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紀の川流域委員会NEWS!


第7回 紀の川流域委員会

日時: 平成14年3月2日(土)
14:00〜17:00
場所: 打田町公民館
国土交通省近畿地方整備局

小川委員
   何回も考える会から国土交通省に質問書を出させていただいていたのですが、私たちが質問した内容と返ってくる答えというのがどうも食い違っていたので、聞きたいことを答えてもらえるようにならないかということで、この様な形をとらせていただきました。
 私から出させてもらった質問ですが、質問1で、「過大な引き伸ばし率」と「カバー率」に対して、前回も話ししていたと思いますが、降雨パターンの引き伸ばし率2.32というのは、数字が大き過ぎるのではないでしょうか。また、カバー率も河川砂防技術基準(案)によれば60〜80%となっていますが、紀伊丹生川ダムに関しては90%ということで、おかしいのではないかということの答えについてです。  回答の150年に1回起こり得る雨量を2日間雨量として 440mmだという答えをもらったことに対してなのですが、8ページの下から8行目に「紀の川の治水計画では引き伸ばしによる雨の地域的な異常性や時間的な異常性を降雨制限方式を採用することにより、過大な引き伸ばしを制限しています」という回答をいただいています。この資料というのが、後に出てくる26ページの資料14の表のことだと思います。これは、過大な量のはみ出た部分は、よそのところに数字を持ってきているというグラフです。そうであれば、少ないところにはふえた分を足し、多いところは減らすと、パターンが変わってくると思います。さらに水野調査官は、ほかの地域へも振り分けているとおっしゃっていました。ということは、地域性も逆になくなってくるというわけです。だから、大台ヶ原で降った雨も、船戸で降った雨のパターンも同じようなものになってくのではないかと思います。余計に現実離れしたものになってくるのではないかと思います。現実離れしたその数字を現実離れしないように、少ないところを多くして多いところを少なくしたがために、余計に紀の川流域の降雨パターンが紀の川流域では起こり得ないようなパターンをつくってしまっているのではないかと考えていますが、どうでしょうか。
 次に、150年に1回の確率の問題ですが、質問2のところで降雨パターンの年最大を適用しており、なぜ、年最大を適用なのかという質問に対して、「大洪水をもたらしたものの観点では、年最大降雨のうち、船戸地点で大きな流量が観測され流量観測資料が整っている主要7降雨を選定しました」ということです。
 今度は、なぜ年最大なのかというのが問題で、年最大と降雨パターンとは関係ないと思います。更に船戸地点の流量が多いものを用いたということですが、逆に言えば船戸地点の流量が少ないということは、降雨量が多いのに上流で大きな洪水になり、船戸地点の流量が少なくなったのではないかと言えます。逆に言えば、そちらの方が雨の被害としては大きかったのではないかと思います。そして、その確率がどんどん大きな数字になって、 150年に1度じゃなくて 200年、 300年ぐらいの確率のものになっているのではないかと思います。

