ということでは、所有者が変われば駐車場になったりしてしまいます。

それから、ため池の堤のかさ上げや底の掘削で、容量を増やすという手はあると思うのですが、例えば、かさ上げのためにはため池に入る水路のかさ上げも必要になってくるのですが、今、奈良県でも試行されているように、大変な費用がかかりますからその効果も含めて少し考えないといけないと思います。
透水性舗装と浸透枡については、関東ローム層では地層に雨水が浸透していくのですが、名古屋以西の地域では浸透しにくいのです。しかも、個人が負担するという形で設置されているということですので、ほとんど普及していません。

以前、行政指導による土地利用規制も、この流域委員会としての使命だという話がありました。土地利用については、もうこれ以上市街化調整区域が都市区域になることは避けねばならない、森林もこれ以上開発行為をしては困るということでした。それから、農地もそうですが、本当に休耕田をこのままにしていてよいのかどうかという問題もあります。

このように、いろいろなことを考えたうえで、シミュレーションして、代替案やその費用といったものが、総合治水対策のメニューとして出されるのだろうと思っています。

○田中委員(猪名川部会)

飛んだ話になってしまうと思うのですが、遊水地や透水枡、或いは森林の保水能力等、いろいろあると思いますが、総降雨量が100mm以上になれば、どのようなことをしても降った雨は出てしまうということでした。資料2-1の16ページに各洪水における治水対策の分担量が出ています。これを見れば、遊水地や防災調節池の分担量というのは、ごくごく微々たるものです。最も分担量が多いのは、やはり河道での処理です。この確保が一番の目標だろうという気がします。

現在、猪名川もほとんどが市街地化していますので、極めて難しいとは思うのですが、人口が減少していく100年後のビジョンを考えるときには、この川幅を確保する、2倍、3倍にするという大きな計画がないと、治水や環境面の問題も解決しないのではないかと思うのです。

河道の確保は突拍子もない話ですが、まず可能なところから実施していくべきではないかと思います。例えば、釧路川や石狩川では元の河道に戻そうという試みが始まっています。それぞれの土地利用や流域の事情にもよりますが、100年後のことを考えて河道を確保してゆくことが根本的な解決に近づく道だろうと思います。

30年後を想定した河川整備計画でそうすべきだと言っているのではないのですが、やはり日本人が住んでいる沖積平野は、河川の氾濫によってできたものです。田んぼもそうです。そして、人間が河川の領分をどんどん奪ってきて、今、しっぺ返しを食らっているわけですから、やはり一歩引くという覚悟・決断が必要だと思います。河道を2倍、3倍に広げるというのは、100年後の目標としては十分にあり得ると思います。そうすると、ダムも要らないという気がします。

すぐに実現するには突拍子もないことですが、目標としては、今言ったようなことを描いておいた方がよいのではないかと思います。

○畚野委員(猪名川部会)

田中委員は突拍子もないとおっしゃいますが、私は川に関して、都市計画法の改正に伴う意見聴取、或いは県の環境基本計画のための聴取と頻繁に意見を出しているのです。川西自然教室の立場で出しているのですが、その中の1つで、ちょっと無責任で申し訳ないのですが、同じようなことを書きました。

100年後というお話でしたが、私は30年のスケールで、両岸で1年に1mずつ広げていけと書きました。そうすれば、30年後には川は良くなります。川がまた蛇行できるようになります。これは書きっ放しの話で、住民の突拍子もない話だということで結構ですから、受け止めておいて頂きたいと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

アイデアを否定するのはよくないので現在の実態だけを申し上げますと、川を広げるためには、多くの方から土地を譲って頂かなければなりませんし、皆さまにご同意して頂く必要もあります。あと、橋等を全部つけかえなければなりませんし、当然、橋へ上る坂道も変わってきますから、前後の土地利用から全部変える必要があります。多くの事情があるということはご存じだと思っておりますが、その上で、川にできるだけ力を合わせるという方法があると思います。

我々としては、堤防が壊れたら一番大きな被害が出るので、堤防が壊れないようにすることが大事だと考えています。堤防が壊れなければ、そこにある一定量の水が必ず流れることになりますから、淀川ではスーパー堤防というものをつくっていこうとしていますが、なかなかできませんという事実だけをお伝えします。

