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大和川の水環境

大和川の水質

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用語説明と標準値

pH(ピーエイチまたはペーハー:水素イオン濃度指数)

水の酸性とアルカリ性の度合を示す数値。中性の水はpH7で、7より小さければ酸性、7より大きければアルカリ性を示します。pHは水中の化学的作用や生物作用に大きな影響を与え、強い酸性やアルカリ性の水の中では普通の微生物は活動できません。アルカリ側では金属の水酸化物が生成して透明度が下がったり底泥の堆積量が増えたりしやすく、酸性側では底質中の重金属が溶出しやすくなります。測定時の水温や摂取場所(表流水か地下水か湖沼水か等)によって多少の傾きが生じますが、通常の淡水はpH7前後。水道用水としてはpH6.5〜8.5、農業用水としてはpH6.0〜7.5の範囲が望ましいとされています。

BOD(biochemical oxygen demend:生物化学的酸素要求量)

水中の比較的分解されやすい有機物が、溶存酸素の存在のもとに好気性微生物によって酸化分解される時に消費される酸素の量で、通常20度で5日間、暗所で培養した時の消費量(BOD5)を指します。BODが高いということは溶存酸素が欠乏しやすいことを意味し、BOD10mg/L以上では悪臭の発生など嫌気性分解に伴う障害が現れ始めます。上水用水源としてはBOD3mg/L以下、水産用としては、ヤマメ・イワナなどの清水性魚類に対してはBOD2mg/L以下、サケ・マス・アユなどはBOD3mg/L以下、比較的汚濁に強いコイ・フナ類でもBOD5mg/L以下が適当とされています。人為的汚染のない河川のBODはおおむね1mg/L以下です。

COD(chemical oxygen demand:化学的酸素要求量)

水中の被酸化物質(主として有機物)を過マンガン酸カリウム(KMnO4)または重クロム酸カリウム(K2Cr2O7)などの酸化剤で酸化する際に消費される酸化剤の量を酸素量に換算したもので、BODとともに有機汚濁の指標としてよく用いられます。環境基準は、河川についてはBOD、湖沼および海域についてはCODで設定されています。水道用水源としてはCOD3mg/L以下、水産用水としてはサケ・マスなどにはCOD3mg/L以下、コイ・フナなどにはCOD5mg/L以下、農業用水としては溶存酸素の不足による根ぐされ病の防止の点からCOD6mg/L以下が望ましいとされています。人為的汚濁のない水域のCODはおおむね1mg/L以下です。

SS(suspended solid:浮遊物質または懸濁物質)
粒状物質(particulatematter:PM)、セストン(seston)などともいう

水中に懸濁している不溶解性の粒子状物質のことで、粘土鉱物に由来する微粒子や動植物プランクトンおよびその死骸、下水・工場排水に由来する有機物や金属の沈殿などが含まれます。SSが多いと、水の濁りや透明度などの外観が悪くなるほか、魚類のエラを塞いで死亡させたり、光の透過を妨げ水中の植物の光合成を阻害したり、といった悪影響を及ぼします。通常の河川のSSは25〜100mg/L以下ですが、降雨後の濁水の流出時には数百mg/L以上(例えば造成工事に伴って流出する濁水のSSは500〜5000mg/L程度)になることもあります。湖沼は、流れが緩やかで沈殿しやすいため、河川に比べてSSは少なく一般に15mg/L以下程度、貧栄養湖では1mg/L以下です。農業用水としては、土壌の透水性の保持の点からSS100mg/L以下、水産用水としては、河川25mg/L以下、湖沼については、サケ・マス・アユなどには1.4mg/L以下、コイ・フナなどには3mg/L以下が適当とされています。

DO(dissolved oxygen:溶存酸素)

