淀川水系流域委員会 第3回淀川部会議事録

日時:平成13年7月6日(金)15:00〜17:00
場所:大阪全日空ホテル 3階「万葉東」



○庶務(三菱総合研究所 新田)

これより、淀川水系流域委員会 第3回淀川部会を開催いたします。
司会進行は、私、庶務を担当しております三菱総合研究所の新田がさせて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。
審議に入る前に、ご報告と幾つかの確認をさせて頂きます。
まず、資料の確認ですが、黄緑色の「発言にあたってのお願い」、「議事次第」、資料1「淀川水系流域委員会第3回委員会(2001.6.18開催)速報」から参考資料2「委員および一般からの意見」まで、お手元に配布されていると思います。
本日は、後ほど淀川水系の現状を説明して頂く際の参考資料として、第1回淀川部会でお配りした分厚い資料を委員お二方に1冊ずつ机上に置かせて頂いていますので、適宜、手にとって見て頂ければと考えています。
資料の訂正ですが、委員名簿では山岸委員が欠席となっていますが、本日ご出席頂いておりますので訂正をお願いいたします。
また、本日は審議の終了後、一括して一般傍聴の方からご発言頂く機会を設けていますので、審議中は一般の方のご発言はご遠慮お願いいたします。また、発言の際には、必ず「発言にあたってのお願い」を熟読の上、ご発言頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。
本日の委員の方々の席は、やや円卓に近いような形で設定させて頂いています。なるべく気取りのない、フレンドリーな雰囲気の会場をいろいろと探していますが、なかなか適当な規模の会場がございません。本日はこのような形にさせて頂きましたが、できるだけ委員の皆さまには肩の力を抜いて自由にご議論頂ければと考えています。
なお、本日は説明の際に前方のスクリーンを使用しますので、前方にご着席頂いている委員の方々には申し訳ございませんが、説明の際には席を移動して頂くということで、よろしくご協力の程、お願いしたいと思います。
それでは、部会長、部会長代理、審議の方をよろしくお願いいたします。

○寺田部会長(委員会・淀川部会)

それでは、第3回淀川部会を開催させて頂きます。本日も皆さまにおかれましては、ご多忙の中、お集まり頂きまして、ありがとうございます。
本日の部会の司会進行は桝屋部会長代理にお願いし、今後は部会長と部会長代理が交替で司会進行を務めようと思っています。
先ほど、庶務から言って頂きましたが、会議の開催場所の設定については、第1回淀川部会で皆さまにお諮りしましたように、なるべく皆さまの顔が見えるような形でということで、大分工夫をしてもらいました。これでもまだ少し、委員の皆さまの顔が遠くに感じないわけではありません。ご意見があればお聞かせ願いたいと思います。
それでは、桝屋部会長代理、進行の方、よろしくお願いいたします。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

それでは、今から司会を務めさせて頂きます。寺田部会長ほど上手に司会を務めることができるかどうか、少し重責を感じているところですが、早速、始めたいと思います。
先ず1番目は、第3回委員会の概要ということで、資料1「淀川水系流域委員会第3回委員会(2001.6.18開催)速報」をご覧下さい。
最初に、「1.委員長からの説明、要望」ということで、流域委員会の流れを記しています。
流れの段階としては、3段階になるということで、1番目の段階が、淀川水系に関する治水、利水、環境についての現状認識を共有化する。2番目の段階において、課題を分析して考え方を出し、そして3段階目に河川整備計画の原案を審議するという3つの段階があるのではないかということです。現在は、淀川水系に関する治水、利水、環境について現状認識の共有化をする1番目の段階にあり、本日も河川管理者から説明して頂く予定になっています。
この流れについては、7月24日の第4回委員会で、今後の審議のスケジュールの案を出し、審議することになると思います。
「2.部会からの報告」についてですが、6月18日に開催された第3回委員会では、各部会からの報告があり、琵琶湖部会、淀川部会、猪名川部会の各部会長、部会長代理から、第1回部会と第2回部会の概要について、説明がありました。
資料1の3番目の項目「3.河川管理者による淀川の現状説明」についてですが、第2回委員会における説明の補足として、河川管理者より説明がありました。
4番目の項目「4.淀川水系の現状認識についての意見交換」では、淀川水系の現状認識について、委員の皆さまによる意見交換の内容が書いてありますので、お読みになって頂ければと思います。
「5.一般傍聴者からの発言」についてですが、その主な発言内容として、一般傍聴の方からの意見が言いっぱなし、聞きっぱなしになっているのではないかという厳しいご意見がありました。また、河川管理者の説明に関して、特に国土交通省の説明だけではなく、経済産業省や農林水産省も河川に関わるので、各省庁からの説明も必要なのではないかというご意見や一般からの資料提供について、現行の方法を改めて考える必要があるのではないかというご意見、一般傍聴の方々との意見交換の時間をもう少し長くとって欲しいというご意見がございました。
第3回委員会の内容については、概ね、今話したような感じでした。
第1回淀川部会では主に治水について河川管理者から詳しい説明をして頂きました。その後、第2回淀川部会では現地視察を開催しましたので、委員の皆さまも淀川の現状に関する知識がかなり深まったのではないかと思います。
本日は第1回淀川部会の説明で足りなかった部分、特に環境等の部分をまず説明頂き、その後、できるだけ時間を確保してディスカッションをして頂くことにしたいと思います。
では、早速ですが説明に入って頂きたいと思います。河川管理者の方、よろしくお願いいたします。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

