九頭竜川流域誌


6.3 農業用水合理化事業

(1) 目的
 芝原用水区域には、近年の広域交通網の発達などによって産業経済活動が活発となり、人口が増加傾向にある福井市の中心市街地が位置している。福井市周辺の農用地は、市街地の拡大によって潰廃が進んでいる。その結果、旧来の用水施設では水配分に適正を欠き、さらには水路の老朽化に伴う通水能力の低下と漏水現象が生じ、圃場への適正な水配分を行うことが年々困難となっている。
 一方、福井市においては、上水道の需要が年々急増しており、水源の確保が緊急の課題となっている。そこで、このような状況を打開するために農業用水施設を整備合理化し、その結果生じた余剰水を都市用水に転換し、農業側には水管理の合理化を図り近代的営農計画の基盤を確立し、都市用水側には水源の確保を図る農業用水合理化事業が計画された。
(2) 地域
  対象地域は、九頭竜川左岸の松岡町から福井市の日野川右岸に至る農耕地で、その関係面積は2,180haである。
(3) 事業の概要
  事業としては、導水路での漏水防止と流量減に伴う水位低下を防止し、必要な水位を確保するため各用水路を延長約15kmにわたり改修するとともに、主要分水工を改修して水管理施設を新設し、適正な分水と水管理を図るものである。また、九ヶ用水系統191.6haの圃場整備を施工し、パイプラインによる灌漑方式によって水路損失の節減を図り、この結果生じた余剰水を福井市上水道に移転するものとし、鳴鹿頭首工(現在は九頭竜川鳴鹿大堰)取水口より中ノ郷分水工まで共用水路で導水し、上水道専用水路に分水する。
  このようにして福井市水道用水は、昭和55年より九頭竜川から最大0.996m3/sを取水することとなった。


九頭竜川流域誌メニューへ
第2章メニューへ
戻る次へ
TOPに戻る

Copyright (c) 国土交通省近畿地方整備局 福井工事事務所 2001 All Rights Reserved.