九頭竜川流域誌


6. 川漁

 九頭竜川は、全国でも有数のアユ漁が盛んな河川である。アユ漁が解禁されると、全国から釣師が集まってくる。
 かつては、ヤナやエバといった漁法で、アユのほかアマゴやイワナなどを獲っていた。 

ヤナでのアユとり風景 (※福井市立郷土資料館蔵)
ヤナでのアユとり風景(※福井市立郷土資料館蔵)

 ヤナは川を斜めに木で止めて、一方の口を開け、そこに真竹をフジツルで編んだ簀の子を置いたものである。このヤナでは、落アユ、ゴリンボ(アジメ)、ビシ、ハタカス等を獲った。これをザコ場といって、村中総出で作り、捕らえた魚も村寄り合いの会膳を賑わしたり、各家に分配するなど村人たちのレクリェーションでもあった。
 エバとは、三角すいのような竹製の籠でアマゴやイワナを獲る方法である。春には、川を遡上してくるアマゴやイワナをとり、秋には下ってくる魚を捕獲した。
 勝山市の比島では、川岸から棒を出して吊す小さなものと、川を堰き止めて枠を入れ、沈床を作り、直径1.5m、長さ4mもの大きなエバを川へ流すものがある。両方とも竹を縄・針金で結んで作った。エバをかける場所は、古くからそれぞれに権利があり、どこへでも勝手に出せないようになっていた。春2月頃にエバをかけると、アマゴやウグイが入り、8月末から10月上旬の水が濁っているときアユをエバで採った。
 九頭竜川中流の舟橋付近では、川幅いっぱいに杭を打ち、網を張る網戸漁法が行われていた。これは、舟やぐらにいる漁師が、三角タモを持って待ち構え、遡上する魚が網伝いに泳いできて、脈なわに触れると突っかい棒のコハジバイが落ち、タモ全体が持ち上がり、魚はタモを滑って生け簀に入るというものである。1〜6月がマス漁、7〜11月がアユ漁、9月中旬〜12中旬がサケ漁、11〜12月がアラレガコ漁、その他随時ウナギ、カニ、雑魚獲りとなっていて、1年中漁に勤しむことができた。
 勝山藩では、春か秋に藩主をはじめ町年寄り以下、町の庄屋なども招かれて、漁師や鵜匠などによって川狩という大々的な遊興があったと伝えられている。



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