生き物と水質
以前は友禅流しをする光景が見られるほど、猪名川は美しい水が豊富に流れる川でした。しかし1965年前後の都市化に合わせて水質が低下し、特に最明寺川、駄六川などの汚れがひどくなりました。
そこで1969年に関係機関が「水質汚濁対策連絡協議会」を発足させ、下水道・公共下水道網の整備や、工場排水の上乗せ条例による厳しい基準規制が設けられたのです。
また軍行橋・銀橋に水質自動監視装置を設置して、常に水質を監視した結果、1975年を境に中流部の水質は大幅改善されました。
1977年以降は水質に大きな変化はなく、例年なみまたは改善されて水質悪化を防いでいます。
猪名川の水質について

環境基準表
生活環境の保全に関する環境基準(河川)
生活環境の保全に関する環境基準:水の利用目的に応じてAAからEまでのランクに分けられ、それぞれに要求される水質の基準が異なります。
基 準 値(日間平均値) | ||||||
類 型 |
利用目的※の 適応性 |
水素イオン 濃 度 (pH) |
生物化学的 酸素要求量 (BOD)mg/ |
浮 遊 物質量 (SS)mg/ |
溶 存 酸素量 (DO)mg/l |
大腸菌群数 MPN/100ml |
AA | 水 道 1 級 自然環境保全 及びA以下の欄 に掲げるもの |
6.5以上 8.5以下 |
1mg/l 以下 |
25mg/l 以下 |
7.5mg/l 以上 |
50以下 |
A | 水 道 2 級 水 産 1 級 水浴及びB以下の欄に掲げるもの |
6.5以上 8.5以下 |
2mg/l 以下 |
25mg/l 以下 |
7.5mg/l 以上 |
1,000 以下 |
B | 水 道 3 級 水 産 2 級 及びC以下の欄に 掲げるもの |
6.5以上 8.5以下 |
3mg/l 以下 |
25mg/l 以下 |
5mg/l 以上 |
5,000 以下 |
C | 水 産 3 級 工業用水1級 及びD以下の欄 に掲げるもの |
6.5以上 8.5以下 |
5mg/l 以下 |
50mg/l 以下 |
5mg/l 以上 |
- |
D | 工業用水2級 農業用水 及びEの欄に 掲げるもの |
6.0以上 8.5以下 |
8mg/l 以下 |
100mg/l 以下 |
2mg/l 以上 |
- |
E | 工業用水3級 環境保全 |
6.0以上 8.5以下 |
10mg/l 以下 |
ごみ等の 浮遊が認 められな いこと。 |
2mg/l 以上 |
- |
利用目的
自然環境保全:自然探勝等の環境保全
水道1級:ろ過等による簡易な浄水操作を行うもの
水道2級:沈殿ろ過等による通常の浄水操作を行うもの
水道3級:前処理等を伴う高度の浄水操作を行うもの
水産1級:ヤマメ、イワナ等貧腐水性水域の水産生物用並びに水産2級及び水産3級の水産生物用
水産2級:サケ科魚類及びアユ等貧腐水性水域の水産生物用及び水産3級の水産生物用
水産3級:コイ、フナ等、β-中腐水性水域の水産生物用
工業用水1級:沈殿等による通常の浄水操作を行うもの
工業用水2級:薬品注入等による高度の浄水操作を行うもの
工業用水3級:特殊の浄水操作を行うもの
環境保全:国民の日常生活(沿岸の遊歩等を含む。)において不快感を生じない限度
人の環境の保護に関する環境基準表
人の健康の保護に関する環境基準:平成5年に従来の9項目に加えて、有機塩素化合物(半導体などの工場で使用)や農薬に関する項目が追加され、基準項目は全部で23項目となった。
項目 | 基準値(mg/l) |
---|---|
カドミウム | 0.003以下 |
全シアン | 検出されないこと |
鉛 | 0.01以下 |
クロム(六価) | 0.01以下 |
ヒ素 | 0.01以下 |
総水銀 | 0.0005以下 |
アルキル水銀 | 検出されないこと |
PCB | 検出されないこと |
トリクロロエチレン | 0.01以下 |
テトラクロロエチレン | 0.01以下 |
四塩化炭素 | 0.002以下 |
ジクロロメタン | 0.02以下 |
1,2-ジクロロエタン | 0.004以下 |
1,1,1-トリクロロエタン | 0.02以下 |
1,1,2-トリクロロエタン | 0.006以下 |
1,1-ジクロロエチレン | 0.006以下 |
シス-1,2-ジクロロエチレン | 0.1以下 |
1,3-ジクロロプロペン | 0.04以下 |
チラウム | 0.006以下 |
シマジン | 0.003以下 |
チオベンカルブ(ベンチオカーブ) | 0.02以下 |
ベンゼン | 0.01以下 |
セレン | 0.01以下 |
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 | 10以下 |
ふっ素 | 0.8以下 |
ほう素 | 1以下 |
1,4-ジオキサン | 0.05以下 |
猪名川生物学的水質階級図
上流域 | 昭和60~平成3年にかけて、杉生~虫生までβ中腐水性(少しよごれた水)を示したがそれ以後は改善され貧腐水性(きれいな水)を維持している。 |
---|---|
中流域 | 昭和40~46年には、α中腐水性(よごれた水)~強腐水性(とてもよごれた水)が広範囲に及んでいたが、昭和51年以降はβ中腐水性に回復した。これは、下水道の普及や工場排水の規制化が影響していると考えられる。 |
下流域 | 駄六川合流点付近で昭和40~46年にかけて、強腐水性を示していた。しかしそれ以降は最下流の戸の内を除く地点では、回復傾向を示し水質階級はα中腐水性となった。 |
支川 | 最明寺川と駄六川と箕面川では、以前は強腐水性の時もありましたが、現在はα中腐水性を維持しています。その他の場所でも水質階級は以前に比べてよくなってきている。 |
猪名川の水質汚濁
BOD平均値
BOD75%値

BODとは
生物化学的酸素要求量(水中のバクテリアが汚れを食べるときに使う酸素量のこと)世界共通の水の汚れを表す単位。この数字が小さいほど水がきれい。
(グラフデータ:軍行橋・利倉・呉服橋の年平均値)
関連情報
水文水質データベース
国土交通省河川局が所管する観測データを紹介しています。
猪名川の過去データについてもこちらから検索することができます。
川の防災情報
猪名川の一部の地点では水質自動監視装置を設置しており、リアルタイムデータを見ることができます。