九頭竜川流域誌


3.1 松ヶ鼻用水

  現在、松ヶ鼻用水は日野川の流水を武生市向新保松ヶ鼻地区において取水し、日野川右岸の武生市と鯖江市一帯の約1,140haを灌漑している。
  しかし、江戸時代の松ヶ鼻用水は、日野川の水を向新保松ヶ鼻地区において取水し、畑・小野谷・矢放の三ヵ村の田地を灌漑する用水であった。そして、その用水が排水と混ざって流れて行き堀兼川、赤川となった。
  向新保地区は、平安時代には河原であったが、鎌倉時代に入って日野川の西流を固定するために堤防が築かれ、次第に開墾が進んで耕地が拡大していった。このため、耕地を十分に灌漑するために用水取水口の整備が必要となった。用水取水口は、河川が谷から扇状地に移行する場所で水量が豊富にあり、容易に取水できる場所であることが条件である。その条件を満たしていたのが、向新保地区であったため、向新保地区に松ヶ鼻上・松ヶ鼻下・島ヶ窪・経田用水の取水口が設置された。これにより、日野川右岸の20数ヵ村を灌漑していた。
 明治中期までには多くの村が松ヶ鼻用水組合に加わり、24ヵ村となった。そして、幾多の変遷を経て、昭和27年(1952)には松ヶ鼻土地改良区と改称され、昭和36年〜51年にかけて県営灌漑排水事業が行われ、日野川から3.75m3/sを取水し、受益面積が1,143haとなった。その範囲は、北西部が武生市高木、北は鯖江市下新庄、東は三里山、南は日野山で囲まれる東西約2km、南北約8kmの区域である。
  昭和56年(1981)より松ヶ鼻東部・西部の県営灌漑事業が行われ、新揚水機の設置や管路工事が実施された。現在は、日野川から4.732m3/sを取水している。


図3.3.7松ヶ鼻堰提用水区域 取水口と導水路
取水口と導水路
松ヶ鼻堰提
松ヶ鼻堰提


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