九頭竜川流域誌


1.2 新しい河川制度のもとでの河川整備

 昭和39年(1964)に制定された河川法は、治水・利水について体系的に整備を図り、高度経済成長期の河川行政の規範としての役割を果たしてきた。しかし、21世紀を目前にした今日、河川は治水・利水の役割だけではなく、うるおいとやすらぎをもたらす水辺空間、多様な生物の生息・生育空間として捉えられるようになってきており、さらに地域の風土と文化を形成する重要な要素として、その個性を生かした川づくり、川のあり方が強く求められるようになってきている。
 すなわち、河川が有する多様な自然環境や親水空間としての水辺の機能に着目し、河川環境を適正に保全し、これを享受しようという要請の高まりを受け、河川法第1条の目的に「河川環境の整備と保全」が新たに追加され、河川の機能を治水・利水・環境の3本柱とすることが明確となった。
 また、河川に求められる国民のニーズに的確に応え、あわせて河川の特性と地域の風土・文化などの実状に応じた河川整備を推進するためには、地域との連携が不可欠である。このため、河川整備の計画については、河川整備の基本となるべき方針に関する事項(河川整備基本方針)と具体的な河川整備に関する事項(河川整備計画)に区分し、後者については地方公共団体の長、地域住民等の意見を反映する手続きを導入することとなった。
 このように、目的の改正と併せて、環境に深く関わる事項が以下の(a)〜(e)のように改正あるいは追加された。

(a) 新たな河川整備の計画制度の創設
(b) 渇水調整の円滑化のための措置
(c) 樹林帯制度の創設
(d) 水質事故処理を円滑に進めるための原因者施行、原因者負担金制度の創設
(e) 不法係留対策の改善
図6.2.1 河川整備の計画制度の新旧対比


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