神戸市灘区

「川は楽しいだけじゃない」
先達の警告を伝えて・・・

 42年災害の時、被害は自宅に近い青谷川の周辺だけで、自宅には被害がなかった。青谷川の上流に茶屋がありまして、そのあたりもひどかったんですが、下流に行くと王子公園駅のちょっと東の高架に土砂やら流木が挟まって、川まで10m以上の深さがあったのが車道のところまで埋まっていました。それで阪急電車もストップしていたし、だいぶ巻き込まれました。私の知人も山登りをしていまして行方不明になりました。
 私は高架のところで行方不明者の捜索に参加したんですが、10mも埋まってましたからなかなか発見できないんです。それでも高架下はなんとか発見できたんですが、私の知人は発見できなかった。機動隊とともに私もシャベルをもって上流まで行ったんですけど、鉄砲水で流れてきたすごい石がごろごろあって、暑くて歩くことも石をどけることもできずに断念して帰ってきたんです。捜索するには、現場を把握してから行かないと意味がないですね。日本のみならず世界的に災害が増えていて、災害からは逃れようがない。それなのに、学校の先生が言ってましたけど、今の学生は今ひとつ関心がない。記念式典をやっても、パンフレットをつくってもあまり読んでもらえない。家族や学校、地域でのコミュニケーションが防災の基本です。平成20年、都賀川に鉄砲水がでて、子供が犠牲になったことなど、川は楽しいだけでなくて怖いこともあるってことをしっかり教えないといけない。
 「家庭が大事や」「学校では先生の言うことをよく聞けよ」「近隣の人とは仲良くしないとあかん」って声を大きくして言い聞かせている。隣にどんな人が住んでいるのか知らないようでは、防災も防犯もできません。先祖の言うこともよく聞いて、守るところは守らなければ。東日本の震災の時に、「ここより下に家を建てるな」って警告している古い石碑などいろんな震災の記録が残っていて、それを守っていた所は被害に遭わなかったと聞いたことがあるでしょう。そういうことを伝えるのが学校や自治会、家庭の役割だと思うんです。
 自治会の活動も高齢化で成り立たなくなってきました。区域を分けて防災委員を6名ずつ任命し、いざ災害発生となったら川に残っていないか確かめに行くんですが、そういった防災活動の一部を県が建築会社などに委託したんです。それもひとつの方法でいいと思います。