被災地外からの応援(消防、警察、自衛隊)が、道路渋滞に巻き込まれ、到着に時間がかかったことも、救助活動が大幅に遅れる一因となった。救助活動で道路渋滞に巻き込まれたのは、救助部隊だけでなく、救助のための重機材を運搬する車両や救急患者の輸送車両も渋滞に巻き込まれた。
神戸方面に向かう車で渋滞してる国道43号と倒壊した阪神高速道路
出典:『新時代を迎える地震対策』(建設省監修、1996年、ぎょうせい)
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資料:「震災とインフラ施設に関する体験・意見の募集アンケート」 |
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資料:「震災とインフラ施設に関する体験・意見の募集アンケート」 |
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資料:「震災とインフラ施設に関する体験・意見の募集アンケート」 |
道路渋滞の最大の原因は、落橋などによる幹線道路と鉄道の寸断であったが、安否確認や見舞など、救助以外の自動車の殺到や交通規制の難しさも渋滞に拍車をかけた。
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出典:『大震災 その時、わが街は』(神戸新聞社編、1995年) |
実際に救助に携わった警察官や消防隊員からは、交通規制を求める声が多く寄せられている。
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資料:「震災とインフラ施設に関する体験・意見の募集アンケート」 |
被災直後の道路利用は、救助部隊の移動が最優先されるべきであり、特に初動期は、救援物資輸送よりも人命救助が優先されるべきであるとの意見もある。
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出典:インタビュー「都市の再生と復興に向けて/京都大学中川大助教授」『日刊建設工業新聞』 (1995.06.07) |
いずれにせよ、救助部隊を円滑に到着させる交通規制が必要であり、交通施設の被災状況によっては救助部隊を最優先させるべきである。被災直後には、被災状況や交通規制の情報を十分に把握して、支障がない限り、個人的な安否確認や救援物資の輸送のため、自動車で被災地に入ったり、被災地内を移動するのを控えることが望ましい。
また、交通規制が難しかったことから、例えば、出入制限があり、耐震性の強い高速道路が利用できれば、もっと円滑に救助活動ができたという意見がある。
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出典:「道路交通へと望むこと/相澤冬樹(NHK記者)」『交通工学vol.30増刊号』 (交通工学研究会、1995年) |
震災の教訓から建造物の耐震設計・構造の研究が進み、国では、道路橋の技術基準の見直しを行い、補強対策事業を実施している。また、関係機関と協力して緊急輸送道路のネットワーク整備も進めている。
<緊急輸送道路ネットワークのイメージ>
災害時の救援活動、消防、生活物資等の緊急輸送に重要な道路については、緊急輸送道路ネットワークとして全国で整備を進めている。このネットワークの道路は、沿道に建っている建物等も含めて地震に強い構造にするとともに、河川敷道路等も活用し、公園等の防災拠点や、港湾や鉄道駅等とも結びつけることを目指している。
「SA,PA」SA=サービスエリア、PA=パーキングエリアの略称。レストランやトイレ、ガソリンスタンドなどがある高速道路の休憩施設。
「道の駅」=道路を快適に利用できるようにという発想から、休憩のためのパーキングエリアとしての役割だけでなく、地域の文化や歴史、名所や特産物などの魅力を紹介する情報発信基地や、地域と道路を利用する人々をつなぐ地域に根ざしたふれあいの場所としての役割などを、地域ごとの個性を活かして追加している道路沿いの施設。
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