(1)部子川
池田町の北部を流れる部子川は、三里ばかりの川であるが、滝あり、淵あり、そして甌穴をもつなど、変化に富んだ河川である。また、西青村や支流の篭掛川の上流蒲沢村付近には、「金山流し跡」があったとされている。
この部子川の支流の尾暖川は、小さな滝の多い河川であるが、万葉集巻ノ八に次のような歌がある。いわそそぐ 垂見の上の さわらび(早蕨)の 萌えいずる春に なりにけるかも
ここで「垂見」は「暖」とかけて滝の意をあらわす。滝のことを「タル」と呼んでいた。
(2)真名川
真名川は、大野の中央を流れるから「真中川」とも呼ばれ、「越前国名蹟考」には「真那川」とも書かれている。
「深山木」という本には、真名川が暴れ川であり、堀兼堤を築いたとも記されている。「まな川は もとのながれ とき川なるに 山のまをながれて 佐開の南にて いとど勢あらく 行くべき川をばゆかずして 上・下の里ともみなおしながしっぺし されば いと高き堤を長くきづきて これをとどむるを ほりかねの堤とはいへり」そして、次のような歌が載せられている。
川風の寒くし吹けばほりかねの 堤のかげに鴨ぞなくなる
「深山木」という本には、真名川が暴れ川であり、堀兼堤を築いたとも記されている。「まな川は もとのながれ とき川なるに 山のまをながれて 佐開の南にて いとど勢あらく 行くべき川をばゆかずして 上・下の里ともみなおしながしっぺし されば いと高き堤を長くきづきて これをとどむるを ほりかねの堤とはいへり」そして、次のような歌が載せられている。
川風の寒くし吹けばほりかねの 堤のかげに鴨ぞなくなる
参考資料
- 福井県史
- 関係市町村史
- 関係市町村民話・伝説関係図書
- 越前若狭の伝説 昭和45年2月 編者:杉原丈夫 発行:松見文庫
- 日本の民話12 昭和56年1月 加賀・能登・若狭・越前編 編者:杉原丈夫他
- 河川のルーツ 昭和57年7月 著者:上杉喜寿
- 角川日本地名大辞典 18 福井県 平成元年12月 角川書店
- 福井県の地名-日本歴史地名大系18- 1981年9月 平凡社
- 祭礼行事・福井県(平成7年1月) おうふう
- 北陸の河川 1996年3月 北陸電力㈱、地域総合研究所
- 北陸の水 1995年2月 北陸電力㈱、地域総合研究所
- 新訂越前国名蹟考 昭和55年10月 編者:杉原丈夫 発行:松見文庫
- ふくいの祭り-野の花文庫1- 昭和63年1月
- 石をめぐる歴史と文化-笏谷石とその周辺- 1989年 福井県立博物館
- 笏谷石文化 1988年11月 編著:福井の文化財を考える会
- 笏谷石造をたずねて 1993年8月 著者:大久保まさ子 発行:若草書房
- 福井県立博物館の特別展
- 川の碑 平成9年3月 編集:川の碑編集委員会 発行:山海堂
著者:杉原丈夫
発行:(財)福井県文化振興事業団
第11回 石をめぐる歴史と文化-笏谷石とその周辺-
第13回 文明開化の光と影-福井県/その誕生期-
第14回 川の生活誌-そのめぐみと恐れ-