アクア琵琶からのメールニュース vol.237号(2022.6.30発行)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■開館のおしらせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    アクア琵琶は、コロナ感染症対策として館内の見学人数を45名で調整させ
 ていただいているところで人数制限については継続となりますが、令和4年
 4月28日より個人・小グループ(9人以下)の入館については、当日受付
 により見学いただけるよう運用を変更しております。
   但し、学校関係・団体等(10人以上)の見学については、従来同様3日前
 迄に事前予約が必要となりますので、利用者のみなさまにおかれましてはご
 不便をおかけいたしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。
   詳細はホームページをご確認ください。
  よろしくお願いします。   

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■アクア琵琶だより
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


               魚にもやさしい洗堰操作


  朝焼小焼だ 大漁だ 大羽鰮(おおばいわし)の 大漁だ。
 浜は祭りの ようだけど 海のなかでは 何万の 鰮のとむらい するだろう。

 金子みすゞさんの有名な詩『大漁』です。「浜の喜び」と「海の中の悲しみ」
の両方を感じることで、「立場が変われば違う感情をもっているかもしれない」
と、普段は人間中心の視点で生活していることにハッとさせられます。
 今年3月19日に行われた『赤野井湾再生シンポジウム』(主催:守山市)に参
加して、そのような気づきがありました。

 大水害を防ぐ目的で実施された野洲川の流路変更・湾北部の埋立・湾口部の
消波堤建設などで極めて閉鎖性の強くなった赤野井湾(琵琶湖南湖・草津市と
守山市にまたがっている湾)では、アオコの大量発生・外来魚の増加・水草の
大量繁茂など様々な問題が発生し、漁獲量が大きく落ち込んだと言われていま
す。つまり、琵琶湖の魚たちにとっては住みにくくなってしまったのではない
かということが想像できます。
 また、赤野井湾に限らず、工業や農業の排水による水質悪化やプラスチック
等の湖底ごみ増加も、これまでの私たちの営みが水辺の環境を悪くしてきたこ
との例として指摘されています。魚たちの立場で想像すると息が詰まる思いで
す。
 琵琶湖周辺地域を洪水被害から守るための「治水対策」、琵琶湖の水をより
有効に利用するための「利水対策」は、人々の安全・安心で便利な暮らしを守
るために非常に重要なものですが、琵琶湖の水質や恵まれた自然環境を守るた
めの「保全対策」も重要となってきます。

 先述したシンポジウムでは、琵琶湖河川事務所長が「瀬田川洗堰操作による
水位管理」というタイトルで瀬田川洗堰操作の目的や琵琶湖水位管理の基準等
について講演をし、あまり知られていない“環境に配慮した堰操作”について
も紹介いたしました。 
 実は、瀬田川洗堰では治水や利水の対策だけでなく、魚類の産卵への影響も
考えながら操作をしているのです(平成26年から本格的に試行を実施)。コイや
フナの多くは4〜5月にかけて産卵をするので、その時期には琵琶湖水位をなる
べく<プラス10cm>に維持して、湿地やヨシ帯に産み付けられた卵が干上がら
ないように配慮しています。この時期に大量の雨が降って琵琶湖水位が上昇す
ると、本来であれば琵琶湖周辺に洪水被害を生じさせないように水位をすぐに
でも下げたいところですが、このタイミングで水草の高い位置に産み付けられ
た卵があるため、ゆっくりと水位を下げることで孵化しやすい環境を守ってい
ます。とはいえ、次の大雨にも注意しながら適切な操作を日々行っているので
す。 
 主催の守山市から「赤野井湾において固有魚の復活・産卵がみられますが、
これは琵琶湖河川事務所の的確な洗堰操作が大きく効果をもたらしているかも
しれない」とのお話があり、アクア琵琶スタッフも事務所の一員として嬉しい
気持ちになりました。

 また、今年3月に行われた『野洲川を歩こう!』(主催:ウォーターステー
ション琵琶 河川レンジャー活動支援室)のイベントに参加した時に聞いた話
ですが、琵琶湖総合開発事業の一環である野洲川放水路(昭和54年6月通水)建
設時に整備された落差工では、魚たちが両端にある魚道を見つけることができ
ず、落差工の上流に移動できないこともあると後にわかりました。そこで平成
20年、落差工の中央部に新たに魚道を造りました。そのことによって魚たちが
行き来しやすくなり、以前より多くの鮎やビワマスの姿が上流でも確認される
ようになったそうです。琵琶湖の魚類の中には、川を遡上して産卵する種もい
るため、魚道の機能はとても重要なものとなっています。 
 
 自然環境への影響を小さくするよう配慮しながら管理が行われたり、「造っ
て終わり」ではなく自然環境への影響を考慮して改修工事をしたりと、「保全
対策」も試行錯誤の中で進められているということを少しでもお伝えできれば
と思いました。

 ちなみに、野洲川放水路沿いの堤防はとってものどかで素敵な散歩道だった
ので、思わず「♪暮れ〜なずむ〜町の〜」と口ずさんでしまいました。ぜひぜ
ひ、お散歩してみてくださいね!


【お知らせ】「琵琶湖開発施設管理開始30周年記念カード」を配布しています。
       なくなり次第、配布終了となりますのでご了承ください。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■その他
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
登録されたメールアドレスは「アクア琵琶メールニュース」配信のみに利用し、
その他の目的で利用することはございません。
迷惑メール防止のためのメール受信設定をしている方は、ドメイン指定解除設定
を行ってください。
※送信元メールアドレス:kkr-aquabiwa@mlit.go.jp
======================================================================
このメールニュースの受信を止めるには、アクア琵琶ホームページ内の「メー
ルニュース登録・解除
<http://www.kkr.mlit.go.jp/biwako/aquabiwa/apply/mailnews.php>」より、
お手続きください。
======================================================================
水のめぐみ館「アクア琵琶」

〒520-2279 滋賀県大津市黒津4丁目2番2号
TEL.077-546-7348

ご意見・ご要望は下記のお問い合せフォームよりアクセスをお願い致します。
お問い合せフォーム
<https://www.kkr.mlit.go.jp/biwako/aquabiwa/form/index.html>
======================================================================



                    

                
    
ページトップに戻る

もどる

HOME > 各種資料 >