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2002年12月発行

紀の川流域委員会ニュース No.12



● 第12回紀の川流域委員会 議事骨子
第12回紀の川流域委員会の議事骨子については次のとおりです。

平成14年11月18日

第12回紀の川流域委員会 議事骨子

委員長 中川博次

 第12回紀の川流域委員会は11月18日(月)JA和歌山において全委員23名中19名の出席のもと実施された。
 

1.庶務からの報告

 庶務より報告があった。主な内容は次のとおり。
  • 後任委員について
    • 小田委員の後任として選定された石橋貞男氏からは、9月30日に委員委嘱への内諾を頂き、中川委員長から近畿地方整備局長宛に委員委嘱の要請書が提出され、10月22日付けで紀の川流域委員会委員に委嘱された。
  • 委員長代理について
    • 委員長の指名により委員長代理に養父志乃夫委員が選任された。
委員会の様子1
 

2.紀の川河川整備計画について(目標流量の設定について)

 河川管理者から紀の川河川整備計画の目標流量について、過去に発生した洪水の中から、その洪水特性を整理したうえで、大滝ダムを最大活用した場合に氾濫被害が最大となるのは昭和34年9月洪水となること、また、他河川の策定済の河川整備計画の目標が戦後最大規模を目標としているところが多いこと、更に過去の事業費から類推した今後の事業費から対応が可能な目標規模などについて説明があった。 委員会の様子2

それらに対する主な審議内容は次のとおり。
  • 他河川の整備目標規模が決まった経緯を知りたい。
    →次回提示する。
  • 事業費算出において、想定された整備メニューの内容を知りたい。
    →今回はスクリーン上での説明であるが、次回資料を提示する。
  • 工実では、河川の重要度に応じて整備目標を決めているが、全ての河川でその目標を達成するには長期的な時間を要する。また、目標達成のために河川毎に優先度を設定すると、治水に対する公平な安全性を確保することが出来なくなる。
  • 整備期間中に現時点で想定されている目標規模を超過する洪水が発生した場合の対策はどう考えるのか。
    ⇒河川管理者ではないから答えられないが、自分なりの解釈では、目標規模に対する整備を実施しても全面的な治水安全度を確保するのは困難であるので、段階的に事業を進めていく必要がある。
  • 基本高水流量を下げた例が全国で一箇所あったが、紀の川においてもそのような議論をするのか。
    ⇒他の河川では目標流量を基本高水流量としている所もあるが、紀の川においてはタイムスパンからみて、非現実的なものである。よって現実的な当面の目標としての議論をしていきたい。
    →整備計画の中で対象としている事業を実施するので、これに書かれていない事は実施できなくなり、それ以上の整備についてはその後の事象に応じて考える必要がある。
  • 紀州流の時代から部分的に氾濫を許容されてきたことを考えると遊水地を含めた計画も考えられるのではないか。
  • 洪水時に出水を防ぐのは大事な要因であり、遊水地だけで対応するのは困難であると思う。
  • 勉強会で上野公園を見てきたが、上野公園を遊水地とした場合、洪水後にどのように現状復旧をするのかが課題であると感じた。
委員会の様子3 委員会の様子4
  • 現在は昔に比べて鉄筋の構造物が増えているが、洪水時に水以外の物が流れてくると言う事は考えなくてもいいのか。
    →橋梁等の横断工作物は流木等が流れるように配慮した設計がされているが、強度等の設計手法は確立されていないのが事実である。
  • 文化遺産も含めた利水や環境に対する配慮は築堤や掘削を検討する際に避けて通れない要因である。
  • 下流は築堤や掘削で対策できるが大滝ダム直下の宮滝(みやたき)地区のような巨岩の多い所の治水対策や環境対策を考えているのか。
    →ダムの操作規定や水たたき等の施設により対策を講じている。また、最近は環境面から洪水を人為的に流すという議論もある。
  • 飽和雨量が長期計画では237mmが用いられているが、整備計画では120mmとなっており、整合が図れていない。この数字の差はとても大きいので説明をして欲しい。
    →長期計画における飽和雨量の考え方は再現計算を行うためのものである。以前に説明(第2回勉強会 参考資料-4)した飽和雨量の考え方は現在の紀の川において過去の洪水が発生した場合の検証を行うためのものである。
  • 本日提出した要望書にも記しているが、長期と中期で飽和雨量が大きく異なる理論的根拠はあるのか。
    →例えばS34.9洪水(伊勢湾台風)は上流で山崩れが多く、水が堰き止められているため、計算上はこれを飽和雨量で評価していることから再現計算と氾濫解析に違いが生じる。
  • S28.9とS47.9の飽和雨量を教えて欲しい。
    ⇒計算条件等については勉強会で議論して欲しい。
  • 公共投資が先細るなかで、20年〜30年のタイムスパンで、現実的に可能なものを提案する必要がある。
  • 戦後最大規模の洪水をベースとし、超過洪水に対する対策を踏まえた提案を行う必要がある。
  • 整備目標規模として戦後最大であるS34.9型洪水(伊勢湾台風)で異議はない。
  • 紀の川の整備計画における目標水準は上下流、左右岸のバランスを考えて戦後最大洪水を基に整備メニューを考えるのも一つのとらえ方である。
  • 紀の川の目標流量をS34.9型洪水(伊勢湾台風)に設定するのは流域住民の合意が得られると考える。
  • 整備の水準をどうするのかと言う事に関して、安全、安心、公平性、効率性、環境という視点から流域全体として合意できる位置付けが必要である。