第1回淀川部会では、主に淀川の洪水対策について説明し、6月2日に現地視察をいたしました。これは宇治川から淀川の河口まで、淀川本川をご案内したわけですが、本日は淀川本川について、河川環境と河川利用の現状と課題ということで説明していきたいと思っています。
まず、淀川の生き物がどのような状態になっているのかということ、それからその生き物の生息環境はどのように変化しているのかということ、またその変化している環境に対して、現在、河川管理者がどのような取り組みをしているのか、説明したいと思っています。
その後、河川利用について説明したいと考えています。水利用ということで、水質の話、それから水量の話を説明したいと思っています。
続いて、河川敷の利用、地域社会とのつながり、或いは舟運の話までしたいのですが、何しろ40分で説明しろということですから、恐らく生物の話と水利用の水質、水量の話まですると、予定している時間を使いきってしまうのではないかと思います。もし時間が足りない場合は、説明し残した部分について、別の機会に説明したいと思っています。
なお、水量については、水の需要、或いは水の供給ということで、単にこの淀川本川だけではなく水系全体の話ですので、淀川ダム統合管理事務所の榎村所長から説明頂きたいと思っています。
実は、6月2日の現地視察の際、是非、皆さま方に見て頂きたいビデオをバスの中で映そうと予定していたのですが、手違いで違うビデオになっていました。本日は説明の前に、淀川の生き物の生態について、簡単に冒頭の5分間でそのビデオをご紹介したいと思います。
このビデオは本日ご出席の紀平委員が撮影されたものですので、私よりも紀平委員にご説明して頂いた方がよいと思います。紀平委員、よろしくお願いいたします。
○紀平委員(淀川部会)
これまでの河川の調査というのは、淀川本川、淀川本流といった所で常に水が流れているところで行うことが多かったのですが、本流以外についてもこのビデオでは調査しています。
樟葉のゴルフ場、京阪の駅から淀川の方へ下り、そのすぐ左岸側に、寄り洲が大きく発達してできています。撮影した場所は、平常は完全な陸地で、5m、10mといった大きな木がたくさん生えている場所ですが、その中を縫うように水が入ってきます。これを仮に水路と呼んでいますが、この辺りから上流に5番ワンドというところがあります。淀川では、一番上流の楠葉ワンド群と言って、1〜5番ワンドとあり、ちょうど大谷川が合流するところ、ゴルフ場の一番上手の部分に楠葉1番ワンドがあります。それが最近は、本流の水位が下がったため、干上がっています。
私たちは、ワンドや淀川本流の調査をしていたのですが、3年ほど前にたまたまこの樟葉の林の中を通った際、増水して溜まりができていました。その溜まりを調べたところ、稚魚が23種類もいたのです。なぜこのようなところに稚魚が、それも生まれたばかりの稚魚がいたのかはわかりませんでしたが、この辺りを産卵場にしているに違いないと思い、3年前から調査を開始し、現在も続けているわけです。
特に驚いたのは、ビワコオオナマズというナマズがこの水路に入って産卵をしていることです。ビワコオオナマズは琵琶湖固有種です。今までは、琵琶湖で繁殖したものが淀川に流れてきて、わずかに生息していると考えられていたのですが、このようなところに入ってきて産卵しているのを確認して大変感激いたしました。
親を確認したところ38種類がこのような水路に入ってきて、水が増水するとナマズ類が先ず入ってきます。時期にもよりますが、3月の増水の頃ならフナ、コイ等が見られるようになります。とにかく、38種類の生物がこういうところを利用していることが今回わかり、その一部をビデオで短くまとめましたので見て頂きたいと思います。
通常、水路ができるのは年に3回ないし数回くらいです。今年はまだ2回しか水路ができていません。それでも、ナマズ等は特にこのようなところを好んで産卵していることがわかっています。ちょっと増水すれば水路ができ、この場所を利用しています。水位が下がると溜まりができ、稚魚がたくさん取り残されています。次の増水で再び本流に戻るということで、実は、本流自身で供給される量よりも、砂洲を利用したり、或いは仮に中水敷と呼んでいるところを利用したり、低水敷の水に浸かった部分が魚の産卵によく使われているのだということがわかってきました。
それではビデオをお願いします。

[省略:VTR説明]
以上でございます。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

どうもありがとうございました。
本日は生物の話をするということで、データで示すより、どのように生物が生きているのか、実際にビデオで見て頂きたいと思い、紀平委員にご説明をお願いいたしました。
それでは、本題に入り、生態系の話から説明したいと思います。

[省略:淀川水系の現状説明(生態系、河川利用(水質))]

生態系から水質まで、説明させて頂きましたが、水需給については淀川ダム統合管理事務所の榎村所長から説明させて頂きます。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川ダム統合管理事務所長 榎村)

引き続きまして、水利用量関係の説明をさせて頂きます。
先ほどまで、宮本所長の方から環境、生物、植物、水質の説明がありましたが、その説明の後で、水量という、数字が出てくる説明をすると、あたかも河川を用水路のように見ているのではないかといった印象をもたれる方もいるかも知れませんが、これはそのような意味ではありません。
我々人間と河川は、非常に多様な関わりをもっています。その中で水量の話をするということで、それを模式化すると、どうしても数字の話になってしまいますが、その点はご容赦願いたいと思います。

[省略:淀川水系の現状説明(河川利用)]

説明は以上でございます。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

高水敷の利用、舟運等、いろいろと説明すべき内容がまだ残っていますが、時間がございませんので今回はここまでにさせて頂きたいと思います。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

それでは、これより意見交換に入りたいと思います。
河川管理者の方もまだまだ説明し足りないということですが、またの機会を見て、足りない部分を説明して頂きたいと思います。
本日は、第1回淀川部会では全体的に治水、利水の関係を説明して頂き、第2回淀川部会で現地視察をして頂きました。その現地視察の後、再度、環境について詳しく、また、水利用についての説明を頂いたわけです。
では早速、意見交換に入りたいと思います。皆さま、いろいろとご意見があろうかと思いますので、どんどん言って頂きたいと思います。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

本日は(魚の生態への影響についての解説などなり)大変感動しました。これまでの説明の中で、一番よかったと思います。感激しました。問題が少しずつ見えはじめたという感想を一言、最初に述べさせて頂きます。
それから、今朝の朝日新聞の第1面に、海での環境ホルモンの影響が重大で、魚のメス化があちこちで進んでいるという記事が載っていました。
恐らく、皆さまはご承知だと思いますが、これは大分以前から生物学者の中では問題視されています。本日のご報告の中でも、環境ホルモンについては心配だという淀川工事事務所長からのお話もありました。
淀川の水量が大阪湾にどの程度、影響を及ぼしているのか、心配していたのですが、海に対する環境ホルモンの影響は、淀川水域だけでどれ程になるのか、わからないのでどうしようもありませんが、大阪湾では以前から言われています。
その辺について、淀川工事事務所長の方で、何かよいデータをおもちであればご紹介して頂きたいと思います。(川の海への影響もチェックすべきという視点のアピール)

