選択取水設備は、取水する深度を自由に選択する設備です。ダム湖など水深の深い湖では、その特性から温度躍層(水深の鉛直方向に水温が急激に変わる層のこと。浅いところでは水温が高く、深いところでは水温が低い)が初夏〜晩秋にできます。 選択取水設備は、平水時に下流へ放流する時に、可能なかぎり環境影響の少ない温度や濁度の水をダム湖から選択取水する役目を果たします。取水後は、利水放流設備や発電所を通じて放流することとなります。
低水位取水ゲートには従来のような桁構造のゲートではなく、厚板1枚構造の高圧スライドゲートを採用しています。このため本ゲートの大きさ、設置条件における重量は桁構造より大きくなりますが、製作・整備が容易なため全体として高い経済性を持っています。
大滝ダムの選択取水ゲートは「円形多段式ゲート(6段)」です。この形式はゲートの全周から取水できるので、他の形式(半円形式、直線式etc.)に比べ、取水する層を狭く設定することができます。
選択取水ゲートの開閉装置は、従来のようなゲートの直上ではなく、ダムの背面に設けられ、滑車を介してワイヤロープで操作する形式となっています。これによりダム天端上に飛び出る部分がなくなり、すっきりした景観となっています。
選択取水ゲートが流木などの異物を取り込むと、放流管のつまりや利水放流設備主ゲートなどの損傷の原因となります。こうしたトラブルを防止するため、スクリーンを設けています。
選択取水ゲートの点検・整備は、ゲートをすべて一番上まであげた後、休止台の上にて行います。
選択取水ゲートの取水範囲はEL.321(平常時最高貯水位)〜EL.271(最低水位)ですが、非常時に最低水位以下の水を取水するため、低水位取水ゲートが設置されています。
低水位取水ゲートが流木などの異物を取り込むと、放流管のつまりや利水放流設備主ゲートなどの損傷の原因となります。こうしたトラブルを防止するため、スクリーンを設けています。
低水位取水ゲートで取水された水を、利水放流設備の放流管へ導くためのものです。