2006年晩秋の日曜日、南港魚釣り園で、 NPO法人 釣り文化協会 主催の「大阪市民釣り大会」が開かれた。魚釣りを競うと同時に「大阪湾水質モニタリング調査」を行う大会だ。 参加者約40組70人のうちの一人で、「今日が、大阪湾デビュー」という川島翼くん(23歳=会社員)に密着した。
「日曜日の早起きは気持ちいいですね〜」 爽やかな笑顔で、日曜日の午前9時に南港海釣り園の釣り大会受付に現れた川島翼くんは、印刷関係の会社に勤める社会人1年生。実家は石川県金沢市、滋賀県の大学を経て、大阪暮らしも1年目。この辺りにドライブに来たことはあるが、大阪湾での釣りは初めてとのことで、「大阪湾デビュー、楽しみです」
受付を済ませて、「水質調査キット」を受け取り、釣り具を借り、売店でエサのオキアミを買って、さっそく釣り場の堤防へと歩を進めつつ、 「スミマセン、大阪湾の水はもっと汚いのかと思っていました(笑)」
子どものころ釣り船に乗ったことのある日本海や、学生時代にブラックバスを釣りに行った琵琶湖とは、大阪湾は比較出来ないほど汚いだろうと、先入観があったというが、目の前に広がる青い大海原に「都会の割にきれい」と顔がほころぶ。
暖かな日差しが注ぐ中、さっそく釣りの準備を開始する・・と、そこへ現れたのが、「指導員」と書いた腕章を付けた「公認釣りインストラクター」氏。 この魚釣り園を運営しているNPO法人釣り文化協会のメンバーで、釣り人を応援するためにボランティアで常駐している。
「釣りって個人プレーだから、釣り人同士はグループを組まないのかと思ってたけど、違うんだ・・」と川島くん。 魚場の情報を共有する目的などのグループはたくさんある。この釣り大会は、釣り人たちの横のつながりを生かし、釣り文化を継承すると共に、釣り人をとりまく自然環境に目を向けようという釣り文化協会の活動の一環だと聞く。