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

大阪湾の環境ホルモンに関するデータがあるのかどうかわかりませんが、現在、淀川工事事務所ではもっていません。

○川上委員(委員会・淀川部会)

大阪湾の環境ホルモン、或いはダイオキシン等について、私はかなり関心をもっています。
かつての建設省から現在の国土交通省に組織編成され、運輸省の港湾部門と一緒になられたわけですから、省内での連携を通じて、是非、そのような資料も頂戴できたらと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

恐らく、運輸省の港湾部門だけではなく、大阪湾全体ですので、川上委員がおっしゃる大阪湾の環境ホルモンやダイオキシン等に関する資料があるとすれば、大阪府や兵庫県の環境部局がもっていると思います。その辺を調べ、資料があれば、次回、ご報告したいと思います。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

瀬戸内海には、瀬戸内海保全協会という組織があり、水質の問題等についてもかなり調査しているのではないかと思います。データ等を調べて頂き、お話して頂けるような機会があれば、また説明して頂きたいと思います。

○渡辺委員(淀川部会)

6月2日の現地視察と、先ほどの紀平委員のスライドを見せて頂いたのですが、少し質問をさせて頂きたいと思います。
現地視察の際に淀川工事事務所長からの説明にもありましたが、宇治川で腹と口に爛れのようなものができたオイカワが大量に発生したという話は、一昨年に宇治川漁協を通して、我々の上桂川漁協に情報として入ってきました。その後、このような魚はまだ依然として宇治川にいるのかどうかを、まずお聞きしたいと思います。河川管理者、或いは委員の方で、ご存じの方がいらっしゃいましたら教えて頂きたいと思います。
それからもう1つ質問したいことがあります。最近における淀川のアユの溯上については、先ほどのスライドにもあったように、淀川大堰をかなりの数のアユが溯上しているということを見せて頂きました。アユは宇治川まで溯上しているという報告もありますが、木津川や桂川へのある地点までの溯上の実態を把握していましたら、お教え頂きたいと思います。
また、淀川では昭和30年頃からアユの溯上がなくなり、昭和50年頃から再び溯上するようになったと言われています。それは河川の水質の浄化が原因になるものと思われるのですが、他の遡河魚、サケやマス等のデータがあれば、これも委員なり河川管理者の方から教えて頂きたいと思います。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

宇治川の魚、淀川のアユの溯上等についてご存じの方はいらっしゃいますか。

○川上委員(委員会・淀川部会)

先ほど、紀平委員から淀川大堰の魚道改善のお話がありましたが、森下委員(猪名川部会)の著書『生物からのメッセージ 川と湖の博物館(5) バイオロードの生物』に、魚道が改善される前から、年間3〜4万匹くらいのアユが遡上していると書かれていたのを見たことがあります。
木津川では、やはり大阪湾から溯上したと思われるアユが結構捕れているように聞いています。ただ、木津川でも漁業協同組合が琵琶湖のアユを放流していますので、本当に遡上しているのかどうか、その辺りの判別が非常に難しいと思います。
イタセンパラが木津川の下流で発見されたということを、確か紀平委員のお弟子さんで小川力也さんという方から6年くらい前に聞いたことがあります。これは、本日お話のあった淀川の冠水頻度の低下と関係があって、イタセンパラが木津川に安住の地を求め、溯ってきているのではないかと考えられます。
淀川のイタセンパラは、淀川工事事務所の手厚い保護を受けていると聞いていますが、年間何回かパトロールをしていらっしゃるのでしょうか。木津川のイタセンパラについては、まだ公的には認められておらず、何の保護も行われていないという問題があるのではないかと思います。
それから、私は名張に住んでいますが、かつて高山ダム、大河原発電所、それから相楽発電所等の堰がない頃は、1尺くらいのマスが名張川にも上がってきていたと言われており、恐らく降海型のサツキマスではないかと思います。
名張川の沿岸に、宇流富志祢神社という古い神社があるのですが、ここの祭神に宇奈根神があります。宇奈根神というのはウナギを神様として祀っているということですが、大阪湾からウナギが上がってきて、その恩恵を受けた人たちが、感謝の気持ちを込めて神様に祀っているのだと思います。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

昭和30年頃にはアユの溯上がなくなって、昭和50年頃から溯上が見られるようになってきたというお話がありましたが、水質の問題はどうなっているのでしょうか。

○紀平委員(淀川部会)

私は昭和46年から淀川の調査をはじめたのですが、昭和46年頃にはアユは全く捕れませんでした。昭和49年頃、噂では長柄可動堰周辺で漁師が投網を打って捕っているという話を聞きました。現在の長柄橋に可動堰があったのですが、昭和50年に実際に行ってみて、そこで投網を打ってかなりアユを捕ったことがあります。その頃から淀川にアユが上がっているということを、新聞でも何回か取り上げられたと思います。
その後、昭和58年には淀川大堰ができ、それ以来ずっと淀川大堰の魚道調査をしています。この頃はアユのための魚道ということで、当時は立派な魚道だと言われました。しかし、先ほどのような不備な点があってアユが上がれないという状態がありました。森下委員の話では、4万匹くらいのアユが上がっているのではないかということですが、私はもっと上がっていたと思います。
現在の状況ですが、今年は毎日、楠葉で様々な大きさのアユが捕れます。下流の方でも、ちょっと流れのあるところで投網を打つとアユが捕れます。今年は淀川では、異常なほどアユが捕れています。

○谷田委員(淀川部会)

