大規模土砂災害対策研究機構とは

平成23年9月にわが国に襲来した台風12号は、紀伊半島の広い範囲に記録的な豪雨をもたらし、3,000箇所を超える斜面崩壊ならびに17箇所の河道閉塞を引き起こすとともに、和歌山県那智勝浦町では同時多発的に発生した土石流により甚大な被害が生じるなど、紀伊半島全体で88名の死者・行方不明者を出す大災害となりました。

本災害に対し、国・県・自治体等により緊急的な調査および対策工事が行われているところですが、これまでに対応した前例の極めて少ない大規模な土砂災害であり、様々な技術的・行政的な課題が明らかとなりました。

このような課題に対して対応技術の向上を図ることを目的として、国土交通省近畿地方整備局では平成26年度に「大規模土砂災害対策技術センター」を設置し、平成23年に大規模な災害を経験した那智勝浦町を活動の拠点として、大規模土砂災害に対する調査研究・技術開発を行っています。

そして、上記の調査研究を効果的に進めていくとともに、土砂災害防止に関わる人材育成や地域防災力の強化、防災知識普及のための広報や諸外国に向けての技術の発信といった取り組みを積極的に推進していくため、土砂災害や対策技術に関する高度な知見を有する大学や研究機関、ならびにより住民に近いところで警戒避難等災害対応にあたっている自治体との連携を図るため、国・県・町と大学・研究機関が協定を結び、「大規模土砂災害対策研究機構」(以下、研究機構)を平成26年度に設立しました。

研究機構では、構成機関相互の連携のもと、土砂災害による被害の防止・軽減、ひいては安全・安心な社会の実現に貢献するため継続的に活動を推進し、その成果を社会に還元するべく取り組みを進めています。