淀川水系流域委員会
第3回淀川部会(H13.7.6)
参考資料2

委員および一般からの意見

 

(1)委員からの流域委員会の審議に関するご意見、ご指摘(2001/5/8〜2001/7/5)

2001/5/8

面談

小林 圭介委員(琵琶湖部会)

(第1回琵琶湖部会ご欠席にあたり、以下のご意見を頂きました)

1.河川整備計画についての意見

<対象地域の河川の整備について>

整備計画の対象となる河川は、河畔林が発達した地域が多い。そういった河畔林を保全、整備していくことが基本となるだろう。その理由は、河畔林の発達した堤防は決壊しにくいことがあげられる。コンクリート護岸は、耐久年数が限られており、構造によっては洗掘などが起こりやすいなどの問題がある。過去の堤防決壊の箇所を見ても、河畔林をなくした箇所や河畔林とコンクリート護岸の継ぎ目から決壊した例などがある。

一方、河畔林は、100年、200年の期間での耐久性がある。また、竹や木の根が張っており、構造的にも強い自然堤防となる。人は、過去に堤防に竹を植え、自然堤防の強化とタケノコとしての食料確保を行ってきた。また、キツネは根が張って崩れにくい竹藪の河畔林の地下に巣を作る。キツネがいるところは過去に洪水や堤防決壊が起こっていない。このような過去の人間や動物の知恵、経験に教えられることも多い。

河畔林が大切なもう一つの理由として、ビオトープのネットワーク化に役立つという点で重要な位置づけがある。対象河川や地域の特性を踏まえて上で、河畔林を復元していくことが重要である。その際には、過去の川の歴史を振り返り、現存する他の河畔林との比較を行うことが重要である。

<検討の方法について>

滋賀県では生物環境アドバイザー制度を導入しており、多くの成果をあげている。その中では、堤防の道路拡幅のために河畔林が伐採されようとしたのを近くの田圃に付け替え河畔林を守った実績や川幅の拡大のために伐採されようとした河畔林を掘削による整備に変更し河畔林を守ったりなど具体的な実績を積み重ねている。例えば、希少種の移植などについては、理論のみではわからない、法則性のないことが多く、その場でじっくり議論する必要がある。そういった意味では、土木の技術者と生物の専門家がきっちりと議論し、河川整備のあり方を考えていく必要がある。

世界湖沼会議などの会議の成果として、琵琶湖の水質がどう変わったか、いい方向に向かったのか、具体的に評価をすべきである。過去の会議の成果を確認することも大事ではないか。そういう意味でも、この会議の成果がどう生かされるかが重要である。

<住民参加について>

基本的には、河川整備計画などに対して、専門知識のない人間が感覚でものを言うべきではない。住民の意見を取り入れると、例えば河畔林をつぶして、河川敷に公園やグランドを作りたがる傾向が強いが、そのような整備は先を見つめた河川整備の観点からは良くない。

環境という言葉の概念が広すぎる。例えば、住民にとっては堤防ののり面は、芝張りでは○、雑草が生えていれば×であるが、自然界からみれば逆である。

住民参加の観点からは整備計画などのPLANの場面ではなく、河畔林の維持管理などDOの部分で住民参加を促すことの方が重要ではないか。それにより地域に根の張った住民参加が可能となる。

2.委員会の進め方について

本流域委員会のように情報公開を積極的に行っているのは評価できる。しかし、委員会、部会といった構造は、旧来のやり方と変わらないような気がする。

委員会の約半数の委員が部会と兼務となっているが、それでよいのか?同じ会議をダブってやっているような感じがする。役割分担を明確にしないと部会での発言と違ったことを言ったり同じことを蒸し返したりすることになる危険性はある。


2001/05/14

書面

村上 悟委員(琵琶湖部会)

■ 委員からのプレゼンテーション実施についての提案

 先日の琵琶湖部会において、植田琵琶湖工事事務所長がプレゼンテーションの冒頭に流域委員会の今後の進め方をお話されました。たしか以下のような図だったと思います。

【現状】 河川管理者の知っていること+委員の知っていること

 ↓

【課題】 河川管理者の知っていること+委員の知っていること

 ↓

【対策】 河川管理者の知っていること+委員の知っていること

 僕個人としては、このフロー自体の問題点も感じないわけではありませんが(※)、この「委員の知っていること」を共有する方法として、各委員から以下の内容で10〜15分程度のプレゼンテーションを行うことを提案します。今のところ、2回の現地視察の後がよいと考えています。

