〜万葉の時代から現在にいたる水環境の変遷〜
遣隋使が海石榴市に上陸するようすを再現(写真提供:桜井市)
大和川の周辺は古代の政治、経済、文化の中心地であり、飛鳥古京、藤原京、平城京、難波京などの都をはじめ、東大寺や法隆寺、河内の大古墳地帯や国府、日本最大の仁徳天皇陵など、今なお日本の古代史にその名が残る遺跡が数多く点在する、日本文化の母なる地域です。
昭和30年頃の大和川は、人々が水泳を楽しみ、川の水を飲み水として利用する身近な川でした。ところが昭和40年代に入り、高度経済成長とともに工場や家庭からの排水が大和川に流れ込み、水質が悪化。人々と大和川とのふれあいや大和川への関心は薄れ、アユをはじめとする多くの生き物たちが姿を消していきました。
その後、流域の下水道整備や、汚れた生活排水を減らすといった人々の意識の高まりと努力により大和川の水質は大幅に改善され、1972年(昭和47年)以降全国一級河川の水質現況でワースト3内にランキングされ続けていた大和川は2010年(平成22年)、公表39年目で初めてワースト3からの脱出を果たすことができました。
最近では天然アユの遡上が確認されている大和川ですが、その兆しは確認されて間がなく、またアユをはじめとする生き物の生息環境として瀬・淵、水際植生の減少など多くの改善点が残されています。そのため、水環境改善に向けた解決の方策を流域の方々と分かち合いながら活動していくことが大切であると考えます。
本発表・研究・交流会では、大和川の万葉の時代から現在にいたる水環境の変遷等をたどりながら、水質の変化にともなう大和川の生き物について学び、水環境改善に取り組んでおられる方々との意見交換を通じて、ひとりでも大和川の水環境の回復に賛同していただける方々を増やしたいと思います。
大和川の生き物調査体験活動 | アユの産卵場づくり | 平成23年11月8日大和川大正橋付近で確認された仔アユ |
大和川水環境改善活動発表・研究・交流会2012
2012年2月12日(日)〜万葉の時代から現在にいたる水環境の変遷〜というテーマで、大和川水環境改善活動発表・研究・交流会2012を開催しました。
当日のプログラム:13:00 〜17:00
- 【第1部】 講話 万葉歌にうたわれた初瀬川・飛鳥川・佐保川
- 講話:奈良県立図書情報館館長 国際日本文化研究センター名誉教授 千田 稔 氏
- 【第2部】 大和川の水環境改善の歩み 発表:国土交通省大和川河川事務所
- 昭和30年代から現在の水環境、水質改善の取組
- 【第3部】 活動発表会
- ○ 大和川流域全体のこれまでの水環境に関する活動報告活動発表
- 大和川市民ネットワーク、環境市民ネットワーク天理、大和川を守る会
- 【第4部】 研究発表会
- ○天然アユの遡上状況と産卵場づくり試行結果 大阪市立大学大学院工学研究科
- 【第5部】 交流会(パネルディスカッション)
- ○水環境の回復に向けて私たちができること
- ○大和川水環境改善計画のキャッチフレーズの決定
進 行 | : | 大阪市立大学大学院工学研究科教授 | 矢持 進氏 |
大阪府環境農林水産総合研究所主任研究員 | 日下部 敬之氏 | ||
パネラー | : | 大阪教育大学名誉教授 | 長田 芳和氏 |
大和川水辺の楽校協議会会長 | 亀井 哲夫氏 | ||
大和川市民ネットワーク事務局長 | 小松 清生氏 | ||
大和川河川事務所長 | 鈴木 俊朗氏 |
- >> 当日のようすはこちら (ファイル容量約4,420KB)
当日の参加者アンケート
主催
主催:大和川河川事務所
共催:大和川水環境協議会(近畿地方整備局・大阪府・奈良県・流域市町村)
協力:大和川市民ネットワーク、大和川天然アユ研究会
後援:(社)土木学会関西支部 (社)日本水産学会近畿支部 大阪市立大学大学院工学研究科研究プロジェクト