生物を考える場合、琵琶湖・淀川水系は、日本の他の河川とはかなり性格の違った場所だということを、深く認識しなければいけないと思います。
他の河川であれば遡上すればよいということで話が済むのですが、琵琶湖にいるアユは、海から遡上してくるアユとは全然違うということです。それから、琵琶湖にいるビワマスも、古い推定だと、いわゆるサツキマスやアマゴ系から100万年以上も前に琵琶湖で分かれたということになっています。
遡上しないよりは遡上した方がよいのですが、琵琶湖のもっている非常に長い歴史、100万年を超えるだろうと思われる魚類、水生昆虫、底生動物の固有性が、どのように担保されてきたのか私自身もよくわかりません。しかし、他の河川と違っていることは確実です。そういう意味で、この水系の保全には大変深い配慮が必要です。
もちろん、純淡水魚のイタセンパラの問題はもっとはっきりしてますが、廻遊性魚類では、どんどん上がってきたことによって、逆に危ない面もあるかも知れません。本日、紀平委員のお話を聞いて、もしかしたら、琵琶湖だけの特産種といわれていたビワコオオナマズも、かなり古い時代から琵琶湖・淀川水系として、固有種として成立していたのではないかと思いました。
淀川の問題としても、琵琶湖・淀川水系の非常に高い固有性と歴史性を保全しながら、海との往復を確保するという、他の水域にはない特殊問題が常にあるということを頭の中に入れておかなければ、人間の浅知恵が固有性を潰してしまう可能性もあるのです。これは、気になるところです。
どのようにして琵琶湖のアユと海産アユとの隔離が行われるのかを、私はあまり勉強していないのでわからない面もありますが、人の介在はちょっと怖い事でもあり、大事な問題だと思います。

○紀平委員(淀川部会)

琵琶湖へは天ケ瀬ダムがありますので、殆どアユは上がっていないと思います。

○谷田委員(淀川部会)

天ケ瀬ダムができる以前から淀川と琵琶湖が分断されているはずなのですが、それがわりません。

○紀平委員(淀川部会)

淀川は昭和58年頃、或いはもう少し後から現在まで、透明なアユが4月、5月にも捕れます。ですから私は、琵琶湖の小アユではなく、淀川の小アユが、もしかするとこの淀川大堰の冠水域で発生しているのではないかと推測しています。
実は、滝畑ダムでは実際にアユのサイクルが起こっています。銀毛化したアユで、超小アユです。最近、あちこちのダムで、琵琶湖の小アユではなく、もっと小型の、超小型のアユが再生産されている話をちょくちょく聞きます。淀川でもそういう現象が起こっているのではないかと思います。
淀川でも毎日、小型の銀色のアユが捕れますし、大きなアユもとれます。大きなアユは海から上がってきたものだと思うのですが、何となく近年、淀川の冠水域で、小アユ化が起こっているのではないかという感じがしております。

○谷田委員(淀川部会)

琵琶湖のアユが淀川に下ってきたのではなく、海産アユの小アユが見られるようになったということなのでしょうか。

○紀平委員(淀川部会)

木津川や宇治川の京滋バイパス下の砂洲では夏にアユが大産卵しています。木津川の泉大橋から下手の精華町の辺り、それから山城大橋辺りの砂洲でも産卵をしています。流下ネットにゴミが入ってなかなか確認できませんが、精子がだらだらと出る親アユが何匹も捕れます。嵐山から少し下手にある松尾橋の辺りでも産卵をしています。
孵化したものが海まで下りず、大堰が無い頃は河口近くの砂礫帯で産卵していたと思います。ところが、淀川大堰ができた後、そのような場所は無くなり、淀川大堰のために直ぐ下の川底が深く抉られ、その下手に急に浅くなったところができました。そこは潮が引くと砂地が出て、一時、産卵していた時代があります。海産のアユは、本来は河口域の浅い砂礫底で産卵すると思うのですが、異変が起こっています。

○谷田委員(淀川部会)

紀平委員は非常に大事なことを言われたと思います。我々は、すぐ遡上する方を気にしがちなのですが、逆に、海に下れないように、我々人間がサイクルを断ち切ってしまったわけです。短期的にはそれで通用するのでしょうが、生物の長い歴史性を考えると、それはやはり異常なことなのでしょう。

○紀平委員(淀川部会)

異常だと思います。

○谷田委員(淀川部会)

やはり海まで戻してあげないといけませんね。

○紀平委員(淀川部会)

そうですね。
それと、昭和12年の農林水産省のデータによれば、淀川ではサツキマスが76トンの漁獲量があり、日本一でした。その当時、枚方辺りのお年寄りはカワマスと呼んでいましたが、それはサツキマスのことだったと思います。
先ほど、昔、木津川上流でサツキマスが捕れたという話は納得できると思います。アマゴのマスがサツキマスで、ヤマメのマスは日本海側ではサクラマスです。ですから淀川には、アマゴのマス、サツキマスが、ビワマスとは全く別個に存在していたと思います。

○山岸委員(淀川部会)

この部会で何を話せばよいのかよくわかりませんが、まず、国土交通省が河川法を改正し、治水、利水、環境の3本柱にしたということには敬意を表します。
本日は環境のことをご説明頂いたのですが、環境となると、何を言ったらよいのかわからなくなってしまいます。治水や利水であれば、簡単に国土交通省を訴訟できるわけです。例えば、治水に関して言うならば、洪水が起きたら、「国土交通省は水を治めていないではないか」という理由で訴えることができます。利水についても、天災といえば天災なのですが、きちんと計画を立てて水を分配しなさいということで文句を言えます。しかし、環境となると、どうやって訴えてよいかわからないわけです。
これは何故かというと、どういうところに環境の目標があるのか、国民にもわからないし、国土交通省にもわからないからです。今のままでは訴えようがありません。サクラマスがいないから、或いはビワコオオナマズがいないからといって訴えてよいのか、さっぱりわかりません。
ですから、環境のことに関して、恐らくこれから問題になるのは、どういう目標をつくっていくのかということだと思います。本当に稀少な種類だけを相手にすればよいのか、環境の問題になると、この堰を上がれないとか、このワンドがこうなったとか、この場所にはこの種類がいなくなったといった具合に、話が非常に局所的になります。しかし、環境というのはそうではないような気がします。もう少しトータルとしての目標を立てなければいけないと思います。その辺りについて、どうお考えになっているのかをお伺いしたいと思います。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

河川管理者の方にご説明頂きましょうか。

○山岸委員(淀川部会)

河川管理者の問題ではないかも知れません。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

河川管理者の問題ではないかも知れませんが、淀川工事事務所長の考え方を、少しお伺いしたいと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