○畚野委員(猪名川部会)

川幅の問題が出ましたが、堤防の高さの問題について、市民団体が書いている本を見ますと、1つのダムがなくなって増えた水かさを川の断面で計算すれば、堤防の高さで数10cm分であるというような計算もあるということです。それならば、ダムをやめて堤防を高くすればよいという議論をする人がいます。もちろんダムの大きさとか、いろいろあると思いますが、例えば、余野川ダムがある場合とない場合で水位がどのくらい変わるのか、ちょっと関心を持っております。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

その件につきましては、最終的に治水をどのレベルで整備してゆくかというときに、ダムでやるのか、それとも堤防を引くのか、上げるのかといったような代替案のメニューの中で提示させて頂こうと思います。

川の中の水位を上げると、堤防は壊れやすくなりますし、いざというとき被害が大きくなるので、川の中の水位を上げるということは、できるだけ避けたいというのが我々の気持ちです。その辺も含めて代替案の議論の中で、どういう手法があるのか、どういう利害、特質があるのかもあわせて説明させて頂いて、ご判断頂くのが一番よいのではないかと思っています。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

部会の進め方としては、資料1の別紙2にある、「1 前提」、「2 目標」までを中間報告としてとりまとめていくということになっています。それを受けて、河川整備計画を出してくるわけですが、その河川整備計画の様々なメニューとして、金銭的な評価、土地取得の評価、そういったものも当然出されてくるのだろうと思うのです。

今、お話を聞いていて思ったのは、「3 手段」に関しても、シミュレーションとかシナリオを入れる方がよいのか、或いは、「1 前提」、「2 目標」について全体像として議論をし、さらに、環境等とリンクさせてゆく形をとるのか、「3 手段」では、具体的な個別の事業の影響と評価、そういう形も一通り見ないといけないとなるのか、その辺りについて少しご意見を頂きたいと思います。進め方等について議論しておいて頂ければ、また運営会議で検討するということになるかと思います。

○本多委員(猪名川部会)

1度でも浸水すれば、2度ともう耐えられないという思いは、恐らく、私も被害を受けたら一緒だろうと思います。しかし、だからといって絶対に水があふれないようにするということを前提にしてしまうと、それこそ莫大な防御システムを構築しなければ、100%の安全を保障することは恐らく不可能だろうと思います。

ですから、市民の考え方を変えていき、ある程度の覚悟をして頂くことも必要かと思いますし、行政によるフォローも必要だと思います。すぐ避難できるような施設があるのか、水に浸かってしまった家財道具等の個人の被害についての補償をどうするのかといったことです。予算的には、ダムをつくるよりもその方が安い場合もあるかも知れません。水はそう頻繁にあふれるわけではありませんから。

住んでいる市民の側も、わがままが通るわけではないのです。豪雪地帯は雪が降りますし、水があふれるところはやはりあふれる可能性もあるのですから、自分の暮らしをどう変えるかが問題です。家の中でも、例えば1階にはできるだけものは置かないように、個人でも努力して頂くことが必要になってきます。
国土交通省には、やれる限りの公共工事をやって頂くことはもちろん大切です。それがダムなのか、堤防のかさ上げなのか、いろいろな方法を考えて頂くということはありますが、そうではない、水があふれてしまった後の取り組みも、やはりしていかないといけません。

100%洪水を防ぐことは恐らく無理でしょう。これまでの治水対策で被害をこうむる人は少なくなってきていることは、資料2-1でも明らかです。ですから、多田地区の銀橋を開削すれば今度は下流が危ないとか、下流を優先すれば多田地区が危ないといった、いろいろな状況がある中で、工事だけで何とか対応するということだけを考えていてはいけないと思います。やはりソフトの部分もきちっと考えておく必要があるという気がします。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

100%防御できないというのはあたり前ですから、安全度という言葉はわかりにくいかも知れませんが、どれくらいの浸水頻度なら享受するのか、ということだと思います。被害の頻度をどれくらい軽減するかということです。それから、越えたときの危機管理、浸水対策について、どういうメニューを準備するのかといったことも考えていかなければなりませんが、その前に、どれくらいの浸水被害をを許容するのか、そのレベルを議論をしましょうというのが、「2 目標」になっています。