中川委員長
   それでは、今の2点について整備局からお答えを願えますか。

水野調査官(国土交通省河川部河川調査官)
   今の部分だけお答えさせていただくという格好でよろしいでしょうか。
 小川委員から提出されているものにつきましては、今までの河川の治水計画でありました工事実施基本計画の内容でございます。これは昭和47年に定めておりますので、その当時のコンピューターの能力等を考えて、厳選して計画がつくられているという事実関係を理解していただいて、主要な7つの降雨を選定し、最終的に基本高水という計画規模を決めたものが最大値を使っているということでございます。それが良いのか悪いのかという議論だと思っております。その議論を今後どう進めていくかということでございます。我々今ご議論願いたいと思っていますのは、工事実施基本計画が今の計画でございまして、それを踏まえながら、今後長期的に計画をどうするかという基本方針と、これから20年、30年間の河川工事をどうするかという河川整備計画をご審議お願いしたいと思います。本日この後に、当面の20年から30年間の治水の目標をどうするのか。そのときにどういう降雨を対象にするのか。どの程度の規模までの雨を対象にするのかというご議論をしていただけるものと思っております。今、小川委員が言われました対象降雨をどう選ぶのかとか、どの程度の規模でやるのかにつきましては、新たにつくる整備計画の中でその考えを踏まえながら、ご議論していただけるのが一番良いのではないかと思っております。  2倍以上にするしないというのは、事実関係だけで説明させていただきますと、計画する際に河川砂防技術基準(案)がございます。100年に1回とか150年に1回の長期的な雨の計画降雨を策定するには、降雨の時間分布をとられているのは最近なので、データ数が少ないため、あるデータから 150年に1回の雨を推定しなければなりません。いろいろな推定方法があるということで、河川砂防技術基準(案)には計画降雨の時間分布及び地域分布は、既往洪水等を検討し、選定した相当数のパターンについて、その降雨量を定められた規模に定めるようになっています。
 この際に、単純に引き伸ばす方法がよく用いられますが、単純に引き伸ばすことによって著しい不合理が生じる場合は、2倍以上は選ばないという一つの方法もございますし、修正を加えるという方法もございまして、河川砂防技術基準(案)の本文に書いてある修正を加えるということで、一定の基準を入れて工事実施基本計画を修正しております。今後、整備計画をつくるに当たって、この方法が良いのか悪いのかについては、ご議論していただければ良いかと思っております。
 言われるとおりで、基本高水を決めるときも、7つの降雨のうちの中で一番大きいものを使っています。カバー率が平均的に60〜80%という話も河川砂防技術基準(案)に書いてございますけれども、当時として安全を考えて一番大きなものをとっております。
 それと、降雨の選定については、第二室戸台風が入ってないのではないかというお話がございましたが、入ってない理由は、前回説明させていただいたとおりでございます。
 先ほど最新のデータとか、第二室戸台風が入っていないのはおかしいのではないかというご議論があったと思いますが、この後説明させていただきます整備計画の検討におきましては、最新のデータまで入れてこの中からどういうものを対象にしようかというのをご議論していただこうと思っておりますので、そこでご検討いただければと思っております。

中川委員長
   小川委員、今の説明に対して何かご質問がありますか。

小川委員
   説明はいつも同じことで、わかっているのです。その47年に出された数字というのは、本当に正しいものなのかどうなのか。今後、河川局から出されてくる数字に対して私たちが審議するわけでして、その数字的な細かいこととかデータというのは、100%信じて良いのですか、という思いがあります。

水野調査官(国土交通省河川部河川調査官)
   今の話については、考え方がどうですかという話ですから、一番大きいのをとるのが的確か的確ではないかという判断の問題です。先程言った2倍以上伸ばした雨を却下するのか却下しないのか。却下しないときは、どのように修正を加えるかというやり方が良いか悪いかで評価が分かれているだけでありまして、我々がデータを隠している、改ざんしているということは一切ございませんので、やり方を十分にご審議していただければ良いと思います。

小川委員
   隠しているとか隠されているとかじゃなくて、出されたきたものでしか判断できません。だから、47年の時点において、私が不信に思っている部分というのは明らかに存在していまして、そのことを今だから、あれが正しかったのか正しくなかったのかというお答えを聞きたいと思っています。

水野調査官(国土交通省河川部河川調査官)
   正しかったか正しくなかったかと言われると、評価の分かれる話でございまして、我々としては当時のデータとして最大限考えた結果であると思っております。
 今後どうするかについては、その後のデータもふえておりますし、コンピューターも進歩していますので、この河川整備計画の中でご審議していただくのが、一番良いことだと思っています。

