海の健康診断?

川島くんが水質調査キットを手にすると、すかさず釣りインストラクターがその方法を教えに来てくれた。

▲色見本から海にもっとも近い色を探す

「最初に、この色見本を海に向けて、もっとも近いと思う色番号を記入してください」
川島くんは、迷いながらも群青色っぽい色をチョイスし、「結構、アナログなんですね」とポツリ。

「実は僕は文科系人間なので、難しい調査なら上手く出来ないかと思ってたんですが、これならとても簡単。ほっとしました」

「見た目は大事。海の色でプランクトンや青潮の発生状況も分かるんですよ」
と言う釣りインストラクターに、
「へ〜。人間の健康診断と同じですね。元気があるかどうか、体に出ますもんね」と、川島くん。

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▲キットに含まれるペットボトル

次は、キットに含まれるペットボトルで表層の水をくみ上げ、温度計で水温を計る。「23度」。
比重計を用いて塩分濃度を計ると「1,021」。
海底(7.5メートル)の水をくみ上げて測定すると、水温24度、塩分濃度1,024。

「冬になるほど、海底のほうが暖かくなるんですね。塩分濃度は、昨日降った雨水も影響してるでしょう」と、釣りインストラクター氏は言う。

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さらにpH(水素イオン濃度指数)は「8」、DO(溶存酸素量)は「6」。

▲CD-ROM風の光る円盤

「Phは、7.0より低ければ酸性、高ければアルカリ性ですが、大阪湾では普通8.0〜8.5程度ですから、その範囲内。今日の大阪湾は病気の兆候なく元気だということですね」
「DOは2.0以上で魚が生きていけるんですよ」
川島くん、なるほど、なるほどとしきりにうなずく。

最後に、CD-ROM風の光る円盤に重りをつけて海水に沈め、水深何メートルまで肉眼で見えるかをチェック。「3.5m」だった。
「びっくりです。都会の海なのに(笑)、透明度がこんなに高いとは」

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「次も、調査のお手伝いしたい」

▲データ調査中の川島くん

それらの数値を報告書シートに書き込む川島くんに、調査の感想を聞くと、
「僕のような者が調査したデータが役立つかもしれないとはうれしいですね。これからも釣りに来て、気軽に調査のお手伝いしたいな。今日は海辺で過ごせて、本当に癒されましたよ。魚が釣れなかったことが心残りなので、また改めて再訪します」

南を向けば、未来都市のような堺のコンビナートが見える南港。この環境に身を置くと、「癒される」と実感するのは川島くんだけでないはず──と、思えるのだった。

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