第1回懇談会

第1回懇談会

日時 : 平成 8年10月 1日
場所 : ホテルキャッスルプラザ

海岸づくりに望まれる理念

  1. 防災・利用・自然環境を統合した海岸づくり
  2. 防災、利用、自然環境、その他いろいろな要素を幅広く、しかも一緒に考えていくことが必要である。

     

  3. 環境ならびに人間を含めた生態系の観点からみた海岸づくり
  4. これまでは海岸侵食等の災害を防ぐという観点で海岸を考えてきた。その一方で戦後のさまざまな開発により、海岸が人間の生活から遠ざかった存在となり、今日では親水性の回復が叫ばれるようになった。また、海域利用でも漁業の保護も考慮しなければならない。さらに、大規模な開発によって自然環境の悪化が生じ、白砂青松の消失やウミガメの産卵がみられなくなったりした。以上のような状況を反省し、環境ならびに人間を含めた生態系の観点から海岸を考え直す必要がある。

     

  5. オリジナリティーの創出
  6. 東播海岸の歴史、文化、風土を念頭に置いてオリジナリティーのあるアイデアを出し、地域住民に示す。

     

  7. 海岸域における良好な環境の形成
  8. 海岸線では植栽を行い、育てていく必要がある。
    融通の利く形式、構造を採用し、海岸構造物が社会情勢に応じて環境や利用に沿わなくなってきたら、容易に是正できるようにすべきである。
    自然のありのままの姿ならびに生態系を部分的に残してほしい。

     

  9. 家族で楽しめる海岸づくり
  10. 家族ぐるみで、しかも子供を囲んで海浜でのレクレーションを楽しめる場を整備してほしい。

     

  11. 地域性,歴史文化に触れることのできる海岸環境の創造
  12. 人が集まりやすい箇所に、東播海岸の歴史が分かるような施設を作ってほしい。

     

  13. 人の利用と生態系の保護を対象とした海岸整備区間の区分け
  14. 利用者の安全確保の観点と生態系保護の観点からでは、整備手法、構造形式、平面配置等が全く異なる。この点を考慮して、明確な区分けをして利用および管理をする必要がある。

海岸線および施設法線について

  1. 曲線の採用
  2. 突堤の形式が全て同じであり単調である。曲線的な法線の採用も検討してほしい。

     

  3. バリエ-ションの異なる法線構成(海洋生物と触れ合える人工磯や礫浜の採用)
  4. 種の異なる生物が生息できるように法線を複雑にしてみてもいいのではないか。
    昔の波打ち際は岩礁であり、多くの魚がいた。近年の砂による養浜により、波打ち際には魚がいなくなった。どこかの突堤間に小石や岩礁を置き(人工磯)、自然の魚介類と遊べるようにしてほしい。

 

材料および色について

  1. 生物(海藻、付着生物、魚類)の繁殖促進が図れる素材の採用
  2. 小魚の生息場となる海藻や餌となる虫や微生物の生息しやすい砂利浜を整備してほしい。
    被覆石に凸凹をつけたり、異なる素材の採用をして生物が付着できるものにする。

     

  3. 周辺環境との調和が図れるような配慮(景観設計の重要性)
  4. 屋根の色や海岸線に対して景観条例等を活用して景観上調和を図るべきである。
    須磨、明石、舞子は世界的な名勝地であることを念頭に置き、美意識をもって景観設計すべきである。

海岸環境の管理およびその他の事項

  1. ゴミ処理対策および管理体制に関する検討の必要性
  2. ゴミ処理を誰(行政か地元住民か)がするのかという点が大きな問題である。
    砂浜の管理強化(ゴミ管理)を望む。

     

  3. 海岸利用に関するルールづくり
  4. 花火公害や騒音問題で地元は苦しんでいる。海岸は自由な場であり、いろいろな人が利用できる空間である。
    そのため、ルールづくりや規制も難しい。しかし、条例による海岸・海面利用のルールづくり、利用調整のための協議組織が必要である。

     

  5. 海岸事業による影響調査の実施と調査結果の公開
  6. 海岸事業に対する地元の理解を得るためには、海岸事業に伴う環境問題改善のための工夫とその過程、海岸保全施設の整備による新たな生態系等の影響調査の実施とその結果の公開を継続して行うことが重要である。