紀の川ダム統合管理事務所 大滝ダム施設概要

大滝ダム施設概要
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常用放流設備(主ゲート・その他)

常用放流設備(主ゲート・その他)のイメージ図常用放流設備(主ゲート・その他)の断面図
















設備の役割

常用放流設備は、主に洪水時に下流へ放流する流量を調整する設備です。洪水時などに、放流量を調節する役目を果たします。下流の河道整備状況から洪水時の最大放流量は、当面1,200m³/sの放流を行います。下流の河道整備状況などに応じて最大2,500m³/s放流まで順次変更するものとします。なお、洪水時最高水位(323m)を超えるおそれがある場合、最大放流量を上回る放流を行います。

放流量能力

  上段放流管 下段放流管 合計
貯水位 1条 2条  
第2期洪水貯留準備水位
EL.290.000m
551(m³/s) 1,417(m³/s) 1,968(m³/s)
設計最高水位
EL.324.300m
956(m³/s) 2,119(m³/s) 3,075(m³/s)

設備の特徴

最新の技術を駆使した国内最大規模の大型高圧ラジアルゲートの採用により、計画最大放流量が多いにも関わらず、設置門数をわずか3門におさえることができました。これによりコストの縮減や、操作門数が少ないことによる操作性の向上にも貢献しています。

●二段構えの放流設備
放流設備の規模が同じならば、水深の深いところに設置する方がより多くの水を放流することができます。しかし、深部の水温は低く、この冷水の放流によって下流域の生態系に及ぼす影響が懸念されます。また、洪水時にダム湖に流入する濁水は上層に滞留し、ダムの水の清浄化には時間がかかります。
そこで、大滝ダムでは放流設備を上下二段構造とし、大規模な洪水にのみ下段常用放流設備を使用します。また、中規模の洪水には、上段常用放流設備が対応して冷水の放流を避け、かつダム湖に流入した濁水をいち早く放流します。

各部の解説

1.扉体

国内最大規模の高圧ラジアルゲートです。

2.戸当り

放流管のうち、主ゲートと接触する部分を指します。確実に水をせき止めるため、放流管との接触面は水密ゴムにより密封性を高めています。

3.基礎材

扉体が受けた水圧を、ダム本体コンクリートからの反力として受け止めます。

4.開閉装置 揺動式油圧シリンダー式

振動式油圧シリンダー式の構造を採用しています。開閉に使われる油圧シリンダーが扉体開度によって傾きを変えるため、このように呼ばれます。

5.放流管

ダム本体上流面から、主ゲート(扉体)まで水を導きます。放流時に水流が剥離したり、キャビテーションを起こさないよう四面ベルマウス矩形断面という形状を採用しています。

6.整流板

放流管戸当り部を通過した直後の流水は流れが安定しておらず、コンクリート面を傷つけるおそれがあります。これを防ぐために流水が安定する部分まで、コンクリートの放流路をステンレスクラッド鋼で保護しています。

7.空気管

大滝ダム常用放流設備は設置水深が深く、しかも水圧が高いため、放流水は高速となります。そのため、放流管内では局部的に負圧が発生し、流れに悪影響を与えます。そこで、負圧が発生する箇所に空気を供給し、流れを安定させます。

8.充水管

放流管、扉体の点検のために、予備ゲートを全閉した後に再び開けるには、放流管内に水を充満させて予備ゲート内外の水圧を同一にしておく必要があります。充水管は、放流管に水を充満させるときに使用します。