ダム等の管理に係るフォローアップ制度の実施について

河川総合開発事業によって設置したダム、堰若しくは湖沼水位調節施設又は遊水地のうち、管理に移行する施設又は管理段階の施設(以下「ダム等」と言う。)においては、「ダム等の管理に係るフォローアップ制度の試行について」(平成8年2月7日付け建河開発第18号)を通知し、フォローアップ制度を試行してきたところである。

一方、公共事業の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上を図ることを目的に「建設省所管公共事業の事後評価基本方針(案)」が平成11年8月13日に出され、これに基づきダム等の事後評価については、フォローアップ制度の手続きが行なわれた場合においては事後評価の手続きとしてこれを位置付けることとしている。

このような状況を踏まえ、ダム等について、一層適切な管理を行なっていくことが重要であることに鑑み、下記によりダム等の管理状況を的確に把握し、事業を巡る社会経済情勢等の変化を踏まえ、その事業の効果や環境への影響等を分析・評価し、必要に応じて改善措置を講じる必要がある。そのため、下記によりダム等の管理に係るフォローアップ制度を本格的に導入することとしたので、遺漏のないようにされたい。

一 目 的
フォローアップ制度は、ダム等について、別紙「ダム等管理フォローアップ委員会設置・運営要領」に基づき、ダム等管理フォローアップ委員会(以下「委員会」という。)を設け、同委員会の意見を聴いて、管理段階における洪水調節実績、環境への影響等の調査及びその調査結果の分析と評価を一層客観的、科学的に行い、当核ダム等の適切な管理に資するとともに、ダム等の管理の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上を図ることを目的とする。
二 対象ダム等
フォローアップ制度の対象ダム等は次に掲げるものとする。
  1. (一)特定多目的ダム法(昭和三十二年法律第三十五号)に基づく事業又は直轄河川総合開発事業に係るダム等のうち国土交通省が直轄管理を行っているもの
  2. (二)水資源開発公団(以下「公団」という。)が実施する事業(水資源開発公団法(昭和三十六年法律第二百十八号)第五十五条第二号に規定する施設に係る事業とする。)に係る特定施設
三 事後評価の位置付け
「建設省所管公共事業の事後評価基本方針(案)」(平成11年8月13日)に基づきダム等の事後評価については、フォローアップ制度に基づいた手続きが行なわれることで、事後評価の手続きとしてこれを位置付けるものとする。
四 実施時期
フォローアップ制度は、管理に移行するダム等については、管理に移行する年度の前の年度から、試験湛水を実施するダム等については試験湛水を開始する年度の前の年度から実施することとする。
五 フォローアップ調査
(一)フォローアップ調査の実施
地方整備局長、北海道開発局長、沖縄総合事務局長又は公団本社若しくは支社等の長(以下「地方整備局長等」という。)は、別に定める「ダム等の管理に係るフォローアップ調査要領」に基づき、対象ダム等に係る洪水調節の実績、環境への影響等の調査(以下「フォローアップ調査」という。)を実施することとする。
(二)年次報告書の作成
地方整備局長等は、毎年3月末までに前年度におけるフォローアップ調査の結果及びその分析をとりまとめた年次報告書を作成し、これを本職に提出することとする。
(三)定期報告書の作成
地方整備局長等は、原則として五年ごとに過去の調査結果の分析・評価を行ない定期報告書としてとりまとめ、これを本職に提出することとする。なお、大規模な洪水や渇水による被害が発生した場合、または地方整備局長等が必要と認める場合にも前段の手続きを行うこととする。
六 委員会
(一)委員会の設置
地方整備局長等は、学織経験を有する者からなる委員会を設置し、フォローアップ調査の実施及び定期報告書にとりまとめられた調査結果の分析・評価について意見を聴くこととする。
(二)委員会の意見
地方整備局長等は、委員会の意見を尊重して、その後のフォローアップ調査の実施及び適宜必要な改善対策を行うこととする。
七 モニタリング部会
(一)モニタリング調査
地方整備局長等は、フォーローアップ調査の一環として、調査の開始段階において、フォローアップ調査の内容よりも詳細に環境変化などを分析・評価するため、モニタリング調査を実施する。
(二)モニタリング部会の設置
モニタリング調査が実施される期間、委員会に、モニタリング調査計画の作成又は変更及びその調査結果の分析・評価について意見を聴くため、当該ダム等ごとにモニタリング部会(以下「部会」という。)を設置することとする。
(三)部会の意見
委員会は、その定めるところにより、部会の意見をもって、当該ダム等に係るフォローアップ調査についての委員会の意見とすることができる。
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