中川委員長
   水野調査官が言うように、データが間違っているとか、そういうことではないと思います。ただ、当時、工事実施基本計画を策定した際に、すべてを包絡した最も危険な方で、選んでいるということだと理解しています。
 例えば、河川の重要度に応じて、ここでは 150分の1の確率の流量を選んだわけです。それが2日雨量で計画降雨として 440mmになっているわけです。そういった計画で行われたわけです。
私は一番問題になるのは、長期計画や工事実施基本計画でうたわれたものを基本にして、それで工事を実際整備事業するわけなのですが、それが例えば 100年でできるか 150年でできるかわからない訳です。今回はむしろ20〜30年という河川整備計画を具体的にその目標でやろうと思うときに目標流量といいますか、いわゆる対象洪水をどう適切に選ぶかということをこの委員会で議論していただきたいと思います。
 その際に、今までとられていたような引き伸ばし率とか、あるいはカバー率とか、そういうものは過大評価しているのではないかという議論が出ると決定の方法が違ってくると思います。議論の結果、それが違わないかもわかりませんが、そういった計画の対象洪水を決めないことには、次の具体的な整備計画を固めるわけにはいきません。この議論をまずしていただきたいと思います。
 この委員会で議論するべきものではないですが、それを土台にして逆に長期計画、基本方針の基本高水や計画高水というようなものについて、ここで決めた決め方と長期方針の決め方の整合性がなければ、長期計画としてまずいと思いますので、その際には整備局に基本方針を改めるように、あるいは新しい基本方針としてそれらを位置づけるように、ここの委員会として意見を言う手続をとりたいと思います。それでよろしいでしょうか?

水野調査官(国土交通省河川部河川調査官)
   結構でございます。

中川委員長
   だから、これが合っているか間違っているか、その議論は残るのですが、それはここでは議論せずに、次の整備計画を議論する基本になる対象洪水量、あるいは降雨量を議論していただきたいと思います。そのために今日、私がお願いして、事務所でつくっていただいた資料がありますので、それで、今まではっきりしなかった降雨パターンについて例えば上流、中流、下流とあると、そのとき降った降雨が時間的にどういうふうに変わっているか、あるいは場所的にどういうふうに変わるか、それらにどういう相関というか関係があるかとかそういったことをきっちり出していただいて、それに基づいた議論をして、計画降雨というものを決定していきたいと思います。
 これは一つのやり方なのですが、そういったことの議論をお願いしたわけです。
 ですから、そうしたいろいろの資料に基づいて、これから議論をしていただきたいと思います。言うなれば今までのものと違って、そういった問題についても出発点に立って、ゼロから本当に何が合理的かというようなものをこの委員会で決めていただきたいと思っています。こういうことなのですが、それでよろしいでしょうか。また、そういった議論が、当然そのときに出てくると思います。
 それから、その後のデータを今日もお配りしていますが、それを加えて工事実施基本計画をつくったときより、さらに資料を充実させて、それに基づく議論をさせていただきたいと思います。小川委員が、今日言われたような疑問点、それは恐らくこれからの議論でも当然出てくると思いますので、そのときにまた皆さんでご議論願えれば非常に良いのではないかと思います。

岩畑委員
   今、委員長と整備局からの説明を聞いて、前回の議事録を読み直し、この委員会についての審議内容、20年ないし30年の整備計画を決めるのだということは、非常によく理解できます。それで、私も前に3年前のダム審議委員会の位置づけをお尋ねしましたけれども、今回新河川法に基づいて、これに沿ってまた考え直すということは、非常に結構なというよりもそのとおりだと思います。
それに基づいて、我々建設的な意見を述べないとだめですが、小川委員の資料が事前配付されています。前々から考える会のホームページ上でもこの質問が載っています。小川委員の言われているのは、これはマニュアル違反ではないかということを言っていると思います。
 だから、ここの委員会での20年ないし30年、 150分の1でないということではなくて、47年の工事実施基本計画に基づく治水計画を約30年も引きずって計画を立ててきた、理論がマニュアル違反をやっているのでないかと言っているのだと思います。
 参考資料2の一般からの意見、要望という資料がございます。一番最後のところに要請書で、ダムと治水を考える研究者グループ、考える会の会員の府立大学の高津さんも、今小川委員の方からの意見に沿ったような説明がなされているように思われます。
 当然整備局の方も目を通されているとは思いますけれども、これについての見解をお聞き願いたいと思います。京都大学防災研究所の上野鉄男、大阪市立大学土木工学の高田直俊さんということで、専門的な見解書であると思われます。
 要するに引き伸ばし率 2.32倍、カバー率90がマニュアル違反的ではないかというようなご意見、見解書であると思うので、これについて整備局からの見解をお願いします。

