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2002年10月発行

紀の川流域委員会ニュース No.11



● 第11回紀の川流域委員会 議事骨子
第11回紀の川流域委員会の議事骨子については次のとおりです。

平成14年9月27日

第11回紀の川流域委員会 議事骨子

委員長 中川博次

 第11回紀の川流域委員会は9月27日(金)アバローム紀の国において全委員22名中20名の出席のもと実施された。
 

1.後任委員の選定

 小田委員辞任に伴う後任委員の選定について、紀の川流域委員会規約第3条第5項に基づき、非公開で実施し後任委員を選定した。選定に当っては、下記の点を考慮した。
  • 紀の川に造詣が深い学識経験者。流通問題や街づくりに関連している方
  • 小田委員の後任ということから人文分野、地域経済の特性を理解している方
  • 小田委員の後任ということから年齢的に小田委員に近い方
 

2.紀の川河川整備計画について(遊水地と環境対策)

委員会の様子1河川管理者から紀の川河川整備計画について説明があった。
主な内容は次のとおり。
  • 遊水地の検討について
それぞれに対する主な意見は次のとおり。
  • 氾濫型遊水地について、無堤と仮定するのではなく、既存の堤防状況での目標流量に対する検討をしてほしい。
    →S34.9型洪水(伊勢湾台風)を対象とした場合の氾濫状況は、第9回委員会で提示している。
  • 遊水地の説明を聞いていて思ったのは、平地にダムを造る発想ではないかと思った。条件的に整っていない限り遊水地は難しい。
  • 遊水地の実現可能な所を示してほしい。合わせて数字を提示してほしい。
    →1.可能性があるところとして、前々回に上野公園を説明させて頂いた。
     2.前回委員会で委員から提案のあった遊水地の候補地について、効果や制約条件などを整理した。
  • 遊水地が完成するまでの事業期間及び合意形成にかかった期間を教えてほしい。
    →近畿管内での遊水地の事例として、木津川上流の上野遊水地がある。これは、昭和44年から始め、現在、周囲堤の工事が完成間近である。合意形成については、次回説明する。
  • 目標流量を選定し、遊水地として利用可能となる地区の絞り込みをしていく必要があり、いろいろなケースを組み合わせて議論していくのは問題があると思う。
  • 安田嶋と上野地区は、遊水地として現実的に実現の可能性があると思うので、この地区に関しては、非常に詳しい資料を提示してほしい。
  • 環境の視点から遊水地を考える必要もある。環境の視点での遊水地に関する資料があれば教えてほしい。
  • 現在の都市人口は、減少傾向になっており、規制も厳しく行われていないことから、河川サイドから、都市の再活性も含めて、郊外型の開発が望ましくないというメッセージを送ってほしい。
委員会の様子2 委員会の様子3
  • 洪水ハザードマップ等を活用し、それを土地利用に対してどういう格好で啓発していくのかは流域委員会のテーマになると思う。
  • 堤内地は何らかの土地利用がされているので、水を溢れさせないようにする必要がある。
  • 遊水地は、公共用地と私有財産権の補償との間の極めて微妙な問題である。河川法改正により利害関係者の中でどう合意形成を決めていくかという筋道ができたところである。遊水地に対しては共通の認識ができていないので結論をどう突き詰めていくかが困難である。
  • 氾濫型遊水地の場合、河川区域として指定しなければ氾濫は災害であり、それの法的手続きは非常に困難である。犠牲の割に効果が非常に少ない。沿川市町の土地利用の将来構想と流域委員会で行われた議論の結果において合意形成がはかれるのか疑問である。
  • 紀の川と遊水地事業を行っている木津川の特性は違う。急流河川で支川が多く氾濫原幅の小さい紀の川にとって遊水地が有効な対策なのか、それよりも保水機能を高めるとか、河道そのもので手当てをするという考え方が有効なのか、紀の川の歴史や特性を良く理解して検討しないと将来にとって危険なものになる。
 

