アクア琵琶からのメールニュース vol.240号(2022.9.28発行)
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■開館のおしらせ
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 アクア琵琶は、コロナ感染症対策として館内の見学人数を45名で調整させて
いただいているところで人数制限については継続となりますが、令和4年4月28
日より個人・小グループ(9人以下)の入館については、当日受付により見学
いただけるよう運用を変更しております。
 但し、学校関係・団体等(10人以上)の見学については、従来同様3日前迄
に事前予約が必要となりますので、利用者のみなさまにおかれましてはご不便
をおかけいたしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。
 詳細はホームページをご確認ください。   

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■アクア琵琶だより
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               大日山


 記録的な暑さといわれた今年の夏。
  残暑の厳しさもようやく和らぎ、朝夕日毎に涼しくなり、凜とした冷たい空
気に秋の気配を感じられるようになりました。
 秋の初め、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。


 今回のアクア琵琶からのメールニュースは、大日山についてお話しをさせて
いただこうと思います。


 瀬田川沿いの道路を南下し、瀬田川洗堰とアクア琵琶に近づいてくると瀬田
川に沿った、特徴的な形の山が見えてきます。
 この山は大日山といって、緑豊かな木々が生い茂り、標高は高くないのにと
ても存在感があります。
 
 滋賀県には227の山があり、その中で大日山は標高129mの227位、つまり滋賀
県で一番低い山です。
 南郷洗堰跡の北300mに位置していて、奈良時代の僧侶行基が、この山に大日
如来を祀られた事により、大日山と名付けられました。 
 行基というお坊さんが、なぜここに大日如来を祀ったのかという理由はまた
後ほどお話しするとして、山頂部の自然の石を大日如来の姿とみなし、瀬田川
の守り神として祀られたため、当時の人々の信仰を集めました。
 また、南側山腹に「乳の池」と呼ばれる小さな池があり、旱魃(かんばつ)に
も水が絶えることがないことから、母乳の出の悪い女性が大日山へお参りし、
この池の水をもらって帰ると母乳の出がよくなったという言い伝えも残されて
います。

 現在の大日山は、西側が急斜面で瀬田川へ落ち込む地形となっていますが、
昔は瀬田川側へ大きく張り出す地形となっていました。
 そのため、琵琶湖から流れ出る唯一の川である瀬田川の川幅が狭まり、水の
流れが阻害され、大雨が降るたび琵琶湖周辺の水害につながっていました。
 そこで、奈良時代に先出の行基が大日山の張り出し部の切り取りを提案しま
した。瀬田川の流れが良くなると下流で氾濫が起きてしまうのは困ると下流住
民の猛反対により、断念に至りました。
 このようないきさつがあって、行基は後人が大日山を削らないよう「大日山
をけずるとたたりがある」との言葉を残し、大日如来を山頂に祀ったのです。
 
 時は流れ、戦国時代に入ると瀬田川に突き出した、この大日山の浅瀬が大変
重要なものとなっていました。
 戦により、要所であった瀬田の唐橋が落とされて川を渡ることができない場
合でも、大日山の浅瀬は歩いて瀬田川を渡ることができる唯一の場所であった
事から、大雨時に水害が起きても、大日山をけずり浅瀬を掘り川幅を広げるこ
とは決して許されなかったのです。

 その後、明治時代に入り、度重なる大雨による大洪水が発生し、明治29年に
は琵琶湖周辺にあるほとんどの市町村が浸水するという未曾有の被害を被りま
した。浸水した期間は、のべ237日、彦根市は80%、大津市の中心部は全て浸水
したと記録されています。
 これらの洪水が契機になり、わが国で初めて近代土木技術を導入した本格的
な治水対策として淀川改良工事がすすめられました。その一環として瀬田川改
良工事も行われました。
 瀬田川浚渫により、流れが良くなると下流で洪水を起こしやすくなります。
 一方で渇水になると、琵琶湖周辺の水位が下がりすぎて沿岸の人々の生活に
支障をきたすことになります。
 洪水と渇水という二つの事象を解決するために設置されたのが洗堰です。こ
れにより本格的な瀬田川浚渫にも着手することが可能になりました。
 大日山をけずり、瀬田川の川幅を110mに広げ、水深3m以上にし、浅瀬を取り
除きました。
 奈良時代に行基が提案した、大日山の張り出し部分が、ようやくここでけず
られることになったのです。
 
 この事業により琵琶湖の水害発生は以前より抑えられることになりました。

 
 大日山については、アクア琵琶でもパネルでご紹介させていただいておりま
す。また、アクア琵琶からすぐのところにありますので、ご興味のある方は、
滋賀県で一番低い山へ、登頂されてみてはいかがでしょうか。

 
 今回、メールニュースで大日山を取り上げようと決めてから、いつも何気な
く見ている山や川、風景のひとつひとつに歴史があり、人との深い関わりの時
間が刻まれている事に、改めて気付くことが出来ました。
 
 身近な場所や出来事に興味を持って調べたり、資料を読むのは、秋の夜長を
過ごすのにぴったりだなぁと思った、アクア琵琶スタッフでした。

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