水野調査官(国土交通省河川部河川調査官)
   ここに書いてある内容も、先ほど小川委員が言われている内容と基本的には同じで、問題意識を持たれているところの引き伸ばし率が2.32倍であるということと、対象降雨が7つのうち一番大きいところを使っているというところだと思っています。
 マニュアルとは、我々が一般的に基準にしています河川砂防技術基準(案)でございまして、先ほどの2.32倍につきましては河川砂防技術基準(案)の本文を示しましたけれども、本文においては異常がある場合は修正するという解説があり、その解説の中で一つのやり方の事例として2倍以上は却下するという解説があります。我々としては本文の趣旨にのっとりまして計画降雨をつくっていると思っております。
 また、カバー率が最も大きい雨を使うということにつきましても、河川砂防技術基準(案)の解説の中で、全国的な例を見ると5割〜8割が多いというような書きぶりになっておりまして、その根源等もいろいろ調べておりますけれども、当時としては少ないデータの中で的確に安全を確保するために、7つの中で一番大きいものを使っているものでございまして、基本的にいうと河川砂防技術基準(案)の考え方にはのっとっているものと思っております。ですから、工事実施基本計画は、当時としては的確にやられているものと思っております。
 ただ、こういうご意見を十分に参考にしながら、今後の河川整備計画を十分ご議論していただくのが一番良いのではないかと思っております。

中川委員長
   今の答えでよろしいでしょうか。

岩畑委員
   河川砂防技術基準(案)にのっとっているということで、間違いがないということですか。

坪香部長(国土交通省河川部長)
   工事実施基本計画等の計画をつくるときには、それぞれのケースを複数設定して、その中で一つ一つ選んでいくという作業を工学的、技術的な点から行うというのが普通だと思います。我々は当工事実施基本計画の基本高水決定についても、そういう作業の結果こういうものができているという意味で、適切に技術的に評価をして、成立しているというふうに思っています。
 今回、対象洪水について説明いたしますが、複数の洪水、いろいろなパターンといろいろな形が説明されて、その中で技術的に評価をしてどれを選ぶかという作業をこれから当委員会で議論されると思います。我々はそのときに、技術的にベターなのかどうなのかという議論で、今のカバー率や引き伸ばし倍率についての評価をしていただけると思っています。
 したがって、委員会で議論をしていただければと思っております。

中川委員長
   よろしいでしょうか

岩畑委員
   そうではないのです。話を次々と次に審議するという方へ持っていかれると、私も困ります。私の言っているのは、基本的なこの数字が、河川砂防技術基準(案)に違反していないのかどうかということです。
この降雨制限方式は、素人的に考えてもどうも理解できない。と言いますのは、参考資料-2の*6番のところに目を通してみますと、非常に確率のないものを採用しており、あり得ないような洪水を対象にしているというような説明をされていると思います。
 降雨制限方式というのは学術的に成り立つような論理なのかどうかということですが、私は理解できません。実施計画の理論をつくる上で最も危険なものを採用し、それが数字的に超過してしまったら他へ振り分けています。これが降雨制限方式なのだということは、私は理解できないです。自分のところだけの論理であり、これが学術的に成り立つものでしょうか。委員の中には専門の方もおられると思いますので、この辺のところの説明をお願いできればと思います。