以上の審議の結果、紀の川河川整備計画における目標流量は、
「S34.9型洪水(伊勢湾台風)」 に決定した。

 

3.紀の川河川整備計画について(遊水地の検討について)

河川管理者から紀の川河川整備計画、遊水地の検討について説明があった。
主な内容は次のとおり。
  • 遊水地の事例
  • 遊水地検討の流れ
  • 前回までの遊水地検討の整理
  • 遊水地候補地の現状
  • 遊水地効果の検証
  • 遊水地計画の検討
委員会の様子5

それらに対する主な意見は次のとおり。
  • 遊水地効果の算出において第3回勉強会で視察した二見地区の効果も反映して欲しい。
  • 第3回勉強会で視察した遊水地を実現するためには、合意形成等の手続きに時間がかかる他、施設の現況復旧など、いろいろな意味での条件が必要であり困難である。
  • 勉強会において参加された地元の方は、当該候補地内に家屋や土地を所有していない人で地元の人が遊水地を求めているかどうかは分からないと考えられる。
  • 住民にとっては水の被害はつらく、このような水害に対して国が守る必要がある。
  • 配布した資料(紀伊丹生川ダム計画の問題と紀の川の治水対策)のP16に遊水地の私達の考えを載せた。これらの場所は現在、あるいは過去において自然の遊水地となっており、そのような遊水地形を考慮した土地利用形態がのこされている。このような場所に関しては、土地利用を規制する事により、現状を保全すべきである。
  • 上流でどれくらいの雨が降ったら安田嶋で浸水するのか教えて欲しい。
    →ある仮定のもとであれば次回提示できる。
  • 上野公園は浸水実績はあるのか。
    →調べて提示する。
  • 現在検討している遊水地の効果による下流への抑制効果が費用や時間の面でどれくらいの効果があるのか。
    →代替案の比較検討はまだ行っていない。次回以降に比較検討を行っていきたい。
  • 整備計画の整備メニューを提示してもらう時に効果の検討を行う必要がある。
  • 住民が賛成してくれるという前提でビオトープ的な立場から遊水地の必要性も考えて欲しい。
    ⇒整備メニューの検討の際に話し合いたい。
 


4.紀の川流域委員会勉強会の報告

 養父座長から10月31日(木)に行われた、第3回紀の川流域委員会勉強会(現地視察)の報告があった。
 委員22名中10名の参加者のもと、紀の川の河口付近から二見地区まで18箇所を視察した。
主な視察箇所は次のとおり。
・紀の川河口付近 ・紀の川大堰 ・直川ワンド
・岩出井堰 ・貴志川合流点 ・花野地区
・嶋地区 ・藤崎井堰 ・藤崎ワンド
・新田地区 ・慈尊院地区 ・小田井堰
・安田嶋地区 ・岸上地区 ・恋野橋周辺
・上野公園 ・阪合部橋周辺 ・二見地区
 


5.次回の開催内容について

次回の開催内容は次のとおり
  • 農水の水循環の過去と現在について三野委員から話題提供して頂く。
  • 水資源や水質、地下水の利用について江種委員から話題提供して頂く。
  • 今回質問されたことについての回答。
  • 次回の流域委員会の前に勉強会で飽和雨量に対する議論を行う。
  • 開催時期は1月上旬頃とする。
  • 開催場所は和歌山市内とする。

次々回の開催内容は次のとおり
  • 考えられる整備メニューを出した上で、利水や環境と照らし合わせて議論する。
  • 流域委員会において整備メニューを提案する前に勉強会で一度議論する。
委員会の様子6
 

6.一般傍聴者からの意見

  • 紀の川の整備を考えていく上で大台ヶ原は重要であるが、整備を考えていく際に、地下水への浸透を考慮に入れた樹木の選定も考えていく必要もある。また、このような観点から築堤や掘削だけではなく、遊水地も考慮に入れた整備が必要であると考えられる。
  • 先日行われた水郷水都の全国大会では、どのような木の種類が有効なのか、どのくらい成長すれば有効なのかなどといった緑のダムについての報告があった。
  • 木が生えていることによって、生えていない場合に比べて洪水時のピークがなだらかになるといった結果が出ている。
  • 紀の川を考える上では大台ヶ原の降雨が重要であり、その辺りの水をどのように土にしみこませるのかが重要なのではないか。
  • 掘削とか築堤だけではなく、遊水地などを活用することも大切だと思う。
⇒:委員回答
→:河川管理者回答


この議事骨子は、委員会終了後に速やかに審議内容が公開できる様に取りまとめたものです。従って、今後議事の詳録を作成する上において、修正等が加わることがありますが、その際は、ホームページ上で修正箇所等を明らかにした上で再掲載を行いますのでご了承下さい。

次回、第13回紀の川流域委員会は、1月上旬に和歌山市で開催される予定です。詳細は、決定次第ホームページに掲載します。

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国土交通省近畿地方整備局 和歌山河川国道事務所