○松本委員(猪名川部会)

以前から、20年に1度の雨に備えるのか、50年に1度なのか100年に1度なのかといった話が出てきているわけですが、それを考えるに当たっての基準を、何をもとに考えるのか、迷ってしまうのです。例えば50年に1度というとき、その50年に1度の妥当性はどう判断するのかということです。

それで、やはり考えるのは、50年に1度の雨に耐えられるように工事をしたら、これだけの新たな工事が必要になる、こういうところに別の問題が出てくる、こういう別の費用が出てくるといった資料を出していただければ、50年に1度の雨に耐えられる工事をやると非常にコストがかさむし、環境破壊があまりに大き過ぎるといった判断ができるかもしれません。それなら、やはり30年に1度の雨を基準にしようとか、いやいや、100年に1度の雨で考えてみるべきだというとことにもなると思います。結局、その工事を実施したときの、費用と効果や環境等の影響を総合的に考えて判断しようということです。ですから、氾濫が起きたら、この地域での被害程度はどの程度なのかといったものまで明らかにならなければ、判断できないのです。例えば、水はあふれるだろうけれども、浸水に備えて家屋が高く建てられいるので、大きな被害はでない場合では、また話は違ってきます。ですから、実際のデータがなければ、本当に50年に1度の雨を基準にするのか100年に1度の雨にするのか、判断するのは難しいのではないかと思うのです。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

本日の資料2-1に加えて、質的な情報として治水経済調査によって、その被害率を絡めて出すことはできると思います。本日の説明では、被害の範囲と浸水深をマップで見せてもらったのですが、床上浸水か床下浸水であるのか、そこが農地なのか、工場地帯なのかといったように、浸水したときに実際どういう被害が起きるのか、それが額としてどのくらいなのかというようなことを出す必要があるということでしょうか。

質的な情報が必要であれば、これは河川管理者に注文して出してもらうということはあってもよいのではないかなと思いますが、出してもらえますか。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

今の議論を聞いていると、必要かなという気はしてきました。

例えば現状でなら、どこにどういう被害があるのか。例えば、戦後最大の雨まで対応したら、その被害がどうなって、どう軽減するのか。30年に1回の雨に対応するのなら、被害はどうなって、どう軽減するのか。戦後最大の雨に対応するには、A案はこういう方法があります、B案はこういう方法があります、C案にはこういう方法がありますし、例えば、ダムをつくらなくて上流でいっぱいため池なり遊水地なりをつくっていくという方法があるのかも知れませんし、堤防を高くする方法があるかも知れません、堤防を広げるという話もあるかも知れません、といったようなように、それぞれのメニューを提示して、それぞれ大体幾らくらい必要になってくるのかという比較表を、お時間が頂ければできるのではないかと思います。

ただ今後、それらをどう組み合わせるのかといった問題も出てくるかもしれませんが、その組み合わせまで考えるとバリエーションは広がり過ぎますので、例えば、一義的にダムを中心につくる場合、堤防を引く場合、堤防を高くする場合、上流域の遊水地等でできるだけ対応する場合、それぞれどういうメニューになっていくか、お金が幾らくらいという整理をして、被害や軽減額等のそういう整理は最終的にはしなければいけないと思っています。ただ、ちょっとお時間を頂きたいと思います。

○本多委員(猪名川部会)

今、治水に対する整備のメニューがいろいろあるという話がありました。もちろん、池淵部会長代理もおっしゃっていたように、100%安全ということはあり得ないということですから、ダムをつくったり、いろいろすることによって、随分改善される点はあっても、その100%でない部分をどう補っていくのかという問題が残ります。

洪水で浸水したときに、どのような対策をとるのかということも必要ですから、市民の啓発や理解、ライフスタイルや暮らし方を変えてゆくことによってカバーしていくとか、そういうこともメニューの中に加えて検討していく必要があると思います。いわゆるハードの部分だけでどれだけカバーできるかという話だけではないだろうと思いますので、それもよろしくお願いします。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