江頭委員
   私は、水文流出が特に専門というわけではありませんが、河川砂防技術基準(案)はつくられた当時の科学技術で保証できる内容が記述されているわけです。今はつくられた当時から随分時間がたっていますし、その後に雨量データ等の観測データも集積されています。
 ですから、余り2.32倍とかそういうことにこだわった議論をここでされますと、議論が全然前に進まないのではかと思います。せっかく皆さんは貴重な時間を使われて、ここに来ておられるわけですから、もう少し本質的な議論、中身の議論に移っていただければと思います。
 先ほど、事務局からご説明があったとおり、この昭和47年の雨を使って、当時の工実がつくられたというのは特におかしいとは思いません。そういうことでよろしいでしょうか。何となくつまらない議論のために時間が使われているという、印象を受けます。

岩畑委員
   今の江頭委員のご意見ですけれども、そもそもこの新河川法に基づいて流域委員会がどういう形でなぜできたのかということを、もう少し認識していただかないとだめです。我々はこの47年度の河川整備の計画のもとに、水没地の方が10何年間非常に悩まれ、かつ離散せざるを得ないといった問題があります。
 日本の国土では今、ダムによる必要性の是非を問うという形で、新河川法が見直しされています。

江頭委員
   委員長、よろしいでしょうか。

江頭委員
   途中で発言をさえぎって非常に申し訳ありませんが、それは一委員の考え方なのです。私はそのために、皆さんの貴重な時間を費やすというのが非常に大きな問題だと思います。

岩畑委員
   そうではないですね。

江頭委員
   事務局のお話では降雨データも随分増えているので、降雨パターンとか、時空間的な相関の話であるとか、そういうものも含めてここで検討していただきたいと、そういうお話なのです。それを我々は素直に受けとって議論していけば良いのではないかと思います。

岩畑委員
   私の発言中に発言されると困ります。
 素直に私も前向きに、謙虚に、次期の20〜30年なの審議に対して積極的に発言すれば良いのですけれども、そうであれば整備局も間違っていることに関しては、素直に謙虚にこれは間違っています。これは過大評価でした、とそういうことをはっきり言ってくれれば良いのです。そうすれば前へ話が進むのです。

江頭委員
   多分間違っているというのは言えないのだと思います。我々も、少しは大きいのかなと思いますけれども、これおかしいぞということを言うためには、やはりいろいろなデータを出していただいて議論をしないと、それは言えないです。よろしいですか。

中川委員長
   河川砂防技術基準(案)に原則的にうたわれている範囲を超えていると言われるわけですが、それはただし書きというか解説で、かなりの範囲をとり得る裁量があります。そのときの結果として、ここでは47年9月の台風降雨パターンに基づく流出を解析して、それによって基本計画、基本量を定めているわけです。
 恐らくその検討の段階で、最も危険な出水が起こり得る可能性、つまり150分の1という大きさが決められているわけです。2日雨量としての計画降雨が決められている訳です。それをどういうふうに配分するか、洪水としてどういう形で出水してくるか。その生起してくる洪水の最も危険なものを包絡した形での提案だと思います。それを整備計画の中へ基本として取り上げたということではないかと思います。だから、間違いというわけではなくて、判断の幅が非常に大きいということではないかと思います。
 私が言っているのは、今回この委員会で河川整備計画を検討していただく際には、そういったとり方が良いのかどうかということを議論してもらって、その上に立ってリーズナブルな方法を決めると、こういうことで良いのではないかと思います。いうならば見直すことだと思います。皆さんでそれを決めていただくというか、諮っていただく。その作業をやれば良いわけで、そうなると必然的にその先は長期計画における基本流量というのも、変わってくるということです。だから、それを修正してもらうようにすれば、良いのではないかと思います。岩畑委員がおっしゃるのは、これまでそれを基準にしていろいろの事業が行われてきたではないかと、いうことだと思います。それはむだではないかと、そういうことではいですか。