私の考え方を申し上げると、山岸委員がおっしゃったように、環境保全の目標をどうするのかという話だと思いますが、実ははっきりと申し上げますと、現在はその目標はありません。
私は、この淀川水系の河川整備計画を議論する際、現状を皆で共有化し、課題を共有化したいと言ったのですが、例えば環境に対する課題は、恐らく本日の委員の方々も、いろいろなご意見があると思います。それから、広く住民の方々もいろいろなご意見があると思います。
皆さまからご意見を頂き、できるだけ環境問題について共通の課題の共有化を図り、それができてはじめて、ではこうしようではないかという議論に移れるのだと思います。例えば10年後、20年後、こうしようではないかという、先ほど山岸委員がおっしゃったような目標が浮き彫りになってくるのではないかと思っています。
私はそういう意味から、この淀川水系流域委員会の中での議論を通じ、山岸委員がおっしゃったような、淀川の今後の環境整備の目標が出てくるのではないかと思っています。

○田中委員(淀川部会)

三川合流より北の賀茂川流域の問題について、現在の環境問題も含めて意見を申し上げたいと思います。
20世紀後半の日本列島改造論、或いはリゾート法というひとつの大きな公共事業開発がありますが、そのような推進も、或いは川のとらえ方も、先ほどから出ていました水資源開発、或いはダム開発を中心とした時代の流れがあったわけです。それは、経済優先の河川開発が発想の主流だったからだと思っています。
その一方で、森・川・海といった生態系の母体を非常に軽視してきたツケが、いろいろな意味で現在問われている時期だと思っている次第です。河川整備、洪水、或いは水害等の危険意識も非常に大事ですが、より危険なのは、やはり汚染の問題であると思っています。
先ほどから、水質はある程度クリアしているとの説明がありましたが、何に対して水質がクリアしているのでしょうか。人間に対してクリアしているのか、それとも全ての生命、生物に対してクリアしているのか、大きな問題を投げかけていると思います。
先ほど、海での環境ホルモンの影響が重大であるといった新聞記事の話が出ましたが、既にワニや貝の生殖器にみられる異常も、水質汚染から、或いは環境ホルモンから引き起こされていると言われています。そうした意味で、私も賀茂川上流の問題について、10数年前からいろいろと関わってきましたが、川を思いやる等、やさしい気持ちで川に接するという気持ちがだんだんなくなり、人間中心的に川を操作する、或いは川を技術的に人間の利便のために使うといった志向が大きかったのだと思っています。
実際、賀茂川上流域における産業廃棄物や野焼き、大量の残土投棄等、目に余る行為がずっと続いており、無法地帯であるという人々の声もありました。自然豊かな上流域にこそ大事な川の流れがあり、水が上流から下流に流れる以上は大事な環境であり、上流は人目に目立たないから、或いは人家がないからといって、どんどん開発していくのは非常に大きな問題だと思います。
明らかに従来までの河川法に違反したり、或いは砂防法に違反していても、なかなか行政は立ち上がって改善したり、きっちりとした指導をしない。むしろ、ごね得の業者に知恵を貸す、或いは手を貸すという結果となっていたわけです。
各河川の上流にも、いろいろ同じような問題を持っているところがあると思いますが、森林河川や山村河川は、先ほどからも淀川の問題で出ていましたが、水に浸かったり水がなくなったりする川辺の法面は非常に大事な場所ですが、結局、その法面を不法開発し、その後はコンクリートで直角に水路にしてしまうといった形態がずっと今までの流れであったわけです。
このようなことから、例えば、野焼きした際に発生するダイオキシン問題、燃やした後の大量の灰が下流に流れる、或いは河床もどんどん変化する等、悪化するばかりです。また、蛍が数年前までは大量に飛び交っていたのですが、近年、激減してしまいました。アユはだんだん元気がなくなり動きも鈍くなっています。アジメドジョウという非常に珍しいドジョウも生息していたのですが、これも近年なくなっています。
このような環境変化の中、人間本位の考え方ではなく、我々は川への思いやりだとか、一昔前は水への信仰や川への信仰にみられたように、精神的な拠り所として心に宿っていたと思います。
現在はそのようなものが欠けています。環境というのは生きる命のための環境ですから、遠回りですが、これからは若い人たち、子供たちへの教育が非常に大きなポイントになってくるのだと思います。川への思いやり、畏敬の念といったものが、小さな頃から意識として芽生え、認識をもって頂くということは、子供たちが大きく成長したときに市民として、或いは行政の担当者として、しっかりとした認識をもって河川整備に携わってもらえるのではないかと思います。これからは、そういう問題が一番クローズアップされなければと思っています。
そのような意味から言えば、河川を1本の線として考えるのではなく、大きな面として考えていくべきだと思います。例えば、先ほど申し上げた環境問題については、環境省、或いは農林水産省の問題にもなりますし、山のことになれば林野庁も関ってきます。或いは、子供の環境ということになれば文部科学省も当然関わってきますし、国土交通省も関わってくるわけです。ですから、国全体で横の線で連携を図り、早急に携わっていかなければ、大変なことになるのではないかと私は思っています。
そういった意味においても、昔から日本が培ってきた治山・治水というひとつの哲学を、もう一度我々がしっかりと再認識していく必要があると思っています。残された自然のシステムの豊かな森林河川、山村河川の環境保全に努力すべきだと思います。

○寺田部会長(委員会・淀川部会)

