EPISODE06

昭和13年7月5日
阪神地方水害記念帳
(甲南高等学校校友会編纂)

昭和13(1938)年阪神大水害は平日昼間に河川氾濫・土砂災害が多発したことで、多くの学校が被害を受けています。
多くの方々からお寄せいただいた情報の一つに「甲南高等学校」が残した「阪神地方水害記念帳」がありました。「阪神地方水害記念帳」は、甲南高等学校の教授と生徒らが「阪神大水害」を記録としてまとめた冊子で、被害状況と復旧の過程が詳細につづられており、被害状況地図や数々の写真も収められ、水害の惨禍を生々しく物語っています。
 谷崎潤一郎が「細雪」で参考にしたのは、この冊子に収められた子どもたちの作文であり、「記念帳」は貴重な記録として扱われ、その後の防災計画で参照される資料となりました。
注)甲南大学HP「ひょうご歴史紀行」に一部加筆・修正
 また、記録については「阪神大水害」を銘記する碑が六甲山周辺に存在していますが、甲南小学校に「常ニ備ヘヨ」と刻まれた石碑が建立されています。これは甲南学園創立者の平生釟三郎が「阪神大水害」を機に、未曾有の自然災害に警鐘を鳴らすために残した言葉であり、約60年後の平成7(1990)年1月17日に発生した阪神・淡路大震災でも、平生の言葉はあらためて人々に想起されることになりました。この大震災を機に、大きな被害を受けた甲南大学と甲南高等学校・中学校の構内にも、この言葉が刻まれた石碑が建立されています。
注)学校法人 湊川相野学園HP「学園のあゆみ」を一部抜粋・加筆