(1)琵琶湖および流入河川の現状と課題−私はこう見る ←現地視察の経験も元に

(2)20〜30年後の将来像

(3)それに向けたプロセス、今誰が何をやればよいか

(4)流域委員会の進め方

 各委員の「視点」を互いに知り、「夢」と「プロセス」を出し合うことで相互理解と合意形成のベースをつくることがねらいです。

 (2)や(3)の項目をわざわざ入れたのは、僕の経験上、合意をつくっていくのはあくまで「誰が何をするのか」という、具体的、現実的な議論であると思うからです。

 ただ、時間が問題です。一人15分とすると、20人でまるまる5時間がかかります。10分だとしても3時間20分。半日は完全につぶれるし、いっきに20人というのは辛いです。

 2回に分けて、一人15分+質疑5分とし、10人で3時間20分、というのが現実的かと思います。

 せめてそのくらいはやるのが委員の義務だと思いますがいかがでしょうか。少なくとも僕はやりたいです。また、こうしたものを発表しなければいけないとなれば、現地視察のときの委員のモチベーションも変わると思います。多くの傍聴者の方にも持ち帰っていただくものが多いと思いますし、この内容だったら(シンポジウムのように)一般からの参加もかなり望めるのではないかと思います。

 ご検討願います。

※補足−僕個人としては、宗宮委員が書類で提出されていた(5.11 参考資料2 p3)ように「夢を語る」プロセスが必要だと思っています。さもないと諸処の問題を生んできた一要因である「後追い行政」からの脱皮ができないと思うからです。

 したがって僕の提案は、この3段階のプロセスを無視した形になっています。ただし河川管理者と委員との間の共通認識を作る、ということに重点を置いていることには変わりがありません。


2001/06/03

書面

小林 圭介委員(琵琶湖部会)

(第2回琵琶湖部会ご欠席にあたり以下のご意見をいただきました)

現地視察に関して下記の点をコメントします。

1        丹生ダム周辺に関しては、6月1日にも、川を腰までつかって徒渉したり、絶壁をよじ登ったりしなければならないような現地において、1日中、貴重植物についての保全対策を関係者に指導してきました。河川や琵琶湖の環境保全対策については、現地を熟知した専門家による保全対応策を事業者側に指導したり、事業に反映できるような体制や仕組みづくりを早急に検討すべきである。川のなかでずぶ濡れになったり、手足を擦りむいて岩をよじ登ったり、また、熊よけの鈴を鳴らして、山中で道路の工法や貴重種の保全対策を指導しながら、淀川水系流域委員会で行っている高邁な議論が、いまさら必要なのかどうか、疑問に思えたのは間違いなのだろうか。

2        西の湖周辺のヨシ群落については、滋賀自然環境研究会が3年間にわたって委託調査を行っている。平成14年度には報告書ができあがるので、参考にしてもらうことも可能だと考えます。

3        新海浜の侵食の問題は、愛知川が氾濫後、下流域から河口付近まで大規模な整備がなされ、そのため、湖岸線の波浪に物理的な改変が生じて、新海浜付近に侵食地域が生じたことが最大の原因である。次には、上流部にダムや多くの砂防堰堤が建設されたために、愛知川河口に土砂の供給が途絶えたことが原因している。いずれにしても、この新海浜付近の侵食は、ある程度のところでおさまるが、同時に、現在侵食を起こしていない他の場所で新たな侵食が始まるものと考える。ただ、新海浜から薩摩付近までには、タチスズシロソウなど、県民にはあまり知られていない貴重植物が生育しており、その対策の方も重要な課題である。

4        平湖・柳平湖周辺の整備については、滋賀県の検討委員会で内容の濃密な議論をしており、その報告書を参考にすべきである。


2001/06/20

書面

倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

1.これまでのところ、治水工事の技術的説明に終始する整備局の姿勢に甚だしく不満があり、治水工事によって、工事以前と以後の違いがどうなったかの自己点検評価をされている筈で、それを必ず説明するように伝えていただきたい。

2.漫然と集まるのでなく、課題を立てて頂いて、それについて協議するようにして頂けば、事前に資料や意見を整理して臨めます。単に「井戸端会議」になるようだと出席の意欲を欠き易いです。

 

2.一般からの流域委員会へのご意見、ご指摘(2001/5/8〜2001/7/5)

発言者 所属等 傍聴 希望 取 日
内  容
1 市民のひろば・増田京子氏 ○ 第1猪 5/8  大阪府の「水と緑の健康都市」計画が当初案から5分の1に縮小された案が、府から提案されています。私自身はこの案も当初案も大阪府の財政の厳しさと、オオタカ営巣が今年は前回の場所に営巣していませんが、この近くに営巣している可能性もあることなどの状況を考慮にいれると、廃止にするしかない開発だと判断しています。

 そして、この開発と一体化した「余野川ダム」についてですがダムの利水を 「水と緑の健康都市」で1日10000トン利用する計画で進められていますが、同じく90000トン利用する阪神水道企業団も水が余っている状況です。

