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■麻那姫の伝説

麻那姫の伝説
今から千二百年あまり前に、十文字という情け深い長者がいた。しかし、長者夫婦には子供がなかったので、子供が授かるようにと朝夕一生けんめい神様に祈った。念願がかなって美しい女の子が生れた。この子は「麻那姫」と名づけられ、大きくなるにつれて美しくなり、親孝行で村の人たちにも親切だったので、みんなからかわいがられた。

ある年、大かんばつがあり、稲作はひどい被害を受け、たくさんうえ死にする人も出て、人々は悲しみ、苦しんだ。長者は、米や食糧を農民に分け与え、雨が降るようにと毎日川のふちに立ち、一心不乱に神様に祈った。

ある夜、長者がうとうとしていると、まくらもとに女神が現れ、「このかんばつは竜神の怒りです。しかし、あなたの日ごろの神をうやまう心と、困っている人たちを助けた行いに免じて雨を降らせましょう。そのかわりに、娘を竜神にささげるように。」といって消えた。

夢からさめた長者は、たいへん悲しんだ。麻那姫は長者に「私は、人間の不幸を救うためにこの世に命を授かりました。この命を竜神にささげることで農民が救われるなら、喜んでささげましょう。」と言って、父母をなぐさめ、「長らくおせわになりました。これからも困った時は姫をお呼び下さい。きっとお役にたつでしょう。」と言って、岩からふちに身を投じた。

その時、空が曇り、雨が降りはじめた。作物は息をふきかえし、川は下流の田をうるおした。

農民たちは喜び、身をぎせいにした姫を慕って、ふちのそばに松を植えて乙姫松とよび、毎年姫の霊をとむらって祭りを行なった。のちに姫をたたえて堂を建て、姫と長者の供養をした。そして姫が身を投げた川を真名川とよび、そのやさしい心を後の世まで残している。
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