資料をつくるときの、整理の考え方について少し申し上げます。

いろいろなケースを想定して資料をつくるのですが、作業が少し大変なので、取り敢えず検討するに当たって、戦後最大の雨を中心につくってくれとか、それとも、せいぜい50年に1度の雨を中心にといったように、絞らせてほしいと思います。戦後最大の雨から100年に1度の雨のケースまでつくっていくと、作業が間に合いませんので、取り敢えず戦後最大の雨を中心に、戦後最大の2割増しの雨くらいでつくらせてもらってよろしいでしょうか。

取り敢えず当面、戦後最大の雨というのはよくある目標になりますので、戦後最大と2割増しの雨くらいで作業を進めさせて頂ければありがたいのですが。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

ここ50年間、戦後50年ということですね。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

そうです。

○吉田委員(委員会)

本多委員のお話と、それから水野河川調査官のお話と、両方に関係することで続けて話させて頂きます。

恐らく、河川整備で治水対策をしていこうといったときに、50年に1度の雨、100年に1度の雨と、だんだん安全率を高めていく中で、どこかで急にコスト高まるところがあるのではないかと思うのです。途中までは、工事費用で出していくことによって、安全率は高まっていくと思いますが、どこかに、安全度を1ランク上げるためのコストがすごく高くなるポイントがあると思うので、そのポイントがわかるような形で示して頂きたいと思います。

それを全部連続して出せというのは大変難しいと思うのですが、工事で対処するには大変なコストがかかるというポイントがわかれば、先ほど本多委員が言われたように、そのポイントから先はむしろソフトの部分で対処の仕方していくこともできると思います。

ソフトの部分を考慮したやり方は、新河川法の考え方で、これが初めてですので、ちょっと難しい注文を言っていますが、やはり必要なのではないかなと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 河川調査官 水野)

そういったクリティカルなポイントというのは、もっと長期的な検討において出てくるのではないかなという気もしています。そのポイントを出すにしても、どういう組み合わせが最適かという点から考えていかないと、ダムをつくる、堤防を引く、上げる、いろいろな組み合わせの中でも出てきますから、ものによっても全然違ってきます。取り敢えずは、戦後最大、2割増しくらいからまず議論をさせて頂かないと、できないかもしれませんので、よろしくお願いします。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

どなたかいらっしゃいますか。では10分間休憩させて頂きます。

後半は、意見聴取の会の内容に関する話と、中間とりまとめのためのワークショップについて話をしたい思います。最終的には、先ほどの予定を見ますと、3月4日の第10回猪名川部会で、ある程度原案をつくっておかなければいけませんので、大変だと思いますが、休憩後に議論したいと思いますので、よろしくお願いします。

〔休憩15:56〜16:12〕

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

住民意見の聴取・反映方法について、実施した意見募集の概要及びその実施についての説明を、よろしくお願いします。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

省略[資料4、資料5-1、5-2について説明]

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

ありがとうございました。

そういうことで、資料5−2「第8回猪名川部会(1/27)意見聴取の部における意見発表候補者」の2ページを見て頂きますと、第1候補の中で、一番上から141番、213番、139番、110番、181番は3人いらしたのですが181−01の方にお願いするということですね。組織・団体の方で、河川利用についての意見候補者が両方とも出席頂けないということがはっきりしましたので、第2候補である199番に出席をお願いいたしまして、オーケーということです。

もう1人ですね、考えて頂いているのは10番ですか。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

はい、あと10番の方です。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

何かご意見がありましたらお願いします。資料5-2の後半には、A4、1枚で書いて頂いた意見をそのまま掲載しています。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

10番の方に応諾頂ければ8人ということになります。人数は10人程度としていたのですが、発言者への質問等々で時間が延びることも考えれば、10人という数にこだわらなくてもよいのではないかとも議論させて頂いたのです。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

他に何かご意見ありましたらお願いします。178番の△の方はどうだったのでしょうか。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

そちらの方は、日時の調整をつけるということで、まだ〇でも×でもない状態です。ひょっとしたら、来て頂けるかも知れないということです。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

