JR三郷駅に降り立ち、静かな住宅地を抜けて7世紀に創建された龍田大社へ。途中立ち寄った、神がすむ森といわれる神南備の名を持つ神社の前に、当地ゆかりの万葉の歌と、奈良から大阪へ向かう古人たちが別れを惜しんだ歌が記され、竜田越えの険しさを思い浮かべることができます。
龍田大社には民衆が凶作と疫病に悩まされていた時に、崇神天皇の夢に現われた風神のお告げで神殿をつくったといういい伝えがあり、以来、農民たちには五穀豊穰をかなえる神として、また、大和川を行き交う船乗りには「舟運安全に霊験あらたか」と信仰を集めたそうです。龍田大社をあとにして、左に紅葉の名所として知られた三室山を眺めながら、七福神の毘沙門天王が出現した所といわれる信貴山へ向かい、家内安全を願います。道すがら、道路脇には栗が実り里の風情を感じて、身近に自然を満喫できる歴史散歩を楽しむことができます。
天智(てんじ)天皇の時代から受け継がれているという、順風の到来を祈る龍田大社の例祭「風鎮祭(ふうちんさい)」は、今も毎年7月に昔ながらの作法で行われている。
家内安全、商売繁盛などの福の神で全国から信仰を集めている信貴山朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)。