水中に溶解している酸素ガス(O2)のことで、河川や海域での自浄作用や、魚類をはじめとする水生生物の生活に不可欠なものです。水が清澄なほどその条件における飽和量に近い量が含まれます。一般に、魚介類が生存するためにはDO3mg/L以上が必要であり、良好な状態を保つためには5mg/L以上であることが望ましい。また、好気性微生物が活発に活動するためにはDO2mg/L以上が必要で、それ以下になると嫌気性分解が起こり硫化水素やメルカプタンなどの悪臭物質が発生したりします。農業用水としては、DO5mg/L以下で根ぐされなどの障害が生じます。

大腸菌群数(coliform group bacteria)

大腸菌群とは、大腸菌及び大腸菌ときわめてよく似た性質を持つ細菌の総称。一般に人畜の腸管内に常時生息し、健康な人間の糞便1g中に10億〜100億存在すると言われています。微量のし尿でも鋭敏に検出され、検出も容易かつ確実なので、し尿汚染の指標として広く用いられています。水中に許容される大腸菌群数は利水目的によって異なりますが、水道水質基準(水道法)では検出されないこと、水産用水基準(日本水産資源保護協会)では1000個/100ml以下(生食用カキの養殖場については70個/100ml以下)と定められています。

総窒素(total nitrogen:T-N)全窒素ともいう

水中の窒素の総量(窒素ガス含まず)。富栄養化の指標としてよく使われ、富栄養と貧栄養の限界値はT-N0.15〜0.2mg/L程度とされています。

総リン(total phosphorus:T-P)全リンともいう

水中のすべてのリン化合物を、強酸あるいは酸化剤によってオルトリン酸リンに分解して定量したもの。富栄養化の目安としては、T-Pで0.02mg/L程度とされています。

クロロフィルa(chlorophyll a)

クロロフィル(葉緑素)は、クロロフィルa、b、cおよびバクテリアクロロフィルに分類されますが、このうちクロロフィルaは光合成細菌を除くすべての緑色植物に含まれるもので、藻類の存在量の指標となります。

アンモニウム態窒素(ammonium nitrogen:NH4-NまたはNH3-N)アンモニア性窒素ともいう

水中にアンモニウム塩として含まれている窒素のこと。主としてし尿や家庭下水中の有機物の分解や工場排水に起因するもので、それらによる水質汚染の有力な指標となります。富栄養化の原因となるだけでなく、浄水処理における塩素の消費量を増大させる問題点もあります。塩素処理にはアンモニウム態窒素のおよそ 10倍の塩素が必要。通常の浄水処理の水源としては0.1mg/L以下、高度な処理を行う場合でも0.5mg/L以下が望ましいとされています。

トリハロメタン(trihalomethane:THM)

メタン(CH4)の4個の水素原子のうち3個がハロゲン原子によって置換された物質の総称で、通常クロロホルム・プロモジクロロメタン・ジブロモクロロメタン・ブロモホルムの4種を指します。クロロホルムは発ガン性が証明されており、他の3種も変異原生が確認されています。厚生省は水道中の総トリハロメタン(4種の合計)の制御目標値(年平均0.10mg/L以下)を定めていましたが、平成4年12月より4種それぞれと総トリハロメタンについて水道水質基準が定められました。

トリハロメタン生成能

一定の条件で塩素処理を行ったときに生成されるトリハロメタン量をいい、トリハロメタン前駆物質の指標とします。

環境基準

環境基本法に基づき、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として定められています。
この環境基準のうち、利水目的などに応じて水域類型が定められており、河川や海域において「類型指定」が行われています。河川では、AA類型(水道1級自然環境保全及びA以下の欄にあげるもの)、A類型(水道2級水産1級水浴及びB以下の欄にあげるもの)、B類型(水道3級水産2級及びC以下の欄にあげるもの)、C類型(水道3級工業用水1級及びD以下の欄にあげるもの)、D類型(工業用水2級農業用水及びEの欄にあげるもの)、E類型(工業用水3級環境保全)<※( )内は利水目的の適応性>に分類されています。
河川C類型は、目標値としてコイやフナ等がすむのに適した「水産3級」、沈殿物などの浄化操作を行う「工業用水1級」などが位置づけられています。

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