そうすると、1人増えるかも知れないということですね。

○庶務(三菱総合研究所 柴崎)

はい。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

では、第2候補の10番の方が参加して頂けるというのを予定しておきましょうか。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

それと178番の方が、△ですが、参加されれば8人となります。今、◎だけであれば、6人ですか。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

これでよろしいですか。2人はまだ保留ですけども、2人を加えて8人ということです。あと、79番の方の阪神疎水の話、97番の方の尼崎の川の高水敷で虫とりをしようというご主張等もあるのですが、皆さま逃げられてしまったという感じですから、やむを得ませんので、取り敢えずこの8人の方にお願いしようと思いますが、いかがでしょうか。

○本多委員(猪名川部会)

これは発表者を推薦するときに出した意見なのですが、余野川ダムの問題について止々呂美の地域の皆さまからは事前に意見が上がってこなかったので、どのように考えておられるのかということをこういう場でお聞きしたいなと思っていました。そういった方々にも意見が聞けるように努力して頂かないといけません。反対の声はすぐ上がってくるのですが、できるだけ広く意見を聞きたいと思っていたのです。しかし、あくまでも事前に提出していただいた意見の中から発表者を選ぶということであれば、もう仕方ないことです。できれば、地元の人たちがどう考えておられるのか、その素朴な意見を聞いてみたいなと私は思うのです。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

発表者を選考するときに私も米山部会長も、本多委員の注記も意識していました。大変失礼な言い方ですが、畚野委員のいらっしゃる多田地区の人とか、猪名川に在住の人或いは猪名川に関係している人が応募者に少なかったことが大きな特徴です。無関心というのではないと思うのですが、偏りもありましたし、発言していただきたい方が他の部会と重複したりと、配慮に苦慮しました。或いは、再度庶務を通して、止々呂美地区のようなところに行ってもらってヒアリングした方がよいのか、この部会で一般傍聴者からの発言という形で発言して頂くチャンスを設定できないのか等も考えました。意見聴取の実施方法について今回の方法だけでよいというものではないので、人数がたまたま少ないので、是非という方がいるのであれば、今から対応するということもあるかと思います。

○畚野委員(猪名川部会)

多田地区も1つのポイントだというのは、池淵部会長代理のおっしゃった通りなのです。今回の募集に限ってですが、募集がはじまってから、私どもの関係者の中にも、新聞に出た意見募集広告を見たという人はいます。しかし、「私も行くわ」とまでは、踏み切られなかったようなこともあるようです。ですから募集期間がもう少し長ければ誰か出たかもしれないと思います。それと、こういった募集があるということを地元の方にかなり積極的に伝えていれば意見や発表者が出たかもしれないと反省しております。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

意見聴取のメンバーに関してはこの8人の方にお願いするということで進めさせて頂きたいと思います。この後も流域委員会は引き続き開催されますから、もし必要であれば、また具体的に、先ほど池淵部会長代理がおっしゃったように、逆にこちら側がおもむく、積極的に動くということも考えましょう。今回のところは取り敢えずこの方法で実施してみて、その後、さらに意見聴取が必要だということがあれば検討するということにさせて頂きたいと思います。

続いて、中間とりまとめに向けたワークショップ、中間とりまとめへ向けた段取りの相談をしなければいけないのです、その前にここまでの審議について一般傍聴者の方からのご意見を伺いたいと思います。
特にないようですから、次に進ませて頂きたいと思います。

特にご発言ありますか。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

タイムスケジュールにせかされる必要はないのかもしれませんが、3月4日に各部会とも中間とりまとめに載せる内容として今まで各委員の方々で意見交換したものをまとめて、委員会で調整します。あと、恐らく3月30日の第9回委員会で、再度一般の方々から意見を聴くという進め方になっています。2月1日の第7回委員会では利水の実態とか今後の予想とかいった話があって、その中で猪名川のことを踏まえてご審議頂き、それから環境についても1月27日、2月15日で猪名川部会で審議することになっています。