岩畑委員
   それで、私が先ほど言いましたように、要するに流域委員会がどうしてできたかという反省点を踏まえて、それをしっかり認識して前向きな意見を発言しないといけないと思います。それはもう済んだことだとだから、次はこういう案をやろうではないかと。これは非常に日本的な考え方なのです。それが今、立ち行きどまっているわけです。
 だから、そういうことにおいて、2000年12月19日だと思いますが建設省が最後の河川審議委員会のときの答申で、行き詰まって案を出しているでしょ。今までの審議でダムだけではだめだからということで、結局、諮問委員会から河川審議委員会が出した答申に基づいて新河川法ができて、この流域委員会を立ち上げようということなのです。
 それをしっかり認識した上で、この20年〜30年の前向きな発言をしないといけません。私が今言ったことを江頭委員がむだであるというのは、とんでもない発言です。 委員会は15回で終わらせないといけないということじゃないのです。16回、17回議論をすれば良いのです。私の5分の発言が無意味であるということは、非常に失礼です。

江頭委員
   失礼な言い方かもしれませんが、私がむだと申しましたのは、あなたが勉強しないといけないことをここで一生懸命勉強しており、そのために時間を随分とられているという意味で、私にはむだに思えたということです。これは非常に失礼な言い方で、深くおわび申し上げます。
 ただ、今、我々がここで議論しないといけないのは、これから20〜30年間の河川整備を行っていく上で、我々はどういった洪水に対して備えれば良いのか。例えば20〜30年の整備計画をつくったとします。そのように整備された河川において、例えば 150年確率洪水に対してどんな浸水が起こり、どんな洪水災害が起こるか検討する必要があるのです。そうしますと、そのような大きな洪水もやはり視野に入れとかないといけないわけです。
 ですからそういった意味で、まず20〜30年間の整備計画をつくるためにはどういう洪水を対象にすれば良いのかとい議論をしっかりとしなければなりません。やはりそこに一番時間をかけなければならないのではないでしょうか。その上で、それよりもさらに大きな洪水に対して、どう対応していくのかということを考えていこうということだと思います。私はそういう認識です。
 そういう意味で、余り工実にこだわって、ここにばかり時間を費やしたのでは非常にロスが多過ぎるという意味で申し上げました。失礼のあったことは深くおわび申し上げます。

岩畑委員
   そういうことではなくて、私の勉強のためにやっているのではないのです。私はこれぐらいのことはわかるのです。各専門の委員は、なぜ前々回から小川委員並びに私が質問していることに関して、もっと専門的に理解できるような発言をどんどんしてくれないのですか。私は、発言してもらうために、あえて発言しているのではないですか。私の勉強のためにやっていません。ここに治水・利水の専門の先生がいらっしゃるのですから発言して、「これはこうなのです」と、どうして説明してくれないのですか。これぐらいのことは、私だってわかります。そういうのを失礼だというのです。

中川委員長
   河川管理者側が今まで過ちを犯してきたという言い分かと思います。しかし、そうではなく、例えばこういった流域委員会ができたということを考えても、これまでは日本の河川の整備計画をやる上で、安全志向主義というか、非常に高い治水の安全度を求めたために、非常に規模の大きな計画を進めざるを得なかった。そうして進めてきたにもかかわらず、それがさらに大きい規模になった。
 これはなぜかというと、言うまでもなく河道を堤防でどんどん仕切って、さらに流域をどんどん開発していったためである。だから、我々もそれを反省しないといけないわけです。それを追っかけるように、整備をするというその整備の方向が私は間違っていたと思うのです。
 ところが、それではいけないということになって、かつての公共事業のあり方というものが問われるようになってきたからこそ、流域の皆さんの意見に基づいて川を整備していこうということになり、それでこういう流域委員会というのができたわけです。だから、そういう点では、この流域委員会では今言った計画や、整備の対策等、何から何まで十分検討していただいて、ここで初めて新しい川というものを整備していくための経過が生まれるというふうに考えています。
 だから、ひどい言い方すれば河川管理者からは物を言われなくても結構だいう姿勢で我々がつくっていくということで、皆さんに臨んでいただきたいと思っています。
 だから、今おっしゃったようなものを順序立てて、整備計画の目標とその中身というものを議論していくということに入っていけば良いのではないかと思いますが、いかがでようか。棚上げしようとかいうことではなくて、そういうことから出発しないと住民の皆さんがつくっていくという姿勢にはなかなかなり切らないと思います。逆に言うと、こういった流域委員会ができて、皆さんの知恵を借りてやっていくということで、初めて川というものがみんなのものになるということだと思います。ぜひ、そういった議論を進めていっていただきたいと思います。
 そのためには、例えばこれから議論をしていただいて、治水の施設を計画すると、これが環境に与える影響とか、あるいは水そのものに与える影響とかいろいろと問題が出てきます。それを真剣に議論していただいて、いろいろの選択肢の中からこれはだめだ、こういうふうにして対策しようと、そういうことを積み上げていく場ではないかと私は思います。できるだけ前向きに、そういった具体的議論をやっていただきたいと思います。皆さんどうでしょうか。

