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 阪神・淡路大震災の経験は、社会基盤そのものの耐震性強化等に活かしていますが、この冊子では、社会基盤を上手に利用する教訓になりうる「経験」をまとめました。阪神・淡路大震災での経験が、必ずしもすべての地域にあてはまる教訓になるとは限りませんが、特に市民の方に知っていただきたい経験をまとめましたので、今後の行動やまちづくりの議論の参考にしてください。


震災の発生直後の経験から
●個人的な車利用は控え、救助部隊を最優先しましょう
 阪神・淡路大震災では、被災地の内外を結ぶ道路が渋滞したため、最優先されるべき救助部隊の被災地入りが著しく遅れ、救出を遅らせました。また、自動車に踏まれた消防ホースが破裂し、消火が妨げられました。被災状況や交通情報等を十分把握して支障がない限り、個人的な安否確認や物資輸送のための自動車利用は控えて下さい。

●初期の救出には、被災地内の人々による救出活動が重要です
 倒壊家屋からの早期救出が最優先で重要ですが、阪神・淡路大震災のように倒壊家屋が多すぎると、被災地内の消防署員や警察官だけでは人手が足りません。被災地内の市民自身の手による救出活動が、まずは重要です。

●電話は控え、別のシステムを活用しましよう
 阪神・淡路大震災では、被災直後に安否確認の電話が殺到して電話回線がパンクしたため、情報収集が妨げられていました。そのため、道路規制などの対策が遅れ、被害を広げる結果となりました。被災直後には電話は控え、安否確認はNTTの「171」システムなどを活用して下さい。





日常生活に関する経験から
●災害時の社会基盤の役割を理解し、その利用について考えましょう
 阪神・淡路大震災の経験を活かして、災害時に利用できるような近づきやすい水辺の整備、障害者の方も避難できるような学校等のバリアフリー化、延焼遮断や避難所に利用できるオープンスペースの拡大など、災害時に利用しやすいように社会基盤が整備されてきています。その利用について考えましょう。

●家屋倒壊と家具転倒の防止に努めましょう
 阪神・淡路大震災では死亡原因の大部分(約3/4)が「圧死」でしたので、死者を減らすには、家屋の耐震補強や家具の転倒防止が最も重要です。

●地域でのコミュニティづくりを進めましょう
 地域のつきあいが緊密な地域ほど、「どのような人が住んでいる」ということなども隣近所が知っていて、倒壊家屋等からの救出も早かった経験から、日頃の近所づきあいによるコミュニティづくりに努めて下さい。





 阪神・淡路大震災に関する研究や情報発信を行うため、国土交通省近畿地方整備局に設置されている震災復興対策連絡会議が、この冊子を作成しました。冊子の内容については、震災復興対策連絡会議のメンバーに、当時の被災地の実態をご存知の学識経験者に加わっていただいた「検討会」(具体メンバーは下記のとおり)を設け、そこでの議論を踏まえ、震災復興対策連絡会議としてとりまとめました。

(敬称略,50音順)

神吉 和夫神戸大学 土木工学科 助手
田所  諭神戸大学 情報知能工学科 助教授
林 まゆみ姫路工業大学 自然・環境科学研究所 助手
林  康裕京都大学 防災研究所 助教授
松村 暢彦大阪大学 土木工学科 助手
国土交通省 近畿地方整備局 震災復興対策連絡会議

企画部長、企画部 復興事業調整官、総務部 総括調整官、企画部 環境審査官、建政部 都市調整官、河川部 電気通信調整官、道路部 道路情報管理官、港湾空港部 事業計画官、営繕部 官庁施設管理官、企画部 広域計画課長