淀川水系河川整備計画の策定に向けての取り組み

宇治川1,500m3/S改修の必要性

 宇治川は、淀川水系の治水計画を考える上で、重要な位置を占めています。

  1. 桂川、宇治川、木津川のそれぞれ上流域には、治水目的のダムが建設または計画されており、洪水調節機能を発揮していますが、計画論としては、桂川上流の日吉ダムは桂下流の羽束師地点を、宇治川上流の天ヶ瀬ダムは宇治地点を、木津川上流の高山ダム、室生ダム等のダム群は、加茂地点を守るために計画及び運用されており、それぞれ淀川本川の枚方地点にも洪水調節効果をもたらすものの、降雨分布によっては、これらのダムだけでは枚方地点の安全性を確保することはできない場合があります。このため、最も下流に近い天ヶ瀬ダムにおいて、枚方向けの二次調節(大幅な洪水調節)を行う計画となっています。
     この天ヶ瀬ダムの二次調節を適切に行うためには、天ヶ瀬ダムの洪水調節容量を十分に確保することが必要であり、現在840m³/sとしている一次調節(通常の洪水調節)時の放流量を1,140m³/sまで大きくすることで、天ヶ瀬ダムの洪水調節容量を温存し、できるだけ効率的な運用を行うことが必要です。天ヶ瀬ダムからの放流量を1,140m³/sまで増加させるにあたっては、その下流の宇治川の流下能力を放流量等に見合うよう1,500m³/sに増大させることが不可欠となります。
  2. 宇治川上流には琵琶湖を抱えています。琵琶湖の洪水は、水位がゆっくりと上昇し、ゆっくりと下降するという特徴を有しており、下流淀川の洪水がピークを迎えた後、一日程度おくれて、そのピークを迎えることが多い。その特徴を利用し、淀川に大洪水が到来し、危険な状態になったときには、琵琶湖の出口に位置する瀬田川洗堰を全閉して、淀川の洪水のピークが過ぎた後に瀬田川洗堰を制限又は全開するという操作を行っています。しかしながら、瀬田川洗堰を全閉している間には、琵琶湖への流入量はすべて琵琶湖に蓄えられているため、琵琶湖水位が上昇することとなります。
      琵琶湖総合開発の治水事業の前提となっている、1,500m³/sの流下能力を宇治川で確保することにより、瀬田川洗堰全閉中に琵琶湖に貯留された水を、速やかに下流へ放流することが可能となります。
  3. 宇治川が流れている地域は京都府域内でも最も標高の低い地域であるとともに、人口の多い京都市南部に接しており、また宇治市中心部を貫流しています。したがって、宇治川の安全性を十分確保しておくことは、宇治川沿川地域からみても必要なことです。

 以上のように、宇治川は淀川水系の治水計画を考える上で重要な位置を占めていることから、宇治川においては概ね150年に一度の洪水が発生した場合でも氾濫の起こらない安全な河川とすることとし、さらに琵琶湖水位の速やかな低下(上昇抑制)を図ることによって、淀川水系全体の治水安全度の向上に寄与するものとなります。

 

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