岩畑委員
   一つ考えておいてほしいのは、市民参加と今言われる中で、どうして私たち市民がこういう専門的なところへ出てきて、発言しないといけないかということです。江頭委員に言われるように専門家の委員会であれば、事が早く、行政が提出した問題、命題に対して的確に判断もでき、方針も決められるでしょうが、それでは立ち行かなくなったということを国土交通省自体が認めて、市民参加を認めているのですから。
 やはり市民参加となれば難しい専門的なことはわからないことが多過ぎます。だから、それに関する理解を得るための時間というのは、必要だと思います。これは日本の国がこれからやっていく上で、市民に最大の理解を得て、公共事業をやるにはすべての地元住民の理解を得てということを前提でやるということの機運だと思います。多少の専門的なことで私達が質問しても、やはりそこのところは理解していただきたいと思います。
 また、新鮮な全くわからない一般市民の声というのも、これからのことにも大事な意見としてつながることもあるというふうに信じているからこそここへ出てこられるのです。ただ、先生の難しいお話ばかりを聞きに来ているわけではないのです。そこのところを少しご理解していただきたいです。

中川委員長
   やはり実際にそういった事業計画をやる上では、河川管理者は今までやってきてよくわかっているエキスパートであります。行政側のそういう資料をいろいろ提出していただいて、こちらサイドと行政サイドと徹底して情報を開示して、どこまで理解できるかということだと思います。それが一番大事だと思います。
 その上で議論をするということですから、行政、河川管理者側も、余り難しいことを言わずに、みんながわかるような話にしてもらって、それでその上に立ってどなたでも意見を出していただくということでやっていきたいと思います。ぜひそういう点をお願いしたいと思います。
 よろしいでしょうか。

三野委員
   基本的には、今委員長がおっしゃったことだと思います。岩畑委員のお話も、私はよく理解できます。専門家の端くれとしては、私自身は基本高水の考え方というのは、委員長がおっしゃったように安全側というこの基準を、いかに広く解釈して安全な大きなものをとるかというのが、当時の技術者の大きな目標であったと思います。
 でも、それが今岩畑委員がおっしゃったように、だんだん高じて行き詰まって、こういう形のいろいろな方向転換が始まっています。基本高水の議論は委員長のおっしゃるように、中身を議論しなければ先へ進めないというのではなく、整備計画の議論の中で、そういうことを議論していけば、基本高水の今までの考え方自身に少し修正を加えなければならないということが見えてくると思います。
 そういう意味で、どうでなければ前へ進めないというよりも、まず、この流域委員会の目標である整備計画を議論する中で、基本高水の考え方を委員全体として共通した理解を進めていくというのが良いのではないかと思います。従って、ここで基本高水の問題にこだわるのではなくて先へ進めていただいた方が、私としては良いのではないかという意見を持っております。

中川委員長
   はい、どうも。
 よろしいでしょうか。

岩畑委員
   はい、結構です。ありがとうございました。


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