山岸委員から少しご質問がありましたので、もう一度、再確認的なお話をしておきたいと思います。
実は、第1回淀川部会の際、各部会と委員会の関係について、部会としてどのようなことを、どういったスタンスで進めていけばよいのか、皆さまで意見交換し、ある程度の方向づけを議論しました。
先ほど紹介した資料1「第3回委員会の概要」においても、そのことについての考え方が少し出ていますので、ぜひ資料1をご覧頂きたいと思います。
山岸委員がおっしゃったように、平成9年の河川法改正によって流域委員会がつくられたのですが、要は、この流域委員会としては、従来にあった、例えば河川管理者が示す意見に対して意見を述べるとか、もしくは河川管理者に何か説明を求めるといった、いわば受け身的な審議会的な委員会を目指しませんし、そのような委員会は行いません。つまり、自らどういう役割を果たすかをこの流域委員会の中で模索していこうではないかということを委員の皆さまで共通認識としたわけです。
そういうことで、今年の秋頃までは皆で淀川水系の現状についての共通認識を持つため、現地視察を行い、また、お互いに学習をしようということで、当面、この委員会を進めていくことになりました。そこで、第2回淀川部会において、まず淀川本川の現地視察をさせて頂きました。委員の皆さまは専門家の方ばかりですが、ご専門の部分を除いては、いわば素人と言ったらよいと思います。私は全部素人ですが、そういう点で、当面はいろいろな角度から学習をしたいと思っています。
これは後ほどお諮りすることですが、次回の第4回淀川部会では、残っている木津川と桂川の現地視察を少しでも早い時期に行いたいということで、委員の皆さまにスケジュールのお問い合わせをさせて頂きました。とにかく、現地を見た上でものを言わないといけないのではというのが、これも皆さまの共通認識でしたので、なるべく早く現地を見て、いろいろと感じたことを部会で、委員の皆さまの印象でも感想でも、何でもよいから発言して頂こうということになりました。本日はまだ第3回目の部会ですが、かなり活発に委員の皆さまからご意見を出しはじめて頂いたので、大変ありがたいと思っています。
本日はたまたまですが、紀平委員からVTRを用いて、いろいろお話を伺い、私も大変参考になりました。これは提案ですが、委員の皆さまは専門家の方々の集まりですので、本日、紀平委員からあったご説明のように、次回の部会からはそれぞれの委員の専門分野のお話を、できれば1回の部会で1〜2人の委員にお話を頂きたいと思っております。そうすることによって委員全員で学習を行い、共通の基盤をつくりたいと考えています。それを秋頃まで続けていけば、我々の役割、検討課題の輪郭が少しずつ見えてくるのではないかと思います。
現在のところは、確かに山岸委員がおっしゃったように、環境というのは非常に守備範囲が広く、どこからアプローチしてよいのかわからないという一面があります。しかし、淀川水系に絞った、また現地視察をした中で、絞り込みがある程度できていくのではないかと思います。どういうところに大きい検討課題があるのか等、もちろん河川整備の今後のあり方を通しての話ですが、それがある程度、委員の皆さまで共通に見えてくるような形で学習を続けていきたいと思っています。
このような感じでスケジュールを考えていますので、山岸委員もお忙しいとは思いますが、今後とも、是非、ご参加頂き、いろいろな角度からのご意見をお出し頂ければ大変ありがたいと思っています。できれば次回部会から、1〜2人の委員の方が順番に、自分の得意分野の説明をして頂き、我々全員がレクチャーを受けるという試みをやっていくというのはどうでしょうか。

○川上委員(委員会・淀川部会)

大賛成です。私がトップを切ってやらせて頂きたいと思います。

○寺田部会長(委員会・淀川部会)

是非お願いします。

○川上委員(委員会・淀川部会)

木津川論というか、是非、やらせて頂きたいと思います。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

どうもありがとうございました。
実は、本日この会場は、後の予定が詰まっており、時間的にあまり余裕がないということを庶務から聞いています。本日、ご出席になっている委員の方々で、まだ何も発言されていない方がいらっしゃり、ご意見を聞きたいのですが、時間的に少し難しいようです。
先ほど田中委員から、時間をかけて議論してもなかなか議論しきれないような、大きな問題を提起されましたが、次の審議に進めたいと思います。
次回の現地視察について、資料2「次回現地視察の出欠状況とご意見」に、委員の出欠状況が示されています。この表を見ると、8月に第4回淀川部会、第5回淀川部会を開催し、木津川と桂川の現地視察をこの2回に分けて実施したいということになっています。資料2にある出欠状況を見ると、8月9日と8月19日は多くの委員の皆さまにご出席頂けるようですが、日程はこれで決定してよろしいでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

ご案内する方の都合を申し上げますと、木津川上流部である三重県と京都府を1日で全部見るのは、私は無理だと思っております。木津川上流を見るのであれば、それでほぼ1日を要するのではないかと思います。
もうひとつ、木津川の笠置から京都府にかけて、そして桂川の嵐山から下流にかけての両方は、うまく行程を組めば1日で見られるのではないかと思っておりますので、もし2日頂けるのであれば、木津川の三重県側を1日、木津川の下流部と桂川の下流部を1日で視察するということで、行程を組ませてもらえればよいのではないかと思っています。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

河川管理者から提案がありましたが、何か意見はございますが。

○川上委員(委員会・淀川部会)

私も全くそのように思っています。木津川上流部と中下流部は全然性格が違いますし、流程が長いものですから、1日で両方、木津川全体を見るというのは少し無理だと思います。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

上桂川はどうですか。京北町の方の桂川上流に行く際の日程はどうですか。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

亀岡から上流を含めますと、木津川と桂川を1日で見るのは難しくなります。もし上桂川、日吉ダムの辺りまで見ようとすると、もう半日くらい必要ではないでしょうか。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

先ほどのお話で、一応、直轄管理区間の区域等がありますし、これからまだもう1回くらいは、別の地点の現地視察の日程を組んでもよいのではないかと思います。取り敢えず、8月9日と19日で考えましょう。

○山本委員(淀川部会)

先日の現地視察も非常に有意義でした。バスの中での河川管理者の方からのご説明もよくわかりましたし、そのときに河川管理者の方以外の、委員の方々の一言、二言というのも、いろいろ考えを深めていくのに非常に有効だったと思います。
先ほど寺田部会長からの話にもありましたが、1回ごとの部会で専門の分野をご説明頂くということもあるのですが、できれば現地視察の前に、視察先のご専門の方に資料等を配布して頂き、対策を行って欲しいポイント等を、河川者管理者の方以外の方からの意見等として、出して頂けたらと思います。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

例えば、木津川上流の視察の際には川上委員に資料を出して頂くということですね。木津川下流と桂川下流であれば、どなたに情報を出して頂くとよいでしょうか。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

渡辺委員がよいですね。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

では、そのようなことを考えながら、現地視察を行う前にできれば資料を配って頂くということで進めたらどうかと思います。例えば、木津川を視察する際は、木津川がご専門の川上委員には時々説明にも加わって頂く等、臨機応変に段取りを考えたらどうかと思います。
後はスケジュール的な話として、どの日程を、どちらのコースに充てるのか、何時に集合して、行程の内容等をどうするのかについては、河川管理者の方がよくわかっていると思いますので、一任したらどうかと思いますがいかがでしょうか。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