3.紀の川をとりまく環境について

紀の川をとりまく環境に対する主な意見は次のとおり。
  • 砂利、栄養塩分の変化に関する資料あるのか。
    →次回説明する。
  • 紀の川で最低限守るべき環境を委員会で議論していきたい。
  • 慈尊院は世界遺産のコアゾーンに予定されている。指定までには1〜2年かかかると思うが事業計画を作成する際は注意する必要がある。
  • 泥は河口でどういう風に流れているのか、また、今でも流れているのか。
  • 外来種を排除する話があるが、日本古来の植物と思われているコスモスでさえも外来種である。外来種全てを排除するのか、何処かに線引きをするのか考える必要がある。
委員会の様子4 委員会の様子5
  • さかのぼればヨモギまでも外来種であると言われている。でも、ヨモギは日本の文化に定着している。どの時代で線引きをするかは困難であるが、日本古来の生態系を目指した環境を守っていく必要がある。
  • 今後検討するに当っての資料として、河川環境情報図に環境以外のさまざまな情報の入った資料を準備して頂きたい。
  • 沿川の住民が河川敷を利用できる取り組みを検討して欲しい。
  • 過去の教訓にも関わらず自然破壊の方向性の公共事業が未だに行われている現実を認識して欲しい。
  • 親水護岸は全く自然保護とは関係がない。かえって人を自然から遠ざける護岸である。現状は非親水性である。自然にもどしたいなら、手をくわえないことが、非常に大事だということを再認識してほしい。
  • 最近、アメリカでは生態系保全のために管理された洪水を流している。環境保全の上では、流量に変化を持たせることが大事である。日本の河川のコントロールは平準化することが大前提になっている。今までの河川管理の規範を全部捨て、堤内地の農地のあり方を環境面も含めて考える必要がある。
  • 紀の川流域における農用地は非常に大きい。そういう広いエリアの問題も巻き込んで流域委員会で議論するのかどうか。
  • 本川の背切れは信じられない。水は還元しているのか。生物生態も循環しているのか。この点も考えていく必要がある。
  • 圃場整備、営農形態、期別利用の変化により本川から取水した水が本川に還元されずに水路を伝って海に流れていくという状態は非常に問題である。本川の背切れというのは考えられない事象である。
  • 生物も馴化しているのかどうか、馴化というよりも元に戻す行為をどこまでやるのかを考えなければならない。
  • 目標流量を計画するにあたって地球環境の変動性をも視野に入れるべきである。
  • 流域全体で水が適正な状態で循環してるというのは非常に大事だと思う。砂が動けば変な種が入ることはないが、紀の川には堰が多くあり、どういう手法で適切に土砂を流すかが課題になってくる。
  • 国土交通省が発表した紀の川における「川の通信簿」の結果はほとんどが2であり、非常によくない状態である。和歌山工事事務所としてはどのように感じているのか。
    →これは地域の青年会議所の方に採点していただいた。事実評価として低い値である。いろいろな改善策があるが、できることから実施していく。
  • そのような評価を受けているが、紀の川は和歌山県内で一番生態系の良い川です。これ以上環境を悪化させて欲しくないと思う。
 

4.紀の川流域委員会勉強会の報告

委員会の様子6 養父座長から紀の川流域委員会勉強会の報告があった。
主な内容は次のとおり。
  • 前回勉強会での質問の回答
  • 計算条件の違いについて
  • 委員から出された意見の主な内容
  • その他
 

5.次回の開催について

委員会の様子7 次回の開催内容は次のとおり。
  • 遊水地の現地視察を勉強会で検討する。
  • 今までの検討資料を基にし目標流量を決定する。
  • 開催時期は10月下旬から11月上旬頃とする。
  • 開催場所は和歌山市内とする。
 

6.その他

●計算条件の違いについて。
前回の委員会で一般傍聴者から質問のあった計算条件の違いについて説明を行った。
それに対する主な意見は次のとおり。
  • 計算条件の違いについて次回の委員会でもう一度説明して欲しい。
    ⇒計算条件の違いについての説明は資料に示している。
    工事実施基本計画の基本高水については委員会として答えられないので質問は河川管理者にしていただく方がよい。
    →流域委員会とは別に工事実施基本計画の基本高水等に関することについて、答えるようにという趣旨であれば、個別に対応させていただきたい。
●委員からの呼びかけ
  • 委員から紀伊丹生川ダム建設を考える会主催の「遊水地見学会の開催」のお知らせと委員参加の呼びかけがあった。
    ⇒現地視察会については、流域委員会勉強会で検討することになった。
 

7.一般傍聴者からの意見

  • 大滝ダム、大迫ダム、津風呂ダムの連携運用による有効的な利用を考えることは良いことだと思うので、是非このように大きな視点で検討していただきたい。
    ⇒新たに構造物を造ることは財政的、環境的に困難になっている。既存の施設を有効に利用するために近隣のダムを上手く運用する必要がある。今後は、各省庁間が協力して、総合的に施設の有効活用を考えるべきである。しかし、実際には実施方法や管理についての問題があるが努力していく必要がある。
    ⇒農水省関係者同士でも実際には受益者負担の問題等、難しい問題が多数あるが、今後考えていかなければならない。
  • 環境に配慮した河川というのはできるだけ河川はさわらないという意見がでているので安心した。新六ケ井堰を撤去して紀の川大堰のゲートを閉めずに自然に魚が遡上できるよう川の自然を回復させてほしい。
  • 大迫ダム、津風呂ダムの連携運用による有効活用の検討を10年、20年早くやっていただければ大滝ダムを造らずに済んだと残念に思う。これを反省していただきたい。
⇒:委員回答
→:河川管理者回答

委員会の様子8 委員会の様子9


この議事骨子は、委員会終了後に速やかに審議内容が公開できる様に取りまとめたものです。従って、今後議事の詳録を作成する上において、修正等が加わることがありますが、その際は、ホームページ上で修正箇所等を明らかにした上で再掲載を行いますのでご了承下さい。

次回、第12回紀の川流域委員会は、10月下旬から11月上旬に和歌山市で開催される予定です。詳細は、決定次第ホームページに掲載します。

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