神戸市中央区

水は恐ろしい

 当時高校生で、日曜日でしたけど何かで学校に行って午後に自宅に帰ってきましたが、帰ってくるときにはもうかなり雨脚が強くなっていました。宇治川商店街は少し強い雨が降ると、水が道路を流れて店の中に入ってくるようなことが結構ありましたので、最初はそんなに慌てていなかったんです。でも、しばらくすると水がバァーって出てきだして、これは危ないなあと思って、商品を上にあげる、冷蔵庫をちょっとでも高いところへ上げるとかして、親父は車をかわしに行ったんですけれども、水で動かなくなっていました。物をちょっとでも高いところへ上げていたんですが、人の方が大事なので上へ上がっとけということで上へあがって、2階から窓越しに水の様子を見とくぐらいしかできなかったですね。
 夜遅くなってからは、水が上がってきて向かいのアーケードの上まできて、それが引いてからも大分いろんなものが流れてきていましたね。商店街ですから、いろいろな店の中の商品がみんな流れ出して、ほんとにいろんなものが流れてきました。すごいな、こんなに水が出るもんやなあと思いました。こんなに出たのは初めてやなあと。水の被害は毎年出ていましたが、出て膝くらいかなあ、それでも毎年一回か二回くらいは出ていました。
 昭和42年の水害以降は、いつも目詰まりしていた暗渠の工事が一気に進んで、それが完成してからは水の被害というのは一切出ていないです。
 水が引いてからも泥がものすごい積もってました。泥をどけるのにホンマひと苦労しましたね。水だけなら引いたらすぐ無くなるんですけど、泥が入ってきてましたからね。その泥の除去ということで皆大変でした。商品なんか皆ダメになりました。泥を除去するのに一ケ月くらいかかりました。水が大分無くなってからもマンホールなんか蓋が開いたままでしたから、変に歩いたら危ないということで、歩くこともあまりできなかったですね。倒壊はなかったですが、ビルが傾いたというのは一軒ありましたね。うちの店から神戸駅に向かう途中の信号のちょっと北側のところですけど。新聞にもよく載ってました。地震でもないのに水だけでビルが傾くんやなあ、水の力はすごいなあと思ってました。
 災害の備えは、今はもうだいたい津波ばっかしです。東南海地震の津波、あの対策っていうんですか、その対策は毎年一生懸命地域でやっています。神戸市でここまで熱心にやっているのはここぐらいではないかというくらい一生懸命やっています。最大で4mくらいの津波がくるのではないかということで、ブルーシートを4mまで上げて、こういう風にくるのかというようなシミュレーションを消防署と共にやってます。避難経路とかそういうものを想定して、聾唖の人とか目の悪い方の避難支援というのもやっています。また、それが終わったら炊き出し訓練などもやっています。