第1回六甲山系グリーンベルト 森づくり講習会 要旨
参加団体
○7月10日(金)
NPO法人 黄河の森緑化ネットワーク、兵庫県勤労者山岳連盟、ブナを植える会、NPO法人 アマモ種子バンク、神戸川と海を考える会、とびまつ森の会、獅子ヶ池を美しくする会、株式会社 好日山荘、住友ゴム工業 株式会社、大和ハウス工業 株式会社、株式会社 トウアバルブグループ本社、一般社団法人 こども環境フォーラム、ネスレ日本 株式会社、株式会社 アシックス・アシックス労働組合、おおさわぎキッズクラブ、UCC上島珈琲 株式会社
計16団体(受付順)
○7月11日(土)
NPO法人 日本ヒマラヤン・アドベンチャー・トラスト、兵庫県勤労者山岳連盟、いたやにすと、獅子ヶ池を美しくする会、株式会社 ノエビア、六甲ジョウビタキの会、株式会社 上組、清水建設 株式会社、夙川ボーイスカウト育成会、株式会社 アシックス・アシックス労働組合、金鳥山自然環境保護・育山協議会、株式会社 新井組、兵庫三菱自動車販売 株式会社、神戸動植物環境専門学校、NPO法人 S−pace、辰馬本家酒造 株式会社
計16団体(受付順)
要旨
1:開 会
六甲砂防事務所(10日:大下副所長、11日:岡本事務所長)より、講習会の趣旨・意義をふまえた挨拶がありました。
2:自己紹介
出席した各団体が自己紹介しました。団体の概要や活動状況、森づくり活動への参加の動機、森づくり活動への想い等について発表しました。
3:講習@
六甲山系グリーンベルト整備事業や六甲山の成り立ち、土砂災害とその対策の歴史等についての説明を行いました。
(主な内容)
- 六甲山は土砂災害に対してどのような山なのか。
- 風化した花崗岩のため崩れやすい地質。急峻な斜面が多い。整備・管理の必要な樹林が多い。市街地が拡大して急斜面に接近している。
- 以上の事から土砂災害が起きた時に大きな被害を受ける可能性が高い。
- 過去の土砂災害の状況と比較と砂防えん堤の効果。
- 昭和13年7月の阪神大水害と昭和42年7月の大水害を比較すると、その間に造られた砂防えん堤により、被害は格段に減少した。
- 阪神・淡路大震災による崩壊地、地盤の緩み
- 震災による直接の崩壊も生じたが、その後の降雨等による新たに崩壊も多く発生した。
- 震災により六甲山全体の地盤が緩んでいると考えられる。
- 六甲山系グリーンベルト整備事業の範囲、整備方法等の説明
- 六甲山の現状や過去の災害をうけ、災害に強い山づくり・自然豊かな森づくりを目指す六甲山系グリーンベルト整備事業がスタートした。
- 範囲は市街地に面している場所、特に崩壊の危険がある所を中心に設定した。
- 市街地に直接面した斜面は土木構造物で整備し、それ以外の場所は樹林の力を最大限に活かした整備を行う。
- 荒れた樹林は土砂災害に強い樹林に整備し、良好な樹林は適切な維持・管理を行う。
4:講習A
森づくりの基本的な活動と安全対策についての説明を行いました。
(主な内容)
- 森づくりの基本活動についての説明
- 森づくりには各作業に適した時期があるので年間スケジュールを立てて行う。
- 森に入るときの服装は長袖、長ズボン、帽子等の着用が望ましい。
- 野外活動に必要な装備(飲料水、救急用品等)を事前に準備する。
- 体調が悪い時には無理をせず、休憩をこまめに取り水分補給も忘れない。
- 斜面作業時の位置取りは、必ず上下で重ならないようにする。
- 伐採時には立入禁止エリアに入らないようにして安全確認をし、倒す方向を考える。
- ニセアカシアは生命力が強く萌芽するため巻き枯らしを実施する。
- 伐採後の処理として、ある程度太い木は斜面に対して垂直となるように置いて土留めとし、細い木はツルや荒縄で縛り、束にして設置する事により土砂流出防止に役立てる。
- 植栽時に、掘った穴の中に落ち葉等のゴミが入らないように注意する。
- 下草刈り作業時の注意等としては、よく研いだ道具を使用し、刈り取る対象を間違わないようにし、安全に気をつけて行う。
- 伐採木を運搬する時は腰を入れて持ち上げる。
- 森の危険な生物としてスズメバチ、マムシ、ヤマカガシ、ウルシ等があげられる。ヤマカガシはマムシより毒性が高く、危険である。
- ハチに刺されたり、ヘビに咬まれた場合に備え、ポイズンリムーバーを準備する。
- 基本的な道具の使い方についての説明
- 道具は正しい使い方をしないと怪我をする(正しい使い方の実演)。
- 道具(特に刃物)は使用後に研ぐなど、手入れする。
- グループリーダーの役割、心構え
- 参加者の個人差を考慮し、各個人のペースに合わせる。
- 声掛け・合図を明確にする。
- 休憩時は道具をいじったりしていないか注意し、出来るだけ自分に注意を向けさせるようにする。
- 活動開始前に天候を確認し、活動の有無について判断する。
- 活動中の天候の変化に注意する。特に雷が鳴りはじめた場合、遠くで聞こえていても近くに落ちる可能性はあるのですぐに避難する。
- 参加者のケガ等が起こった場合、休憩で大丈夫なのか、作業を中止して下山するか等の決断をする必要がある。
5:意見交換会
講習会の内容に関する質問や森づくりに関する意見が出されました。
(主な内容)
- 巻き枯らしの方法、有効性、危険性について質問があり、巻き枯らしで枯れる場合、枯れない場合の説明、枯れない場合の伐採等について説明がありました。
- えん堤の効果等について質問があり、えん堤の仕組みからその効果についての説明がありました。
- 活動の際のトイレについて既に活動している団体と意見交換が行われました。
- 看板設置について質問があり、既に設置している団体と意見交換が行われました。
- 活動時の天候の判断について質問があり、経験があれば色々な事象で判断出来るが、経験が乏しい場合にはHP等で確認するという基本的な確認方法について説明がありました。
- 切ってもいい木、切ってはいけない木についての質問があり、選別の理由、活動場所、目的によって違ってくるため、森づくり計画書により個別に判断する必要があるという説明がありました。
6:連絡事項
- 講習会で使用しなかった資料の使い方について説明がありました。
- 次回講習会は秋頃の開催を予定しているとの報告がありました。
- ハンドブックは計画編、実施編、植物図鑑編の3分冊の作成・配布を予定しているとの報告がありました。
- 登山者からの苦情対策等として、各団体が自主的に設置する看板とは別に事務所としても看板設置を検討している事の報告がありました。
- 最後に、六甲砂防事務所より出席に対するお礼の言葉が述べられ、屋内での講習会はここで終了しました。
7:現地観察会
- 植栽後、数年が経過した渦が森地区の見本林を見学し、手入れの行き届いた森の姿を観察しました。
- 造林鎌やナタ、草刈機等の使い方について、六甲砂防事務所の実演がありました。
- 草刈機については、事故が生じやすい状況(キックバック)を再現し、安全な森づくり活動についての周知が図られました。
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