NOTE04

田村 穆さん 男性

当時:生田川付近にあった中学校の3年生

加納町3丁目交差点付近の惨状
 学校には着いたが期末試験が中止となり帰宅。友人と2人で市電に乗ったが、加納町3丁目の交差点辺りは家の2階に届くほどの濁流が流れており、電車が途中で走れなくなって下ろされた。
 水の流れが少ない方を選んで北野坂を100mほど登った辺りの洋館の前で立ち番をしていた警官に声をかけられ、その屋敷の玄関前に避難させてもらった。
 警官の1人がロープを腰に結んで、坂の上から流されてきた老人を助けようと濁流の中を近寄っていったが、水の流れが強くなり、警官は老人と共に濁流にのまれてしまった。
 自分たちはただ呆然と見ているしかなかった。
 坂の上から見ると布引から加納町の市電通りでは濁流が渦を巻き、逃げ遅れた人が家の2階から助けを求めて手を振っていた。
 水害の後は学校の土砂の後片付けに1ヶ月ほどかりだされ、自分は過労で寝込んでしまい、2〜3週間学校を休んだ。