私どもは未だ行程を組んでいませんが、8月9日と19日を現地視察に充てるということであれば、例えば9日を木津川上流に行き、19日を木津川下流、桂川下流に行く。或いはその逆なのか、その辺くらいまでを委員の皆さまに決めて頂くと、再度我々の方で視察行程案をお出しし、部会長とご相談したいと思います。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

先ほど話をしていて気付いたのですが、第4回淀川部会は8月9日、もしくは8月11日ですが、11日にも出席できる委員がたくさんおられます。この日を活用することもできないことはないですね。ですから、この際、一挙に3つ現地視察を行うという考え方もあり得ると思いますが、いかがでしょうか。

○寺田部会長(委員会・淀川部会)

2回の現地視察で8月が終わってしまうというのは、少しいかがなものかと思います。
つまり、現地視察を行った後の印象が鮮明な間に、できれば委員の皆さまで感想なり、意見なりを出し合い、そして、先ほど話のあったレクチャーも少し行い、まさに、部会を挿まないといけないのではないかと思います。8月は比較的時間がとれるときなので、やはり討議ができるような、意見交換ができる部会を1度は開催したいと思います。盛りだくさんになりますが、できれば2回の現地視察をやりたいと思います。
8月9日と8月11日の委員の皆さまのご都合を見ますと、お一方のみ出席できないとなっています。8月19日は3名の委員がご都合が悪いとのことですが、この3回のうち2回は現地視察に充て、1回は部会開催に充ててはどうかというのが私の提案です。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

大賛成です。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

しかし説明、審議等で会議時間がトータルで2時間というのは非常に短いと思います。大体皆さまが話し合うとなれば、やはり3時間くらいは必要であると思います。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

部会ですね。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

そうです。
もうひとつ。特にこの数年、先がけて川・水系のNPO、NGOは全国的にも河川行政の人たちと共に、現実の多くの問題点、多様なテーマを共有化しながら、少しでも解決すべく、その連携の信頼関係を築いてきています。ある意味、皆さまはそれぞれ現状を打開していく有り様を、それほどご存知でないのだと強く感じます。
しかし、ある意味ではNGOはもっと進んでいます。専門家も入り、これから河川をどうしていったらよいかということで、総合的に考えようとしています。その辺の認識をもう少しもって頂きたいと非常に感じました。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

先ほどの話から、一応8月9、11、19日の3回に現地視察と部会を開くということで決定してよいでしょうか。

○渡辺委員(淀川部会)

先ほど上桂川の話も出ましたが、上桂川の現地視察も考えに入れて頂けるのでしょうか。
第1回淀川部会の頃から委員の方が言われていたことですが、いわゆる直轄管理区間を基本にという計画ですが、直轄管理区間だけではなく、川を上流から下流まで1本として考えた場合、やはり直轄管理区間外にあたる上流も外さずにやっていくことが必要ではないかという話がありました。
時間的なこともあると思いますが、河川管理の原則として、取り敢えず一級河川は国土交通大臣、二級河川は都道府県の知事で、その他は市町村長が管理をしています。特例として、水資源開発公団のダムの関係部分等がありますが、桂川上流、日吉ダム周辺、日吉ダムの上流の世木ダムから上流8.5・くらいまでは日吉ダムの管轄になっています。いわゆる直轄管理区間に入ると思いますが、それより上流はかなり重要な部分であると桂川水系の関係者は認識しています。その意味からも、2回目、3回目の視察を現在決めておられますので、もしできれば4回目の視察には、その部分も入れて頂きたいというのが切なるお願いです。

○谷田委員(委員会・淀川部会)

場所の議論についてですが、やはりエリアではなく、琵琶湖・淀川水系で、現在ここが重要な場所で、ここの問題で淀川水系全体を議論できるような場所を選んでいかなければならないと思います。
例えば、上桂川では、芦生森林も含む世界遺産の登録にもつながるような話で、これも非常に大事な問題だと思います。木津川上流では何を問題にするのか、ダム群の問題にするのかというテーマを設定して頂いたらよいと思います。1カ所でしっかり議論しなければ、丸一日が潰れてしまいます。
前回、本川の視察は非常に上手にして頂いたのですが、次回からはテーマと、どこに重点を置いて視察するのかを十分に検討して頂かないと、何でもかんでも詰め込んで走り回って終わりということになり、つまらないと思います。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

一応、全体を1度見てみることも大事ですね。

○谷田委員(委員会・淀川部会)

ローカルな話を知ることも大切ですが、それだけの時間が我々にはありません。やはり流域にとって重要な場所を、きっちり議論するのであれば、逆に、じっくり時間をとって見た方がよいのではないかと思います。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

重要なポイントは一応含んでおくが、その問題がクローズアップされた際、もう一度、しっかり見るということも必要かも知れません。

○渡辺委員(淀川部会)

谷田委員の言われることはよくわかりますが、例えば本日もお越し頂いている地域の特性に詳しい委員の「地域」とは、恐らく直轄管理区間の区域に住んでいて、その地域に詳しい委員という意味合いで選ばれた方ではないかと思います。そういう意味からも、河川は上流から下流まで1本として考え、それはなかなか広範囲なのでスケジュール的にかなり無理があるかと思いますが、なるべくその辺りも配慮して頂きたいと思います。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

実は淀川を見た後、琵琶湖も見ないといけないと思い、琵琶湖部会の現地視察にも1度参加しましたが、やはり見てよかったと感じています。だから、上流の方を見るという機会は設けたいと思います。
しかし、時間の調整が難しいので、8月9、11、19日ということで考え、そのうちの1日はゆっくりと議論する日として設ける。取り敢えずそのような形で進めてはどうかと思います。桂川上流については、また別途考えるということで、できるだけ焦点を絞って大事なところ見られるようにスケジュールを組んで頂くということで進めたいと思います。

○倉田委員(委員会・琵琶湖部会)

先ほどの上桂川を弁護するわけではありませんが、京都府が管轄している日本海側の河川について、最終的な責任を私は持たされています。
そういう点で河川を見ると、漁業の面で特に重要な河川は、上桂川と木津川上流です。これは典型的に違います。どうしても見なければならないところを2つ選べと言われると、そうなります。3つ選べと言われたら淀川本川です。

○塚本委員(委員会・淀川部会)

その通りだと私も思います。

○小竹委員(淀川部会)