そこで、3月4日に部会として作成する素案的なものに向けて、まず、たたき台を作る作業をして頂く人を募りたいと思います。委員全員でする方がいいという意見もあるでしょうが、3、4人でたたき台をつくってき、それについて議論していくということを考えています。1人で独断と偏見でたたき台を作成するというやり方もありますが、それは少し荷が重いですし、かといって12人全員でやるわけにもいきません。3、4人くらいで集中して作業してもらうというワークショップをつくったらどうかなという提案です。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

これは、今のところは猪名川部会の問題、猪名川のレポートです。

参考には、例えばこの資料2−3「各委員河川管理者の提案内容」は事務局が整理して下さって、全体的な項目からその他までいろいろな項目があげられています。これも1つの資料になります。これそのものでなくても構いません。それから芦田委員長が4ページから5ページにかけて、プランを提起されております。56ページ以降では、琵琶湖部会が今後の検討課題に対するまとめというところでかなり突っ込んだ形で検討項目を整理しておられますので、これも1つのモデルになるのではないかと考えています。私が最初に出しました猪名川モデルも参考にして頂いたらよいかなと思います。

たたき台づくりを、池淵部会長代理と私の2人で独断と偏見でやってしまう手もあるのですが、それもあまりにも失礼なことになりますから、皆さまにご協力を頂きたいと思うわけです。

ただ、先ほど松本委員とも話をしていたのですが、最大で7人くらいではないかと思いますが、委員の日程調整だけでも大変なことになってしまいます。簡単に言えば、治水・利水・環境という3つのセクションで、3人くらいの単位で3つのチームでつくって持ち寄るということも考えられます。3人寄れば文殊の知恵と言いますから。当然、テーマは治水でも、総合治水といいますか、環境も利水も含めて考えなくてはいけませんし、同じことが環境についても利水についても言えると思います。大まかな分け方でいえばそういうやり方もできないことはないと思います。

いかがでしょうか。何かご意見がありましたら、遠慮なく、教えて頂きたいと思います。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

参考までに聞きたいのですけど、資料2−3の琵琶湖部会の箇所を見ると、そういうワークをされたようですが、どれくらいの人数で実施されたのか、実績としてはどのような状況ですか。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

淀川部会で議論された内容を川那部部会長がお聞きになったことや、A3の縦長の資料3-2等をご参考に川那部部会長が作成されたものです。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

淀川部会はどのような状況ですか。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

淀川部会の方は、ワークショップのようなものをつくろうかというようなことになっているようですが、まだ決定はされてないという状況です。

恐れ入りますが、資料2−3につきましては、委員のみの配付となっております。これは前回の訂正版の資料ですので、一般の傍聴の方々にはお手元にありません。あしからずご了承ください。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

わかりました。

私が担当しましょうという方がいらしたら、一番ありがたいのです。テーマ毎に3つに分けた方がよいのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。むしろもっと少数で、3人くらいで一気に全部やってしまうというのも、1つあります。

○本多委員(猪名川部会)

資料3-2に意見がとりまとめられていますが、こういった具合にとりまとめて、整備方針の項目を整理するのですか。これは皆さまが今まで議論してきた中身です。項目を設定して整理してとりまとめるということなのですか。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

そういうことですね、実際には。

皆さま、ご多忙だと思いますが、やりましょうとおっしゃって頂きたいのですが。

○本多委員(猪名川部会)

私はやります。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

では、よろしくお願いします。

○田中委員(猪名川部会)

私も参加させて下さい。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

ありがとうございます。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

私も入ってもいいかと思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

場合によっては、思い切って合宿、泊り込みという方法もあります。私もよい齢ですから、徹夜はとても無理ですが、私はもちろん参加します。松本委員も、いかがですか。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

合宿するのであれば、どこか都市でないところでやりたいですね。

○松本委員(猪名川部会)

私もできれば参加したいのですが、、、

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

時間がないということですね。

○松本委員(猪名川部会)

そうです。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

それだけですね。できましたらお願いしたいと思います。

それでは、田中委員と松本委員と本多委員と、池淵部会長代理と私ですね。

細川委員、いかがですか。よかったらお願いします。

○細川委員(猪名川部会)

その仕事は非常にやりがいのある仕事だろうとは思うのですが、自分の頭がついていく自信がないのです。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