 また府営水の豊能、能勢への導入も進んでいます。そのような社会状況の変化を捉える必要があると思います。検討結果をお示しいただきたいのですが如何でしょうか。
2 大阪自然環境保全協会・岡秀郎氏 ○ 第1猪 5/14 全般的に自然環境の保全を重視し、地域の声を施策に反映させなければならない。行政はとかく、単なる施策・予算の執行によって、自然環境の保全や地域の声を犠牲にしてきたが、そうした行政から脱していかなければならない。
3 グループカレッタ・松井恵子氏 - 5/21 河川の監視(河川パトロールカー)についてのご意見

・河川の監視について、流域委員会でどのような議論になっているか、また、河川監視について詳しい人がいるか

(→「流域委員会ではまだ、そこまでの議論はでていない。今後の検討経過については、議事録等でみてほしい。」と返答しました)


・河川の監視は、一般の人にはあまり知られていないが、重要である。


・パトロールに使われている車(河川パトロールカー)は、働く車としては警察のパトカーや消防車などに比べて、十分認識されていない。子供たちなどに対して、もっとその存在や働きについて広めたい。個人的な活動として河川パトロールカーの存在を様々なところへ紹介している。


・河川のパトロールで監視するのは河川関係の施設の状況だけで良いのか?河川法が改正されて、環境も重要になってきており、環境に関することについても監視、観察をおこなうべきであると思う。


・このような流域委員会の庶務の役割を担うのであれば、河川パトロールカーの存在を認識し、実際のものを見て欲しい。
4 滋賀県能登川町住民 ○ 第3委 5/28 1、琵琶湖の水位操作について
 現在の琵琶湖の水位操作は、琵琶湖の生態系に配慮したものとは思えず、かなり大雑把なもののように感じています。

 冬季の水位低下、魚の産卵期の水位上昇など、かつての琵琶湖の水位変動に近い形で、きめ細かな水位操作により、できる限り、琵琶湖の生態系に配慮した水位操作に改めていただきたいと思います。


2、ダム開発について


 ダムはいずれ埋まってしまうものであり、自然の生態系を破壊するものなので、ダム開発は再検討し、できるだけ他の方法を考えていただきたいと思います。特に、大戸川ダム、余呉町の丹生ダムの建設は中止していただきたいと思います。
5 東京都世田谷区・関正雄氏 × 6/4 淀川の河川整備基本方針の策定状況を知りたいのですが。流域委員会と同時進行で、近畿地方整備局内で検討され続けているのでしょうか?それとも、流域委員会で検討するのでしょうか?

(→このお問い合わせに対しては、「基本方針は流域委員会の審議対象にはなっていないため、整備局へ問い合わせ頂けないか」と返答しました)
6 京都府城陽市・橋本崇弘氏 −   6/8 第2回委員会の資料2-1-2についての修正ご意見がありました。
具体的な修正内容については河川管理者に伝えております。
7 平成維新を実現する会・大阪・浦野穏正氏 ○ 第3委 6/11 大阪府の水不足への対処は大阪府と大阪市との水利権の融通で解決できるはずだと思われます。もし、できない理由があるなら、その根拠を資料でお示しください。
8 瀬田川リバプレ隊・谷村信氏 6/14 *淀川部会での委員による各河川の現地視察の模様(各委員の見学所感 )が6/18の委員会で聞けると幸いです。

*河川の現地視察は一般の参加も是非お願いしたい。
9 Green Wave・井上哲也氏 ○ 第3委 6/15 第2回委員会、第1、2回琵琶湖部会に参加して感じたことだが、委員会等参加の行政側に環境省(環境面)、経済産業省、農水省(利水面)、厚生労働省(水質面)の担当者がいないのはおかしい。必要に応じていれるのはなく、最初から入れるべき。

上記理由により委員会等の行政側からの説明、議論の内容が、治水、利水(量的な側面)著しくかたよっている。

・このままだと、利水の質的(水質、安全性)な部分が議論できないのでは?


・また、量的な部分についても、使うことを前提にしたダム等の話しばかりで、中水利用の促進(経済産業省)、使用の削減の啓発(環境省)等の話が出てこないのでは?
10 総合科学株式会社・松田幸恵氏 ○ 第3淀 7/4 淀川水系流域委員会の案内はインターネットだけでしょうか。ポスターやパンフレットの配布などは行っていないのでしょうか。ポスターなどは一般のかたへの情報提供に良いのではないかと思います。

(→このお問い合わせに対して庶務より現状の広報についてご説明、返答したところ、下記(一部抜粋)の返信をいただきました。)

7月6日(金)に開催される第3回淀川部会への参加が会議への初めての参加となります。淀川流域委員会を知るのが遅かったために、第1回から参加することができませんでした。そこで、どのような形で広報を行っているのか知りたかったのです。ニュースレターの配布を関係施設だけでなく、市町村にも広げることは、さらに広く市民のかたへも情報提供できることから、とても良いことだと思います。

部会当日、ニュースレターを拝見させていただこうと思っています。

 

 


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