広報的な報告をさせて頂きます。
先ほど田中委員の意見の中で、学校教育、地域の子供たちを対象とした教育が大切であるとありましたが、人間として、水・海・川を見る情緒といった人生の問題があると思います。
本日はNHKで17時から30分間、淀川の河川についての放送があります。また、今朝、大阪日日新聞で大きく淀川の河川について、紙面の3分の1を使って国土交通省の河川、そして一部には私とイタセンパラ研究会の小川力也さんが載っています。
このようにこつこつと、いろいろなよい意味でのPR、特に20年先に世の中を背負って立つであろう子供たちを対象に、淀川を利用させて頂いています。先日、池田の小学校で殺人事件が起きた同じ時間帯に、私は木川南小学校の100人の子供たちを連れて河川敷へ行き、じっくり4時間歩きました。それを大阪テレビが取材、放映してPRとなりました。皆さま方が頑張っている姿も言いましたので、ご報告させて頂きました。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

どうもありがとうございました。

○荻野委員(淀川部会)

私も、「群盲の象を撫でる」という感じでお話しさせて頂きたいのですが、淀川ダム統合管理事務所長がご説明されたような後半のテーマも、非常に大事なことではないかと思います。
淀川に関する第1次的な責任は河川管理者にあり、よい施設を建設するなり、その施設をどう操作すればよいのか等、例えば我々委員が河川管理者に対してご意見を申し上げるというスタンスでいくのか、それとも非常にバーチャルに、自分が河川管理者になったつもりで、こんなことをやってみよう、といった提言のようなものを考えていくのかを整理しなければ、あまりにも問題が広範になり、テーマも広がります。地域的にも同じことが言えます。
例えば、本日の淀川ダム統合管理事務所長のお話で、渇水の説明がありましたが、淀川本川の渇水問題なのか、琵琶湖周辺の渇水問題なのか、それとも各支川における部分的な渇水問題なのかという整理が全然つかないまま、お話をして頂いても、聞いている方は確かに何かつながっているように思えても、専門家の端くれにいる人間からすると、全然つながらない話が同時に出てしまうわけです。
それと、このような場で説明して頂くのですから、もう少し時間を確保してきちっと議論ができるよう、少し整理した方がよいのではないかと思います。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

その点については、時間を有効に使って議論が十分でき、しかも、実のあるような議論となるよう考えていかなければいけないと思います。

○寺田部会長(委員会・淀川部会)

8月9、11、19日の3回はとにかく現地視察を行うということでいかがでしょうか。先ほどの議論から、できるだけ現地を視察しておきたいと考えました。現地を見た中で、いろいろなことを学びたいということがありますので、1回は木津川上流域、もう1回は木津川下流と桂川下流域、もう1回は桂川上流域とし、3回の現地視察のうち、どこかで委員による意見交換の時間として2〜3時間確保するということでいかがでしょうか。
委員の皆さまの印象が鮮明なうちに、いろいろと意見交換を行うことを、3回のうち、2回目か3回目の現地視察の際にドッキングさせて行うという案で、1度、庶務と部会長、部会長代理、河川管理者と一緒にプランをつくり、委員の皆さまにご提案をしたいと思いますが、それでいかがでしょうか。
また8月中にはできないとしても、9月早々にはこのようなオープンな形での部会をなるべく早く行い、そして、ほぼ全域を見たところでの皆さまのいろいろな意見を自由な立場で議論して頂くということで進め、まとめたいと思いますので、ご了解頂きたいと思います。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

そういうことでよろしくお願いいたします。
では、一般傍聴者からの意見聴取として、時間を少し取りたいのですが、傍聴席の方からご意見なり何なりありますでしょうか。

○傍聴者(岡)

大阪市内に住んでおります岡と申します。
要望としてぜひ取り上げて頂きたいことがあります。既に話やデータとして出されていたら申し訳ありません。淀川の河川公園についてですが、今後、現在の面積の4倍から4倍半くらいまで、河川公園の面積を広げていくという数字が出ていますが、その計画内容と予算、またその中で自然環境の保全についてはどう考えておられるのか、データで出して頂きたいと思います。
何故かと言いますと、環境保全は経済的、社会的な側面と切り離せないからです。これまで200ヘクタール余りをいろいろと整備されているわけですが、今後の計画では、そのような投資を、どのように国土交通省が見積り、それによって環境がどのように影響を受けるのかという面も、データとして、或いは議論の中に盛り込んでいかなければ、生態系や水質等の議論だけでは済まされないと思います。従来の整備では、そういうことがなく開発されていってしまうという側面が非常に強いと思います。
ですから、今後の計画で、どれだけの土木工事といいますか、実施設計、実際の施工をどのように見積もっておられるのか等、データを出して頂きたいと思います。

○河川管理者(近畿地方整備局 淀川工事事務所長 宮本)

本日は時間がなかったので、河川公園については話せませんでしたが、昭和47年から整備していた河川公園について、現在、このままの方向で、また継続的に進めていってよいのか、或いは見直すべき部分は見直そうということで、昨年来よりフォローアップ委員会を開いています。その委員会から意見提言を受け、今年度から淀川の河川公園の基本構想を全面的に変えていきたい、見直していきたいと思っています。
ただし、河川公園の整備は、まさに淀川の河川整備と表裏一体です。基本構想の検討に際しては、淀川部会や、本委員会との調整をとりつつ、基本構想を再度作り直していきたいと思っていますので、それが出た時点、或いは中間段階でも情報はどんどん公開したいと思います。その辺を見て頂きたいと思います。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

どうもありがとうございました。
では、庶務の方から何か連絡事項等はありませんか。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

資料3「会議の運営に関する決定事項」をご説明する予定でしたが、時間もあまり残っていませんので、これは資料3をご覧頂くということでよろしくお願いいたします。

○桝屋部会長代理(委員会・淀川部会)

時間も迫っておりますので、本日はこれで終わりにしたいと思います。どうも長時間、ご苦労さまでした。
本日は意見を言われてない委員の方がおられるので非常に残念ですが、次回はたっぷり時間をとって、ゆっくりと皆さまからの意見を聞かせて頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。

○庶務(三菱総合研究所 新田)

それでは、これにて第3回淀川部会を終わらせて頂きたいと思います。ありがとうございました。

 

以 上


 

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