私も全く、似たようなものです。

○細川委員(猪名川部会)

では、皆さまのご都合のよい時間で、私もついていけそうでしたら、参加させて頂きます。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

わかりました。よろしくお願いします。

では、大体そのくらいの数でよいかと思いますが、畚野委員はいかがですか。

○畚野委員(猪名川部会)

結局全員になるのではないかという感じになってきました。

すみません。せっかくの機会を頂きましたので、資料2−3「各委員の提案」の36ページを見て頂けたら幸いなのですが、最低限はこういう項目を入れておいて頂きたいことをここに入れてあるのです。もうちょっと細かい説明をつけないとわからないならば、補足説明の機会を与えて頂いて説明いたします。或いは、多田地区の話が先ほどから出ていまして、これは治水のポイントかどうか私はよくわからないのですが、本省の直轄区間の少し上流になりますので、その辺の関係等をどの程度、この流域委員会に入れていってよいのかどうかというのがわかりにくいのです。

そういうことがわからないということがあります。すみません、その程度でよろしいですか。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

その点に関しては、私は猪名川流域全域で考えてよいと思うのです。ここしか管理していませんと国土交通省に逃げられては困るわけですから、猪名川流域全体を前提にして考えるということでやっていきたいと思います。

実際にはこれからタイムスケジュール、タイムテーブルを整理していかなければなりませんので、大変だと思いますが、ワークショップに参加される委員の皆さまにはよろしくお願いいたします。また、他の委員の皆さまもやってやろうというご意見がありましたら是非、吉田委員も矢野委員も別に差別しているわけではないのです、誤解しないで頂きたいと思います。東山委員もすみません。取り敢えずそういうことで、よろしくお願いします。

○田中委員(猪名川部会)

そのワークショップのメンバーですが、欠席されている委員の方々がいらっしゃいますよね。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

それは、もうしようがないですね。

○田中委員(猪名川部会)

アナウンスしないとやはりまずいと思います。確認をとらないと、揉めるもとになると思います。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

わかりました。全くおっしゃる通りです。畑委員や服部委員に声をかけます。森下委員にも、環境を専門とされていますから、是非来て頂きたいと思っています。

全員がフルタイムで出席して頂くわけにはいかないと思います。私自身も参加できないということが起こり得ると思いますから、ご了解頂きたいと思います。できるだけ柔軟に対応して、3月4日を目指したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○本多委員(猪名川部会)

どなたがメンバーになられたのか確認して頂けますか。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

本多委員、松本委員、田中委員、畚野委員、池淵部会長代理、私。細川委員はわかりません。取り敢えずそこまでです。

○本多委員(猪名川部会)

畚野委員も入っているのですね。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

入っているわけです。入っています。

○畚野委員(猪名川部会)

そこまで言われましたら引けませんので、できるだけ出席させて頂きます。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

お差し支えなければということでお願いします。
細川委員もお差し支えなければということでお願いします。

○細川委員(猪名川部会)

できる限りのことはやります。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

他の委員にもお声かけてみるということを忘れないように、庶務、それを覚えておいて下さい。よろしくお願いします。

○池淵部会長代理(委員会・猪名川部会)

私は6、7人で本当にできるのか疑問に思います。日程調整だけの問題ではなく。部会を開催するのと変わらないのではないかと思います。人数が増えるのはよいにしても、本当にできるのかどうかという疑問がありますが、まあやってみましょうか。

○米山部会長(委員会・猪名川部会)

とにかくやってみましょう。それしかないです。もう「やるっきゃない」という有名な土井たか子さんの言葉がありますから、それをまねして「やるっきゃない」ということにしましょう。

一般の方からのご意見がありましたら伺いたいと思います。

今日はご意見がないようですので、これで終了させて頂きたいと思います。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

それでは、これにて第7回猪名川部会を終了させて頂きます。

資料6は運営会議のお知らせになっております。ご一読頂きたいと思います。

本日は、会議の開始が遅れまして、大変申し訳ありませんでした。それでは、これにて終了させて頂きたいと思います。次回は1月27日、日曜日です。

ご参加のほどよろしくお願いいたします。

どうもありがとうございました。

以上

 





 

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